(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置、例えば、ワイヤドット式のプリンタにおいては、インパクトドットヘッドが配設され、該インパクトドットヘッドにおいて印字ワイヤを選択的に前進させてインクリボンに打ち付け、インクリボンのインクを用紙に転写することによって、印字が行われるようになっている。
【0003】
図2は従来のインパクトドットヘッドの要部断面図、
図3は従来のインパクトドットヘッドにおいてスプリングに発生させられる付勢力を示す図である。なお、
図3において、横軸に印字ワイヤの移動量Kを、縦軸に付勢力Fを採ってある。
【0004】
図において、111はインパクトドットヘッド、112は該インパクトドットヘッド111の本体部、113は該本体部112から前方に突出させて形成されたノーズ、114はキャップ、115はコア部116及びヨーク部117を備えたコアヨーク、118は前記コア部116を包囲するように配設されたコイルボビン、121は該コイルボビン118に巻回させられたコイル、125は前記コアヨーク115に対して揺動自在に配設されたアーマチュア、126は該アーマチュア125の先端に取り付けられ、アーマチュア125の揺動に伴って進退させられる印字ワイヤである。この場合、前記インパクトドットヘッド111は24ピンヘッドであり、コアヨーク115に24個のコア部116が配設され、該各コア部116に対応させてアーマチュア125が配設され、該各アーマチュア125の先端に印字ワイヤ126が取り付けられる。
【0005】
また、131はスプリングホルダ、132、133は収容穴であり、該収容穴132、133内にスプリング134、135がそれぞれ収容される。
【0006】
ドットデータに基づいて発生させられた駆動電流がコイル121に供給され、コイル121が通電されると、前記コア部116に電磁力が発生し、アーマチュア125がコア部116に吸引されて、回動させられる。これに伴って、印字ワイヤ126が前進させられ、印字ワイヤ126の先端が先端ガイド127に形成された穴129から突出させられ、所定のインパクト力で図示されないインクリボンに打ち付けられる。これにより、インクリボンのインクが用紙に転写されて、用紙にドットが形成される。
【0007】
そして、駆動電流がコイル121に供給されなくなり、コイル121の通電が停止されると、前記コア部116に電磁力が発生しなくなり、スプリング134、135の付勢力によってアーマチュア125が初期状態に復帰させられ、印字ワイヤ126が後退させられる。
【0008】
ところで、アーマチュア125が初期状態に置かれているときの印字ワイヤ126の位置を初期位置とし、該初期位置からアーマチュア125がコア部116に当接する位置までの距離を、印字ワイヤ126のストロークとしたとき、前記スプリング134、135のうちの、インパクトドットヘッド111における径方向内方に配設されたスプリング134は、印字ワイヤ126のストロークの全体にわたって弱い付勢力でアーマチュア125を付勢し、インパクトドットヘッド111における径方向外方に配設されたスプリング135は、印字ワイヤ126が初期位置から所定の移動量Kだけ前進させられる間はアーマチュア125を付勢せず、それ以降、強い付勢力でアーマチュア125を付勢する。
【0009】
図3において、ラインL1はスプリング134によって発生させられる付勢力を、ラインL2はスプリング135によって発生させられる付勢力を、ラインL3はスプリング134、135によって発生させられる合成の付勢力を示す。
【0010】
なお、移動量Kは、印字ワイヤ126が初期位置から移動する際の移動距離を表す。
【0011】
したがって、印字ワイヤ126が所定の距離だけ前進させられる間は付勢力Fが小さいので、小さいエネルギーでアーマチュア125の回動を開始することができ、その後、付勢力Fが大きくなるので、駆動電流がコイル121に供給されなくなり、コイル121の通電が停止されたときに、アーマチュア125を急速に復帰させることができ、高速で印字を行うことができる(例えば、特許文献1参照。)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのワイヤドット式のプリンタに搭載されるインパクトドットヘッドについて説明する。
【0022】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるインパクトドットヘッドの要部を示す概略図、
図4は本発明の第1の実施の形態におけるインパクトドットヘッドの概略図、
図5は本発明の第1の実施の形態におけるインパクトドットヘッドの要部を示す斜視図、
図6は本発明の第1の実施の形態におけるサポートスプリングの平面図である。
【0023】
図において、11はインパクトドットヘッド、12は該インパクトドットヘッド11の本体部、13は該本体部12から前方(
図4においては下方)に突出させて形成されたノーズ、14はキャップであり、前記本体部12、ノーズ13及びキャップ14は、保持部材としてのクランプスプリングCrによってユニット化されて保持される。
【0024】
