特許第5749663号(P5749663)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749663
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】柱構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20150625BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   E04B1/58 600E
   E04B1/26 F
   E04B1/58 507L
   E04B1/58 511L
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-4570(P2012-4570)
(22)【出願日】2012年1月13日
(65)【公開番号】特開2013-142282(P2013-142282A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】片田 和也
【審査官】 湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−108141(JP,A)
【文献】 特開2011−226166(JP,A)
【文献】 特開平01−137046(JP,A)
【文献】 特開平07−197522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 1/26
E04B 2/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎または床から上方に突出するアンカーボルトまたは緊結ボルトに断面矩形状の柱部材の下端部が結合金物によって結合された柱構造であって、
前記結合金物は、前記アンカーボルトまたは緊結ボルトの上端部が締結された金物本体と、この金物本体の側面から立ち上がる側板部とを備え、
前記柱部材の側面下端部には、前記側板部の厚さと略等しい深さに窪んだ取付面が形成され、
前記金物本体の上面に前記柱部材の下端面が当接されるとともに、前記側板部に前記取付面が固定されることにより、前記側板部の表面と前記柱部材の側面とが面一になっており
前記側板部は、その幅を当該側板部が固定される前記柱部材の側面の幅より小さくすることによって、当該側面の両側に釘打ち代を残して前記取付面に固定され、
前記柱部材の前記側面に、構造部材がその下端部を前記側板部に当接させるとともにその他の部分を前記柱部材に当接させた状態で固定され、当該下端部はこれを通して釘を前記釘打ち代に打ち込むことによって固定されていることを特徴とする柱構造。
【請求項2】
請求項1に記載の柱構造において、
前記金物本体は断面ロ字形に形成され、その下壁部に前記アンカーボルトまたは緊結ボルトの上端部が挿通されてナットによって締結され、
前記金物本体の対向する側面からそれぞれ一対の前記側板部が立ち上がり、
この一対の側板部に前記柱部材の対向する側面がそれぞれ固定され、
この柱部材の対向する側面にそれぞれ前記構造部材が固定されていることを特徴とする柱構造。
【請求項3】
請求項2に記載の柱構造において、
前記結合金物は、その金物本体の開口部を前記基礎の厚さ方向または前記床の奥行き方向に向けて配置されていることを特徴とする柱構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の柱構造において、
前記構造部材は前記柱部材の長手方向に沿って長尺な角材であり、前記構造部材の上端面は前記柱部材の上端面より低くなっていることを特徴とすることを特徴とする柱構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の柱構造において、
床から上方に突出する前記緊結ボルトの上端部に前記柱部材の下端部が前記結合金物によって結合されており、
前記柱部材を上側柱部材とし、前記床の下方に断面矩形状の下側柱部材が前記上側柱部材と同軸に配置され、
前記緊結ボルトの下端部が前記床から下方に突出し、この緊結ボルトの下端部に前記下側柱部材の上端部が、前記結合金物と同じ結合金物を上下反転してなる反転結合金物によって結合され、
前記反転結合金物は、前記緊結ボルトの下端部が締結された金物本体と、この金物本体の側面から垂れ下がる側板部とを備え、
前記金物本体の下面に前記下側柱部材の上端面が当接されるとともに、前記側板部に前記下側柱部材の上端部の側面が固定され、
