【実施例】
【0067】
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0068】
なお、以下の実施例及び比較例において得られたフィルムについての5%重量減少温度:T
d5の測定は、SEIKO instruments. Inc. 製の熱重量分析装置(商品名:TG-DTA6300)を用いて、熱重量分析により、昇温速度10℃/分、窒素気流下(200ml/分)における測定結果から求めた。5%重量減少温度とは、200℃における重量を基準とし、重量が5.0wt%、減少した際の温度を意味するものである。また、得られるフィルムの製膜性の評価を、屈曲性を評価することによって行なった。具体的には、膜厚:30μmに製膜したフィルムを、縦:3cm×横:1cmの大きさに切り出し、その切り出したフィルムを直径:2mmの棒に巻きつけ、フィルムに割れやひびが生じるか否かを目視で確認した。フィルムに割れやひびが生じない場合を○と、割れやひびが生じる場合を×と、それぞれ評価した。以下の実施例及び比較例における5%重量減少温度:T
d5の測定結果、及び屈曲性の評価結果を、下記表1に示す。
【0069】
−実施例1〜4−
攪拌機、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた100mLフラスコ内を、窒素で置換した後、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル(HAB ):2.59g(12mmol)を量り取り、N−メチル−2−ピロリドン(NMP ):20mLを加えて完全に溶解させた。その後、反応溶液中にN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA ):9.78g(48mmol)を添加し、室温で1時間、撹拌することにより、HAB のシリル化を行なった。この反応溶液を液体窒素にて冷却し、イソフタル酸クロライド(IPC ):2.13g(11.4mmol)を加えた後、−5℃で1時間、反応させ、更に25℃で24時間、反応させることにより、ヒドロキシアミン末端直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体溶液[ヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体溶液]を得た。
【0070】
次いで、このヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体溶液を、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液中に滴下し、再沈殿精製を行なった。得られた固体状のヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体をろ過により回収し、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液で徹底的に洗浄した後、85℃で12時間、真空乾燥を行なった。このようにして得られた固体状のヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体を、NMP に再溶解させ、この溶液中にp−アミノフェニルトリメトキシシラン(PAPTMS):0.26g(1.2mmol)を加え、完全に溶解させた後、更に無水ピロメリット酸(PMDA):0.26g(1.2mmol)を加え、12時間反応させ、末端にトリメトキシシリル基を有する直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体溶液[以下、シラン末端直鎖PBO(IPC-HAB):PAPTMS前駆体溶液という。]を調製した。
【0071】
得られたシラン末端直鎖PBO(IPC-HAB):PAPTMS前駆体溶液中へ任意量のテトラメトキシシラン(TMOS)、加水分解に必要な水、及び、触媒としての1N塩化水素酸水溶液を数滴、添加し、室温で24時間、攪拌することによりゾル−ゲル反応を進行させ、直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッド溶液[以下、直鎖PBO(IPC-HAB):PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッド溶液ともいう。]を調製した。尚、TMOSは、オキサゾール化後のフィルムにおけるシリカ含有量が、実施例1においては1重量%、実施例2においては10重量%、実施例3においては20重量%、実施例4においては30重量%となるような割合において、それぞれ加えた。この直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッド溶液を、ポリエステルフィルム上にキャストし、85℃で4時間、乾燥させることにより、直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッドフィルム[以下、直鎖PBO(IPC-HAB):PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。得られた直鎖PBO(IPC-HAB):PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムを、金枠に固定した後、窒素雰囲気下にて、150℃で1時間、500℃で3時間、加熱処理することによってオキサゾール化を行ない、直鎖ポリベンゾオキサゾール−シリカハイブリッドフィルム[以下、直鎖PBO(IPC-HAB):PAPTMS−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。実施例1〜4における各フィルムのT
