特許第5749691号(P5749691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749691
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】セラミックハニカム構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/91 20060101AFI20150625BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20150625BHJP
   B01D 39/20 20060101ALN20150625BHJP
【FI】
   C04B41/91 Z
   C04B38/00 304Z
   !B01D39/20 D
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-144233(P2012-144233)
(22)【出願日】2012年6月27日
(65)【公開番号】特開2014-9103(P2014-9103A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2014年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】加藤 茂樹
【審査官】 武重 竜男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−008603(JP,A)
【文献】 特開2006−231475(JP,A)
【文献】 特表2010−522107(JP,A)
【文献】 特開平11−151636(JP,A)
【文献】 実開昭60−080303(JP,U)
【文献】 特開平06−039683(JP,A)
【文献】 特開2008−012786(JP,A)
【文献】 特開2012−206007(JP,A)
【文献】 特開2012−051366(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/096113(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B35/80−41/91
B01J21/00−38/74
B01D53/86
F01N 3/02
B24B 5/00− 7/30
B23Q17/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックハニカム焼成体を寸法検査により、検査基準を満たす合格品と、前記検査基準を満たさない不合格品と、前記不合格品のうち直角度のみが前記検査基準を満たさない直角度のみの不合格品と、を選別する検査工程と、
前記直角度のみの不合格品として選別された前記セラミックハニカム焼成体の一方の端面及び他方の端面を研削加工する研削加工工程と、を備え、
前記研削加工工程において、前記セラミックハニカム焼成体の外壁表面の前記一方の端面から前記他方の端面に向かう方向に離間した2つの位置を、コンツァー測定開始点P1及びコンツァー測定開始点P2とし、
前記コンツァー測定開始点P1を含む周方向に一周する第一測定部分Q1において、前記セラミックハニカム焼成体の外径寸法のコンツァーを、前記コンツァー測定開始点P1から、前記周方向に測定位置をずらしながら複数の測定点にて測定し、且つ、
前記コンツァー測定開始点P2を含む周方向に一周する第二測定部分Q2において、前記セラミックハニカム焼成体の外径寸法のコンツァーを、前記コンツァー測定開始点P2から、前記周方向に測定位置をずらしながら複数の測定点にて測定し、
前記第一測定部分Q1の第一測定点P1xにて測定されたコンツァーを、コンツァーC1xとし、前記第一測定部分Q1の前記第一測定点P1xから一定位相ずれた位置に存在する第二測定点P1yにて測定されたコンツァーを、コンツァーC1yとし、前記第二測定部分Q2の前記第一測定点P1xと同一の位相の位置に存在する第三測定点P2xにて測定されたコンツァーを、コンツァーC2xとし、前記第二測定部分Q2の前記第二測定点P1yと同一の位相の位置に存在する第四測定点P2yにて測定されたコンツァーを、コンツァーC2yとして、
前記測定点ごとに4つの前記コンツァーC1x,C1y,C2x,C2yの値の差の絶対値の合計を、下記式(1)に基づいて求め、
前記セラミックハニカム焼成体の前記外壁表面の、前記コンツァーC1x,C1y,C2x,C2yの値の前記差の絶対値の合計が最小となる4つの前記測定点を、第一受け台及び第二受け台にて支持した状態で、前記セラミックハニカム焼成体の前記一方の端面及び前記他方の端面を研削加工するセラミックハニカム構造体の製造方法。
【数1】
【請求項2】
前記コンツァーC1x,C1y,C2x,C2yの値の前記差の絶対値の合計が最小となる4つの前記測定点における前記第二測定点P1yと、前記コンツァー測定開始点P1との位相を、最適チャック角とした場合に、
前記セラミックハニカム焼成体を前記第一受け台及び第二受け台に支持する前に、前記セラミックハニカム焼成体を前記最適チャック角だけ回転させる請求項1に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
前記第一測定点P1xと前記第二測定点P1yとが、前記周方向に60〜120°ずれた位置である請求項1又は2に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記セラミックハニカム焼成体を、前記一方の端面が底面となるように測定台に載置して、前記コンツァーを測定する請求項1〜のいずれか一項に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】
前記測定台を、前記コンツァーC1x,C1y,C2x,C2yの値の前記差の絶対値の合計が最小となる4つの前記測定点における前記第二測定点P1yと、前記コンツァー測定開始点P1との位相を、最適チャック角とした場合に、前記セラミックハニカム焼成体を前記第一受け台及び第二受け台に支持する前に、前記最適チャック角だけ回転させる請求項に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項6】
前記コンツァーを、反射式の非接触レーザー変位計によって測定する請求項1〜のいずれか一項に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項7】
前記セラミックハニカム焼成体が、外周に凹凸面を有する請求項1〜のいずれか一項に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項8】
前記セラミックハニカム焼成体の外径寸法公差の片側寸法差が、直角度よりも大である請求項1〜のいずれか一項に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項9】
前記セラミックハニカム焼成体の外径寸法が、100mm以上である請求項1〜のいずれか一項に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項10】
前記セラミックハニカム焼成体が、コージェライト、炭化珪素、及びアルミナからなる群より選択される少なくとも一種を含む原料からなる請求項1〜のいずれか一項に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックハニカム構造体の製造方法に関する。更に詳しくは、生産性に優れ、且つ、セラミックハニカム構造体の外径寸法の大小に関わらず、直角度が優れたセラミックハニカム構造体を製造することが可能なセラミックハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体として、セラミック製のハニカム構造体(セラミックハニカム構造体)が採用されている。また、セラミック製のハニカム構造体は、排ガス浄化用のフィルタとしても用いられている。このようなセラミック製のハニカム構造体は、耐熱性、耐食性に優れたものであり、上述したような種々の用途に採用されている。ハニカム構造体は、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する構造体である。
【0003】
従来、外径寸法が150mm未満のハニカム構造体は、以下の方法によって製造されている。まず、成形原料を含む坏土をハニカム状に成形して、ハニカム成形体を得る。ハニカム成形体は、一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルが隔壁によって区画形成された円筒状のものである。このハニカム成形体を、上記セルの延びる方向の長さが、仕上げ寸法の長さよりも長くなるように切断し、更に、ハニカム成形体を乾燥して、ハニカム乾燥体を得る。次に、ハニカム乾燥体のセルの延びる方向の長さを、仕上げ寸法となるように仕上げ加工して仕上げハニカム乾燥体を得る。次に、仕上げハニカム乾燥体を焼成して、ハニカム構造体を得る(例えば、特許文献1参照)。また、このような方法よって製造されたハニカム構造体については、外形寸法、コンツァー、直角度、曲り、円筒度等についての寸法検査が行われる。例えば、製造されたハニカム構造体の外径寸法が、基準となる外径寸法公差を満たしているか否か等についての寸法検査が行われる。そして、このような寸法検査に合格したものが製品として出荷される。
【0004】
一方、外径寸法が150mm以上のハニカム構造体を製造する際には、外壁を別途作製する工程が追加されることがある(例えば、特許文献2参照)。外壁を別途作製する工程としては、例えば、仕上げハニカム乾燥体を焼成した後、得られた焼成体の外周を研削加工し、研削加工した外周部分に、外周コートを行って外壁を別途作製する工程を挙げることができる。外径寸法が150mm以上となるようなハニカム構造体を、「大型のハニカム構造体」ということがある。
【0005】
先に挙げられた、ハニカム成形体を乾燥し、仕上げ加工し、焼成することによってハニカム構造体を製造する製造方法を、以下、「一体成形による製造方法」ということがある。また、外壁を別途作製する工程が追加された製造方法を、以下、「外周コートによる製造方法」ということがある。また、ハニカム構造体の端面を仕上げ加工する方法として、ハニカム構造体の姿勢を補正し、この状態で仕上げ加工を行う方法等が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−046856号公報