また、15は強磁性体によって形成され、柱状の形状を有するコア部16及び環状体から成るヨーク部17を備えたコアヨーク、18は前記コア部16を包囲するように配設された筒状のコイルボビン、19は該コイルボビン18に所定の巻数で巻回させられたコイル、20は前記コイルボビン18を保持し、コイル19と電気的に接続された基板、23は前記本体部12に配設され、コアヨーク15を保持するホルダ、25は強磁性体によって形成され、支点Oを揺動中心として前記コアヨーク15に対して揺動自在に配設されたアーマチュア、26は該アーマチュア25の先端に溶着によって取り付けられ、アーマチュア25の揺動に伴って進退させられる印字ワイヤである。前記コイルボビン18は、本体部18a、該本体部18aと一体に形成された、アーマチュア25側のフランジ部18b、及び本体部18aと一体に形成された、基板20側のフランジ部18cを備える。前記コア部16、コイルボビン18及びコイル19によって、アーマチュア25に対応する電磁石が構成される。該電磁石においては、コイル19の通電に伴ってコア部16に電磁力が発生し、アーマチュア25が吸引される。
【0025】
本実施の形態において、前記インパクトドットヘッド11は24ピンヘッドであり、コアヨーク15に24個のコア部16が配設され、該各コア部16に対応させてアーマチュア25が配設され、該各アーマチュア25の先端に印字ワイヤ26が取り付けられる。そして、前記印字ワイヤ26は、アーマチュア25の揺動に伴って矢印S方向に前進させられるときに、ノーズ13の先端に配設された先端ガイド27、及びノーズ13内に配設された複数の中間ガイド28によって案内され、先端ガイド27に形成された穴29から印字ワイヤ26の先端が突出させられる。
【0026】
また、前記ヨーク部17と当接させて、強磁性体によって形成された環状の第1のヨーク33が、該第1のヨーク33と当接させて、強磁性体によって形成された環状の第2のヨーク34が配設される。
【0027】
そして、前記アーマチュア25は、支点Oに隣接させて形成され、第2のヨーク34を包囲する第1の部位25a、該第1の部位25aと隣接させて形成され、コア部16と対向させられる第2の部位25b、該第2の部位25bと隣接させて、湾曲させて形成された第3の部位25c、及び該第3の部位からアーマチュア25の先端にかけて直線状に延在させられる第4の部位25dを備え、アーマチュア25の揺動に伴って、第2の部位25bとコア部16とが接離させられる。なお、前記コアヨーク15、第1、第2のヨーク33、34及びアーマチュア25によって磁路Mrが形成される。
【0028】
また、前記キャップ14の内側には、アーマチュア25を位置決めするための位置決め用の付勢部材としての環状のプレッシャスプリング35が配設され、キャップ14を本体部12に取り付けると、キャップ14によってプレッシャスプリング35が押され、第1の部位25aが第1、第2のヨーク33、34によって形成されたL字状の面に押し付けられる。なお、キャップ14とプレッシャスプリング35との間には、潤滑剤としての潤滑油が浸透させられた潤滑剤供給部材としてのオイルフェルト36が配設される。
【0029】
さらに、前記キャップ14の内側には、金属薄板から成る第1の位置決め部材としての環状のリミッタ40が配設され、該リミッタ40は、例えば、フッ素ゴム等の耐熱性、耐薬品性及び制振性が高いゴム材料から成る第2の位置決め部材としてのラバーリミッタ41、及びフィルム材料から成る第3の位置決め部材としてのフィルムリミッタ42を介して、前記キャップ14に取り付けられる。そして、前記リミッタ40は、前記アーマチュア25が復帰したときに、アーマチュア25と接触し、アーマチュア25を初期状態に置くように位置決めする。
【0030】
また、30は前記コアヨーク15の外周に圧入によって取り付けられ、銅損、鉄損等によってコアヨーク15において発生した熱を放出するヒートシンク、31は前記基板20及びコネクタ32を介して図示されない制御部と電気的に接続された温度検出部としてのサーミスタ、44は前記ノーズ13と対向させて配設されたプラテン、45は該プラテン44上に配設された媒体としての用紙である。
【0031】
前記コイル19に駆動電流が供給され、コイル19が通電されると、磁路Mrに磁束が発生し、コア部16に電磁力が発生する。これにより、アーマチュア25は、コア部16に吸引され、支点Oを中心に回動させられる。これに伴って、印字ワイヤ26が矢印S方向に前進させられ、印字ワイヤ26の先端が先端ガイド27の前記穴29から突出させられ、所定のインパクト力(打付力)で図示されないインクリボンに打ち付けられる。これにより、インクリボンのインクがプラテン44上の用紙45に転写されて、用紙45に、前記穴29の配列に応じたドットマトリックスでドットが形成される。このようにして印字が行われる。
【0032】
ところで、本実施の形態において、前記アーマチュア25は、コア部16に発生させられる電磁力に抗して初期状態に復帰する方向に付勢されるようになっている。
【0033】
そのために、前記ホルダ23には、各アーマチュア25に対応させて収容穴h1が形成され、該収容穴h1に、アーマチュア25の回動が開始されたときにアーマチュア25を初期状態に復帰させる方向に向けて第1の付勢力(第1の復帰力)f1で付勢し、復帰させるための、第1の復帰用の付勢部材としての、かつ、第1の付勢部としてのリセットスプリング39がアーマチュア25に対応させて配設される。前記リセットスプリング39は、線径が0.1〔mm〕程度のコイルスプリングから成り、アーマチュア25と常時当接させられる。そして、アーマチュア25が初期状態に置かれているときの印字ワイヤ26の位置を初期位置としたとき、リセットスプリング39によって発生させられる第1の付勢力f1は、印字ワイヤ26が初期位置に置かれているときに所定の値(初期値fs)を採り、アーマチュア25が回動させられ、印字ワイヤ26が初期位置から離れるほど値が大きくなる。
【0034】