d5は、各々、実施例1は626℃、実施例2は625℃、実施例3は641℃、実施例4は650℃であった。また、屈曲性の評価結果は、全てのフィルムに割れやひびは発生せず、○であった。
【0072】
−実施例5−
シリカ成分として、日産化学株式会社製のDMAc分散コロイダルシリカ粒子(平均粒子径:10〜15mm)を用いた以外は実施例1と同様の手法により、直鎖ポリベンゾオキサゾール−シリカハイブリッドフィルム[以下、直鎖PBO(IPC-HAB):PAPTMS−シリカ(colloidal silica)ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。尚、DMAc分散コロイダルシリカ粒子は、オキサゾール化後のフィルムにおけるシリカ含有量が20重量%となるような割合において加えた。得られたフィルムのT
d5は633℃であり、また屈曲性の評価結果も、フィルムに割れやひびは発生せず、○であった。
【0073】
−実施例6〜10−
攪拌機、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた100mLフラスコ内を、窒素で置換した後、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP):2.20g(6.0mmol)を量り取り、N−メチル−2−ピロリドン(NMP ):39mLを加えて完全に溶解させた。その後、反応溶液中にN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA ):5.72g(28mmol)を添加し、室温で1時間、撹拌することにより、6FAPのシリル化を行なった。この反応溶液を液体窒素にて冷却し、4,4’−オキシジフェニル−1,1−ジカルボン酸クロライド(OBC ):1.68g(5.7mmol)を加えた後、−5℃で1時間、反応させ、更に25℃で24時間、反応させることにより、ヒドロキシアミン末端直鎖ポリベンゾオキサゾール6F前駆体溶液[ヒドロキシアミン末端直鎖PBO(OBC-6FAP) 前駆体溶液]を得た。
【0074】
次いで、このヒドロキシアミン末端直鎖PBO(OBC-6FAP) 前駆体溶液を、イオン交換水中に滴下し、再沈殿精製を行なった。得られた固体状のヒドロキシアミン末端直鎖PBO(OBC-6FAP) 前駆体をろ過により回収し、イオン交換水で徹底的に洗浄した後、50℃で12時間、真空乾燥を行なった。このようにして得られた固体状のヒドロキシアミン末端直鎖PBO(OBC-6FAP) 前駆体を、NMP に再溶解させ、この溶液中にp−アミノフェニルトリメトキシシラン(PAPTMS):0.13g(0.6mmol)を加え、完全に溶解させた後、更に無水ピロメリット酸(PMDA):0.13g(0.6mmol)を加え、12時間反応させ、末端にトリメトキシシリル基を有する直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体溶液[以下、シラン末端直鎖PBO(OBC-6FAP) :PAPTMS前駆体溶液という。]を調製した。
【0075】
得られたシラン末端直鎖PBO(OBC-6FAP) :PAPTMS前駆体溶液中へ任意量のテトラメトキシシラン(TMOS)、加水分解に必要な水、及び、触媒としての1N塩化水素酸水溶液を数滴、添加し、室温で24時間、攪拌することによりゾル−ゲル反応を進行させ、直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッド溶液[以下、直鎖PBO(OBC-6FAP) :PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッド溶液ともいう。]を調製した。尚、TMOSは、オキサゾール化後のフィルムにおけるシリカ含有量が、実施例6においては1重量%、実施例7においては10重量%、実施例8においては20重量%、実施例9においては30重量%、実施例10においては40重量%となるような割合において、それぞれ加えた。この直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッド溶液を、ポリエステルフィルム上にキャストし、85℃で4時間、乾燥させることにより、直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッドフィルム[以下、直鎖PBO(OBC-6FAP) :PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。得られた直鎖PBO(OBC-6FAP) :PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムを、金枠に固定した後、窒素雰囲気下にて、150℃で1時間、420℃で3時間、加熱処理することによってオキサゾール化を行ない、直鎖ポリベンゾオキサゾール−シリカハイブリッドフィルム[以下、直鎖PBO(OBC-6FAP):PAPTMS−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。表1にT
d5の測定結果を示す。
【0076】
−実施例11−
