特許第5749438号(P5749438)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5749438ユーザフレンドリーな歯科ケア・ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749438
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】ユーザフレンドリーな歯科ケア・ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20150625BHJP
   A61G 15/14 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   A61C19/00 B
   A61C19/00 G
   A61C19/00 Z
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2009-554053(P2009-554053)
(86)(22)【出願日】2008年3月19日
(65)【公表番号】特表2010-522002(P2010-522002A)
(43)【公表日】2010年7月1日
(86)【国際出願番号】FI2008050126
(87)【国際公開番号】WO2008119874
(87)【国際公開日】20081009
【審査請求日】2011年1月28日
(31)【優先権主張番号】20075180
(32)【優先日】2007年3月19日
(33)【優先権主張国】FI
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591036309
【氏名又は名称】プランメカ オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(72)【発明者】
【氏名】アンデッル,ヘンリ
(72)【発明者】
【氏名】ピフラヤメキ,テロ
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−216420(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00845247(EP,A2)
【文献】 特表2008−515507(JP,A)
【文献】 特表2007−519449(JP,A)
【文献】 特表2006−513777(JP,A)
【文献】 特開2006−338521(JP,A)
【文献】 特表2004−532085(JP,A)
【文献】 特開2004−159998(JP,A)
【文献】 特公平07−067471(JP,B2)
【文献】 特開平06−090963(JP,A)
【文献】 特開2003−250146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00
A61G 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科ユニットの機能に関連するアイコンおよび/またはメニューのディスプレイを構成する前記歯科ユニットに関連し、機器用および制御デバイス(9)用の接続と、前記歯科ユニットを制御するように構成されたマイクロプロセッサとを含む、前記歯科ユニットにおいて、
前記歯科ユニットが、前記歯科ユニットの外部のレコードからユーザ固有ユーザ・プロファイルまたは前記ユーザ・プロファイルの一部分を読み取る機能を含み、前記ユーザ・プロファイルは、ログオンするユーザに従って、ディフォルトの設定、又は、
前記ディスプレイ内でのアイコンの外観、
前記ディスプレイ内でのアイコンの位置、
前記ディスプレイに表示されている所定のメイン・メニューもしくは所定のサブ・メニュー内へのアイコンの提示、
前記ディスプレイ内でアイコンを提示するか否かの選択、
少なくとも1つに関連し、前記ディスプレイのコンテンツに関連された設定を少なくとも含み、
前記制御デバイス(9)から前記アイコンおよび/または前記メニューに関連する入力を受け取ること、および前記入力にしたがって前記歯科ユニットに接続された前記機器および/または付属の機器を案内することによって、前記マイクロプロセッサが、前記ユーザ固有ユーザ・プロファイルにしたがって前記歯科ユニットを制御するように構成されていることを特徴とする、科ユニット。
【請求項2】
前記歯科ユニットが、データ・ネットワークのサーバからデータ通信リンクを通じて前記ユーザ・プロファイルまたは前記ユーザ・プロファイルの一部分を読み取る、前記データ通信リンクを含むことを特徴とする、求項1に記載の歯科ユニット。
【請求項3】