また、コイルボビン18におけるアーマチュア25側のフランジ部18bと、アーマチュア25の第2の部位25b及び第3の部位25cとの間に、アーマチュア25の回動が開始された後に、アーマチュア25を初期状態に復帰させる方向に向けて第2の付勢力(第2の復帰力)f2で付勢し、復帰させるための、第2の復帰用の付勢部材としてのサポートスプリング43が配設される。
【0035】
該サポートスプリング43は、ビッカース硬さが500〔HV〕程度にされ、引張り強度が2〔GPa〕程度にされた弾性材料、例えば、焼入れ処理を施したSK材等から成り、前記リセットスプリング39のばね定数より大きいばね定数を有する環状の板ばねによって形成される。また、前記サポートスプリング43は、三角形の形状を有し、径方向内方に向けて突出させて、等ピッチで形成された第2の付勢部としての24個の内側突起43a、及び四角形の形状を有し、円周方向における各内側突起43a間において、径方向外方に向けて突出させて、等ピッチで形成された被挟持部としての24個の外側突起43bを備え、打抜き加工等によって一体に形成される。この場合、サポートスプリング43が焼入れ処理を施したSK材等によって形成されるので、サポートスプリング43の強度を大きくすることができ、内側突起43aが三角形の形状を有するので、変形に伴い発生する内部応力を小さくすることができる。したがって、サポートスプリング43の耐久性を高くすることができる。
【0036】
そして、前記サポートスプリング43は、円周方向において、各内側突起43aの先端とアーマチュア25の第4の部位25dとが一致するように、各外側突起43b間の凹部43cとアーマチュア25の第2の部位25bとが一致するように配設される。
【0037】
また、前記第2のヨーク34は、環状の外周部分34a、及び該外周部分34aから径方向内方に向けて突出させて、等ピッチで形成された図示されない突起部分を備える。そして、各アーマチュア25の両側において、前記各突起部分とコイルボビン18のフランジ部18bとによって各外側突起43bが挟持される。その結果、各内側突起43aの先端とアーマチュア25の第4の部位25dとを対向させた状態で、第2のヨーク34とコイルボビン18とによってサポートスプリング43が保持される。
【0038】
そして、アーマチュア25における内側突起43aと対向する部分、本実施の形態においては、第3の部位25cと第4の部位25dとの間の部分が内側突起43aとの当接部Pとされる。アーマチュア25が初期状態に置かれているときは、アーマチュア25とサポートスプリング43とが当接させられず、前記当接部Pと内側突起43aとの間に所定の距離d1が設定され、アーマチュア25が回動させられ、印字ワイヤ26が所定の移動量だけ前進させられると、アーマチュア25とサポートスプリング43とが当接させられ、それ以降、アーマチュア25は、サポートスプリング43によって、各内側突起43aごとに第2の付勢力f2で、初期状態に復帰させられる方向に向けて独立に付勢される。アーマチュア25がサポートスプリング43と当接させられるときの印字ワイヤ26の位置、すなわち、スプリング当接位置で、第2の付勢力f2は0であり、印字ワイヤ26がスプリング当接位置から更に前進させられ、移動量が大きくなるほど値が大きくなる。
【0039】
ところで、プラテン44上に適正な厚さの用紙45が配設されている場合の、用紙45自体の厚さとインクリボンの厚さとを加えた厚さ(用紙が印字に伴って印字ワイヤ26によって押され、圧縮される場合には、圧縮された後の厚さ)の中心値をtとし、振れ幅をΔtとすると、プラテン44上の用紙45の厚さはt±Δtで表される。プラテン44上に適正な厚さの用紙45が配設されている場合の用紙45の厚さは、最小値(t−Δt)と最大値(t+Δt)との間で変化する。
【0040】
そして、アーマチュア25が初期状態に置かれているときの印字ワイヤ26の先端とプラテン44とのギャップをHとし、アーマチュア25が初期状態に置かれているときの、初期位置から印字ワイヤ26の先端が用紙45と接触する位置に到達するまでの印字ワイヤ26の移動量をKaとすると、用紙45の厚さが最小値(t−Δt)である場合、移動量Kaは、
Ka=H−(t−Δt) ……(1)
になる。
【0041】
また、プラテン44上に適正な厚さの用紙45より薄い用紙45が配設されている場合の、初期位置から印字ワイヤ26の先端が用紙45と接触する位置に到達するまでの印字ワイヤ26の移動量Kは、プラテン44上に適正な厚さの用紙45が配設される場合の移動量Kaより大きくなる。
【0042】
そこで、本実施の形態においては、プラテン44上に適正な用紙45が配設されているときは、アーマチュア25とサポートスプリング43とが当接せず、適正な厚さの用紙45より薄い用紙45が配設されているときは、印字ワイヤ26の移動量Kが移動量Kaよりサポートスプリング43の実装精度に応じてあらかじめ設定された値ΔKだけ大きくなった場合にアーマチュア25とサポートスプリング43とが当接するように、前記距離d1が設定される。
【0043】
すなわち、初期位置から印字ワイヤ26の先端がプラテン44と接触する位置に到達するまでの印字ワイヤ26の移動量を閾値Kbとし、前記支点Oと当接部Pとの間の距離をL1とし、支点Oとアーマチュア25の先端までの距離をL2とすると、閾値Kbは、
Kb=Ka+ΔK
=(L2/L1)d1 ……(2)
で表される。
【0044】
したがって、式(1)、(2)から、距離d1は、
d1=(L1/L2)・(H−t+Δt+ΔK)
になる。
【0045】
なお、サポートスプリング43の実装精度は、サポートスプリング43自体、サポートスプリング43を支持する各部品の精度(製造誤差)等によって決まり、値ΔKは、サポートスプリング43の実装精度にばらつきがあっても、必ず、
