【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様の本発明による放射線の検出の方法は、
例えば放射線ソースから直接に、又は、例えば透過、散乱、後方散乱、吸収などを含む物体との相互作用の後に、半導体検出器装置の表面に放射線を作用させるステップと、
前記検出器でエネルギーパルスを検出するステップと、
読み取りパルス・エネルギーを測定するステップと、
信号をフィルタリングして、フィルタ処理信号が予め定められた閾値エネルギーを上回る時間を決定するステップと、
前記決定された時間が、少なくとも所定の最大値、及び好ましくは所定の最小値をも含む予め定められたパラメータの範囲内である場合、最初に読み取るパルス・エネルギーをパルス・エネルギー・データ・レジスタに格納するステップと、
前記決定された時間が所定の最大値を超えると、読み取りパルス・エネルギーをディスカード(破棄)するとともにディスカード・データ・レジスタのカウントをインクリメントするステップと、
第1のデータ・レジスタにおいて所望のサイズの読み取りパルス・エネルギーのエネルギー・スペクトル・データセットを取得するために上記ステップを繰り返すステップと、
そして、このような取得完了後、ディスカードされたカウントを数値的に補正し、前記エネルギー・スペクトル・データセット内に再加算することによって前記読み取りパルス・エネルギーのデータセットを補完するために、前記ディスカード・データ・レジスタを用いるステップと、
を含む。
【0005】
更なる態様の本発明によれば、半導体装置からの検出放射線データの処理の方法は、
半導体装置で入射する放射線からの読み取りパルス・エネルギーを測定すること、
パルスが予め定められた閾値エネルギーを上回る時間を決定すること、
前記決定された時間が、所定の最大値、及び好ましくは所定の最小値をも含む予め定められたパラメータの範囲内である場合、最初に読み取るパルス・エネルギーをパルス・エネルギー・データ・レジスタに格納すること、
前記決定された時間が所定の最大値を超えると、読み取りパルス・エネルギーをディスカードするとともにディスカード・データ・レジスタのカウントをインクリメントすること、
第1のデータ・レジスタにおいて所望のサイズの読み取りパルス・エネルギーのデータセットを取得するために上記ステップを繰り返すこと、
ディスカードされたカウントを数値的に補正し、前記エネルギー・スペクトル・データセット内に再加算することによって前記読み取りパルス・エネルギーのデータセットを補完するために、前記ディスカード・データ・レジスタを用いること、
を含む。
更なる態様の本発明によれば、放射線の検出のための装置は、方法の原則に動作可能に記載されている。
【0006】
そこで、装置は、
半導体放射線検出器と、
例えば前記検出器の反応をサンプリングすることによって前記検出器でエネルギーパルスを検出するための手段と、
前記エネルギーパルスのエネルギーを測定するパルス・エネルギー読取機と、
パルス・エネルギーが予め定められた閾値エネルギーを上回る時間を決定する時計手段と、
パルス・エネルギーが少なくとも所定の最大値、及び好ましくは所定の最小値をも含む予め定められた閾値エネルギーを上回る時間に対する予め定められたパラメータを格納しているパルス時間パラメータ・データ・レジスタと、
パルス・エネルギーが予め定められた閾値エネルギーを上回る時間が前記予め定められたパラメータの範囲内であるかどうか評価するための、かつ、前記時間が前記予め定められたパラメータの範囲内であると、最初に読み取るパルス・エネルギーをパルス・エネルギー・データ・レジスタが格納するための、かつ、前記決定された時間が予め定められた最大値を超えると、ディスカード・データ・レジスタが読み取りパルス・エネルギーをディスカードするとともにカウントをインクリメントするための、データ処理モジュールと、
前記ディスカード・データ・レジスタのアドレッシングによりディスカードされたカウントを数値的に補正し、前記エネルギー・スペクトル・データセット内に再加算することによって読み取りパルス・エネルギーのデータセットを補完するための、スペクトル補正モジュールと、
を含む。
【0007】
このように、本発明の原則によれば、データは、普通の方法の適切なサンプリング・アルゴリズムを経て、例えば検出器で取得される。パルスは、読み取りパルス・エネルギーがいつ規定の閾値を超えるか決定することにより検出される。ピーク値は、決定され得る。一旦パルスが規定の閾値以下に戻ると、パルス・エネルギーがその閾値を越えた時には算出される。
【0008】
各パルスは、予め定められた閾値パラメータに対して分析される。少なくとも、所定の最大の時間がセットされる。好ましくは、所定の最小の時間がセットされる。パルスが所定の最大値を超える閾値パルス波高を上回る時には、パルスはエネルギー・スペクトル・データ・レジスタに保存されないが、ディスカード・カウントはディスカード・レジスタに加えられる。所定の最小の時間がセットされ、パルスが閾値パルス波高を上回る時間が最小の時間未満の場合、パルスはエネルギー・スペクトル・データ・レジスタに保存されずに、仮定ノイズとして完全にディスカードされる。パルスが閾値パルス波高を上回る時間が予め定められたパラメータの範囲内である場合、パルスはパルス・エネルギー・データ・レジスタに保存される。
【0009】
好ましくは、取得したエネルギー・データは、複数のエネルギー及び/又は複数のエネルギー・バンドにわたって、エネルギー選択的に分解される。好ましくは、パルス・エネルギー・データ・レジスタは、複数のエネルギー選択箱を含み、各パルスはパルスの高さに従ってこの種の箱のうちの1つに選択的に保存される。
【0010】
