(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正値は、前記差分を減少させる補正バイアス電流値と前記設定バイアス電流値との差に正の係数を掛けた値であることを特徴とする請求項1記載の光送信モジュール。
前記レーザダイオードの平均光出力パワーの目標値は、前記設定バイアス電流値及び前記設定変調電流値が設定されたときの前記レーザダイオードの平均光出力パワーの目標値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光送信モジュール。
前記補正ステップにおいて、前記補正値として、前記差分を減少させる補正バイアス電流と前記設定バイアス電流値との差に正の係数を掛けることによって得られる値を使用することを特徴とする請求項5記載の光送信モジュールの制御方法。
前記レーザダイオードの平均光出力パワーの目標値は、前記設定バイアス電流値及び前記設定変調電流値が設定されたときの前記レーザダイオードの平均光出力パワーの目標値であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の光送信モジュールの制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
【0012】
まず、レーザダイオードの温度特性について説明する。
図1は、レーザダイオードの温度特性を説明するための図である。
図1において、横軸はレーザダイオードに入力される駆動電流を表し、縦軸はレーザダイオードの出力光パワー(mW)を表す。
図1を参照して、駆動電流が所定値以下の場合には、レーザダイオードは光を出力しない。駆動電流が所定値(発振しきい値Ith)を上回ると、レーザダイオードは光の出力を開始する。
【0013】
図1を参照して、光出力パワーを−3.0dBmに設定する場合、バイアス電流をIb(室温)に設定する。消光比を6dBに設定する場合、変調電流をIp(室温)に設定する。Ip(室温)は、Ib(室温)を基準として、プラスとマイナスとに交互に変化するパルス電流である。本明細書において、変調電流はパルスの変動幅で表されている。フォトダイオードではレーザダイオードの光出力パワーの平均パワーが検出されるため、レーザダイオードに変調電流が入力されていても、光出力パワーは−3.0dBmとなる。
【0014】
室温のように比較的温度が低い場合においては、レーザダイオードの光出力パワーは、発振しきい値を上回る範囲において駆動電流に比例する。この場合、バイアス点を対称点として変調電流を設定することができる。したがって、フォトダイオードで検出される光出力パワーを対称点として、変調電流を設定することができる。
【0015】
温度上昇に伴って、駆動電流に対する光出力パワーの傾きが低下する。それにより、高温環境下においては、室温と同等の光出力パワー(−3.0dBm)を実現するために、バイアス電流を、Ib(室温)よりも大きいIb(高温)に設定する必要がある。さらに、室温と同等の消光比(6dB)を実現するために、変調電流を、Ip(室温)よりも大きいIp(高温)に設定する必要がある。高温環境下において光出力パワーが発振しきい値を上回る範囲において駆動電流に比例する場合、バイアス点を対称点として変調電流を設定することができる。すなわち、フォトダイオードで検出される光出力パワーを対称点として、変調電流を設定することができる。
【0016】
しかしながら、高温環境下において、駆動電流の増加に対する光出力パワーの増加率が低下することがある。すなわち、光出力パワーと駆動電流との間に、非線形特性が生じることがある。この場合、所定の消光比を実現するに際して、バイアス点を対称点とすることができない。
【0017】
具体的に、
図2を参照して、バイアス電流をIb(高温)に設定しかつ変調電流をIp(高温)に設定した場合、非線形特性に起因して変調電流の高電流側の光出力パワーが低下する。この場合、消光比が低下する。
図2では、消光比が5.7dB程度(<6.0dB)となる。フォトダイオードで検出される光パワーは平均パワーであることから、フォトダイオードで検出される光出力パワーも低下する。
【0018】
図2では、検出される光出力パワーは−3.23dBmとなる。APC制御がなされる場合、バイアス電流は、−3.0dBmの光出力パワーを実現するための電流に制御されるため、増加する。