前記側板部は、その幅を当該側板部が固定される前記下側柱部材の側面の幅より小さくすることによって、当該側面の両側に釘打ち代を残してこの側面に固定され、
前記下側柱部材の前記側面に、構造部材がその一部を前記側板部に重ねて固定され、当該一部はこれを通して釘を前記釘打ち代に打ち込むことによって固定されていることを特徴とする柱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎等から上方に突出するアンカーボルトに柱部材の下端部が結合金物によって結合された柱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
基礎から上方に突出するアンカーボルトに柱部材の下端部が結合金物によって結合された柱構造の一例として特許文献1に記載の技術が知られている。
この技術は、基礎上に床パネルが敷設され、この床パネル上に壁パネルが立設されるパネル工法において、前記壁パネルと隣接して前記床パネル上に立設される補強柱(柱部材)と、この補強柱の立設位置で前記基礎に埋設されて前記床パネル上に突出するアンカーボルトと、前記アンカーボルトを挿通する取付穴を有してナットによって前記床パネルに固定される底板部と、この底板部から屈曲起立して前記補強柱の側面に面接触し複数の固着穴を有して固着手段によって前記補強柱を固定する側板部と、を有する結合金物と、前記結合金物の前記底板部に設置され、前記アンカーボルトを避けてこのアンカーボルトの上方で前記補強柱の下端面を載置して支持する柱載置金物と、を含むことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−197522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1には、補強柱(柱部材)に壁パネル等の壁部材、まぐさ等の横架材等の構造部材をどのようにして接合しているかについては開示されていない。
補強柱の対向する両側面には、結合金物の側板部が面接触しているので、上記のような壁部材や横架材等の構造部材を補強柱に釘等によって接合する場合、この側板部が釘に干渉して、釘を容易に打ち込むことができない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、柱部材に壁部材や横架材等の構造部材を容易かつ確実に接合できる柱構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1図6に示すように、基礎1または床20から上方に突出するアンカーボルト2または緊結ボルト22に断面矩形状の柱部材3の下端部が結合金物4によって結合された柱構造であって、
前記結合金物4は、前記アンカーボルト2または緊結ボルト22の上端部が締結された金物本体10と、この金物本体10の側面から立ち上がる側板部11とを備え、
前記柱部材3の側面下端部には、前記側板部11の厚さと略等しい深さに窪んだ取付面3bが形成され、
前記金物本体10の上面に前記柱部材3の下端面が当接されるとともに、前記側板部11に前記取付面3bが固定されることにより、前記側板部11の表面と前記柱部材3の側面3aとが面一になっており
前記側板部11は、その幅を当該側板部11が固定される前記柱部材3の側面3aの幅より小さくすることによって、当該側面3aの両側に釘打ち代3d,3dを残して前記取付面3bに固定され、
前記柱部材3の前記側面3aに、構造部材15,25がその下端部を前記側板部11に当接させるとともにその他の部分を前記柱部材3に当接させた状態で固定され、当該下端部はこれを通して釘16を前記釘打ち代3d,3dに打ち込むことによって固定されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、結合金物4の側板部11がその幅を当該側板部11が固定される前記柱部材3の側面3aの幅より小さくすることによって、当該側面3aの両側に釘打ち代3d,3dを残してこの側面3aに固定され、前記柱部材3の前記側面3aに、構造部材15,25がその一部を前記側板部11に重ねて固定され、当該一部はこれを通して釘16を前記釘打ち代3d,3dに打ち込むことによって固定されているので、柱部材3の側面3aに構造部材15,25を容易かつ確実に接合できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の柱構造において、
前記金物本体10は断面ロ字形に形成され、その下壁部10bに前記アンカーボルト2または緊結ボルト22の上端部が挿通されてナット12によって締結され、
前記金物本体10の対向する側面からそれぞれ一対の前記側板部11,11が立ち上がり、
