(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一般式(I)の化合物が、2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、アセトアセトアミド、アセト酢酸、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸−t−ブチル、アセト酢酸−n−ヘキシル、マロンアミド、マロン酸、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジ−n−プロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジ−n−ブチル、アセトンジカルボン酸またはアセトンジカルボン酸ジメチルであることを特徴とする請求項2に記載のカンバス。
前記一般式(II)の化合物が、2−シアノ酢酸メチル、2−シアノ酢酸エチル、2−シアノ酢酸−n−プロピル、2−シアノ酢酸イソプロピル、2−シアノ酢酸−n−ブチル、2−シアノ酢酸イソブチル、2−シアノ酢酸−tert−ブチル、2−シアノアセトアミドまたはプロパンジニトリルであることを特徴とする請求項2に記載のカンバス。
前記タンニンが、ミモザ(mimosa)、ケブラコ(quebracho)、松、ピーカンナッツ(pecan nut)、ベイツガ材(hemlock wood)またはウルシ(sumac)タンニンであることを特徴とする請求項1に記載のカンバス。
よられたガラス糸を縦糸に、よられていない嵩高加工ガラス糸を横糸に含むこと、および該縦糸および横糸の線密度は34〜1500texで変わることを特徴とする請求項10に記載のカンバス。
前記処理は、前記パジング機(3)または前記装置(30)の後、前記塗装カンバスが乾燥装置(5)を通過する前に、前記物質を適用することにあることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
「ホルムアルデヒドと反応できる化合物」は、共有結合でホルムアルデヒドと結合する有機化合物を意味すると理解される。
【0014】
好ましい、ホルムアルデヒドと反応できる化合物は、以下から選択される。
【0015】
1 − 好ましくは、以下の一般式に対応する活性メチレンを含む化合物:
>一般式(I)
【化1】
ここで、
− R
1およびR
2は、同一であるか異なり、水素原子、C
1〜C
20、好ましくはC
1〜C
6のアルキルラジカル、アミノラジカル、または一般式
【化2】
のラジカルであり、
ここで、R
4は、
【化3】
のラジカル、または、
【化4】
のラジカルであり(ここで、R
5=Hまたは−CH
3である)、pは、1〜6で変わる整数であり、
− R
3は、水素原子、C
1〜C
10のアルキルラジカル、フェニルラジカルまたはハロゲン原子であり、
− aは0または1に等しく、
− bは0または1に等しく、
− nは1または2に等しい。
【0016】
一般式(I)の好ましい化合物は、
− 2,4−ペンタンジオン:
R
1=−CH
3、R
2=−CH
3、R
3=H、a=0、b=0、n=1、
− 2,4−ヘキサンジオン:
R
1=−CH
2−CH
3、R
2=−CH
3、R
3=H、a=0、b=0、n=1、
− 3,5−ヘプタンジオン:
R
1=−CH
2−CH
3、R
2=−CH
2−CH
3、R
3=H、a=0、b=0、n=1、
− 2,4−オクタンジオン:
R
1=−CH
3、R
2=−(CH
2)
3−CH
3、R
3=H、a=0、b=0、n=1、
− アセトアセトアミド:
R
1=−CH
3、R
2=−NH
2、R
3=H、a=0、b=0、n=1、
− アセト酢酸:
R
1=−CH
3、R
2=H、R
3=H、a=0、b=1、n=1、
− アセト酢酸メチル:
R
1=−CH
3、R
2=−CH
3、R
3=H、a=0、b=1、n=1、
− アセト酢酸エチル:
R
1=−CH
3、R
2=−CH
2−CH
3、R
3=H、a=0、b=1、n=1、
− アセト酢酸−n−プロピル:
R
1=−CH
3、R
2=−(CH
2)
2−CH
3、R
3=H、a=0、b=1、n=1、
− アセト酢酸イソプロピル:
R
1=−CH
3、R
2=−CH(CH
3)
2、R
3=H、a=0、b=1、n=1、
− アセト酢酸イソブチル:
R
1=−CH
3、R
2=−CH
2−CH(CH
3)
2、R
3=H、a=0、b=1、n=1、
− アセト酢酸−t−ブチル:
R
1=−CH
3、R
2=−C(CH
3)
3、R