前記歯科ユニットが、別のコンピュータからデータ通信リンクを通じて前記ユーザ・プロファイルまたは前記ユーザ・プロファイルの一部分を読み取る、前記別の歯科ユニットへの前記データ通信リンクを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の歯科ユニット。
【請求項4】
前記歯科ユニットが、メモリ・スティックなど、ユーザによって持ち運ばれるレコードから前記ユーザ・プロファイルまたは前記ユーザ・プロファイルの一部分を読み取る、読取手段を含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の歯科ユニット。
【請求項5】
前記歯科ユニットが、前記ユーザ・プロファイルまたは前記ユーザ・プロファイルの一部分を前記歯科ユニットの外部のレコードへと持っていく機能を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の歯科ユニット。
【請求項6】
前記ユーザ・プロファイルが機器を制御することに関するパラメータを含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の歯科ユニット。
【請求項7】
前記制御デバイス(9)がセレクタ(10、11、12、13)を含み、前記ユーザ・プロファイルが、前記セレクタ(10、11、12、13)の使用に関する応答を定義する設定を含むことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の歯科ユニット。
【請求項8】
前記ユーザ・プロファイルが少なくとも2つの制御機能の組合せを実施するために前記歯科ユニットを制御するように構成された、プログラムされた少なくとも1つの機能を含むことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の歯科ユニット。
【請求項9】
前記歯科ユニットが患者椅子を制御するように構成されており、前記プログラムされた少なくとも1つの機能が前記患者椅子を予め定義された位置に持っていく制御機能を含むことを特徴とする、請求項8に記載の歯科ユニット。
【請求項10】
前記プログラムされた少なくとも1つの機能が、少なくとも1つの機器を予め定義された動作状態に持っていく制御機能を含むことを特徴とする、請求項8または9に記載の歯科ユニット。
【請求項11】
前記歯科ユニットがディスプレイを含んでおり、前記マイクロプロセッサが、前記ディスプレイ上にメニュー(4、5)を示すように構成され、前記プログラムされた少なくとも1つの機能が、前記ディスプレイ上に示される前記メニュー(4、5)を予め定義された状態に持っていく制御機能を含むことを特徴とする、請求項8または9に記載の歯科ユニット。
【請求項12】
前記歯科ユニットが、前記ユーザ・プロファイルを作成または編集する機能を含むことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の歯科ユニット。
【請求項13】
前記ユーザ・プロファイルを作成または編集する前記機能が、前記ユーザ・プロファイル内に含まれるべき前記ユーザ・プロファイルに基づいて制御される制御操作または機能を選択するためにユーザから選択を受け取るように構成されることを特徴とする、請求項12に記載の歯科ユニット。
【請求項14】
前記ユーザ・プロファイルを作成または編集する前記機能が、前記ユーザ・プロファイルに含まれた制御操作または機能に与えられるべき事前設定可能な値がそれに基づいて設定される選択をユーザから受け取るように構成されることを特徴とする、請求項12または13に記載の歯科ユニット。
【請求項15】
前記ユーザ・プロファイルがレコード内に記録されたファイルであることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の歯科ユニット。
【請求項16】
前記ユーザ・プロファイルが、前記メニューの前記アイコンの外観および/または場所に関する設定および/または前記メニューの前記アイコンの機能に関する設定を含むことを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の歯科ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の歯科ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科ユニットは、1つもしくは複数の補助デバイスをそれに取り付けることのできるデバイスである。典型的な補助デバイスは、歯科処置で使用される機器、ならびに制御デバイスである。歯科ユニットは、通常、補助デバイスが必要とする電気、水、圧縮空気、真空、または機械力をそれらの補助デバイスに供給するように構成される。現代の歯科ユニットは、一般に、マイクロプロセッサ制御される。
