(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エアが入力される入力ポート及び外部へ制御指令圧を送出する制御出力ポートを備え、前記入力ポートのエア圧力が第1の圧力からこれより高い第2の圧力に向かう過程では前記制御出力ポートからの制御指令圧の送出を行わず、前記入力ポートのエア圧力が前記第2の圧力に達し、その後前記第1の圧力まで下がる過程では前記制御出力ポートから制御指令圧の送出を行い、前記入力ポートのエア圧力が前記第1の圧力に戻ると前記制御出力ポートからの制御指令圧の送出を停止するプレッシャガバナであって、
第1のバルブ室に設けられ、前記第1の圧力を規定する第1のバルブと、
前記第1のバルブ室と連通する第2のバルブ室に設けられ、前記第2の圧力を規定する第2のバルブと、
を備えたことを特徴とするプレッシャガバナ。
請求項2に記載のプレッシャガバナにおいて、前記第1のバルブ室が、前記第1ピストンによって前記第1付勢手段が収容される一端側空間とその反対側の他端側空間とに画設されるとともに、前記一端側空間は大気と連通する様構成されており、
前記第1ピストンには、前記第1バルブが閉じた状態において前記第1のバルブ室と前記第2のバルブ室とを連通する連通路と前記一端側空間とを連通させる内部通路が形成されており、
前記入力ポートのエア圧力が前記第1の圧力に戻ることで前記第1のバルブが閉じ、且つ前記第2のバルブが閉じる前の状態において、前記制御出力ポート側のエアが、前記連通路と前記内部通路を介して大気開放される構成を有する、
ことを特徴とするプレッシャガバナ。
請求項3に記載のプレッシャガバナにおいて、前記第2のバルブ室が、前記第2ピストンによって前記第2付勢手段が収容される一端側空間とその反対側の他端側空間とに画設されるとともに、前記一端側空間は大気と連通する様構成されており、
前記プレッシャガバナのバルブ本体には、前記第2バルブが閉じた状態において前記制御出力ポートを前記第2のバルブ室の一端側空間と連通させて大気開放する大気開放路が形成されており、
前記第2ピストンの移動により前記第2バルブが開くと、前記第2ピストンによって前記大気開放路が遮断される構成を備える、
ことを特徴とするプレッシャガバナ。
請求項2から4のいずれか1項に記載のプレッシャガバナにおいて、前記第1のバルブ室の内壁と前記第1ピストンとの間でシール機能を発揮するシールリング、及び前記第2のバルブ室の内壁と前記第2ピストンとの間でシール機能を発揮するシールリング、の少なくともいずれか一方が、対応するバルブ室の内壁に設けられている、
ことを特徴とするプレッシャガバナ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下、本発明が解決しようとする課題をより明らかにする為に、上記特許文献1に示された従来のプレッシャガバナの構成を、
図18を参照しながら説明する。ここで
図18は、上記特許文献1に示された従来技術に係るプレッシャガバナ120の断面図である。
【0005】
プレッシャガバナ120には、エアタンク(不図示)に供給するエアの一部が供給される。プレッシャガバナ120は、エアの圧力が所定の上限圧力(以下、本明細書では「切り放し圧力」と言う場合がある)に達すると、エアドライヤ(不図示)の下部に設けられたドレンバルブ(不図示)を開くための指令圧力を出力する。ドレンバルブが開くと、エアコンプレッサから供給されるエアはドレンバルブから放出されるので、これにより規定圧を超えたエアタンクの内圧上昇が防止される。
【0006】
そして、エアタンクに供給するエアの圧力が所定の下限圧力(以下、本明細書では「入れ込み圧力」と言う場合がある)まで下がると、ドレンバルブを開く為の指令圧力の出力を停止し、これによりドレンバルブが閉じて、再びエアタンクへのエア供給モードに移行する。
【0007】
以下、上記の機能を発揮するプレッシャガバナ120の構造について説明する。プレッシャガバナ120は、基部材101に形成された空室120a内を摺動するガバナピストン122を備える。ガバナピストン122は、軸方向の一側に圧縮ばね121の付勢力を受け、その他側にINポート129を介してエアタンクからの圧縮エアの圧力を受ける。
【0008】
圧縮ばね121はプレッシャガバナ120の排気通路126を接続した排気室120e内に配置されている。ガバナピストン122に作用するエア圧力が所定圧力(切り放し圧力)以下であれば、ガバナピストン122は、圧縮ばね121の付勢力によって、制御ポート123を排気ステム124の中央通路を介して排気室120eから排気通路126へ連通した位置に配される。
【0009】
エアタンクのエア圧力が高まり、ガバナピストン122に作用する圧力による力が圧縮ばね121の付勢力よりも大きくなると、ガバナピストン122は圧縮ばね121を押し縮める方向に移動する。この移動に伴って、排気ステム124の中央通路がガバナバルブ125によって閉じられ、ドレンバルブへ制御圧を送出する制御ポート123が大気と遮断される。
【0010】
さらに、エアタンクのエア圧力が高まり所定の切り放し圧力になると、ガバナピストン122は圧縮ばね121をさらに押し縮める。これに伴って、排気ステム124を介してガバナバルブ125が開く。ガバナバルブ125が開くと、INポート129を介して供給されるエアタンクからの圧縮エアは、制御ポート123を通してドレンバルブの上面へ供給され、ドレンバルブを押し開く。
【0011】
その後、エアタンクのエア圧力が次第に下がり、やがて所定の入れ込み圧力に達すると、ガバナピストン122が圧縮ばね121の付勢力により押し戻され、ガバナバルブ125は閉じる。このとき、排気ステム124がガバナバルブ125から離れることで、制御ポート123の圧縮エアが排気ステム124の中央通路を介して排気通路126から大気に開放され、ドレンバルブは閉じられる。
【0012】
