(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本説明において、一定の用語が使用されるが、それらのいくつかを以下に定義する。
【0008】
「ヒドロカルビル基」とは、炭素と水素のみを含有する一価の基を意味する。ヒドロカルビルの例としては、非置換アルキル類、シクロアルキル類、およびアリール類が挙げられる。別に記述しない場合、本明細書において、ヒドロカルビル基(およびアルキル基)は、約1個〜約30個の炭素原子を含有することが好ましい。
【0009】
「置換ヒドロカルビル」とは、これらの基を含有する化合物が供されるプロセス条件下で不活性である1つまたは複数の置換基(例えば不活性官能基、下記参照)を含有するヒドロカルビル基を意味する。これらの置換基はまた、重合プロセスまたは重合触媒系の操作に実質的に有害な干渉をしない。別に記述しない場合、本明細書において、(置換)ヒドロカルビル基は、1個〜約30個の炭素原子を含有することが好ましい。「置換」の意味には、窒素、酸素および/またはイオウなどの1つまたは複数のヘテロ原子を含有する環が含まれ、置換ヒドロカルビルの自由価はヘテロ原子に対するものであり得る。置換ヒドロカルビルにおいて、トリフルオロメチルのように、全ての水素を置換し得る。
【0010】
「(不活性)官能基」とは、その基を含有する化合物が供されるプロセス条件下で不活性であるヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビル以外の基を意味する。これらの官能基はまた、それらが存在する化合物が関与している本明細書に記載したいずれのプロセスにも実質的に有害な干渉をしない。官能基の例としては、ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード)、ならびにR
50がヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである−OR
50などのエーテルが挙げられる。官能基が遷移金属原子の近くにあり得る場合、金属原子に配位していることが示されている化合物中の基よりも強く官能基単独でその金属原子に配位してはならない。すなわち、これら官能基は所望の配位基に置き換わってはならない。
【0011】
「助触媒」または「触媒活性化剤」とは、遷移金属化合物と反応して、活性触媒種を形成する1種または複数種の化合物を意味する。このような触媒活性化剤の1つは「アルキルアルミニウム化合物」であり、本明細書においては、少なくとも1つのアルキル基がアルミニウム原子に結合している結合を意味する。例えば、2つのアルミニウム原子を架橋しているアルコキシド、水素化物、酸素原子、およびハロゲンもまた化合物中のアルミニウム原子に結合し得る。
【0012】
「α−オレフィン」とは、qが1〜約18の整数である式H(CH
2CH
2)qCH=CH
2の化合物または化合物の混合物を主に含んでなる組成物を意味する。多くの場合、本法のα−オレフィン生成物は、主に1〜10の異なるq値を有する化合物と10を超えるq値を有する少量の化合物との混合物となる。10を超えるq値を有する生成物は、好ましくは5重量パーセント未満、より好ましくは2重量パーセント未満である。生成物は、少量(好ましくは30重量パーセント未満、より好ましくは10重量パーセント未満、特に好ましくは2重量パーセント未満)のアルカン類、分枝アルケン類、ジエン類、および/または内部オレフィン類など、他のタイプの化合物をさらに含有し得る。
【0013】
「一連」のα−オレフィン類とは、異なるq値を有する少なくとも3種の化合物が生成される式H(CH
2CH
2)qC
H=CH
2を有する化合物を意味する。これらの値の少なくとも3つは、1、2、および3であることが好ましい。
【0014】
「アリール」とは、自由価が芳香環の炭素原子に対するものである一価の芳香族基を意味する。アリールは、融合できるか、単結合によって結合できるか、または他の基に結合できる1つまたは複数の芳香環を有し得る。
【0015】