Ka<Kb
になるように設定される。
【0046】
また、本実施の形態においては、コアヨーク15におけるコア部16とヨーク部17とを連結する部分の面Aがインパクトドットヘッド11の基準面にされ、コイルボビン18のフランジ部18cの所定の箇所が面Aに突き当てて取り付けられ、サポートスプリング43が、第2のヨーク34とコイルボビン18によって保持され、コイルボビン18によって位置決めされて、前記距離d1が設定される。
【0047】
次に、前記構成のインパクトドットヘッド11の動作について説明する。
【0048】
図7は本発明の第1の実施の形態におけるインパクトドットヘッドの動作を示すフローチャートである。
【0049】
まず、前記制御部が、ドットデータに基づいて、コネクタ32(
図4)及び基板20を介してコイル19を通電すると、磁路Mrに磁束が発生し、コア部16に電磁力が発生する。これにより、アーマチュア25は、コア部16に吸引され、支点Oを中心に回動させられる。これに伴って、印字ワイヤ26が前進させられ、印字ワイヤ26の先端が先端ガイド27の穴29から突出させられ、所定のインパクト力でインクリボンに打ち付けられる。これにより、インクリボンのインクがプラテン44上の用紙45に転写されて、用紙45に、前記穴29の配列に応じたドットマトリックスでドットが形成される。
【0050】
このとき、印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kbより大きい場合、アーマチュア25とサポートスプリング43とが当接させられ、制御部がコイル19の通電を停止させると、リセットスプリング39による第1の付勢力f1及びサポートスプリング43による第2の付勢力f2でアーマチュア25が復帰させられる。
【0051】
また、移動量Kが閾値Kb以下である場合、アーマチュア25とサポートスプリング43とは当接させられず、制御部がコイル19の通電を停止させると、リセットスプリング39による第1の付勢力f1でアーマチュア25が復帰させられる。
【0052】
そして、次のドットデータがある場合は前記各動作が繰り返され、ドットデータがない場合は処理が終了される。
【0053】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 制御部はコネクタ32及び基板20を介してコイル19を通電する。
ステップS2 アーマチュア25が回動させられる。
ステップS3 印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kbより大きいかどうかが判断される。印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kbより大きい場合はステップS4に、印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kb以下である場合はステップS7に進む。
ステップS4 アーマチュア25とサポートスプリング43とが当接させられる。
ステップS5 制御部はコイル19の通電を停止する。
ステップS6 リセットスプリング39による第1の付勢力f1及びサポートスプリング43による第2の付勢力f2でアーマチュア25が復帰させられる。
ステップS7 アーマチュア25とサポートスプリング43とが当接させられない。
ステップS8 制御部はコイル19の通電を停止する。
ステップS9 リセットスプリング39による第1の付勢力f1でアーマチュア25が復帰させられる。
ステップS10 制御部は次のドットデータがあるかどうかを判断する。次のドットデータがある場合はステップS1に戻り、次のドットデータがない場合は処理を終了する。
【0054】
次に、コイル19を通電したときの、初期位置からの印字ワイヤ26の移動量Kと、コイル19が通電することによって発生させられる電磁力FE、印字ワイヤ26に発生させられるインパクト力FI、リセットスプリング39によって発生させられる第1の付勢力f1、及びサポートスプリング43によって発生させられる第2の付勢力f2との関係、すなわち、印字ワイヤ26の駆動特性について説明する。
【0055】
図8は本発明の第1の実施の形態における印字ワイヤの駆動特性を示す図である。なお、図において、横軸に印字ワイヤ26の移動量Kを、縦軸に電磁力FE、インパクト力FI及び第1、第2の付勢力f1、f2を採ってある。
【0056】
前述されたように、コイル19(
図1)が通電されると、コア部16に、電磁力FEが、初期値をFEsとして発生する。電磁力FEは、印字ワイヤ26の移動量Kの二乗に比例するような曲線で変化させられ、印字ワイヤ26の移動量Kが大きいほど値が大きくなる。
【0057】
また、リセットスプリング39によって、第1の付勢力f1が、初期値をfsとして発生させられる。前記第1の付勢力f1は、印字ワイヤ26の移動量Kに比例して変化し、印字ワイヤ26の移動量Kが大きいほど値が大きくなる。
【0058】
そして、印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kb(=Ka+ΔK)より大きくなると、サポートスプリング43によって、第2の付勢力f2が、初期値を0として発生させられる。前記第2の付勢力f2は、移動量Kが閾値Kbより大きい場合に、移動量Kと閾値Kbとの差(K−Kb)に比例して変化し、印字ワイヤ26の移動量Kが大きいほど値が大きくなる。
【0059】