【特許文献2】特開平3−275309号公報
【特許文献3】特開2006−231475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のハニカム構造体の製造方法においては、得られるハニカム構造体の一方の端面及び他方の端面の直角度(以下、「一方の端面及び他方の端面の直角度」を、単に「直角度」ということがある)が不十分という問題があった。特に、上述した一体成形による製造方法では、上記直角度の低下が顕著となる。また、近年、ハニカム構造体の直角度に対する許容範囲が厳しくなっており、ハニカム構造体の直角度の向上が求められている。直角度の許容範囲とは、製品としてのセラミックハニカム構造体に要求される直角度の基準値を満たす範囲のことを意味する。例えば、特許文献3に記載の加工方法においては、ハニカム構造体をクランプによって把持した後、当該ハニカム構造体の形状を測定し、ハニカム構造体の姿勢を補正して仕上げ加工が行われるものである。しかしながら、ハニカム構造体は、その外壁に凹凸等を有していることから、上述したクランプが安定しないことがある。また、特許文献3に記載の加工方法においては、ハニカム構造体の姿勢を補正するための形状測定が、周方向の0°、45°、90°、及び135°の4点において行われているため、測定点が粗く、加工の精度が低くなってしまうという問題があった。
【0008】
また、外周コートによる製造方法は、製造工程が煩雑であるという問題もあった。例えば、大型のハニカム構造体は、成形体の歪み等が大きいため、外周コートによる製造方法が主として用いられている。しかし、製造コストの低下等の観点から、一体成形による製造方法によって、大型のハニカム構造体を製造することが検討されている。但し、大型のハニカム構造体を一体成形による製造方法によって製造すると、ハニカム構造体の直角度の低下がより顕著となる。例えば、従来の一体成形による製造方法により、大型のハニカム構造体を製造した場合には、直角度歩留まりが50%を下回ってしまうこともあった。このようなことから、従来、一体成形による製造方法によって大型のハニカム構造体を製造することは、極めて困難と考えられていた。
【0009】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものである。本発明は、生産性に優れ、且つ、セラミックハニカム構造体の外径寸法の大小に関わらず、直角度が優れたセラミックハニカム構造体を製造することが可能なセラミックハニカム構造体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、以下のセラミックハニカム構造体の製造方法が提供される。
【0011】
[1] セラミックハニカム焼成体を寸法検査により、検査基準を満たす合格品と、前記検査基準を満たさない不合格品と、前記不合格品のうち直角度のみが前記検査基準を満たさない直角度のみの不合格品と、を選別する検査工程と、前記直角度のみの不合格品として選別された前記セラミックハニカム焼成体の一方の端面及び他方の端面を研削加工する研削加工工程と、を備え、前記研削加工工程において、前記セラミックハニカム焼成体の外壁表面の前記一方の端面から前記他方の端面に向かう方向に離間した2つの位置を、コンツァー測定開始点P1及びコンツァー測定開始点P2とし、前記コンツァー測定開始点P1を含む周方向に一周する第一測定部分Q1において、前記セラミックハニカム焼成体の外径寸法のコンツァーを、前記コンツァー測定開始点P1から、前記周方向に測定位置をずらしながら複数の測定点にて測定し、且つ、前記コンツァー測定開始点P2を含む周方向に一周する第二測定部分Q2において、前記セラミックハニカム焼成体の外径寸法のコンツァーを、前記コンツァー測定開始点P2から、前記周方向に測定位置をずらしながら複数の測定点にて測定し、前記第一測定部分Q1の第一測定点P1xにて測定されたコンツァーを、コンツァーC1xとし、前記第一測定部分Q1の前記第一測定点P1xから一定位相ずれた位置に存在する第二測定点P1yにて測定されたコンツァーを、コンツァーC1yとし、前記第二測定部分Q2の前記第一測定点P1xと同一の位相の位置に存在する第三測定点P2xにて測定されたコンツァーを、コンツァーC2xとし、前記第二測定部分Q2の前記第二測定点P1yと同一の位相の位置に存在する第四測定点P2yにて測定されたコンツァーを、コンツァーC2yとして、前記測定点ごとに4つの前記コンツァーC1x,C1y,C2x,C2yの値の差の絶対値の合計を、下記式(1)に基づいて求め、前記セラミックハニカム焼成体の前記外壁表面の、前記コンツァーC1x,C1y,C2x,C2yの値の前記差の絶対値の合計が最小となる4つの前記測定点を、第一受け台及び第二受け台にて支持した状態で、前記セラミックハニカム焼成体の前記一方の端面及び前記他方の端面を研削加工するセラミックハニカム構造体の製造方法。
【0013】
【数1】
【0014】
] 前記コンツァーC1x,C1y,C2x,C2yの値の前記差の絶対値の合計が最小となる4つの前記測定点における前記第二測定点P1yと、前記コンツァー測定開始点P1との位相を、最適チャック角とした場合に、前記セラミックハニカム焼成体を前記第一受け台及び第二受け台に支持する前に、前記セラミックハニカム焼成体を前記最適チャック角だけ回転させる前記[1]に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【0015】
] 前記第一測定点P1xと前記第二測定点P1yとが、前記周方向に60〜120°ずれた位置である前記[1]又は[2]に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【0016】
] 前記セラミックハニカム焼成体を、前記一方の端面が底面となるように測定台に載置して、前記コンツァーを測定する前記[1]〜[]のいずれかに記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【0017】
] 前記測定台を、前記コンツァーC1x,C1y,C2x,C2yの値の前記差の絶対値の合計が最小となる4つの前記測定点における前記第二測定点P1yと、前記コンツァー測定開始点P1との位相を、最適チャック角とした場合に、前記セラミックハニカム焼成体を前記第一受け台及び第二受け台に支持する前に、前記最適チャック角だけ回転させる前記[]に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【0018】
] 前記コンツァーを、反射式の非接触レーザー変位計によって測定する前記[1]〜[]のいずれかに記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【0019】
] 前記セラミックハニカム焼成体が、外周に凹凸面を有する前記[1]〜[]のいずれかに記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【0020】
] 前記セラミックハニカム焼成体の外径寸法公差の片側寸法差が、直角度よりも大である前記[1]〜[]のいずれかに記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【0021】
] 前記セラミックハニカム焼成体の外径寸法が、100mm以上である前記[1]〜[]のいずれかに記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【0022】
10] 前記セラミックハニカム焼成体が、コージェライト、炭化珪素、及びアルミナからなる群より選択される少なくとも一種を含む原料からなる前記[1]〜[]のいずれかに記載のセラミックハニカム構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明のセラミックハニカム構造体の製造方法によれば、セラミックハニカム構造体の外径寸法の大小に関わらず、直角度が優れたセラミックハニカム構造体を製造することができる。また、上述した外周コートによる製造方法のような煩雑な工程を行う必要がないため、生産性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明のセラミックハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、セラミックハニカム構造体が製造される過程を模式的に示した斜視図である。
図2A】研削加工工程におけるコンツァーの測定方法の一例を模式的に示す斜視図である。
図2B】セラミックハニカム焼成体を第一受け台及び第二受け台に載置した状態を模式的に示す側面図である。
図2C図2Bをセラミックハニカム焼成体の一方の端面側から見た平面図である。
図2D図2Bに示す第一受け台及び第二受け台を模式的に示す斜視図である。
図2E】研削加工工程における研削加工の一の例を模式的に示す側面図である。
図3】コンツァーを測定した結果の一例を示すグラフであり、絶対値の合計値の算出方法を説明するためのグラフである。
図4】セラミックハニカム焼成体の最適チャック角の分布を示すグラフである。
図5】直角度を説明するための模式図であり、セラミックハニカム構造体を側面から見た側面図である。
図6】セラミックハニカム焼成体を第一受け台及び第二受け台に載置した直後の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0026】
(1)セラミックハニカム構造体の製造方法:
