特許第5749481号(P5749481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許5749481-填料の製造方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749481
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】填料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D21H 17/67 20060101AFI20150625BHJP
   D21H 17/01 20060101ALI20150625BHJP
   C01B 33/12 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   D21H17/67
   D21H17/01
   C01B33/12 Z
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-274268(P2010-274268)
(22)【出願日】2010年12月9日
(65)【公開番号】特開2012-122165(P2012-122165A)
(43)【公開日】2012年6月28日
【審査請求日】2013年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】大角 博之
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 裕紀
【審査官】 中村 勇介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−119692(JP,A)
【文献】 特開2008−115507(JP,A)
【文献】 特開2007−146354(JP,A)
【文献】 特開2010−121247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B 1/00− 1/38
D21C 1/00−11/14
D21D 1/00−99/00
D21F 1/00−13/12
D21G 1/00− 9/00
D21H11/00−27/42
D21J 1/00− 7/00
C01B33/00−33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製紙スラッジを主原料とする被処理物を熱処理して得た熱処理物を、凝集剤によって凝集して凝集物を得る工程と、
前記凝集物に対してシリカを複合してシリカ複合物を得る工程と、を有し、
前記凝集を、体積平均粒子径が前記熱処理物の2.1〜10.0倍、かつ1.5〜15.0μmとなるように行う、
ことを特徴とする填料の製造方法。
【請求項2】
前記シリカ複合物に対してカチオン性高分子を複合する、
請求項1記載の填料の製造方法。
【請求項3】
前記凝集剤として、質量平均分子量が400万〜2000万、カチオン価度が10meq/g以下のカチオン性高分子を用いる、
請求項1又は請求項2記載の填料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、填料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、製紙業界においては、不透明度、白色度、印刷適性等の紙質を改善するために、パルプ原料に填料を添加(内添)するのが一般的になっている。もっとも、填料を単に添加しても歩留りが悪いため、例えば、特許文献1は、填料をカチオン化高分子によって予め凝集させて内添することを提案している。また、特許文献2は、填料を凝集させると歩留りは向上するが不透明度や白色度の改善が十分ではなくなるとして、填料を前処理することを提案している。この提案は、填料に所定のカチオン性高分子化合物を混合し、平均粒子径を混合前の1.0〜2.0倍にするというものである。しかしながら、本発明者等は、平均粒子径を混合前の1.0〜2.0倍程度にしたのでは、歩留りの向上が十分ではないことを知見した。
【0003】
一方、本出願人は、填料としても好適に使用することができる再生粒子の提案を行っている。この提案は、脱墨フロスを脱水及び熱処理し、この熱処理過程において凝集体となった再生粒子を珪酸アルカリ水溶液中に懸濁するとともに鉱酸を添加して、シリカ被覆再生粒子にするというものである。この再生粒子は白色度が高いため、填料として使用した場合には白色度の改善を期待することができ、また、製紙スラッジ廃棄の問題も同時に解決することができるとの付加価値も有している。しかしながら、この提案は、再生粒子を填料として利用する場合に特化したものではなく、歩留りの点において更なる改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−119692号公報
【特許文献2】特開2006−118092号公報
【特許文献3】特開2008−81390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする主たる課題は、パルプ原料に内添した際の歩留りを向上させることができながら、不透明度や白色度等の紙質も十分に改善することができる填料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決した本発明は、次の通りである。
〔請求項1記載の発明〕
製紙スラッジを主原料とする被処理物を熱処理して得た熱処理物を、凝集剤によって凝集して凝集物を得る工程と、