攪拌機、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた200mLのフラスコ内を窒素で置換した後、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル(HAB ):1.73g(8mmol)を量り取り、N−メチルピロリドン(NMP ):100mLを加え、溶解させた。次いで、反応溶液中にプロピレンオキサイド(PO):3mLを添加し、反応溶液を−20℃に冷却した。更に、別途準備した、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸クロライド(BTC ):0.27g(1mmol)及びイソフタル酸クロライド(IPC ):1.22g(6mmol)を30mLのNMP に溶解させてなる混合溶液を、反応溶液中に、20分かけて徐々に加えた後、−20℃で2時間、反応させ、加えて25℃で20時間、反応させることにより、ヒドロキシアミン末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体[分岐PBO(BTC/IPC-HAB)前駆体]溶液を調製した。
【0077】
次いで、このヒドロキシアミン末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体溶液を、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液中に滴下し、再沈殿精製を行なった。得られた固体状のヒドロキシアミン末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体をろ過により回収し、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液で徹底的に洗浄した後、50℃で12時間、真空乾燥を行なった。このようにして得られた固体状のヒドロキシアミン末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体を、NMP に再溶解させ、この溶液中にp−アミノフェニルトリメトキシシラン(PAPTMS):0.22g(1.0mmol)を加え、完全に溶解させた後、更に、無水ピロメリット酸(PMDA):0.22g(1.0mmol)を加え、12時間反応させ、末端にトリメトキシシリル基を有する分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体溶液[以下、シラン末端分岐PBO(BTC/IPC-HAB):PAPTMS前駆体溶液という。]を調製した。
【0078】
得られたシラン末端分岐PBO(BTC/IPC-HAB):PAPTMS前駆体溶液中へテトラメトキシシラン(TMOS)、加水分解に必要な水、及び、触媒としての1N塩化水素酸水溶液を数滴、添加し、室温で24時間、攪拌することによりゾル−ゲル反応を進行させ、分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッド溶液[以下、分岐PBO(BTC/IPC-HAB):PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッド溶液ともいう。]を調製した。尚、TMOSは、オキサゾール化後のフィルムにおけるシリカ含有量が、10重量%となるような割合において加えた。この分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッド溶液を、ポリエステルフィルム上にキャストし、85℃で4時間、乾燥させることにより、分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッドフィルム[以下、分岐PBO(BTC/IPC-HAB):PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。得られた分岐PBO(BTC/IPC-HAB):PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムを、金枠に固定した後、窒素雰囲気下にて、150℃で1時間、500℃で3時間、加熱処理することによってオキサゾール化を行ない、分岐ポリベンゾオキサゾール−シリカハイブリッドフィルム[以下、分岐PBO(BTC/IPC-HAB):PAPTMS−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。表1にT
d5の測定結果を示す。
【0079】
−実施例12−
攪拌機、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた200mLのフラスコ内を窒素で置換した後、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸クロライド(BTC ):0.27g(1mmol)及びイソフタル酸クロライド(IPC ):1.62g(8mmol)を量り取り、N−メチルピロリドン(NMP ):100mLを加え溶解させ、反応溶液を−20℃に冷却した。次いで、別途準備した4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル(HAB ):1.95g(9mmol)をNMP :20mLに溶解させ、更にプロピレンオキサイド(PO):3mLを添加した混合用液を、反応溶液中に、20分かけて徐々に加えた後、−20℃で2時間反応させ、次いで25℃で20時間反応させることにより、カルボン酸末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体[分岐PBO(BTC/IPC-HAB)前駆体]溶液を調製した。
【0080】