3=H、a=0、b=1、n=1、
− アセト酢酸−n−ヘキシル:
R
1=−CH
3、R
2=−(CH
2)
5−CH
3、R
3=H、a=0、b=1、n=1、
− マロンアミド:
R
1=−NH
2、R
2=−NH
2、
3=H、a=0、b=0、n=1、
− マロン酸:
R
1=H、R
2=H、R
3=H、a=1、b=1、n=1、
− マロン酸ジメチル:
R
1=−CH
3、R
2=−CH
3、R
3=H、a=1、b=1、n=1
− マロン酸ジエチル:
R
1=−CH
2−CH
3、R
2=−CH
2−CH
3、R
3=H、a=1、b=1、n=1、
− マロン酸ジ−n−プロピル:
R
1=−(CH
2)
2−CH
3、R
2=−(CH
2)
2−CH
3、R
3=H、a=1、b=1、n=1、
− マロン酸ジイソプロピル:
R
1=−CH(CH
3)
2、R
2=−CH(CH
3)
2、R
3=H、a=1、b=1、n=1、
− マロン酸ジ−n−ブチル:
R
1=−(CH
2)
3−CH
3、R
2=−(CH
2)
3−CH
3、R
3=H、a=1、b=1、n=1、
− アセトンジカルボン酸:
R
1=H、R
2=H、R
3=H、a=1、b=1、n=2、
− アセトンジカルボン酸ジメチル:
R
1=−CH
3、R
2=−CH
3、R
3=H、a=1、b=1、n=2、
− 1,4−ブタンジオールジアセテート:
R
1=−CH
3、R
2=−(CH
2)
4−O−CO−CH
2−CO−CH
3、R
3=H、a=0、b=1、n=1、
− 1,6−ヘキサンジオールジアセテート:
R
1=−CH
3、R
2=−(CH
2)
6−O−CO−CH
2−CO−CH
3、R
3=H、a=0、b=1、n=1、
− メタクリロイルオキシアセト酢酸エチル:
R
1=−CH
3、R
2=−(CH
2)
2−O−CO−C(CH
3)=CH
2、R
3=H、a=0、b=1、n=1、
である。
【0017】
>一般式(II)
【化5】
ここで:
− R
6はシアノラジカルであるか、または
【化6】
のラジカルであり、
ここで:
− R
8は、水素原子、C
1〜C
20、好ましくはC
1〜C
6のアルキルラジカルまたはアミノラジカルであり、
− cは0または1に等しく、
− R
7は、水素原子、C
1〜C
10のアルキルラジカル、フェニルラジカルまたはハロゲン原子である。
【0018】
一般式(II)の好ましい化合物は、
− 2−シアノ酢酸メチル:
R
6=−CO−O−CH
3、R
7=H、
− 2−シアノ酢酸エチル:
R
6=−CO−O−CH
2−CH
3、R
7=H、
− 2−シアノ酢酸−n−プロピル:
R
6=−CO−O−(CH
2)
2−CH
3、R
7=H、
− 2−シアノ酢酸イソプロピル:
R
6=−CO−O−CH(CH
3)
2、R
7=H、
− 2−シアノ酢酸−n−ブチル:
R
6=−CO−O−(CH
2)
3CH
3、R
7=H、
− 2−シアノ酢酸イソブチル:
R
6=−CO−O−CH
2−CH(CH
3)
2、R
7=H、
− 2−シアノ酢酸−tert−ブチル:
R
6=−CO−O−C(CH
3)
3、R
7=H、
− 2−シアノアセトアミド:
R
6=−CO−NH
2、R
5=H、
− プロパンジニトリル:
R
6=−C≡N、R
5=H、
である。
【0019】
>一般式(III)
【化7】
ここで:
− R
9は、−C≡Nまたは−CO−CH
3のラジカルであり、
− qは、1〜4に変わる整数である。
【0020】
一般式(III)の好ましい化合物は、
− トリアセト酢酸トリメチロールプロパン:
R
9=−CO−CH
3、q=1、
− トリシアノ酢酸トリメチロールプロパン:
R
9=−C≡N、q=1、
である。
【0021】
>一般式(IV)
【化8】
ここで:
− Aは、−(CH
2)
3−または−C(CH
3)
2−のラジカルであり、
− rは0または1に等しい。
【0022】
一般式(IV)の好ましい化合物は、
− 1,3−シクロヘキサンジオン:
A=−(CH
2)
3、r=0、
− メルドラム酸:
A=−C(CH
3)
2−、r=1、
である。
【0023】
2 − ヒドラジド、たとえば以下のものである。
a)一般式R
1CONHNH
2のモノヒドラジド。ここでR
1は、アルキルラジカル、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルもしくはtert−ブチルのラジカルであるか、またはアリールラジカル、たとえば、フェニル、ビフェニルもしくはナフチルのラジカルである。上記アルキルまたはアリールのラジカルの水素原子は、水酸基またはハロゲン原子で置換でき、上記アリールラジカルは、アルキルラジカル、たとえば、メチル、エチルまたはn−プロピルのラジカルで置換できると理解される。
