特許第5749712号(P5749712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5749712効果的且つ効率的な設計を有するバック接点型太陽電池及び対応するパターニング法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749712
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】効果的且つ効率的な設計を有するバック接点型太陽電池及び対応するパターニング法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0352 20060101AFI20150625BHJP
   H01L 31/068 20120101ALI20150625BHJP
【FI】
   H01L31/04 340
   H01L31/06 300
【請求項の数】7
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2012-511904(P2012-511904)
(86)(22)【出願日】2010年5月13日
(65)【公表番号】特表2012-527772(P2012-527772A)
(43)【公表日】2012年11月8日
(86)【国際出願番号】US2010034762
(87)【国際公開番号】WO2010135153
(87)【国際公開日】20101125
【審査請求日】2013年5月9日
(31)【優先権主張番号】12/469,441
(32)【優先日】2009年5月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503157216
【氏名又は名称】ナノグラム・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】NanoGram Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】ウマ スリニバサン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ シン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー ヒースルメア
(72)【発明者】
【氏名】ニーラジ パカラ
【審査官】 井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/103293(WO,A1)
【文献】 特開2008−186927(JP,A)
【文献】 特開2006−294802(JP,A)
【文献】 特開2004−221188(JP,A)
【文献】 特開2007−281044(JP,A)
【文献】 特表2005−506705(JP,A)
【文献】 特開2005−260040(JP,A)
【文献】 特開2009−206375(JP,A)
【文献】 特開2005−322780(JP,A)
【文献】 特開2010−283339(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/065918(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−50/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
元素ケイ素、元素ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム合金、又はこれらのブレンドを含む半導体層と、該半導体層の表面に沿って互いに同じ高さに位置するn−ドープされた領域及びp−ドープされた領域とを含む光起電力電池であって、
該ドープされた領域がそれぞれ、平均幅よりも少なくとも10倍大きい平均長さの比を有するストライプを含む、該表面に沿った平面状の広がりを有しており、
該ドープされた領域は、接点の厚さの上側10%の平均ドーパント濃度が、該接点の上側から該接点深さの20〜30%の位置における平均ドーパント濃度よりも少なくとも4倍高く、そして
該ドープされた領域のそれぞれの平均深さが100nm〜5μmであり、該n−ドープされた領域と該p−ドープされた領域とのエッジ間距離が、1つ又は2つ以上の個所で5μm〜500μmの値である、光起電力電池。
【請求項2】
該元素ケイ素/ゲルマニウムが、1立方センチメートル当たりの原子数1×1014〜1×1016の濃度で、n型ドーパント又はp型ドーパントを含む、請求項1に記載の光起電力電池。
【請求項3】
該半導体層の平均厚が、5μm〜300μmである、請求項1に記載の光起電力電池。
【請求項4】
該ドープされた領域の平均厚が、250nm〜2.5μmである、請求項1に記載の光起電力電池。
【請求項5】
n−ドープされた領域と隣接するp−ドープされた領域との間の距離が、1つ又は2つ以上の個所で20μm〜200μmの値である、請求項1に記載の光起電力電池。
【請求項6】
該ドープされた領域の平均ドーパント濃度が、1.0×1018〜5×1020である、請求項1に記載の光起電力電池。
【請求項7】
該ドープされた領域のそれぞれが、平均幅よりも少なくとも15倍大きい平均長さの比を有するストライプを含む、該表面に沿った平面状の広がりを有している、請求項1に記載の光起電力電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の後部又は裏面に沿って両極性のドープされた接点を有する太陽電池に関する。このドープされた接点は、効果的な光電流捕集を可能にするようにパターン形成される。効率的な加工アプローチは、バック接点型太陽電池及び他の太陽電池デザインのために、選択されたパターンに沿ってドープされた接点を形成するのを可能にする。
【背景技術】
【0002】
光起電力電池は光の吸収を介して動作して、電子−正孔対を形成する。半導体材料を好都合に使用することにより、結果として生じる電荷分離によって光を吸収することができる。光電流は、直接に、又は適切なエネルギー貯蔵デバイスによる貯蔵の後に、外部回路内で有用な作業を行うために所定の電圧差で得られる。
【0003】
半導体材料が光伝導体として機能する光起電力電池、例えば太陽電池の形成のために、種々様々な技術を利用することができる。商業的な光起電力電池の大部分がシリコンを基材としている。再生不能エネルギー源が環境上及びコスト上の懸念によりますます好ましくなくなるのにともなって、代替エネルギー源、特に再生可能なエネルギー源への関心がますます高まっている。再生可能なエネルギー源の商業化の増大は、1エネルギー単位当たりの費用を下げることによって費用効果を高めることに依存する。1エネルギー単位当たりの費用を下げることは、改善されたエネルギー源効率によって、及び/又は材料及び加工のための費用削減によって達成することができる。従って、光起電力電池の場合、所与の光フルエンスのためのエネルギー変換効率を高めることから、及び/又は電池製造コストを低下させることから、商業的な利点をもたらすことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様において、本発明は、半導体層と、半導体層の表面に沿って互いに同じ高さに位置するn−ドープされた領域及びp−ドープされた領域とを含む光起電力電池に関する。いくつかの態様の場合、ドープされた領域のそれぞれの平均深さは約100nm〜約5μmであり、n−ドープされた領域とp−ドープされた領域とのエッジ間距離は、1つ又は2つ以上の個所で約5μm〜約500μmの値である。
【0005】
さらなる態様において、本発明は、半導体層と、半導体層の表面に沿って互いに同じ高さに位置するn−ドープされた領域及びp−ドープされた領域とを含む光起電力電池に関する。いくつかの態様の場合、ドープされた領域はそれぞれ、平均幅よりも少なくとも約10倍大きい平均長さの比を有するストライプを含む表面に沿った平面状の広がりを有しており、n−ドープされた領域とp−ドープされた領域との間の距離は、1つ又は2つ以上の個所で約10μm〜約500μmである。
【0006】
追加の態様において、本発明は、半導体層と、該半導体層の表面に沿ったn−ドープされた領域及びp−ドープされた領域とを含む光起電力電池に関する。ドープされた領域はそれぞれ、平均幅よりも少なくとも約10倍大きい平均長さの比を有するストライプを含む表面に沿った平面状の広がりと、ドープされた領域上の誘電層と、複数のパターン形成された金属相互接続部とを含むことができる。誘電層は、該ドープされた領域のそれぞれの約5パーセント〜約80パーセントを露出させる窓を含むことができ、金属相互接続部を伴う窓上の金属相互接続部は、窓の面積よりも少なくとも約20パーセント大きい面積を有することができる。
【0007】
他の態様において、本発明は、選択されたパターンに沿って半導体をドーピングする方法であって、この方法は、第1のドープされた領域を形成するため、ドーパント源から第1のドーパントを選択された個所で半導体層内にドライブインさせるために、表面に沿った複数の選択個所でエネルギービームをパルス化することを含む、選択されたパターンに沿って半導体をドーピングする方法に関する。いくつかの態様の場合、ドーパント源は、半導体層を実質的に被覆する層内に形成されている。この方法は、第1のドーパント源を除去し、そして半導体層を実質的に被覆するために、第2のドーパントを含む第2のドーパント源を堆積させることを含むこともできる。この方法はさらに、第1のドーパント源を除去し、そして半導体層を実質的に被覆するために、第2のドーパントを含む第2のドーパント源を堆積させることを含むこともできる。この方法はまた、第2のドープされた領域を形成するため、選択個所で半導体層内に第2のドーパントをドライブインさせるために表面に沿った複数の選択個所でエネルギービームをパルス化することを含むこともできる。
【0008】
さらに、本発明は、無機層を貫く開口を選択的にエッチングする方法であって、この方法は、高分子エッチング・レジスト層をパターン形成し、そして無機層を貫く窓を形成するためにエッチングすることを含む、無機層を貫く開口を選択的にエッチングする方法に関する。いくつかの態様では、高分子エッチング・レジスト層のパターン形成は、複数の選択個所でエネルギービームを使用してポリマーをアブレートすることにより、選択個所のエッチング・レジストを除去することによって行われる。
【0009】
加えて、本発明は半導体をベースとするデバイスを形成する方法に関する。大まかに言えば、この方法は、Si半導体フォイルの第1の表面上にドープされた領域を形成し、ドープされた領域を被覆するる第1の表面上に無機誘電層を堆積させ、そして誘電層上に金属電流コレクタをパターン形成することを含む。Si半導体フォイルの平均厚は約5μm〜約100μmであってよい。半導体フォイルは、第1の表面と、第1の表面に対向する第2の表面とを有しており、半導体フォイルの第2の表面は、ポリマー、例えば接着剤でガラス構造に付着されている。金属電流コレクタの一部は、誘電層を介してドープされた領域と接触することができる。いくつかの態様の場合、加工工程は、約200℃を上回る温度には接着剤を加熱しない。
【0010】
さらなる態様の場合、本発明は、半導体層と、半導体層の表面に沿ったn−ドープされた領域及びp−ドープされた領域とを含む光起電力電池に関する。ドープされた領域はそれぞれ、平均幅よりも少なくとも約10倍大きい平均長さの比を有するストライプを含む表面に沿った平面状の広がりを有することができる。いくつかの態様の場合、ストライプの1つ又は2つ以上の増強ドーパント区分の平均表面ドーパント濃度は、n−ドープされた領域の他の個所の平均表面ドーパント濃度の少なくとも約5倍である。
【0011】
さらに本発明は、半導体層と、半導体層の表面に沿った複数のn−ドープされた領域及び複数のp−ドープされた領域とを含む光起電力電池に関する。ドープされた領域の平均深さは約250nm〜約2.5μmであってよく、そして接点の厚さの上側10%における平均ドーパント濃度は、接点の上側から接点深さ20〜30%の高さにおける接点の平均ドーパント濃度よりも少なくとも5倍高くなることができる。
【0012】
他の態様の場合、本発明は、半導体層と、半導体層の表面に沿った複数のn−ドープされた領域と、半導体層の表面に沿った複数のp−ドープされた領域と、誘電層と、n−ドープされた領域と電気的に接続された第1の電流コレクタと、p−ドープされた領域と電気的に接続された第2の電流コレクタとを含む光起電力電池に関する。誘電層は、半導体層の表面に沿った無機層と、無機層上のポリマー層とを、電流コレクタがポリマー層の一部を被覆した状態で含むことができる。それぞれの電流コレクタは、誘電層を貫く窓を通して対応するドープされた領域と接触することができる。
【0013】
加えて、本発明は、半導体層をドーピングする方法であって、この方法は:
シリコンを含む裸の半導体層に沿って複数のドーパント源をパターン形成することにより、パターン形成された半導体層を形成すること;そして
パターン形成された半導体層全体を光ビーム走査することにより、ドーパント源から半導体層内にドーパントをドライブインして、複数のn−ドープされた領域及び複数のp−ドープされた領域を形成すること
を含む、半導体層をドープする方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、太陽電池を示す概略斜視図である。
図2図2は、図1の太陽電池を示す側断面図である。
図3図3は、光起電力モジュールを、モジュール内部に設けられた太陽電池のうちのいくつかの後部を露出させるために、バッキング材料の一部を取り除いた状態で示す概略的な部分斜視図である。
図4図4は、図3の光起電力モジュールの断面図である。
図5図5は、時間の関数としての6つの異なるレーザーパルス波形のプロットを示す図である。
図6図6は、赤外線レーザードーピングでシリコン・ウェハー内に形成されたホウ素ドープされた接点に対応するドーパント・プロフィールのSIMS測定値を示すプロットである。
図7図7は、赤外線レーザードーピングでシリコン・ウェハー内に形成されたリンドープされた接点に対応するドーパント・プロフィールのSIMS測定値を示すプロットである。
図8図8は、赤外線レーザードーピングで形成されたシリコン・ウェハー内のリンドープされた接点に対応するドーパント・プロフィールの広がり抵抗プロフィール(SRP)測定値を示すプロットである。
図9図9は、赤外線レーザードーピングによって形成されたドープされた接点のシート抵抗を、この抵抗が3つの異なるレーザーパルス周波数に対応する赤外線レーザーフルエンスの関数としてプロットされている状態で示すプロットである。
図10図10は、赤外線レーザードーピングによって形成されたドープされた接点の表面粗さを、この抵抗が3つの異なるレーザーパルス周波数に対応する赤外線レーザーフルエンスの関数としてプロットされている状態で示すプロットである。
図11図11は、レーザードーピング工程後のウェハー表面の5つの写真の集合であって、個々の写真は、特定のレーザーパルス周波数における5つの異なるレーザー走査速度に対応するものである。
図12図12は、レーザードーピング工程後のウェハー表面の5つの写真の集合であって、個々の写真は、特定のレーザーパルス周波数における5つの異なるレーザー走査速度に対応しており、そして図12における加工のために用いられるレーザー周波数は、図11の写真を得るために用いられるレーザーパルス周波数とは異なる。
図13図13は、酸化ケイ素誘電層を貫いてカットされたトレンチを有するウェハーの上面を示す写真であり、ポリマーエッチング・レジストのレーザーアブレーション後にエッチングが実施されている。
図14A図14Aは、レーザーで窒化ケイ素誘電層を貫いてアブレートされた窓を有するウェハーの上面を示す写真である。
図14B図14Bは、露出したシリコンが窒化ケイ素誘電層の下方に見える、図14Aの2つの窓を示す拡大写真である。
図15図15は、アルミニウム層を貫いてエッチングされたトレンチを有するウェハーの上面を示す写真であり、ポリマーエッチング・レジストのレーザーアブレーション後にエッチングが実施されている。
図16図16は、2つの金属層の合金化後に実施されたエッチングに基づいて、金属層を貫いてカットされたトレンチ・パターンの上面を示す写真である。
図17図17は、金属被膜を貫いてカットされたトレンチ・パターン示す拡大写真であって、選択的エッチングを可能にする2つの金属層の間の合金を形成するために、パターン上に3パスのレーザービームを施した後で、エッチングが行われている。
図18図18は、照明のない太陽電池の1つの態様のダイオード性能を示すプロットである。
図19図19は、1つの日照状態を有する照明下での図18に関して説明した太陽電池の態様おける、電流密度及び効率に基づく太陽電池性能を、示すプロットである。
図20図20は、1つの日照状態を有する照明下での太陽電池の別の態様における電流密度及び効率に基づく太陽電池性能を、示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
バック接点型太陽電池の設計は、相応の優れた電池性能を有する効果的な接点デザインを提供するために、改善された加工アプローチの利点を採用する。いくつかの態様の場合、互いに離隔した異なるドープされた領域のストライプが、効率的な電池性能及び迅速な加工のために設計されている。隣接するドープされた領域間の距離、ドーパントの深さ、及びドープされた領域の面積は、商業上実際的なプロセスに基づいて所望の電池性能を提供するように選択することができる。選択個所で半導体内にドーパントをドライブインするために、半導体表面全体を光ビーム走査することができる。n型ドーパント及びp型ドーパントを順次堆積することができ、或いは同時に堆積することもできる。半導体材料上の誘電層とほぼ沿って、単一の高さに選択されたパターンを有する、電池の2つの極のための電流コレクタを形成するために、効果的な金属パターン形成・アプローチを用いることができる。本明細書中に記載された加工アプローチは、複数の光起電力電池を同時に加工するために効果的に用いることができる。