この一対の側板部11,11に前記柱部材3の対向する側面3a,3aがそれぞれ固定され、
この柱部材3の対向する側面3a,3aにそれぞれ前記構造部材15,25が固定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、金物本体10の対向する側面からそれぞれ立ち上がる一対の側板部11,11に柱部材3の対向する側面3a,3aがそれぞれ固定されているので、柱部材3に結合金物4を安定的かつ強固に取り付けることができる。また、柱部材3の対向する側面3a,3aにそれぞれ構造部材15,15が固定されているので、この構造部材15,15によって柱部材3を補強できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の柱構造において、
前記結合金物4は、その金物本体10の開口部10cを前記基礎1の厚さ方向または前記床8,20の奥行き方向に向けて配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、金物本体10の開口部11cを基礎1の厚さ方向または床8,20の奥行き方向に向けているので、基礎1の前面側や床8,20の奥側から、アンカーボルト2または緊結ボルト22の上端部にナット12を螺合して締め付けることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の柱構造において、
前記構造部材15は前記柱部材3の長手方向に沿って長尺な角材であり、前記構造部材15の上端面は前記柱部材3の上端面より低くなっていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、柱部材3の長手方向に沿って長尺な角材である構造部材15の上端面が柱部材3の上端面より低くなっているので、この構造部材15の上端面によって、柱部材3の上端部に接合された壁(垂れ壁)25やまぐさ等の横架材を下方から支持できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図5および図6に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の柱構造において、
床20から上方に突出する前記緊結ボルト22の上端部に前記柱部材3の下端部が前記結合金物4によって結合されており、
前記柱部材3を上側柱部材3として、前記床20の下方に断面矩形状の下側柱部材3が前記上側柱部材3と同軸に配置され、
前記緊結ボルト22の下端部が前記床20から下方に突出し、この緊結ボルト22の下端部に前記下側柱部材3の上端部が、前記結合金物4と同じ結合金物を上下反転してなる反転結合金物24によって結合され、
前記反転結合金物24は、前記緊結ボルト22の下端部が締結された金物本体10と、この金物本体10の側面から垂れ下がる側板部11,11とを備え、
前記金物本体10の下面に前記下側柱部材3の上端面が当接されるとともに、前記側板部11に前記下側柱部材3の上端部の側面が固定され、
前記側板部11は、その幅を当該側板部11が固定される前記下側柱部材3の側面3aの幅より小さくすることによって、当該側面3aの両側に釘打ち代3d,3dを残してこの側面3aに固定され、
前記下側柱部材3の前記側面3aに、構造部材25がその一部を前記側板部11に重ねて固定され、当該一部はこれを通して釘16を前記釘打ち代3d,3dに打ち込むことによって固定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、上側柱部材3と下側柱部材3とが床20を挟んで上下に配置され、上側柱部材3の下端部が床20に挿通され当該床20から上方に突出する緊結ボルト22の上端部に結合金物4によって結合され、下側柱部材3の上端部が前記床20から下方に突出する前記緊結ボルト22の下端部に反転結合金物24によって結合されているので、上側柱部材3と下側柱部材3とを確実に連結することができる。また、反転結合金物24は、結合金物4と同じ結合金物を上下に反転したものであるので、別途反転結合金物を製造する必要がないので、コスト軽減を図れる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、結合金物の側板部がその幅を当該側板部が固定される前記柱部材の側面の幅より小さくすることによって、当該側面の両側に釘打ち代を残してこの側面に固定され、前記柱部材の前記側面に、構造部材がその一部を前記側板部に重ねて固定され、当該一部はこれを通して釘を前記釘打ち代に打ち込むことによって固定されているので、柱部材の側面に構造部材を容易かつ確実に接合できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る柱構造の一例を示すもので、その分解斜視図である。
