【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
[製造例1:ゴマ発芽体抽出物の調製1]
予め滅菌した石英砂をステンレス製のバットに敷き、その上に中国産ゴマ種子を撒き、蒸留水を十分に噴霧しながら、40℃の恒温槽中で培養し発芽させた。発芽率は80%以上であった。状態が同程度の発芽体全草部100gを、1Lの70%エチルアルコール水溶液に入れ、加熱還流して抽出した。不溶物を濾過後、ろ液を減圧下で濃縮して固形のゴマ発芽体抽出物を得た。
[実施例1:エラスターゼ活性阻害試験]
試験溶液として、上記ゴマ発芽体抽出物の固形分濃度として、0.1%溶液を調製した。ここでの試料は、体積比率でエタノール:水=1:1の混合溶液を使用した。
エラスターゼ活性阻害試験は、豚由来のエラスターゼ酵素液(シグマ社製)、及びN-Succinyl-Ala-Ala-Ala-p-nitroanilideを基質として、具体的には、以下の通り行った。
酵素液は、0.05units/mL濃度に調整した。
基質液は、基質をジメチルスルフォキサイド(DMSO)に溶解し、0.1mol/L濃度の溶液とした後、0.05mol/L Tris-HCl(pH8.8)緩衝液で希釈し、1mmol/L濃度の溶液として調製した。
基質液100μLと、1%試料溶液50μLとを混合した後、酵素液50μLを添加し、37℃、30分間反応させた。その後分光光度計により波長405nmの吸光度を測定し、生成したnitroaniline量を求め、エラスターゼ活性阻害率を算出した。エラスターゼ活性阻害率は以下の式により算出した。
エラスターゼ活性阻害率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:基質液と試料溶液とを混合した後、酵素液を添加した時の混合液の波長405nmの吸光度
B:基質液と試料溶液とを混合した時の混合液の波長405nmの吸光度
C:試料溶液の代わりに、該溶液の溶媒を基質液と上記割合で混合した後、酵素液を添加した時の混合液の波長405nmの吸光度
D:試料溶液も酵素液も添加していない、基質液の405nmの吸光度
【0032】
また、本発明のゴマ発芽体抽出物のエラスターゼ活性阻害効果を検証するために、比較対象としてRoche社製造のコンプリートプロテアーゼインヒビターカクテル、及びエラスターゼ活性阻害剤として公知(例えば特開2003−2820)であるマリーゴールド抽出物(CALENDULAOFFICINALIS. キク科)を用いた。本発明で使用したコンプリートプロテアーゼインヒビターカクテルは多種のプロテアーゼについて常に一定の阻害能をもつ試薬で本エラスターゼについても効果があることが既に確認されている。結果を、ゴマ発芽体抽出物の結果とともに、
図1に併せて示す。
図1のグラフに示した結果から、本発明のエラスターゼ活性阻害剤は、コンプリートプロテアーゼインヒビターカクテルと同等の顕著なエラスターゼ活性阻害作用を有していることがわかった。またマリーゴールド抽出物と比較して十分に高いエラスターゼ活性阻害作用を有していることがわかった。従って、本発明のエラスターゼ活性阻害剤を用いることによって、より高いエラスターゼ活性阻害作用を得ることができる。又、従来より配合量を減少した場合においても同等以上の効果が得られるので、配合組成の選択の幅が広がり、本発明のエラスターゼ活性阻害剤を用いることは、製剤上有利である。
【0033】
以下は、本発明のエラスターゼ活性阻害剤を含有する抽出物、化粧料又は皮膚外用剤の例である。
[製造例2:ゴマ発芽体抽出物の調製2]
37℃で2日間培養し発芽させたゴマ種子(インド産)を培地から分離した後、ホモジナイザーで粉砕したもの100gを、50%ジプロピレングリコール溶液1Lにて適宜攪拌しながら40℃で20時間抽出した。24時間放置して沈殿物をろ過し抽出物を得た。本抽出物の固形分濃度は2.0%であった。
[製造例3:ゴマ発芽体抽出物の調製3]
実施例1と同様の方法で40℃で2日間培養し発芽させたゴマ種子(中国産)の発芽体200gを、精製水1Lに適宜攪拌しながら冷暗所で72時間抽出、ろ過した。このろ液が半量になるまで減圧下で濃縮し1,3ブチレングリコール及び精製水を加え1,3ブチレングリコール濃度が30%になるように調整した。本抽出物の固形分濃度は5.0%であった。
[実施例2:洗顔料]
(製法)
A.下記成分(1)〜(7)を加熱溶解する。
B.下記成分(8)〜(11)を加熱溶解する。
C.AにBを加え混合する。
D.Cを冷却後、下記成分(12)〜(14)を加え混合し、洗顔料を得た。
【0034】
(成分) (%)
(1)ラウリン酸 5.0
(2)ミリスチン酸 18.5
(3)ステアリン酸 6.0
(4)グリセリン 12.0