b)一般式H
2NHN−X−NHNH
2のジヒドラジド。ここで、Xは、−CO−または−CO−Y−COのラジカルであり、Yは、アルキレンラジカル、たとえば、メチレン、エチレンもしくはトリメチレンのラジカルであるか、またはアリーレンラジカル、たとえば、フェニレン、ビフェニレンもしくはナフチレンのラジカルである。上記アルキレンまたはアリーレンのラジカルの水素原子は、水酸基またはハロゲン原子で置換でき、上記アリーレンラジカルは、アルキルラジカル、たとえば、メチル、エチルまたはn−プロピルのラジカルで置換できると理解される。たとえば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジドおよびカルボヒドラジドを挙げられる。
c)トリヒドラジド、とくにクエン酸トリヒドラジド、ピロメリト酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、ニトリロ三酢酸トリヒドラジドおよびシクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、テトラヒドラジド、とくにエチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジドまたは1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ならびに重合性基を含むヒドラジドモノマーから形成したポリヒドラジド、たとえばポリ(アクリル酸ヒドラジド)またはポリ(メタクリル酸ヒドラジド)などのポリヒドラジド。
【0024】
3 − タンニン、とくにミモザ(mimosa)、ケブラコ(quebracho)、松、ピーカンナッツ(pecan nut)、ベイツガ材(hemlock wood)およびウルシ(sumac)タンニンなどの濃縮タンニン。
【0025】
4 − アミド、たとえば、尿素、1,3−ジメチル尿素、ならびにN−ヒドロキシエチレン尿素、N−アミノエチルエチレン尿素、N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロオキシプロピル)アミノエチルエチレン尿素、N−アクリロキシエチルエチレン尿素、N−メタクリロキシエチルエチレン尿素、N−アクリルアミノエチルエチレン尿素、N−メタクリルアミノエチルエチレン尿素、N−メタクリロイルオキシアセトキシエチレン尿素、N−メタクリロイルオキシアセトアミノエチルエチレン尿素およびN−ジ(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)アミノエチルエチレン尿素などのエチレン尿素およびその誘導体、ジウレア、ビウレット、トリウレット、アクリルアミド、メタクリルアミド、ポリアクリルアミドならびにポリメタクリルアミド。
【0026】
5 − アミノ酸、たとえば、動物または植物由来のグリシン、ペプチドおよびタンパク質。
【0027】
使用されるべきホルムアルデヒドをトラップできる物質の量は、大いに、たとえば、塗装カンバスの0.1〜500g/m
2、好ましくは0.5〜100g/m
2、好都合なことに1〜50g/m
2で変更し得る。
【0028】
もし、適切であるならば、ホルムアルデヒドをトラップできる物質は、ホルムアルデヒドを吸着する少なくとも1種の多孔質材料をさらに含むことができる。
【0029】
この多孔質材料は、10nm〜100μm、好ましくは500nm〜50μm、好都合なことに1〜10μmで変わるサイズを有する粒子の形態で提供される。好ましくは、その粒子は、1〜5000m
2/g、好都合なことに5〜2000m
2/gで変わる比表面積および1〜50nm、好ましくは1〜20nmで変わる平均ポア直径を示す。
【0030】
多孔質材料は、ミクロポーラス(microporous)もしくはメソポーラス(mesoporous)のヒュームドもしくは非ヒュームドシリカ、カーボンブラック、ゼオライトまたは多孔質ポリマーであり得る。
【0031】
本発明による塗装カンバスは、ガラスファイバをベースとし、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどの熱可塑性有機材料からなるファイバを所望により含み得る。
【0032】