「置換アリール」とは、これらの基を含有する化合物が供されるプロセス条件下で不活性である1つまたは複数の置換基(例えば不活性官能基、下記参照)を含有する一価の置換芳香族基を意味する。これらの官能基はまた、重合プロセスまたは重合触媒系の操作に実質的に有害な干渉をしない。別に記述しない場合、本明細書における(置換)アリール基は1個〜約30個の炭素原子を含有することが好ましい。「置換」の意味は、窒素、酸素、および/またはイオウなどの1つまたは複数のヘテロ原子を含有し、置換ヒドロカルビルの自由価がヘテロ原子に対するものであり得る環を含む。置換アリールにおいては、トリフルオロメチルのように、全ての水素を置換することができる。これらの置換基には、(不活性)官能基が含まれる。アリールと同様に、置換アリールは、融合できるか、単結合によって結合できるか、または他の基に結合できる1つまたは複数の芳香環を有し得る。しかし、置換アリールがヘテロ芳香環を有する場合、置換アリール基内の自由価は、炭素に対してではなくて、ヘテロ芳香環のヘテロ原子(窒素など)に対するものであり得る。
【0016】
「プロセス条件」とは、本明細書に記載したタイプの触媒によって分枝ポリエチレンを生じさせるための条件を意味する。このような条件には、温度、圧力、および/または液相、連続、バッチなどのオリゴマー化法が含まれ得る。また、必要および/または望ましい触媒が含まれ得る。
【0017】
生成したα−オレフィン類混合物の「Schulz−Flory定数」は、得られたオレフィン類の分子量の目安であり、通常、Schulz−Flory理論から、K因子と称される(例えば、B. Elversら、Ed.Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、A13巻、VCH Verlagsgesellschaft mbH,Weinheim、1989年、243−247ページおよび275−276ページを参照)。これは、
K=n(C
n+2オレフィン)/n(C
nオレフィン)
と定義され、式中、n(C
nオレフィン)は、n個の炭素原子を含有するオレフィンのモル数であり、n(C
n+2オレフィン)は、n+2個の炭素原子を含有するオレフィンのモル数である。言い換えると、C
nオレフィンの次に高いオリゴマーである。これから、得られたオリゴマー反応生成物の混合物における種々のオレフィン類の重量(質量)および/または分率を決定することができる。
【0018】
「共重合触媒」とは、プロセス条件下で、エチレンおよびqが1〜約15の整数である式H(CH
2CH
2)qC
H=CH
2のα−オレフィン類を容易に共重合できる触媒を意味する。
【0019】
多くのタイプの触媒が共重合触媒として有用である。例えば、いわゆるZiegler−Natta触媒および/またはクロム触媒および/またはメタロセンタイプ触媒が使用できる。これらのタイプの触媒はポリオレフィン分野においてよく知られており、例えば、メタロセンタイプ触媒の情報に関しては、Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.、34巻、1143−1170ページ(1995)、欧州特許出願公開第0416815号明細書ならびに米国特許第5,198,401号明細書;Ziegler−Natta触媒の情報に関しては、J.Boor Jr.、Ziegler−Natta Catalysts and Polymerizations、Academic Pressニューヨーク、1979年を参照されたい。これらは全て本明細書に参照として含まれている。クロム触媒もまたよく知られており、例えば、E.Benhamら、Ethylene Polymers,HDPE in Encyclopedia of Polymer Science and Technology(online)、John Wiley & Sons、およびD.M.Simpsonら、Ethylene Polymers,LLDPE,in Encyclopedia of Polymer Science and Technology(online)、John Wiley & Sonsを参照されたい。これらは両方とも本明細書に参照として含まれている。これらのタイプの触媒とオリゴマー化触媒の有用な重合条件の多くは一致しており、したがって、プロセス条件は容易に得ることができる。メタロセンまたはZiegler−Nattaタイプの重合に「助触媒」または「活性化剤」が必要であることが多く、この触媒はオリゴマー化触媒に時々必要とされるものと同じことが多い。多くの場合、助触媒またはアルキルアルミニウム化合物などの他の化合物を、両方のタイプの触媒と共に使用することができる。
【0020】
