【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的は、請求項1の特徴による装置および請求項8の特徴による方法で達成される。装置のさらに有利な構成は、従属クレームに示される。個々に請求項に挙げられる特徴は、いかなる所望の、技術的に意味のある仕方でも一緒に組み合わされてよく、そして、説明からの解説的事実によって補充されてよい。そこにおいて、本発明のさらなる変形実施形態は示される。
【0007】
液体還元剤を提供するための本発明による装置は、液体還元剤を格納するための還元剤タンクを備え、還元剤タンクは、少なくとも1つのヒータを備え、少なくとも1つのヒータは、還元剤タンクにおいて移動可能な仕方で配置されて、アクティブヒータの形態をとり、装置は、少なくとも1つのヒータと還元剤のための抽出ポイントとの間にチャネルを形成するためのアクティブ透孔ヒータを備える。
【0008】
この種の装置は、好ましくは供給ユニットも備える。それによって、液体還元剤は、還元剤タンクから排ガス処理装置まで運搬されてよい。還元剤を輸送するためのライン、バルブ、ポンプ、フィルタその他は、この目的のために設けられてよい。加えて、供給ユニットの少なくとも一部が還元剤タンクに配置されることは、可能である。供給ユニットは、タンク壁の一部によって還元剤から任意に切り離される。還元剤タンクは、プラスチック材料でできていることが好ましい。但しこれは絶対に重要なのではない。還元剤タンクは、加えて、充填オリフィス、センサ、クロージャ、デバイダ、熱絶縁物などを備える。
【0009】
本発明の目的のために、「アクティブ」ヒータは、特に自己発熱ヒータである。そしてそれは、熱エネルギーを還元剤タンク内に導入して、そして熱エネルギーの分配を支援するだけではない。この種のアクティブヒータは、例えば電気的に作動されてよい(特に所定の時間に)。内燃機関の冷却水から還元剤タンク内に熱エネルギーを導くヒータもまた、アクティブヒータとして考えられる。好ましくは、アクティブヒータは、特定の形のエネルギー(例えば電気または機械のエネルギー)を熱に変換する。アクティブヒータは、それが受動的すなわち単に熱伝導性があるだけではないという点も、特に特徴とする。
【0010】
還元剤タンクにおけるアクティブヒータの移動式配置は、還元剤タンク内の還元剤の充填レベルが異なる場合に、ヒータが常に還元剤の近くに配置されることを可能にする。特に、ヒータは、いずれの場合も還元剤タンクの充填レベルまたは表面の近くに配置されてよい。タンク内の還元剤が部分的にすでに液体でかつ部分的にまだ凍結している場合、移動式ヒータは、凍結した還元剤の近くで配置されてよい。そうすると、熱は、凍結した還元剤に特に効率的に導入されてよい。アクティブヒータがガイドされた仕方で移動することは好ましい。そうすると、例えば、移動のためのその範囲は制限される。これは、例えば、アクティブヒータが予め定められた次元または方向にだけ移動可能であること、および/または、それが基準点から間隔をおいた限られた範囲へだけ移動できることを意味してよい。このようにして、例えば、還元剤タンクの状況が好ましくないときでさえ、アクティブヒータがエネルギーソース(例えばパワーソース)に接続していることが確実になってよい。
【0011】
アクティブヒータの移動式配置は、したがって、還元剤の現在の充填レベルまたは現在の位置にかかわりなく、液体還元剤の有意な量および/または熱伝達を著しく妨げるガスなしで、凍結した還元剤に熱が直接導入されてよい所に、目的を持ってかつ正確に配置される(空間的に制限された方法で)ようにアクティブヒータを特に導く。
【0012】
抽出ポイントで、供給ユニットは、還元剤タンクから還元剤を抜く。還元剤タンクにおける抽出ポイントの位置は、しばしば固定する。抽出ポイントは、タンク底部の近くに配置されることが好ましい。レベルが低いときでも、これによって還元剤は抜かれることができる。ヒータは、抽出ポイントから少し離れてしばしば配置される。特に、充填レベルが高いときに、抽出ポイントはタンク底部の近くにあると共に、ヒータはタンクの最上部にしばしば配置される。このようなわけで、ヒータに加えて透孔ヒータが設けられることは、有利である。透孔ヒータは、ヒータから抽出ポイントまで凍結した還元剤のチャネル(ガスおよび/または液体の通過ができる)を急速に溶かすことができる。大量の還元剤は、ヒータを囲む領域において、通常溶解する。この還元剤は、次いで抽出ポイントまでチャネルを通過してよい。そして、同様に、ガスの均等化は、凍結した還元剤によって切り離される還元剤タンクの間隔を置いた領域との間に達成されてよい。