【0016】
不動態化層、例えば誘電層を通して金属電流コレクタと半導体材料に沿ったドープされた接点との間の電気的接続を形成するために、代わりの効果的なアプローチが記載されている。いくつかの態様の場合、ドープ半導体材料上に窓付き誘電層を効果的に形成することにより、光電流を収穫するのに適した、ドープされた接点との電気的接続を可能にする。効率的な方法は、ドープされた接点のパターンに従うエッチング工程とともに、レーザーパターン形成に基づいて誘電体をパターン形成すること、及び電流捕集を可能にするために電気的相互接続部をパターン形成することを可能にする。いくつかの態様の場合、誘電層をソフト・アブレーション工程で指向性アブレートすることにより、下側のシリコン材料を著しく損なうことなしに、誘電層を貫く窓を形成する。誘電層のレーザーアブレーションは、さらにPrue他“Laser Ablation- A new Low-Cost Approach for Passivated Rear Contact Formation in Crystalline Silicon Solar Cell Technology”, 16th European Photovoltaic Solar Energy Conference, May 2000(参照することにより本明細書中に組み入れられる)に記載されている。別の又は追加の態様の場合、誘電層を通してパターン形成された金属とドープされた接点との間に電気的接続を直接に生じさせるためにレーザーが使用される。このことは、金属とドープされた接点との間の極めて良好な電気的接続をもたらす。レーザー焼成接点は、“Method of Producing a Semiconductor-Metal Contact Through a Dielectric Layer”と題する米国特許第6,982,218号(Prue他)(参照することにより本明細書中に組み入れられる)に記載されている。
【0017】
本明細書中に記載された改善された方法は、効率的な光電流収穫を可能にするバック接点型太陽電池デザインの効率的且つ費用効果的な形成を可能にする。加工工程は、バック接点型電池デザインに加えてその他の電池デザインに基づく所望の構造、例えば電池の前面に沿ってドープされた接点を有する電池を形成するのに用いることもできる。
【0018】
光起電力モジュールは一般に、モジュールの使用中、光、一般には日光に晒される透明なフロントシートを含む。光起電力モジュール内部の1つ又は2つ以上の太陽電池、すなわち光起電力電池を透明なフロントシートに隣接して配置し得ることにより、透明なフロントシートを透過した光を太陽電池内の半導体材料によって吸収することができる。モジュールの電池(セル)は同時に、本明細書中に記載されたアプローチを用いて同時に加工することができる。透明なフロントシートは、支持、物理的保護、並びに、環境汚染物質からの保護などを提供することができる。光起電力電池の活性材料は一般に半導体である。光吸収に続いて、外部回路との接続を介して有用な作業を行うために、伝導帯から光電流を収穫することができる。光起電力電池の場合、改善された性能は、所与の光フルエンスのためのエネルギー変換効率の増大、及び/又は電池の製造コストの軽減に関連づけることができる。
【0019】
半導体は半導体材料の電子移動性を高めるために、少量ドープすることができる。半導体材料と界面形成する、ドープ接点と呼ばれる、ドーパント濃度が高められた領域は光電流の収穫を容易にする。具体的には、電子及び正孔はそれぞれのn−ドープされた領域とp−ドープされた領域とに分かれることができる。ドープ接点領域は、2つの接点極間に電位差を発生させるように光を吸収することによって形成された光電流を収穫するために、電流コレクタを形成する導電体と界面形成する。単一のセル内部で、同様の極性を有するドープ接点領域は共通の電流コレクタに接続することができるので、異なるドープ接点極性と連携する2つの電流コレクタは、光起電力電池の対向電極を形成する。
【0020】
特に重要な態様において、光起電力モジュールは、半導体シートのために使用されるシリコン(ケイ素)、ゲルマニウム、又はシリコン−ゲルマニウム合金材料を含む。考察の便宜上、本明細書中でシリコンに言及した場合にはこれは、文脈において他のことを示すのでなければ、シリコン、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム合金、及びこれらのブレンドを暗黙的に意味する。いくつかの態様の場合、シリコンはそのコストが比較的に低いことにいより望ましい材料である。特許請求の範囲の記載において、シリコン/ゲルマニウムは、シリコン、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム合金、及びこれらのブレンドを意味するが、個々の元素はその元素のみを意味する。半導体シートは一般にドープされることができるが、半導体全体にわたる全ドーパント濃度は、適切な対応するドープ接点のドーパント濃度よりも低い。以下では、多結晶シリコンに基づく太陽電池及び方法の態様を、より詳細に論じるが、本明細書中の開示内容に基づいて、他の半導体システムのために適宜の部分を一般化することができる。さらに、本明細書中の加工アプローチには薄いシリコンフォイルが適していることがある。いくつかの態様の場合、フォイルの厚さは約5μm〜約100μmであってよい。大面積の薄いシリコンフォイルの形成は、画期的な加工アプローチの結果として可能になる。
【0021】
セル内部のドーパント接点領域の配置及び特性は、電池性能に影響を与える。具体的には、n−ドープされた領域に対するp−ドープされた領域の距離とともに、ドープ接点の深さが、電池性能に影響を与えることができる。同様に、ドープ接点領域、すなわちp−ドープされた領域及びn−ドープされた領域に帰属する面積も電池性能に影響を与える。加工アプローチはまた、一般に、ドープされた領域の配置及びサイズに、少なくとも利用可能な範囲に関して影響を与えることができる。本明細書中に記載されているように、ドープ接点の特性は、好都合な加工アプローチを用いて個々の電池の優れた電流発生効率を達成するように選択されている。
【0022】
バック接点型太陽電池が特に重要であるが、他の電池デザインのための要素にとっても、本明細書中のいくつかの加工アプローチが好都合である。いくつかの態様の場合、太陽電池は、電池の前面全体にわたってドーパントの一方の極を有しており、そして電池の背面全体にわたってドーパントの反対極を有している。これらの態様の場合、電池の前面に沿った電流コレクタは、電池の前面から、外部回路との接続のために側方又は後方へ向けられる。電池の前面に沿った電流コレクタは、過剰量の金属なしに、効果的な電流捕集のために配置されるべきである。それというのも、電池の前面に沿った金属は光が半導体に入るのをブロックするので、電池効率がいくらか低減されるからである。電流コレクタが太陽電池の前面及び背面の両方に沿って配置されている太陽電池の態様が、“Method of Producing a Solar Cell; a Solar Cell and a Method of Producing a Semiconductor Device”と題するArimotoの米国特許第6,093,882号明細書、及び“Method of Fabricating Solar Cells”と題するMicheels他の米国特許第5,082,791号明細書に記載されている。両文献とも参照することにより本明細書中に組み入れられる。
【0023】
特に重要な態様において、ドープ接点はすべて太陽電池の裏面に配置されているので、電池の前面には電流コレクタは配置されていない。基本的なバック接点型太陽電池のデザインがここしばらくの間に知られてきている。例えば、いくつかのデザインが、“Tandem Junction Solar Cell”と題するChiang他の米国特許第4,133,698号明細書、及び“Screen Printed Interdigitated Back Contact Solar Cell” と題するBaraona他の米国特許第4,478,879号明細書に記載されている。両文献とも参照することにより本明細書中に組み入れられる。本明細書中に記載された改善加工アプローチは、バック接点型太陽電池のための効率的なデザインの形成に特に適している。さらに、半導体材料のためのシリコンフォイルの導入は、シリコン材料の保存をさらに可能にし、そして加工アプローチはまた、シリコンフォイルによって得ることができる大面積フォーマットとともに使用するのに適している。
【0024】
いくつかの態様では、ドープ接点は半導体の背面全体にわたって分布されており、ドープ接点の配置及び特性は、太陽電池の性能及び効率に影響を与える。一般に、表面全体にわたって各ドーパント・タイプの複数の接点を交互に分配するのが有利である。ドープ接点は、光電流の収穫を可能にするが、しかし電池効率を低下させる電子−正孔再結合もドープ接点で生じ得る。従って、ファクタのバランスが存在し得る。
【0025】
一般に、ドープされた領域は、表面全体にわたって交互に形成された島又は領域としてレイアウトすることができる。このレイアウトは、市松模様と類似することがあるが、これらの領域は同じサイズである必要はなく、またパターンは方形格子に沿っている必要はない。ドープ接点領域は正方形、円形、楕円形、長方形、又はその他の好都合な形状又はこれらの組み合わせであってよい。
【0026】
互いに離隔するドーパント領域から成る線状ストライプを効率的に形成しながら、優れた電池性能を提供できることが判った。好適には、ストライプのアスペクト比は大きいので、ストライプは、比較的大きい長さと狭い幅とを有することができる。一般には、長さを幅で除した値であるアスペクト比は少なくとも10である。具体的には、幅は一般に約20μm〜約500μmである。2つのドーパント領域間のエッジ間距離は、隣接するドーパント領域間の少なくとも1つの接近点において、約5μm〜約500μmであり得る。ドーパント接点の線は、曲げ、及び角部などを有するより複雑なパターンに組み入れることもできる。しかしながら、いくつかの態様では線形セグメントが構造の大部分を形成する。
【0027】
ドーパント侵入深さも電池性能に影響を与える。隣接するドーパント領域が適切な距離だけ離隔されていると、光電流を減衰するおそれのある望ましくないレベルの逆再結合を観察することなしに、適度に深いドーパント領域を使用することができる。これらの深さを有するドーパント領域を形成しようという望みと相俟って、好適な加工アプローチが、さらに下で説明するように、適度に深いドーパント接点を効率的に形成することが判った。いくつかの態様の場合、複数のドーパント接点の平均深さは約100nm〜約5μmである。本明細書中に記載されたドープ接点機構を組み合わせることによって、所望の性能レベルを有する太陽電池を製造するために、極めて効率的な加工を効果的に利用することができる。
【0028】
いくつかの態様の場合、ドーパント・プロフィールは、特に設計された不均一な分布を有することができる。例えば、光電流の伝導が、望ましくないレベルの再結合を招くことなしに改善されるように、ドープされた領域の表面の近くにより高いドーパント濃度を有することによって、性能を改善することができる。同様に、再結合を望ましくない程度まで増大させることなしに電流コレクタへの伝導を同様に改善するために、ドープ・ストライプが、エッジに対してストライプ内部により浅いドーパント分布を有することもできる。
【0029】
ドープ接点は光電流の収穫を完結させるために、電流コレクタと接続する。一般に、太陽電池は、反対の極性を有する2つの電流コレクタを含むが、例えば、同じ極性の電流コレクタが適宜に直列接続されていて、これにより個々の電流コレクタを組み合わせて、外部接続部を介してそれぞれの極性を有する単一の電流コレクタにする場合には、同じ極性を有するそれよりも多い電流コレクタを含むこともできる。反対の極のための電流コレクタは、太陽電池の短絡を防ぐために電気的に分離される。さらに、半導体材料の両側に誘電不動態化層を有することが望ましいことがある。電流コレクタはドープ接点と接続するために、不動態化層を通して侵入することができる。
【0030】
特定の極性のドープされた領域と整合された表面上の選択されたパターン全体にわたって、電流コレクタが延びている。金属相互接続部と適切なドープ接点とを接続するための2つの別個のプロセスが本明細書中に記載されている。いずれの場合にも、ドープ接点の領域の一部だけを占めるように、電流コレクタとドープ接点との間の接触面積を選択することが望ましいことが判った。誘電層内の窓及び孔は、適切な接続性及び低い電気抵抗を提供するように、電流コレクタとドープ接点との適切な接続のために選択される。一般に、バック誘電層を貫く窓又は孔は、ドープ接点面積に対する選択された比率、一般にはドープされた領域の面積の約5パーセント〜約80パーセントを占める。
【0031】
同様に、電流コレクタは、不動態化層を貫く窓又は孔よりも大きい面積を有する。一般に、特定の極性を有する電流コレクタは、電流コレクタによって占有される窓又は孔よりも少なくとも20パーセント大きい面積を有することができる。また、特定の加工アプローチのために窓又は孔のサイズは、ドープされた領域から離れた半導体の任意の区域と窓とが著しくオーバラップするのを回避することに基づいて選択することができる。それというのも、このようなオーバラップは、電流コレクタとの接触から電気的な短絡をもたらすことがあり、このことは電池性能を低下させるおそれがあるからである。さらに、適量の電気接続面積によって、ドープ接点に関して本明細書中で説明するフォーマットを有するドープ接点を用いて、十分な電流を適度に低い抵抗で提供することができる。
【0032】
多くの用途のために、複数の太陽電池が1つのモジュール内部に搭載される。一般に、1つのモジュール内の太陽電池は、モジュールの電圧を高めるために、電気的に直列接続されるが、電池又はこれらの一部を並列接続することもできる。1モジュールの太陽電池は、適切な構造支持体、電気接続部、及び水分及び環境的な攻撃を阻止するためのシール部材とともに組み立てることができる。いくつかの態様の場合、ただ1枚のシリコンフォイルからモジュールを組み立てることができる。電池のための接点は、フォイルの背面に沿ってパターン形成することができ、そしてこのフォイルは、個々の電池を分離するために、パターン形成の前又は後に切断することができる。1枚のシリコンフォイルからモジュールのための電池をカットすることにより、モジュール内部の電池のより一貫性のある性能が可能になる。このことは、電池が互いにより良好に適合させられると、モジュールの全効率を改善する。しかしながらいくつかの態様では、個々の半導体区分、例えば薄い半導体シートを透明基板上で組み立てて、後続の加工において、本明細書中に記載された加工アプローチのうちの1つ又は2つ以上を用いてこれらを太陽電池アレイにすることもできる。
【0033】
本明細書中に記載された改善されたプロセスは、光電流の収穫を可能にするための電池の裏面の加工に焦点を当てている。バック接点型太陽電池の場合、太陽電池の前面には、別個の加工を施すことができ、例えばテクスチャを施すこと、不動態化誘電層を形成すること、及び/又は電池の前面を透明基板に固定することができる。背面部分を被覆する誘電材料を伴うこれらの接点と組み合わさる、ドープ接点及び電流コレクタとを形成するための改善されたプロセスによって、本明細書中に記載された、改善されたバック接点型太陽電池の形成が可能になる。
【0034】
一般に、本明細書中に記載された改善加工アプローチは、本明細書中に記載された太陽電池構造を形成するための比較的迅速且つ効率的なプロセスを提供する。加工工程のうちのいくつかは、表面上で走査されるエネルギービーム、例えばレーザービームを伴うことができる。これらの走査アプローチは、高速処理スピード及び適度な費用とともに、適度な解像度で比較的複雑なパターンを形成するのを可能にする。さらに、さらに改善された性能を達成するために、これらのアプローチを所望の場合には動的に実施することができる。例えば、複数の太陽電池を形成するためにシリコンフォイルを動的に分割することが、“Dynamic Design of Solar Cell Structures, Photovoltaic Modules and Corresponding Processes”と題される、Hieslmairの米国特許出願公開第2008/0202577号明細書にさらに記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。
【0035】
ドープ接点を形成するための材料パターン形成を排除したプロセスが開発されている。具体的には、表面全体又は表面部分上にドーパント源を広げることができる。好適なドーパント源は例えば、適切なドーパント元素を有するスピンオンガラス組成物を含むが、その他の好適なドーパント源も下で説明されている。次いで、選択されたパターンに従って表面全体をレーザー、例えば赤外線レーザー走査することにより、ドーパントを半導体層内にドライブインする。赤外線レーザーは好都合なエネルギー源である。それというのも、赤外線レーザーは、シリコン内の所望の深さまで侵入することにより、処理パラメータに基づく深さでシリコンを加熱し、シリコン内にドーパントをドライブインするからである。また、商業的な赤外線レーザーが、合理的なコストで適当な走査システム内で利用可能である。レーザーの侵入深さの結果として、レーザー出力は、シリコンの加熱深さを通してドーパントをドライブするためにシリコンの局在部分を溶融するように相応に選択することができる。従って、比較的深い、しかし十分に局在的なドープ接点を効率的に形成することができる。ドーパントの所望のドライブイン量を得るため、レーザースポット間に適当な距離を提供するために、走査速度でレーザーのパルスをタイミング制御することができる。レーザーは、選択領域との接点を形成するために1つの線に沿って走査することができる。
【0036】