共重合触媒に好適な触媒には、米国特許第5,324,800号明細書および欧州特許出願公開第0129368号明細書に記載されているメタロセンタイプ触媒;特に有利なものは、架橋ビス−インデニルメタロセン類、例えば、米国特許第5,145,819号明細書および欧州特許出願公開第0485823号明細書に記載されているものも含まれる。他の好適な触媒のクラスは、欧州特許出願公開第0416815号明細書、欧州特許出願公開第0420436号明細書、欧州特許出願公開第0671404号明細書、欧州特許出願公開第0643066号明細書、国際公開第91104257号パンフレットに記載されている周知の束縛配置触媒を含む。また、例えば、国際公開第98130609号パンフレット、米国特許第5,880,241号明細書、米国特許第5,955,555号明細書、米国特許第6,060,569号明細書、および米国特許第5,714,556号明細書に記載されている遷移金属錯体のクラスを使用することもできる。前述の出版物は全て、本明細書に参照として援用されている。
【0021】
エチレンとα−オレフィン系との共重合のための触媒は、エチレンとα−オレフィン類を共重合できる触媒であることが好ましいはずなので、これら2タイプのモノマーの共重合の相対比は概ね等しい。メタロセンタイプ触媒が最も好ましく、好ましいメタロセン触媒は、以前に援用された国際特許出願(World Patent Application)第1999/150318号に挙げられたものであり、これらは本明細書に参照として援用されている。
【0022】
「オリゴマー化触媒」および「共重合触媒」にはまた、助触媒などの他の化合物および/または、実施する重合またはオリゴマー化に関して特定の触媒を活性にするためのオリゴマー化触媒および/または共重合触媒と共に通常使用される他の化合物も含まれる。
【0023】
好ましいオリゴマー化触媒の一つは、式:
【0025】
のリガンドの鉄錯体であり、
式中、R
1、R
2、およびR
3は、R
1、R
2、およびR
3のうち互いに隣接したいずれか2つが一緒になって環を形成しうるという条件で、各々独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは不活性な官能基であり;R
4、およびR
5は、R
1とR
4および/またはR
3とR
5が一緒になって環を形成しうるという条件で、各々独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは不活性な官能基であり;R
6およびR
7は、各々独立して、アリールまたは置換アリールである。
【0026】
(I)の鉄錯体において、(I)は通常、2つのイミノ窒素原子およびピリジン環の窒素原子を通して鉄原子に配位した三座リガンドと考えられる。一般に、鉄原子に関してより立体的に込み合うほど、重合化されたオレフィン(エチレン)の分子量が高くなると考えられる。α−オレフィン類を作製するためには、特に、比較的低いSchulz−Flory定数(0.35〜0.55など)を有するプロセスにおいてα−オレフィン類を作製するためには、鉄原子に関して立体的込み合いがきわめて少ないことが望まれる。
【0027】
(I)のような化合物は容易に得られる。例えば、国際公開第2005/092821号パンフレットには、R
4とR
5が両方とも水素であり、R
6とR
7が両方ともフェニルである鉄錯体は、約0.29のSchulz−Flory定数を有することが示されている(この文献では、Schulz−Flory定数が約0.4と記述されているが、モル分率に正しく基づかずに、生成したオレフィンの重量分率に基づいているのは明らかに誤りである)。本明細書に参照として援用されているG.J.P.Britovsekら、Chem.Eur.J.6巻(12号)、2221−2231ページ(2000)では、R
4とR
5が両方とも水素であり、R
6とR
7が両方とも2−メチルフェニルであり、50℃でオリゴマー化するが、ここでのSchulz−Flory定数は0.50と報告されている。他の基の組み合わせによっても、有用なSchulz−Flory定数を有するリガンドが提供されると考えられる。例えば、R
4とR
5が両方ともメチルもしくは水素であり得(または、1つがメチルで1つが水素であり得)、R
6がフェニルであって、R
7が2−フルオロフェニルまたは2−メチルフェニルまたは2−クロロフェニルであり得るか;またはR
6とR
7が両方とも2−フルオロフェニルであり得るか;またはR
6とR
7が両方とも4−イソプロピルフェニルであり得るか;またはR
6とR
7が両方とも4−メチルフェニルであり得る。特に有用な一化合物において、R