(5)ポリエチレングリコール1500 5.0
(6)水酸化カリウム 6.5
(7)精製水 残量
(8)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
(9)ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 1.8
(10)ポリオキシエチレン(7.5E.O.)ラウリルエーテル 2.0
(11)ジステアリン酸エチレングリコール 1.0
(12)ヒドロキシプロピルメチルセルロース1%水溶液 5.0
(13)製造例1のゴマ発芽体抽出物 0.01
(14)香料 適量
【0035】
[実施例3:化粧水]
(製法)
A.下記成分(1)〜(6)を混合溶解する。
B.下記成分(7)〜(12)を混合溶解する。
C.AにBを加え混合し、化粧水を得た。
【0036】
(成分) (%)
(1)クエン酸 0.05
(2)クエン酸ナトリウム 0.2
(3)ピロリドンカルボン酸ナトリウム(50%)液 0.5
(4)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(5)グリセリン 3.0
(6)1,3−ブチレングリコール 8.0
(7)精製水 残量
(8)エタノール 10.0
(9)製造例2のゴマ発芽体抽出物 2.0
(10)香料 適量
(11)防腐剤 適量
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
【0037】
[実施例4:乳液(水中油型)]
(製法)
A.下記成分(1)〜(13)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(14)〜(19)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に下記成分(20)を加え混合する。
D.Cを冷却し、下記成分(21)を加え混合し、乳液を得た。
【0038】
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 1.0
(2)セタノール 0.5
(3)モノステアリン酸グリセリン 0.5
(4)流動パラフィン 2.0
(5)スクワラン 3.0
(6)ホホバ油 3.0
(7)パルミチン酸セチル 0.2
(8)パルミチン酸レチノール 0.2
(9)酢酸トコフェロール 0.05
(10)防腐剤 適量
(11)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(13)ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
(14)トリエタノールアミン 0.5
(15)1,3−ブチレングリコール 15.0
(16)グリセリン 3.0
(17)ポリエチレングリコール6000 0.5
(18)製造例3のゴマ発芽体抽出物 2.0
(19)精製水 残量
(20)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 8.0
(21)香料 適量
【0039】
[実施例5:軟膏]
(製法)
A.成分(3)、(4)、(7)及び(8)の一部を加熱混合し、75℃に保つ。
B.成分(1)、(2)、(6)を加熱混合し、75℃に保つ。
C.AをBに徐々に加える。
D.Cを冷却しながら(8)の残部で溶解した(5)を加え、軟膏を得た。
【0040】
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 15.0
(2)セタノール 7.0
(3)トリエタノールアミン 2.0
(4)グリセリン 7.0
(5)製造例1のゴマ発芽体抽出物 1.0
(6)グリチルレチン酸ステアリル 0.5
(7)D−パンテノール 1.0
(8)精製水 残量
【0041】
[実施例6:クリーム]
(製法)
A.下記成分(1)〜(14)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(15)〜(20)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に下記成分(21)を加え混合する。
D.Cを冷却し、下記成分(22)を加え混合し、クリームを得た。
【0042】
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 2.5
(2)セタノール 2.5
(3)モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)ワセリン 2.0
(5)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 2.0