【0003】
典型的な機器は、例えば、マイクロモータおよびタービン・ドリル、光硬化装置(light curers)、水スプレーなどである。典型的な補助デバイスには、また、口から唾液および処置副産物を除去する吸引デバイスも含まれる。機器および吸引デバイスは、ホースを用いて実際の歯科ユニットに連結される。機器のホースは、常に機器のタイプに応じて、それらの機器を操作する水接続、空気接続、および電線を含むことができる。
【0004】
歯科ユニット用の典型的な制御デバイスは、少なくとも処置操作の間、足を用いて歯科ユニットに制御コマンドを与えられるようにする、足踏み制御装置である。足踏み制御は、処置の最中に制御表面に触れる必要がないので、手操作による制御よりも衛生的である。さらに、歯科ユニットには、通常、キーパッドや接触表面など、少なくとも1つの手制御装置がある。また、タッチ・スクリーンを備えた歯科ユニットも知られている。また、他の代替制御装置、例えば、音声認識に基づいた音声制御装置も、確かに使用することができる。
【0005】
また、通常、患者椅子が歯科ユニットに取り付けられており、その場合、患者椅子は、やはり、歯科ユニットの制御デバイスを通じて制御することができる。他の典型的な補助デバイスは、例えば、作業灯および洗浄水システムである。
【0006】
WO2004/084753は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを備えた歯科ユニットを提示している。
【0007】
WO2006/037862は、データ通信リンクを通じてコンピュータに接続できる歯科ユニットを示している。
【0008】
WO2005/070366は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースとデータ通信接続とを含むコンピュータ制御された歯科ユニットを提示している。
【0009】
現代の歯科ユニットは、歯科医にいくつかの高度な機能を提供する。現代の歯科ユニットには、それを実行することがいくつかの制御機能に結び付けられ、その実行が歯科ユニットの補助デバイスおよび/または歯科ユニット自体のシステムのためのいくつかの制御コマンドを含む、予め定義された、より高度な機能さえも存在している。定義された機能には、例えば、特定の処置操作についてプログラムされた機能を含めることができる。そのような機能は、例えば、患者椅子を適正な位置へと案内すること、作業灯のオン/オフの切替えの制御、および機器を適正な動作状態に設定することを含むことができる。
【0010】
歯科ユニットにおける高度な機能は、歯科ユニットをその補助デバイスとともに単一の制御装置によって所望の処置状態に設定できるので、歯科医の作業を促進する。他方で、より高度な機能を追加すると、かなり複雑なユーザ・インターフェースが必要となり、したがって、また、歯科ユニットの使用がより困難なものとなる。しかし、歯科医は、処置の間、できる限り柔軟に、かつ歯科ユニットの制御に関する過剰な問題またはストレス因子なしに、所望の機能を使用可能であるべきである。より複雑なユーザ・インターフェースの使用は、同一の歯科医院内またはいくつかの異なる歯科医院においていくつかの歯科ユニットで作業する歯科医にとって、特に問題となる。そのような場合、歯科ユニットのユーザ・インターフェースが、特に、より高度な機能だけに関して、互いに異なる可能性がある。ユーザ・インターフェース間の相違は、使用されている歯科ユニットのモデルの違いに起因する。また、同一モデルの異なるバージョン間にも著しい相違が存在することがある。
【0011】
他の問題は、機能自体の中のコンテンツ間の相違である。これは、異なる歯科ユニットでは、特定の処置操作についてプログラムされた機能が異なる制御コマンドまたは機器セットアップを含む可能性があることを意味する。これは、ユーザ・インターフェースの相違の問題に対応する問題を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2004/084753
【特許文献2】WO2006/037862
【特許文献3】WO2005/070366
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、歯科ユニットの使用を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、マイクロプロセッサを用いてユーザ固有ユーザ・プロファイルにしたがって歯科ユニットを制御することに基づく。歯科ユニットは、外部レコードからユーザ・プロファイルまたはユーザ・プロファイルの一部分を読み取る操作を備える。