前記凝集物に対してシリカを複合してシリカ複合物を得る工程と、を有し、
前記凝集を、体積平均粒子径が前記熱処理物の2.1〜10.0倍、かつ1.5〜15.0μmとなるように行う、
ことを特徴とする填料の製造方法。
【0007】
(主な作用効果)
凝集を体積平均粒子径が熱処理物の2.1〜10.0倍、かつ1.5〜15.0μmとなるように行うと、パルプ原料に添加した際の歩留りが向上する。また、製紙スラッジを主原料とする被処理物を熱処理して得た熱処理物は極めて多孔質であるため、体積平均粒子径が2.1倍以上となる凝集を行ったとしても内添した紙の不透明度を十分に改善することができる。さらに、凝集物に対してシリカを複合して得たシリカ複合物は白色度が極めて高いため、体積平均粒子径が2.1倍以上となる凝集を行ったとしても内添した紙の白色度を十分に改善することができる。しかも、このシリカの複合によって凝集物の脆さが緩和されるため、パルプ原料に内添した際の歩留り改善は確実なものとなる。
なお、熱処理物が多孔質であることとの関係で、本発明の填料は、内添した紙の吸油度をも改善することができ、印刷適性の改善効果を期待することができる。また、前述特許文献3においては、熱処理工程において再生粒子を凝集体とすることを開示するが、本発明の凝集は、熱処理物を凝集剤によって上記条件を満たすように凝集するものであり、特許文献3が開示する再生粒子の製造方法とは相違する。
【0008】
〔請求項2記載の発明〕
前記シリカ複合物に対してカチオン性高分子を複合する、
請求項1記載の填料の製造方法。
【0009】
(主な作用効果)
シリカ複合物に対してカチオン性高分子を複合すると、アニオン性であるパルプ繊維との化学的な結合力(凝集力)が増すため、パルプ原料に添加した際の歩留りが一段と向上する。
【0010】
〔請求項3記載の発明〕
前記凝集剤として、質量平均分子量が400万〜2000万、カチオン価度が10meq/g以下のカチオン性高分子を用いる、
請求項1又は請求項2記載の填料の製造方法。
【0011】
(主な作用効果)
凝集の対象が熱処理物である場合において、凝集剤としてカチオン性高分子を使用すると粒径調節が容易である。ただし、当該カチオン性高分子の質量平均分子量が400万未満であると凝集効果が弱く、容易に粒径調節できないおそれがある。他方、質量平均分子量が2000万を超えると、過度に大きな凝集体が形成されるおそれがあり、また、熱処理物のスラリーに凝集剤を添加して凝集する場合、当該スラリーの粘度が上昇して、得られる凝集物の均質性が低下するおそれがある。なお、この粘度の上昇は、作業性の低下にもつながり、例えば、粘度が500cpsを超えると、凝集物のスラリーを流送するためのポンプに大きな負荷がかかったり、当該スラリーをパルプ原料や抄紙薬品と混合する際の混合性が低下したりするおそれがある。さらに、カチオン価度が10meq/gを超えると、過度に大きな凝集物が形成されるおそれがある。
【0012】
【0013】
求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法によって得た填料が内添されていると、不透明度、白色度、印刷適性等の紙質が改善された填料内添紙となる。また、当該填料は歩留りが高いため、以上の紙質改善効果は確実に奏せられ、また、填料の添加量を減らすことができるため、経済性に優れた填料内添紙となる。
なお、填料の添加量を増やすと、濾水(白水)中に填料が蓄積してしまい、この填料が微細繊維や有機系抄紙薬品、ピッチ等と結合してしまうため、紙面の欠陥発生につながるおそれがある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、パルプ原料に内添した際の歩留りを向上させることができながら、不透明度や白色度等の紙質も十分に改善することができる填料の製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本形態の填料の製造フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
(熱処理物)
本形態の製造方法においては、図1に示すように、製紙スラッジを主原料(50質量%以上)とする被処理物を熱処理して得た熱処理物10から、填料Xを製造する。被処理物の主原料となる製紙スラッジは、例えば、パルプ等の繊維成分、澱粉や合成樹脂接着剤等の有機物、填料や顔料等の無機物などが利用されずに排水中へ移行したもの、パルプ化工程等で発生するリグニンや微細繊維、古紙由来の填料や印刷インキ、生物排水処理工程から生じる余剰汚泥などからなる。ただし、古紙パルプ製造工程においては、安定した品質の古紙パルプを連続的に生産するために、選定、選別を行った一定品質の古紙を使用する。そのため、古紙パルプ製造工程に持ち込まれる無機物の種類や比率、量等は、基本的に一定になる。しかも、熱処理物10に残存する未燃分の割合が変動する要因となるビニールやフィルム等のプラスチック類が古紙中に含まれていても、これらは脱墨フロスが生成される脱墨工程に至る前段階の例えば、パルパーやスクリーン、クリーナー等で除去される。したがって、工場排水工程や製紙原料調成工程等の他の工程で発生する製紙スラッジと比べて、脱墨フロスは、極めて安定した品質の填料を製造するための原料となる。
【0017】