ここで、従来のプレッシャガバナ120の切り放し圧力と入れ込み圧力との差は、符号131で示すシールリングによるシール径(切り放し圧力を規定する)と、符号130で示すシールリングによるシール径(入れ込み圧力を規定する)と、の差により規定される。従ってシールリング131が接する内周面133と、シールリング130が接する内周面132と、の間には所定の内径差が設けられている。
【0013】
この内径差(即ち切り放し圧力と入れ込み圧力との差)は、ユーザーからの要求仕様によって設定されるものの、内径差としては非常に僅かであることが多いとともに(例えば、1ミリ以下)、内周面132と内周面133は同軸で形成する必要があることから、加工が難しく、製造歩留まりを低下させる要因となっていた。
【0014】
また、切り放し圧力と入れ込み圧力とを、同軸で作動するバルブで規定する構造である為に、ガバナピストン122にガバナバルブ125や排気ステム124などを組み入れる構造とする必要があり、バルブ構造の複雑化とコストアップを招いていた。
【0015】
そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その目的は、切り放し圧力及び入れ込み圧力の双方を容易に且つ高精度に規定することができるとともに、構造が単純化されることでコストダウンに資することのできるプレッシャガバナを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、エアが入力される入力ポート及び外部へ制御指令圧を送出する制御出力ポートを備え、前記入力ポートのエア圧力が第1の圧力からこれより高い第2の圧力に向かう過程では前記制御出力ポートからの制御指令圧の送出を行わず、前記入力ポートのエア圧力が前記第2の圧力に達し、その後前記第1の圧力まで下がる過程では前記制御出力ポートから制御指令圧の送出を行い、前記入力ポートのエア圧力が前記第1の圧力に戻ると前記制御出力ポートからの制御指令圧の送出を停止するプレッシャガバナであって、第1のバルブ室に設けられ、前記第1の圧力を規定する第1のバルブと、前記第1のバルブ室と連通する第2のバルブ室に設けられ、前記第2の圧力を規定する第2のバルブとを備えたことを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、プレッシャガバナは第1の圧力(入れ込み圧力)を規定する第1のバルブと、当該第1のバルブが収容される第1のバルブ室とは別の第2のバルブ室に収容され、第2の圧力(切り放し圧力)を規定する第2のバルブと、を備えている。これにより、第1のバルブと第2のバルブとを同軸で形成する必要がなく、加工が容易となり、各々のバルブを容易に且つ高精度に製作することができるので、製造歩留まりが向上し、コストダウンを図ることができる。また、プレッシャガバナ全体の構造を単純化することができるので、これによってもコストダウンを図ることができる。
【0018】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記第1のバルブが、前記入力ポートのエア圧力を受ける第1ピストンと、前記第1ピストンを前記入力ポートのエア圧力に抗して前記第1バルブが閉じる方向に付勢する第1付勢手段と、を備えて構成され、前記第2のバルブが、前記第1のバルブ室からのエア圧力を受ける第2ピストンと、前記第2ピストンを前記第1のバルブ室からのエア圧力に抗して前記第2バルブが閉じる方向に付勢する第2付勢手段と、を備えて構成され、前記入力ポートのエア圧力が第1の圧力からこれより高い第2の圧力に向かう過程では、前記第1のバルブと前記第2のバルブの双方が閉じることで、或いはこの状態から前記第1のバルブのみが開くことで、前記入力ポートから前記制御出力ポートへ通じるエア流路が遮断されており、前記入力ポートのエア圧力が前記第2の圧力に達し、その後前記第1の圧力まで下がる過程では、前記第1のバルブと前記第2のバルブの双方が開くことで、前記エア流路が開放され、前記第1の圧力に戻ると、前記第1のバルブが閉じることで前記エア流路が遮断されることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、前記第1のバルブと前記第2のバルブは、いずれも所謂ノーマルクローズ構造となっている。これにより、前記第1のバルブと前記第2のバルブの双方の構成が簡単となり、プレッシャガバナのより一層の低コスト化を図ることができる。
【0020】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記第1のバルブ室が、前記第1ピストンによって前記第1付勢手段が収容される一端側空間とその反対側の他端側空間とに画設されるとともに、前記一端側空間は大気と連通する様構成されており、前記第1ピストンには、前記第1バルブが閉じた状態において前記第1のバルブ室と前記第2のバルブ室とを連通する連通路と前記一端側空間とを連通させる内部通路が形成されており、前記入力ポートのエア圧力が前記第1の圧力に戻ることで前記第1のバルブが閉じ、且つ前記第2のバルブが閉じる前の状態において、前記制御出力ポート側のエアが、前記連通路と前記内部通路を介して大気開放される構成を有することを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、前記第1の圧力(入れ込み圧力)に戻る際に、前記制御出力ポート側のエアが、前記第1バルブを介して大気開放されることとなるので、前記制御出力ポート側のエアを迅速に大気開放することができる。
【0022】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記第2のバルブ室が、前記第2ピストンによって前記第2付勢手段が収容される一端側空間とその反対側の他端側空間とに画設されるとともに、前記一端側空間は大気と連通する様構成されており、前記プレッシャガバナのバルブ本体には、前記第2バルブが閉じた状態において前記制御出力ポートを前記第2のバルブ室の一端側空間と連通させて大気開放する大気開放路が形成されており、前記第2ピストンの移動により前記第2バルブが開くと、前記第2ピストンによって前記大気開放路が遮断される構成を備えることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、前記第2バルブが閉じた状態において前記制御出力ポートが前記第2バルブを介して大気開放されることとなるので、コンプレッサのロード状態において前記制御出力ポートを大気開放するための弁を別途に設ける必要がなく、プレッシャガバナ全体の低コスト化を図ることができる。