【0015】
より具体的には、本発明による方法は、請求項1の特徴部分に記載されていることによって特徴付けられる。
【0016】
本発明を用いて、歯科ユニットの使用を容易にすることができる。すなわち、本発明によって、歯科医がある歯科ユニットから別の歯科ユニットへと移動するときに常に容易に彼自身の設定を使用されるべき歯科ユニットへと一度に持っていけるようになり、それらの設定は、その歯科医のユーザ固有ユーザ・プロファイル内に記録される。
【0017】
一実施形態では、歯科医が持ち運ぶユーザ・プロファイルまたはその一部分は、歯科ユニットのユーザ・インターフェースに関するユーザ固有設定を含む。
【0018】
第2の実施形態では、歯科医が持ち運ぶユーザ・プロファイルまたはその一部分は、患者椅子の位置決めに関するユーザ固有設定を含む。
【0019】
第3の実施形態では、歯科医が持ち運ぶユーザ・プロファイルまたはその一部分は、機器設定に関するユーザ固有設定を含む。
【0020】
第4の実施形態では、歯科医が持ち運ぶユーザ・プロファイルまたはその一部分は、プログラムされた機能に関するユーザ固有設定を含む。
【0021】
第5の実施形態では、歯科医が持ち運ぶユーザ・プロファイルまたはその一部分は、プログラムされた機能全体を含む。
【0022】
第6の実施形態では、歯科医が持ち運ぶユーザ・プロファイルまたはその一部分は、前述の第1、第2、第3、第4、および第5の実施形態のユーザ固有設定または機能の組合せを含む。そのような組合せは、前述した情報のうちの2つ、いくつか、またはすべてを含むことができる。
【0023】
前述の諸実施形態を用いると、歯科医は、歯科ユニットへと来たときに、ユーザ・インターフェースを通じて手動で歯科ユニットにユーザ固有設定を入力する必要がないので、より迅速に作業を開始することができる。
【0024】
一実施形態では、ユーザ・プロファイルまたはその一部分がそこに記録される歯科ユニットの外部のレコードは、歯科医によって持ち運ばれるように設計される。そのようなレコードは、例えば、ディスク、スマート・カード、またはUSBメモリ・スティックとすることができる。そのような一実施形態では、歯科ユニットは、持ち運ばれるレコードに適した読取デバイスを備える。
【0025】
他の実施形態では、ユーザ・プロファイルは、データ通信リンクを通じてレコードから読み取られる。そのような場合、レコードは、例えば、ネットワークに接続された他の歯科ユニット内またはサーバ内に存在してもよい。そのような一実施形態では、歯科ユニットは、データ通信リンクを備えており、正しいユーザ・プロファイルまたはその一部分は、例えば、ユーザIDを、場合によってはさらにパスワードも、歯科ユニットに入力するように歯科医が要求される、ログイン操作の成功への応答として、レコードから検索される。USBメモリ・スティックやスマート・カードなど、持ち運ばれるように設計された第1の実施形態に記載のレコードは、また、歯科医の識別子として使用することができる。識別は、また、クレジット・カード、RFID識別子、指紋など、他の物理的識別子を用いて実施することもできる。
【0026】
一実施形態では、ユーザ・プロファイル自体のコンテンツも、また、ユーザによって編集可能かつ選択可能である。これは、ユーザ・プロファイルの制御操作または機能についての値の設定に加えて、ユーザが、また、ユーザ・プロファイルへと選択されるべき制御操作または機能を選択できることを意味する。ゆえに、ユーザ・プロファイルによって、歯科ユニットの可能な設定すべてをユーザ・プロファイル内に含める必要なしに、歯科ユニットの調節可能な設定のうちのいずれかをユーザ・プロファイル内に記録できるようになる。
【0027】
以下で、本発明について、諸実施例を用い、添付図面を参照して検討する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】一実施形態による歯科ユニットのディスプレイ上に示される可能な表示の一実施例を示す図である。
図1B図1Aのディスプレイのディスプレイ・フィールドを概略的に示す図である。
図2A】一実施形態による歯科ユニットに接続できる足踏み制御装置の概略上面図である。
図2B図1Bの表示の一部の略図をさらに詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施例の歯科ユニットは、機器、制御デバイス、患者椅子、作業灯、吸引システム、洗浄水システム、およびディスプレイのための接続部を含む。歯科ユニットは、また、補助デバイスに駆動力または入力を提供する、駆動力および入力システムを含む。提供される駆動力または入力は、次の群:電気、水、圧縮空気、真空、機械力、および光のうちの少なくとも1つを含む。