【0013】
本発明による装置の有利な構成において、少なくとも1つのヒータは、フロートの形態をとる。還元剤が(部分的に)液体であるとき、ヒータは、次いで表面のおよび/または充填レベルの近くで浮く。還元剤が凍結する場合、ヒータはこの位置のままである。ヒータは、したがって、充填レベルがどうであれ常に還元剤の近くにある。アクティブヒータを囲む領域から凍結した還元剤が一旦溶解すると、溶解した液体還元剤は、ヒータからまだ凍結した還元剤に対流によって熱を効率的に移すことができる。例えば、アクティブヒータが(再び)(まだ)凍結した還元剤の少量の方向に移動することは、同様に可能である。アクティブヒータは、それ自身でフロートの形態をとってよくておよび/または少なくとも1つのフロートに接続されるかまたはそれと協働してよい。複数のヒータが単一のフロートと協働することもまた任意に可能である。しかし、各ヒータがそれ自身の(別々の)フロートを備えることは好ましい。フロートは、しばしば、アルキメデスの原理にしたがう置換から生じるその浮力のせいでそれ自体が浮くことのできる物体である。それ自体が浮く材料ではないフロートは、例えば、空気および/または軽い固体を含むチャンバを備えることができる。
【0014】
本発明による装置のさらに有利な構成において、少なくとも1つのヒータは、少なくとも1つの加熱部および少なくとも1つの浮力部を備える。ヒータのこの種の2部製造は、加熱部がいずれの場合も還元剤によって完全に囲まれることを確実にすることができる。その一方で、浮力部は還元剤タンク内でのヒータの位置を決定する。特に、浮力部は、還元剤の充填レベルまたは表面の近くにヒータの位置を予め定める。加熱部が還元剤によって完全に囲まれるので、熱は効率的に還元剤に導入される。少なくとも1つの加熱部が還元剤に面している外側に配置され、そして、少なくとも1つの浮力部が内側または還元剤と直接接触して外に配置されることは、したがって、好ましい。
【0015】
上記の装置の特に有利な構成において、少なくとも1つのヒータは、そのヒータにエネルギーを供給するための供給を備える。そして、アクティブ透孔ヒータは、供給ラインにも設けられる。アクティブ(電気)ヒータは、還元剤を加熱するためにエネルギーを供給されなければならず、この目的のために供給ラインを必要とする。一般に、少なくとも1つの電線は、供給ラインに設けられる。透孔ヒータは、したがって、例えば供給ラインにおける加熱導体という形態をとってよい。(少なくとも部分的に堅いおよび/または可撓性の)供給ラインは、例えば、ヒータへの抽出ポイントの近くにおける還元剤タンク内の場所から、外へ延びてよい。供給ラインが透孔ヒータを備える場合、これは、ヒータと凍結した還元剤の抽出ポイントとの間にチャンネルの形成を許容する。
【0016】
本発明による装置において、還元剤タンク内の還元剤の充填レベルを検出するための少なくとも1つのコンポーネントが少なくとも1つのヒータに設けられる場合、それもまた有利である。アクティブヒータは、しばしば還元剤タンク内の広域フロートという形態をとる。ヒータの位置は、充填レベルに応じて変化する。このために、ヒータの位置は、充填レベルを検出するために特に都合よく用いられてよい。
【0017】
還元剤タンク内の充填レベルを決定するために、少なくとも1つのヒータが還元剤の表面の50%以上、好ましくは80%以上、そして特に好ましくは90%以上をカバーすることは、加えて好ましい。還元剤タンクにおいて還元剤がはねる(slosh)ために、還元剤の自由表面が、通常、必要である。ヒータが還元剤タンク内の還元剤の表面の広域をカバーする場合、還元剤タンク内のスロッシングは事実上減少してもよい。還元剤タンク内のスロッシング運動は、それらが様々な充填レベル信号を導くので、還元剤タンク内の充填レベルの正確な測定にとって非常に不利である。
