特許第5749538号(P5749538)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749538
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】鉄道車両用座席のターンテーブル装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/14 20060101AFI20150625BHJP
   A47C 3/18 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   B60N2/14
   A47C3/18 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-74446(P2011-74446)
(22)【出願日】2011年3月30日
(65)【公開番号】特開2012-206637(P2012-206637A)
(43)【公開日】2012年10月25日
【審査請求日】2013年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(72)【発明者】
【氏名】原 孝
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−40334(JP,A)
【文献】 特開平6−92169(JP,A)
【文献】 特開平07−144563(JP,A)
【文献】 特開平02−074428(JP,A)
【文献】 実開平05−093967(JP,U)
【文献】 実開平03−040126(JP,U)
【文献】 実開平06−053269(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 33/00
B60N 2/14
A47C 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の床面あるいは床面上に設置される脚台上に設けられ、上側に座席が設けられる鉄道車両用座席のターンテーブル装置であって、
板状部材を機械加工して形成され前記座席が組み付けられる上側回転板と、この上側回転板の下側に平行に配置され回転支持機構を介して前記上側回転板を回転可能に支持する下側ベース板とを備え、
前記上側回転板と下側ベース板との間に、前記回転支持機構に加えて、回転ロック装置、および前記回転ロック装置に連結されるワイヤーケーブルが配置され、
前記上側回転板の上面側には、フレーム取付台がボルト締結により固定され、
前記フレーム取付台を介して前記上側回転板上に前記座席のシートフレームがボルト締結により固定されることで前記上側回転板上に前記座席が取り付けられていることを特徴とする鉄道車両用座席のターンテーブル装置。
【請求項2】
前記回転ロック装置は、前記回転支持機構を挟んで、前記上側回転板の両側に配置される第1および第2の装置本体と、前記回転支持機構の一方側の側縁近傍であって前記下側ベース板に設けられ前記第1および第2の装置本体がそれぞれロックする第1および第2のロックピンとを有し、
前記第1および第2の装置本体による前記第1および第2のロックピンのロックを解除する第1および第2のロック解除操作部材が、前記上側回転板の左右側縁部付近に配置されると共に、前記第1および第2のロック解除操作部材と第1および第2の装置本体とがそれぞれ第1および第2のワイヤーケーブルにて連係されている請求項1記載の鉄道車両用座席のターンテーブル装置。
【請求項3】
前記回転支持機構は、前記下側ベース板に固定される環状の第1の部材と、前記上側回転板に固定され前記第1の部材に対し回転可能に設けられた環状の第2の部材とを有し、前記第2の部材に対し前記上側回転板の回転を補助する回転補助バネが設けられ、
前記上側回転板に上滑り座が、前記下側ベース板に前記上滑り座に対応して下滑り座がそれぞれ設けられている請求項1又は2記載の鉄道車両用座席のターンテーブル装置。
【請求項4】
前記回転支持機構は、前記下側ベース板に固定される環状の第1の部材と、前記上側回転板に固定され前記第1の部材に対し回転可能に設けられた環状の第2の部材とを有し、前記第2の部材に対し前記上側回転板上の座席の向きを検出する向き検出手段が設けられている請求項1〜3のいずれか1つに記載の鉄道車両用座席のターンテーブル装置。
【請求項5】