【0030】
歯科ユニットは、駆動力および入力システムを制御する制御システムと、該制御システム内に含まれるマイクロプロセッサを用いる少なくとも1つの補助デバイスとを含む。制御システムは、少なくとも1つの補助デバイスに向けられる予め定義された少なくとも1つの制御機能を含む、プログラムされた機能を含む。さらに、制御システムでは、プログラムされた機能ごとに、前記プログラムされた機能がそれに応答して実行される少なくとも1つのトリガが定義される。
【0031】
実施例では、マイクロプロセッサは、ユーザ固有ユーザ・プロファイルにしたがって歯科ユニットを制御するように構成されており、歯科ユニットは、該歯科ユニットの外部のレコードからユーザ・プロファイルまたはユーザ・プロファイルの一部分を読み取る機能を含む。通常、ユーザ・プロファイルは、適切なコンピュータによって読取り可能なレコード内に記録されたファイルである。
【0032】
歯科ユニットは、データ・ネットワークのサーバからデータ通信リンクを通じてユーザ・プロファイルまたはユーザ・プロファイルの一部分を読み取るために、データ通信リンクを含むことができる。このほかに、またはこの代わりに、歯科ユニットは、別の歯科ユニットからデータ通信リンクを通じてユーザ・プロファイルまたはユーザ・プロファイルの一部分を読み取る、別の歯科ユニットへのデータ通信リンクを含んでもよい。前述したものに加えて、または前述したものの代わりに、歯科ユニットは、メモリ・スティックなど、ユーザによって持ち運ばれるレコードからユーザ・プロファイルまたはユーザ・プロファイルの一部分を読み取る、読取手段を含むこともできる。
【0033】
歯科ユニットは、好ましくは、また、それを用いてユーザ・プロファイルまたはユーザ・プロファイルの一部分を歯科ユニットの外部の対応するレコードへと持っていくことのできる、反対方向の機能も備える。この方法によって、ユーザ・プロファイルを歯科ユニットから直接レコードへと持ってくることができる。他の可能性は、例えばコンピュータを用いて、ユーザ・プロファイルを作成することである。
【0034】
ユーザ固有ユーザ・プロファイルに加えて、歯科ユニットは、歯科ユニット固有のデバイス・プロファイルを備えることができ、その場合、マイクロプロセッサは、デバイス・プロファイルとユーザ固有ユーザ・プロファイルとの両方にしたがって歯科ユニットを制御するように構成される。その場合、やはり、デバイス・プロファイルを歯科ユニットの外部のレコードへと持っていき、歯科ユニットの外部の前記レコードからデバイス・プロファイルを読み取る機能は、該デバイス・プロファイルのバックアップ・コピーを作成し、それを望ましいときに別の歯科ユニットへとコピーするのが容易となるように、実現される。
【0035】
ユーザ・プロファイル自体は、例えば、機器を制御するパラメータを含むことができる。ユーザ・プロファイルは、また、制御デバイスに関する設定を含むことができる。制御デバイス、例えば、通常使用される足踏み制御装置は、いくつかの押しボタンまたは他のセレクタを含んでおり、ユーザ・プロファイルは、セレクタの使用に対する応答を定義する設定を含むことができる。例えば、ユーザ・プロファイルは、1つもしくはいくつかのセレクタに対する応答を定義することができ、換言すれば、例えば、その機能は、足踏み制御装置の特定の押しボタンを押すことに対する応答として実装されることになる。
【0036】
通常、歯科ユニットは、該歯科ユニットの機能に関連するアイコンを含むメニューをその上に提示できるディスプレイを含む。これらのアイコンに関連する入力は、制御デバイスから受け取ることができ、次いで、受け取った入力に基づいて機器または他の補助デバイスを制御することができる。そのような歯科ユニットに関連して、ユーザ・プロファイルは、好ましくは、また、メニューのコンテンツに関するユーザ固有設定を含む。
【0037】
メニューのコンテンツに関するユーザ固有設定は、例えば、アイコンの外観および/または場所に関する設定を含むことができる。アイコンの外観に関する設定を用いて、例えば、アイコンの画像またはアイコンにリンクされたテキストを定義することができる。アイコンの場所に関する設定を用いて、例えば、ディスプレイのどの位置にアイコンが提示されるかを定義することができる。また、アイコンの場所に関する設定を用いて、所与のメニュー内にどのアイコンが提示されるかを定義することができ、すなわち、アイコンを、特定のサブ・メニューもしくはメイン・メニュー内に配置されるように定義することもでき、またはアイコンをメニューから完全に隠すこともできる。
【0038】