したがって、印字ワイヤ26にインパクト力FIが、初期値をFIsとして発生させられ、印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kb以下である場合に、インパクト力FIは、
FI=FE−f1
になり、印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kbより大きい場合に、インパクト力FIは、
FI=FE−(f1+f2)
になる。
【0060】
なお、Kaは用紙45の厚さが最小値(t−Δt)である場合の印字ワイヤ26の移動量、Kcは用紙45の厚さが最大値(t+Δt)である場合の印字ワイヤ26の移動量、Kdはアーマチュア25がコア部16に当接するときの印字ワイヤ26の移動量である。
【0061】
また、AR1は、プラテン44上に適正な厚さの用紙45より厚い用紙45が配設されている場合の印字ワイヤ26の駆動特性を表す領域、AR2は、プラテン44上に適正な厚さの用紙45が配設されている場合の印字ワイヤ26の駆動特性を表す領域、AR3は、プラテン44上に適正な厚さの用紙45より薄い用紙45が配設されている場合の印字ワイヤ26の駆動特性を表す領域である。
【0062】
図に示されるように、領域AR2において、アーマチュア25は、リセットスプリング39による第1の付勢力f1だけで付勢されるので、インパクト力FIを大きくすることができる。また、領域AR3において、アーマチュア25は、リセットスプリング39による第1の付勢力f1及びサポートスプリング43による第2の付勢力f2で付勢されるので、インパクト力FIを小さくすることができる。
【0063】
このように、本実施の形態においては、第2の付勢力f2を発生させるために、サポートスプリング43として板ばねが使用されるので、各アーマチュア25ごとにコイル状のスプリングを配設する必要がない。したがって、インパクトドットヘッド11の構造を簡素化することができ、製造時に、インパクトドットヘッド11を容易に組み立てることができる。
【0064】
また、本実施の形態において、アーマチュア25は、プラテン44上に適正な厚さの用紙45が配設されている場合に、リセットスプリング39による第1の付勢力f1で付勢され、適正な厚さの用紙45より薄い用紙45が配設されている場合に、リセットスプリング39による第1の付勢力f1及びサポートスプリング43による第2の付勢力f2で付勢されるので、印字ワイヤ26が初期位置から所定の移動量だけ前進させられる間は付勢力が大きくなることがない。したがって、小さいエネルギーでアーマチュア25の回動を開始することができる。
【0065】
さらに、プラテン44上に適正な厚さの用紙45より薄い用紙45が配設されている場合は、コイル19の通電が停止されたときに、アーマチュア25を急速に復帰させることができるので、高速で印字を行うことができる。
【0066】
ところで、コアヨーク15における第1のヨーク33と対向する面は、第1、第2のヨーク33、34を介してアーマチュア25を精度良く支持するために、研磨され、平面度が高くされている。
【0067】
そこで、前記面をインパクトドットヘッド11の基準面にした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0068】
図9は本発明の第2の実施の形態におけるインパクトドットヘッドの要部を示す概略図である。
【0069】
この場合、コイルボビン18は、本体部18a、本体部18aの一端において一体に形成された、アーマチュア25側のフランジ部18b、本体部18aの一端において一体に形成された、基板20側のフランジ部18c、及び本体部18a内の所定の箇所に、本体部18aと一体に所定の厚さで形成されて本体部18a内を区画し、アーマチュア25の回動を規制する規制部としての薄膜部18dを備える。
【0070】
そして、コアヨーク15の面Bがインパクトドットヘッド11の基準面にされ、コイルボビン18の薄膜部18dが面Bに突き当てて取り付けられ、第2の復帰用の付勢部材としてのサポートスプリング43は、第2のヨーク34とコイルボビン18とによって保持され、コイルボビン18によって位置決めされる。また、アーマチュア25が初期状態に置かれているときは、第3の部位25cと第4の部位25dとの間の当接部Pと第2の付勢部としての内側突起43a(
図5)との間に所定の距離d2が設定され、アーマチュア25が回動させられ、印字ワイヤ26が所定の移動量だけ前進させられると、アーマチュア25とサポートスプリング43とが当接させられ、それ以降、アーマチュア25は、サポートスプリング43によって、各内側突起43aごとに第2の付勢力f2で、初期状態に復帰させられる方向に向けて独立に付勢される。
【0071】
なお、前記コイルボビン18は、耐摩耗性が高い樹脂材料、本実施の形態においては、ポリイミド樹脂によって形成される。
【0072】
次に、印字ワイヤ26の駆動特性について説明する。
【0073】
図10は本発明の第2の実施の形態における印字ワイヤの駆動特性を示す図である。なお、図において、横軸に印字ワイヤ26の移動量Kを、縦軸に電磁力FE、インパクト力FI及び第1、第2の付勢力f1、f2を採ってある。
【0074】
この場合、Kd′はアーマチュア25が薄膜部18dと当接するときの印字ワイヤ26の移動量である。
【0075】
移動量Kの値Kd′は第1の実施の形態における、アーマチュア25がコア部16と当接するときの移動量Kの値Kdより薄膜部18dの厚さだけ小さいので、領域AR3においてインパクト力FIが大きくなるのが抑制される。
【0076】
したがって、プラテン44上に適正な厚さの用紙45より薄い用紙45が配設されている場合は、コイル19の通電が停止されたときに、アーマチュア25を一層急速に復帰させることができるので、高速で印字を行うことができる。