本形態の製造方法においては、被処理物がどのような工程を経て熱処理物10とされたかが特に限定されず、例えば、購入した熱処理物(製品)を使用することもできる。また、自ら熱処理物10の製造も行う場合は、必要に応じで脱水、粉砕等を行った被処理物を熱処理し、更に必要に応じて粉砕、分級等を行って熱処理物10を得ることができる。ここで、被処理物の熱処理とは、被処理物の乾燥、熱分解、燃焼等を行うことをいう。この熱処理は、1つの装置で連続的に行ってもよいが、少なくとも乾燥と他の熱処理とは各別の装置で行うのが好ましい。この際の乾燥温度は、例えば、200〜600℃となるように制御するとよい。他方、他の熱処理の温度は、当該熱処理を何段で行うかによって好適な範囲が異なる。例えば、一段で熱処理する場合は、550〜780℃となるように温度制御するとよい。熱処理温度が550℃未満であると、被処理物中の有機分が十分に熱処理されず、白色度が低下するおそれがある。他方、熱処理温度が780℃を超えると、被処理物中の無機分が溶融して白色度の低下や硬質物質の生成を招くおそれがある。次に、二段で熱処理する場合は、一段目が300〜600℃の相対的に低温で、二段目が550〜780℃の相対的に高温となるように温度制御するとよい。このように一段目を相対的に低温とすると、当該一段目における過剰燃焼が防止され、一段目を経た被処理物が二段目で白色化し易い状態となる。結果、相対的に高温の二段目で白色化を確実に進めることができ、白色度の高い熱処理物を得ることができる。更に、三段で熱処理する場合は、一段目が250〜370℃、二段目が360〜560℃、三段目が550〜780℃となるように、順に高温化するように温度制御するとよい。この熱処理方法によると、一段目においてアクリル系有機物やセルロース等の高発熱量成分が被処理物から熱処理除去され、二段目においてスチレン系有機物が被処理物から熱処理除去される。そして、三段目においては、被処理物に含まれる残カーボン等の有機物が熱処理除去される。なお、以上の乾燥や他の熱処理は、例えば、ストーカー炉、流動床炉、サイクロン炉、キルン炉等の公知の装置を用いて行うことができるが、他の熱処理は、横型回転式キルン炉を用いて行うのが好ましい。
【0018】
得られた熱処理物10は、例えば、体積平均粒子径が0.2〜10.0μmとなるように、好ましくは1.0〜5.0μmとなるように粉砕等によって粒径を調節しておくと好適である。体積平均粒子径が0.2μm未満であると、後段の凝集を強く(具体的には、10.0倍を超えるまで)行わなければならず、たとえ凝集物11の体積平均粒子径を4.2μm以上にしたとしても当該凝集物が脆いものとなり、歩留りを十分に向上させることができなくなるおそれがある。他方、熱処理物10は粒度分布がブロードであるため、体積平均粒子径が10.0μmを超える程度の粉砕を行っても粒度分布がシャープにならず、凝集を行った後の凝集物11の粒度分布もブロードになり、紙面劣化等の問題が生じるおそれがある。なお、熱処理物10の体積平均粒子径は、レーザー回折方式の粒度分布径(型番:SA−LD−2200、島津製作所製)を用いて試料(熱処理物10)の粒度分布を測定し、全粒子の体積に対する累積体積が50%になるときの粒子径(D50)を求め、この粒子径を体積平均粒子径とするものである。粒度分布を測定するに際しては、0.1%ヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液に熱処理物10を添加し、超音波で1分間分散するものとする。また、熱処理物10の粉砕は、例えば、ジェットミルや高速回転式ミル等の乾式粉砕機、アトライター、サンドグラインダー、ボールミル等の湿式粉砕機などを用いて行うことができる。
【0019】
得られた熱処理物10は、酸化カルシウムが存在すると、CO3イオンやSO4イオン等によって結晶化し、体積平均粒子径が変動するおそれがある。したがって、得られた熱処理物10は、リン酸や炭酸ガスと反応させてカルシウムイオンを予め結晶化させておくのが好ましい。この反応を行っておくと、体積平均粒子径の変動を防止することができるうえに、熱処理物10をスラリー化した際の固化や増粘も防止することができ、得られる填料Xを均質化することができる。
【0020】
(凝集工程)
本形態の製造方法において、熱処理物10は、凝集剤21によって凝集して凝集物11とする(凝集工程101)。この凝集は、体積平均粒子径が熱処理物10の2.1〜10.0倍、かつ1.5〜15.0μmとなるように、好ましくは2.1〜8.0倍、かつ2.0〜12.0μmとなるように、より好ましくは2.1〜6.0倍、かつ3.0〜10.0μmとなるように行う。体積平均粒子径が熱処理物の2.1倍未満又は1.5μm未満であると、パルプ原料に添加した際の歩留りが十分に向上しないおそれがある。他方、体積平均粒子径が熱処理物の10.0倍を超えると、たとえ体積平均粒子径を4.2μm以上にしたとしても凝集物11が脆いものとなり、崩れた小径の凝集物11がワイヤーを抜けるため、歩留りを十分に向上させることができないおそれがある。また、体積平均粒子径が15.0μmを超えると、紙面劣化等の問題が生じるおそれがある。この傾向は、粒子径50μm以上の凝集物の割合が0.5%を超えると特に強くなる。なお、熱処理物11は極めて多孔質であるため、体積平均粒子径が2.1倍以上となる凝集を行ったとしても内添した紙の不透明度を十分に改善することができる。また、凝集物11の体積平均粒子径は、凝集剤21の添加量や、熱処理物10の体積平均粒子径等を調節することによって調節することができる。さらに、凝集物11の体積平均粒子径は、前述熱処理物10の体積平均粒子径を求める場合と同様の方法によって求めた値である。
【0021】