好ましくは、塗装カンバスは、多数のガラス単繊維(またはベース糸)からなるガラス糸から得られた、または、これらの糸、とくに粗紡の形態のこれらのベース糸の集まりから、または多数のガラス単繊維からなる少なくとも1種のガラス糸と多数の上記熱可塑性有機材料の単繊維からなる少なくとも1種の糸とを含む混合糸から、または均質に混合したガラス単繊維と上記有機材料の単繊維とからなる「混繊」糸から由来する布地である。
【0033】
上記糸は、よっていない糸またはより糸であり得る。
【0034】
糸の構成に関与するガラスは、いずれのタイプのガラスでも、たとえば、E、C、RまたはAR(耐アルカリ性)であり得る。ガラスEが好ましい。
【0035】
糸を構成するガラス単繊維の直径は、大いに、たとえば、5〜30μmで変わり得る。同じように、糸の線密度は、広く、34〜1500texの範囲で変わり得る。
【0036】
好都合なことに、塗装カンバスは、よられたガラス糸(織編用糸)を縦糸に、ガラス糸にボリュームを与えるようにガラス単繊維を引き離すことを目標とする処理を受けている、よられていないガラス糸(または「嵩高加工」糸)を横糸に含む。縦糸および横糸の線密度は、50〜500texで好ましくは変わる。
【0037】
好ましくは、塗装カンバスは、30〜1000g/m
2で変わる単位面積当たりの重量を示す。
【0038】
従来は、塗装カンバスは、糸を維持し、孔をおおい隠し、最終の支持物上への配置が好適に実行されるのに適切な剛性を与える仕上げ組成物でコーティングされている。好ましくは、そのコーティングは、塗装カンバスの両面で実行される。
【0039】
仕上げ組成物は、重量パーセントで、以下のものを含む水性溶液の形態で一般に提供される。
− 5〜100%の、25℃のオーダーの温度の冷たい状況の下で溶解するデンプンなどのデンプン質化合物からなる構造化化合物。
− 0〜90%の疎水性のポリマー。たとえば、ビニルアセテートの、(メタ)アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、とくにスチレン/(メタ)アクリル酸コポリマー。
− 0〜15%の白色および隠ぺいフィラー。たとえば、酸化チタニウム。
− 0〜40%の難燃剤。たとえば、ジルコニウム塩。
− 0〜30%の気泡剤。たとえば、アミンオキシド。
− 0〜20%の泡安定化剤。たとえば、ステアリン酸アンモニウム。
− 0〜20%の撥水剤。たとえば、パラフィンまたは三酸化アンチモン。
− 0〜10%の殺生剤および/または抗カビ剤。
【0040】
塗装カンバスは、裏側の面(最終的な配置で、支持物と接着剤で接合される面)上に水と反応できる接着剤の追加の層を含むことができる。そのような層により、操作者は、コーティングされた面に水を単に塗布することによって、接着剤で処理された面を再活性化させ、支持物上にそのカンバスを直接配置することができる。
【0041】
塗装カンバスの製造方法は、本発明の別の主題を構成する。
【0042】
図1は、塗装カンバスに仕上げ組成物を適用することができる従来のプラントの概略図である。
【0043】
リール(2)から巻きの解けた塗装カンバス(1)は、仕上げ組成物が入っているタンク(4)に浸されているローラー(3a)およびローラー(3b)を含むパジング機(3)の中を、矢印が示す方向に通過する。ローラー3aの上を通過すると、塗装カンバス(1)は、仕上げ組成物でコーティングされる。堆積される量は、ローラー3a,3b間の距離によって調節される。
【0044】
その方法の別の形態によれば、パジング機3は、
図2の装置30に置き換えられる。それは、圧力下、仕上げ組成物を導入するための中心パイプ32をそれぞれ含む2つのローラー31a,31bを含む。ローラー31a,31bの外面領域には、塗装カンバスの上に堆積する仕上げ組成物が通過する打ち抜き穴33が備えられている。ローラー31a,31bの下に配置されている装置34によって、余分な仕上げ組成物を再利用することが可能になる。
【0045】
この別の態様により、塗装カンバス(1)の両面に仕上げ組成物を適用することが可能になる。それは、塗装カンバスの波形パターンを「押しつぶす」ことをしないという有利な点を示す。したがって、上記パターンは、本来の起伏を保持する。その起伏は、後のペンキを適用するときに有利であることが示される。
【0046】
コーティングされた塗装カンバスは、接触すると水が除去される3つの加熱ローラー(5a,5b,5c)を含む乾燥装置(5)の中をその後通過する。乾燥装置の中に存在するローラーの数は、1〜20本で変わり、好ましくは14本を超えない。
【0047】