【0024】
本発明の第5の態様は、第2から第4の態様のいずれかにおいて、前記第1のバルブ室の内壁と前記第1ピストンとの間でシール機能を発揮するシールリング、及び前記第2のバルブ室の内壁と前記第2ピストンとの間でシール機能を発揮するシールリング、の少なくともいずれか一方が、対応するバルブ室の内壁に設けられていることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、前記第1バルブ及び前記第2バルブのうち少なくともいずれか一方において、バルブ室の内壁とピストンとの間でシール機能を発揮するシールリングがピストン側ではなくバルブ内壁側に設けられているので、ピストンがバルブ室内で傾こうとした際にシールリングがバルブ室の内壁に片当たりすることを防止できる。これにより、各ピストンの摺動性が極めて良好になるとともに、各シールリングの耐久性を向上させることができる。
【0026】
本発明の第6の態様は、エアを乾燥処理するエアドライヤであって、第1から第5の態様のいずれかに係るプレッシャガバナを備えることを特徴とする。
本態様によれば、エアドライヤにおいて、上述した第1から第5の態様のいずれかと同様な作用効果を得ることができる。
【0027】
本発明の第7の態様に係るエアドライヤは、入れ込み圧を規定する第1のバルブと、第1のバルブとは異なる位置に独立して配置された切り離し圧を規定する第2のバルブとでプレッシャガバナを構成したことを特徴とする。
【0028】
第1のバルブ及び第2のバルブはピストン方式もしくはダイアフラム方式で構成できる。また、第1のバルブと第2のバルブとは独立に各々で開閉圧を調整することができる。異なる位置に独立して配置とは、例えばピストン方式の場合、第1のバルブを構成する第1ガバナピストンを収容する第1バルブ室及び第2のバルブを構成する第2ガバナピストンを収容する第2バルブ室が壁で隔てられている独立の空間となり、バルブ室間はエア流路で連通している。従って、2つのガバナピストンは移動軸を同軸にしなくてもよくなる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。尚、以下に説明する実施形態はあくまで本発明の一実施形態であり、本発明を限定するものでないことを前提にして、以下の実施形態を説明する。
【0031】
■■■本発明の第1実施形態■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
図1は本発明に係るエアドライヤ1の回路図、
図2〜
図5は本発明の第1実施形態に係るプレッシャガバナ4の断面図であり、
図2は第1バルブ11がクローズ(閉弁)状態にあり且つ第2バルブ12がクローズ(閉弁)状態にある様子を、
図3は第1バルブ11がオープン(開弁)状態にあり且つ第2バルブ12がクローズ(閉弁)状態にある様子を、
図4は第1バルブ11がオープン(開弁)状態にあり且つ第2バルブ12がオープン(開弁)状態にある様子を、
図5は第1バルブ11がクローズ(閉弁)状態にあり且つ第2バルブ12がオープン(開弁)状態にある様子を、それぞれ示している。尚、プレッシャガバナ4の動作順としては
図2→
図3→
図4→
図5→
図2(以下同様)の順となる。
【0032】
先ず、
図1を参照しながらエアドライヤ1の全体構成について概説する。
図1において符号P11、P12はエアコンプレッサ90から送出される圧縮エアを取り入れる入力ポートであり、この入力ポートP11、P12を介して圧縮エアがエアドライヤ1の内部に取り入れられる。
【0033】
エアドライヤ1の内部に取り入れられた圧縮エアは、乾燥部2において水分や油分が除去され、出力ポートP21、P24から出力される。出力ポートP21から出力された圧縮エアは、プロテクションバルブ91を介して、図示しないエアブレーキなどのエア駆動装置に供給される。出力ポートP24から出力された圧縮エアは、エアタンク92に供給される。
【0034】
乾燥部2において水分や油分が除去された圧縮エアの一部は、エアドライヤ1に内蔵されたプレッシャガバナ4にも供給される。プレッシャガバナ4は、エアドライヤ1から送出される乾燥処理済みエアが所定の切り放し圧力に達すると、エアドライヤ1に設けられたエアコンプレッサ90をアンロード状態にする為の制御指令圧を、制御出力ポート34(後述)から出力ポートPc側へ出力する。この制御指令圧は、エギゾーストバルブ3にも送られ、これによりエギゾーストバルブ3が開く。
【0035】
エキゾーストバルブ3が開くと、エアコンプレッサ90から供給される圧縮エアが当該エキゾーストバルブ3から排出される状態となり、即ち圧縮エアの乾燥部2内への供給が停止する。このとき、減圧作用によって乾燥部2内の乾燥エアが乾燥処理時とは逆向きに流れ、これによって乾燥部2内のオイルフィルタ(不図示)が洗浄され、またエキゾーストバルブ3に溜まっていた水分や油分がエアとともに外部に排出される。またこのとき、乾燥部2内の乾燥エアが、乾燥部2内の乾燥剤(
図1では不図示)から水分を奪いながら外部へ排出されることで、乾燥剤(
図1では不図示)の再生が図られる。
【0036】
そしてプレッシャガバナ4に入力される乾燥エアが所定の入れ込み圧力まで低下すると、エキゾーストバルブ3が閉じ、再び乾燥部2内への圧縮エアの供給状態となって、乾燥部2内での圧縮エアの乾燥処理状態に戻る様になっている。
【0037】