いくつかの態様の場合、1つのドーパントのドライブイン後、半導体表面をクリーニングして第1のドーパント組成物を除去し、そして表面又は表面部分上に第2のドーパント組成物を塗布することができる。次いで、第2のドーパントのために、レーザードーパント・ドライブインを繰り返すことができる。第2のドーパントが半導体材料内にドライブインされた後、第2のドーパント源を半導体から除去することができる。いくつかの態様の場合、第2のドーパントは、第1のドーパント個所に対して離隔した個所で半導体内にドライブインされる。加えて又は代わりに、それぞれのドーパント・タイプに対するドーパント・ドライブイン工程をほぼ同じ個所で繰り返すことにより、ドーパントの量及びプロフィールを追加的に制御することもできる。
【0037】
さらなる態様の場合、ドーパント源を半導体表面上に、例えばインクジェット印刷、又はスクリーン印刷などで印刷することができる。こうして、p型ドーパント源及びn型ドーパント源のパターンを、別個の領域が異なるドーパントを有する状態で、半導体表面全体にわたって印刷することができる。例えば走査レーザービームによるドーパント・ドライブインも、n型ドーパント及びp型ドーパントの両方のためのドープ接点を単一の走査工程中に形成できることを除けば、同様に実施することができる。ドーパント源のパターン形成の結果、ドープされた領域内部の適正なドーパント堆積が生じる。こうして、両ドープ接点は、第1のドーパントを供給した後で表面をクリーニングすることなしに、単一工程で形成することができる。両ドーパントのドライブイン後、表面をクリーニングすることができる。両ドーパントは単一加工工程でドープ接点内に堆積させることができるものの、印刷されたドーパント源を用いたドーパント堆積プロセスは、所望の場合には、ドーパント・プロフィールを変えるために繰り返すこともできる。
【0038】
ドーパント間の間隔は、ドープ接点の所望のパターンを形成するために選択することができる。例えば、第1のドーパントを粗い線に沿って堆積させることができ、そして第2のドーパントをほぼ平行な線に沿って堆積させることができる。隣接するドープ接点間の平均間隔は、線間の分離に対応して選択することができる。隣接するドープ接点間の間隔が適切であることにより、太陽電池の良好な性能が得られることが判った。
【0039】
一般に、ドープ接点形成後、半導体層上に不動態化層を堆積させる。不動態化層は半導体層を保護し、そして一般に、表面に沿って電気絶縁層を形成する誘電体から形成される。半導体上の不動態化材料は複数の区別可能な誘電層を含むことができる。不動態化層の好適な誘電体は、例えば、水素添加を伴う又は伴わない、化学量論的及び非化学量論的な酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び酸窒化ケイ素を含む。具体的には、不動態化層は例えばSiNxy、x≦4/3及びy≦2、酸化ケイ素(SO2)、窒化ケイ素(Si34)、ケイ素富化酸化物(SiOx、x<2)、又はケイ素富化窒化物(SiNx、x<4/3)を含むことができる。誘電層又はその一部は、望ましい電気絶縁特性を有することができるポリマー、例えば好適な有機ポリマーを含むことができる。これらの不動態化層は半導体材料を環境的劣化から保護し、正孔及び電子の表面再結合を低減する。
【0040】
上記のように、金属又はその他の導電性材料が、セル内部の電流コレクタとしてドープ半導体領域に接続する。隣接するセルの電流コレクタは、セルを直列接続するための電気接続部と接合させることができる。直列接続された末端のセルは、外部回路に接続することにより、選択された適用装置に給電するか、又は蓄電装置、例えば再充電可能なバッテリを充電することができる。光起電力モジュールは好適なフレーム上に装着することができる。
【0041】
誘電不動態化層を通して電流コレクタ間の電気接続を可能にするために、3つの効率的な方法を利用することができる。これらの技術のそれぞれは、関連する適度の解像度で接続部を高速で比較的正確に配置するためにレーザー処理を利用する。第1の方法の場合、エッチング工程を用いてパターン形成を実施する。誘電表面上にポリマーフォトレジストを配置する。比較的低い出力のレーザーを用いることにより、選択されたパターンでポリマーをアブレートする。次いで、フォトレジストが除去された個所の誘電体を除去するためにエッチングを実施する。選択的エッチングはシリコンを無傷のまま残す。こうして、誘電体を貫く窓を形成する。パターン形成中、窓をドープ接点の個所で整合させるので、窓はドープ接点との電気接続のためのベースを提供する。エッチング実施後、残りのポリマーフォトレジストは誘電層から剥ぎ取ることができる。或いは、ポリマーエッチング・レジストはさらなる電気絶縁を可能にするように、構造上に残すこともできる。次いで、電流コレクタ金属を電気絶縁ポリマーエッチング・レジスト上に堆積させることができるので、残りのポリマーエッチング・レジストは誘電構造部分となる。
【0042】
さらなるアプローチにおいて、誘電層を貫く窓は、レーザーによって誘電層をアブレートすることによって形成される。表面全体を走査するパルス化レーザーを使用することにより、窓として誘電体を貫く孔の規則的なパターン又はその他の選択されたパターンをアブレートすることができる。窓は一般に、シリコンに沿ってドープされた領域と対応するように位置決めされる。いくつかの態様の場合、シリコン層を著しく損傷することなしに、下側のシリコン材料を露出させるように誘電層をアブレートするために、赤外線レーザーを使用することができる。金属電流コレクタは窓付き誘電層上で、電流コレクタの金属が一般にドープされた領域でシリコン層と接触する状態で、パターン形成することができる。
【0043】
別のアプローチにおいて、金属電流コレクタは、さらに下で説明するように誘電体上でパターン形成される。このアプローチにおいて、電流コレクタは、窓のない誘電層上に配置される。上記米国特許第6,982,218号明細書に概ね記載されているように、誘電体を通してドライブされる金属を溶融させるために、強力なパルスのレーザー焼成によって、電流コレクタとドープ接点との間の良好な接続を形成することができる。レーザー焼成は、良好な効率で光電流を効果的に収穫するために誘電体を貫いて形成された孔を通して、金属電流コレクタとドープ接点との間に極めて良好な接続を形成する。誘電体内に形成された孔を通して電流コレクタとドープ接点との間の接続点の位置決め及び数を、所望の性能を達成するために選択することができる。加えて又は代わりに、金属電流コレクタと半導体のドープ接点との接触に続いてアニール工程、例えばレーザーアニール工程を実施することにより、電流コレクタ−半導体の界面を改善することができる。
【0044】
2つの効率的なレーザー加工アプローチのうちのいずれを用いても、電流コレクタを形成することができる。具体的には、1つのアプローチの場合、電池の反対極のための金属電流コレクタを、2つの金属層間に合金を形成するためのパターン形成後に選択的エッチングに基づいて形成することができる。一般に、パターン形成前に、2つ又は3つ以上の金属層が表面又は表面部分上に形成される。レーザーは、金属除去のための個所、又はいくつかの態様の場合には金属を維持するための個所を識別するために、所望のパターンを成して表面上で走査される。パターン形成後、金属の表面は、元の上側金属が露出された個所と、上面に沿って合金を有する他の個所とを有している。金属を貫くトレンチを形成するためにエッチングされた個所に下側金属部分を残すとともに、合金又は元の金属を選択的に除去するために、湿式又は乾式エッチングを実施することができる。いくつかの態様の場合、下側金属はアルミニウム又はアルミニウム合金を含み、そして上側金属はニッケル又はニッケル合金、例えばニッケル−バナジウム合金を含む。結果として生じたアルミニウム−ニッケル合金は、低融点を有する共晶合金であり、これは、元のニッケル(ニッケル−バナジウム合金)を事実上エッチングしない状態で残すために選択的に効果的に除去することができる。このような合金ベースのレーザーパターン形成・アプローチは、パターン形成のために金属をアブレートすることに基づくアプローチよりも消費電力が少なく、そしてレーザー出力を低くできることにより、下側構造の損傷発生率が低くなる。レーザーの代わりに、他の集束エネルギー源を同様の利点をもって使用することができる。合金ベースの選択的パターン形成・アプローチは、“Metal Patterning for Electrically Conductive Structures Based on Alloy Formation”と題するSrinivasan他の、本出願と同日付で出願された同時係属中の米国特許出願第12/469,101号明細書にさらに記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。
【0045】
別の態様の場合、ポリマーエッチング・レジストが金属層上に配置される。次いでポリマーエッチング・レジストは、金属が除去されるのが望ましい表面上の選択個所で走査されたパルス化レーザーでアブレートされる。次いで、金属の下側の誘電層まで金属をエッチングするために,エッチング工程が実施される。次いでポリマーエッチング・レジストを除去することができる。このソフト・アブレーション・アプローチは、誘電層の選択的エッチングに関して上で要約したソフト・アブレーションと類似している。
【0046】
本明細書中に記載された太陽電池は、本明細書中に記載された1つ又は2つ以上の望ましい機構を組み入れることができる。本明細書中に記載された改善加工アプローチは、望ましい電池機構の形成を可能にする。加工アプローチはまた、概ね効率的であり、これらのプロセスは、大面積半導体シート、例えばシリコンフォイルの加工に概ね有用である。このように、優れた性能特徴とともに費用効果的な太陽電池を形成する上で効果的に利用することができる、効率的で商業的に好適な加工アプローチが記載される。
【0047】
太陽電池構造
バック接点型太陽電池が、電池の裏面全体にわたってp−ドープ及びn−ドープされた領域又は接点のパターンを有している。ドープ接点のパターン及び特性は、下記の費用効果的な加工アプローチと相俟って、高い電池効率を達成するように設計されている。裏面構造は、電流コレクタによってドープ接点から電流を収穫するのを可能にする要素のスタックを有している。半導体層の上側には誘電層を配置することができ、そして電流コレクタと連携する金属部分が、適切なドープ接点に接触するように、誘電層を通って延びている。電力収穫要素の構造はまた、薄いシリコンフォイルに沿って配置するのに適している。
【0048】
図1を参照すると、バック接点型シリコン系太陽電池の1つの態様が概略的に示されている。太陽電池100が図2に断面図で示されている。太陽電池100はフロント透明層102と、ポリマー/接着層104と、フロント不動態化層106と、半導体層108と、p−ドープされた領域110と、n−ドープされた領域112と、バック不動態化層114と、電流コレクタ116,118と、外部回路接続部120,122とを含む。
【0049】
フロント透明層102は、半導体層108への光のアクセスを可能にする。フロント透明層102は、構造全体のための何らかの構造的支持を提供し、また半導体材料を環境的な攻撃から保護するのを可能にする。こうして使用中には、フロント層102は、太陽電池を操作するために光、一般に日光を受容するように配置されている。一般に、フロント透明層は、無機ガラス、例えばシリカ系ガラス、又はポリマー、例えばポリカーボネート、又はこれらの複合材料などから形成することができる。透明フロントシートは、反射防止膜及び/又はその他の光学膜を一方又は両方の表面上に有することができる。ポリマー/接着層104のための好適なポリマー、例えば接着剤は、例えばシリコーン接着剤又はEVA接着剤(エチレンビニルアセテートポリマー/コポリマー)を含む。一般に、ポリマー/接着剤は、透明層102と下層106との間、又は下層106が存在しないならば、半導体層108との間に所望の付着力を提供するのに十分な薄膜として適用される。
【0050】
フロント不動態化層106は、存在する場合は、一般に誘電層を含む。同様に、バック不動態化層114も一般に誘電材料を含む。不動態化層を形成するのに適した無機材料は例えば、水素添加又は他の透明誘電材料を伴うか又は伴わない、化学量論的並びに非化学量論的な、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭窒化ケイ素、これらの組み合わせ又はこれらの混合物を含む。いくつかの態様の場合、不動態化層は例えばSiNxy、x≦4/3及びy≦2、酸化ケイ素(SO2)、窒化ケイ素(Si34)、ケイ素富化酸化物(SiOx、x<2)、又はケイ素富化窒化物(SiNx、x<4/3)を含むことができる。無機材料に加えて、不動態化層又はその一部は、有機ポリマー、例えばポリカーボネート、ビニルポリマー、フッ素化ポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン、及びポリアミドなどを含むことができる。ポリマーは、望ましい電気絶縁特性を提供することができる。ポリマー材料は、下記のような選択されたプロセスを用いた、窓を形成するための相応のプロセスのために適宜に選択することができる。いくつかの態様の場合、不動態化層は、シリコン材料に隣接する内側無機層と、無機層上の有機層とを含むことができる。有機層はポリマーエッチング・レジストを含むことができる。
【0051】
不動態化層の厚さは一般に、約10ナノメートル(nm)〜800nmであってよく、さらなる態様の場合30nm〜600nmであり、そしてさらなる態様の場合50nm〜500nmである。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の厚さ範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。不動態化層は、半導体材料を環境的劣化から保護し、正孔及び電子の表面再結合を低減し、及び/又は構造的設計機構 を提供し、また前面のための反射防止特性を提供することができる。不動態化層は一般に化学的に不活性であるので、電池は、環境汚染物質に対して抵抗がより高い。
【0052】
フロント不動態化層及び/又はバック不動態化層は一般に、例えば有効光路及び対応するその光吸収率を高めるように、半導体層内に光を散乱させるためのテクスチャを有することができる。いくつかの態様の場合、テクスチャ形成された材料は、平均ピーク間距離が約50nm〜約100μmの粗面を含むことができる。テクスチャは、不動態化層を形成するための堆積プロセス中に導入することができ、及び/又はテクスチャは堆積工程に続いて加えることができる。
【0053】
半導体層108は、シリコン、例えば結晶シリコンを含むことができる。一般に、比較的薄いシリコンフォイルを使用することが望ましく、そしてシートは単結晶又は多結晶であってよい。例えば単結晶シリコンインゴットから適度の表面積のシートをカットすることができる。また、ガス状原料からのシリコンを初期シリコン粉末上に成長させることにより、多結晶シリコンリボンを化学蒸着タイプのプロセスで形成することもできる。このようなプロセスの一例は、“Method for the Production of Semiconductor Ribbons from a Gaseous Feedstock”と題するVallera他の国際公開第2009/028974号パンフレットに記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。
【0054】
いくつかの態様の場合、個々の太陽電池は、中間厚を有する適度のサイズのシートから形成することができる。例えば、いくつかの態様の場合、半導体層108の表面積は、約50cm2〜約2000cm2、そしてさらなる態様の場合には、約100cm2〜約1500cm2であってよい。これらのシートの平均厚は、約50μm〜約1000μm、そしてさらなる態様の場合には、約100μm〜約500μmであってよい。適度の面積のシートは単結晶であってよい。しかしいくつか態様の場合、半導体層108は、薄い大面積の多結晶シリコンシートである。
【0055】
最近では、大面積の薄い多結晶シリコンフォイルを形成するための技術が開発されている。フォイルの薄い性質は、シリコン材料の使用量を低減可能にし、そして大面積構造の可能性は、対応する大型フォーマット製品、例えば光学ディスプレイ及び太陽電池のために特に有用であり得る。フォイルが適宜の表面積を有するならば、モジュール全体を単一のシリコンフォイル・シートから加工することができる。いくつかの態様の場合、フォイルの厚さは約300μm以下、さらなる態様の場合には約200μm以下、追加の態様の場合には約3μm〜約150μm、他の態様の場合には約5μm〜約100μm、そしていくつかの態様の場合には約8μm〜約80μmであってよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の厚さ範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0056】
太陽電池内のシリコンの使用量を低減するためには、薄い多結晶シリコンフォイルが適度の材料消費量で高い効率を達成する上で望ましい。いくつかの態様の場合、無機フォイル、例えばシリコンシートは広い面積を有すること、そして薄いことが可能である。例えば、フォイルの表面積は少なくとも約900平方センチメートル、さらなる態様の場合には少なくとも約1000cm2、追加の態様の場合には、約1500cm2〜約10平方メートル(m2)、そして他の態様の場合、約2500cm2〜約5m2であってよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の表面積範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。シリコンフォイル及びおそらくは他の多結晶無機材料の場合、薄いシリコン層を初めて形成した後、シリコンを再結晶化することによって、電子特性をいくつかの態様において改善することができる。ゾーンメルト再結晶化プロセスを適用することにより、電気特性、例えばシリコン材料のキャリア寿命を改善することができる。