【0077】
また、領域AR3において、アーマチュア25が薄膜部18dと当接する動作が繰り返された場合でも、薄膜部18dは、耐摩耗性の高いポリイミド樹脂によって形成されるので、経時的に変形したり、破損したりすることがない。したがって、印字ワイヤ26を長期間にわたり、安定させて駆動することができる。
【0078】
さらに、コイルボビン18は、薄膜部18dを平面度の高い面Bに突き当てて取り付けられ、サポートスプリング43を位置決めするので、サポートスプリング43の実装精度を高くすることができる。したがって、値ΔKを小さくすることができるので、閾値Kbを値Kaに近づけることができる。その結果、第2の付勢力f2が発生するタイミングを早くすることができる。
【0079】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1、第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0080】
図11は本発明の第3の実施の形態におけるインパクトドットヘッドの要部を示す斜視図、
図12は本発明の第3の実施の形態におけるサポートスプリングの平面図である。
【0081】
この場合、コイルボビン18におけるアーマチュア25側のフランジ部18bと、アーマチュア25の第2の部位25b、第3の部位25c及び第4の部位25dとの間に、アーマチュア25を初期状態に復帰させる方向に向けて第1、第2の付勢力(第1、第2の復帰力)f1′、f2′で付勢し、復帰させるための復帰用の付勢部材としてのサポートスプリング63が配設される。
【0082】
該サポートスプリング63は、ビッカース硬さが500〔HV〕程度にされ、引張り強度が2〔GPa〕程度にされた弾性材料、例えば、焼入れ処理を施したSK材等から成り、環状の板ばねによって形成される。また、前記サポートスプリング63は、三角形の形状を有し、径方向内方に向けて突出させて、等ピッチで形成された付勢部ユニットとしての24個の内側突起63a、及び四角形の形状を有し、円周方向における各内側突起63a間において、径方向外方に向けて突出させて、等ピッチで形成された被挟持部としての24個の外側突起63bを備え、打抜き加工等によって一体に形成される。
【0083】
前記内側突起63aは、「V」字形状を有し、径方向内方に向けて突出させて形成された第1の付勢部としての第1の突起部63e、及び三角形の形状を有し、前記第1の突起部63eによって包囲され、径方向内方に向けて突出させて形成された第2の付勢部としての第2の突起部63fを備える。前記第1、第2の突起部63e、63f間には、「V」字形状の溝m1が形成され、前記第1、第2の突起部63e、63fは互いに独立に変形可能にされる。
【0084】
なお、前記第2の突起部63fのばね定数は、第1の突起部63eのばね定数より大きくされる。
【0085】
前記第1の突起部63eは、前記溝m1を介して第2の突起部63fと対向させられ、2本の帯状体から成る帯状部63g、該各帯状部63gが結合された結合部63h、及び先端部63iを備える。そして、前記外側突起63b及び第2の突起部63fは同一平面上に置かれるのに対して、帯状部63g及び結合部63hは、外側突起63b及び第2の突起部63fの面に対してアーマチュア25に向けて傾斜させられ、先端部63iは、外側突起63b及び第2の突起部63fの面に対してアーマチュア25から離れる側に傾斜させられ、結合部63hと先端部63iとの間の折曲部が、前記アーマチュア25の第4の部位25dの下面と接触する接触部Qとされる。
【0086】
そして、前記サポートスプリング63は、円周方向において、各第1、第2の突起部63e、63fの先端とアーマチュア25の第4の部位25dとが一致するように、各外側突起63b間の凹部63cとアーマチュア25の第2の部位25bとが一致するように配設される。
【0087】
また、各アーマチュア25の両側で、第2のヨーク34の各突起部分とコイルボビン18のフランジ部18bとによって各外側突起63bが挟持される。その結果、各第1、第2の突起部63e、63fの先端とアーマチュア25の第4の部位25dとを対向させた状態で、第2のヨーク34とコイルボビン18とによってサポートスプリング63が保持される。
【0088】
本実施の形態において、第1の突起部63eは、アーマチュア25と常時当接させられ、アーマチュア25を初期状態に復帰させる方向に第1の付勢力f1′で付勢する。該第1の付勢力f1′は、アーマチュア25が初期状態に置かれているときに、所定の値(初期値fs′)を採り、アーマチュア25が回動させられ、印字ワイヤ26が初期位置から離れるほど値が大きくなる。
【0089】
そして、アーマチュア25における第2の突起部63fと対向する部分、本実施の形態においては、第3の部位25cと第4の部位25dとの間の部分が第2の突起部63fとの当接部P′とされる。アーマチュア25が初期状態に置かれているときは、アーマチュア25と第2の突起部63fとが当接させられず、前記当接部P′と第2の突起部63fとの間に所定の距離d1(
図1)が設定され、アーマチュア25が回動させられ、印字ワイヤ26が所定の移動量だけ前進させられると、アーマチュア25と第2の突起部63fとが当接させられ、これ以降、アーマチュア25は、サポートスプリング63によって、各第2の突起部63fごとに第2の付勢力f2′で、初期状態に復帰させられる方向に向けて独立に付勢される。
【0090】
次に前記構成のインパクトドットヘッド11の動作について説明する。