メニューのコンテンツに関するユーザ固有設定は、前述したものに加えて、または前述したものの代わりに、アイコンとリンクされた機能またはプログラムされた全機能の設定も含むことができる。ここでは、プログラムされた機能とは、少なくとも2つの制御操作の組合せを実現するために歯科ユニットを制御するように構成されたプログラムを指す。
【0039】
制御操作は、例えば、作業灯のスイッチを入れること、作業灯のスイッチを切ること、作業灯を暗くすること、患者椅子を所望の位置へと誘導するために患者椅子のモータを制御すること、機器に電力を供給すること、機器に水を供給すること、機器に圧縮空気または真空を供給すること、マグカップを水で満たすこと、うがい用ボウルを洗浄すること、機器用の冷却ミストのオン/オフを切り替えること、または歯科助手を呼ぶこと、とすることができる。それらの性質により、制御操作は、歯科ユニットのソフトウェア内の単純な基本的制御コマンド、またはそれらの非常に単純な組合せである。
【0040】
基本的制御コマンドを組み合わせることによって、機器についての極限電力を設定すること、機器の動作状態を設定すること、機器の動作状態を調節すること、ディスプレイの動作状態(表示)を設定すること、機器の冷却ミストを調節すること、吸引のための動作時間を設定すること、制御デバイスについて制御コマンドを定義すること、足踏み制御装置のセレクタにリンクされた制御コマンドを定義することなど、プログラムされた単純な機能を実現することが可能となる。
【0041】
ただし、プログラムされた機能は、また、基本的制御コマンドの、またはプログラムされた他のコマンドの、複雑かつ広範な組合せを含むことがある。一般に、プログラムされた機能は、2つ以上の制御操作の組合せと、それらの制御操作が、例えば、連続的に実施されるべきか同時に実施されるべきかについての定義とを含む。制御操作は、前述の制御操作であっても、または歯科ユニットが可能にする他の制御操作であってもよい。
【0042】
プログラムされた機能は、ゆえに、例えば、患者椅子を予め定義された位置へと誘導する制御操作と、これと組み合わされた1つもしくは複数の他の制御とを含むことができる。他の制御は、例えば、作業灯の制御および機器の動作状態の設定とすることができる。
【0043】
プログラムされた一機能は、例えば、患者の口をすすぐこととすることができ、その機能には、マグカップを水で満たすこと、患者椅子をすすぎ位置へと動かすことが含まれる。機能の終了を、同一の機能に組み込むことができ、それには、うがい用ボウルを洗浄することと、椅子を降りる位置または作業位置に動かすこととが含まれる。終了は、また、別個の機能として実現することもできる。
【0044】
プログラムされた機能は、いくつかの、少なくとも1つの機器を予め定義された動作状態に制御する、制御操作を含むことができる。
【0045】
この実施例では、歯科ユニットは、歯科医または他のユーザが歯科ユニットのところに作業にくるときに、ログオン操作を実現するように構成される。ログオン操作後、またはそれに関連して、歯科ユニットは、レコードからユーザ・プロファイルを読み取るように構成される。この後、マイクロプロセッサは、ユーザ・プロファイル内で定義された設定に注意が向けられるように歯科ユニットを制御する。ユーザがユーザ・プロファイルをもたない場合、歯科ユニットは、メモリからデフォルト設定を読み取り、デフォルト設定にしたがってその操作を制御する。
【0046】
以下で、一実施形態による歯科ユニットにおける考えられるいくつかの機能を詳細に提示する。
【0047】
ログオン
歯科ユニットのユーザが何人かいるとすると、ログオン表示がディスプレイ上に示される。ユーザは、例えば、歯科医、歯科助手、または口腔衛生士とすることができる。機能の目的は、歯科ユニットが処置モードに設定されるときに、ユーザの個人設定を利用可能にすることである。
【0048】
ログオンは、ログオン表示内のユーザ・メニューから適正なユーザを選択することによって行われる。メニューは、ユーザに、歯科ユニットの内部メモリ・デバイス上、歯科ユニットに接続されたUSBフラッシュ・ドライブ上、歯科ユニットが利用可能な外部データベース上、または他の何らかの適切なメモリ・デバイス上に記録されたものを示す。
【0049】
歯科ユニットは、そのUSBポートを監視し、該USBポートにUSBフラッシュ・ドライブが入れられたときにUSBフラッシュ・ドライブ上の好ましくは第1のユーザをメニュー内に表示するように構成される。歯科ユニットは、また、USBフラッシュ・ドライブがUSBポートに入れられたときに、USBフラッシュ・ドライブ上に定義されたユーザだけがメニュー内に示されるような方法で、プログラムすることができる。他のユーザ・データには、別個の選択キーを通じて、またUSBポートからUSBフラッシュ・ドライブを取り除くことによって、アクセスすることができる。同様に、ユーザによって持ち込まれた他のメモリ・デバイスで類似の手順を使用することも可能である。