【0057】
元素シリコン又はゲルマニウム・フォイルはドーパントの有無にかかわらず、剥離層上に反応性堆積を行うことによって形成することができる。電子移動度を高めるために少量ドーピングの層を有することが望ましい場合がある。一般に、シリコンの平均ドーパント濃度は、ホウ素、リン、又はその他の同様のドーパント1立方センチメートル(cc)当たりの原子数が約1×1014〜約1.0×1016であってよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の少量ドーパント・レベル範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0058】
フォイルは、所望のデバイス内に組み入れるために剥離層から分離することができる。具体的には、無機剥離層上に堆積するための走査反応性堆積アプローチが開発されている。フォイルは例えば光反応性堆積(LRD(商標))を用いて、又は化学蒸着(CVD)、例えば減圧CVD又は大気圧CVDを用いて堆積することができる。反応性堆積アプローチは、かなりの速度で無機材料を効果的に堆積させることができる。LRD(商標)は、強度の光ビーム、例えばレーザービームを通るように指向されたノズルから反応物質流を発生させることに関与する。光ビームは、反応が生成組成物を形成するようにし、この組成物は、流れと交差する基板上に堆積される。光ビームは、基板を衝突するのを回避するように指向され、そして基板全体を、塗膜堆積を走査するように、基板は一般に流れに対して動かされ、そして光ビームに対して適宜に配向された、適宜に成形されたノズルは、ノズルを通過する基板のシングル線状パスで基板全体を塗布するように、塗膜組成物を走査することができる。剥離層上へのLRD(商標)反応性堆積は概ね、“Layer Material and Planar Optical Devices”と題するBryanの米国特許第6,788,866号明細書(参照することにより本明細書中に組み入れられる)、並びに、“Thin Silicon or Germanium Sheets and Photovoltaics Formed From Thin Sheets”(参照することにより本明細書中に組み入れられる)と題するHieslmair他の米国特許出願公開第2007/0212510号明細書に記載されている。
【0059】
CVDは、基板の表面のところでの、前駆ガス、例えばシランの分解又は他の反応を記述するための一般用語である。CVDは、プラズマ又は他のエネルギー源で増強することもできる。CVD堆積は、走査モードでの実施時に比較的迅速な堆積速度で均一な薄膜を提供するように、良好に制御することができる。具体的には、周囲圧力よりも低い圧力の密閉容器内で基板表面全体に堆積を走査することを伴う指向性反応物質流CVDが開発されている。反応物質はノズルから基板へ導かれ、基板は次いで、基板全体に塗膜堆積を走査するために、ノズルに対して動かされる。妥当な速度で適切に厚い層を堆積させるために、大気圧CVDを用いることもできる。さらに、大気圧未満の圧力、例えば約50Torr〜約700Torr及び周囲圧力未満の圧力において選択された基板上に対して走査指向流CVDを実施する技術も開発されている。シリコン膜の場合、600℃〜1200℃の高い温度で大気圧又は大気圧未満において基板上でCVDを実施することができる。基板ホルダは一般に、高い温度で使用するように適宜に設計される。多孔質剥離層上へのCVD堆積がさらに、“Reactive Flow Deposition and Synthesis of Inorganic Foils”と題するHieslmair他の米国特許出願公開第2009/0017292号明細書に記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。
【0060】
大面積の薄い半導体シートの使用は、複数の太陽電池を形成するために有利であるが、いくつかの態様の場合、薄い半導体シートのより小さな区分を、適切に整列させた状態で透明基板に沿って配置することもできる。このように半導体シートの各区分は個々の太陽電池のための所望のサイズであってよく、或いは個々の電池のためのより小さな半導体シート区分を形成するために1つ又は2つ以上の区分をカットすることもできる。しかし、より小さな半導体シートは、所望の源から得ることができ、例えばインゴットなどからカットして得ることができる。大面積フォイルからカットするか、又は個々の薄い半導体シートから組み立てるか、又はこれらを何らかの形で組み合わせるかにかかわらず、透明基板上で太陽電池アレイを同時に加工することにより、本明細書中に記載されたプロセスを用いてバック接点型構造を形成することができる。
【0061】
一般に、p−ドープ接点110及びn−ドープ接点112は、半導体層108上の島又は半導体層108の上面内部に埋め込まれた領域であってよい。シリコン半導体層上のドープ接点としてドープ・シリコン島を形成することは、“Silicon/Germanium Particle Inks, Doped Particles, Printing and Processes for Semiconductor Application”と題する、Hieslmair他の米国特許出願公開第2008/0160265号に記載されている(これは参照することにより本明細書中に組み入れられる)。図1及び2に示されているように、ドープ接点110,112は、半導体層108内部に埋め込まれている。ドーパント・ドライブインを可能にするように例えば溶融するまで加熱することができるシリコン内にドーパント元素の原子をドライブインすることによって、埋め込み型のドープされた領域が一般に形成される。具体的には、As、Sb及び/又はPドーパントをシリコン粒子内部に導入することにより、n型半導体材料を形成することができ、この材料中にドーパントが、伝導帯に存在させるための過剰の電子を提供する。そしてB、Al、Ga及び/又はInを導入することにより、p型半導体材料を提供し、この材料中にドーパントが正孔を供給する。一般に、平均ドーパント・レベルは、1立方センチメートル(cc)当たりの原子数が約1.0〜1018〜約5×1020、さらなる態様では、約2.5〜1018〜約1.0×1020、そして他の態様では5.0〜1018〜約5.0×1019であってよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加のドーパント・レベル範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。分離された比較的深いドーパント接点を形成するプロセスについてさらに下で説明する。
【0062】
ドープ接点110,112は、半導体層108の上面に沿ってパターン形成される。それぞれのドーパント・タイプ、すなわちp−ドープ型及びn−ドープ型の1つ又は複数のドープ接点があってよい。例えば、p−ドープ接点及びn−ドープ接点が交互に配列された市松模様が、“Solar Cell Structures, Photovoltaic Panels and Corresponding Processes”と題するHieslmairの米国特許出願公開第2008/0202576号明細書(参照することにより本明細書中に組み入れられる)に一例として提示されている。この明細書には、同様のドープされた領域を有する列の形で配列されたポイント接点も記載されている。
【0063】
いくつかの態様の場合、異なるドーパントを有するドープ接点の領域をエッジで互いに接合することができる。しかし、異なるドーパントを有する互いに離隔したドープ接点を用いて、良好な電池性能を達成できることが判った。ドープされた領域で半導体表面を被覆することは、ファクタのバランス、例えば電流収穫効率と逆再結合とのバランスを伴うことができる。従って、離隔したドープ接点を有していると、逆再結合を低減すると期待することができる。ドープ接点が好適に離隔していることによって、ドープ接点を半導体材料中に比較的深く形成することができる一方、太陽電池の性能を改善する。このことは、より効率的な光電流収穫を暗示する。
【0064】
また、ドープ接点は、基板表面内部の粗いストライプとして形成することができる。反対のドーパント電気特性を有する隣接するストライプは、交互のストライプが形成されるように互いに離隔して配置することができる。一般に、個々のストライプの、幅に対する長さのアスペクト比は少なくとも約10倍、さらなる態様では少なくとも15倍、追加の態様では少なくとも25倍であってよい。一般に、幅は約5μm〜約700μm、さらなる態様では約10μm〜約600μm、そして他の態様では約15μm〜約500μmであってよい。長さは、半導体構造のサイズに基づいて長くてよく、センチメートルのオーダーであってよいが、ストライプの長さは中断することができ、及び/又はより小さな長さを占めるために表面に沿って転回することもできる。一般に、ストライプは真直ぐなエッジを有していなくてもよく、その寸法は、変化するエッジ間距離の変動を平均することに基づいて推定することができる。当業者は、上記明示的な範囲内の追加のドープ接点寸法範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0065】
上記のように、反対のドーパント極性を有する隣接するドープ接点間のエッジ間距離は電池性能に影響を与えることができる。いくつかの態様の場合、ドープ接点に対応する隣接するストライプ付き領域間のエッジ間距離は、約5μm〜約500μm、さらなる態様では約10μm〜約400μm、そして追加の態様では約20μm〜約350μmであってよい。ここでもまたドープ接点のエッジの変動は、平均ピッチを求めるために適宜に平均することができる。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の平均ピッチ範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。ドープ接点のストライプは、ストライプ領域を相互接続する又は相互接続しない、より複雑なパターンの一部であってよい。例えば、図1の概略的な電流コレクタ・パターンと類似する、指を組むように組み合わせたパターンを使用することができる。いくつかの態様では、より複雑なパターンが、交互のドーパント・タイプの隣接するストライプを備えた区分を有しており、これらの区分が望ましい電池性能に寄与する。これらのストライプ付きパターンは、下記加工アプローチを用いて効率的に形成することもできる。
【0066】
上記のように、離隔されたドープ接点の場合、比較的深い接点を使用すると、効果的な電池性能を達成し得ることが見いだされた。具体的には、ドープ接点の平均深さは約100nm〜約5μm、さらなる態様の場合には約150nm〜約4μm、そして追加の態様の場合には約200nm〜約3μmであってよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加のドーパント深さ範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。加えられたドーパントのプロフィールに基づく深さ、すなわちバルク・ドーパント濃度に対する深さは、加えられたドーパントの約5原子%を超える量が半導体層内の深さを下回ることがないような深さに固定することができる。表面から試料の種々異なる深さまでスパッタリング又はその他の形でエッチングを施すのに伴って元素組成物を評価するために、二次イオン質量分析(SIMS)を使用してドーパント・プロフィールを測定することができる。
【0067】
いくつかの態様の場合、ドーパント・プロフィールは、望ましい不均一性を導入するように設計することができる。例えば、ドーパントは、表面の近くにより高いドーパント濃度を有するように選択することができる。下記のようにこのことは、例えば、おおよそ同等の個所において同じドーパント・タイプに対する2つのドーパント・ドライブイン工程を施すことによって達成することができる。もちろん、ドーパント・ドライブイン・プロセスの性質に基づいて、ドーパントは初期物質として完全に均一とは言えない。設計されたドーパント・プロフィールを用いると、接点の厚さの上側10%の平均ドーパント濃度は、接点の上側から接点深さの20〜30%の位置における接点の平均ドーパント濃度よりも少なくとも4倍、いくつかの態様の場合には4.5倍〜20倍、そして追加の態様の場合には5倍〜15倍高いことが可能である。一例としては、接点の深さが1μmである場合、上側100ナノメートルにおける平均ドーパント濃度が、上面から200〜300nm下方の層内の平均ドーパント濃度と比較される。当業者は、上記明示的な範囲内の追加のドーパント増大範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0068】
加えて又は代わりに、ドーパント濃度は、電流捕集量を調節するために、接点表面を横方向にわたって変化するように設計することもできる。例えば、ドープ接点のストライプの中央は、より高いドーパント濃度のドーパント・プロフィールを有することができ、必要に応じて、1つのストライプ区分に沿ってドーパント・プロフィールがより浅くなるようにすることもできる。具体的には、ストライプの内部に沿って、例えばストライプの中央に沿って、プロフィールにおいてより高いドーパント・レベル、例えばより浅いプロフィールを有することが望ましい場合がある。もちろん、設計ドーパント領域とは著しく異なるエッジ効果が加工時に自然発生する。ドープされた領域のストライプ区分に沿ってエッジ効果を回避することが望まれる場合には、各エッジに沿った幅の5パーセントを検討材料から外すことができる。いくつかの態様において、横方向に設計されたドープされた領域は、残りの接点面積(必要に応じて、エッジは排除される)の約50%以下、そしてさらなる態様の場合には残りの面積の約40%以下を占める浅いドープされた領域を有することができ、その平均深さは、浅いドープされた領域から離れたドープ接点内のドーパントの平均深さの約半分であり、他の態様の場合には約35%の深さである。いくつかの態様の場合、浅いドープされた領域はまた、ドープされた領域の平均ドーパント濃度よりも少なくとも約5倍、そしていくつかの態様の場合、少なくとも7.5倍高い表面ドーパント濃度を有している。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の面積範囲、ドーパント深さ範囲、及びドーパント濃度範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0069】
表面に沿った追加のドーパントの特徴を、横方向のドーパント濃度変動と組み合わせることができる。例えばストライプの中央区分は、より高い又は高められたドーパント濃度を有することができるのに対して、ストライプの他の部分は表面の近くに高められたドーパント・レベルを有してはいない。上記設計された不均一性の追加の組み合わせを、提供された例に基づいて使用することもできる。
【0070】
バック不動態化層114の全般的な特性は、上記フロント不動態化層の特性と類似している。しかし図2を参照すると、バック不動態化層114は、それぞれ電流コレクタ116,118とドープ接点110,112との電気的な接触を可能にする孔又は窓130を有している。孔又は窓を形成する2つの望ましいアプローチは下で説明する。窓又は孔130の位置で、電流コレクタの材料、例えば金属が不動態化層114を貫入することによりそれぞれのドープされた領域と接触する。一般に、窓130は、対応のドープされた領域よりも表面に沿って占める面積が著しく小さい。具体的には、ドープされた領域表面の一部にわたって要素同士が接触することで、良好な電池性能を達成するのに十分な電流コレクタとの電気的接続が得られることが判る。具体的には、窓130は、ドープ接点面積の約2パーセント〜約80パーセント、さらなる態様の場合には、ドープ接点面積の約3パーセント〜約70パーセント、そして他の態様の場合には、ドープ接点面積の約5パーセント〜約60パーセントを占めることができる。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の窓面積範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0071】
上記のように、半導体表面に沿ったドープされた領域は、表面に沿った種々異なるドープ接点個所に種々異なるドーパント・プロフィールを有することができる。いくつかの態様の場合、ドープ接点のいくつかの部分は、そのドープ接点の他の部分に対して高められた濃度を表面に沿って有することができる。これらの態様の場合、電流を増大させるために、より高いドーパント濃度を有する表面の少なくとも一部に沿って窓が位置決めされることが望ましい場合があり、そしていくつかの態様では、露出面積の少なくとも約75パーセント、さらなる態様の場合には少なくとも約90パーセント、そして他の態様の場合には、少なくとも約95パーセントが、ドープ接点の平均表面ドーパント濃度に対して高められた表面ドーパント濃度を有するように、窓を整合させることができる。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の表面露出範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0072】
電流コレクタ116,118がバック不動態化層114の表面に沿って、不動態化層114及びドープ接点110,112の上方に配置されている。電流コレクタ116,118は、電池の反対電極を形成する。電流コレクタは窓130を通して適宜のドープ接点と接触する。換言すれば、電流コレクタ材料部分は窓130を貫通して延びることにより、窓の下方のドープ接点と接触する。このように、電流コレクタのパターンは一般に、ドープ接点の位置、及びドープ接点へのアクセスを可能にする窓の位置に基づいている。いくつかの態様の場合、電流コレクタ116,118は、導電性の元素金属又は複数のこれらの金属を含む。好適な金属の一例としては、アルミニウム、銅、ニッケル、亜鉛、これらの合金又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの処理アプローチの場合、電流コレクタ内部に複数の金属層を有することが望ましい。