前記上側回転板は、剛性を高めるリブがプレス加工により上方に突出するように形成されており、
前記リブに対し前記座席のシートフレームがボルト締結により固定されることで前記上側回転板上に前記座席が取り付けられている請求項1〜4のいずれか1つに記載の鉄道車両用座席のターンテーブル装置。
【請求項6】
鉄道車両の床面あるいは床面上に設置される脚台上に設けられ、上側に座席が設けられる鉄道車両用座席のターンテーブル装置であって、
板状部材を機械加工して形成され前記座席が組み付けられる上側回転板と、この上側回転板の下側に平行に配置され回転支持機構を介して前記上側回転板を回転可能に支持する下側ベース板とを備え、
前記上側回転板と下側ベース板との間に、前記回転支持機構に加えて、回転ロック装置、および前記回転ロック装置に連結されるワイヤーケーブルが配置され、
前記回転支持機構は、前記下側ベース板に固定される環状の第1の部材と、前記上側回転板に固定され前記第1の部材に対し回転可能に設けられた環状の第2の部材とを有し、前記第2の部材に対し前記上側回転板の回転を補助する回転補助バネが設けられ、
前記上側回転板に上滑り座が、前記下側ベース板に前記上滑り座に対応して下滑り座がそれぞれ設けられ、
前記回転補助バネは、回転ロック装置によるロック解除により、前記回転補助バネの復元力が、前記上側回転板に組み付けられた座席の向きを変えるための回転力を補助するものであることを特徴とする鉄道車両用座席のターンテーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両用座席のターンテーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、在来線の特急車、新幹線(登録商標)などの鉄道車両用座席は、鉄道車両の進行方向に合わせて座席の向きを変更できるようになっている。
【0003】
そのようなシートは、設置床面上に脚台を設け、この脚台に支持された水平ビーム上に、シートクッションおよびシートバックからなるシート本体のシートフレーム(台枠)を回動調整可能に支持する回転機構としての回動調整機構を備えている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−142723号公報
【特許文献2】特開平8−216748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載の構造では、水平ビームの上に、回転機構を介してシートフレーム(台枠)を設け、そのシートフレームに対しアームレスト、シートバックフレームや各種部品を組み付けるようにしているため、組み付け作業性に劣る。
【0006】
とくに、近年の座席の高付加価値化の要求に対応して座席に各種機能を持たせようとすると、シートフレームとの関係を考慮して、各種機能を持たせる必要があり、設計の自由度が制約される。
【0007】
そこで、発明者は、座席のシートフレームを回転機構(回転支持機構)を介して支持するのではなく、回転機構にて上側回転板という板状部材を支持する構成とし、その板状部材にシートフレームを含めて座席の各部品を組み付けるようにすれば、薄型化が図れると共に、前記板状部材を基準として、各部品を含み座席を組み付けることで組み付けが容易となり、また、設計の自由度を高め、座席の多機能化あるいは高付加価値化の実現を図れることに着想し,本発明をなしたものである。
【0008】
この発明は、回転支持機構を含めて薄型化を図り、組み付けが容易で、かつ設計の自由度を高め、座席の多機能化あるいは高付加価値化の実現に有利である鉄道車両用座席のターンテーブル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、鉄道車両の床面あるいは床面上に設置される脚台上に設けられ、上側に座席が設けられる鉄道車両用座席のターンテーブル装置であって、機械加工により形成され前記座席が組み付けられる上側回転板と、この上側回転板の下側に平行に配置され回転支持機構を介して前記上側回転板を回転可能に支持する下側ベース板とを備え、前記上側回転板と下側ベース板との間に、前記回転支持機構に加えて、回転ロック装置、および前記回転ロック装置に連結されるワイヤーケーブルが配置され、前記上側回転板の上面側には、フレーム取付台がボルト締結により固定され、前記フレーム取付台を介して前記上側回転板上に前記座席のシートフレームがボルト締結により固定されることで前記上側回転板上に前記座席が取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、上側回転板と下側ベース板との間に、主要部品(回転支持機構、回転ロック装置、および前記回転ロック装置に連結されるワイヤーケーブル)を組み込むことで、座席の回転機能を一つにまとめて薄型構造にユニット化できるので、ユニット単体で調整ができ、アウトワーク化ができる。