1、R
2、およびR
3は水素であり、R
4とR
5が両方ともメチルであり、R
6とR
7が独立して両方ともオルト位に置換されていないフェニルである。例えば、R
6とR
7はフェニル、4−メチルフェニルなどの4−置換フェニル、または3、4、5−トリメチルフェニルなどの3位および/または4位および/または5位に置換したフェニルであり得る。より好ましくは、R
6とR
7は両方ともフェニルまたはアルキルフェニルであり、ここで「アルキル」とは、1個〜12個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。別の特に好ましい(I)の鉄錯体において、R
1、R
2、およびR
3は水素であり、R
6は、
【0031】
であり、式中、R
4、R
5、R
8、R
12、R
13、およびR
17の2つは、独立してメチルまたはエチルであって、R
4、R
5、R
8、R
12、R
13、およびR
17の残りは水素であり、R
9、R
10、R
11、R
14、R
15およびR
16は各々、水素、官能基、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである。鉄原子に関して、立体妨害が少量増加または減少している他の変型体は、当業者には明白である。また、これらの立体効果に加えて、R
6および/またはR
7上の電子誘引基は、Schulz−Flory定数を低下させる傾向がある。
【0032】
リガンド(I)とそれらの鉄錯体の合成はよく知られており、例えば、上記に引用された米国特許第6,103,946号明細書、G.J.P.Britovsekら、および国際特許出願(World Patent Application)の国際公開第2005/092821号パンフレットを参照されたい。
【0033】
置換または非置換1−アミノピロールから製造された1−ピロリルなど、他の比較的小さなアリール基もまた使用することができる(例えば、参照として本明細書に援用されている国際特許出願(World Patent Application)第2006/0178490号を参照)。所望の立体障害度、すなわち所望のSchulz−Flory定数を達成するために、フェニル環で実施されたものと類似の置換パターンを使用することもできる。1−ピロリルなどの5員環を含有するアリール基は、一般に6員環よりも立体的込み合いが低いため、低いSchulz−Flory定数を得るのに特に有用となり得る。R
6およびR
7に関して好ましいアリール基は、フェニルおよび置換フェニルである。
【0034】
鉄原子に関する立体障害は通常、Schulz−Flory定数を制御する最も有力な事項であるが、プロセス条件は寄与効果を有し得る。他の全ての条件を等しくして、一般により高いプロセス温度は、より低いSchulz−Flory定数を与えるが、より高いエチレン圧力(濃度)は、より高いSchulz−Flory定数を与える。分枝ポリエチレン製造時にオリゴマー化のSchulz−Flory定数を測定するために、分枝ポリエチレンを生成するプロセスと同じ条件を用いてプロセスが行われるが、共重合触媒は除外し、いずれの共触媒量も、通常使用される共重合触媒とオリゴマー化触媒の全量と比較して存在するオリゴマー化触媒の全量に関して削減される。しかしながら、水など、存在する微量の何らかのプロセス毒物を除去するために、アルキルアルミニウム化合物などの通常の共触媒よりもいくらか多く使用する必要があり得ることに注意されたい。生成したα−オレフィン類の混合物を分析して、分子比率を決定する。これは、較正用の適切な標品を用いて標準的ガスクロマトグラフィーにより最も簡便に実施される。C
4〜C
12のオレフィン類間の比率(上記「K」に関する式に定義される)を、各々測定してから、平均してSchulz−Flory定数を得ることが好ましい。C
12/C
10などの高級オレフィン類の比率が、正確に測定するには少なすぎる場合、それらを、この定数の算出から除外してもよい。
【0035】
所与の1組のプロセス条件下で、一般にオリゴマー化触媒対共重合触媒のモル比が高くなるほど、生成した分枝ポリエチレンにおける分枝レベルが高くなる。これは単に、存在するオリゴマー化触媒の相対的濃度の増加により、所与の重合量に関して生成されるα−オレフィン類の量が増加し、したがって、特に連続プロセスにおける平衡条件下、このプロセスにより生成したα−オレフィン類の濃度が高くなるためである。
【0036】