本発明のセラミックハニカム構造体の製造方法の一の実施形態は、図1に示すように、検査工程Cと、研削加工工程Dと、を備えたセラミックハニカム構造体の製造方法である。なお、本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、図1に示すような、仕上げ工程Aと、焼成工程Bと、を更に備えていてもよい。ここで、図1は、本発明のセラミックハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、セラミックハニカム構造体が製造される過程を模式的に示した斜視図である。仕上げ工程Aは、一方の端面61及び他方の端面62を有する円筒状のセラミックハニカム乾燥体50の一方の端面61及び他方の端面62を仕上げ加工して、仕上げセラミックハニカム乾燥体70を得る工程である。セラミックハニカム乾燥体50は、一方の端面61から他方の端面62まで延びる複数のセル52が隔壁51によって区画形成された円筒状のものである。焼成工程Bは、仕上げ工程Aにて得られた仕上げセラミックハニカム乾燥体70を焼成して、セラミックハニカム焼成体80を得る工程である。検査工程Cは、焼成工程Bにて得られたセラミックハニカム焼成体80を寸法検査により、検査基準を満たす合格品と、検査基準を満たさない不合格品と、上記不合格品のうち直角度のみが検査基準を満たさない直角度のみの不合格品と、を選別する工程である。この検査工程Cによって、直角度のみが検査基準を満たさないセラミックハニカム焼成体80B(以下、「直角度のみの不合格品」ともいう)が選別される。研削加工工程Dは、直角度のみの不合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面91及び他方の端面92を研削加工する工程である。このような研削加工工程Dを経て得られるセラミックハニカム構造体100は直角度が優れたものとなる。また、検査工程Cにおいて検査基準を満たす合格品となったセラミックハニカム構造体も、製品(即ち、セラミックハニカム構造体)となる。従来の製造方法においては、上述したような検査工程が行われた場合、直角度のみの不合格品も、その他の不合格品と同様に廃棄処理されることがあった。本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、上記研削加工工程Dを行うことにより、直角度のみの不合格品(即ち、セラミックハニカム焼成体80B)を、直角度の検査基準を満たすセラミックハニカム焼成体として蘇らせることができる。
【0027】
以下、直角度のみが不良のセラミックハニカム焼成体80Bを、「直角度不良セラミックハニカム焼成体80B」、又は単に「セラミックハニカム焼成体80B」ということがある。
【0028】
本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、研削加工工程Dが、以下に示すような方法で行われる。ここで、図2Aは、研削加工工程におけるコンツァーの測定方法の一例を模式的に示す斜視図である。
【0029】
本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、図2Aに示すように、直角度不良セラミックハニカム焼成体80Bの外径寸法のコンツァーを測定する。具体的には、まず、セラミックハニカム焼成体80Bの外壁93表面の一方の端面91から他方の端面92に向かう方向に離間した2つの位置を、コンツァー測定開始点P1及びコンツァー測定開始点P2とする。このコンツァー測定開始点P1及びコンツァー測定開始点P2の2点が、コンツァーの測定の基準点となる。コンツァーの測定は、それぞれのコンツァー測定開始点P1及びP2から、コンツァー測定開始点P1及びP2を含むそれぞれの周方向全周に渡って、その周方向に測定位置をずらしながら複数の測定点において行われる。即ち、コンツァー測定開始点P1を含む周方向Rを一周する第一測定部分Q1において、セラミックハニカム焼成体80Bの外径寸法のコンツァーを、コンツァー測定開始点P1から、周方向Rに測定位置をずらしながら複数の測定点にて測定する。また、コンツァー測定開始点P2を含む周方向Rを一周する第二測定部分Q2において、セラミックハニカム焼成体80Bの外径寸法のコンツァーを、コンツァー測定開始点P2から、周方向Rに測定位置をずらしながら複数の測定点にて測定する。「周方向R」とは、セラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面91から他方の端面92に向かう方向に略垂直な断面において、セラミックハニカム焼成体80Bの外壁93表面に沿って、当該「断面」の周縁を一周する方向のことである。図2Aにおいては、測定対象物を水平に載置可能な測定台65上に、セラミックハニカム焼成体80Bを載置して、コンツァーを測定した場合の例を示す。また、図2Aにおいては、測定台65上に載置したセラミックハニカム焼成体80Bを、符号88に示す回転方向に回転させて、コンツァーを測定している。また、図2Aにおいて、符号81は、セラミックハニカム焼成体の隔壁を示し、符号82は、隔壁81によって区画形成されたセルを示す。
【0030】
このようにして測定されたコンツァーの測定結果(例えば、図3参照)から、研削加工工程においてセラミックハニカム焼成体を載置する第一受け台及び第二受け台の支持位置を決定する。ここで、図3は、コンツァーを測定した結果の一例を示すグラフであり、絶対値の合計値の算出方法を説明するためのグラフである。具体的には、下記に示す「4つのコンツァーC1x,C1y,C2x,C2y」の値の差の絶対値の合計を、下記式(1)に基づいて求める。
【0031】
「コンツァーC1x」とは、第一測定部分Q1の第一測定点P1xにて測定されたコンツァーのことである。また、「コンツァーC1y」とは、第一測定部分Q1の「第一測定点P1xから一定位相ずれた位置に存在する第二測定点P1y」にて測定されたコンツァーのことである。一方、「コンツァーC2x」とは、第二測定部分Q2の「第一測定点P1xと同一の位相の位置に存在する第三測定点P2x」にて測定されたコンツァーのことである。また、「コンツァーC2y」とは、第二測定部分Q2の「第二測定点P1yと同一の位相の位置に存在する第四測定点P2y」にて測定されたコンツァーのことである。
【0032】
図3に示す測定結果から分かるように、セラミックハニカム焼成体80Bは、外周形状が変形を生じていたり、一方の端面91から他方の端面92に向かう方向に曲がりを生じていたりする。このようなセラミックハニカム焼成体80Bを、図2C及び図2Dに示すような第一受け台68a及び第二受け台68bに載置すると、セラミックハニカム焼成体80Bが第一受け台68a及び第二受け台68bから動いてしまうことが考えられる。即ち、セラミックハニカム焼成体80Bの外周形状が変形していると、第一受け台68a及び第二受け台68b上に安定した状態で載置できない。そのため、第一受け台68a及び第二受け台68bに載置した後に、補助受け台69でセラミックハニカム焼成体80Bを固定する際、セラミックハニカム焼成体80Bが動いてしまい傾くことがある。セラミックハニカム焼成体80Bが傾いている状態で研削加工を行うと、セラミックハニカム焼成体80Bの直角度が悪化する。本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、上述したコンツァーの測定結果から、第一受け台68a及び第二受け台68bにて支持される位置を決定して研削加工を行う。セラミックハニカム焼成体80Bを第一受け台68a及び第二受け台68bに載置する際には、セラミックハニカム焼成体80Bの第一測定部分Q1上の点が、第一受け台68aの研削具75aが配置される側の端で支持される。そして、セラミックハニカム焼成体80Bの第二測定部分Q2上の点が、第二受け台68bの研削具75bが配置される側の端で支持される。このように、本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、セラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面91から他方の端面92に向かう方向Lの「第一受け台68aの研削具75aが配置される側の端にて支持される位置」が、第一測定部分Q1に存在する。同様に、セラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面91から他方の端面92に向かう方向Lの「第二受け台68bの研削具75bが配置される側の端にて支持される位置」が「第二測定部分Q2」に存在する。このように構成することによって、「コンツァーの絶対値の合計」が最小の位置で、セラミックハニカム焼成体80Bが第一受け台68a、第二受け台68bに載置される。更に、第一受け台68aの研削具75a側、第二受け台68bの研削具75b側に載置することにより、直角性がより高まる。第一受け台68a及び第二受け台68bと研削具との距離、n1、n2は、研削具と受け台が緩衝しない範囲で、最小とすることが好ましく、具体的には、10mm以内とすることが好ましい。
【0033】
上述した「コンツァーC1x,C1y,C2x,C2yの値の差の絶対値の合計」は、下記式(1)によって算出される。以下、下記式(1)によって算出される「コンツァーC1x,C1y,C2x,C2yの値のそれぞれの差の絶対値の合計」のことを、単に「コンツァーの絶対値の合計」ということがある。下記式(1)によって算出されるコンツァーのそれぞれの差の絶対値の合計の算出については、測定された全てのコンツァーによって行われる。
【0034】
【数2】
【0035】
次に、それぞれの測定点ごとに上記式(1)によって算出された「コンツァーのそれぞれの差の絶対値の合計」を比較し、「コンツァーのそれぞれの差の絶対値の合計」が最小の位置を見付ける。
【0036】
次に、図2B図2Eに示すように、セラミックハニカム焼成体80Bの外壁93表面の、コンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計が最小となる4つの測定点を、第一受け台68a及び第二受け台68bにて支持する。そして、セラミックハニカム焼成体80Bを、第一受け台68a及び第二受け台68bにて支持した状態で、セラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面91及び他方の端面92を研削加工する。図2B図2Eにおいては、コンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計が最小となる4つの測定点が、第一受け台68aの符号C1xnx及びC1ynyに示す支持位置と、第二受け台68bの符号C2xnx及びC2ynyに示す支持位置とで支持される。
【0037】