【0091】
図13は本発明の第3の実施の形態におけるインパクトドットヘッドの動作を示すフローチャートである。
【0092】
まず、前記制御部が、ドットデータに基づいてコイル19を通電すると、磁路Mr(
図4)に磁束が発生し、コア部16に電磁力が発生する。これにより、アーマチュア25は、コア部16に吸引され、支点Oを中心に回動させられる。これに伴って、印字ワイヤ26が前進させられ、印字ワイヤ26の先端が先端ガイド27の穴29から突出させられ、所定のインパクト力でインクリボンに打ち付けられる。これにより、インクリボンのインクがプラテン44上の媒体としての用紙45に転写されて、用紙45に、前記穴29の配列に応じたドットマトリックスでドットが形成される。
【0093】
このとき、印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kbより大きい場合、アーマチュア25と第2の突起部63fとが当接させられ、制御部がコイル19の通電を停止させると、第1、第2の突起部63e、63fによる第1、第2の付勢力f1′、f2′でアーマチュア25が復帰させられる。
【0094】
また、移動量Kが閾値Kb以下である場合、アーマチュア25と第2の突起部63fとは当接させられず、制御部がコイル19の通電を停止させると、第1の突起部63eによる第1の付勢力f1′でアーマチュア25が復帰させられる。
【0095】
そして、次のドットデータがある場合は前記各動作が繰り返され、ドットデータがない場合は処理が終了される。
【0096】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 制御部はコイル19を通電する。
ステップS22 アーマチュア25が回動させられる。
ステップS23 印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kbより大きいかどうかが判断される。印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kbより大きい場合はステップS24に、印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kb以下である場合はステップS27に進む。
ステップS24 アーマチュア25と第2の突起部63fとが当接させられる。
ステップS25 制御部はコイル19の通電を停止する。
ステップS26 第1、第2の突起部63e、63fによる第1、第2の付勢力f1′、f2′でアーマチュア25が復帰させられる。
ステップS27 アーマチュア25と第2の突起部63fとが当接させられない。
ステップS28 制御部はコイル19の通電を停止する。
ステップS29 第1突起部63eによる第1の付勢力f1′でアーマチュア25が復帰させられる。
ステップS30 制御部は次のドットデータがあるかどうかを判断する。次のドットデータがある場合はステップS21に戻り、次のドットデータがない場合は処理を終了する。
【0097】
次に、コイル19を通電したときの、初期位置からの印字ワイヤ26の移動量Kと、コイル19が通電することによって発生させられる電磁力FE、印字ワイヤ26に発生させられるインパクト力FI′、第1の突起部63eによって発生させられる第1の付勢力f1′、及び第2の突起部63fによって発生させられる第2の付勢力f2′との関係、すなわち、印字ワイヤ26の駆動特性について説明する。
【0098】
図14は本発明の第3の実施の形態における印字ワイヤの駆動特性を示す図である。なお、図において、横軸に印字ワイヤ26の移動量Kを、縦軸に電磁力FE、インパクト力FI′及び第1、第2の付勢力f1′、f2′を採ってある。
【0099】
前述されたように、コイル19(
図11)が通電されると、コア部16に、電磁力FEが、初期値をFEsとして発生する。電磁力FEは、印字ワイヤ26の移動量Kの二乗に比例するような曲線で変化させられ、印字ワイヤ26の移動量Kが大きいほど値が大きくなる。
【0100】
また、第1の突起部63eによって、第1の付勢力f1′が、初期値をfs′として発生させられる。前記第1の付勢力f1′は、印字ワイヤ26の移動量Kに比例して変化し、印字ワイヤ26の移動量Kが大きいほど値が大きくなる。
【0101】
そして、印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kb(=Ka+ΔK)より大きくなると、第2の突起部63fによって、第2の付勢力f2′が、初期値を0として発生させられる。前記第2の付勢力f2′は、移動量Kが閾値Kbより大きい場合に、移動量Kと閾値Kbとの差(K−Kb)に比例して変化し、印字ワイヤ26の移動量Kが大きいほど値が大きくなる。
【0102】
したがって、印字ワイヤ26にインパクト力FI′が、初期値をFIs′として発生させられ、印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kb以下である場合に、インパクト力FI′は、
FI′=FE−f1′
になり、印字ワイヤ26の移動量Kが閾値Kbより大きい場合に、インパクト力FI′は、
FI′=FE−(f1′+f2′)
になる。
【0103】
なお、Kaは用紙45の厚さが最小値(t−Δt)である場合の印字ワイヤ26の移動量、Kcは用紙45の厚さが最大値(t+Δt)である場合の印字ワイヤ26の移動量、Kdはアーマチュア25がコア部16に当接するときの印字ワイヤ26の移動量である。
【0104】