図2では、このバイアス電流は、Ib´(高温)で表されている。この場合、線形特性が得られている場合と比較して、Ip(高温)の高電流側においてさらに光出力パワーが低下するため、消光比がさらに低下する。
図2では、消光比が5.3dB程度まで低下する。
【0019】
以上のことから、光出力パワーと駆動電流との間に非線形特性が現れた場合、一般的なAPC制御がなされると所望の消光比が得られなくなる。以下の実施形態では、上記非線形特性が現れる場合であっても光出力パワーおよび消光比の所望値からの誤差を抑制することができる光送信モジュールおよびその制御方法について説明する。
(第1の実施形態)
【0020】
図3は、第1の実施形態に係る光送信モジュール100の全体構成を説明するためのブロック図である。
図3を参照して、光送信モジュール100は、LD(Laser Diode)モジュール10、LDドライバ回路20、およびLD制御部30を備える。
【0021】
LDモジュール10は、レーザダイオード11およびフォトダイオード(受光素子)12を含む。LDドライバ回路20は、バイアス電流駆動回路21およびパルス電流駆動回路22を含む。LD制御部30は、温度センサ31、コントローラ32、データメモリ、電流生成回路、および演算回路を含む。データメモリには、変調電流データメモリ33、バイアス電流データメモリ34、およびモニタ電流データメモリ35が含まれる。電流生成回路には、設定変調電流生成回路36、設定バイアス電流生成回路37、設定モニタ電流生成回路38、および補正バイアス電流生成回路43が含まれる。演算回路には、比較回路39、差分回路40、掛算回路41、および加算回路42が含まれる。たとえば、コントローラ32は、プロセッサとプロセッサを制御するプログラムを格納したメモリ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、IC(Integrated Circuit)のうち少なくとも1つを用いて構成してもよい。
【0022】
図4は、上記データメモリに格納される添付データテーブルの一例である。
図4を参照して、添付データテーブルには、各温度に対応して、設定変調電流Ip(s)、設定バイアス電流Ib(s)、および設定モニタ電流Im(s)が格納されている。これらの設定電流は、出荷試験時等において、事前に測定することができる。設定変調電流Ip(s)は、変調電流データメモリ33に格納される。設定バイアス電流Ib(s)は、バイアス電流データメモリ34に格納される。設定モニタ電流Im(s)は、モニタ電流データメモリ35に格納される。なお、各データは、テーブルではなく温度関数として格納されていてもよい。
【0023】
以下、
図3〜
図5を参照しつつ、光送信モジュール100の動作について説明する。温度センサ31は、レーザダイオード11の温度を電気信号に変換し、コントローラ32に入力する。コントローラ32は、温度センサ31から入力される電気信号に基づいて、レーザダイオード11の温度を検出する。コントローラ32は、バイアス電流データメモリ34から、検出された温度に対応する設定バイアス電流Ib(s)の値を取得し、バイアス電流駆動回路21に入力する。バイアス電流駆動回路21は、コントローラ32から与えられた値の電流(設定バイアス電流Ib(s))をレーザダイオード11に入力する。レーザダイオード11は、設定バイアス電流Ib(s)で定まるバイアス点での光出力パワーで光を出力する。
【0024】
また、コントローラ32は、バイアス電流データメモリ34に、検出された温度に対応する設定バイアス電流Ib(s)の値を設定バイアス電流生成回路37に対して出力させる。設定バイアス電流生成回路37は、バイアス電流データメモリ34から与えられた値の電流(設定バイアス電流Ib(s))を生成して差分回路40に入力する。
【0025】
また、コントローラ32は、変調電流データメモリ33に、検出された温度に対応する設定変調電流Ip(s)の値を設定変調電流生成回路36に対して出力させる。設定変調電流生成回路36は、変調電流データメモリ33から与えられた値の電流(設定変調電流Ip(s))を生成して加算回路42に入力する。初期状態では差分回路40および掛算回路41は信号を出力していないため、加算回路42は、設定変調電流Ip(s)をパルス電流駆動回路22に入力する。パルス電流駆動回路22は、設定変調電流Ip(s)の変調幅で、入力される主信号に応じたパルス電流をレーザダイオード11に入力する。レーザダイオード11は、設定変調電流Ip(s)によって定まる変調振幅での消光比で出力光を変調する。