図2】同、正面図である。
図3】同、柱部材と構造部材を示す平断面図である。
図4】同、結合金物の斜視図である。
図5】同、上下の柱部材を連結した構造を示す分解斜視図である。
図6】同、上下の柱部材を連結した構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る柱構造の一例を示す分解斜視図、図2は同柱構造の正面図である。
本実施の形態の柱構造では、基礎1から上方に突出するアンカーボルト2に柱部材3の下端部が結合金物4によって結合されている。
基礎1は布基礎であり、この基礎1にはアンカーボルト2が埋設され、このアンカーボルト2の上端部が基礎1の上面から突出している。基礎1の上面には換気台輪5が設置されている。換気台輪5には上下に貫通する長孔5aが換気台輪5の長手方向に所定間隔で形成されており、この長孔5aに前記アンカーボルト2の上端部が下方から挿通されて、当該上端部が換気台輪5の上面から突出している。なお、換気台輪5には、床下換気用の多数の換気孔5bが形成されている。
【0019】
基礎1の上面には前記換気台輪5を介して建物の1階の床を構成する床パネル6の側縁部と半土台7とが設置されている。床パネル6は框材を矩形枠状に組み立ててなる枠体の上面に合板等からなる面材を取り付けてなるものであり、枠体の内部には必要に応じて補強桟材が縦横に組み付けられている。半土台7は通常の土台の半分の厚さを有するものであり、正角材の半分の厚さの反割材によって形成されている。半土台7と床パネル6とは換気台輪5の上面側において互いに当接しており、当該当接部には上下に貫通する孔が形成され、この孔に前記換気台輪5の上面から突出するアンカーボルト2の上端部が下方から挿通されて、当該上端部が床パネル6および半土台7の接合部の上面から突出している。このようにして、アンカーボルト2は1階の床8の上面から突出している。
【0020】
床8の上面から突出しているアンカーボルト2の上端部には、前記結合金物4が締結されている。
結合金物4は、図4に示すように、金物本体10と、この金物本体10の対向する側面から立ち上がる一対の側板部11,11とを備えている。
金物本体10は、左右の側壁部、上壁部10a、下壁部10bで構成された断面ロ字形に形成された、全体として矩形箱状のものである。下壁部10bは床8の上面に設置されており、下壁部10bの略中央部に貫通孔が形成されている。この貫通孔に前記アンカーボルト2の上端部が挿通されたうえで、ナット12を金物本体10の開口部10cから挿入して螺合して締め付けることによって、下壁部10bが床8の上面に固定されている。
また、金物本体10はその開口部10cを基礎1の厚さ方向に向けて床8の上面に固定されている。
【0021】
側板部11の下端部には固定板11aが側板部11と一体的に形成されており、この固定板11aが金物本体10の側壁部に溶接等によって固定されている。側板部11の幅は固定板11aの幅より若干小さくなっており、この側板部11には複数の孔11cが形成されている。
【0022】
前記柱部材3は、図1および図3に示すように、断面正方形状の角材によって形成されており、その対向する左右の側面3a,3aの下端部には、上下に長い矩形状の凹んだ取付面3b,3bが形成されている。取付面3bの深さは前記側板部11の厚さとほぼ等しいか、それより若干深くなっている。また、取付面3bの下端は柱部材3の下端面まで達している。
そして、柱部材3は前記側板部11,11の間に挿入されたうえで、柱部材3の下端面3cが金物本体10の上面、つまり上壁部10aの上面に当接されている。また、柱部材3の左右両側面3a,3aの取付面3b,3bが側板部11,11に当接されている。つまり、側板部11,11に柱部材3の下端部の側面3a(取付面3b)が当接されている。そして、側板部11に形成された複数の孔11cにそれぞれ釘13を挿通して柱部材3に打ち込むことによって、側板部11,11に柱部材3の下端部の側面3a,3aが固定されている。この状態において、側板部11の表面と柱部材3の側面3aとはほぼ面一となっている。
【0023】
前記側板部11の幅は、柱部材3の側面3aの幅より小さくなっており、これによって、側板部11は柱部材3の側面3aの両側に釘打ち代3d,3dを残してこの側面3a(取付面3b)に固定されている。この釘打ち代3d,3dは前記取付面3bの外側の位置する側面3a,3aによって構成されている。