凝集剤21としては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)、カチオンPAM等の公知の合成系凝集剤を用いることができる。上記DADMACは、ホモポリマーとしてでも、(メタ)アクリルアミドとのコポリマーとしてでも用いることができる。ただし、凝集剤21としては、質量平均分子量が400万〜2000万、カチオン価度(電荷密度)が0.1〜10meq/gのカチオン性高分子を用いるのが好ましく、質量平均分子量が500万〜1400万、カチオン価度が0.5〜5.0meq/gのカチオン性高分子を用いるのがより好ましい。凝集剤21としてカチオン性高分子を使用すると、凝集の対象が熱処理物である場合において、凝集剤としてカチオン性高分子を使用すると粒径調節が容易である。ただし、当該カチオン性高分子の質量平均分子量が400万未満であると凝集効果が弱く、容易に粒径調節できないおそれがある。他方、質量平均分子量が2000万を超えると、過度に大きな凝集体が形成されるおそれがあり、また、熱処理物10のスラリーに凝集剤21を添加して凝集する場合、当該スラリーの粘度が上昇して、得られる凝集物11の均質性が低下するおそれがある。なお、この粘度の上昇は、作業性の低下にもつながり、例えば、粘度が500cpsを超えると、凝集物11のスラリーを流送するためのポンプに大きな負荷がかかったり、当該スラリーをパルプ原料や抄紙薬品と混合する際の混合性が低下したりするおそれがある。一方、カチオン価度が0.1meq/g未満であると、熱処理物10を十分に凝集できないおそれがある。他方、カチオン価度が10meq/gを超えると、過度に大きな凝集物が形成されるおそれがある。
【0022】
凝集剤21によって熱処理物10を凝集させる方法は特に限定されず、例えば、熱処理物10を水に分散させて熱処理物スラリーとし、この熱処理物スラリーに凝集剤21を添加し、適宜攪拌する方法を採用することができる。この凝集方法による場合、熱処理物スラリー中の熱処理物10の濃度は特に限定されず、例えば、10〜30質量%とすることができる。また、凝集剤21を添加した熱処理物スラリーの攪拌は、例えば、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼等の攪拌装置を用いて行うことができる。
【0023】
(シリカ複合工程)
本形態の製造方法において、凝集物11は、シリカを複合してシリカ複合物12とする(シリカ複合工程102)。このシリカ複合物12は白色度が極めて高いため、熱処理物10を体積平均粒子径が2.1倍以上となるように凝集したとしても内添した紙の白色度を十分に改善することができる。しかも、このシリカの複合によって凝集物11の脆さが緩和されるため、パルプ原料に内添した際の歩留りが確実に改善される。
【0024】
凝集物11にシリカを複合する方法は特に限定されず、例えば、凝集物11を珪酸アルカリ水溶液に分散させて凝集物スラリーとし、この凝集物スラリーに鉱酸を添加し、適宜攪拌する方法を採用することができる。このシリカ複合工程102は、バッチ式とすることもできるが、連続式とすると好適である。以下、この連続式とする場合について、詳説する。
【0025】
シリカの複合を連続的に行う場合は、複数の反応槽、本形態では4つの反応槽を用意し、第1の反応槽に凝集物11と、水ガラス等の珪酸アルカリの水溶液を供給する。この珪酸アルカリ水溶液の珪酸(SiO2)濃度は、好ましくは6〜18g/L、より好ましくは8〜16g/L、特に好ましくは10〜14g/Lである。珪酸濃度が6g/L未満であると、後述する第3の反応槽においてシリカゾルが十分に生成されず、一部の凝集物11にシリカが複合しないおそれがある。他方、珪酸濃度が18g/Lを超えると、第3の反応槽においてシリカゾルではなくホワイトカーボンが生成され、凝集物11の一部がホワイトカーボンによって被覆されてしまうおそれがある。凝集物11がホワイトカーボンによって被覆されてしまうと、凝集物11が多孔質である利点が失われ、例えば、内添した紙の不透明度を十分に改善することができなくなるおそれがある。また、第1の反応槽における凝集物11の濃度は、鉱酸添加前の状態において、好ましくは95〜125g/L、より好ましくは100〜120g/L、特に好ましくは105〜115g/Lである。濃度が95g/L未満であると、生産性が悪く、連続式として生産性の向上を図る趣旨が減殺されるおそれがある。他方、濃度が125g/Lを超えると、粘度が上昇して多孔質である凝集物11の分散性が低下するおそれがある。
【0026】
第1の反応槽には、更に硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸を添加する。この鉱酸の濃度は、好ましくは0.50〜4.00mol/L(1〜8N(規定度))、より好ましくは1.00〜3.00mol/L(2〜6N)、特に好ましくは1.75〜2.25mol/L(3.5〜4.5N)である。鉱酸の濃度が0.50mol/L未満であると、シリカゾルが十分に生成されないおそれがある。他方、鉱酸の濃度が4.00mol/Lを超えると、鉱酸の分散性が悪くなるため、生成されるシリカゾルが不均質になるおそれがある。また、鉱酸の添加量は、第4の反応槽のスラリーが、好ましくはpH7.0〜8.5、より好ましくはpH7.5〜8.5、特に好ましくはpH7.8〜8.2となる範囲である。pHが7.0未満になると、第3の反応槽においてシリカゾルではなくホワイトカーボンが生成されてしまい、第4の反応槽において凝集物11がホワイトカーボンによって被覆されてしまうおそれがある。