尚、本明細書では便宜上、エキゾーストバルブ3が閉じて外部のエアタンク92に乾燥エアが供給される状態を「コンプレッサのロード状態」と言い、エキゾーストバルブ3が開いて外部のエアタンク92に乾燥エアが供給されない状態を「コンプレッサのアンロード状態」と言うこととする。
尚、以上説明した乾燥部2、エギゾーストバルブ3、プロテクションバルブ91、のこれらの構成は、公知のものと同様である。
【0038】
以上がエアドライヤ1の全体構成であり、以下
図2乃至
図5を参照しながら本発明の第1実施形態に係るプレッシャガバナ4について詳説する。
図2〜
図5に示すプレッシャガバナ4は、エアタンク92からの圧縮エアが入力される入力ポート33及びエギゾーストバルブ3へ制御指令圧を送出する制御出力ポート34を備えている。
【0039】
プレッシャガバナ4は、その機能としては、入力ポート33に入力される圧縮エアの圧力が入れ込み圧力(第1の圧力)からこれより高い切り放し圧力(第2の圧力)に向かう過程では入力ポート33から制御出力ポート34へ向かうエア流路を遮断している。そして入力ポート33に入力される圧縮エアの圧力が切り放し圧力に達し、そして入れ込み圧力にまで下がる過程では前記エア流路を開放する。その後、入力ポート33に入力される圧縮エアの圧力が入れ込み圧力にまで戻ると、前記エア流路を遮断する。
【0040】
より詳しくは、プレッシャガバナ4の基体を構成するガバナ本体10には、第1バルブ室10aと第2バルブ室10bが形成されている。第1バルブ室10aの上部と第2バルブ室10bの上部は、通路10cにより連通しており、これにより入力ポート33、第1バルブ室10aの上部、第2バルブ室10bの上部、制御出力ポート34、のこれらが連通する様になっている。
【0041】
<<第1バルブ11の構成>>
第1バルブ室10aには、プレッシャガバナ4の入れ込み圧力を規定する第1バルブ11が設けられている。第1バルブ11は、第1ピストン14と、第1付勢手段としてのコイルばね15と、ばね座18と、調整ねじ19と、ベース20と、ストッパ21と、を備えて構成されている。
【0042】
第1ピストン14は、第1バルブ室10aを図の上下方向に摺動可能に収容されるとともに、コイルばね15によって図の上方向(閉弁方向)に付勢された状態に設けられている。これにより第1バルブ室10aは、コイルばね15が収容される一端側空間(図において第1ピストン14の下側空間)と、その反対側の他端側空間(図において第1ピストン14の上側空間:但し閉弁状態ではこの空間は形成されない)と、に画設された状態となっている。そしてコイルばね15が収容される一端側空間は、排気通路35を介して大気開放される様になっている。
【0043】
ばね座18は、ストッパ21により固定されたベース20のねじ穴に螺合する調整ねじ19により図の上下方向に移動可能となっており、これによりコイルばね15が第1ピストン14を付勢する付勢力(即ち、プレッシャガバナ4の入れ込み圧力)を調整できる様になっている。
【0044】
<<第2バルブ12の構成>>
次に、第2バルブ室10bには、プレッシャガバナ4の切り放し圧力を規定する第2バルブ12が設けられている。第2バルブ12は、第2ピストン24と、第2付勢手段としてのコイルばね25と、ばね座28と、調整ねじ29と、ベース30と、ストッパ31と、を備えて構成されている。
【0045】
第2ピストン24は、第2バルブ室10bを図の上下方向に摺動可能に収容されるとともに、コイルばね25によって図の上方向(閉弁方向)に付勢された状態に設けられている。これにより第2バルブ室10bは、コイルばね25が収容される一端側空間(図において第2ピストン24の下側空間)と、その反対側の他端側空間(図において第2ピストン24の上側空間:但し閉弁状態ではこの空間は形成されない)と、に画設された状態となっている。そしてコイルばね25が収容される一端側空間は、排気通路36を介して大気開放される様になっている。
【0046】
ばね座28は、ストッパ31により固定されたベース30のねじ穴に螺合する調整ねじ29により図の上下方向に移動可能となっており、これによりコイルばね25が第2ピストン24を付勢する付勢力(即ち、プレッシャガバナ4の切り放し圧力)を調整できる様になっている。
【0047】
ところで、第2バルブ室10bは第1バルブ室10aと異なり、上部径が細くなっている。即ち、第2バルブ室10bは上部の細径部10fと下部の大径部10gとで構成されており、第2ピストン24もこれに対応する様に上部の細径部24aと下部の大径部24bとを備えている。
【0048】
第2ピストン24の大径部24bと、その相手側である第2バルブ室10bの大径部10gとの間は、シールリング22Bによってシールされている。しかしながら第2ピストン24の細径部24aと、その相手側である第2バルブ室10bの細径部10fとの間は、クリアランスが形成されており、これにより大径部24bの上面(符号24dで示す)が、第1バルブ室10a側からのエア圧を受ける受圧面として機能する様になっている。
【0049】
また、第2ピストン24の細径部24aの上端には、細径部24aより径の大きい中径部24cが形成されており、そして第2ピストン24の細径部24aと、第2バルブ室10bの細径部10fと、の間がシールリング22Aによってシールされている。これにより、第2ピストン24の上面(符号24eで示す)が、第1バルブ室10a側からのエア圧を受ける受圧面として機能する様になっている。
【0050】
<<プレッシャガバナ4の動作>>
以上の構成を備えたプレッシャガバナ4は、入れ込み圧力到達後から切り放し圧力到達に至るまでの過程(コンプレッサ90のロード状態)では、第1バルブ11、第2バルブ12、の双方が閉弁状態をとる(双方ノーマルクローズ)。
図2はこのときの状態を示しており、入力ポート33に圧縮エアが入力されるが(
図2の実線矢印)、第1ピストン14を押し下げる圧力には達していない。
【0051】
またこのとき、制御出力ポート34はバルブ本体10に形成された大気開放路10eを介して第2バルブ12の下側空間と連通している(第2ピストン24は大気開放路10eを遮断しない位置にある)。即ち制御出力ポート34は第2バルブ12を介して大気開放された状態にある(