【0050】
歯科ユニットのメモリ内、およびデータ・ネットワークを通じてアクセス可能な考えられるデータベース内のユーザは、相当数のユーザがいる場合、好ましくは、アルファベット順に、またはアルファベット順索引を備えたメニューを通じて表示される。
【0051】
ログオン機能は、また、歯科ユニットにゲストとしてログオンする可能性を含む。その場合、歯科ユニットは、デフォルト設定に基づいて制御され、プログラムされたより高度な機能は、利用不可能となる。
【0052】
ユーザは、ログオンに関連してセキュリティ・コードの入力を要求されることがある。
【0053】
ログオン成功後、歯科ユニットのマイクロプロセッサは、ユーザ・プロファイルをその使用のためにメモリ・デバイスからダウンロードし、該ユーザ・プロファイルは、ユーザ固有設定を含む。ログオンしたユーザは、自身のユーザ固有設定を編集し、それらを、ユーザ・プロファイルが読み出されたメモリ・デバイス上のユーザ・プロファイル内に戻して記録することができる。ユーザ・プロファイルは、また、別のメモリ・デバイスにコピーすることができる。
【0054】
この種のユーザ固有ユーザ・プロファイルは、設定、制御−操作パラメータ、およびユーザによってプログラムされたプログラム機能全体を含むことができる。
【0055】
ディスプレイ
図1Aは、処置モードでディスプレイ上に示される基本表示を示す。異なる処置および他の使用事例では、表示は、当然、図1Aに示されるものとは異なることになり、処置モードの基本表示は、やはり、ユーザ固有に構成することができる。ただし、図1Aは、この実施形態のグラフィカル・ユーザ・インターフェースの有利な特性を説明するのに非常に適している。図1Bは、同じ表示が諸部分に分割された様子を概略的に示す。
【0056】
ディスプレイ上に示される表示は、該ディスプレイの上縁部のところにヘッダ・バー1を含んでおり、そのヘッダ・バーを通じて、より高度な構成およびプログラミング機能を実施するなど、より広範なメニューに行くことが可能となる。このメニューは、最も一般的には、キーパッドまたは他の何らかの手動制御を通じて使用される。
【0057】
ヘッダ・バー1の下方には、問題の歯科ユニットの使用事例で重要と見なされる情報がその上に表示される、情報パネル2がある。処置事例ごとに、歯科ユニットは、情報パネル2上に表示されるべきデフォルト・コンテンツを備えた情報表示を含む。好ましい一実施形態では、ユーザは、構成機能を通じて各情報表示のコンテンツを設定することができる。
【0058】
ディスプレイの下半分は、制御パネル3を示しており、その制御パネルを用いて、ユーザは、歯科ユニットの機能を使用することができ、例えば、患者椅子を制御し、設定を編集し、タイマーを使用し、機器を制御することができる。各機能は、制御パネル上に示されるアイコンにリンクされる。機能は、アイコンの選択に応答して開始または実施される。ディスプレイがタッチ・スクリーンであるので、ユーザの制御は、ディスプレイを通じて受け取ることができる。また、アイコンによって示された機能に向けられる制御は、さらに詳細に後述する方式で、足踏み制御装置(フットコントローラ)を通じて受け取ることもできる。ゆえに、制御パネル3上に示される機能のすべては、また、足踏み制御装置を通じて利用可能である。
【0059】
制御パネル3は、5つの部分に分割される。これらの部分は、左側メニュー4、右側メニュー5、上部制御アイコン6、下部制御アイコン7、ならびにディスプレイの下縁部のメンテナンスおよびセットアップ・アイコン8である。
【0060】
制御パネル3上に示される表示は、やはり、動作状態固有であり、ユーザによって構成可能である。
【0061】
制御パネルの諸部分は、左側メニュー4および右側メニュー5を用いて、使用されるべき機能または機能群を選択可能となるような形で、互いにリンクされており、その場合、選択された機能または機能群の制御アイコンは、上部制御アイコン6および下部制御アイコン7上に示される。同じように、やはり、情報パネル2上に示されるべき表示が選択され、したがって、その表示は、やはり、左側メニュー4および右側メニュー5を用いて所望の状態に設定される。メニュー4および5上に示されるアイコンは、どの時点でもアイコンのうちの1つだけがアクティブ状態になりえるように、アイドル状態またはアクティブ状態のいずれかで示される。アイドル状態とアクティブ状態とは、例えば、アイコンの色を用いて区別することができる。左側メニュー4と右側メニュー5とは、好ましくは、一度にメニュー4または5のうちの一方だけでアイコンがアクティブ状態になりえるように、リンクし合っている。