また、pHが7.0未満になると、凝集物11の構成成分であるカルシウムが硫酸カルシウム等に変化し、例えば、製造されるシリカ複合物12の体積平均粒子径が過度に低下したり、形状が不均一になったりするおそれがある。他方、pHが8.5を超えると、第3の反応槽においてシリカゾルが十分に生成されなくなり、第4の反応槽において凝集物11に対するシリカの複合が不十分になるおそれがある。さらに、本形態では、後述するように第3の反応槽においても鉱酸を添加するが、第1の反応槽において添加する鉱酸の割合は、全鉱酸添加量の好ましくは18〜48容量%、より好ましくは23〜43容量%、特に好ましくは28〜38容量%である。当該添加量が18容量%未満であると、第1の反応槽においてシリカゾルが十分に生成されないおそれがある。他方、当該添加量が48容量%を超えると、第3の反応槽においてシリカゾルが十分に生成されず、第4の反応槽において凝集物11に対するシリカの複合が十分に行われなくなるおそれがある。なお、シリカは、一般に、無水珪酸(SiO2)と、水和(含水)珪酸(SiO2・nH2O)とに大別され、本形態において生成されるシリカゾルは、主に含水珪酸のゾルである。ただし、他の珪酸ゾルが生成されることを否定する趣旨ではない。また、シリカゾルは、一般に、粒子径10〜20nmの粒子状であるとされるが、この粒子が連鎖した状態で存在する。
【0027】
第1の反応槽には、必要に応じて別途熱水を供給し、凝集物11の濃度や凝集物11及び珪酸アルカリ水溶液からなるスラリーの温度を調節することができる。このスラリーの温度は、好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜100℃、特に好ましくは90〜100℃である。スラリーの温度が50℃未満であると、シリカゾルが十分に生成されないおそれがある。他方、スラリーの温度が100℃を超えると、オートクレーブ等を使用しなければならなくなるため、設備が複雑になる。また、スラリーの温度が100℃を超えると、熱エネルギーの無駄になるほか、スラリーの沸騰により液面が変動するため、第1の反応槽の内壁面にスケールが付着するおそれがある。この他、水分の蒸発によりスラリーの濃度が上昇するため、増粘してしまい、増粘による攪拌不良等が生じるおそれがある。なお、スラリーの温度は、第1の反応槽に加温設備を設けることによって調節することもできる。また、このスラリーの温度は、第1の反応槽の底面中央部に存在するスラリーの温度である。
【0028】
第1の反応槽のスラリーは、必要に応じて攪拌することができる。この攪拌は、スラリーのレイノルズ数(Re)が、好ましくは4000〜16000、より好ましくは6000〜14000、特に好ましくは8000〜12000となるように行う。レイノルズ数が4000未満であると、凝集物11の分散が不十分となり、シリカの複合が不均一になされるおそれがある。他方、レイノルズ数が16000を超えると、凝集物11がほぐれてしまい、熱処理物10を凝集剤21によって凝集した趣旨が減殺されるおそれがある。なお、レイノルズ数(Re)は、第1の反応槽のスラリーの流れの性質を示す無次元数であり、次式(1)で表される。
Re=ρvd/μ …(1)
なお、式(1)において、「ρ」はスラリーの密度(g/cm3)、「v」はスラリーの流速(cm/s)、「d」は第1の反応槽の径(cm)、「μ」はスラリーの粘性係数(Ns/cm3)である。
【0029】
第1の反応槽におけるスラリーの通過時間は、好ましくは2〜20分、より好ましくは4〜18分、特に好ましくは8〜12分である。通過時間が2分未満であると、シリカゾルが十分に生成されないおそれがある。他方、通過時間が20分を超えても処理効率が低下するだけで、シリカゾルの生成に有用ではない。なお、この通過時間は、スラリーに鉱酸が添加された後、第1の反応槽から流出するまでの計算上の時間であり、鉱酸が添加される前の時間は含まない。
【0030】
第1の反応槽のスラリーは、配管等を通して第2の反応槽に流し続ける。この第2の反応槽においては、新たな凝集物11の添加や、珪酸アルカリ水溶液、鉱酸等の添加は行わない。第2の反応槽においては、第1の反応槽において生成されたシリカゾルによって、小径な凝集物11が他の凝集物11に凝集されるため、凝集物11の粒度分布がシャープになる。
【0031】
第2の反応槽のスラリーの温度も、第1の反応槽におけるのと同様とすることができる。ただし、スラリーの温度を調節するにあたっては、例えば、第2の反応槽に加温設備を設ける方法を採用することもできるが、各反応槽を断熱性の素材で形成し、加温設備の設置を省略することもできる。なお、このスラリーの温度は、第2の反応槽の底面中央部に存在するスラリーの温度である。
【0032】
第2の反応槽のスラリーも、必要に応じて前述第1の反応槽におけるのと同様に攪拌することができる。ただし、第2の反応槽におけるスラリーの通過時間は、好ましくは20〜50分、より好ましくは25〜45分、特に好ましくは30〜40分である。通過時間が20分未満であると、小径な凝集物11の凝集が十分に進まないおそれがある。他方、通過時間が50分を超えても、小径な凝集物11の凝集が進まず、処理効率が低下するおそれがある。なお、この通過時間は、スラリーが第2の反応槽に流入してから第3の反応槽へ流出するまでの計算上の時間である。
【0033】