このように、本実施の形態においては、第1、第2の付勢力f1′、f2′を発生させるために、サポートスプリング63として板ばねが使用されるので、各アーマチュア25ごとにリセットスプリング39を配設する必要がない。したがって、インパクトドットヘッド11の構造を簡素化することができ、製造時に、インパクトドットヘッド11を容易に組み立てることができる。
【0105】
しかも、第2の突起部63fとアーマチュア25とが当接する面積、すなわち、接触面積が、第1、第2の実施の形態におけるリセットスプリング39とアーマチュア25との接触面積より大きくされるので、アーマチュア25に局所的な摩耗が発生するのを抑制することができる。その結果、インパクトドットヘッド11の耐久性を高くすることができる。
【0106】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0107】
図15は本発明の第4の実施の形態におけるインパクトドットヘッドの要部を示す概略図、
図16は本発明の第4の実施の形態におけるサポートスプリングの平面図、
図17は本発明の第4の実施の形態におけるサポートスプリングとアーマチュアの下面との接触状態を示す第1の図、
図18は本発明の第4の実施の形態におけるサポートスプリングとアーマチュアの下面との接触状態を示す第2の図である。
【0108】
この場合、復帰用の付勢部材としてのサポートスプリング73は、三角形の形状を有し、径方向内方に向けて突出させて、等ピッチで形成された付勢部ユニットとしての24個の内側突起73a、及び四角形の形状を有し、円周方向における各内側突起73a間において、径方向外方に向けて突出させて、等ピッチで形成された被挟持部としての24個の外側突起73bを備え、打抜き加工等によって一体に形成される。
【0109】
前記内側突起73aは、「V」字形状を有し、径方向内方に向けて突出させて形成された第1の付勢部としての第1の突起部73e、及び三角形の形状を有し、前記第1の突起部73eによって包囲され、径方向内方に向けて突出させて形成された第2の付勢部としての第2の突起部73fを備える。前記第1、第2の突起部73e、73f間には、「V」字形状の溝m1が形成され、前記第1、第2の突起部73e、73fは互いに独立に変形可能にされる。
【0110】
第1の突起部73eは、前記溝m1を介して第2の突起部73fと対向させられ、2本の帯状体から成る帯状部73g及び該各帯状部73gが結合された結合部73hを備える。そして、前記外側突起73b及び第2の突起部73fは同一平面上に置かれるのに対して、帯状部73g及び結合部73hは、外側突起73b及び第2の突起部73fの面に対してアーマチュア25に向けて傾斜させられ、所定の曲率半径で緩やかに湾曲させられ、結合部73hにおける所定の箇所が、アーマチュア25の第4の部位25dの下面と接触する接触部Q′となる。
【0111】
そして、前記サポートスプリング73は、円周方向において、各第1、第2の突起部73e、73fの先端とアーマチュア25の第4の部位25dとが一致するように、各外側突起73b間の凹部73cとアーマチュア25の第2の部位25bとが一致するように配設される。
【0112】
また、各アーマチュア25の両側で、第2のヨーク34の各突起部分とコイルボビン18のフランジ部18bとによって各外側突起73bが挟持される。その結果、各第1、第2の突起部73e、73fの先端とアーマチュア25の第4の部位25dとを対向させた状態で、第2のヨーク34とコイルボビン18とによってサポートスプリング73が保持される。
【0113】
本実施の形態において、第1の突起部73eは、アーマチュア25と常時当接させられ、アーマチュア25を初期状態に復帰させる方向に第1の付勢力f1′で付勢する。該第1の付勢力f1′は、アーマチュア25が初期状態に置かれているときに、所定の値(初期値fs′)を採り、アーマチュア25が回動させられ、印字ワイヤ26が初期位置から離れるほど値が大きくなる。
【0114】
そして、アーマチュア25における第2の突起部73fと対向する部分、本実施の形態においては、第3の部位25cと第4の部位25dとの間の部分が第2の突起部73fとの当接部P′とされる。アーマチュア25が初期状態に置かれているときは、アーマチュア25と第2の突起部73fとが当接させられず、前記当接部P′と第2の突起部73fとの間に所定の距離d1(
図1)が設定され、アーマチュア25が回動させられ、印字ワイヤ26が所定の移動量だけ前進させられると、アーマチュア25と第2の突起部73fとが当接させられ、これ以降、アーマチュア25は、サポートスプリング73によって、各第2の突起部73fごとに第2の付勢力f2′で、初期状態に復帰させられる方向に向けて独立に付勢される。
【0115】
ところで、アーマチュア25の第4の部位25dの下面は、当接部P′からアーマチュア25の先端にかけて斜め上方に向けて傾斜させて形成される。したがって、結合部73hにおける接触部Q′は、アーマチュア25が初期状態に置かれている場合に、
図17に示されるように、第4の部位25dの下面とR1の位置で接触させられ、アーマチュア25が回動させられると、
図18に示されるように、前記R1の位置より先端側のR2の位置で接触させられ、接触させられる位置が矢印方向に移動する。すなわち、アーマチュア25の揺動に伴って、接触部Q′の位置が移動させられる。
【0116】
したがって、アーマチュア25におけるサポートスプリング73と当接する部分が摩耗するのを抑制することができるので、インパクトドットヘッド11の耐久性を高くすることができる。
【0117】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。