図2の破線矢印)。
【0052】
次に、入力ポート33に入力される圧縮エアの圧力が高まると、
図3に示す様に第1ピストン14が押し下げられ、第1バルブ11が開く。これにより、圧縮エアが通路10cを通り第2バルブ12に流れ込み(
図3の実線矢印)、第2ピストン24の受圧面24dがエア圧を受ける。しかしこの状態では、第2バルブ12の切り放し圧力に到達していないので、第2バルブ12は閉じている。
【0053】
そしてエア圧が更に高まり、第2バルブ12の切り放し圧力に到達すると、
図4に示す様に第2ピストン24が押し下げられ、第2バルブ12が開く。これにより入力ポート33から、第1バルブ11、通路10c、第2バルブ12、通路10d、を介して制御出力ポート34に向かうエア流路が遮断状態から開放状態に変化し、制御出力ポート34から制御指令圧が送出される。尚この状態では、大気開放路10eを介して第2ピストン24の細径部24aの周囲にもエアが流れ込み(
図3の実線矢印)、受圧面24dがエア圧を受け、第2バルブ12の開状態が維持される。
【0054】
入力ポート33に入力される圧縮エアの圧力が徐々に下がり、第1バルブ11の入れ込み圧力に達すると、
図5に示す様に第1バルブ11が閉じる。ここで、第1ピストン14には、内部通路14a、14bが形成されており、制御出力ポート34の先に残った圧縮エアは、
図5の実線矢印で示す様に通路10d、第2バルブ12、通路10c、内部通路14a、14b、第1バルブ室10a、排気通路35、のこれらを経由して迅速に大気放出される。またこのとき、第2ピストン24の細径部24a周囲のエアも通路10eを介して逃げる。そしてその後、第2ピストン24が復帰すると、
図5の状態から
図2の状態に戻ることとなる。
【0055】
以上説明した様に、本発明によれば、プレッシャガバナ4は入れ込み圧力(第1の圧力)を規定する第1バルブ11と、この第1バルブ11が収容される第1バルブ室10aとは独立した別個の第2バルブ室10bに設けられた、切り放し圧力(第2の圧力)を規定する第2バルブ12と、を備えている。これにより双方のバルブを同軸で形成する必要がなく、加工が容易となり、各々のバルブを容易に且つ高精度に製作することができるので、製造歩留まりが向上し、コストダウンを図ることができる。また、プレッシャガバナ全体の構造を単純化することができるので、これによってもコストダウンを図ることができる。
【0056】
加えて、入れ込み圧力と切り放し圧力は、いずれもそれぞれ調整ねじ19、29によって製造後であっても事後的に容易に調整可能である。従って製造ばらつきによって規格外のプレッシャガバナが製造されることもなく、製造歩留まりを飛躍的に向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、第1バルブ11と第2バルブ12は、いずれも所謂ノーマルクローズ構造となっている。これにより、第1のバルブ11と第2バルブ12の双方の構成が簡単となり、プレッシャガバナ全体のより一層の低コスト化を図ることができる。
【0058】
■■■本発明の第2実施形態■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
続いて、
図6〜
図9を参照しながら、本発明の第2実施形態に係るプレッシャガバナ4’について説明する。ここで、
図6〜
図9は本発明の第2実施形態に係るプレッシャガバナ4’の断面図であり、
図6は第1バルブ51がオープン(開弁)状態にあり且つ第2バルブ52がクローズ(閉弁)状態にある様子を、
図7は第1バルブ51がオープン(開弁)状態にあり且つ第2バルブ52がオープン(開弁)状態にある様子を、
図8は第1バルブ51がクローズ(閉弁)状態にあり且つ第2バルブ52がオープン(開弁)状態にある様子を、
図9は第1バルブ51がオープン(開弁)状態にあり且つ第2バルブ52がオープン(開弁)状態にある様子を、それぞれ示している。尚、プレッシャガバナ4’の動作順としては
図6→
図7→
図8→
図9→
図6(以下同様)の順となる。
【0059】
図6〜
図9に示すプレッシャガバナ4’が上述した第1実施形態に係るプレッシャガバナ4と異なるのは、入れ込み圧力を規定する第1バルブ51がノーマルオープン構造であり、切り放し圧力を規定する第2バルブ52がノーマルクローズ構造である点である。
【0060】
以下、プレッシャガバナ4’の構造について具体的に説明する。プレッシャガバナ4’は、エアタンク92からの圧縮エアが入力される入力ポート83及び制御指令圧を送出する制御出力ポート85を備えている。
【0061】
プレッシャガバナ4’は、入力ポート83に入力される圧縮エアの圧力が入れ込み圧力(第1の圧力)からこれより高い切り放し圧力(第2の圧力)に向かう過程では入力ポート83から制御出力ポート85へ向かうエア流路を遮断している。そして入力ポート83に入力される圧縮エアの圧力が切り放し圧力に達し、そして入れ込み圧力にまで下がる過程では前記エア流路を開放する。そしてその後、入れ込み圧力に戻ると前記エア流路を再び遮断する。
【0062】
より詳しくは、プレッシャガバナ4’の基体を構成するガバナ本体50には、第1バルブ室50aと第2バルブ室50bが形成されており、入力ポート83から第1バルブ室50aの上部及び第2バルブ室50bの上部へは、それぞれ通路50c、50dによって連通した状態となっている。また第2バルブ室50bの上部と、第1バルブ室50aの中程が、通路50eによって連通した状態となっている。尚、符号86は大気開放の為の排気ポートを示している。
【0063】
<<第1バルブ51の構成>>
第1バルブ室50aには、プレッシャガバナ4’の入れ込み圧力を規定する第1バルブ51が設けられている。第1バルブ51は、第1ピストン54と、付勢手段としてのコイルばね55と、弁座57と、ストッパ58と、を備えている。また更に、付勢手段としてのコイルばね59と、制御ピストン60と、ばね座61と、調整ねじ62と、ベース63と、ストッパ64と、を備えて構成されている。