また、板状部材を機械加工して形成された上側回転板に、各種部品を含む座席を組み付けるので、座席や各種部品の組み付けが容易となり、さらに、前記上側回転板を基準として、各種機能を持つ座席を設けることができるので、設計の自由度を高め、座席の多機能化あるいは高付加価値化の実現に有利である上でも有利となる。
また、前記フレーム取付台を介して前記上側回転板上に前記座席のシートフレームがボルト締結により固定されることで前記上側回転板上に前記座席が取り付けられているので、座席の重量が重い場合であっても、必要な支持剛性を確保して、上側回転板の上側に載置することができる。
【0011】
請求項2に記載のように、前記回転ロック装置は、前記回転支持機構を挟んで、前記上側回転板の両側に配置される第1および第2の装置本体と、前記回転支持機構の一方側の側縁近傍であって前記下側ベース板に設けられ前記第1および第2の装置本体がそれぞれロックする第1および第2のロックピンとを有し、前記第1および第2の装置本体による前記第1および第2のロックピンのロックを解除する第1および第2のロック解除操作部材が、前記上側回転板の左右側縁部付近に配置に配置されると共に、前記第1および第2のロック解除操作部材と第1および第2の装置本体とがそれぞれ第1および第2のワイヤーケーブルにて連係されている構成とすることができる。
【0012】
このようにすれば、通路側に位置する一方のロック解除操作部材を操作することで、回転ロック装置によるロック(第1または第2の装置本体による第1または第2のロックピンのロック)を簡単に解除することができる。
【0013】
請求項3に記載のように、前記回転支持機構は、前記下側ベース板に固定される環状の第1の部材と、前記上側回転板に固定され前記第1の部材に対し回転可能に設けられた環状の第2の部材とを有し、前記第2の部材に対し前記上側回転板の回転を補助する回転補助バネが設けられ、前記上側回転板に上滑り座が、前記下側ベース板に前記上滑り座に対応して下滑り座がそれぞれ設けられている構成とすることができる。
【0014】
このようにすれば、上側回転板上に座席が載せられた状態での回転が、回転補助バネのバネ力や上下滑り座の円滑な摺動によってアシストされ、使用者が小さな力でもってスムーズに回転させることができる。
【0015】
請求項4に記載のように、前記回転支持機構は、前記下側ベース板に固定される環状の第1の部材と、前記上側回転板に固定され前記第1の部材に対し回転可能に設けられた環状の第2の部材とを有し、前記第2の部材に対し前記上側回転板上の座席の向きを検出する向き検出手段が設けられている構成とすることができる。
【0016】
このようにすれば、向き検出手段(例えばリミットスイッチ)によって上側回転板上の座席の向きを検出することができる。
【0019】
また、フレーム取付台を取り付けるのに代えて、請求項に記載のように、前記上側回転板は、剛性を高めるリブがプレス加工により上方に突出するように形成されており、前記リブに対し前記座席のシートフレームがボルト締結により固定されることで前記上側回転板上に前記座席が取り付けられるようにすることも可能である。
請求項6の発明は、鉄道車両の床面あるいは床面上に設置される脚台上に設けられ、上側に座席が設けられる鉄道車両用座席のターンテーブル装置であって、板状部材を機械加工して形成され前記座席が組み付けられる上側回転板と、この上側回転板の下側に平行に配置され回転支持機構を介して前記上側回転板を回転可能に支持する下側ベース板とを備え、前記上側回転板と下側ベース板との間に、前記回転支持機構に加えて、回転ロック装置、および前記回転ロック装置に連結されるワイヤーケーブルが配置され、前記回転支持機構は、前記下側ベース板に固定される環状の第1の部材と、前記上側回転板に固定され前記第1の部材に対し回転可能に設けられた環状の第2の部材とを有し、前記第2の部材に対し、前記回転ロック装置によるロック解除により前記上側回転板の回転を補助する回転