前記柱部材3の側面3a,3aには、構造部材15,15がその一部を前記側板部11に重ねて固定されている。
すなわち、構造部材15は正角材を反割にした反割材で構成されており、柱部材3の長手方向に長尺な角材となっている。構造部材15の側面の幅は柱部材3の側面3aの幅と等しくなっている。
【0024】
このような構造部材15は、その下端部(その一部)を側板部11に重ねて柱部材3の側面3aに固定され、当該構造部材15の下端部はこれを通してスクリュー釘16を前記釘打ち代3dに打ち込むことによって固定されている。また、構造部材15の、前記側板部11より上方の部位はスクリュー釘16によって側面3aに固定されている。また、側面3aには接着剤が塗布されており、この接着剤によっても構造部材15が側面3aに固定されている。つまり、構造部材15は釘打ちと接着剤の双方によって柱部材3の側面3aに固定されている。
また、構造部材15を柱部材3の側面3aに固定した状態において、この構造部材15の下端面は床8の上面に当接されており、構造部材15の上端面は、図5および図6に示すように、柱部材3の上端面より低くなっている。
【0025】
図5および図6に示すように、前記柱部材3の上方には2階の床20が配置されている。この床20は1階の床8と同様に床パネルによって構成されており、床20上には柱部材(上側柱部材)3が前記柱部材(下側柱部材)3と同軸に配置されている。
2階の床20には、緊結ボルト22が挿通されており、この緊結ボルト22の上端部は床20から上方に突出しており、下端部は床20から下方に突出している。
2階の床20から上方に突出する緊結ボルト22の上端部には上側柱部材3の下端部が結合金物4によって結合されている。この結合金物4による上側柱部材3と緊結ボルト22との結合は、結合金物4による前記柱部材(下側柱部材)3とアンカーボルト2との結合と同様であるので、結合金物4、柱部材3、構造部材15等の共通構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0026】
2階の床20から下方に突出する緊結ボルト22の下端部には、柱部材(下側柱部材)3の上端部が、結合金物4と同じ結合金物を上下反転してなる反転結合金物24によって結合されている。
反転結合金物24は、金物本体10と、この金物本体10の対向する左右両側面から垂れ下がる一対の側板部11,11とを備えている。
金物本体10は、左右の側壁部、下壁部10a、上壁部10bとで構成された断面ロ字形に形成された、全体として矩形箱状のものである。上壁部10bは床20の下面に当接されており、上壁部10bの略中央部に貫通孔が形成されている。この貫通孔に前記緊結ボルト22の下端部が挿通されたうえで、ナット12を螺合して締め付けることによって、上壁部10bが床20の下面に固定されている。これによって、金物本体10が床20の下面に固定されている。したがって、2階の床20の上面に固定された結合金物4と同床20の下面に固定された反転結合金物24とは緊結ボルト22によって連結されている。
また、金物本体10はその開口部10cを床20の奥行き方向に向けて床20の下面に固定されている。
【0027】
側板部11の上端部には固定板11aが側板部11と一体的に形成されており、この固定板11aが金物本体10の側壁部に溶接等によって固定されている。側板部11の幅は固定板11aの幅より若干小さくなっており、この側板部11には複数の孔が形成されている。
【0028】
下側柱部材3の対向する左右の側面3a,3aの上端部には、上下に長い矩形状の凹んだ取付面が形成されている。取付面の深さは前記側板部11の厚さとほぼ等しいか、それより若干深くなっている。また、取付面の上端は上側柱部材3の上端まで達している。
そして、下側柱部材3は前記側板部11,11の間に挿入されたうえで、下側柱部材3の上端面が金物本体10の下面、つまり下壁部10aの下面に当接されている。また、下側柱部材3の左右両側面3a,3aの取付面が側板部11,11に当接されている。つまり、側板部11,11に柱部材3の上端部の側面3a(取付面)が当接されている。そして、側板部11に形成された複数の孔11cにそれぞれ釘13を挿通して下側柱部材3に打ち込むことによって、側板部11,11に柱部材3の上端部の側面3a,3aが固定されている。この状態において、側板部11の表面と下側柱部材3の側面3aとはほぼ面一となっている。
【0029】
前記側板部11の幅は、下側柱部材3の側面3aの幅より小さくなっており、これによって、側板部11は柱部材3の側面3aの両側に釘打ち代を残してこの側面3aに固定されている。この釘打ち代は前記取付面の外側の位置する側面3a,3aによって構成されている。