【0064】
第1バルブ室50aは、下部の大径部50gと、上部の小径部50hと、その間の中径部50jと、により構成されており、上部の小径部50hに、第1ピストン54が図の上下方向に摺動可能に収容されるとともに、コイルばね55によって図の下方向(閉弁方向)に付勢された状態に設けられている。
【0065】
第1ピストン54は、弁体部54aとばね座部54bとにより構成され、これらが一体となって上下方向に移動する様になっている。尚、ばね座部54bの上面は、エア圧を受ける受圧面となる。
【0066】
第1バルブ室50aの中径部50jには、弁座部57がストッパ58によって固定されており、この弁座部57に対して、第1ピストン54(弁体部54a)が接離動作することで、第1バルブ51が開閉する。
【0067】
尚、第1ピストン54には、弁座部57を貫通する形状を成す制御ピストン60が下方から当接している。制御ピストン60は付勢手段としてのコイルばね59により図の上方に付勢されており、例えば
図6の状態では、第1ピストン54が制御ピストン60によって押し上げられることで開弁した状態となっている。尚、制御ピストン60において下部の大径部はその上面(符号60cで示す)が第2バルブ52側からのエア圧を受ける受圧面となっている。
【0068】
続いてばね座61は、ストッパ64により固定されたベース63のねじ穴に螺合する調整ねじ62により図の上下方向に移動可能となっており、これによりコイルばね59が制御ピストン60を付勢する付勢力(即ち、プレッシャガバナ4’の入れ込み圧力)を調整できる様になっている。
【0069】
<<第2バルブ52の構成>>
次に、第2バルブ室50bには、プレッシャガバナ4’の切り放し圧力を規定する第2バルブ52が設けられている。第2バルブ52は、第2ピストン66と、第2付勢手段としてのコイルばね65と、ばね座68と、調整ねじ69と、ベース70と、ストッパ71と、を備えて構成されている。
【0070】
第2ピストン66は、弁体部66aとばね座部66bとにより構成され、これらが一体となって図の上下方向に摺動可能に収容されるとともに、コイルばね65によって図の上方向(閉弁方向)に付勢された状態に設けられている。第2ピストン66(弁体部66a)は、上下方向に摺動することでガバナ本体50に一体的に形成された弁座部50fに対して接離動作し、これにより第2バルブ52が開閉する。
【0071】
尚、ばね座68は、ストッパ71により固定されたベース70のねじ穴に螺合する調整ねじ69により図の上下方向に移動可能となっており、これによりコイルばね65が第2ピストン66を付勢する付勢力(即ち、プレッシャガバナ4’の切り放し圧力)を調整できる様になっている。
【0072】
<<プレッシャガバナ4’の動作>>
以上の構成を備えたプレッシャガバナ4’は、入れ込み圧力到達後から切り放し圧力到達に至るまでの過程(コンプレッサ90のロード状態)においては、第1バルブ51は開弁状態をとり(ノーマルオープン)、第2バルブ52は閉弁状態をとる(ノーマルクローズ)。
図6はこのときの状態を示しており、入力ポート83に圧縮エアが入力されるが(実線矢印)、第2ピストン66を押し下げる圧力には達していない。
【0073】
尚、この状態では制御出力ポート85から排気ポート86に向かう流路が確保され、制御出力ポートが大気開放されている(破線矢印)。またこの状態では、第1ピストン54にエア圧が掛かり、閉弁方向(図の下方向)に押されているが、制御ピストン60にエア圧が掛かっていない為、コイルばね59の付勢力によって第1ピストン54は制御ピストン60によって支持され、開弁状態を保っている。
【0074】
次に、入力ポート83に入力される圧縮エアの圧力が高まり、切り放し圧力に達すると、
図7に示す様に第2ピストン66が押し下げられ、第2バルブ52が開く。
図7は第2バルブ52が開いた瞬間の状態を示しており、第2バルブ52が開くことで通路50eを介して第1バルブ室50aにエアが流れ込み、入力ポート83から制御出力ポート85に至るエア流路が遮断状態から開放状態に切り換わり、実線矢印で示す様に制御出力ポート85から制御指令圧が送出される。
【0075】
この時点では第1バルブ51は開いているが(
図7の破線矢印)、第2バルブ52が開くと、制御ピストン60に押し下げ方向のエア圧が掛かるので、
図8に示す様に制御ピストン60は下方向に移動する。すると、これにより第1ピストン54も下方に移動し、弁座部57に接して、第1バルブ51がクローズする。これによって、制御出力ポート85から排気ポート86への大気開放ルートが遮断される。
【0076】
その後、入力ポート83に入力される圧縮エアの圧力が徐々に下がり、第1バルブ51の入れ込み圧力に達すると、
図9に示す様に制御ピストン60と第1ピストン54とが上方向に移動して第1バルブ51が開く。これにより、制御出力ポート85から排気ポート86への大気開放ルートが開放されて、制御出力ポート85からの制御指令圧の送出が停止する。そしてその後、第2バルブ52も閉じ、
図6の状態に戻ることとなる。
【0077】
上記のプレッシャガバナ4’の機能を第1バルブ51、第2バルブ52の状態の観点で整理すると、入力ポート83のエア圧力が入れ込み圧力(第1の圧力)から切り放し圧力(第2の圧力)に向かう過程では、第1バルブ51は開いており且つ第2バルブ52は閉じており、これにより入力ポート83から制御出力ポート85へ通じるエア流路が遮断されている。また、制御出力ポート85の大気開放ルートが開いている。
【0078】
そして入力ポート83のエア圧力が切り放し圧力に達すると、最初に第2バルブ52が開いて前記エア流路が開放され、その後に第1バルブ51が閉じることで制御出力ポート85の大気開放ルートが遮断される。その後、入れ込み圧力まで下がる過程では、第1バルブ51が閉じ、且つ第2バルブ52が開くことでエア流路が開放される。その後、入れ込み圧力に戻ると、第1バルブ51が閉じることで制御出力ポート85の大気開放ルートが開き、その後に第2バルブ52が閉じることで前記エア流路が遮断される。