次いで、このカルボン酸末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体溶液を、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液中に滴下し、再沈殿精製を行なった。得られた固体状のカルボン酸末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体をろ過により回収し、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液で徹底的に洗浄した後、50℃で12時間、真空乾燥を行なった。このようにして得られた固体状のカルボン酸末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体を、NMP に再溶解させ、この溶液中にp−アミノフェニルトリメトキシシラン(PAPTMS):0.22g(1.0mmol)を加え、完全に溶解させることにより、複数の末端のうちの少なくとも一部にトリメトキシシリル基を有する分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体溶液[以下、シラン末端分岐PBO(BTC/IPC-HAB):PAPTMS前駆体溶液という。]を調製した。
【0081】
得られたシラン末端分岐PBO(BTC/IPC-HAB):PAPTMS前駆体溶液中へテトラメトキシシラン(TMOS)、加水分解に必要な水、及び、触媒としての1N塩化水素酸水溶液を数滴、添加し、室温で24時間、攪拌することによりゾル−ゲル反応を進行させ、分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッド溶液[以下、分岐PBO(BTC/IPC-HAB):PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッド溶液ともいう。]を調製した。尚、TMOSは、オキサゾール化後のフィルムにおけるシリカ含有量が、10重量%となるような割合において加えた。この分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッド溶液を、ポリエステルフィルム上にキャストし、85℃で4時間、乾燥させることにより、分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッドフィルム[以下、分岐PBO(BTC/IPC-HAB):PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。得られた分岐PBO(BTC/IPC-HAB):PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムを、金枠に固定した後、窒素雰囲気下にて、150℃で1時間、500℃で3時間、加熱処理することによってオキサゾール化を行ない、分岐ポリベンゾオキサゾール−シリカハイブリッドフィルム[以下、分岐PBO(BTC/IPC-HAB):PAPTMS−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。表1にT
d5の測定結果を示す。
【0082】
−実施例13−
シリカ成分として、日産化学株式会社製のDMAc分散コロイダルシリカ粒子(平均粒子径:10〜15mm)を用いた以外は実施例12と同様の手法により、分岐ポリベンゾオキサゾール−シリカハイブリッドフィルム[以下、分岐PBO(BTC/IPC-HAB):PAPTMS−シリカ(colloidal silica)ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。尚、DMAc分散コロイダルシリカ粒子は、オキサゾール化後のフィルムにおけるシリカ含有量が10重量%となるような割合において加えた。表1にT
d5の測定結果を示す。
【0083】
−実施例14、15−
攪拌機、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた100mLフラスコ内を、窒素で置換した後、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル(DAB ):1.47g(7.25mmol)を量り取り、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc):55mLを加えて完全に溶解させた。その後、重合中に発生する塩化水素と塩を形成させるために、塩基化合物であるピリジン(py):0.67g(8.46mmol)及びトリエチルアミン(TEA ):0.86g(8.46mmol)を加えた。この溶液を−5℃に氷冷し、撹拌しながら、予めN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc):6mLに溶解させたイソフタル酸クロライド(IPC ):1.40g(6.89mmol)を加えた後、−5℃で1時間、反応させ、更に25℃で24時間、反応させることにより、アミン末端直鎖ポリベンゾイミダゾール前駆体溶液[アミン末端直鎖PBI(IPC-DAB)前駆体溶液]を得た。
【0084】
次いで、このアミン末端直鎖PBI(IPC-DAB)前駆体溶液を水中に滴下し、再沈殿精製を行なった。得られた固体状のアミン末端直鎖PBI(IPC-DAB)前駆体をろ過により回収し、メタノールで徹底的に洗浄した後、85℃で12時間、真空乾燥を行なった。このようにして得られた固体状のアミン末端直鎖PBI(IPC-DAB)前駆体を、DMAcに再溶解させ、この溶液中にp−アミノフェニルトリメトキシシラン(PAPTMS):0.16g(0.73mmol)を加え、完全に溶解させた後、更に無水ピロメリット酸(PMDA):0.16g(0.73mmol)を加え、12時間反応させ、末端にトリメトキシシリル基を有する直鎖ポリベンゾイミダゾール前駆体溶液[以下、シラン末端直鎖PBI(IPC-DAB):PAPTMS前駆体溶液という。]を調製した。
【0085】