第一受け台68a及び第二受け台68bは、セラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面91から他方の端面92に向かう方向Lが略水平方向と平行になるように、セラミックハニカム焼成体80Bを横向きの状態で支持するものである。即ち、第一受け台68aの鉛直方向の最下点の第一支持位置(C1yny)は、「「コンツァーのそれぞれの差の絶対値の合計」が最小となる4つの測定点のうちのコンツァーC1yが測定された第二測定点P1y」を支持する。また、第一受け台68aの鉛直方向の最下点の第一支持位置から周方向に一定位相ずれた第二支持位置(C1xnx)は、「「コンツァーのそれぞれの差の絶対値の合計」が最小となる4つの測定点のうちのコンツァーC1xが測定された第一測定点P1x」を支持する。同様に、第二受け台68bの鉛直方向の最下点の第三支持位置(C2yny)は、「「コンツァーのそれぞれの差の絶対値の合計」が最小となる4つの測定点のうちのコンツァーC2yが測定された第四測定点P2y」を支持する。また、第二受け台68bの鉛直方向の最下点の第三支持位置から周方向に一定位相ずれた第四支持位置(C2xnx)は、「「コンツァーのそれぞれの差の絶対値の合計」が最小となる4つの測定点のうちのコンツァーC2xが測定された第三測定点P2x」を支持する。なお、「第一支持位置C1yny」において、「C1y」はコンツァーの値を表し、「ny」はコンツァー測定角度を表す。「第二支持位置C1xnx」において、「C1x」はコンツァーの値を表し、「nx」はコンツァー測定角度を表す。「第三支持位置C2yny」において、「C2y」はコンツァーの値を表し、「ny」はコンツァー測定角度を表す。「第四支持位置C2xnx」において、「C2x」はコンツァーの値を表し、「nx」はコンツァー測定角度を表す。コンツァー測定角度は、コンツァー測定開始点(P1、P2)を0°とし、セラミックハニカム焼成体の側面を一周測定した場合を360°とした際の、各コンツァーの測定点における角度のことである。
【0038】
ここで、第一受け台68aの2つの支持位置(第一支持位置及び第二支持位置)の位相を、当該第一受け台68aの「受け角」ということがある。即ち、第一測定点P1xと第二測定点P1yとの位相が90°である場合、第一受け台68aの受け角は、90°である。図2B図2Dにおいては、第一受け台68a及び第二受け台68bの形状が、横向きのセラミックハニカム焼成体80Bの外壁93における、鉛直方向の最下点の位置と、当該位置から周方向に90°離れた位置の2点を支持するように構成されたL字型である。従って、「コンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計」を算出する際の、第一測定点と第二測定点との位相も90°ということになる。また、図2B図2Dにおいては、セラミックハニカム焼成体80Bが、上述した第一受け台68a及び第二受け台68bと、補助受け台69とによって支持されている。補助受け台69は、セラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面91から他方の端面92に向かう方向Lに垂直な断面における、上記周方向に90°離れた位置と中心を挟んで反対側の外壁を支持するものである。このような補助受け台69により、セラミックハニカム焼成体80Bの転動を防止することができる。
【0039】
次に、図2Eに示すように、セラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面91及び他方の端面92を、研削加工する。図2Eにおいて、研削具75a,75bによって、セラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面91及び他方の端面92を、研削加工する場合の例を示す。研削具75a,75bとしては、切断砥石、研削カップ砥石等を挙げることができ、加工時に欠けが発生しない砥石を選択する。研削加工を行う際には、加工後の乾燥が不要となる「乾式加工」がより好ましい。このようにして研削加工を行うことにより、セラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面91及び他方の端面92の、直角度に悪影響を及ぼしている余剰部分80a,80bを削り取り、直角度が優れたセラミックハニカム構造体を製造することができる。
【0040】
研削具75aから第一受け台68aの第一支持位置C1ynyまでの距離n1、及び研削具75bから第二受け台68bの第三支持位置C2ynyまでの距離n2が短いほど、得られるセラミックハニカム構造体の直角度が良くなる。但し、研削具75a,75bの振動によって、研削具75a,75bの刃先が振れていることがある。このため、上述した距離n1及びn2については、第一受け台68a及び第二受け台68bと研削具75a,75bの刃先とが接触しないような長さを確保することが好ましい。距離n1及びn2は、10mm以内であることが好ましい。
【0041】
セラミックハニカム構造体の製造方法の仕上げ工程においては、セラミックハニカム乾燥体の端面を単に切断加工して、その長さを単に切り揃えることしか行われていない。このようなセラミックハニカム乾燥体の端面を単に切断するような切断加工では、得られる仕上げセラミックハニカム乾燥体の一方の端面及び他方の端面の直角度が悪くなることがある。検査工程によって、直角度のみの不合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体80Bに対して、上述した研削加工を行うことにより、不合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体80Bを、直角度の検査基準を満たすものとして蘇らせることができる。これにより、不合格品として廃棄されるセラミックハニカム焼成体の数を少なくすることができ、直角度が優れたセラミックハニカム構造体を、高い歩留まりで製造することができる。
【0042】
なお、直角度のみの不合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体80Bに対して研削加工を行う際に、これまでに説明したような研削方法によって研削加工を行わなければ、必ずしも直角度が改善されるとは限らない。即ち、セラミックハニカム焼成体のコンツァーは、セラミックハニカム焼成体の周方向において一定ではない。また、セラミックハニカム焼成体ごとのコンツァーも一定ではない。このため、直角度のみの不合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体を、第一受け台及び第二受け台に載置して単に研削加工を行っても、直角度が改善されずに、現状維持、或いは逆に直角度が悪化してしまうことがある。例えば、図2Eに示す状態において、セラミックハニカム焼成体80Bのコンツァーの値が大きく異なる4点が、第一受け台68a及び第二受け台68bの支持点となってしまうと、セラミックハニカム焼成体80Bが動いてしまい傾くことがある。セラミックハニカム焼成体80Bが傾いている状態で研削加工を行うと、セラミックハニカム焼成体80Bの直角度が逆に悪化してしまう。
【0043】
本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、「コンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計」が最小となる4つの測定点を、第一受け台及び第二受け台にて支持した状態で研削加工を行う。これにより、本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、直角度のみの不合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体ごとに、直角度が最も良くなるように研削加工が行われる。本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、外径寸法の大きなセラミックハニカム構造体であっても、上述した研削加工によって、直角度を良好に改善することができる。また、本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法は、外周コートによる製造方法のような煩雑な工程を行うことなく、大型のセラミックハニカム構造体を高い頻度で製造することができるため、生産性にも優れている。
【0044】
「コンツァー」とは、理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭からの、実際の輪郭のずれの大きさのことを意味する。従って、図3に示す本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法において測定されたコンツァーは、基準の外径寸法(図3の縦軸の「0」に相当する)からの、セラミックハニカム焼成体のずれの大きさということになる。このようなコンツァーを測定することにより、曲面を構成する線要素のバラツキを、2次元の平面的な公差域で規定することができる。即ち、セラミックハニカム焼成体の外周面を構成する線要素のバラツキを、2次元の平面的な公差域で規定することができる。
【0045】
「直角度」について、図5を例に説明する。図5は、直角度を説明するための模式図であり、セラミックハニカム構造体200を側面から見た側面図である。セラミックハニカム構造体200の直角度を求める際には、まず、セラミックハニカム構造体200の一方の端面111の周縁の任意の一の点111aから、一方の端面111に垂直な仮想線115を引く。この仮想線115と他方の端面112の仮想面116との交点118を求める。そして、この交点118と、他方の端面112の周縁の端点112aとを結ぶ長さY1を求める。上記「長さY1」が、任意の一つの点の直角度である。このセラミックハニカム構造体200の直角度は、「長さY1」を全周に渡り測定した、最大値が直角度である。
【0046】
セラミックハニカム焼成体は、セラミックハニカム乾燥体の一方の端面及び他方の端面を仕上げ寸法となるように仕上げ加工した仕上げセラミックハニカム乾燥体を焼成したものである。セラミックハニカム乾燥体の「仕上げ寸法」とは、仕上げセラミックハニカム乾燥体に要求される一方の端面から他方の端面までの長さのことをいう。仕上げセラミックハニカム乾燥体に要求される一方の端面から他方の端面までの長さについては、最終製品であるセラミックハニカム構造体の一方の端面から他方の端面までの規格の長さから、焼成時の収縮量等を考慮して、適宜決定される。セラミックハニカム乾燥体の仕上げ加工については、従来公知のセラミックハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができる。仕上げセラミックハニカム乾燥体は、一方の端面から他方の端面までの長さが仕上げ寸法となるように切断されたものであるが、その直角度については、寸法検査の検査基準を全てが満足するというわけではない。
【0047】