【0079】
以上説明した様に、本第2実施形態によれば、先に説明した第1実施形態と同様に入れ込み圧力を規定するバルブと切り放し圧力を規定するバルブの双方を同軸で形成する必要がなく、加工が容易となり、各々のバルブを容易に且つ高精度に製作することができるので、製造歩留まりが向上し、コストダウンを図ることができる。また、プレッシャガバナ全体の構造を単純化することができるので、これによってもコストダウンを図ることができる。
【0080】
加えて、入れ込み圧力と切り放し圧力は、いずれもそれぞれ調整ねじ62、69によって製造後であっても容易に調整可能であることから、製造ばらつきによって規格外のプレッシャガバナが製造されることもなく、製造歩留まりを飛躍的に向上させることができる。
【0081】
■■■本発明に係るエアドライヤの構造及びその内部動作の纏め■■■■■■
以上説明した本発明に係るエアドライヤの構造及びその内部における動作を、
図10〜
図13を参照しながら以下に纏める。尚、
図10〜
図13は、本発明に係るエアドライヤの構造を模式的に示した図であり、プレッシャガバナの構造及び動作については上述した第1実施形態をもとにしている。従って図中の符号は上述した第1実施形態に対応したものである。
【0082】
図10は、エアコンプレッサ90から送出された圧縮エアが乾燥剤5を有する乾燥部2を通り、チェックバルブ6を開弁させた上でエアタンク92に供給されている状態を示しており、プレッシャガバナ4は第1バルブ11によって規定される入れ込み圧力から、第2バルブ12によって規定される切り放し圧力に向かっている状態である。この状態では、出力ポートPcは、プレッシャガバナ4の第2バルブ12を介して破線矢印で示す様に大気開放されている。
【0083】
この状態からプレッシャガバナ4の入力ポート33の圧力が更に高まると、
図11に示す様に第1バルブ11が開き、エア圧力が第2バルブ12にも作用する。その後更にエア圧が高まり、第2バルブ12によって規定される切り放し圧力に到達すると、
図12に示す様に第2バルブ12が開き、出力ポートPcから制御指令圧が送出され、エアコンプレッサ90がアンロード状態となる。また制御指令圧はエギゾーストバルブ3にも送られ、これによりエギゾーストバルブ3が開く。
【0084】
そして、減圧作用によって乾燥部2内の乾燥エアが乾燥処理時とは逆向きに流れ、これによって乾燥部2内の乾燥剤5から水分を奪いながら外部へ排出されることで、乾燥剤5の再生が図られる。
【0085】
そしてプレッシャガバナ4に入力されるエアが第1バルブ11によって規定される入れ込み圧力まで低下すると、
図13に示す様にエキゾーストバルブ3が閉じ、またプレッシャガバナ4では第1バルブ11が閉じる。尚この状態では、第1バルブ11を介して出力ポートPcが大気開放される。そしてその後、エアコンプレッサ90がロード状態となり、また更にプレッシャガバナ4では第2バルブ12が閉じて、再び
図10で示すエアコンプレッサ90のロード状態に戻ることとなる。
【0086】
■■■本発明の第3実施形態■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
続いて、
図14〜
図17を参照しながら、本発明の第3実施形態に係るプレッシャガバナ4”について説明する。ここで、
図14〜
図17は本発明の第3実施形態に係るプレッシャガバナ4”の断面図であり、
図14は第1バルブ11’がクローズ(閉弁)状態にあり且つ第2バルブ12’がクローズ(閉弁)状態にある様子を、
図15は第1バルブ11’がオープン(開弁)状態にあり且つ第2バルブ12’がクローズ(閉弁)状態にある様子を示している。
【0087】
更に
図16は第1バルブ11’がオープン(開弁)状態にあり且つ第2バルブ12’がオープン(開弁)状態にある様子を、
図17は第1バルブ11’がクローズ(閉弁)状態にあり且つ第2バルブ12’がオープン(開弁)状態にある様子を、それぞれ示している。尚、プレッシャガバナ4”の動作順としては
図14→
図15→
図16→
図17→
図14(以下同様)の順となる。
【0088】
図14〜
図17に示すプレッシャガバナ4”は、上述した第1実施形態に係るプレッシャガバナ4と同様にノーマルクローズ構造であるが、第1実施形態に係るプレッシャガバナ4と異なる点は、第1、第2の各ピストンのそれぞれに設けられていたシールリングがガバナ本体10’側に設けられる点にある。
【0089】
また、第1、第2の各ピストンはコイルばね15、25によって直接押圧される構造ではなく、ばね座17、38を介して押圧される構成である。更に、大気と連通する排気通路(第1実施形態において排気通路35、36)が一つの排気通路37で構成される。加えて第1、第2の各ピストンの細部形状、構造も若干異なる。但し、第1、第2の各バルブによって入れ込み圧力、切り放し圧力が規定される点や、ガバナ全体での動作は第1実施形態と同様である。
図14〜
図17では、第1実施形態に係るプレッシャガバナ4と同一構成については同一符号を付し、以下ではその説明は省略するものとする。
【0090】
プレッシャガバナ4”は、その基体を構成するガバナ本体10’に形成された第1バルブ室10a’に、第1バルブ11’が設けられており、この第1バルブ11’は、第1ピストン41と、コイルばね15と、ばね座17、18と、調整ねじ19と、を備えて構成されている。
【0091】
第1バルブ室10a’に収容される第1ピストン41は、第1実施形態に係る第1ピストン14と異なり、更に多くの内部通路(符号41a、41b、41c、41dで示す)が形成されている。尚、第1バルブ11’が収容される第1バルブ室10a’と、後述する第2バルブ12’が収容される第2バルブ室10b’は、上記第1実施形態とは異なり相互に連通しており、そして両バルブ室の間に共通の排気通路37が形成されている。
【0092】