所望のSchulz−Flory定数の選択は、幾らか複雑である。ポリマー性の改善においてエチル分枝(1−ブテンからの)は、より長い分枝(1−へキセンおよび1−オクテンからの)ほどは良好ではなく、この観点から、より高いSchulz−Flory定数が望ましいであろう。上記に引用されたD.M.SimpsonsおよびG.A.Vaughanを参照されたい。しかしながら、より高いSchulz−Flory定数はまた、より多量の高級オレフィン類を与え、それらが完全に共重合されない場合、生成物のポリオレフィンから除去するのがより困難となり得る。そこで所望のSchulz−Flory定数の選択は、主としてこれら2つのパラメータ、すなわち所望の生成物の性質対未重合の高級α−オレフィン類を除去する能力のバランスに依存することになる。種々のSchulz−Flory定数を有する種々のオレフィン類の生成量の差異を表1に示してある。
【0038】
Schulz−Flory定数は、約0.30〜約0.55にする必要がある。好ましい最小定数は約0.35であり、より好ましくは約0.40である。好ましい最大定数は約0.50であり、約0.45がより好ましい。当然のことながら、好ましいSchulz−Flory定数の範囲は、本明細書に記載された任意の最小定数と任意の最大定数を選択することによって指示することができる。好ましいSchulz−Flory定数の範囲の1つは、約0.35〜約0.50である。
【0039】
種々の共重合触媒およびオリゴマー化触媒の多くにとって有用なプロセス条件は、重なり合うことから、通常、プロセス条件は重なり合う領域となる。例えば、米国特許第6,297,338号明細書、米国特許第6,620,895号明細書、および米国特許第6,555,631号明細書を参照されたい。(I)の錯体に関する有用なプロセス条件は、上記に引用された米国特許第6,103,946号明細書およびG.J.P.Britovsekらに見られ、これらは全て、参照として本明細書に援用されている。メタロセン触媒やZiegler−Natta触媒などの共重合触媒にとって有用なプロセス条件は、当業界によく知られている。
【0040】
LLDPEを製造するための一般的な工業的方法において、触媒は、粒状材料(「支持体」)上に支持されることが多い。一般的な支持体は、シリカ、アルミナ、粘土、およびMgCl
2などの無機塩である。共重合触媒およびオリゴマー化触媒のうちの一方または両方、好ましくは両方を支持体上に支持することができる。それらは別々に、同じ支持体または2つの異なる支持体上に支持してもよいし、両方とも、同じ支持体粒子上に支持してもよい。オレフィン類に対する重合/オリゴマー化触媒の支持は、当業界によく知られており、上記の引用文献の多くに記載されている。
【0041】
オリゴマー化触媒および共重合触媒が存在する以外に、他のタイプの触媒が存在してもよい。例えば、エチレンを容易にホモ重合するが、α−オレフィン類を容易には共重合しない触媒が存在してもよく、その結果、ポリマー生成物は、分枝ポリエチレンと殆ど未分枝ポリエチレンの混合物となる。このような方法は、参照として本明細書に援用されている米国特許第6,555,631号明細書に記載されている。エチレンを容易にホモ重合するが、エチレンとα−オレフィン類とを容易には共重合しない触媒とは、プロセス条件下で、存在する共重合触媒により共重合されたα−オレフィン類の量のうち、10モルパーセント以下、より好ましくは5モルパーセント以下を共重合する触媒を意味する。このことは、共重合触媒だけまたはα−オレフィン類を容易に共重合しない触媒だけで、各々オリゴマー化触媒の存在下でプロセスを実行し、生成したポリエチレン類の分枝レベルを比較することによって容易に判定することができる。存在してもよい別の触媒としては、例えば、生成物として異なる分子量の分枝ポリエチレンを与えることができる別の共重合触媒である。このように、幅広い分子量分布を有する分枝ポリエチレンを含有する生成物を得ることができる。他の組み合わせは、当業者には明白であろう。
【0042】
本法によって生成させた分枝ポリエチレンは、通常、式−CH
2CH
2(CH
2CH
2)