【0073】
いくつかの態様の場合、平均総金属厚は約25ナノメートル〜約30μm、さらなる態様の場合には約50ナノメートル〜約15μm、他の態様の場合には約60ナノメートル〜約10μm、そして追加の態様の場合には約75ナノメートル〜約5μmであってよい。一般には、電流コレクタは窓よりも大きい表面積を占める。具体的には、電流コレクタの組み合わせ面積は、窓の面積よりも少なくとも約20パーセント大きくてよく、さらなる態様の場合には少なくとも約40パーセント、そして追加の態様の場合には少なくとも約60パーセント大きくてよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の平均厚範囲及び面積占有率範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0074】
金属はさらに、電池を通る光の後方反射によって太陽電池性能に寄与することができる。従って、電流コレクタの金属による電池の背面における占有率がより大きいことには利点があると言える。しかし、電池の反対極は、電池の短絡を防止するために効果的に電気的に分離される。従って、反対極性を有する電流コレクタ間にはトレンチなどが配置される。トレンチは一般に不動態化層へ下方に向かって延びるが、顕著な電気的短絡を提供しないトレンチ内部の金属の僅かな量は重要でない。いくつかの態様では、反対極性を有する電流コレクタの隣接する区分間のトレンチの平均距離は、少なくとも約5μmであり、さらなる態様の場合には約10μm〜約500μmである。当業者は、上記明示的な範囲内の追加のトレンチ幅範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0075】
外部接続部120,122はそれぞれ電流コレクタ116,118にはんだ付け又は溶接することができる。外部接続部はいくつかの態様ではワイヤ接続を提供することができる。他の態様の場合、外部接続部120,122は、例えば分離材料ブリッジを介して隣接する太陽電池又は外部回路との接点に延びる、パターン形成された金属を含むことができる。外部接続部120,122のための他の構造も適宜に使用することができる。
【0076】
光起電力モジュールの概略図が図3に示されている。光起電力モジュール150は、透明フロントシート152と、保護バッキング層154と、保護シール部材156と、複数の光起電力電池158と、端子160,162とを含むことができる。断面図が図4に示されている。透明フロントシート152は、石英ガラスシート、又は適宜の日光波長を通し、そして環境的な攻撃、例えば水分に対する適当なバリアを提供する他の好適な材料となることができる。バッキング層154は、適切な費用でモジュールの保護及び妥当な取り扱いを可能にする任意の好適な材料となることができる。バッキング層154は、透明であることは必要でなく、いくつかの態様では、半導体を透過した光を後方反射させて半導体層に通し、ここで反射光の一部を吸収することができる。保護シール部材156は、保護シート152と保護バッキング層154との間のシールを形成することができる。いくつかの態様の場合、単一の材料、例えばヒートシール可能なポリマーフィルムを使用して、バッキング層154とシール部材156とをユニット構造として形成することができる。
【0077】
太陽電池158は、太陽光が、光起電力電池の半導体材料に到達できるように、その前面を透明フロントシート152とは反対に配置される。電流コレクタ170、又は導電性ワイヤなどを使用して、太陽電池同士を直列に電気的に接続することができる。直列接続された末端の電池はそれぞれ、外部回路へのモジュールの接続を可能にする端子160,162に接続することができる。
【0078】
好適なポリマーバッキング層は例えば、DuPontのTedlar(商標)Sタイプのポリフッ化ビニル・フィルムである。反射材料に関しては、バッキング層のためのポリマーシートは、金属薄膜、例えば金属化Mylar(商標)ポリエステル・フィルムで被覆することができる。透明フロントシートとバッキング層とを接合する保護シールは、接着剤、天然又は合成ゴム、又はその他のポリマーなどから形成することができる。
【0079】
太陽電池構成部分の形成プロセス
改善加工アプローチは、太陽電池の電流収穫構成部分の形成を可能にする。これらは、バック接点型太陽電池の形成に効果的に適用することができるが、これらの加工工程は、他の太陽電池デザインに対しても有用であり得る。具体的には、レーザー駆動式のドーパント・ドライブインが、特定のデザインに沿って効果的なドープ接点を形成することができる。これらのドープ接点は、半導体の表面に沿った隣接するストライプを効果的に含むことができる。電流コレクタとドープ接点との間の電気的接続のために、不動態化層を貫く窓の地点を選択するためにレーザーパターン形成を利用することもできる。また、電池の2つの極に対応する電気的に分離された電流コレクタを提供するために、電流コレクタをパターン形成する際に、エネルギービーム、例えばレーザービームを使用することもできる。これらの加工アプローチは、単独又は組み合わせで用いられて、妥当な費用で優れた性能を有する電池を形成するための効果的なアプローチを提供する。
【0080】
一般に、改善加工アプローチは、ドープ接点、不動態化層を通る伝導経路、及び電流コレクタを形成するために組み合わせることができる。さらに下で説明するように、改善されたプロセスのそれぞれは走査レーザーシステムに寄与する。走査レーザーシステムは、これらの加工工程に基づいて太陽電池を形成するための加工ラインの単純化された設計を可能にする。いくつかの態様において、所望されるならば、これらの加工工程のための共通の設備を共有することが望ましい場合がある。しかし、本明細書中に記載された、改善された加工工程は、個別に又は副次的な組み合わせで、例えば他の加工工程、例えばコンベンショナルな加工工程との組み合わせで用いることができる。例えば、本明細書中のドープ接点の形成方法を、コンベンショナルな加工工程と一緒に用いることにより、不動態化層を通した電流コレクタとの接続を提供することができる。別の例としては、ドープ接点を形成するためにコンベンショナルなアプローチを利用する場合、ドープ接点と電流コレクタとを接続するための窓を形成する際に、本明細書中に記載された改善アプローチを利用することができる。
【0081】
レーザーパターン形成・プロセスは、上記のような構造を有するドープされた領域を形成するために実施することができる。半導体材料内へのドーパントのドライブインは、半導体材料上に1つ又は2つ以上のドーパント源を含む層を形成することに関与する。この場合、緑色から赤外までの波長を有するレーザーを使用することにより、ドーパントを半導体内に深くドライブインし、これにより選択個所に比較的深いドーパント接点を形成する。具体的には、下記例に記載されているように、赤外線レーザーを有利に使用することができる。上記のように、ストライプ形態を有するドープされた領域のセグメントを形成することから、望ましい電池性能が得られた。レーザーは、ストライプ形態を有するドープされた領域を形成することと相俟って、ドーパント・ドライブインを効率的に実施することができる。
【0082】
本明細書中に記載された改善されたドーパント接点形成アプローチの場合、半導体表面上又は表面の一部上にドーパント源を堆積させることができ、そしていくつかの態様の場合、例えば印刷プロセスを通して、表面上に2つ又は3つ以上のドーパント源をパターン形成することができる。種々異なるドーパント源が順次使用される態様の場合、ドープ接点の形成は次の工程、すなわち:1)第1ドーパント源層を堆積させる工程;2)第1ドーパントで、選択されたドープ接点を形成するために半導体表面全体を、レーザービーム走査する工程;3)第1ドーパント源を除去する工程;4)第2ドーパント源層を堆積させる工程;5)第2ドーパントで、選択されたドープ接点を形成するために半導体表面全体を、レーザービーム走査する工程;及び6)第2ドーパント源を除去する工程を含む。これらの工程は、所望の場合には、同じか又は異なるパラメータを用いて繰り返すことにより、ドーパント・プロフィールを変更し、例えばドープ接点の浅い領域内のドーパント量を増大させることができる。次いで、結果として生じたパターン形成された半導体材料は、電流収穫のための電池の背面を完成させるさらなる加工の準備ができる。
【0083】
別の又は追加の態様の場合、n型ドーパント及びp型ドーパントの両方のための両源が表面に沿って同時に存在するように、ドーパント源を表面に沿ってパターン形成することができる。次いで、n−ドープ接点及びp−ドープ接点の両方を形成するために、単一のレーザー処理工程を用いることができる。半導体表面は、レーザー加工工程後にドーパント源を取り除くために、クリーニング及び/又はエッチングすることができる。n−ドープ接点及びp−ドープ接点は単一のレーザー工程で半導体内にドライブインすることができるので、加工工程数を減らすことができ、廃棄されるドーパント源が少なくなり、また加工時間を短くすることができる。印刷アプローチ、例えばスクリーン印刷又はインクジェット印刷を用いて、ドーパント源のパターン形成を実施することができる。
【0084】
ドーパント源は一般に、所望のドーパント元素を含む組成物である。例えば、リン又はホウ素を含有する液体を堆積することができる。具体的には、好適なインクは例えば、トリオクチルホスフェート、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコール中のリン酸、又はエチレングリコール及び/又はプロピレングリコール中のホウ酸を含むことができる。他の態様の場合、ドープ・シリカ粒子を使用することができる。薄い、比較的均一な層として堆積することができるドープ・シリカ・ナノ粒子の良好な分散体を形成することが、 “Silicon/Germanium Oxide Particle Inks, Inkjet Printing and Process for Doping Semiconductor Substrates”と題する、Hieslmair他の米国特許出願公開第2008/0160733号明細書にさらに記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。溶剤又はその一部を、ドーパント・ドライブインを実施する前に除去することができる。
【0085】
特に好都合で費用効果的なドーパント源は、スピンオンガラスを含む。スピンオンガラスは、一般に酸化的雰囲気中で加熱すると分解反応を通して石英ガラスを形成するように反応するシリコン系組成物である。種々のドープ・スピンオンガラス組成物が商業的に入手可能である。例えばドープ・スピンオンガラスはDesert Silicon (AZ, USA)から入手可能である。スピンオンガラス組成物は好適な有機溶剤、例えばアルコール中のポリシロキサンポリマーを含むことができる。具体的な配合物が、“Coating Solution for Forming Glassy Layers”と題する、Almanの米国特許第5,302,198号明細書に記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。この特許明細書には、ホウ素又はリン・ドーパントを約5〜30重量パーセントのレベルで導入することが記載されている。別の組成物が、“Spin-On Glass Compositions and Method of Forming Silicon Oxide Layer Semiconductor Manufacturing Process Using the Same”と題する、Lee他の米国特許第7,270,886号明細書に記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。
【0086】
スピン塗布は、半導体表面上にドーパント源を適用するのに適したアプローチであり得る。例えば、基板は、均一な塗膜を得るために1分当たり1000回転オーダーの速度で回転させることができる。適切なスピン速度で所望の塗布特性を得るために、粘度を調節することができる。しかしながら、他の塗布アプローチを用いることもでき、そしてこれらの塗布アプローチが、より大面積の基板又はより脆弱な基板にとって特に望ましい場合がある。別の塗布アプローチは例えば噴霧塗布、ナイフエッジ塗布、又は押し出しなどを含む。これらの代替的な塗布アプローチは、十分な均一性を有する層を形成するために効果的に用いることができる。一般に、塗膜厚は約1μm未満であってよい。適切な塗膜厚は、本明細書中の教示内容に基づいた簡単な経験的調節を用いて、ターゲット・ドーパント・レベルを基準として、特定のドーパント源に対して選択することができる。半導体表面に沿って2つ又は3つ以上のドーパント源をパターン形成するために、印刷アプローチを利用することができる。広い面積上のインクジェット解像度は現在、200〜800dpiで容易に利用可能である。また、インクジェット解像度は改善され続けている。一般に2種のインクが使用され、一方のインクはn型ドーパント、例えばリン及び/又はヒ素を提供し、そして第2のインクはp型ドーパント、例えばホウ素、アルミニウム、及び/又はガリウムを提供する。ドーパント源の粘度は、印刷プロセスに合わせて調節することができる。
【0087】
所望のドーパント・ドライブイン深さを達成するために、赤色〜赤外波長範囲内の波長とともにレーザーが使用される。波長は、所望の深さまでドーパントをドライブダウンするのに十分に深くシリコン材料中に侵入するように選択される。いくつかの態様の場合、レーザーの波長は概ね、約600nm〜約5μmであり、そしてさらなる態様の場合、650nm〜4μmである。いくつかの態様の場合、約750nm〜約2500nmの近赤外の波長を使用することが望ましい。具体的には、SPI(商標)20ワット・ファイバーレーザーの波長は1064nmである。当業者は、上記明示的な範囲内の追加のレーザー周波数範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0088】
一般に、ドーパント源の下方のシリコンを加熱することを伴うドーパント・ドライブインのために十分なエネルギーを供給するという観点から、光パルス・エネルギー密度は重要なパラメータである。パルス・エネルギー密度は大まかに言えば、特定の波長におけるシリコンの吸収特性に基づいて、所望のシリコン厚のための所望の加熱を可能にするように適合させることができる。一般に、適度なパルス・エネルギー密度は、1平方センチメートル当たり約0.25〜約25ジュール(J/cm2)、さらなる態様の場合には約0.5〜約20J/cm2、そして他の態様の場合には約1.0〜約12J/cm2であってよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加のパルス・エネルギー密度範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0089】
一般に、ドーパント・ドライブインのための選択されたパターンを形成するために、表面全体をレーザー走査することが望ましい。パルスレーザー及び線形走査を用いて、ドープ接点の形状に対応して所望のストライプを形成することができる。しかしレーザービームを湾曲及び旋回部を巡って走査することもでき、またターゲット・ドーピング・パターンに基づいてスイッチをオフにして所望のギャップを残すこともできる。
【0090】
一般に、線幅は、少なくとも適度な値範囲内の相応の光スポット・サイズを選択するために、光学素子を使用して調節することができる。ドープされた領域の線幅はスポット・サイズに相当する。いくつかの態様の場合、隣接する又はオーバラップする複数の区分を使用して、ドープされた領域の単一のストライプを形成することが望ましい場合がある。この場合、隣接する又はオーバラップする区分を形成するための適切な横方向変位による相応の複数のレーザー走査に伴ってストライプが生じるように、各区分がレーザー走査から形成される。こうして、1つのドープされた領域の単一ストライプを、2,3,4,5又は6つ以上の区分から形成することができる。区分内のドーパント・プロフィールはほぼ同等であってもなくてもよい。上記のように、より浅いドーパント・プロフィール及び/又はより高いドーパント濃度を備えたドープされた領域の浅い区分を含むことが望ましい場合がある。従って、例えばストライプが3つの区分から形成されている場合、真ん中の区分は、より浅いドーパント・プロフィール及び/又はより高いドーパント濃度を有するように加工することができる。レーザーの走査は、種々異なる区分のために種々異なるドーパント・プロフィールを提供するように調節することができる。これに加えて又はこれとは別に、区分は、種々異なるドーパント源を用いて形成することができ、これらのドーパント源は、一般に工程間にクリーニングを行いながら、順次堆積される。ドープされた領域の角部及び/又は旋回部も同様に、ストライプ区分に接合することができる隣接する区分及び/又はオーバラップ区分を伴うことができる。
【0091】
光強度は一般に光ビーム全体にわたって均一ではなく、ビーム形状は、光学素子の配列に応じて、ガウス型又はフラットトップ型であるように調節することができる。いくつかの態様におけるパルス周波数は、約5キロヘルツ(kHz)〜約5000kHz、さらなる態様では約10kHz〜約2000kHz、そして追加の態様では約25kHz〜約1000kHzであってよい。走査速度はいくつかの態様では約0.05〜約15メートル/秒(m/s)、さらなる態様では約0.15〜約12m/s、そして他の態様では約0.5〜約10m/sであってよい。レーザーを用いたドーパント処理の場合、より広いレーザーパルス・プロフィールが一般に、より深いドーパント・プロフィールをもたらす。従って、少なくとも約50ナノ秒(ns)、そしていくつかの態様では少なくとも約70nsの継続時間を有するレーザーパルスを有することが望ましい場合がある。当業者は、上記明示的な範囲内の追加のパルス周波数範囲、走査速度範囲、及びパルス継続時間範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0092】