第1バルブ室10a’の内周には第1ピストン41の周方向に沿って形成された溝10h、10jが、第1ピストン41の移動方向に所定の間隔を空けて形成されている。そしてこの溝10h、10jのそれぞれにシールリング(Oリング)16A、16Bが設けられ、これによって第1ピストン41の摺動方向(図面上下方向)に沿ってシール空間が複数画設された状態となっている。
【0093】
第2バルブ室10b’に収容される第2ピストン42も、第1実施形態に係る第2ピストン24と異なり、複数の内部通路(符号42e、42f、42g、42hで示す)が形成されている。そして第2バルブ室10b’の内周には第2ピストン42の周方向に沿って形成された溝10k、10m、10nが形成されており、これら溝10k、10m、10nのそれぞれにシールリング(Oリング)23A、23B、23Cが設けられ、これによって第2ピストン42の摺動方向(図面上下方向)に沿ってシール空間が複数画設された状態となっている。
【0094】
尚、第2バルブ室10b’は、第1実施形態に係る第2バルブ室10bと同様に、上部径が細くなっており、より具体的には上部の細径部10fと下部の大径部10gとで構成されており、第2ピストン42もこれに対応する様に上部の細径部42aと下部の大径部42bとを備えている。そして大径部42bの上面(符号42dで示す)が、エア圧を受ける受圧面として機能する様になっている。更に小径部42aの上面も、エア圧を受ける受圧面となる。
【0095】
以上の構成を備えたプレッシャガバナ4”は、入れ込み圧力到達後から切り放し圧力到達に至るまでの過程(コンプレッサ90のロード状態)の初期には、第1バルブ11’、第2バルブ12’、の双方が閉弁状態をとる(双方ノーマルクローズ)。
図14はこのときの状態を示しており、入力ポート33に圧縮エアが入力されるが(
図14の実線矢印)、第1ピストン41を押し下げる圧力には達していない。
【0096】
またこのとき、制御出力ポート34はバルブ本体10’に形成された大気開放路10eと、第2ピストン24に形成された内部通路42h、42gを介して第2バルブ室10b’、そして排気通路37と連通し、即ち制御出力ポート34が大気開放された状態にある(
図14の破線矢印)。
【0097】
次に、入力ポート33に入力される圧縮エアの圧力が高まると、
図15に示す様に第1ピストン41が押し下げられ、第1バルブ11’が開く。これにより、圧縮エアが第1ピストン41の内部通路41a、41b、バルブ本体10’の内部通路10c、のこれらを経由して第2バルブ12’に流れ込み(
図15の実線矢印)、第2ピストン42の受圧面42dがエア圧を受ける。しかしこの状態では、第2バルブ12’の切り放し圧力に到達していないので、第2バルブ12’は閉じている。
【0098】
そしてエア圧が更に高まり、第2バルブ12’の切り放し圧力に到達すると、
図16に示す様に第2ピストン42が押し下げられ、第2バルブ12’が開く。これにより入力ポート33から、第1バルブ11’、通路10c、第2バルブ12’、通路10d、を介して制御出力ポート34に向かうエア流路が遮断状態から開放状態に変化し、制御出力ポート34から制御指令圧が送出される。尚この状態において、大気開放路10eを介して第2ピストン42の大径部42b側にエアが流れ込むが、上述した第1実施形態に係る第2ピストン24の受圧面24dに相当する受圧面は形成されていないので、第2ピストン42の大径部42bは開弁方向の力は受けない。
【0099】
次に、入力ポート33に入力される圧縮エアの圧力が徐々に下がり、第1バルブ11’の入れ込み圧力に達すると、
図17に示す様に第1バルブ11’が閉じる。この状態で、制御出力ポート34の先に残った圧縮エアは、
図17の実線矢印で示す様に通路10d、第2バルブ12の内部通路42e、42f、通路10c、第1バルブ41の内部通路41d、41c、第1バルブ室10a’、排気通路37、のこれらを経由して大気放出される。そしてその後、第2ピストン42が復帰すると、
図17の状態から
図14の状態に戻ることとなる。
【0100】
以上説明した様に、当該第3実施形態に係るプレッシャガバナ4”によれば、先に説明した第1実施形態と同様に入れ込み圧力を規定するバルブと切り放し圧力を規定するバルブの双方を同軸で形成する必要がなく、加工が容易となり、各々のバルブを容易に且つ高精度に製作することができるので、製造歩留まりが向上し、コストダウンを図ることができる。また、プレッシャガバナ全体の構造を単純化することができるので、これによってもコストダウンを図ることができる。
【0101】
加えて、第1バルブ11’によって規定される入れ込み圧力と第2バルブ12’によって規定される切り放し圧力は、いずれもそれぞれ調整ねじ19、29によって、製造後であっても事後的に容易に調整可能である。従って製造ばらつきによって規格外のプレッシャガバナが製造されることもなく、製造歩留まりを飛躍的に向上させることができる。
【0102】
更に本実施形態では、第1バルブ室10a’と第2バルブ室10b’は、共通のベース39によって閉塞される構造であるので、これによっても低コスト化が図られている。尚、本実施形態では、第1バルブ室10a’と第2バルブ室10b’は内径が同じであり、各バルブ室に収容されるコイルばね15、25は、それぞれ長さのみが異なるものの同じ規格のばねを用いている。
【0103】
そして、第3実施形態特有の作用効果として、第1バルブ11’及び第2バルブ12’の各バルブにおいてピストンとバルブ室との間でシール機能を発揮するシールリング(16A、16B、23A〜23C)が、ピストン側ではなくバルブ内壁側に設けられており、各ピストンとともに移動しない構成であることから、第1ピストン41及び第2ピストン42が各バルブ室内で傾こうとした際に各シールリングが各バルブ室の内壁に片当たりすることを防止できる。これにより、各ピストンの摺動性が極めて良好になるとともに、各シールリングの耐久性を向上させることができる。尚、本実施形態ではこの様な構成を第1バルブ11’及び第2バルブ12’の双方に適用しているが、いずれか一方であっても構わない。