第2の反応槽のスラリーは、配管等を通して第3の反応槽に流し続ける。この第3の反応槽においては、スラリーに鉱酸が添加され、シリカゾルが生成される。この鉱酸は、第1の反応槽において用いる鉱酸と同じ種類であっても、異なる種類であってもよい。ただし、処理の安定性の観点からは、同じ種類のものが好ましく、価格、ハンドリング性等の観点からは、希硫酸を用いるのが好ましい。鉱酸の濃度は、好ましくは0.50〜4.00mol/L(1〜8N(規定度))、より好ましくは1.00〜3.00mol/L(2〜6N)、特に好ましくは1.75〜2.25mol/L(3.5〜4.5N)である。鉱酸の濃度が0.50mol/L未満であると、シリカゾルの生成が不十分になり、第4の反応槽における凝集物11に対するシリカの複合が不十分になるおそれがある。他方、鉱酸の濃度が4.00mol/Lを超えると、鉱酸の分散性が悪くなるため、シリカゾルの生成が不均一になり、製造されるシリカ複合物12の均質性が低下するおそれがある。この鉱酸の添加量は、第4の反応槽のスラリーが、好ましくはpH7.0〜8.5、より好ましくはpH7.5〜8.5、特に好ましくはpH7.8〜8.2となる範囲で調節する。この理由は、前述した通りである。また、本形態では、前述したように第1の反応槽においても鉱酸を添加するが、第3の反応槽において添加する鉱酸の割合は、全鉱酸添加量の好ましくは52〜82容量%、より好ましくは57〜77容量%%、特に好ましくは62〜72容量%容量%である。鉱酸の添加割合が52容量%未満であると、第3の反応槽においてシリカゾルが十分に生成されず、第4の反応槽における凝集物11に対するシリカの複合が不十分になるおそれがある。他方、鉱酸の添加割合が82容量%を超えると、第1の反応槽における鉱酸の添加割合が少なくなり、第1の反応槽においてシリカゾルが十分に生成されず、第2の反応槽における小径な凝集物11の凝集が不十分になるおそれがある。
【0034】
第3の反応槽のスラリーも、必要に応じて前述第1,2の反応槽におけるのと同様に攪拌することができる。ただし、第3の反応槽におけるスラリーの通過時間は、好ましくは2〜20分、より好ましくは4〜18分、特に好ましくは8〜12分である。通過時間が2分未満であると、シリカゾルが十分に生成されないおそれがある。他方、通過時間が20分を超えても、シリカゾルの生成が進まず、処理効率が低下するおそれがある。なお、この通過時間は、スラリーに鉱酸が添加された後、第3の反応槽から流出するまでの計算上の時間であるが、スラリーの流入及び鉱酸の添加は連続的に行われるため、当該通過時間はスラリーが流入してから流出するまでの計算上の時間と同様である。
【0035】
第3の反応槽のスラリーの温度も、第1,2の反応槽におけるのと同様とすることができる。また、スラリーの温度を調節するにあたっては、例えば、第3の反応槽に加温設備を設ける方法を採用することもできるが、各反応槽を断熱性の素材で形成し、加温設備の設置を省略することもできる。なお、このスラリーの温度は、第3の反応槽の底面中央部に存在するスラリーの温度である。
【0036】
第3の反応槽のスラリーは、配管等を通して第4の反応槽に流し続ける。この第4の反応槽においては、新たな凝集物11の添加や、珪酸アルカリ水溶液、鉱酸等の添加は行わない。第4の反応槽においては、第3の反応槽において生成されたシリカゾルによって、凝集物11にシリカが複合され、シリカ複合物12となる。このシリカ複合物12は白色度が極めて高いため、体積平均粒子径が2.1倍以上となる凝集が行われているとしても内添した紙の白色度を十分に改善することができる。しかも、このシリカの複合によって凝集物11の脆さが緩和されるため、パルプ原料に内添した際の歩留りも改善される。さらに、このシリカの複合によってワイヤー摩耗度が低減されるとの利点もある。
【0037】
第4の反応槽のスラリーも、必要に応じて前述第1〜3の反応槽におけるのと同様に攪拌することができる。ただし、第4の反応槽におけるスラリーの通過時間は、好ましくは20〜50分、より好ましくは25〜45分、特に好ましくは30〜40分である。通過時間が20分未満であると、スラリーの複合が十分に進まなくなるおそれがある。他方、通過時間が50分を超えても、シリカの複合は進まず、処理効率が低下する原因となる。なお、この通過時間は、スラリーが第4の反応槽に流入してから流出するまでの計算上の時間である。
【0038】
第4の反応槽のスラリーの温度も、第1〜3の反応槽におけるのと同様とすることができる。また、スラリーの温度を調節するにあたっては、例えば、第4の反応槽に加温設備を設ける方法を採用することもできるが、各反応槽を断熱性の素材で形成し、加温設備の設置を省略することもできる。なお、このスラリーの温度は、第4の反応槽の底面中央部に存在するスラリーの温度である。
【0039】
以上の工程を経て得られたシリカ複合物12は、例えば、ろ過、水洗い、脱水等をしてウェットケーキとし、適宜乾燥等して、填料Xとすることができる。このシリカ複合物12からなる填料Xの物性は、例えば、体積平均粒子径が2.0〜15.0μm、プラスチックワイヤー摩耗度計(日本フィルコン製、3時間、スラリー濃度2質量%)を用いて測定したワイヤー摩耗度が15〜100g/m2、JIS K 5101‐13‐2に記載の練り合わせ法によって算出した吸油量が50〜180ml/100gとなる。なお、この吸油量は、詳細には、105〜110℃で2時間乾燥したシリカ複合物(試料)2〜5gを、ガラス板に取り、精製アマニ油(酸化4以下)をビュレットから少量ずつ試料の中央に滴下し、その都度ヘラで練り合わせる操作を繰り返し、全体が最初に1本の棒状にまとまった時点(終点)における精製アマニ油の滴下量(ml)を求め、下記の式によって算出した値である。
吸油量(ml/100)=(アマニ油量(ml)×100)/試料(g)
【0040】