【0026】
フォトダイオード12は、レーザダイオード11の出力光を受光する。フォトダイオード12は、光電変換によって、受光パワーを電流信号に変換し、比較回路39に入力する。なお、バイアス電流駆動回路21とレーザダイオード11との間に、インダクタ50が配置されている。それにより、バイアス電流駆動回路21からレーザダイオード11への交流信号の入力が防止される。また、パルス電流駆動回路22とレーザダイオード11との間に、キャパシタ60が配置されている。それにより、パルス電流駆動回路22からレーザダイオード11への直流信号の入力が防止される。
【0027】
また、コントローラ32は、モニタ電流データメモリ35に、検出した温度に対応する設定モニタ電流Im(s)の値を設定モニタ電流生成回路38に対して出力させる。設定モニタ電流生成回路38は、モニタ電流データメモリ35から与えられる値の電流(設定モニタ電流Im(s))を生成し、比較回路39に入力する。比較回路39は、フォトダイオード12から入力されるモニタ電流Im(m)と設定モニタ電流生成回路38から入力される設定モニタ電流Im(s)との比較結果をコントローラ32に入力する。
【0028】
コントローラ32は、設定モニタ電流Im(s)に対するモニタ電流Im(m)のずれ(誤差)を検出する。設定モニタ電流Im(s)は、設定バイアス電流Ib(s)および設定変調電流Ip(s)でのレーザダイオード11の光出力パワーの目標値に対応する電流である。したがって、当該誤差が大きければ、
図2で説明した非線形特性が現れていると判断することができる。例えば、設定モニタ電流Im(s)とモニタ電流Im(m)との差分、両者の比、等を用いて、上記非線形特性が現れているか否かを判断することができる。
【0029】
上記誤差が大きい場合、コントローラ32は、設定モニタ電流Im(s)とモニタ電流Im(m)との差分が減少するバイアス電流(補正バイアス電流Ib(c))の値を算出し、補正バイアス電流生成回路43に入力する。この場合、補正バイアス電流Ib(c)の値を算出する際に、コントローラ32は、バイアス電流データメモリ34を参照する。好ましくは、コントローラ32は、設定モニタ電流Im(s)とモニタ電流Im(m)とが等しくなる補正バイアス電流Ib(c)の値を算出する。補正バイアス電流生成回路43は、補正バイアス電流Ib(c)を生成し、差分回路40に入力する。差分回路40は、設定バイアス電流生成回路37から与えられる設定バイアス電流Ib(s)と補正バイアス電流生成回路43から与えられる補正バイアス電流Ib(c)との差分ΔIを算出する。
【0030】
ここで、
図1および
図2で説明したように、非線形特性が現れていなければ、差分ΔIはゼロまたはゼロに近い値になる。これに対して、非線形特性が現れると、差分ΔIが大きくなる。非線形特性が現れた場合において変調電流を補正しなければ、消光比が低下する。そこで、差分ΔIに応じて、消光比を増加させる。一例として、
図3の掛算回路41を用いる。掛算回路41は、差分ΔIをx倍することによって得られる補正電流を加算回路42に入力する。なお、「x」は、ゼロを上回る実数であればよく、例えば、「2」である。
【0031】
加算回路42は、設定変調電流生成回路36から与えられる設定変調電流Ip(s)と掛算回路41から入力される補正電流とを加算し、パルス電流駆動回路22に入力する。パルス電流駆動回路22は、設定変調電流Ip(s)に補正電流を加えた電流を補正変調電流Ip(s´)とし、補正変調電流Ip(s´)の変動幅のパルス電流をレーザダイオード11に入力する。
【0032】
図5は、上記補正変調電流Ip(s´)の算出過程を表すフローチャートの一例である。
図5を参照して、コントローラ32は、温度センサ31の検出結果に基づいて、レーザダイオード11の温度を取得する(ステップS1)。次に、コントローラ32は、ステップS1で取得した温度に対応する設定バイアス電流Ib(s)の値を取得してバイアス電流駆動回路21に入力する。さらに、コントローラ32は、ステップS1で取得した温度に対応する設定変調電流Ip(s)の値を変調電流データメモリ33に出力させる。それにより、LDモジュール10に、設定バイアス電流Ib(s)および設定変調電流Ip(s)が設定される(ステップS2)。