【0062】
実施例に示される表示に加えて、その外観および目的が実施例の表示とは大きく異なる可能性のある、ディスプレイ上の他のいくつかの表示が存在する。
【0063】
足踏み制御装置
図2Aは、足踏み制御装置9を示す。足踏み制御装置9は、中央セレクタ10と、左セレクタ11と、右セレクタ12と、ペダル13とを含む。中央セレクタ10は、足で、前方、後方、左方、および右方に案内することができる。左セレクタ11および右セレクタ12は、足で前方および後方に案内することができる。ペダル13は、下方に押し、左右に案内することができる。
【0064】
制御コマンドは、前述の制御移動それぞれにリンクすることができる。この実施形態では、これは、図1Aおよび図1Bによって示されるディスプレイ上に示されたグラフィカル・ユーザ・インターフェースを通じて実施される。これで、足踏み制御装置を通じて、使用事例要件に関連する、望むならまたユーザ固有のメニュー表示およびその中に示されるアイコンにも関連する、制御コマンドを受け取ることが可能となる。したがって、足踏み制御装置を通じて、歯科ユニットの高度な機能を使用することが可能である。
【0065】
好ましい一実施形態では、足踏み制御装置9のセレクタは、図2Bに関して後述する方式で、グラフィカル・ユーザ・インターフェースにリンクされる。図2Bは、ディスプレイの制御パネル3だけ、具体的には、その左側メニュー4、右側メニュー5、上部制御アイコン6、および下部制御アイコン7だけを図2Bが示すような、図1Bの部分図である。この例では、メニュー4および5のアイコンは、円形シンボルによって示されており、制御アイコン6および7は、丸みを帯びた四角形によって示される。
【0066】
好ましい一実施形態では、ディスプレイの左側メニュー4は、左セレクタ11を使用して制御することができる。制御装置は、好ましくは、左セレクタ11を前方または後方に押すと、左側メニュー4内の1つのアイコンの(したがってその関連機能の)アクティブ状態への移行が引き起こされるような形で実装される。セレクタ11を前方に誘導すると、あるアイコンがアクティブ状態にあるときにこの誘導に基づいてアクティブ状態がその上のアイコンへと移るような形で、メニュー内の上方移動が引き起こされる。それに対応して、左セレクタ11を後方に誘導すると、左側メニュー4内でアクティブ状態の下方への移行が引き起こされる。制御装置が最も上または最も下のアイコンに到達した場合、アクティブ状態は、それに対応して、最も下または最も上のアイコンへと移ることになる。
【0067】
好ましい一実施形態では、ディスプレイの右側メニュー5は、右セレクタ12を用いて、左セレクタ11およびメニュー4に関して以上で示した方式に完全に対応する方式で制御される。
【0068】
好ましい一実施形態では、上部制御アイコン6は、中央セレクタ10を用いて制御される。これは、好ましくは、中央セレクタ10を前方に押すと最も上の制御アイコン6Aを選択することになり、中央セレクタ10を左に押すと左側の制御アイコン6Bを選択することになり、中央セレクタ10を後方に押すと、最も下の制御アイコン6Cを選択することになり、中央セレクタ10を右に押すと右側の制御アイコン6Dを選択することになるような方式で実装される。アイコンの選択に応答して、歯科ユニットは、アイコンにリンクされた制御操作またはプログラムされた機能を実行する。
【0069】
好ましい一実施形態では、下部の制御アイコン7は、中央セレクタ10とアイコン6とに関して記載した方式に対応する方式で、ペダル13を用いて制御される。ゆえに、ペダルを押すこと、およびペダルを左右に案内することは、それに対応して、中央、左側、および右側のアイコンの選択を表す。アイコンにリンクされた制御操作またはプログラムされた機能は、アイコンの選択に応答して実施される。
【0070】
好ましい実施形態によって描かれた、諸部分へのディスプレイの表示の分割と、足踏み制御装置によるこれらの諸部分の制御とが、実例となる覚えやすいユーザ・インターフェースを作り出す。ただし、このユーザ・インターフェース、その表示、および制御コマンドに関する設定を、やはり、ユーザによって編集可能なものとして構成でき、ユーザ・プロファイル内に記録できることを、もう一度述べておく。
【0071】
以上で提示した諸実施例に基づき、以上で提示した諸実施形態とは異なるいくつかの解決策を本発明の枠組内で実現できることが明らかである。したがって、本発明を以上で提示した諸実施例だけに関するものとして制限することは意図されておらず、本特許の範囲は、特許請求項の全範囲内で考慮されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B