以下、本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法について、更に詳細に説明する。
【0048】
(1−1)セラミックハニカム乾燥体の作製:
まず、本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法に用いられるセラミックハニカム乾燥体の作製方法について説明する。セラミックハニカム乾燥体の作製方法については、以下の作製方法に限定されることはない。即ち、セラミックハニカム乾燥体は、セルの延びる方向の長さが、仕上げ寸法となるように仕上げ加工される前のものであれば、その作製方法等については、特に制限はない。
【0049】
セラミックハニカム乾燥体の作製方法としては、一般的な、押出成形法を用いる。例えば、セラミック材料と成形助剤を含有する原料を混練して、真空土練機等により坏土を形成する、間欠成形(ラム成形)方法を挙げることができる。また、別法として、混合粉末を直接坏土化し、成形する、連続成形法を挙げることができる。上述した原料に含まれるセラミック材料としては、特に制限はなく、従来公知のセラミックハニカム構造体の製造方法において、成形原料として用いられるセラミック材料を用いることができる。例えば、セラミック材料としては、コージェライト、コージェライト化原料、炭化珪素、アルミナ等を挙げることができる。なお、コージェライト化原料とは、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミック原料である。コージェライト化原料は、焼成されてコージェライトになるものである。
【0050】
また、成形原料には、分散媒となる水を含有させる。更に、成形原料には、必要に応じて、造孔材、バインダ、分散剤、界面活性剤等を含有させてもよい。造孔材、バインダ、分散剤、界面活性剤等は、従来公知のセラミックハニカム構造体の製造方法に用いられるものを好適に用いることができる。
【0051】
次に、例えば、押出成形により、ハニカム状に成形して、一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルが隔壁によって区画形成された円筒状のハニカム成形体を得る。成形方法としては、間欠押出成形、又は連続押出成形を挙げることができる。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚さ、セル密度等を有する口金を用いる。
【0052】
次に、得られたハニカム成形体を、ハニカム成形体のセルの延びる方向に切断する。なお、ハニカム成形体を切断する際には、切断された各ハニカム成形体の一方の端面から他方の端面に向かう方向の長さが、ハニカム構造体の仕上げ寸法よりも長くなるようにする。各ハニカム成形体の仕上げ寸法よりも長い部分は、仕上げ工程において切断除去される。
【0053】
次に、切断されたハニカム成形体を乾燥して、ハニカム乾燥体を得る。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等を挙げることができる。なかでも、誘電乾燥、マイクロ波乾燥又は熱風乾燥を単独で又は組み合わせて行うことが好ましい。
【0054】
(1−2)仕上げ工程:
次に、図1に示すように、セラミックハニカム乾燥体50の一方の端面61及び他方の端面62を仕上げ加工して、仕上げセラミックハニカム乾燥体70を得る。この仕上げ工程により、セラミックハニカム乾燥体50の一方の端面61から他方の端面62までの長さが、仕上げ寸法mとなるように加工される。即ち、仕上げ加工とは、ハニカム乾燥体50の一方の端面61及び他方の端面62の仕上げ寸法mからの余剰部分を切断する工程のことをいう。
【0055】
仕上げ加工の方法については特に制限はなく、従来公知のセラミックハニカム構造体の製造方法における仕上げ加工の方法に準じて行うことができる。例えば、図示は省略するが、セラミックハニカム乾燥体を仕上げ加工用受け台に載置して、仕上げ加工用切断具を用いて、上記セラミックハニカム乾燥体の一方の端面及び他方の端面を切断する方法を挙げることができる。仕上げ加工用切断具としては、砥石等を挙げることができる。
【0056】
(1−3)焼成工程:
本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、仕上げ工程を経て得られた仕上げセラミックハニカム乾燥体を焼成して、セラミックハニカム焼成体を得る。
【0057】
焼成を行うときは、まず、成形助剤等を除去するため、脱脂を行い、更に、引き続き温度を上げて、本焼成してセラミックハニカム焼成体を形成する。脱脂及び本焼成の条件については特に制限はない。セラミックハニカム乾燥体の成形原料に適した条件にて、脱脂及び本焼成を行うことが好ましい。例えば、脱脂は、成形原料中の成形助剤等である有機物の種類及びその添加量に応じて行われることが好ましい。上記有機物としては、有機バインダ、分散剤、造孔材等を挙げることができる。焼成条件(温度・時間)は、成形原料の種類により異なるため、その種類に応じて適切な条件を選択すればよい。例えば、焼成温度は一般的には、約1400〜1600℃前後程度であるが、これに限定されるものではない。脱脂と本焼成とは、別工程としてもよい。脱脂及び本焼成は、電気炉、ガス炉等を用いて行うことができる。
【0058】
(1−4)検査工程:
本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、得られたセラミックハニカム焼成体を寸法検査により、「検査基準を満たす合格品」と、「検査基準を満たさない不合格品」と、「前記不合格品のうち直角度のみが検査基準を満たさない直角度のみの不合格品」と、を選別する。検査基準は、最終製品となるセラミックハニカム構造体に要求される基準値のことである。寸法検査としては、少なくとも直角度についての寸法検査を挙げることができ、例えば、外形寸法、コンツァー、曲り、円筒度等の寸法検査を更に含んでいてもよい。即ち、直角度のみの不合格品は、上述した直角度以外の検査基準を満たし、且つ、直角度の検査基準を満たさない不合格品である。また、上述した「検査基準を満たさない不合格品」とは、直角度のみの不合格品以外の不合格品のことであり、直角度以外の検査基準を少なくとも1つ以上満たしていない不合格品である。
【0059】
上述したように、本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、この寸法検査により、得られたセラミックハニカム焼成体から、直角度のみが不良となるセラミックハニカム焼成体を選り分ける。そして、直角度のみの不合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体に対して、これまでに説明したような研削加工工程を行い、当該セラミックハニカム焼成体の一方の端面及び他方の端面の直角度を改善する。
【0060】
寸法検査の具体的な方法については特に制限はなく、従来公知のセラミックハニカム構造体の製造方法において、最終製品であるセラミックハニカム構造体に対して実施される各種の寸法検査に準じて行うことができる。従来のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、このような寸法検査を合格しなかったものについては、通常、不合格品として廃棄処理等の処置が施されていた。この寸法検査において、直角度だけでなく、外形寸法や曲り等のその他の検査も合格しなかったものについては、本実施形態における研削加工工程では全ての改善が困難なため、従来と同様に不合格品と見なし、廃棄処理等の適切な処理を施す。
【0061】
(1−5)研削加工工程:
本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、図2A図2Eに示すように、上記検査工程において直角度のみの不合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面91及び他方の端面92を研削加工する。この際、これまでに説明したように、直角度のみの不合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体80Bの外径寸法のコンツァーを測定する。
【0062】
コンツァーの測定方法については、特に制限はない。例えば、図2Aに示すように、レーザー変位計67によってコンツァーを測定することができる。レーザー変位計67としては、反射式の非接触レーザー変位計、を好適に用いることができる。このようなレーザー変位計は、セラミックハニカム焼成体80Bのコンツァーをより正確に測定することができる。
【0063】
セラミックハニカム焼成体80Bの周方向のコンツァーの測定点数については特に制限はない。但し、測定点数が多くなれば、4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計がより小さくなるような測定点が得られる可能性が大きくなる。これにより、より直角度の優れたセラミックハニカム構造体を得ることができる。
【0064】
セラミックハニカム焼成体80Bのコンツァーを測定する際には、コンツァー測定開始点P1から、コンツァー測定開始点P1を含む周方向全周(即ち、第一測定部分Q1)に渡って、この周方向に測定位置をずらしながら、第一測定部分Q1の複数の測定点においてコンツァーを測定する。同様に、コンツァー測定開始点P2から、コンツァー測定開始点P2を含む周方向全周(即ち、第二測定部分Q2)に渡って、この周方向に測定位置をずらしながら、第二測定部分Q2の複数の測定点においてコンツァーを測定する。
【0065】
コンツァーの測定は、図2Aに示すように、測定対象物を水平に載置可能な測定台65上に、セラミックハニカム焼成体80Bを載置して行われることが好ましい。このような測定台65を用いると、第一測定部分Q1及び第二測定部分Q2のコンツァーを簡便に測定することができる。例えば、レーザー変位計67が固定式の場合は、レーザー変位計67を2個配置して、第一測定部分Q1及び第二測定部分Q2のコンツァーの測定を同時に行うことが好ましい。セラミックハニカム焼成体80Bを載置した測定台65を水平面内で1回転させることにより、第一測定部分Q1及び第二測定部分Q2のコンツァーを連続的に測定することができる。レーザー変位計67は、可動式のものであってもよい。セラミックハニカム焼成体80Bは、前述した仕上げ工程により、ある程度の直角度を有するものになっている。そのため、セラミックハニカム焼成体80Bは、測定対象物を水平に載置可能な測定台65上にそのまま載置することにより、高精度にコンツァーの測定を行うことができる。