また、シリカ複合物12のシリカ成分の割合(シリカ複合率)は、好ましくは2〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%、特に好ましくは5〜15質量%である。シリカ成分の割合が2質量%未満であると、白色度改善や歩留り改善等のシリカ複合による効果が奏せられないおそれがある。他方、シリカ成分の割合が30質量%を超えると、多孔質である凝集物11の孔が塞がれ、不透明度が低下し、あるいは吸油量が低下するおそれがある。なお、シリカ複合物12の成分構成は、例えば、酸化物換算でカルシウム:ケイ素:アルミニウム=30〜80:10〜50:7〜20の質量割合となる。この成分構成は、堀場製作所製のX線マイクロアナライザーを用い、加速電圧(15KV)にて元素分析を行い、構成成分を酸化物換算した値である。
【0041】
(カチオン複合)
以上のようにシリカ複合物12を填料Xとして用いることもできるが、より好ましくはこのシリカ複合物12に対してカチオン性高分子23を複合し、得られたカチオン複合物13を填料Xとして用いる。カチオン性高分子23を複合すると、アニオン性であるパルプ繊維との化学的な結合力(凝集力)が増すため、パルプ原料に添加した際の歩留りが一段と向上する。なお、この複合は、シリカ複合物12の表面にカチオン性高分子23が付着した状態であり、この付着は、カチオン性高分子23のカチオン性基とシリカのシラノール基とが結合して生じるものと推定される。
【0042】
カチオン性高分子23としては、水に溶解させた際に活性イオンが陽イオンとなる化合物を用いることができ、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリアミンスルホン、ポリアリルアミン、ポリジアリルメチルアミン、ポリアミドアミン、ポリアミノアルキルアクリレート、ポリアミノアルキルメタアクリレート、ポリアミノアルキルアクリルアミド、ポリエポキシアミン、ポリアミドポリアミン、ポリエステルポリアミン、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド縮合物等の高分子、及びこれらのアンモニウム塩、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリビニルピリジニウムクロライド、ポリメタクリル酸エステルメチルクロライド等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
【0043】
また、カチオン性高分子の質量平均分子量は、好ましくは400万〜2000万、より好ましくは600万〜1400万、特に好ましくは700万〜1000万である。質量平均分子量が400万未満であると、パルプ繊維との結合力が不十分になるおそれがある。他方、質量平均分子量が2000万を超えると、シリカ複合物12に対する複合が均一になされなくなるおそれがある。
【0044】
さらに、シリカ複合物12に対するカチオン性高分子23の複合量は、シリカ複合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.5質量部、より好ましくは0.05〜0.35質量部、特に好ましくは0.1〜0.25質量部である。複合量が0.01質量部未満であると、パルプ繊維との結合力が不十分になるおそれがある。他方、複合量が0.5質量を超えても複合による効果が頭打ちになるおそれがある。
【0045】
シリカ複合物12に対するカチオン性高分子23の複合は、例えば、シリカ複合物12が水に分散したスラリーに当該カチオン性高分子23を添加し、適宜攪拌等をすることによって行うことができる。シリカ複合物12のスラリーは、乾燥状態にあるシリカ複合物12を水に分散して生成してもよいが、例えば、前述第4の反応槽のスラリーをそのまま利用することもできる。この際のスラリー中のシリカ複合物12の濃度は、例えば、5〜25%とすることができる。このようにして得られたカチオン複合物13は、例えば、ろ過、水洗い、脱水等をしてウェットケーキとし、適宜乾燥等して、填料Xとすることができる。
【0046】
(填料内添紙)
以上の製造方法によって得られた填料Xは、抄紙工程においてパルプ原料に添加(内添)し、填料内添紙とすることができる。この填料内添紙は、前述填料Xが有する特性によって、不透明度、白色度、印刷適性等の紙質が改善された紙となる。また、填料Xは歩留りが高いため、以上の紙質改善効果は確実に奏せられ、また、填料Xの添加量を減らすことができるため、経済性に優れた紙となる。さらに、填料の添加量を増やすと濾水(白水)中に填料が蓄積してしまい、この填料が微細繊維や有機系抄紙薬品、ピッチ等と結合し、紙面の欠陥発生につながるおそれがあるが、填料Xを用いた場合は、この問題が生じない。
【0047】
填料内添紙のパルプ原料としては、例えば、化学パルプ、機械パルプ、半化学パルプ等のいずれをも使用することができ、また、バージンパルプのほか、古紙パルプ、合成パルプ等も使用することができる。また、パルプ原料には、填料Xのほか、必要に応じて、例えば、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤、濾水性向上剤、染料、中性サイズ剤等の各種薬品を添加することもできる。さらに、填料としては、本形態の製造方法によって得た填料Xのほか、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ、二酸化チタン、サチンホワイト等の公知の填料を、本発明による作用効果を阻害しない範囲で併用することができる。
【0048】