得られたシラン末端直鎖PBI(IPC-DAB):PAPTMS前駆体溶液中へ任意量のテトラメトキシシラン(TMOS)、加水分解に必要な水、及び、触媒としての1N塩化水素酸水溶液を数滴、添加し、室温で24時間、攪拌することによりゾル−ゲル反応を進行させ、直鎖ポリベンゾイミダゾール前駆体−シリカハイブリッド溶液[以下、直鎖PBI(IPC-DAB):PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッド溶液ともいう。]を調製した。尚、TMOSは、オキサゾール化後のフィルムにおけるシリカ含有量が、実施例14においては1重量%、実施例15においては20重量%となるような割合において、それぞれ加えた。この直鎖ポリベンゾイミダゾール前駆体−シリカハイブリッド溶液を、ポリエステルフイルム上にキャストし、85℃で4時間、乾燥させることにより、直鎖ポリベンゾイミダゾール前駆体−シリカハイブリッドフィルム[以下、直鎖PBI(IPC-DAB):PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。得られた直鎖PBI(IPC-DAB):PAPTMS前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムを、金枠に固定した後、窒素雰囲気下にて、150℃で1時間、410℃で3時間、加熱処理することによってイミダゾール化を行ない、直鎖ポリベンゾイミダゾール−シリカハイブリッドフィルム[以下、直鎖PBI(IPC-DAB):PAPTMS−シリカハイブリッドフィルムともいう。]を得た。実施例14、15における各フィルムのT
d5は、実施例14は624℃、実施例15は628℃であった。また、屈曲性の評価結果は、何れのフィルムにも割れやひびは発生せず、○であった。
【0086】
−比較例1−
攪拌機、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた100mLフラスコ内を、窒素で置換した後、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル(HAB ):2.59g(12mmol)を量り取り、N−メチル−2−ピロリドン(NMP ):20mLを加えて完全に溶解させた。その後、反応溶液中にN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA ):9.78g(48mmol)を添加し、室温で1時間、撹拌することにより、HAB のシリル化を行なった。この反応溶液を液体窒素にて冷却し、イソフタル酸クロライド(IPC ):2.13g(11.4mmol)を加えた後、−5℃で1時間、反応させ、更に25℃で24時間、反応させることにより、ヒドロキシアミン末端直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体溶液[ヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体溶液]を得た。
【0087】
次いで、このヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体溶液を、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液中に滴下し、再沈殿精製を行なった。得られた固体状のヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体をろ過により回収し、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液で徹底的に洗浄した後、85℃で12時間、真空乾燥を行なった。このようにして得られた固体状のヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体を、NMP に再溶解させ、この溶液をポリエステルフイルム上にキャストし、85℃で4時間、乾燥させることでヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体フィルムの作成を試みたが、十分な高分子量体に成長していないため、脆弱でありフィルム強度および屈曲性に欠けていた。得られたヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体フィルム片を、窒素雰囲気下にて、150℃で1時間、500℃で3時間、加熱処理することでオキサゾール化を行ない、ヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)フィルム片を得た。得られたフィルムのT
d5は603℃であり、屈曲性の評価結果は、フィルムに割れやひびは発生せず、○であった。
【0088】
−比較例2、3−
攪拌機、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた100mLフラスコ内を、窒素で置換した後、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル(HAB ):2.59g(12mmol)を量り取り、N−メチル−2−ピロリドン(NMP ):20mLを加えて完全に溶解させた。その後、反応溶液中にN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA ):9.78g(48mmol)を添加し、室温で1時間、撹拌することにより、HAB のシリル化を行なった。この反応溶液を液体窒素にて冷却し、イソフタル酸クロライド(IPC ):2.13g(11.4mmol)を加えた後、−5℃で1時間、反応させ、更に25℃で24時間、反応させることにより、ヒドロキシアミン末端直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体溶液[ヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体溶液]を得た。