【0066】
コンツァーの測定が終了した時点で、「4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計」を求め、第一受け台68a及び第二受け台68bに支持される支持位置を決定した後、更に、測定台65を所定角度回転させてもよい。より具体的には、まず、それぞれの測定点ごとに算出された「コンツァーのそれぞれの差の絶対値の合計」を比較し、その合計の値が最小の位置を見付ける。このような「合計の値の最小値」が複数存在するときは、例えば、コンツァー測定開始点P1から最も近い測定点を選択する。このように測定点を選択することにより、所定角度回転させる時間が短縮できる。次に、「4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計」が最小となる4つの測定点における第二測定点P1yとコンツァー測定開始点P1との位相を、「最適チャック角」とする。そして、測定台65をコンツァー測定開始点P1から最適チャック角までの位相分回転させる。これにより、測定台65上のセラミックハニカム焼成体80Bが、最適チャック角だけ回転し、この状態のセラミックハニカム焼成体80Bを、搬送チャックによってチャックして、第一受け台68a及び第二受け台68bまで搬送する。このように構成することによって、「4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計」が最小となる4つの測定点を、これまでに説明したように、第一受け台68aの第一支持位置C1ynyと第二支持位置C1xnx、及び第二受け台68bの第三支持位置C2ynyと第四支持位置C2xnxにて支持する。
【0067】
セラミックハニカム焼成体80Bを、第一受け台68a及び第二受け台68bまで搬送する際には、図6に示すように、セラミックハニカム焼成体80Bと第一受け台68a及び第二受け台68bとの間に、衝突を防止するためのクリアランスfを設けることが好ましい。ここで、図6は、セラミックハニカム焼成体を第一受け台及び第二受け台に載置した直後の状態を示す平面図である。図6に示すようにセラミックハニカム焼成体80Bを第一受け台68a及び第二受け台68bに載置した後、補助受け台69が紙面の左側に動くと、セラミックハニカム焼成体80Bが半時計回りに回転する。この回転により、セラミックハニカム焼成体80Bが、第一受け台68a及び第二受け台68bのそれぞれ2箇所で支持される。但し、上述したようにセラミックハニカム焼成体80Bが回転すると、形状測定後の最適チャック角がずれて第一受け台68a及び第二受け台68bにて支持されることとなる。そのため、セラミックハニカム焼成体80Bと第一受け台68a及び第二受け台68bとの間にクリアランスfを設けるようにして搬送を行う場合には、セラミックハニカム焼成体80Bの固定時の回転を考慮した補正を行うことが必要となる。具体的には、図2Aに示す形状測定が終了した後、測定台65を最適チャック角分だけ回転させる際に、固定時の回転角分(即ち、クリアランスfに応じた回転角分)を補正する。このように構成することによって、「4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計」が最小となる4つの測定点を、第一受け台68aの第一支持位置C1ynyと第二支持位置C1xnx、及び第二受け台68bの第三支持位置C2ynyと第四支持位置C2xnxにて支持することができる。
【0068】
図2Aに示すように、セラミックハニカム焼成体80Bを載置した測定台65を水平面内で1回転させる際には、測定台65の回転中心と、セラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面から他方の端面に向かう方向における中心軸とが、多少ずれていてもよい。レーザー変位計の測定許容範囲内であることと、測定台65の回転時にセラミックハニカム焼成体80Bが移動しない範囲であればよい。各コンツァーの測定が、一方の端面から他方の端面に向かう方向に一致する位置において、同一の条件において行われていれば、「コンツァーのそれぞれの差の絶対値の合計」から、上述した最適チャック角を見つけ出すことができる。コンツァーは、最小二乗法、スプライン補間(補間法)等により、基準の外径寸法に対し、ベストフィット処理を施した形状である。また、測定したコンツァーのデーター(即ち、測定結果)は、X−Y座標で保存する。即ち、セラミックハニカム焼成体80Bのコンツァー測定は、(1)測定台65の任意の場所にセットされ、測定座標データーが個々に異なる、(2)セラミックハニカム焼成体80Bが曲がっていると、第一測定部分Q1と第二測定部分Q2の外径寸法は測定できるものの、第一測定部分Q1と第二測定部分Q2の測定座標が異なる等、測定座標データーがずれて保存される。従って、第一測定部分Q1の測定座標データーと第二測定部分Q2の測定座標データーを個別に、基準の外径寸法に対し、最小二乗法により、ベストフィット処理を行う。これにより、第一測定部分Q1と第二測定部分Q2のコンツァーを同一座標でデーター処理可能となり、「コンツァーのそれぞれの差の絶対値の合計」の算出が可能となる。
【0069】
4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計を、それぞれの測定点ごとに求める場合には、第一測定部分Q1の第一測定点P1xと第二測定点P1yとが、周方向に60〜120°の範囲にあることが好ましい。別言すれば、第一測定点P1xと第二測定点P1yとの位相が、60〜120°であることが好ましい。同様に、第二測定部分Q2の第三測定点P2xと第四測定点P2yとについても、周方向に60〜120°の範囲にある。第一測定点P1x及び第二測定点P1yは、セラミックハニカム焼成体を第一受け台にて支持する場合の、第一受け台との支持点となる。第一測定点P1xと第二測定点P1yとの位相が、周方向に60°未満、又は120°超であると、セラミックハニカム焼成体を安定的に支持することが困難になることがある。第一測定点P1xと第二測定点P1yとの位相は、90°であることが更に好ましい。
【0070】
図2B図2Eに示すように、セラミックハニカム焼成体80Bの外壁93を第一受け台68a及び第二受け台68bにて支持し、その状態にて研削加工を行う場合の具体例を以下に説明する。下記の具体例では、第一受け台68a及び第二受け台68bの受け角が90°である場合の例を示す。第一受け台68a及び第二受け台68bは、同じ形状のものであり、第一受け台68aと第二受け台68bとは、それぞれの最下点の支持位置が水平で、且つ、第一受け台68aと第二受け台68bとが平行になるような位置関係に配置されている。また、この第一受け台68a及び第二受け台68bと、研削具75a,75bとが平行になるように配置されている。即ち、研削具75a,75bによって研削加工されたセラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面91及び他方の端面92は、第一受け台68a及び第二受け台68bに対して平行な面となる。研削加工工程にて使用する第一受け台68a及び第二受け台68bとしては、例えば、仕上げ工程にて使用する受け台と同様のものを用いることができる。
【0071】
ここで、コンツァーを測定した結果の一例を、図3に示す。図3においては、縦軸がコンツァー(mm)を示し、横軸がコンツァー測定角度(°)を示す。コンツァー測定角度(°)は、コンツァー測定開始点P1、P2を0°とし、セラミックハニカム焼成体の側面を一周測定した場合を360°とした際の、各コンツァーの測定点における角度のことである。図3においては、第一測定部分Q1におけるコンツァーの測定結果、及び第二測定部分Q2におけるコンツァーの測定結果を示す。第一測定部分Q1及び第二測定部分Q2においては、それぞれ3000点にてコンツァーを測定している。
【0072】
図3に示すように、第一測定部分Q1の第一測定点P1xにて測定されたコンツァーを、「コンツァーC1x」とする。また、第一測定部分Q1の第一測定点P1xから90°位相がずれた位置(別言すれば、コンツァー測定角度が90°離れた位置)に存在する第二測定点P1yにて測定されたコンツァーを、「コンツァーC1y」とする。同様に、第二測定部分Q2の第一測定点P1xと同一の位相の位置に存在する第三測定点P2xにて測定されたコンツァーを、「コンツァーC2x」とする。また、第二測定部分Q2の第二測定点P1yと同一の位相の位置に存在する第四測定点P2yにて測定されたコンツァーを、「コンツァーC2y」とする。ここで、第一測定点P1xから90°位相がずれた位置に存在する測定点を、第二測定点P1yとしているのは、第一受け台及び第二受け台の受け角が90°であるからである。このため、第一受け台及び第二受け台の受け角が、別の角度である場合には、その角度に応じて、第二測定点P1yの位相(別言すれば、第二測定点P1yの位置)が決定される。
【0073】
図3に示される実線k1と破線k2は、コンツァー測定角度が90°離れた位置に引かれた線である。例えば、実線k1と破線k2を90°離れた位置を維持した状態で、図3に示すグラフの全周に渡り、移動させた際に、実線k1及び破線k2上に存在する4つ点の値が、コンツァーC1x、コンツァーC1y、コンツァーC2x、コンツァーC2yとなる。なお、コンツァーC1xは、第一測定点P1xにて測定されたコンツァーであり、コンツァーC1yは、第二測定点P1yにて測定されたコンツァーであり、コンツァーC2xは、第三測定点P2xにて測定されたコンツァーであり、コンツァーC2yは、第四測定点P2yにて測定されたコンツァーである。
【0074】
ここで、図3に示すコンツァーC1x,C1y,C2x,C2yを選択した場合における、4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計の算出方法について説明する。コンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計は、上記式(1)によって求めることができる。上記式(1)中のC1x,C1y,C2x,C2yの値が、図3におけるコンツァーC1x,C1y,C2x,C2yの値(mm)となる。
【0075】
コンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計は、まず、算出対象となる4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値を求める。上述したように、コンツァーC1x,C1y,C2x,C2yを選択した場合には、C1x−C2xによって求められる絶対値、C1y−C2yによって求められる絶対値、C1x−C1yよって求められる絶対値、及びC2x−C2yによって求められる絶対値をそれぞれ求める。
【0076】
図3に示す例では、コンツァー測定角度が、90°と180°付近で、4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計が最小となる。このため、図2B図2Dに示すように、セラミックハニカム焼成体80BをL字型形状の第一受け台68a及び第二受け台68bに載置する際には、コンツァー測定角度が180°の位置が、第一受け台68aの第一支持位置C1yny及び第二受け台68bの第三支持位置C2ynyにて支持されるようにする。一方、コンツァー測定角度が90°は、自動的に第一受け台68aの第二支持位置C1xnx及び第二受け台68bの第四支持位置C2xnxで支持される。例えば、第一受け台及び第二受け台の形状がV字型形状においても、受け角が90°であれば、同じ考え方で支持する。このように、セラミックハニカム焼成体80Bの最適チャック角に該当する測定点が、第一受け台68a及び第二受け台68bにて支持された状態で研削加工を行うことによって、直角度のみが不良と選別されたセラミックハニカム焼成体80Bの直角度を改善することができる。
【0077】
ここで、図4に、セラミックハニカム焼成体の最適チャック角の算出結果を示す。図4は、セラミックハニカム焼成体の最適チャック角の分布を示すグラフである。図4においては、縦軸が最適チャック角を算出し、第一受け台68aの第一支持位置C1yny及び第二受け台68bの第三支持位置C2ynyの最下点が支持される角度(°)を示し、横軸が測定数(個)を示す。図4に示すように、セラミックハニカム焼成体の最適チャック角は、周方向全域に渡って、各セラミックハニカム焼成体毎に、異なる値となる。このように最適チャック角が異なる複数のセラミックハニカム焼成体を、常時、一定の角度で研削加工を行うと、直角度が悪化してしまう。本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、各セラミックハニカム焼成体毎に、上述した方法によって最適チャック角を求めてから研削加工を行うことで、直角度を改善することができる。
【0078】
図2B及び図2Cに示すように、セラミックハニカム焼成体80Bを第一受け台68a及び第二受け台68bに載置する方法については特に制限はない。図2Aに示すような方法によってコンツァーの測定した後、測定台65を第一受け台68aの第一支持位置C1yny及び第二受け台68bの第三支持位置C2ynyの最下点に支持される角度だけ回転させ、この状態のセラミックハニカム焼成体80Bを搬送チャック(図示せず)によって、第一受け台68a及び第二受け台68bまで搬送することが好ましい。なお、上述したように、第一受け台68aの最下点の第一支持位置C1ynyは、「「コンツァーのそれぞれの差の絶対値の合計」が最小となる4つの測定点のうちのコンツァーC1yが測定された第二測定点P1y」を支持する。また、第二受け台68bの最下点の第三支持位置C2ynyは、「「コンツァーのそれぞれの差の絶対値の合計」が最小となる4つの測定点のうちのコンツァーC2yが測定された第四測定点P2y」を支持する。即ち、コンツァーの測定が終了し、コンツァー測定開始点まで1回転した状態のセラミックハニカム焼成体80Bを、更に最適チャック角だけ回転させる。上記最適チャック角の回転を行うことにより、測定済みのセラミックハニカム焼成体80Bは、常に、最適チャック角によって第一受け台68a及び第二受け台68bに支持されることとなる。このようなコンツァーの測定は、直角度のみの不合格品として選別された全てのセラミックハニカム焼成体80Bに対して行われる。このように、本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、各セラミックハニカム焼成体80Bの形状の差異に対して、第一受け台68a及び第二受け台68bや研削具75a,75bなどをそれぞれ適合させるのではなく、各セラミックハニカム焼成体80Bの最適チャック角を、コンツァーによって決定する。
【0079】
その後、第一受け台68a及び第二受け台68bに載置されたセラミックハニカム焼成体80Bの端面を、研削具75a,75bによって研削加工する。
【0080】
以上のようにして、直角度のみが不良のセラミックハニカム焼成体を、直角度の検査基準を満たすセラミックハニカム焼成体として蘇らせることができる。本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、研削加工によって得られたセラミックハニカム焼成体と、上述した寸法検査により検査基準を満たす合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体が、製造目的のセラミックハニカム構造体となる。本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法においては、セラミックハニカム焼成体の外径寸法の大小に関わらず、直角度の優れたセラミックハニカム構造体を高い頻度で製造することができる。このため、本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法は、セラミックハニカム焼成体の外径寸法が、100mm以上である場合に好適であり、セラミックハニカム焼成体の外径寸法が、150mm以上である場合に更に好適である。セラミックハニカム焼成体の外径寸法が、100mm以上のセラミックハニカム焼成体は、外壁表面のコンツァーが大きく、従来の製造方法のように、単に仕上げ加工を行ったのみでは、直角度のみが不良のセラミックハニカム焼成体が多数製造されてしまう。即ち、直角度の歩留まりが低くなってしまう。また、本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法は、セラミックハニカム焼成体の外径寸法公差の片側寸法差が、直角度よりも大である場合に、より好適である。即ち、直角度に対する許容範囲がより厳しいものであっても、本実施形態のセラミックハニカム構造体の製造方法によれば、良好な直角度を実現することができる。外径寸法公差は、外径寸法の製品規格のことであり、各製造段階において許容される誤差の最大寸法と最小寸法との差のことである。
【0081】
上述したセラミックハニカム焼成体の寸法検査は、通常セラミックハニカム焼成体の外壁表面の一方の端面から他方の端面に向かう方向に離間したコンツァー測定開始点P1及びP2に加え、中央部にもコンツァー測定開始点を設けている。このうち、測定開始点P1及びP2で測定された、Q1及びQ2のコンツァーデータをチャック角算出データーに活用することも可能である。即ち、寸法検査で検査基準を満たす合格品と、検査基準を満たさない不合格品と、直角度のみの不合格品を選別し、直角度のみの不合格品に対し、コンツァーC1x,C1y,C2x,C2yの値のそれぞれの差の絶対値の合計が最小となる4つの前記測定点を算出することができる。算出後の工程は、前記の方法が適用できる。再度、形状測定する必要がなく、効率的な方法である。但し、精密な寸法検査を行う工程で、研削加工を行うためには、環境整備が必要となる。
【実施例】
【0082】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0083】
(実施例1)
まず、セラミックハニカム乾燥体を作製した。セラミックハニカム乾燥体を作製するため、セラミック原料としてコージェライト化原料を用いた。コージェライト化原料に、成形助剤を所定量添加するとともに、水を添加して、混合粉末を調製した。
【0084】
次に、得られた混合粉末を、セラミックハニカム成形体を成形するための金型を用いて押出成形した。押出成形は、連続成形によって行い、一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルが区画形成された円筒状のセラミックハニカム成形体を作製した。次に、セラミックハニカム成形体を、セルの延びる方向に、仕上げ寸法よりもセルの延びる方向の長さが長くなるように切断した。
【0085】
次に、セラミックハニカム成形体を乾燥して、セラミックハニカム乾燥体を作製した。乾燥は、誘電乾燥と熱風乾燥とを組み合わせて行った。
【0086】
次に、得られたセラミックハニカム乾燥体の一方の端面及び他方の端面を仕上げ加工して、仕上げセラミックハニカム乾燥体を得た。仕上げセラミックハニカム乾燥体の一方の端面から他方の端面に向かう長さ(即ち、仕上げ寸法)は200mmであった。
【0087】
得られた仕上げセラミックハニカム乾燥体を脱脂し、更に焼成して、セラミックハニカム焼成体を作製した。脱脂及び焼成は、酸化雰囲気で行った。焼成時における最高温度は、1430℃とした。このような方法により、1ロット100個で、100ロットのセラミックハニカム焼成体を製造した。セラミックハニカム焼成体の外径寸法は150mmであった。表1に、セラミックハニカム焼成体の「外径寸法」、仕上げセラミックハニカム乾燥体の「仕上げ寸法」を示す。
【0088】
次に、得られたセラミックハニカム焼成体を寸法検査により、検査基準を満たす合格品と、検査基準を満たさない、直角度のみの不合格品を選別した。その後、直角度のみの不合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体について、以下の方法で研削加工工程を行った。また、上記寸法検査により、検査基準を満たす合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体については、研削加工工程を行わず、当該セラミックハニカム焼成体を、製造目的であるセラミックハニカム構造体とした。
【0089】