填料Xや各種薬品が添加されたパルプ原料は、ワイヤー工程、プレス工程、乾燥工程、必要により塗工工程、カレンダー工程等を経て、填料内添紙とされる。
【実施例】
【0049】
次に、凝集剤による凝集及びこの凝集に続くシリカ複合の作用効果を明らかにするための、実施例を説明する。
表1及び表2に記載の条件でシリカ複合物(填料)を製造し、この填料をパルプ原料(LBKP100%)に添加して手抄きシート(坪量40〜50g/m2)を作製した。詳細は以下の通りであり、結果は表2に示す。なお、シリカの複合は、珪酸ナトリウム水溶液(3号水ガラス)中に凝集物スラリーを混合分散して混合スラリー化し、この混合スラリーに希硫酸を添加する方法によった。この反応の際のpHや温度、時間等は表1に示した通りである。
【0050】
(体積平均粒子径)
レーザー回折方式の粒度分布径(型番:SA−LD−2200、島津製作所製)を用いて試料(熱処理物、凝集物、シリカ複合物)の粒度分布を測定し、全粒子の体積に対する累積体積が50%になるときの粒子径(D50)を求め、この粒子径を体積平均粒子径とした。粒度分布を測定するに際しては、0.1%ヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液に熱処理物を添加し、超音波で1分間分散した。
【0051】
(凝集剤A)
ハイモ社製の「ハイモロックFR−740」を用いた。なお、この凝集剤は、質量平均分子量は850万、カチオン価度は8.0meq/gであり、アクリルアミドとアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドとの共重合体及びポリアルキレンポリアミン混合物からなる。
【0052】
(凝集剤B)
ハイモ社製の「ハイモロックND−270」を用いた。なお、この凝集剤は、質量平均分子量は1500万、カチオン価度は2.0meq/gであり、カチオンPAMからなる。
【0053】
(凝集剤C)
アベベジャパン社製の「アミロファックスT−2600」を用いた。なお、この凝集剤は、カチオン化澱粉からなる。
【0054】
(凝集剤D)
質量平均分子量が350万、カチオン価度が5.0meq/gの試作品を用いた。
【0055】
(凝集剤E)
質量平均分子量が2100万、カチオン価度が5.0meq/g。の試作品を用いた。
【0056】
(凝集剤の添加量)
填料(固形分)に対しての固形分換算での質量である。なお、凝集剤は、固形分0.1%となるように希釈して添加した。
【0057】
(倍率)
「倍率=凝集物の体積平均粒子径/熱処理物の体積平均粒子径」である。
【0058】
(スラリー粘度)
デジタル式B型粘度計(東機産業社製、型番:TVB−10M)No.2ローターを使用し、60rpm、25℃にて測定した。
【0059】
(シリカ複合率)
堀場製作所製のX線マイクロアナライザーを用い、加速電圧15KVにて元素分析を行い、分析された構成成分からクレー、炭酸カルシウム、タルク等の含有割合を推定し、シリカ単独の含有率の増加分から、シリカ複合率を推定した。
【0060】
(吸油量)
JIS K 5101‐13‐2に記載の練り合わせ法によって算出した値である。詳細には、105〜110℃で2時間乾燥したシリカ複合物(試料)2〜5gを、ガラス板に取り、精製アマニ油(酸化4以下)をビュレットから少量ずつ試料の中央に滴下し、その都度ヘラで練り合わせる操作を繰り返し、全体が最初に1本の棒状にまとまった時点(終点)における精製アマニ油の滴下量(ml)を求め、下記の式によって算出した値である。
吸油量(ml/100)=(アマニ油量(ml)×100)/試料(g)
【0061】
(灰分歩留り)
手抄きの対象となるシリカ複合物のスラリー及び手抄き時に生じた白水について、それぞれ灰分濃度を測定し、下記式により灰分(填料)歩留りを求めた。なお、灰分濃度の測定は、スラリー・白水を525℃で灰化し、得られた固形物の質量を測定する方法を用いた。
灰分歩留り=100×(A−B)/A
A:スラリーの灰分濃度(g/l)
B:白水の灰分濃度(g/l)
【0062】
(印刷不透明度)
オフセット輪転印刷機(型番:RI−2型、石川島産業機械(株)製)で、オフセット輪転印刷用インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製)のインキ量を変えて印刷し、印刷面反射率が9%のときの、印刷前の裏面反射率に対する印刷後の裏面反射率の比率:(印刷後の裏面反射率/印刷前の裏面反射率)×100(%)を求めた。なお、これら反射率の測定には、分光白色度測色機(スガ試験機(株)製)を用いた。
【0063】
(灰分)
JIS P 8252:2003「紙,板紙及びパルプッ灰分試験方法ッ900℃燃焼法」に準拠して測定した。
【0064】
(白色度)
JIS P 8148:2001「紙,板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。
【0065】
(引裂強さ)
JIS P 8116:2000「紙−引裂強さ試験方法−エルメンドルフ形引裂試験機法」に準拠して測定した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、填料の製造方法として適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
10…熱処理物、11…凝集物、12…シリカ複合物、13…カチオン複合物、21…凝集剤、23…カチオン性高分子、101…凝集工程、102…シリカ複合工程、103…カチオン複合工程、X…填料。
図1