補助バネが設けられ、前記上側回転板に上滑り座が、前記下側ベース板に前記上滑り座に対応して下滑り座がそれぞれ設けられ、前記回転補助バネは、回転ロック装置によるロック解除により、前記回転補助バネの復元力が、前記上側回転板に組み付けられた座席の向きを変えるための回転力を補助するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上側回転板と下側ベース板との間に、各部品(回転支持機構、回転ロック装置、および回転ロック装置に連結されるワイヤーケーブル)を組み込むことで、座席の回転機能を一つにまとめて薄型構造にユニット化できるので、ユニット単体で調整ができ、アウトワーク化ができる。また、板状部材を機械加工して形成された上側回転板に、各種部品を含む座席を組み付けるので、座席や各種部品の組み付けが容易となり、前記上側回転板を基準として、各種機能を持つ座席を設けることができるので、設計の自由度を高め、座席の多機能化あるいは高付加価値化の実現を図る上でも有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る鉄道車両用座席のターンテーブル装置の正面図である。
図2】同平面図である。
図3】同側面図である。
図4図2のC−C線断面図である。
図5図2のD−D線断面図である。
図6図6(a)は図1のA−A線矢視図、図6(b)は図6(a)のE−E線矢視図である。
図7図7(a)は図1のB−B線矢視図、図7(b)は図7(a)のF−F線矢視図である。
図8図6(a)のG−G線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0023】
図1は本発明に係る鉄道車両用座席のターンテーブル装置の正面図、図2は同平面図、図3は同側面図、図4図2のC−C線断面図、図5図2のD−D線断面図である。
【0024】
図1図5に示すように、本発明に係る鉄道車両用座席のターンテーブル装置1は、床面F上に直接に(あるいは床面上に設置される脚台上に)設けられるもので、上側に鉄道車両用の左右の座席(シートフレーム2A,2Bのみ図示)が設けられる。
【0025】
この装置1は、座席のシートレーム2A,2Bを位置決めして組み付けられる矩形板状の上側回転板3と、この上側回転板3の下面側に平行に配置され回転盤アッセンブリ4(回転支持機構)を介して上側回転板3を回転可能に支持する矩形板状の下側ベース板5とを備える。これにより、鉄道車両の進行方向に応じて、座席のシートレーム2A,2Bの向きを変更することができる。なお、回転盤アッセンブリ4は、環状外側部材4A(第1の部材)内に環状内側部材4B(第2の部材)が回転可能に設けられてなり、環状外側部材4Aが下側ベース板5に、環状内側部材4Bが上側回転板3にそれぞれ固定される。
【0026】
この上側回転板3上には、ほぼ井桁形状のフレーム取付台11が締結具(図示せず)を用いて取り付けられ、上側回転板3単独の場合よりも剛性が高められている。このフレーム取付台11は、上側回転板3の左右両側に配置される第1の短辺部材11A,11Aと、上側回転板3の左右方向の中央部付近に配置され第1の短辺部材11A,11Aに平行に延びる第2の短辺部材11B,11Bと、上側回転板3の前側に配置され左右方向に延びる第1の長辺部材11Cと、上側回転板3の前後方向の中央部付近に配置され第1の長辺部材11Cと平行に延びる第2の長辺部材11Dとを備える。なお、フレーム取付台11には、座席のシートレーム2A,2Bを締結するための取付ブラケット18が設けられている。
【0027】
また、図6に示すように、上側回転板3の下面側であって、第1および第2の短辺部材11A,11Bの間であって第2の長辺部材11Dの後方に、それぞれ回転ロック装置12A,12Bの装置本体12Aa,12Baが設けられている。つまり、回転盤アッセンブリ4を挟んで両側に、第1の回転ロック装置12Aの装置本体12Aaと、第2の回転ロック装置12Bの装置本体12Baとがそれぞれ設けられている。各回転ロック装置12A,12Bは、下側ベース板5側に設けられ上下方向の延びる第1および第2のロックピン12Ab,12Bbを係脱可能に係止することで、座席のシートレーム2A,2Bの回転を規制するものである。
【0028】
また、各装置本体12Aa,12Baに隣接して、外側にショックアブソーバ受け13A,13Bが設けられている。
【0029】