【0033】
次に、コントローラ32は、ステップS1で取得した温度に対応する設定モニタ電流Im(s)の値をモニタ電流データメモリ35に出力させる(ステップS3)。それにより、比較回路39に、設定モニタ電流Im(s)が入力される。フォトダイオード12は、モニタ電流Im(m)を取得する(ステップS4)。それにより、比較回路39に、モニタ電流Im(s)が入力される。次に、コントローラ32は、比較回路39の比較結果を受け取って、下記式(1)に従って差分比率Δimを算出する(ステップS5)。差分比率Δimを求めることによって、モニタ電流Im(m)の設定モニタ電流Im(s)からの誤差を求めることができる。
Δim=(Im(m)−Im(s))/Im(s) (1)
【0034】
次に、コントローラ32は、差分比率Δimが誤差範囲内にあるか否かを判定する(ステップS5)。
図5の例では、差分比率Δimが1%以下であるか否かを判定する。ステップS6において「Yes」と判定された場合、変調電流は補正されない。それにより、不要な補正制御を抑制することができる。
【0035】
ステップS6において「No」と判定された場合、コントローラ32は、設定モニタ電流Im(s)とモニタ電流Im(m)との差分が減少するように、補正バイアス電流Ib(c)を算出し、補正バイアス電流生成回路43に入力する。それにより、加算回路42は、下記式(2)のように、補正変調電流Ip(s´)を出力する。なお、「x」は、0を上回る実数である。
Ip(s´)=x・(Ib(c)−Ib(s))+Ip(s) (2)
【0036】
次に、バイアス電流駆動回路21によって、設定バイアス電流Ib(s)がレーザダイオード11に入力されるとともに、パルス電流駆動回路22に補正変調電流Ip(s´)が入力される。それにより、レーザダイオード11のバイアス点が設定バイアス電流Ib(s)に設定されるとともに、変調幅が補正変調電流Ip(s´)に設定される(ステップS8)。その後、フローチャートの実行が終了する。
【0037】
本実施形態によれば、設定モニタ電流Im(s)とモニタ電流Im(m)との差分を求めることによって、非線形特性が現れているか否かを判定することができる。言い換えれば、設定バイアス電流Ib(s)と補正バイアス電流Ib(c)との差分ΔIを求めることによって、非線形特性が現れているか否かを判定することができる。さらに、上記いずれかの差分に応じて変調電流を補正することができる。具体的には、非線形特性が表れている場合に、変調電流を増加させる。それにより、消光比の低下を抑制することができる。以上のことから、レーザダイオードの光出力パワーおよび消光比の所望値からの誤差を抑制することができる。
(第2の実施形態)
【0038】
図6は、第2の実施形態に係る光送信モジュール100aの全体構成を説明するためのブロック図である。光送信モジュール100aにおいては、
図3の光送信モジュール100と異なり、しきい値電流データメモリ44およびしきい値電流生成回路45が設けられている。さらに、光送信モジュール100aにおいては、差分回路40、掛算回路41および加算回路42の代わりに演算回路46が設けられている。
【0039】
図7は、光送信モジュール100aの各データメモリに格納される添付データテーブルの一例である。
図7を参照して、添付データテーブルには、設定変調電流Ip(s)、設定バイアス電流Ib(s)および設定モニタ電流Im(s)に加えて、各温度に対応して設定しきい値電流Ith(s)が格納されている。これらの設定電流は、出荷試験時等において、事前に測定することができる。設定しきい値電流Ith(s)は、しきい値電流データメモリ44に格納される。なお、しきい値電流は、レーザダイオード11による発振が開始される電流値であり、
図8で表される。すなわち、しきい値電流は、駆動電流と光出力パワーとの比例関係を低光出力パワーに延長して得られる電流値である。なお、各データは、テーブルではなく温度関数として格納されていてもよい。
【0040】
以下、
図6〜