特定のスポット・サイズに基づいて、基板を横切る光ビームの走査速度は、ドーパント・ドライブインによって連続する加工された領域を提供するために、隣接するパルスが選択された程度までオーバラップできるように、パルス周波数と相関させることができる。
いくつかの態様の場合、パターン上に複数パスのレーザーを施すことにより連続ドープ接点を形成するように最終的なオーバラップを提供する場合には、隣接するスポットをオーバラップしないように離隔させることができる。単一走査の隣接するパルスがオーバラップするか否かとは無関係に、いくつかの態様では、より低いパルス・エネルギー密度を使用し、そして線又はその他のパターン形状上で複数回にわたって走査することが望ましいことが判った。複数パス・アプローチが、結果として、基板及びより平らな線に与える損傷を少なくすることができる。いくつかの態様の場合、より望ましい結果を得るために、表面の同じパターン上に施す光ビームは2パス、3パス、4パス、5パス又は6パス以上であることが望ましい場合がある。より低い出力で複数パスを行う結果、ドーピング完了後の表面をより平滑にすることができる。
【0093】
光ビームと基板との交差形状が一般に概ね円形なので、レーザーパルスの線に沿って連続したドープ接点を得るためには、何らかのオーバラップが望ましい場合があるが、同じ領域上に複数パスを施すと、隣接するパルスから生じたギャップを平滑化することができる。便宜上、我々は光スポットを、光出力の95%が円周の内側に含まれる、表面に沿った円として定義する。光パルス速度及び走査速度は、隣接する光パルスの像の中心が、光像直径の0.1〜約1.5倍、さらなる態様の場合には光像直径の約0.2〜約1.25倍、そして追加の態様の場合には光像直径の約0.25〜約1.1倍の範囲で互いに変位されるように選択することができる。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0094】
光ビームは、商業的な走査システム又は同様に設計されたカスタム・システムを使用して、基板表面全体を走査することができる。一般に、これらのシステムは、選択個所に対するレーザービームを走査するための光学素子を含む。光学走査システムにおいて有用な位置検出器が、“Position Sensor for a Scanning Device”と題する、Petschik他の米国特許第6,921,893号明細書にさらに記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。スキャナーにとって有用な制御システムが、“Servo Control System”と題する、Oksの米国特許第7,414,379号明細書に記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。商業的な走査システム又はガルバノメーターがScanlab AG (ドイツ国)及びCambridge Technology Inc. (米国MA)から入手可能である。
【0095】
選択された一連のアプローチによって、バック不動態化層を堆積させることができる。例えば商業的な堆積装置を使用して、コンベンショナル技術、例えばスパッタリング、CVD、PVD又はこれらの組み合わせから、不動態化層を形成することができる。具体的には、不動態化層は、プラズマ支援CVD(PECVD)を用いて堆積することができる。低温で堆積を実施することができるので、PECVD及び/又はスパッタリングが望ましいアプローチであり得る。不動態化層が比較的薄いので、これらのコンベンショナルなアプローチは適度に効率的である。追加の又は代替的な態様において、光反応性堆積(LRD(商標))を用いて不動態化層を堆積させることもできる。LRD(商標)は、“Coating Formation By Reactive Deposition”と題する、Bi他の国際公開第02/32588号パンフレット、及び“Dense Coating Formation By Reactive Deposition”と題するChiruvolu他の米国特許第7,491,431号明細書にさらに記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。さらに、不動態化層は、大気圧CVD又は走査減圧CVDを用いて堆積させることもできる。走査減圧CVDは、“Reactive Flow Deposition and Synthesis of Inorganic Foils”と題する、Hieslmair他の米国特許出願公開第2009/0017292号明細書にさらに記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。不動態化層又はその一部を形成するポリマー層は、ポリマー塗布技術、例えば噴霧塗布、押し出し、ナイフエッジ塗布、スピン塗布などを用いて堆積させることができる。
【0096】
電流コレクタと、不動態化層の下側のドープ接点とを接続させるための3つのアプローチを説明する。各アプローチは、所望のパターンに従って導くことができるレーザーの使用を伴う。ポリマーアブレーション・プロセスの場合、レーザーは、ポリマーエッチング・レジストを通してパターンを形成するために効率的に使用される。次いで、これは不動態化層を貫く窓を形成するエッチング工程と組み合わされる。誘電アブレーション・アプローチの場合、下側シリコン半導体に対する顕著な損傷を回避するように選択されたパラメータを用いて、誘電層を貫く窓を直接にアブレートするためにレーザーが使用される。ドープ接点との接続を形成するレーザー溶接プロセスの場合、電流コレクタからの金属を不動態化層に貫通させることにより、不動態化層の下側のドープ接点との良好な接合を形成するために、レーザーが使用される。レーザー溶接は明らかに、電流コレクタのための金属の堆積後に実施される。
【0097】
ポリマーアブレーション・パターン形成・プロセスの場合、ポリマーエッチング・レジスト層が不動態化層上に置かれる。一般に、あらゆるエッチング・レジスト・ポリマーを使用することができる。好都合なエッチング・レジストが、フォトレジストとして商業的に流通している。伝統的な処理では、フォトレジストは感光性なので、光、例えばUV光がフォトレジスト上でパターン形成される。フォトレジストは、光がフォトレジストをエッチングに対して安定化させるネガ型フォトレジスト、又は光がフォトレジストをエッチングに対して不安定化させるポジ型フォトレジストであってよい。ポリマーアブレーション・アプローチは、適度な解像度のパターンに関与する用途において、いくつかの理由から伝統的なアプローチに対して改善されている。先ず、赤外線レーザーを使用することができ、より低コストの赤外線レーザーが商業的に入手可能である。さらに、不動態化層を貫通エッチングするために単一のエッチング工程が用いられ、そしてフォトレジストを現像又はエッチングするための別個のエッチング工程は必要とならない。さらに、感光性である必要のない、低廉なポリマーを使用することができる。好適なネガ型フォトレジストを例えばFuturrex, Inc. (米国NJ)から入手することができ、そしてエッチング工程の完了に続いてフォトレジストを除去するための剥離剤が販売されている。エッチング・レジスト・ポリマー、例えばフォトレジストは適切な塗布技術、例えばスピン塗布、噴霧塗布、押し出し、又はナイフエッジ塗布などを用いて適用することができる。
【0098】
ポリマーアブレーション・アプローチの場合、選択個所からポリマーをアブレートするために、表面全体をレーザー走査する。一般に、ポリマーを比較的低出力のパルスでアブレートすることができる。不動態化層を貫く窓を設けるために選択された、表面に沿った個所に好適なレーザーパルスを導く。レーザーパルスはパルスの個所でポリマーを除去する。一般にポリマーによって吸収されるいかなる光波長をも使用することができる。例えば、下側の層を著しく損傷することなしにポリマーをアブレートするために、赤色又は赤外線レーザー又はヒートランプからのその他の集束ビームを効果的に使用することができる。しかし、光が構造内に深く侵入することのないように短波長を使用することが、下側の損傷を低減するために望ましい場合もある。例えば、緑色、青色、又は紫外、例えば波長が約550nm以下、いくつかの態様では500nm以下の光、そして他の態様では波長約100nm〜約400nmの電磁スペクトルの近紫外線部分又は中間紫外線部分の光を使用することができる。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の光波長範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。いくつかの態様の場合、光はエキシマーレーザーで供給することもできる。加えて電子ビームは、ポリマーをアブレートするために使用することができる。電子ビーム・リソグラフィのために開発された電子ビーム・スキャナーの設計をこの用途に使用することができる。適切なシステムが、例えば“Electron Beam Lithography System, Electron Beam Lithography Apparatus, and Method of Lithography”と題する、Kamada他の米国特許第6,674,086号に記載されている(これは参照することにより本明細書中に組み入れられる)。
【0099】
上記のように、不動態化層を貫く窓は、ドープ接点よりも著しく小さな表面積を占める。従って、窓をパターン形成する際には、特定の離隔したスポット又は線分を使用することができる。一般には、結果として形成される窓の所望の面積を得るために窓パターンを設計する上で有意なフレキシビリティがある。ビームのパルス周波数及び走査動作は、選択されたパターンを得るために調節され、そして光ビームを適宜にオフにすることにより、窓の区分間を分離することができる。しかし窓の位置は概ね、ドープ接点の領域上に窓を設けるように選択される。このように、窓の幅がエッチング後のドープ接点の幅よりも小さいように、光ビームは一般により狭い焦点を有している。一般に、適度なパルス・エネルギー密度は、1平方センチメートル当たり約0.1〜約25ジュール(J/cm2)、さらなる態様の場合には約0.25〜約20J/cm2、そして他の態様の場合には約0.5〜約12J/cm2であってよい。走査速度はいくつかの態様では約0.1〜約10メートル/秒(m/s)、さらなる態様では約0.25〜約9m/s、そして他の態様では約1〜約8m/sであってよい。いくつかの態様におけるパルス周波数は、約5キロヘルツ(kHz)〜約1000kHz、さらなる態様では約10kHz〜約800kHz、そして追加の態様では約25kHz〜約750kHzであってよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加のパルス周波数範囲、パルス継続時間範囲、及び走査速度範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。一般に、レーザーパルス条件は、不動態化層を透過する光を吸収することができるドープされたシリコンに結果としてもたらされる損傷のレベルが望ましく低いものとなるように、選択される。
【0100】
ポリマー被覆体内の窓の形成に続いて、不動態化層がエッチングされる。好適な化学的エッチングを、例えばシリコンをエッチングしない硝酸/フッ化水素酸混合物を用いて実施することができる。追加の又は代替的な態様において、ポリマーエッチング・レジスト内の窓を通して不動態化層を除去するために、プラズマ・エッチングを実施することができる。不動態化層のためのエッチング剤の選択は、ポリマーエッチング・レジストの選択と相俟って行うことができる。ポリマー内の窓を通して不動態化層をエッチングした後、不動態化層を貫く窓を相応に形成することにより、ドープ接点領域を露出させる。次いで、例えばポリマーを溶解させることにより、ポリマーエッチング・レジストを除去することができる。ポリマーの溶解はポリマーの反応又は分解を伴っても伴わなくてもよい。いくつかの態様の場合、残りのポリマーエッチング・レジストは、好適に選択されたポリマーの電気的絶縁特性により、誘電構造の一部を形成するために維持される。
【0101】
誘電アブレーション・アプローチの場合、レーザーは窓を形成するために誘電体を直接的にアブレートするために使用される。一般に、誘電体の直接的なアブレーションによって誘電層を貫く窓を形成するために、パルスレーザーが表面全体を走査する。誘電層を貫いて直接的にアブレートされる窓の選択及び配置は、上記のようなポリマーエッチングのアブレーションから生じる窓の位置決めと同様であってよい。誘電層を貫く窓が形成された場合の、電流コレクタとシリコンのドープされた領域との接続は、窓を形成するために用いられるプロセスとは無関係に同様である。
【0102】
一般に、レーザーパラメータは、特定の誘電層の特性に基づいて選ぶことができる。具体的にはレーザー波長は、誘電材料によって適度に吸収されるべきである。レーザーアブレーションは一般に、下側のシリコン材料を著しく損傷することなしに誘電材料をアブレートするように実施することができる。
【0103】
レーザー周波数は一般に、誘電層による有意な吸収のために選択される。従って、誘電体は、シリコンへの損傷が低減された状態でアブレートすることができる。窒化ケイ素又はシリコン富化された窒化ケイ素の場合、波長は一般に緑色又はより短い、例えばUVであることが可能である。ビームのパルス周波数及び走査動作は、選択されたパターンを得るために調節され、そして光ビームを適宜にオフにすることにより、窓の区分間を分離することができる。しかし、窓の位置は概ね、ドープ接点の領域上に窓を設けるように選択される。
【0104】
一般に、適度なパルス・エネルギー密度は、1平方センチメートル当たり約0.1〜約25ジュール(J/cm2)、さらなる態様の場合には約0.25〜約20J/cm2、そして他の態様の場合には約0.5〜約12J/cm2であってよい。走査速度はいくつかの態様では約0.1〜約10メートル/秒(m/s)、さらなる態様では約0.25〜約9m/s、そして他の態様では約1〜約8m/sであってよい。いくつかの態様におけるパルス周波数は、約5キロヘルツ(kHz)〜約1000kHz、さらなる態様では約10kHz〜約800kHz、そして追加の態様では約25kHz〜約750kHzであってよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加のパルス周波数範囲、パルス継続時間範囲、及び走査速度範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。一般に、レーザーパルス条件は、不動態化層を透過する光を吸収することができるドープされたシリコンに結果としてもたらされる損傷のレベルが望ましく低いものとなるように、選択される。
【0105】
さらに、電流コレクタ材料を、不動態化層を貫通するようにドライブすることにより、不動態化層を通して良好な電気的接続を形成することができる。不動態化層を貫通する金属のレーザードライブインは、緑色〜赤外線レーザー光を用いて達成することができる。金属によって吸収される比較的高いパルス出力を用いることができ、そして溶融金属は不動態化層を貫通ドライブし、不動態化層の下方でドープ接点と電気的に接触する。さらに、シリコン材料に対する損傷は性能の観点からはさほど重大ではないことが判った。一般に、この工程のための適度なパルス・エネルギー密度は、1平方センチメートル当たり約0.5〜約50ジュール(J/cm2)、さらなる態様の場合には約1.0〜約40J/cm2、そして他の態様の場合には約2.0〜約25J/cm2であってよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。一般に、所望のエネルギー密度値は、層の厚さ並びに特定の組成物に依存する。一般的なレーザー接点アプローチは、“Method of Producing a Semiconductor-Metal Contact Through Dielectric Layer”と題するPreu他の米国特許第6,982,218号明細書に記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。
【0106】
いくつかの態様の場合、シリコン層に対する損傷を管理可能な値に維持するためには、金属のレーザードライブインの地点を互いに離隔することが望ましい場合がある。これは、ドープ接点の面積よりも小さい面積にわたって、不動態化層を貫通して窓を形成する目的と一致する。ソフト・アブレーション・アプローチと同様に、シリコンのドープされていない部分、又は少量ドープされた部分と電気的に接触しないように、ドープされた領域を形成するために使用されるビームに対して、ビーム直径を狭くすることができる。結果として生じるレーザー接続において、電流コレクタの金属は不動態化層を通って、不動態化層の下方のドープ接点に侵入し、そしてその結果生じる不動態化層の孔は、たとえ金属侵入なしでは窓は形成されないとしても、窓と考えることができる。これらの態様における窓の面積は、結果としてのレーザー接続部を検査することにより推定することができる。
【0107】
レーザー接点はこの場合、表面全体をビーム走査しながらレーザーをパルス化することにより形成することができる。パルス速度は、適切に離隔されたパルスを有するように選択される。いくつかの態様におけるパルス周波数は、約1キロヘルツ(kHz)〜約2000kHz、さらなる態様では約2kHz〜約1000kHz、そして追加の態様では約5kHz〜約200kHzであってよい。走査速度はいくつかの態様では約0.1〜約15メートル/秒(m/s)、さらなる態様では約0.25〜約10m/s、そして他の態様では約1〜約10m/sであってよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加のパルス周波数範囲、及び走査速度範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0108】