好都合なことに、乾燥装置の中の温度は減少する。すなわち、最初のローラーは、最後のローラーの温度よりも高い温度に加熱される。最初のローラーに適用される最大温度は、塗装カンバスを構成する糸の性質によって決まる。たとえば、糸がガラスで作製される場合、最初のローラーの温度は240℃に等しく、最後のローラーの温度は110℃に等しい。熱可塑性有機材料の単繊維を含む混繊混繊糸が関係している場合、最初のローラーの最大温度はより低くなる。しかし、最大温度は、最も低い融点を有する熱可塑性有機材料の融点を超えてはならない。
【0048】
他の乾燥装置、たとえば、加熱空気を噴出する装置または赤外線によって作用する装置を使用してもよい。
【0049】
もし適切であれば、乾燥装置5の後に1つまたは2つ以上の加熱していないローラー(不図示)を配置することができる。これらのローラーの役割は、とくにカンバスを案内することおよび/またはリール2を取り替えられるようにするためにラインの速度を調節することである。
【0050】
仕上げが終わった塗装カンバス(6)は、その後、巻きもの(7)の形態で回収される。
【0051】
本発明によれば、ホルムアルデヒドをトラップできる物質を使用して処理する段階が、この従来のプラントに加わる。
【0052】
第1の態様によれば、ホルムアルデヒドをトラップできる物質は、仕上げ組成物の中に導入される。ホルムアルデヒドをトラップできる物質を適用するための任意の追加の装置を必要としないので、この態様は好ましい。それは、経済的観点から有利である。
【0053】
第2の態様によれば、ホルムアルデヒドをトラップできる物質は、パジング機(3)または装置(30)の後、かつ、塗装カンバスが乾燥装置(5)の中を通過する前に適用される。
【0054】
上記物質は、任意の知られている方法で、好ましくは、
図1に描かれている噴霧器(8)を作動させる装置を使用して適用され得る。
【0055】
たとえば、この装置は、ホルムアルデヒドをトラップできる物質の水性溶液を供給される複数のスプレーノズルからなり得る。それらは、塗装カンバスの上側の面(または表側の面)に接触するとすぐに浸透する発散した流れを作り出す。
【0056】
もし、適切である場合、たとえば、従来のアプリケータ−ロールを使用して、ホルムアルデヒドをトラップできる物質を下側の面(または裏側の面)にさらに適用することができる。
【0057】
また、仕上がった塗装カンバス上に、好ましくは表側の面上に、吸尽によって、ホルムアルデヒドをトラップできる物質を適用することができる。しかし、水性溶液の形態である、ホルムアルデヒドをトラップできる物質を適用するためのおよび水を除去するための、追加の段階および特定の方法が必要になるので、この方法での実施は、より費用がかかる。
【0058】
次の例は、本発明を限定することなく、本発明を説明することができる。
【0059】
例1および2
重量パーセントで以下の成分を含む仕上げ組成物を作製する。
25℃で溶解可能なデンプン 5.5
アクリルバインダー(Acronal(登録商標)S559, BASF) 9.2
酸化チタニウム 0.2
パラフィン 0.3
ジルコニウム塩 0.4
ホルムアルデヒドをトラップできる物質 5.4
水 79.0
【0060】
かき混ぜながら水および様々な成分を容器の中に導入し、ホルムアルデヒドをトラップできる物質を最後に導入することによって仕上げ組成物が得られる。ホルムアルデヒドをトラップできる物質は、アセトアセトアミド(例1)とアジピン酸ジヒドラジド(例2)である。
【0061】
330texのオーダーの線密度および1.9本/cmの横糸密度を有する横糸の織編用ガラス糸ならびに140texのオーダーの線密度および3本/cmの縦糸密度を有する縦糸のガラス糸を含み、120g/m
2の単位面積当たりの重量を有するガラスクロスの形態で用意された塗装カンバスをコーティングするのに、仕上げ組成物が使用される。
【0062】
仕上げ組成物は、
図1のプラントの中で適用される。
【0063】
パジング機(3)は、塗装カンバスの1平方メートル当たり、310gのオーダーの仕上げ組成物が堆積されるように調節される。
【0064】
回収された塗装カンバスは、塗装カンバスの1平方メートル当たり65g(乾燥重量)の仕上げ剤を含み、ホルムアルデヒドをトラップできる物質の量は、17gに等しい。
【0065】
このカンバスは、次の条件下で、ホルムアルデヒドの吸着および脱離の試験を受ける。
【0066】
塗装カンバスの試料は、テストチャンバーの中の相対湿度が45%に等しい点で変更されたISO標準16000−9に準拠した装置の中に配置される。
【0067】
a)第1ステップでは、50μg/m