【0089】
次いで、このヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体溶液を、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液中に滴下し、再沈殿精製を行なった。得られた固体状のヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体をろ過により回収し、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液で徹底的に洗浄した後、85℃で12時間、真空乾燥を行なった。このようにして得られた固体状のヒドロキシアミン末端直鎖PBO(IPC-HAB)前駆体を、NMP に再溶解させ、この溶液中に2−(3−トリエトキシシリルプロピル)琥珀酸無水物(TEPSA ):0.36g(1.2mmol)を加え、末端にトリエトキシシリル基を有する直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体溶液[以下、シラン末端直鎖PBO(IPC-HAB):TEPSA 前駆体溶液という。]を調製した。
【0090】
得られたシラン末端直鎖PBO(IPC-HAB):TEPSA 前駆体溶液中へ任意量のテトラメトキシシラン(TMOS)、加水分解に必要な水、及び、触媒としての1N塩化水素酸水溶液を数滴、添加し、室温で24時間、攪拌することによりゾル−ゲル反応を進行させ、直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッド溶液[以下、直鎖PBO(IPC-HAB):TEPSA 前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッド溶液ともいう。]を調製した。尚、TMOSはオキサゾール化後のフィルムにおけるシリカ含有量が、比較例3においては1重量%、比較例4においては20重量%となるような割合において、それぞれ加えた。この反応溶液を、ポリエステルフイルム上にキャストし、85℃で4時間、乾燥させることにより、直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体−シリカハイブリッドフィルム[直鎖PBO(IPC-HAB):TEPSA 前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。得られた直鎖PBO(IPC-HAB):TEPSA 前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムを、金枠に固定した後、窒素雰囲気下にて、150℃で1時間、500℃で3時間、加熱処理することによってオキサゾール化を行ない、直鎖ポリベンゾオキサゾール−シリカハイブリッドフィルム[以下、直鎖PBO(IPC-HAB):TEPSA−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。比較例2、3における各フィルムのT
d5は、比較例2は521℃、比較例3は535℃であり、また、屈曲性の評価結果は、何れのフィルムにも割れやひびは発生せず、○であった。
【0091】
−比較例4−
攪拌機、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた100mLフラスコ内を、窒素で置換した後、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP):2.20g(6.0mmol)を量り取り、N−メチル−2−ピロリドン(NMP ):39mLを加えて完全に溶解させた。その後、反応溶液中にN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA ):5.72g(28mmol)を添加し、室温で1時間、撹拌することにより、6FAPのシリル化を行なった。この反応溶液を液体窒素にて冷却し、4,4’−オキシジフェニル−1,1−ジカルボン酸クロライド(OBC):1.68g(5.7mmol)を加えた後、−5℃で1時間、反応させ、更に25℃で24時間、反応させることにより、ヒドロキシアミン末端直鎖ポリベンゾオキサゾール前駆体溶液[ヒドロキシアミン末端直鎖PBO(OBC-6FAP) 前駆体溶液]を得た。
【0092】
次いで、このヒドロキシアミン末端直鎖PBO(OBC-6FAP) 前駆体溶液を、イオン交換水中に滴下し、再沈殿精製を行なった。得られた固体状のヒドロキシアミン末端直鎖PBO(OBC-6FAP) 前駆体をろ過により回収し、イオン交換水で徹底的に洗浄した後、50℃で12時間、真空乾燥を行なった。このようにして得られた固体状のヒドロキシアミン末端直鎖PBO(OBC-6FAP) 前駆体を、NMP に再溶解させ、この溶液をポリエステルフイルム上にキャストし、85℃で4時間、乾燥させることでヒドロキシアミン末端直鎖PBO(OBC-6FAP) 前駆体フィルムの作成を試みたが、十分な高分子量体に成長していないため、脆弱でありフィルム強度および屈曲性に欠けていた。得られたヒドロキシアミン末端直鎖PBO(OBC-6FAP) 前駆体フィルム片を、窒素雰囲気下にて、150℃で1時間、420℃で3時間、加熱処理することでオキサゾール化を行なった。得られたヒドロキシアミン末端直鎖PBO(OBC-6FAP) フィルム片を用いたT
d5の測定結果を、下記表2に示す。
【0093】
−比較例5−