レーザー接続を形成するために、我々は再び光スポットを、光出力の95%が円周の内側に含まれる、表面に沿った円として定義する。光パルス速度及び走査速度は、隣接する光パルスの像の中心が、光像直径の1.4〜約20.0倍、さらなる態様の場合には光像直径の約1.5〜約18.0倍、そして追加の態様の場合には光像直径の約1.7〜約16.0倍の範囲で互いに変位されるように選択することができる。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。レーザー接続形成のための加工パラメータは、直列抵抗からの出力ロスが望ましくなく増大することなしに良好なデバイス性能を提供するように選択することができる。驚くべきことに、このような直接接続アプローチを用いると、構造の損傷は、極めて良好な性能を達成できるのに十分に低い。
【0109】
一般に、電流コレクタは、任意の望ましい方法によって形成することができる。しかしながら、電流コレクタをパターン形成するための2つの望ましい方法をここに記載する。第1のアプローチの場合、改善された電流コレクタ・パターン形成方法が、多層金属構造を形成し、そして表面に沿った選択個所で合金を形成することを含む。元の上側金属を有する個所、又は元の上側金属と下側金属とを有する個所を形成するために上面をパターン形成したら、選択されたパターンに沿って金属を除去するように、選択的エッチングを実施する。元の上側金属層が耐エッチング性であるか、又は2つの層の金属を合体させた、形成された合金が耐エッチング性である。次いでエッチング工程において、パターンに沿った金属を取り外して不動態化層に移す。こうしてエッチング・プロセスは金属構造内にトレンチを形成することにより、トレンチの互いに対向する側の金属を電気的に分離する。
【0110】
一般に、所望の加工アプローチのために、複数の金属層が形成される。これらの金属層において、上層は、上層の下側に位置する金属層と合金を形成するように選択されている。いくつかの態様の場合、合金は低融点共晶合金であってよい。上層が適切な構造完全性を有するのに十分に厚い限り、合金を形成するために必要なエネルギー量がより小さくなるように、上側金属層は下層よりも厚さが小さいことが可能である。いくつかの態様の場合、上層の厚さは、下側の金属層の厚さの約0.01〜約0.50倍、さらなる態様の場合には約0.02〜約0.40倍、そして追加の態様の場合には約0.05〜約0.35倍であってよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の厚さ比範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。好適な金属の組み合わせの一例としては、ニッケル又はニッケル合金の上層、及びアルミニウム又はアルミニウム合金の下層が挙げられる。少量のバナジウムとの合金中のニッケルは、良好にスパッタする好適な材料である。一般に、元素金属から成る層は、スパッタリング、蒸発、又はその他の物理的蒸着アプローチ、又はその他の好適な技術を用いて堆積させることができる。
【0111】
一般に、表面に沿った選択個所で合金を形成するために、任意の適宜のエネルギービームを使用して金属を加熱することができる。具体的には、好都合な金属によって比較的良好に吸収されることに基づいて、赤外線レーザービームが好都合であり、また好都合な赤外線レーザーが妥当な価格で商業的に入手可能である。電流コレクタのためのパターン形成は一般に、電池2つの極のための電気的接続を可能にする連続的な構造を形成し、そして同様に、電池の反対極を電気的に分離するトラフは、別個の電流コレクタを適切に分離するために隣接するエッジに沿って全体的に延びる必要がある。
【0112】
合金形成から生じる損傷を好適なレベルに維持する一方、明確に画定されたトレンチを形成するためには、パターン上で複数パスを行うとともにより低出力のエネルギービームを使用すると優れた結果をもたらすことが判った。一般に、パルス・エネルギー密度は大まかに言えば、例えば上側金属層の厚さ、及び金属の融点、及び結果として生じる合金を含む金属の特性に適合させることができる。一般に、適度なパルス・エネルギー密度は、1平方センチメートル当たり約0.25〜約25ジュール(J/cm2)、さらなる態様の場合には約0.5〜約20J/cm2、そして他の態様の場合には約1.0〜約12J/cm2であってよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加のパルス・エネルギー密度範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。いくつかの態様では、より望ましい結果を得るために、表面の同じパターン上に2パス、3パス、4パス、5パス又は6パス以上の光ビームを施すことが望ましい場合がある。
【0113】
一般に、線幅は、少なくとも適度な値範囲内の相応の光スポット・サイズを選択するために、光学素子を使用して調節することができる。合金の線幅はスポット・サイズに相当する。いくつかの態様におけるパルス周波数は、約5キロヘルツ(kHz)〜約5000kHz、さらなる態様では約10kHz〜約2000kHz、そして追加の態様では約25kHz〜約1000kHzであってよい。走査速度はいくつかの態様では約0.1〜約15メートル/秒(m/s)、さらなる態様では約0.25〜約10m/s、そして他の態様では約1〜約10m/sであってよい。当業者は、上記明示的な範囲内の追加のパルス周波数範囲、及び走査速度範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0114】
特定のスポット・サイズに基づいて、基板を横切る光ビームの走査速度は、合金形成によって連続する加工された領域を提供するために、隣接するパルスが選択された程度までオーバラップできるように、パルス周波数と相関させることができる。光ビームと基板との交差形状が一般に概ね円形なので、合金構造の粗いエッジを得るためには、何らかのオーバラップが望ましい場合があるが、同じ領域上に複数パスを施すと、隣接するパルスから生じたギャップを平滑化することができる。便宜上、我々は光スポットを、光出力の95%が円周の内側に含まれる、表面に沿った円として定義する。光パルス速度及び走査速度は、隣接する光パルスの像の中心が、光像直径の0.1〜約1.5倍、さらなる態様の場合には光像直径の約0.2〜約1.25倍、そして追加の態様の場合には光像直径の約0.25〜約1.1倍の範囲で互いに変位されるように選択することができる。当業者は、上記明示的な範囲内の追加の範囲が考えられ、そしてこれらも本開示内容に含まれることを認識するであろう。
【0115】
一般に、材料の選択的エッチングのためには湿式エッチング及び乾式エッチングが知られている。湿式エッチング・アプローチは一般に液体に関与する。液体及び/又は溶解された反応性組成物は、金属との反応を通して湿式エッチングを実施する。一般に、乾式エッチングは材料をエッチングするために、エネルギービーム、例えばプラズマなどを使用する。例えば、金属をエッチングするためには、ハロゲンイオン、例えば塩素イオンを使用することができ、また金属をスパッタ・エッチングするためには、不活性イオン、例えばアルゴンイオンを使用することができる。遷移金属の選択的エッチングのためのアプローチは、“Method for Dry Etching of Transition Metals”と題する、Ashby他の米国特許第5,814,238号明細書に記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。
【0116】
また、湿式エッチング・アプローチは、一般にはいくつかの態様において好都合であり得るいくつかの適宜の金属層に対して異なる所望のエッチング量を提供することができる。金属のための湿式エッチング剤に関しては大量の公の情報が入手可能である。一般に、湿式エッチング剤は酸、塩基及び/又はその他の反応性組成物を含むことができる。この情報は、実験的評価によって補足することができる。
【0117】
上記のように、上側金属層は、エッチング・レジスト層を提供するために選択される。アルミニウム・ベース層に対しては、好適な上側金属層は、例えばニッケル、チタン、モリブデン、及びこれらの合金を含む。アルミニウム層及びアルミニウム合金は、塩基、例えばKOH及びNaOHでエッチングすることができる。ニッケル及びモリブデンは、水酸化物塩基エッチング剤によってはゆっくりとエッチングされるか又は全くされず、これらの金属は背後でIRを吸収する。より具体的には、エッチングは80℃でKOH29%によって実施することができる。チタンはKOHによってゆっくりとエッチングされる。さらに、重量比16:1:1:2のH3PO4:HNO3:CH3COOH:H2Oの溶液で50℃においてアルミニウムをエッチングすることができ、そしてチタンはこれらの条件下では無視できるほど僅かしかエッチングされない。従って、ニッケル、チタン、モリブデン又はこれらの合金で被覆されたアルミニウム又はアルミニウム合金の下層が、本明細書中に記載されている合金系パターン形成・アプローチに適した金属層を形成する。
【0118】
合金形成及び選択的エッチングに基づく電流コレクタ形成は、“Metal Patterning for Electrically Conductive Structures Based on Alloy Formation”と題するSrinivasan他の、本出願と同日付で出願された同時係属中の米国特許出願第12/469,101号明細書にさらに記載されている(参照することにより本明細書中に組み入れられる)。
【0119】
別のアプローチにおいて、金属電流コレクタをパターン形成するために、ソフト・アブレーション・プロセスを用いることもできる。誘電層を貫く窓の形成に関連して同様に上述したように、ポリマーエッチング・レジストを金属層上に堆積させ、そして誘電層をパターン形成するために上述したように、同様のポリマーエッチング・レジストを使用することができる。金属層は単一の金属層又は複数の金属層を含むことができる。ポリマーエッチング・レジストをアブレートするために、表面全体をレーザー走査する。パルスレーザーの走査は、合金に基づくアプローチにおいて金属合金を形成するための走査と同様に実施することができる。具体的には、レーザー出力をより低い値で選択することができ、及び/又はポリマーをアブレートするために、異なるレーザー周波数、例えば緑色、青色、又は紫外線を選択できることを除けば、レーザー走査の次元及び他のパラメータは類似していてよい。ポリマーエッチング・レジストを選択個所でアブレートした後、金属をエッチングすることができる。金属エッチングは、反対極性の電流コレクタを電気的に分離するトレンチを形成するために上述したように実施することができる。金属をエッチングした後、残りのポリマーエッチング・レジストは、電池を完成させるためのさらなる加工に応じて除去されてもされなくてもよく、そして所望の場合には、電流コレクタに対する外部の電気的接続を可能にするために、エッチング・レジストの一部だけを除去することができる。
【0120】
電流コレクタと半導体のドープされた領域との間の接点の特性を改善する観点から、レーザーアニール工程を実施することができる。具体的には、電流コレクタのための金属を、金属の堆積前に不動態化層を貫いて形成された窓を通して堆積させることができる。次いで、金属とドープ接点との接触状態を改善するために接点にレーザーアニールを施すことができる。電流コレクタがポリマーエッチング・レジストを用いてパターン形成される態様の場合、ポリマーエッチング・レジストを堆積する前、又は残りのポリマーエッチング・レジストを除去した後にレーザーアニーリング工程を実施することができる。それというのもアニール区分が金属エッチング領域とは区別可能であるからである。レーザービームが、金属が窓を通して半導体と接触しようとする個所に衝突するように選択されたパラメータを用いて、表面全体をパルスレーザービーム走査することができる。材料は界面で合金化することができる。このアプローチは、より低いレーザー出力を使用してレーザー焼成接点の所望の性能を達成することができる。それというのも誘電体は加工工程中、貫通される必要がないからである。こうして、構造が被り得る損傷は少なくなり、性能を全体的に改善することができる。
【0121】
一般に、本明細書中に記載された処理工程は、モジュール内部の電池アレイに対して同時に実施することができる。光起電力電池を完成するための最終加工工程中、太陽電池の電極は直列接続することができ、そして他の電気的接続は所望の通り形成することができる。また、直列の末端に位置する電池の電極はモジュール端子に接続される。具体的には、電池間の電気的な接続が完成したら、外部モジュール接続部を形成することができ、そしてモジュールの背面をシーリングすることができる。電池の後方をシールするためにはバッキング層を適用することができる。後方シーリング材料は透明である必要はないので、上述のように広範囲の材料及びプロセスを用いることができる。ヒート・シーリング・フィルムを使用する場合には、フィルムを所定の場所に起き、そしてモジュールを適温まで加熱することにより、他の構成部分に影響を及ぼすことなしにシールを形成する。次いでモジュールを所望の通りにフレーム内に装着することができる。
【0122】
さらなる発明概念
特許請求の範囲に含まれる本発明の概念に加えて、本出願はまた次のような発明概念に関する。
【0123】
無機層を通る開口を選択的にエッチングする方法であって、
複数の選択個所のエッチング・レジストを除去するために、これらの選択個所でエネルギービームを使用してポリマーをアブレートすることにより、ポリマーエッチング・レジスト層をパターン形成すること;そして
無機層を貫く窓を形成するためにエッチングを行うこと
を含む、無機層を通る開口を選択的にエッチングする方法。
【0124】
開口を選択的にエッチングする方法のこれらの態様において、エネルギービームは赤外線レーザービームを含むことができる。また無機層は、半導体表面上に誘電層を含むことができる。無機層は金属層を含むことができる。いくつかの態様の場合、この方法はさらに、残りのポリマーエッチング・レジストを除去することを含む。加えて、この方法は、窓の下方の構造との、窓を通した電気的接点を形成するために、残りのポリマーエッチング・レジスト上に金属電流コレクタを堆積させ、このポリマーが電気的絶縁をもたらすことを含んでもよい。
【0125】
半導体をベースとするデバイスを形成する方法であって:
平均厚が約5μm〜約100μmのSi半導体フォイルの第1の表面上にドープされた領域を形成する工程、ここで半導体フォイルは第1の表面と、第1の表面と対向する第2の表面とを有しており、そして半導体フォイルの第2の表面はポリマーでガラス構造に付着されている;
ドープされた領域を占める第1の表面上に誘電層を堆積させる工程;
そして
誘電層上に金属電流コレクタをパターン形成する工程、ここで金属電流コレクタの一部は誘電層を通してドープされた領域との接点を形成する;
を含み、
以上の加工工程は約200℃を上回る温度までポリマーを加熱しない、
半導体をベースとするデバイスを形成する方法。
【0126】
半導体層と、半導体層の表面に沿ったn−ドープされた領域及びp−ドープされた領域とを含む光起電力電池であって、ドープされた領域がそれぞれ、平均幅よりも少なくとも約10倍大きい平均長さの比を有するストライプを含む表面に沿った平面状の広がりを有しており、ストライプの1つ又は2つ以上の増強ドーパント区分の平均表面ドーパント濃度は、n−ドープされた領域の他の個所の平均ドーパント濃度の少なくとも約5倍である、光起電力電池。
【0127】
光起電力電池のこれらの態様の場合、ストライプの増強ドーパント区分はストライプの面積の約50パーセント以下を占めてよい。また増強ドーパント区分はストライプの中央を含むことができる。
【0128】
半導体層と、半導体層の表面に沿った複数のn−ドープされた領域及び複数のp−ドープされた領域とを含む光起電力電池であって、ドープされた領域の平均深さは約250nm〜約2.5μmであり、そして接点の厚さの上側10%における平均ドーパント濃度は、接点の上側から接点深さ20〜30%の高さにおける接点の平均ドーパント濃度よりも少なくとも5倍高い、光起電力電池。
【0129】
半導体層と、半導体層の表面に沿った複数のn−ドープされた領域と、半導体層の表面に沿った複数のp−ドープされた領域と、誘電層と、n−ドープされた領域と電気的に接続された第1の電流コレクタと、p−ドープされた領域と電気的に接続された第2の電流コレクタとを含む光起電力電池であって、誘電層は、半導体層の表面に沿った無機層と、無機層上のポリマー層とを、電流コレクタがポリマー層の一部を被覆する状態で含み、それぞれの電流コレクタは誘電層を貫く窓を通して対応するドープされた領域と接触する、光起電力電池。
【0130】
半導体層をドープする方法であって:
シリコン/ゲルマニウムを含む裸の半導体層に沿って複数のドーパント源をパターン形成することにより、パターン形成された半導体層を形成する工程;そして
パターン形成された半導体層全体を光ビーム走査することにより、ドーパント源から半導体層内にドーパントをドライブインし、これにより、複数のn−ドープされた領域及び複数のp−ドープされた領域を形成する工程
を含む、半導体層をドープする方法。
【0131】
太陽電池内部の電気的接続を形成する方法であって:
金属が誘電層を貫く窓を通って半導体と接触する個所で、半導体とともに金属電流コレクタの個所をレーザーアニーリングすることを含む、太陽電池内部の電気的接続を形成する方法。
【実施例】
【0132】
例1:レーザーアニーリングによるN型及びP型シリコンの形成