そして、各装置本体12Aa,12Baが設けられている側とは、左右方向(長手方向)において反対側であって左右側縁部付近に、回転ロック装置12A,12Bのロックを解除するロック解除操作ペダル14A,14B(ロック解除操作部材)が上側回転板3の上側上に配置されている(図8参照)。各回転ロック装置12A,12Bの装置本体12Aa,12Baと、ロック解除操作ペダル14A,14Bとは、ワイヤーケーブル15A,15Bを介して連結され、ロック解除操作ペダル14A,14Bの踏み込み操作で、対応する回転ロック装置12A,12Bのロック(装置本体12Aa,12Baによるロックピン12Ab,12Bbの係止)を解除できるようになっている。ここで、各装置本体12Aa,12Baが設けられている側とは、左右方向(長手方向)において反対側に、ロック解除操作ペダル14A,14Bを設けているのは、車体側と座席側との間に配線があり、干渉を避けるためで、配線の干渉がない等の理由があれば、前記反対側に設ける必要はない。
【0030】
これにより通路側に位置し操作することができる一方のロック解除操作ペダル14Aあるいは14Bを踏み込むことで、一方の回転ロック装置12A,12Bによるロックが解除され、そのロックが解除されて方向について座席のシートレーム2A,2B(上側回転板3)を回転することができる。なお、ロック解除操作ペダル14A,14Bには、踏込解除によりロック解除操作ペダル14A,14Bを元のペダル位置に復帰させるリターンスプリング16A,16Bが設けられている。
【0031】
一方、下側ベース板5の上面側には、図7に示すように、中央部に、上側回転板3を回転可能に支持するための回転盤アッセンブリ4が設けられ、一方の側(左側)に、左右回転用の小型のショックアブソーバ17A,17B、および回転ロック装置12A、12Bのロックピン12Ab,12Bbが並んで設けられている。上側回転板3が下側ベース板5に対し回転し、ショックアブソーバ17A,17Bとショックアブソーバ受け13A,13Bとが衝突することで、座席のシートレーム2A,2Bを回転して停止させるときの衝撃が緩衝される。シャックアブソーバ17A,17Bの両側には、座席のシートレーム2A,2Bとの干渉防止のためにバンパ19A,19Bを設けているが、省くこともできる。
【0032】
下側ベース板5の四隅付近に、下滑り座21Bがそれぞれ設けられ,この下滑り座21Bに対応して上側回転板3の下面の四隅付近にも、上滑り座21Aがそれぞれ設けられている。上下滑り座21A,21Bは、乗客が座席のシートレーム2A,2Bに着座したときの撓みに対する上下方向のストッパとして機能する。なお、上下滑り座21A,21Bには、それぞれ両側縁部分に面取りが施され、両滑り座21A,21Bの間に隙間がなくなっても、乗り上げが容易となるようにして上側回転板3の回転が妨げられないようになっている。
【0033】
回転盤アッセンブリ4の環状内側部材4B内に、上側回転板3(座席のシートレーム2A,2B)の回転を開始する力を補助する回転補助バネ33A,33Bが設けられ、これら回転補助バネ33A,33Bに近接して、上側回転板3の回転方向を案内するバネ案内金31A,31Bが設けられている。これにより、上下滑り座21A,21Bの円滑な摺動と回転補助バネ33A,33Bのバネ力によって、上側回転板3(座席のシートレーム2A,2B)の回転を、小さな力でスムーズに回転させることができる。ここで、回転補助バネ33A,33Bが回転力を補助するのは、座席のシートレーム2A,2Bを回転する際の回転モーメントにより回転補助バネ33A,33Bが押し込まれた状態になってから、回転ロック装置12A,12Bが作用するため、回転補助バネ33A,33Bは、回転付勢のためのバネ力が蓄えられており、回転ロック装置12A,12Bによるロックが解除されると、回転補助バネ12A,12Bの復元力(バネ力)が、座席のシートレーム2A,2Bの向きを変えるための回転力を補助する力として作用することになるからである。ここで、回転補助バネ33A,33Bとしては、コイルバネのほか、板バネを用いることができるし、ゴムなどの高分子素材による弾性体を用いることも可能である。
【0034】
また、回転盤アッセンブリ4は、上側回転板3の回転方向、よってシートの向きを検出するリミットスイッチ32A,32B(向き検出手段)が設けられている。
【0035】