前記下側柱部材3の側面3a,3aには、構造部材25,25としての垂れ壁25,25がその一部を前記側板部11,11に重ねて固定されている。
垂れ壁25は壁パネル25によって構成されている。壁パネル25は框材25aを矩形枠状に組み立ててなる枠体の両面に合板等からなる面材25bを取り付けたものであり、枠体の内側には必要に応じて補強桟材が組み付けられている。
垂れ壁(壁パネル)25の側端面の幅は前記下側柱部材3の側面3aと等しい幅となっている。
【0030】
このような垂れ壁25は、その側端面の略上半分(その一部)を側板部11に重ねて下側柱部材3の側面3aに固定され、当該略上半分はスクリュー釘16を縦の框材25aを通して下側柱部材3の側面3aの釘打ち代に打ち込むことによって当該下側柱部材3に接合されている。
なお、スクリュー釘16を框材25aを通して下側柱部材3の釘打ち代3d,3dに打ち込む場合、垂れ壁25を構成する壁パネルの表面の面材25bから框材25aを通してスクリュー釘16を釘打ち代3d,3dに斜め打ちしてもよいし、垂れ壁25を構成する壁パネルの両面材25b,25bのうち一方の面材25bを外しておき、スクリュー釘16を框材25aを通して釘打ち代3d,3dに打ち込み、その後、前記一方の面材25bを取り付けてもよい。
また、垂れ壁25の、前記側板部11より下方の部位はスクリュー釘16によって側面3aに固定されている。また、側面3aには接着剤が塗布されており、この接着剤によっても垂れ壁25が側面3aに固定されている。つまり、垂れ壁25は釘打ちと接着剤の双方によって下側柱部材3の側面3aに固定されている。
さらに、垂れ壁25,25の端部下面は前記構造部材15,15の上端面に設置されている。
【0031】
本実施の形態によれば、結合金物4の側板部11がその幅を当該側板部11が固定される柱部材3の側面3aの幅より小さくすることによって、当該側面3aの両側に釘打ち代3d,3dを残してこの側面3aに固定され、柱部材3の側面3aに、構造部材15がその下部を側板部11に重ねて固定され、当該下端部はこれを通して釘16を前記釘打ち代3d,3dに打ち込むことによって固定されているので、柱部材3の側面3aに構造部材15を容易かつ確実に接合できる。
また、柱部材3の長手方向に沿って長尺な角材である構造部材15の上端面が柱部材3の上端面より低くなっているので、この構造部材15の上端面によって、柱部材3の上端部に接合された垂れ壁25やまぐさ等の横架材を下方から支持できる。
【0032】
さらに、金物本体10の対向する側面からそれぞれ立ち上がる一対の側板部11,11に柱部材3の対向する側面3a,3aがそれぞれ固定されているので、柱部材3に結合金物4を安定的かつ強固に取り付けることができる。また、柱部材3の対向する側面3a,3aにそれぞれ構造部材15,15が固定されているので、この構造部材15,15によって柱部材3を補強できる。
また、結合金物4は、その金物本体10の対向する開口部10cを基礎1の厚さ方向に向けて配置されているので、基礎1の前面側から、アンカーボルト2の上端部にナット12を螺合して締め付けることができる。
【0033】
上側柱部材3と下側柱部材3とが床20を挟んで上下に配置され、上側柱部材3の下端部が床20に挿通され当該床20から上方に突出する緊結ボルト22に結合金物4によって結合され、下側柱部材3の上端部が前記床20から下方に突出する緊結ボルト22の下端部に反転結合金物24によって結合されているので、上側柱部材3と下側柱部材3とを確実に連結することができる。また、反転結合金物24は、結合金物4と同じ結合金物を上下に反転したものであるので、別途反転結合金物を製造する必要がないので、コスト軽減を図れる。
【0034】
なお、本実施の形態では、柱部材3の側面に接合する構造部材として、上下に長尺な角材からなる構造部材15や、壁パネルからなる垂れ壁を例にとって説明したが、構造部材としてはこれに限ることなく、例えば、隣り合う部屋どうしを仕切る壁、建物の外壁を構成する壁、まぐさ、梁等でもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 基礎
2 アンカーボルト
3 柱部材
3a 側面
3d 釘打ち代
4 結合金物
10 金物本体
10b 下壁部
10c 開口部
11 側板部
12 ナット
15 構造部材
16 スクリュー釘(釘)
20 床
22 緊結ボルト
24 反転結合金物
25 垂れ壁(構造部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6