この例は、レーザーアニーリングによってシリコン・ウェハー内にn型及びp型領域を形成する方法を記述する。
【0133】
商業的に入手した単結晶CZシリコン・ウェハーをHFで最初にクリーニング/エッチングすることによって、表面に沿って酸化ケイ素を除去した。ウェハーは、抵抗率が5〜10オーム−cmの4インチ直径のn−ドープCZウェハーであった。クリーンなウェハー表面にスピン塗布によって、ドープされたスピンオンガラスの塗膜を施した。好適なスピンオンガラス材料はFilmtronics及びHoneywellから入手可能である。塗膜を施されたウェハーを、その後材料を乾燥させるために15分間にわたって150℃で加熱した。
【0134】
スピンオンガラスの厚さはスピン速度を高くすることにより低減できることが判った。スピンオンガラス材料及びスピン速度の選択によって、50nm〜2μmの厚さを得ることができた。プロフィルメーターを使用して厚さを測定した。厚さ測定値を表1にまとめる。
【0135】
【表1】
【0136】
その後、レーザードーピングによって、ウェハー内にドープされた領域を形成した。ウェハー表面全体をパルス赤外線レーザービーム走査し、そしてレーザービームが表面と接触する個所でシリコンをアニーリングすることにより、アニーリング・プロセスを実施した。走査システムは、表面にビームを導くためにScanLabs Galvo(商標)スキャナーを使用した。中心波長1064nmの20ワット・ダイオード励起型ファイバーレーザー(SPI Lasers, UK)を使用して、レーザービームを発生させた。レーザーが表面に接触する個所でシリコンは溶融させられ、そしてドーパントはウェハー内にドライブインされた。ドーパントのドライブインは、種々異なるレーザーパルス速度及び種々異なるレーザー波形を用いて実施した。種々異なる波形に対するレーザー応答を図5に示す。レーザードーパント・ドライブインを実施した後、スピンオン・ドーパント材料を、メタノールを使用して除去し、そして表面を硫酸と過酸化水素との混合物でクリーニングした。
【0137】
レーザードライブインを用いて形成されたドープ接点内部のドーパントの深さ及びプロフィールを測定するために、スパッタリングを伴う二次イオン質量分析(SIMS)を実施した。少量nドーピングによるウェハー上のp−ドープ接点に関しては図6に、そして少量pドーピングによるウェハー上のn−ドープ接点に関しては図7に、SIMS測定値が示されている。これらの接点は両方とも、レーザーパルス・エネルギー2.31J/cm2、レーザー走査速度0.5メートル/秒(m/s)、及びレーザーパルス500kHzで形成される。図6に示されているように、元のウェハーに由来するリン・ドーパントは、ウェハー表面からおよそ1μmのところまで、穏やかに濃度が上昇した。添加されたホウ素ドーパントは、ウェハー内のおよそ600〜700nmのところまで比較的高い濃度を有し、次いで約1μmのバックグラウンド・レベルまで徐々に濃度低下する。炭素汚染物質及び酸素汚染物質は、ウェハー表面近くで僅かに濃度が上昇する。図7を参照すると、ウェハー材料中のホウ素ドーパントは、ウェハーの頂面近くで、バックグラウンド濃度から同様に穏やかな上昇を示す。添加されたリン・ドーパントは、ウェハー内の約600nmのところまでは比較的フラットな値を有し、続いて、ウェハー内の約2μmのところまで濃度が徐々に低下する。
【0138】
また、P−ドープ接点のドーパント深さを、広がり抵抗プロファイリング(SRP)で測定した。Solecon Laboratories(米国ネヴァダ州)によって、勾配付き試料上で4プローブ抵抗率測定を行った。これらの測定の結果を図8に示す。図8の結果は、SRP測定における値がSIMS測定のものと比較して多少低いこと、そして直接の表面におけるSIMS測定時のスパイクがないことを除けば、図7の結果と同様である。
【0139】
加えて、シート抵抗を、レーザードーピング後のP−ドープされた領域に関して測定した。試料を所定の角度で勾配付けし、そして4プローブ・シート抵抗を測定した。シート抵抗の結果(オーム/□)を、一連のレーザーフルエンスに対して3つの異なるレーザーパルス周波数に関して図9に示す。シート抵抗は一般に、レーザーフルエンスが高いほど、そしてレーザー周波数が高いほど低かった。Tencor スタイラス・プロフィルメーター(KLA Tencor Instruments)を使用して、表面粗さ(オングストローム)を測定した。これらの結果を図10に示す。結果を図10にプロットする。レーザーフルエンスが低ければ低いほど平滑な、レーザー周波数に顕著に依存する表面がもたらされた。
【0140】
5つの走査速度でレーザードーパント・ドライブインを行った後の基板表面を、レーザーフルエンス6.11J/cm2及びレーザーパルス周波数125kHzで行ったものに関しては図11に、そしてレーザーフルエンス3.06J/cm2及びレーザーパルス周波数250kHzで行ったものに関しては図12に示す。これらの図面のそれぞれにおいて、左から右に向かって見て、走査速度は1m/s、2m/s、3m/s、4m/s、及び5m/sであった。
【0141】
これらの試験に基づいて、レーザー出力レベルが高くなると、ドーパント深さが増大し、これに相応して溶融領域も深くなり、このことがより良好なドーパント均一性をもたらすことが判った。レーザー走査速度が増大すると、レーザースポットのオーバラップが低減される一方、レーザーパルス周波数が増大すると、スポットのオーバラップが大きくなり、ピーク・レーザー出力が低くなることに基づきドーパント深さが小さくなり、そしておそらくはドーパント不均一性が生じる。
【0142】
例2:ポリマーアブレーションを使用した誘電層を貫く窓パターン形成
この例は、ポリマーエッチング・レジストのレーザーアブレーションを利用して、無機誘電層をパターン形成することを記述する。
【0143】
例1に記載された方法によって調製されたように、n型領域及びp型領域の両方を含有するシリコン・ウェハー上に窒化ケイ素又は酸化ケイ素塗膜を堆積させることにより、支持体を調製した。PECVDを用いて、パターン形成されたドープ領域を有するウェハーの側に窒化ケイ素又は酸化ケイ素塗膜を堆積させた。酸化ケイ素を堆積させるために、亜酸化窒素ガス及びシランガスを650ミリTorr反応室内にそれぞれ1400sccm及び400sccmでポンピングした。40Wでラジオ周波数励起させることによって反応室内でプラズマを形成した。厚さは、堆積条件を用いて推定し、そして走査電子顕微鏡分析を用いて検証することができる。N2O反応物質の代わりにNH3を用いてPECVDによって窒化ケイ素層を堆積させた。窒化ケイ素の平均厚は約65nmであり、酸化ケイ素の平均厚は約500nmであった。
【0144】
溶解ポリマーエッチング・レジスト層、Fujifilm OIR 900シリーズ・フォトレジストを、スピン塗布を用いて堆積させた。溶剤を乾燥により除去し、そして結果として生じたポリマー塗膜の厚さは約1μmであった。例1において記載したように表面全体をパルスレーザー走査することにより、表面に沿った選択スポットでポリマーをアブレートした。レーザーは速度1m/s、フルエンス6.11J/cm2及びパルス周波数65kHzで走査した。ポリマーエッチング・レジストをアブレートした後、表面をエッチングして無機誘電体を除去することにより、エッチングされた個所のシリコンを露出させた。水中40%のNH4Fと水中49%のHFとの容積比6:1で形成された緩衝HFを用いて、酸化シリコンを室温でエッチングした。窒化ケイ素も同様にHFを使用してエッチングした。次いで有機溶剤を使用してポリマーを除去した。
【0145】
ポリマーエッチング・レジストでパターン形成されたエッチングに続いて、酸化ケイ素層を貫いてエッチングされた線の写真が図13に示されている。酸化ケイ素又は窒化ケイ素誘電層を用いても同様の結果が得られた。
【0146】
例3:窓パターン形成のための誘電層のアブレーション
この例は、レーザーアブレーションを用いた誘電層のパターン形成を実証する。アブレーションにおいて、レーザーパラメータは、下側のシリコン層を著しく損傷することなしに誘電層を貫く窓を形成するために選択される。
【0147】
例2において記載されているようなパターン形成されたドープ・シリコン・ウェハー上に窒化ケイ素を堆積させることにより、基板を調製した。例1に記載されているように、表面全体をパルスレーザー走査することにより、表面に沿った選択スポットで窒化ケイ素をアブレートした。窒化ケイ素層を貫いて孔をアブレートした後のウェハー表面の写真が、図14に示されている。クローズアップして示された図14Bにおいて、露出したケイ素が、窒化ケイ素誘電層の下方に見える。ウェハーの試験は、窓の個所のシリコンが顕著に損傷されることがないことを立証した。
【0148】
例4:ポリマーエッチング・レジストのアブレーションに基づく金属パターン形成
この例は、電流コレクタの形成のためのアルミニウムをパターン形成するために、ポリマーエッチング・レジストのレーザーアブレーションを用いることもできることを実証する。
【0149】
例2に記載されている酸化ケイ素塗膜を用いてウェハーを調製した。平均厚さ約1μmのアルミニウム層を酸化ケイ素塗膜上にスパッタリングした。スパッタリング・プロセスは、Perkin Elmer 4450スパッタリング・システム(Perkin Elmer, Waltham, MA)を使用して実施した。このシステムでは、不活性キャリアガスがイオン化され電界によって金属ターゲットに向かって加速された。金属ターゲットはアルミニウム金属ターゲット又はニッケル合金ターゲットであった。スパッタリングは、ウェハー表面上の酸化ケイ素層上に金属の比較的均一な堆積をもたらした。スパッタリング・プロセスはアルミニウム・ターゲットで実施した。
【0150】
ポリマーエッチング・レジストを例2に記載したように施した。表面全体を例1において記載したようにパルスレーザー走査することにより、表面に沿った選択スポットでポリマーをアブレートした。レーザーは速度1m/s、フルエンス6.11J/cm2及びパルス周波数65kHzで走査した。ポリマーエッチング・レジストをレーザースキャンの選択個所でアブレートした後、ポリマーが除去された個所でアルミニウムを除去するために、表面をエッチングした。アルミニウムは、リン酸、硝酸、及び酢酸の混合物でエッチングした。アルミニウムをエッチングした後、ポリマーを有機溶剤で除去した。アルミニウムを貫いてエッチングされた線の写真が、図15に示されている。ここでは誘電体がアルミニウムを通して見える。こうして、ポリマーエッチング・レジストのレーザーアブレーションを、金属電流コレクタをパターン形成するために成功裏に使用した。
【0151】
例5:合金形成に基づく金属パターン形成
この例は、誘電層で被覆されたシリコン基板上の金属層状構造において形状をパターン形成する非フォトリソグラフィ・プロセスを記述する。
【0152】
例2に記載されているようにPECVDを使用して、商業的な単結晶シリコン・ウェハー上に窒化ケイ素塗膜を初めに堆積することによって、基板を調製した。結果として生じる窒化ケイ素層を65nm厚であった。厚さは、堆積条件を用いて推定し、そして走査電子顕微鏡分析を用いて検証することができる。
【0153】
続いて、ウェハーの誘電塗膜付き表面上に、スパッタリングを用いて、アルミニウム層及びニッケル合金層を堆積させた。スパッタリング・プロセスは、Perkin Elmer 4450スパッタリング・システム(Perkin Elmer, Waltham, MA)を使用して実施した。このシステムでは、不活性キャリアガスがイオン化され電界によってアルミニウム金属ターゲットに向かって加速された。スパッタリングは、窒化ケイ素表面上にアルミニウム金属の比較的均一な堆積をもたらした。次いで、7%のバナジウムを有するニッケル合金を含む金属ターゲットを使用して、スパッタリング・プロセスを繰り返し、再び比較的に均一な堆積をもたらした。結果として生じるアルミニウム層は1μm厚であり、そして結果として生じるニッケル層は150nm厚であった。
【0154】
レーザービームが表面に接触する個所でアルミニウム−ニッケル合金を発生させるために、表面全体をレーザービームで掃くことにより、2つの金属層を有する基板をパターン形成した。走査システムは、レーザービームを発生させるために、中心波長1064nmの20ワット・ダイオード励起型ファイバーレーザー(SPI Lasers, UK)を使用した。レーザービームから出る赤外線は、基板の表面を加熱して合金を形成するために使用された。より低いレーザー出力を使用し、同じパターン上に複数パスの走査レーザーを施すと、線及び湾曲を有するパターンに沿った合金の形成が改善される一方、金属の下側の構造に対する損傷が少なくなることが判った。また、商業的なスキャナーを用いた場合、適度な角度変化を伴う複数の線分で形成された旋回部は、湾曲に沿った走査と比べて、改善された構造をもたらすことが判った。パルスのピーク出力を、60%の出力、250KHzの反復率でレーザーを操作することによって低減した。ピーク出力は1.92KWであり、フルエンス・レベルは2.44J/cm2であった。レーザーは、ScanLab Galvoスキャナー(ScanLab America, Inc., Napervill, Il)で、基板表面全体を3m/sでラスタリングした。基板はエッチング前に、同じパターン上を3回ラスタリングすることによりパターン形成した。およそ1平方センチメートルの面積を有する代表的なパターンを図16に示す。
【0155】
アルミニウム−ニッケル合金及び合金の下方のアルミニウムを次いでKOHでエッチングし、合金化されていないニッケルで被覆されたアルミニウムだけを残した。基板を約3分間にわたって25%KOH浴内に入れることにより、エッチング・プロセスを実施した。浴を40℃で維持し、溶液の濃度勾配を攪拌又は気泡形成によって低減した。図17は、真直ぐな線分、Uターン状線分、及び交差部におけるきれいなエッチングを示している。ニッケルで被覆されたアルミニウム区分を電気的に分離し、そして短絡路、又は下側の窒化ケイ素層の損傷はなかった。
【0156】
例6:裸のシリコンにおけるストライプに沿ったレーザードライブインによって形成された深いドープされた領域を用いた太陽電池デバイス性能
この例は、ドーパントをシリコン材料内へ、赤外線レーザーをストライプに沿って走査した状態でドライブインすることによって深いドープされた領域が形成された太陽電池構造全体の特定の態様及びその結果としての性能を記述する。
【0157】
第1のバージョンでは、単結晶ウェハーを厚さ200μmにカットした。例1に記載された赤外線レーザードライブインを用いて、ウェハーの表面に沿って、エミッタ(n−ドープされた領域)及びコレクタ(p−ドープされた領域)をパターン形成した。それぞれのドーパント・ドライブイン工程後、表面をクリーニングしながら、異なるドーパントを順次施した。PECVDを用いて、ウェハーの太陽側(非ドープ側)上に70nmのSiNx(シリコンが豊富な窒化ケイ素)塗膜を適用し、そしてウェハーのドープ側(デバイス側)上に65nmのSiNx塗膜を適用した。ウェハーのデバイス側に設けられた窒化ケイ素を、フォトリソグラフィを用いて15μm幅のストライプでパターン形成した。上記例3に記載したように、パターン形成された窒化ケイ素誘電層上に、2μm厚のアルミニウム金属層をスパッタ塗布した。フォトリソグラフィを用いて、指を組むように組み合わされたストライプで金属をパターン形成することにより2つのコレクタを形成し、一方の電流コレクタはn−ドープされた領域に接合し、そして第2の電流コレクタはp−ドープされた領域に接合するようにした。
【0158】
結果として太陽電池を、Newport Sun Simulator (Newport Corporation, CA, USA)を使用して、1つの日照条件下で試験した。照明なしのダイオード性能を図18にプロットする。1つの日照条件下の性能を図19にプロットする。電池の開回路電圧は0.560ボルトであり、効率は10.9%であった。電池をIsc(短絡回路電流)及びFF(フィル・ファクタ)によっても特徴づけた。
【0159】
ガラス上に接着剤で貼り合わされた50μm厚の単結晶シリコンを用いて、別の試料を調製した。ラッピング及び化学機械的研磨によってシリコンを調製した。n−ドープ・ベースを150μm幅のストライプとして形成し、そしてp−ドープ・ベースを50μm幅のストライプとして形成した。ガラスにシリコンを貼り合わせる前に、ウェハーの太陽側にPECVDを用いて、65nmのSiNx誘電層を適用した。ガラスにシリコンを貼り合わせた後、ウェハーのデバイス側に300℃未満の温度で、PECVDを用いて、65nmのSiNx誘電層を適用した。次いで、窒化ケイ素層上に200nm酸化ケイ素層をスパッタリングした。ドープ接点の露出部分まで酸化ケイ素及び窒化ケイ素を貫く15μm幅のストライプとして窓を形成するために、誘電層を、フォトリソグラフィを用いてパターン形成した。パターン形成された誘電体上に2μm厚のアルミニウム層を堆積させ、そしてフォトリソグラフィを用いて、アルミニウムをパターン形成することにより2つの電流コレクタにした。一方の電流コレクタはn−ドープされた領域に、そして他方の電流コレクタはp−ドープされた領域に、電流コレクタ間のピッチ150μmで接続した。
【0160】
デバイスの面積は6.25cm2であった。デバイスを1つの日照条件下で試験した。電池の性能を図20に示す。電池の効率は6.7%であり、開回路電圧は0.507ボルトであった。
【0161】
上記態様は、例示的なものであって、限定するものではない。追加の態様は、特許請求の範囲内である。加えて、本発明を特定の態様を参照しながら説明してきたが、本発明の思想及び範囲を逸脱することなしに形態及び詳細において変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。上記文書を参照することによる本明細書への組み入れは、本明細書中の明示的な開示内容に反する事項が組み入れられないように限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20