図2Aに示すように、直角度のみの不合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体80Bを、水平面内で回転可能な測定台65上に載置した。その後、セラミックハニカム焼成体80Bの外壁93表面の周方向のコンツァーを、レーザー変位計67によって連続的に測定した。具体的には、まず、セラミックハニカム焼成体80Bの外壁93表面の一方の端面91から他方の端面92に向かう方向に離間した2つの位置を、コンツァー測定開始点P1及びコンツァー測定開始点P2とした。そして、コンツァー測定開始点P1を含む周方向Rを一周する第一測定部分Q1において、セラミックハニカム焼成体80Bの外径寸法のコンツァーを、コンツァー測定開始点P1から、周方向Rに測定位置をずらしながら複数の測定点にて測定した。また、コンツァー測定開始点P2を含む周方向Rを一周する第二測定部分Q2においても、コンツァー測定開始点P2から、周方向Rに測定位置をずらしながら複数の測定点にてコンツァーを測定した。レーザー変位計67は、反射式の非接触レーザー変位計を用いた。コンツァーの測定は、1つの周方向について、3000点行った。即ち、コンツァー測定開始点から、0.12°刻みで、セラミックハニカム焼成体80Bの外壁93表面の各点におけるコンツァーを測定した。実施例1においては、研削加工工程を行うための第一受け台及び第二受け台として、受け角が90°の受け台を用いた。
【0090】
得られた測定結果から、以下の方法で、4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計を、3000点の測定点ごとに求めた。ここで、コンツァー測定開始点P1にて測定されたコンツァーを「コンツァーC1(0°)」とし、コンツァー測定開始点P2にて測定されたコンツァーを「コンツァーC2(0°)」とする。また、コンツァー測定開始点P1から周方向にn°移動した測定点において測定されたコンツァーを「コンツァーC1(n°)」とする。上記「n°」は、コンツァー測定開始点P1を0°とした場合の、コンツァー測定角度(°)である(図3参照)。同様に、コンツァー測定開始点P2から周方向にn°移動した測定点において測定されたコンツァーを「コンツァーC2(n°)」とする。例えば、コンツァー測定開始点P1から周方向に0.12°移動した測定点において測定されたコンツァーは「コンツァーC1(0.12°)」となる。
【0091】
まず、コンツァーC1(0°)、コンツァーC1(90°)、コンツァーC2(0°)、及びコンツァーC2(90°)の4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計Nを求めた。「コンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計N」とは、コンツァー測定開始点P1を、「コンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計を算出するための第一測定点P1x」に選択したことを意味する。また、「コンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計N」の算出に、コンツァー測定角度が0°及び90°のコンツァーの値を用いたのは、第一受け台及び第二受け台の受け角が90°であるからである。
【0092】
次に、コンツァーC1(0.12°)、コンツァーC1(90.12°)、コンツァーC2(0.12°)、及びコンツァーC2(90.12°)の4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計N0.12を求めた。これ以降、順次、4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計値を求める測定点を周方向に移動させながら、4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計を3000点求めた。以下、「4つのコンツァーの値のそれぞれの差の絶対値の合計」を、単に「コンツァーの差の合計」ということがある。
【0093】
次に、得られた全ての「コンツァーの差の合計」を比較し、最も「コンツァーの差の合計」が小さい最小合計値を見付ける。ここで、「コンツァーの差の合計」が最小となるコンツァー測定角度に90°を加えた角度を「最適チャック角」とした。なお、最も「コンツァーの差の合計」が小さい最小合計値の算出に用いられた4つのコンツァーを、「コンツァーC1(n°)」、「コンツァーC1((n+90)°)」、「コンツァーC2(n°)」、「コンツァーC2((n+90)°)」とした場合に、各コンツァーの値は、以下の通りである。即ち、「コンツァーC1(n°)」を、「第一測定点P1xにて測定されたコンツァーC1x」とする。「コンツァーC1((n+90)°)」を、「第二測定点P1yにて測定されたコンツァーC1y」とする。「コンツァーC2(n°)」を、「第三測定点P2xにて測定されたコンツァーC2x」とする。「コンツァーC2((n+90)°)」を、「第四測定点P2yにて測定されたコンツァーC2y」とする。次に、図2B及び図2Cに示すように、測定が終了したセラミックハニカム焼成体80Bを、第一受け台68a及び第二受け台68bに載置した。セラミックハニカム焼成体80Bの第一受け台68a及び第二受け台68bまでの搬送は、以下の方法によって行った。まず、コンツァーの測定が終了し、コンツァー測定開始点まで1回転した状態のセラミックハニカム焼成体80Bを、更に最適チャック角だけ回転させた。上述したセラミックハニカム焼成体80Bの回転は、測定台65を回転させることによって行った。次に、セラミックハニカム焼成体80Bを、搬送チャック(図示せず)によって、第一受け台68aの第一支持位置C1ynyと第二支持位置C1xnx及び第二受け台68bの第三支持位置C2ynyと第四支持位置C2xnxに設置した。
【0094】
次に、図2Eに示すように、第一受け台68a及び第二受け台68bに載置されたセラミックハニカム焼成体80Bの一方の端面91及び他方の端面92を、研削具75a,75bによって研削加工して、セラミックハニカム構造体を得た。研削具75a,75bとしては、砥石粒度が#100のカップ砥石を用いた。カップ砥石のテーパー角は15度であった。カップ砥石の周速は30m/秒であった。研削具75aから第一支持位置C1ynyまでの距離n1、及び研削具75bから第三支持位置C2ynyまでの距離n2については、6mmとした。
【0095】
【表1】
【0096】
直角度のみの不合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体80Bの不良率は21%であり、上述した方法で研削加工を実施し、得られたセラミックハニカム構造体の直角度についての不良率(%)を求めた。即ち、実施例1において得られた全てのセラミックハニカム構造体の直角度を測定し、直角度の許容範囲を満たしているものを合格とし、直角度の許容範囲を満たしていないものを不合格とした。この測定結果から、実施例1における直角度についての不良率(%)(即ち、「直角度のみの不良率(%)」)を求めた。表1に、実施例1の直角度のみの不良率(%)を示す。
【0097】
(実施例2)
外径寸法、焼成後のセル密度、及び焼成後の隔壁の厚さが表1に示す値となるようなセラミックハニカム乾燥体を作製し、仕上げ寸法が表1に示す値となるように、実施例1と同様の方法で、セラミックハニカム構造体を製造した。直角度のみの不合格品として選別されたセラミックハニカム焼成体80Bの不良率は49%であり、上述した方法で研削加工を実施し、実施例1と同様の方法で、得られたセラミックハニカム構造体の直角度のみの不良率(%)を求めた。結果を表1に示す。
【0098】
(比較例1及び2)
実施例1及び2において、寸法検査により選別された直角度のみの不合格品に上述した研削加工を実施しないものを比較例1及び2とした。寸法検査により選別された直角度のみの不合格品に上述した研削加工を実施しないため、比較例1は、不良率が21%であり、比較例2は不良率が49%である。
【0099】
(結果1)
表1に示すように、実施例1及び2の製造方法によれば、比較例1及び2の製造方法に比して、直角度のみの不良率(%)が飛躍的に低下していることが分かる。比較例1及び2においては、セラミックハニカム乾燥体の仕上げ加工の際に、仕上げ加工用の受け台に載置したセラミックハニカム乾燥体が動いてしまい傾くことがある。セラミックハニカム乾燥体が傾いている状態で仕上げ加工を行うと、セラミックハニカム乾燥体の直角度が悪化する。このようなセラミックハニカム乾燥体の直角度の悪化が、セラミックハニカム構造体の直角度にそのまま反映されてしまう。一方、実施例1及び2においても、比較例1及び2と同様に、仕上げ加工において直角度が悪化することがあるが、上述した形状測定及び研削加工工程を行うことにより、直角度が悪化したセラミックハニカム焼成体の直角度を改善することができる。このため、実施例1及び2においては、直角度のみの不良率が0%という結果を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のセラミックハニカム構造体の製造方法は、直角度が優れたセラミックハニカム構造体を製造する方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0101】
50:セラミックハニカム乾燥体、51:隔壁、52:セル、61:一方の端面、62:他方の端面、65:測定台、67:レーザー変位計、68a:第一受け台、68b:第二受け台、69:補助受け台、70:仕上げセラミックハニカム乾燥体、75a,75b:研削具、80:セラミックハニカム焼成体、80B:セラミックハニカム焼成体(直角度のみが不良のセラミックハニカム焼成体)、80a,80b:余剰部分、81:隔壁、82:セル、88:回転方向、91:一方の端面、92:他方の端面、93:外壁、100,200:セラミックハニカム構造体、111:一方の端面、111a:点(一方の端面の周縁の一の点)、112:他方の端面、112a:端点(他方の端面の周縁の端点)、115:仮想線、116:仮想面、118:交点、A:仕上げ工程、B:焼成工程、C:検査工程、D:研削加工工程、C1x,C1y,C2x,C2y:コンツァー、f:クリアランス、k1:実線、k2:破線、L:一方の端面から他方の端面に向かう方向、m:仕上げ寸法、n1:距離(研削具から第一支持位置までの距離)、n2:距離(研削具から第三支持位置までの距離)、P1,P2:コンツァー測定開始点、C1yny:第一支持位置、C1xnx:第二支持位置、C2yny:第三支持位置、C2xnx:第四支持位置、P1x:第一測定点、P1y:第二測定点、P2x:第三測定点、P2y:第四測定点、R:周方向、Q1:第一測定部分、Q2:第二測定部分、Y1:長さ(直角度)。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6