特に、エネルギー・スペクトル・データセットとしてスペクトル的に分解された方法で代表的なかなりの複数のパルスがパルス・エネルギー・データ・レジスタで得られるまで、パルスを収集するか又はディスカードする過程は繰り返される。これで最初の取得段階を完了する。特に後続の追加データ補正ステージにおいてデータセットがディスカード・カウントに基づき補正によって追加されるという点で、本発明は区別される。ディスカードは、部分的に読み出すホール信号を伴う実在するパルスの検出を示すとみなされる。一旦取得が完了すると、ディスカードされたカウントはエネルギー補正され、このためより望ましい総カウント率を保存し、スペクトル分解能を維持するエネルギー・データ・レジスタ内に再加算される。
【0011】
好適な更なるステージにおいて、エネルギー・スペクトル・データセットは、概念的な無限厚みの検出器に数値的に補正され得る。検出器が有限厚みであるとき、高エネルギー光子に対して感受性が低い。従って、生成されたスペクトルの比率のカウントの単純な再加算は、結果として低エネルギー光子を支持して優先して歪曲されているスペクトルをもたらす。検出器の減衰係数及び実際の厚さが公知である場合、これは補正され得、それによって、無限厚さの検出器から見えるのと同等のスペクトルを与え、したがって入射光量子束をより代表する。
【0012】
結果として生じる補正エネルギー・スペクトル・データセットは、更なる処理のための他の装置に格納され得るか又は出力され得る。
【0013】
装置を含む半導体材料は、例えば高エネルギー放射線のための検出器として作用することが可能な材料など、好ましくは高エネルギー物理学アプリケーションのために、そして、例えばX線又はガンマ線又は亜原子粒子放射線など、例えば高エネルギー電磁放射線のために適応する材料である。結果として生じる装置は、この種の材料の少なくとも一つの層を含み、このように高エネルギー物理学アプリケーションに適している装置、及び例えばX線又はガンマ線又は亜原子粒子放射線などの例えば高エネルギー放射線のための検出器である。
【0014】
半導体装置は、好ましくは使用中に少なくとも放射線スペクトルの実質的な部分にわたって分光学的に多様な反応を示すように構成されている検出器装置である。特に、半導体材料は、直接材料特性、直接の可変的な電気、及び使用中に例えば放射線スペクトルの異なる部分への光電応答として本質的に示す。
【0015】
好ましい実施例において、半導体材料は、バルク結晶として、そして、例えばバルク単結晶として形成される(この文脈におけるバルク結晶は少なくとも500fEmの、そして、望ましくは少なくとも1mmの厚さを示す)。
【0016】
好ましい実施態様において半導体材料は、II−VI族半導体から選択され得、好ましくは、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)、テルル化カドミウムマンガン(CMT)及びそれらの合金から選ばれ、例えば、結晶構造のCd
1−(a+b)Mn
aZn
bTeを含み、ここでa+b<1であり、a及び/又はbはゼロであってもよい。
【0017】
同様に、放射線ソースは、複数の帯域幅又は一つのエネルギーが識別され得る単一の広域スペクトル・ソースでもよい。あるいは又はさらにソースは、狭帯域幅を有するか、又はエネルギーの一部を本発明の方法に従う比較に提供するために一つ以上の別々のエネルギーで入射放射線を生成して設けられ得る。この場合、放射線ソースは、複数のエネルギー/エネルギー・バンドにわたる検出器によって分解能を許容するために広げられる必要な全体のスペクトルを出力する異なるエネルギーのソースの組合せを含む複数のソースである。例えば、複数のソースは、0から160keV又は別々の輝線(例えば14keV、122keV及び36keVで輝線を持つ
57Co)を有する放射性同位元素まで例えば連続制動放射線スペクトルを有するX線ソースを含む。
【0018】
ソースは、好ましくは本発明の性能のために必要なスペクトル分解能を有効にするために、十分に広域の放射線のスペクトルを発生させることができる。好ましくは、ソースは、20keV〜1MeVの範囲の少なくとも1以上の部分にわたって、そして、より好ましくは、例えば20keV〜160keVの範囲の少なくとも一部及び大部分にわたって放射線を発生させる。例えば、ソースは、所与の範囲の中で少なくとも20keVの少なくとも一つのバンド幅にわたって広がっている放射線を発生させる。例えば、スペクトルは、少なくとも3つの10keVのバンドがその範囲の中で分解され得るようなものである。
【0019】
本発明の方法における数値的又は他のデータの処理ステップは、機械可読な命令又はコードの適切なセットによって行うことができることは、一般によく理解されている。これらの機械可読な命令は、特定のステップの実行手段を作り出すために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置上にロードされ得る。例えば、検出器及び関連電子機器からの信号は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)によって、エネルギー・スペクトルに変換され得る。
【0020】
これらの機械可読な命令はまた、コンピュータ可読媒体に保存される命令が本発明の方法における数値的ステップの一部又は全てを実行するための命令手段を含んでいる製品を生産するように、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置に特定の方法で機能するように指示することのできるコンピュータ可読媒体に保存され得る。コンピュータ・プログラム命令はまた、命令が本発明の方法におけるデータ処理ステップの一部又は全てを実行するためのステップを提供しているコンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行されるように、コンピュータ実行済みの方法を実行可能とする機械を生産するためにコンピュータ又は他のプログラム可能な装置上にロードされ得る。専用のハードウェア及び/又はコンピュータ命令のあらゆる適切な組合せにより、ステップが実行され得、このようなステップを行う装置の手段が構成されることが理解されよう。