このように、ターンテール部装置1は、上側回転板3と下側ベース板5とを有し、それらの間に、各部品(回転盤アッセンブリ4(回転支持機構)、回転ロック装置12A,12B、上下滑り座21A,21B、ワイヤーケーブル15A,15B、ショックアブソーバ17A,17B、回転補助バネ33A,33B、およびリミットスイッチ32A,32Bなど)を組み込むことで、座席の回転機能を一つにまとめて薄型構造にユニット化されている。このようにユニット化できるので、アウトワーク化ができる。
【0036】
また、ターンテーブル装置1の上面(上側回転板3)を平坦面とすることができるので、マシニングセンタなどを用いて機械加工により上側回転板3を精度よく製作し,その上にフレーム台11を、ボルト、ナットなどの締結具を用いて精度よく組み付けているので、そのフレーム台11上に、各種機能部品を含む座席のシートレーム2A,2Bを、精度よくかつ容易に組み付けることができる。それ加えて、ターンテーブル装置1を薄型にしたことにより生まれたスペースを、座席構造物(機能部品)を設けるスペースとして利用することができ、座席のシートレーム2A,2Bの高機能化あるいは高付加価値化を図る上で有利になる。
【0037】
本発明は、前述したほか、次のように変更して実施することも可能である。
【0038】
(i)前記実施の形態では、回転ロック装置12A,12Bの回転ロック解除は、使用者が足で操作するロック解除操作ペダル14A,14Bを用いて行うようにしているが、使用者が手で操作するロック解除レバーやロック解除ノブを用いることもできるし、ワイヤーケーブル先端にソレノイドまたはアクチュエータを連結することにより、電気指令または空気指令で回転ロックを解除できるようにすることも可能である。また、それらを併用することも可能である。
【0039】
(ii)前記実施の形態では,左右の座席のシートレーム2A,2Bを共通の上側回転板3上に組み付け、一緒に回転するようにしているが、1つの座席だけを設け、それの向きを変更する場合にも適用することができる。
(iii)前記実施の形態では、上側回転板3にフレーム取付台11を取り付けるようにしているが、上側回転板は、剛性を高めるリブをプレス加工により形成し、前記リブに対し座席のシートレーム2A,2Bをボルト締結により固定することで前記上側回転板上に座席を取り付けるようにすることもできる。
【0040】
(iv)座席が軽量などの理由で、上側回転板に高い剛性が必要とされない場合には、マシニングセンタなどを用いて機械加工により精度よく製作した上側回転板に対し、フレーム取付台11を設けることなく、上側回転板に座席のシートレームを直接に組み付けるようにすることも可能である。
【0041】
(v)また、下側ベース板5を床面上に設置される脚台上に設ける場合には、下側ベース板5の通路側にのみロック解除操作ペダルを設け、下側ベース板に1つの回転ロック装置の装置本体を、上側回転板3に回転盤アッセンブリ4を挟んで、前記装置本体がロックする2つのロックピンを設けることも可能である。つまり、下側ベース板5を床面上に設置される脚台上に設けられている場合には、ターンテーブル装置1の下側に脚台があり、ロック解除操作ペダルが床面にある場合にはターンテーブル装置とロック解除操作ペダルとの間に十分な大きさの空間ができるため、座席の向きを変えるために上側回転板3を回転させる際に、操作者が、上側回転板3と下側ベース板5との間に足を挟まれたりするおそれをなくすことができる。この場合には、ロック装置の構造は特に制限されないが、例えば、ロック装置の装置本体を1つとし、2つのロックピンを上下方向に動く差し込みピン方式とすることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 鉄道車両用座席のターンテーブル装置
2A,2B 座席のシートレーム
3 上側回転板
4 回転盤アッセンブリ(回転支持機構)
4A 環状外側部材(第1の部材)
4B 環状内側部材(第2の部材)
5 下側ベース板
11 フレーム取付台
12A,12B 回転ロック装置
12Aa,12Ba 装置本体
12Ab,12Bb ロックピン
13A,13B ショックアブソーバ受け
14A,14B ロック解除操作ペダル(ロック解除操作部材)
15A,15B ワイヤーケーブル
21A 上滑り座
21B 下滑り座
32A,32B リミットスイッチ(向き検出手段)
33A,33B 回転補助バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8