攪拌機、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた200mLのフラスコ内を窒素で置換した後、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル(HAB ):1.73g(8mmol)を量り取り、N−メチルピロリドン(NMP ):100mLを加え、溶解させた。次いで、反応溶液中にプロピレンオキサイド(PO):3mLを添加し、反応溶液を−20℃に冷却した。更に、別途準備した、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸クロライド(BTC ):0.27g(1mmol)及びイソフタル酸クロライド(IPC ):1.22g(6mmol)を30mLのNMP に溶解させてなる混合溶液を、反応溶液中に、20分かけて徐々に加えた後、−20℃で2時間、反応させ、加えて25℃で20時間、反応させることにより、ヒドロキシアミン末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体[分岐PBO(BTC/IPC-HAB)前駆体]溶液を調製した。
【0094】
次いで、このヒドロキシアミン末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体を、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液中に滴下し、再沈殿精製を行なった。得られた固体状のヒドロキシアミン末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体をろ過により回収し、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液で徹底的に洗浄した後、50℃で12時間、真空乾燥を行なった。このようにして得られた固体状のヒドロキシアミン末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体を、NMP に再溶解させ、この溶液をポリエステルフイルム上にキャストし、85℃で4時間、乾燥させることにより、ヒドロキシアミン末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体フィルム[以下、ヒドロキシアミン末端分岐PBO(BTC/IPC-HAB)前駆体フィルムという。]を得た。得られたヒドロキシアミン末端分岐PBO(BTC/IPC-HAB)前駆体フィルムを、金枠に固定した後、窒素雰囲気下にて、150℃で1時間、500℃で3時間、加熱処理することによってオキサゾール化を行ない、ヒドロキシアミン末端分岐ポリベンゾオキサゾールフィルム[ヒドロキシアミン末端分岐PBO(BTC/IPC-HAB)フィルム]を得た。表2にT
d5の測定結果を示す。
【0095】
−比較例6−
攪拌機、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた200mLのフラスコ内を窒素で置換した後、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸クロライド(BTC ):0.27g(1mmol)及びイソフタル酸クロライド(IPC ):1.62g(8mmol)を量り取り、N−メチルピロリドン(NMP ):100mLを加え溶解させ、反応溶液を−20℃に冷却した。次いで、別途準備した4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル(HAB ):1.95g(9ミリモル)をNMP:20mLに溶解させ、更にプロピレンオキサイド(PO)の3mLを添加した混合用液を、反応溶液中に、20分かけて徐々に加えた後、−20℃で2時間反応させ、次いで25℃で20時間反応させることにより、カルボン酸末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体[分岐PBO(BTC/IPC-HAB)前駆体]溶液を調製した。
【0096】
次いで、このカルボン酸末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体を、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液中に滴下し、再沈殿精製を行なった。得られた固体状のカルボン酸末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体をろ過により回収し、水:メタノール=4:1(重量比)の混合溶液で徹底的に洗浄した後、85℃で12時間、真空乾燥を行なった。このようにして得られた固体状のカルボン酸末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体を、NMP に再溶解させ、この溶液をポリエステルフイルム上にキャストし、85℃で4時間、乾燥させることにより、カルボン酸末端分岐ポリベンゾオキサゾール前駆体フィルム[以下、カルボン酸末端分岐PBO(BTC/IPC-HAB)フィルムという。]を得た。表2にT
d5の測定結果を示す。
【0097】
−比較例7−