図9を参照しつつ、光送信モジュール100aの光送信モジュール100と異なる動作について説明する。設定バイアス電流生成回路37は設定バイアス電流Ib(s)を演算回路46に入力し、設定変調電流生成回路36は設定変調電流Ip(s)を演算回路46に入力する。また、コントローラ32は、しきい値電流データメモリ44に、温度センサ31で検出された温度に対応する設定しきい値電流Ith(s)の値を出力させる。それにより、しきい値電流生成回路45は、設定しきい値電流Ith(s)を生成し、演算回路46に入力する。
【0041】
コントローラ32は、設定モニタ電流Im(s)に対するモニタ電流Im(m)のずれ(誤差)を検出し、当該誤差が大きければ、非線形特性が現れていると判断する。この場合、コントローラ32は、設定モニタ電流Im(s)とモニタ電流Im(m)との差分が減少する補正バイアス電流Ib(c)の値を算出し、バイアス電流駆動回路21に入力する。それにより、バイアス電流駆動回路21は、コントローラ32から与えられた値の電流(補正バイアス電流Ib(c))をレーザダイオード11に入力する。レーザダイオード11は、補正バイアス電流Ib(c)で定まるバイアス点での光出力パワーで光を出力する。なお、補正バイアス電流Ib(c)は、設定バイアス電流Ib(s)よりも大きくなる。
【0042】
演算回路46は、所望の消光比ERを実現するための補正変調電流Ip(s´)を算出する。ここで、消光比ERは、下記式(3)および下記式(4)で表すことができる。下記式(3)および下記式(4)において、「Ib」はバイアス電流であり、「Ith」はしきい値電流であり、「Ip」は変調電流である。
ER=(ΔIb+Ip/2)/(ΔIb−Ip/2) (3)
ΔIb=Ib−Ith (4)
【0043】
上記式(3)および上記式(4)を変換すると、下記式(5)が得られる。したがって、所望の消光比ERがあらかじめ決まっており、バイアス電流Ibが求まれば、変調電流Ipを導くことができる。
Ip=2・(ER−1)/(ER+1)・(Ib−Ith) (5)
【0044】
本実施形態においては、「Ib」に補正バイアス電流Ib(c)を代入し、「Ith」に設定しきい値電流Ith(s)を代入する。それにより、補正変調電流Ip(s´)が得られる。演算回路46は、補正変調電流Ip(s´)をパルス電流駆動回路22に入力する。
【0045】
図9は、上記補正変調電流Ip(s´)の算出過程を表すフローチャートの一例である。
図9のフローチャートが
図5のフローチャートと異なる点は、ステップS17およびステップS18である。ステップS17では、コントローラ32は、設定モニタ電流Im(s)とモニタ電流Im(m)との差分が減少するように、補正バイアス電流Ib(c)を算出し、バイアス電流駆動回路21に入力する。それにより、レーザダイオード11は、補正バイアス電流Ib(c)で定まるバイアス点での光出力パワーで光を出力する。
【0046】
さらに、演算回路46は、上記式(5)に従って補正変調電流Ip(s´)を算出する(ステップS18)。それにより、パルス電流駆動回路22は、補正変調電流Ip(s´)の変調幅で、入力される主信号に応じたパルス電流をレーザダイオード11に入力する。レーザダイオード11は、補正変調電流Ip(s´)によって定まる変調振幅での消光比で出力光を変調する。
【0047】
本実施形態によれば、設定モニタ電流Im(s)とモニタ電流Im(m)との差分を求めることによって、非線形特性が現れているか否かを判定することができる。補正バイアス電流Ib(c)は設定バイアス電流Ib(s)よりも大きいため、設定しきい値電流Ith(s)と消光比ERと補正バイアス電流Ib(c)とから求まる補正変調電流Ip(s´)は設定変調電流Ip(s)よりも大きくなる。すなわち、非線形特性が現れている場合に、変調信号を増大させることができる。それにより、消光比の低下を抑制することができる。以上のことから、レーザダイオードの光出力パワーおよび消光比の所望値からの誤差を抑制することができる。
【0048】
なお、上記各実施形態においては、温度変化にかかわらず、レーザダイオード11の光出力パワーおよび消光比の目標値を一定にしたが、それに限られない。レーザダイオード11の温度変化に伴って、レーザダイオード11の光出力パワーおよび消光比の目標値を変化させてもよい。一例として、レーザダイオード11が高温になった場合に、レーザダイオード11の光出力パワーおよび消光比を低下させてもよい。
【0049】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。