【0018】
本発明による装置において、少なくとも1つのヒータがそれに沿って移動できる少なくとも1つのヒータのためのガイド構造が還元剤タンク内に設けられる場合、それも有利である。この種のガイド構造は、ヒータが還元剤タンク内で制御されずに移動できないことを確実にしてよい。このようにして、例えば、還元剤のための抽出パイプに対しておよび/または還元剤タンクのタンク壁に対しておよび/またはセンサに穴開けすることを妨げて、そして望まれないノイズおよび/または損傷を与えないことも、可能である。還元剤タンクから還元剤を抜くための抽出パイプが同時にヒータ用のガイド構造を形成することは、同様にこの場合可能である。
【0019】
本発明による装置のさらに有利な構成によれば、少なくとも1つのヒータは、それが凍結した還元剤の表面において作動しているときに、融解した還元剤のための流出面が形成されるように配置されるかまたは成形される。ヒータによって融解した還元剤は、しばしば還元剤抽出ポイントに向けて通過することが可能でなければならない。この目的のために、流出面または少なくとも流出溝が形成されるように、ヒータは、適切に配置されておよび/または凍結した還元剤の表面を形づくるために成形される。好ましくは、凍結した還元剤の表面は、抽出ポイントおよび/またはチャネルの開始部に向けて煙突の形でほぼ進行する。
【0020】
アクティブ移動式ヒータは、したがって、完全に漏斗形状でもよい。あるいは、または加えて、ヒータはフィンを備えてよい。フィンは、融解した還元剤が抽出ポイントに向けておよび/または透孔ヒータチャネルの開始部に向けて流出してよいように融解する仕方で、凍結した還元剤の表面を構成してよい。融解した還元剤のためのこの種の流出面は、車両が傾斜した向きで進行している場合であっても、還元剤が抽出ポイントにそしてその全体に急速に到達することも、特に確実にしなければならない。
【0021】
本発明のさらに別の態様によれば、還元剤タンク内の凍結した還元剤を融解する方法であって、少なくとも以下のステップを含む方法は、提案される:
(a)還元剤の表面の近くに移動可能な仕方で少なくとも1つのアクティブヒータを配置するステップ;
(b)還元剤が還元剤の表面で凍結する場合に、少なくとも1つのヒータを起動させるステップ;
(c)還元剤の表面で還元剤を融解して、少なくとも1つのヒータを移動させるステップ;および
(d)還元剤のための抽出ポイントに融解した還元剤を供給するステップ。
【0022】
本発明による方法のステップ(a)〜(d)は、概して連続的に繰り返される。しばしば、ステップ(a)〜(d)はまた、各々が連続的に、そして互いに平行して進行する。ヒータが起動している間(ステップb)、それはまた、還元剤の表面に向けてさらに移動する(ステップa)。同時に、還元剤は、還元剤の表面で融解されていて(ステップc)、そして還元剤のための抽出ポイントに供給される(ステップd)。
【0023】
本発明による方法の結果、ヒータは、凍結した還元剤が存在する場所で正確に還元剤に対して熱を常に導入する。これは、ヒータの効果を増加させる。同時に、ヒータが還元剤を融解する位置に常にあることがこのようにして確実にされる。
【0024】
本発明による装置のために、そして本発明による方法のために個々に記載されている各ケースの利点および特別な構成は、方法および装置に適用できる。本発明による方法は、本発明による装置で実行されてよい。
【0025】
本発明は、内燃機関ならびに、還元剤供給部および本発明による装置を備える排ガス処理装置を備える車両において適用できる。本発明による車両はまた、特に、本発明による方法を実施するために準備される。この技術的な環境は、図を参照してより詳細に記載される。
【0026】
本発明および技術的な環境は、図を参照して以下により詳細に説明される。図は、特に好適な例示的実施形態を示す。しかしながら、本発明はそれに制限されない。図および特にサイズの比率は、概略的であり、同一の構成要素は同じ参照番号を備えていることに注意すべきである。