qHの分枝を有し、式中qおよびその好ましい値は、上記に示したとおり規定される。これらのポリオレフィン類は、米国特許第6,297,338号明細書に記載されている。ポリオレフィン中のメチレン基1,000当りのメチル基数として定義された分枝レベルは、約0.5〜約150の範囲であり得る。分枝レベルは、NMR分光法により容易に測定することができ、例えば、国際特許出願(World Patent Application)第1996/023010号を参照されたい。これら分枝ポリオレフィン類の密度は、分枝レベルに依って、約0.85g/cc〜約0.96g/ccの範囲であり得る。これらポリマー類は、エラストマーから、プラストマー、LLDPEまで,中密度ポリエチレン,本質的に高密度ポリエチレンまでの範囲であり得、これらは、高分枝レベルから低分枝レベルまでの順序である。これらのポリマー類は、任意の方法により製造することができるが、その中で、エチレンをsが1〜30の整数である式H(CH2)sCH=CH2の1種または複数種のα−オレフィン類に共重合させることにより分枝ポリエチレンを製造することが有用である。したがって、有用な方法としては、スラリー法および溶解法などの気相および液相が挙げられる。いずれか特定のタイプの生成物にとってどの方法が有用かは、ある程度生成物の性質によって決められる。例えば、約0.90未満の密度を有するエラストマーおよびプラストマーは、溶解法で製造することが多いが、高融点を有するポリマー類は、気相法またはスラリー法で製造されることが多い。連続法が好ましいが、バッチ法またはセミバッチ法を使用することもできる。これらの方法は全て、当業界によく知られており、例えば、LLDPEに関しては、D.M.Simpson & G.A.Vaughan、「Ethylene polymers,LLDPE」Encyclopedia of Polymer Science and Technology、2巻、John Wiley & Sons、ニューヨーク、(online)2005年)、441−482ページを参照されたい。気相法は、触媒が支持されている流動層反応器を利用することが多い。これらのタイプの溶液重合およびスラリー(懸濁液)重合は、よく知られており、例えば、重合に関しては、参照として本明細書に援用されているY.V.Kissin、Polyethylene,Linear Low Density,Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology(online)、John Wiley & Sons、DOI 10.1002/0471238961.10209149511091919.a01.pub2(2005)を参照されたい。スラリー法および溶解法に関して有用なタイプの反応器としては、連続攪拌タンク反応器およびループ反応器が挙げられる。スラリー法および溶解法において触媒は、支持されていても支持されていなくてもよいが、溶解法おいては通常、それらは支持されていない。
【0043】
この場合、例えば、1−ヘキセンおよび/または1−オクテンなどのα−オレフィン類が使用される方法において重要な部分は、ポリマー生成物からの未重合オレフィン類の除去である。あまり揮発性ではない高級オレフィン類は、本法において殆ど生成しないことから、1−ヘキセンおよび1−オクテンなどのオレフィン類を除去するために使用される方法を、本法に適用することができる。気相法において、これらのオレフィン類は、樹脂脱気ステップにおいて除去することができる。溶解法では、それらは、溶媒を除去する押出し機において除去することができる。スラリー法では、それらは、フラッシャーおよびドライヤーにおいて除去することができる。さらに、製造ラインの末端に通常、ペレタイザーが提供される押出し機におけるこれらの方法のいずれにおいても、最終的に「微量」のこれらのオレフィン類は、その押出し機に真空ポートを加えることにより除去することができる。
【0044】
ポリマー流から未重合α−オレフィン類を除去した後、これらのオレフィン類を精製し、重合へと再循環させ、および/または他の方法に使用し、および/または販売することができる。再循環では、回収されたα−オレフィン類は、「純粋な」化合物に分離してもよいし、α−オレフィン類の混合物として重合に戻してもよい。
【0045】
この方法により生成させたポリオレフィン類は、(それらの分枝レベルに依って)容器、機械パーツ、および他の用途用の成形樹脂、包装用フィルム、電気絶縁体、接着剤、エラストマー類、剛性発泡体、または可撓性発泡体などとして有用である。
【0046】
本発明を、その具体的な形態に関連させて記載したが、添付の請求項に記載された本発明の意図と範囲から逸脱することなく、多くの幅広い等価体を、本明細書に具体的に示され説明された要素に置き換え得ることを認識する必要がある。