(6)ミリスチン酸イソトリデシル 5.0
(7)流動パラフィン 8.0
(8)スクワラン 5.0
(9)ミツロウ 1.0
(10)パルミチン酸セチル 2.0
(11)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 1.5
(13)コエンザイムQ10 0.3
(14)防腐剤 適量
(15)トリエタノールアミン 1.2
(16)1,3−ブチレングリコール 8.0
(17)グリセリン 2.0
(18)ポリエチレングリコール20000 0.5
(19)製造例2のゴマ発芽体抽出物 0.01
(20)精製水 残量
(21)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 10.0
(22)香料 適量
【0043】
[実施例7:油中水型日焼け止めクリーム]
(製法)
A.下記成分(1)〜(8)を70℃で加熱混合した。
B.下記成分(9)〜(12)及び(14)〜(15)を50℃で加温混合した。
C.AにBを加えて乳化し、冷却後(13)を添加して油中水型日焼け止めクリームを得た。
【0044】
(成分) (%)
(1)ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン(注1) 2.0
(2)パルミチン酸オクチル 15.0
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
(4)トリベヘン酸グリセリル 1.0
(5)微粒子酸化亜鉛 12.0
(6)微粒子酸化チタン 3.0
(7)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(注2) 7.0
(8)4−tertブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
(注3) 1.0
(9)ジプロピレングリコール 5.0
(10)エタノール 5.0
(11)ポリエチレン末 3.0
(12)防腐剤 適量
(13)香料 適量
(14)製造例3のゴマ発芽体抽出物 0.1
(15)精製水 残量
(注1)KF−6017(信越化学工業社製)
(注2)ユビナールMC80(BASF社製)
(注3)PARSOL 1789(L.C.UNITED社製)
【0045】
[実施例8:パック化粧料]
(製法)
A.下記成分(1)〜(6)及び(15)を70℃で加熱混合し、室温まで冷却する。
B.Aに下記成分(7)〜(14)を添加混合してパック化粧料を得た。
【0046】
(成分) (%)
(1)ポリビニルアルコール 15.0
(2)グリセリン 10.0
(3)ポリオキシエチレンメチルグルコシド 3.0
(4)トリオクタン酸グリセリル 5.0
(5)グリチルレチン酸ステアリル 0.1
(6)ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム 1.0
(7)エタノール 20.0
(8)カオリン 2.0
(9)酸化チタン 2.0
(10)乳酸(50%水溶液) 0.5
(11)乳酸ナトリウム(50%水溶液) 0.5
(12)防腐剤 適量
(13)香料 適量
(14)製造例1のゴマ発芽体抽出物 0.2
(15)精製水 残量
【0047】
[実施例9:リキッドファンデーション]
(製法)
A.下記成分(1)〜(7)を70℃で加熱混合し、この混合物に下記成分(13)〜(18)を加えて混合し70℃に保つ。
B.下記成分(8)〜(12)を70℃で加熱混合する。
C.BにAを加えて乳化し、冷却後、下記成分(19)〜(20)を添加してリキッドファンデーションを得た。
【0048】
(成分) (%)
(1)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 2.0
(2)流動パラフィン 5.0
(3)ステアリン酸 2.0
(4)セタノール 1.0
(5)モノステアリン酸グリセリル 1.0
(6)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 8.0
(7)防腐剤 適量
(8)グリセリン 5.0
(9)トリエタノールアミン 1.0
(10)カルボキシメチルセルロース 0.2
(11)ベントナイト 0.5
(12)精製水 残量
(13)酸化チタン 6.0
(14)微粒子酸化チタン 2.0
(15)微粒子酸化亜鉛 4.0
(16)マイカ 2.0
(17)タルク 4.0
(18)着色顔料 適量
(19)製造例2のゴマ発芽体抽出物 1.0
(20)香料 適量
【0049】
上記で調製した種々の化粧料又は皮膚外用剤は、皮膚に適用することにより、肌のしわやたるみを改善し、ハリのある美しい肌にする、老化防止効果にすぐれたものであった。