攪拌機、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた100mLフラスコ内を、窒素で置換した後、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル(DAB ):1.47g(7.25mmol)を量り取り、N,N,−ジメチルアセトアミド(DMAc):55mLを加えて完全に溶解させた。その後、重合中に発生する塩化水素と塩を形成させるために、塩基化合物であるピリジン(py):0.67g(8.46mmol)及びトリエチルアミン(TEA ):0.86g(8.46mmol)を加えた。この溶液を−5℃に氷冷し、撹拌しながら、予めN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc):6mLに溶解させたイソフタル酸クロライド(IPC ):1.40g(6.89mmol)を加えた後、−5℃で1時間、反応させ、さらに25℃で24時間、反応させることにより、アミン末端直鎖ポリベンゾイミダゾール前駆体溶液[アミン末端直鎖PBI(IPC-DAB)前駆体溶液]を得た。
【0098】
次いで、このアミン末端直鎖PBI(IPC-DAB)前駆体溶液を水中に滴下し、再沈殿精製を行なった。得られた固体状のアミン末端直鎖PBI(IPC-DAB)前駆体をろ過により回収し、メタノールで徹底的に洗浄した後、85℃で12時間、真空乾燥を行なった。このようにして得られた固体状のアミン末端直鎖PBI(IPC-DAB)前駆体を、DMAcに再溶解させ、この溶液をポリエステルフイルム上にキャストし、85℃で3時間、乾燥させることでアミン末端直鎖PBI(IPC-DAB)前駆体フィルムの作成を試みたが、製膜性に乏しくフィルム化できなかった。断片状のフィルムを用いて屈曲性の評価を行なったところ、試料(断片状のフィルム)に割れやひびが生じたため、×であった。また、屈曲性の評価において生じた試料の破片を用いてT
d5を測定したところ、624℃であった。
【0099】
−比較例8、9−
攪拌機、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた100mLフラスコ内を、窒素で置換した後、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル(DAB ):1.47g(7.25mmol)を量り取り、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc):55mLを加えて完全に溶解させた。その後、重合中に発生する塩化水素と塩を形成させるために、塩基化合物であるピリジン(py):0.67g(8.46mmol)及びトリエチルアミン(TEA ):0.86g(8.46mmol)を加えた。この溶液を−5℃に氷冷し、撹拌しながら、予めN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc):6mLに溶解させたイソフタル酸クロライド(IPC ):1.40g(6.89mmol)を加えた後、−5℃で1時間、反応させ、更に25℃で24時間、反応させることによりアミン末端直鎖ポリベンゾイミダゾール前駆体溶液[アミン末端直鎖PBI(IPC-DAB)前駆体溶液]を得た。
【0100】
次いで、このアミン末端直鎖PBI(IPC-DAB)前駆体溶液を水中に滴下し、再沈殿精製を行なった。得られた固体状のアミン末端直鎖PBI(IPC-DAB)前駆体をろ過により回収し、メタノールで徹底的に洗浄した後、85℃で12時間、真空乾燥を行なった。このようにして得られた固体状のアミン末端直鎖PBI(IPC-DAB)前駆体を、DMAcに再溶解させ、この溶液中に2−(3−トリエトキシシリルプロピル)琥珀酸無水物(TEPSA ):0.22g(0.73mmol)を加え、末端にトリエトキシシリル基を有する直鎖ポリベンゾイミダゾール前駆体溶液[以下、シラン末端直鎖PBI(IPC-DAB):TEPSA 前駆体溶液という。]を調製した。
【0101】
得られたシラン末端直鎖PBI(IPC-DAB):TEPSA 前駆体溶液中へ任意量のテトラメトキシシラン(TMOS)、加水分解に必要な水、及び、触媒としての1N塩化水素酸水溶液を数滴、添加し、室温で24時間、攪拌することでゾル−ゲル反応を進行させ、直鎖ポリベンゾイミダゾール前駆体−シリカハイブリッド溶液[以下、直鎖PBI(IPC-DAB):TEPSA 前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッド溶液ともいう。]を調製した。尚、TMOSは、オキサゾール化後のフィルムにおけるシリカ含有量が、比較例8においては1重量%、比較例9においては20重量%となるような割合において、それぞれ加えた。この直鎖ポリベンゾイミダゾール前駆体−シリカハイブリッド溶液を、ポリエステルフイルム上にキャストし、85℃で3時間、乾燥させることにより、直鎖ポリベンゾイミダゾール前駆体−シリカハイブリッドフィルム[以下、直鎖PBI(IPC-DAB):TEPSA 前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムともいう。]を得た。得られた直鎖PBI(IPC-DAB):TEPSA 前駆体−シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムを、金枠に固定した後、窒素雰囲気下にて、150℃で1時間、410℃で4時間、加熱処理することによってイミダゾール化を行ない、直鎖ポリベンゾイミダゾール−シリカハイブリッドフィルム[以下、直鎖PBI(IPC-DAB):TEPSA −シリカ(sol-gel )ハイブリッドフィルムをもいう。]を得た。比較例8、9における各フィルムのT
d5は、比較例8は588℃、比較例9は618℃であった。また、屈曲性の評価結果は、何れのフィルムにおいても割れやひびは発生せず、○であった。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
上記表1及び表2からも明らかなように、本発明に従うハイブリッド材料からなるフィルムは、何れも高い耐熱性を有すると共に、有利に製膜化することが出来るものであることが確認された。