3のオーダーのホルムアルデヒドを含む空気の連続流をチャンバーに7日間供給する。チャンバーに入るおよびチャンバーから出て行く空気中のホルムアルデヒドの量を測定し、塗装カンバスによって吸着されるホルムアルデヒドの割合を計算する。
【0068】
b)第2ステップでは、ホルムアルデヒドを含まない空気をチャンバーに1日間供給し、チャンバーの出口における空気中に存在するホルムアルデヒドの量を測定する。
【0069】
ISO標準16000−3の条件の下、液体クロマトグラフィ(HPLC)によって、ホルムアルデヒドを測定する。
【0070】
ホルムアルデヒドをトラップできる物質を含まない仕上げ組成物でコーティングされたカンバス(参照)と比較して、ホルムアルデヒドをトラップできる物質を含む仕上げ組成物でコーティングされた塗装カンバスについて、塗装カンバスによって吸着されたホルムアルデヒドの割合およびチャンバーの出口における空気中のホルムアルデヒドの量を表1に示す(例1および2)。
【0072】
例1および例2について吸着されたホルムアルデヒドの量は、参照に関するものに比べて多いことがわかる。ホルムアルデヒドの吸着は、1日間では、それぞれ、13倍(例1)および7.8倍(例2)多く、試験期間を通して、比較的一定のままである。
【0073】
例1および2において放出されたホルムアルデヒドは、参照のものに比べて非常に少ない。6μg/m
3の値は、テストチャンバーが塗装カンバスの試料をまったく含んでいない場合の条件下で測定された、放出されたホルムアルデヒドの量と同等であることを述べる。
【0074】
例3〜6
重量パーセントで以下の成分を含む仕上げ組成物を作製する。
25℃で溶解可能なデンプン 3.9
アクリルバインダー(Acronal(登録商標)S559, BASF) 11.8
酸化チタニウム 0.1
パラフィン 0.5
ジルコニウム塩 1.50
ホルムアルデヒドをトラップできる物質 3.8
水 78.4
【0075】
かき混ぜながら水および様々な成分を容器の中に導入し、ホルムアルデヒドをトラップできる物質を最後に導入することによって仕上げ組成物が得られる。
【0076】
ホルムアルデヒドをトラップできる物質は、アセトアセトアミド(例3)、アジピン酸ジヒドラジド(例4)、エチレン尿素(例5)およびアカシア類タンニン(例6)である。
【0077】
330texのオーダーの線密度および1.9本/cmの横糸密度を有する横糸の織編用ガラス糸ならびに140texのオーダーの線密度および3本/cmの縦糸密度を有する縦糸のガラス糸を含み、80g/m
2の単位面積当たりの重量を有するガラスクロスの形態で用意された塗装カンバスをコーティングするのに、仕上げ組成物が使用される。
【0078】
仕上げ組成物は、
図1のプラントの中で適用される。
【0079】
パジング機(3)は、塗装カンバスの1平方メートル当たり470gのオーダーの仕上げ組成物が堆積されるように調節される。
【0080】
回収された塗装カンバスは、塗装カンバスの1平方メートル当たり65g(乾燥重量)の仕上げ剤を含み、ホルムアルデヒドをトラップできる物質の量は、18gに等しい。
【0081】
このカンバスは、次の条件下で、ホルムアルデヒドの吸着および脱離の試験を受ける。
【0082】
塗装カンバスの試料は、テストチャンバーの中の相対湿度が50%に等しい点で変更されたISO標準16000−9に準拠した装置の中に配置される。
【0083】
a)第1ステップでは、50μg/m
3のオーダーのホルムアルデヒドを含む空気の連続流をチャンバーに3日間供給する。チャンバーに入るおよびチャンバーから出て行く空気中のホルムアルデヒドの量を測定し、塗装カンバスによって吸着されるホルムアルデヒドの割合を計算する。
【0084】
b)第2ステップでは、ホルムアルデヒドを含まない空気をチャンバーに供給し、2日後、4日後および8日後におけるチャンバーの出口における空気中に存在するホルムアルデヒドの量を測定する。
【0085】
ISO標準16000−3の条件の下、3μg/m
3の検知いきを達成することが可能である検出器を使用して、液体クロマトグラフィ(HPLC)によって、ホルムアルデヒドを測定する。
【0086】
塗装カンバスをまったく含まないテストチャンバー(参照)と比較して、ホルムアルデヒドをトラップできる物質を含む仕上げ組成物でコーティングされた塗装カンバスについて、塗装カンバスによって吸着されたホルムアルデヒドの割合およびチャンバーの出口における空気中のホルムアルデヒドの量を表2に示す。
【0087】
吸着および脱離試験の結果を表2に示す。