特許第5749747号(P5749747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749747
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】液体還元剤を提供する装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-555343(P2012-555343)
(86)(22)【出願日】2011年2月2日
(65)【公表番号】特表2013-521430(P2013-521430A)
(43)【公表日】2013年6月10日
(86)【国際出願番号】EP2011051435
(87)【国際公開番号】WO2011107312
(87)【国際公開日】20110909
【審査請求日】2014年1月7日
(31)【優先権主張番号】102010010528.7
(32)【優先日】2010年3月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500038927
【氏名又は名称】エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンステクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100102185
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 繁範
(74)【代理人】
【識別番号】100129399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】ホジソン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シェパーズ スヴェン
【審査官】 中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−248824(JP,A)
【文献】 特開昭56−007938(JP,A)
【文献】 実開昭62−059992(JP,U)
【文献】 特開2008−293978(JP,A)
【文献】 特開2005−299510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体還元剤(2)を提供する装置(25)であって、前記液体還元剤(2)を格納するための還元剤タンク(1)を備え、前記還元剤タンク(1)は、少なくとも1つのアクティブヒータ(3)を備え、前記少なくとも1つのアクティブヒータ(3)は、前記還元剤タンク(1)において移動可能な仕方で配置されて、前記装置(25)は、前記少なくとも1つのアクティブヒータ(3)と還元剤(2)のための抽出ポイント(5)との間にチャネル(15)を形成するためのアクティブ透孔ヒータ(33)を備え、前記少なくとも1つのアクティブヒータ(3)はフロートの形態をとり、前記還元剤タンク(1)における前記抽出ポイント(5)の位置は固定される、装置(25)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアクティブヒータ(3)は、少なくとも1つの加熱部(34)および少なくとも1つの浮力部(35)を備える、請求項1に記載の装置(25)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアクティブヒータ(3)は、当該少なくとも1つのアクティブヒータ(3)にエネルギーを供給するための供給ライン(21)を備え、前記アクティブ透孔ヒータ(33)は、前記供給ライン(21)に同様に設けられる、請求項1または2に記載の装置(25)。
【請求項4】
前記還元剤タンク(1)内の前記還元剤(2)の充填レベル(10)を検出するための少なくとも1つのコンポーネント(9)は、前記少なくとも1つのアクティブヒータ(3)に設けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置(25)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアクティブヒータ(3)がガイド構造に沿って移動できる当該少なくとも1つのアクティブヒータ(3)のためのガイド構造(13)は、前記還元剤タンク(1)に設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置(25)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアクティブヒータ(3)は、それが凍結した還元剤の表面(14)において作動しているときに、融解した還元剤(2)のための流出面(32)が形成されるように配置されるかまたは成形される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置(25)。
【請求項7】
還元剤タンク(1)内の凍結した還元剤(2)を融解する方法であって、少なくとも:
(a)還元剤の表面(14)の近くに移動可能な仕方で少なくとも1つのアクティブヒータ(3)であってフロートの形態をとるアクティブヒータ(3)を配置するとともに、前記少なくとも1つのアクティブヒータ(3)と還元剤(2)のための抽出ポイント(5)との間にチャネル(15)を形成するためのアクティブ透孔ヒータ(33)を配置するステップ;
(b)前記還元剤(2)が前記還元剤の表面(14)で凍結する場合に、前記少なくとも1つのアクティブヒータ(3)と前記アクティブ透孔ヒータ(33)とを起動させるステップ;
(c)前記還元剤の表面(14)で還元剤(2)を融解して、前記少なくとも1つのアクティブヒータ(3)を移動させるステップ;および
(d)前記還元剤(2)のための抽出ポイント(5)に前記融解した還元剤(2)を供給するステップ、
を含む方法であって、
前記還元剤タンク(1)における前記抽出ポイント(5)の位置は固定される、方法。
【請求項8】
内燃機関(17)ならびに、還元剤(2)のための供給部(19)および請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置(25)を備える排ガス処理装置(18)を備える、車両(16)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体還元剤を提供するための装置に関する。特に、本発明は、特に効率的なヒータ(それによって、凍結した還元剤は溶解した状態に戻されることができる)を有する液体還元剤を提供するためのタンクタイプの装置に関する。
【背景技術】
【0002】
SCR方法は、内燃機関の、そして特に移動式の内燃機関の排ガスを浄化するためにしばしば用いられる。SCR方法を用いて、内燃機関の排ガス中の酸化窒素物(NOx)は、効果的に減少することがありえる。この目的で、還元剤は、内燃機関の排ガス中に供給される。この還元剤は、例えばアンモニアである。アンモニアは、車両に直接格納するのが非常に困難である。このために、アンモニア前駆体はしばしば格納される。そしてそれは、次いで内燃機関の稼動中に、必要な量のアンモニア(NH)に変換される。特にしばしば使われるこの種の還元剤前駆体は、水性の尿素溶液(CHO)である。32.5パーセントの尿素を有する水溶液は、商品名AdBlueの下で入手できて、非常に広く利用できる。単純化を目的として、還元剤前駆体もまた、以下に還元剤と記載される。
【0003】
車両において、還元剤は、別々のタンクにしばしば格納される。ここでの課題は、稼動中に発生しそうな温度で還元剤が凍結するということである。従来の尿素水溶液は、例えば−11℃の温度で凍結する。この種の低温は、特に車両が長期間静止するときに、車両のタンクで起こり得る。
【0004】
還元剤は、したがって、タンク内に充分な量の還元剤が液体状態で利用できるときに、タンクから内燃機関の排ガスシステムに直ちに運搬されることができるだけである。このために、ヒータを有する還元剤のためのタンクを設けることは、従来どおりである。そうすると、凍結した場合、タンクの還元剤は溶解することができる。この種のヒータは、考えられるすべての稼動状態の下でできるだけ急速にかつ確実に還元剤を(具体的に)加熱しなければならず、そして、できるだけ小さいエネルギーを使用しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この背景に対して、従来技術に関して記載された技術的課題を少なくとも軽減することは、本発明の目的である。液体還元剤を提供するための適切な装置、および凍結した還元剤を融解するための対応する方法を示すことを、特に目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的は、請求項1の特徴による装置および請求項8の特徴による方法で達成される。装置のさらに有利な構成は、従属クレームに示される。個々に請求項に挙げられる特徴は、いかなる所望の、技術的に意味のある仕方でも一緒に組み合わされてよく、そして、説明からの解説的事実によって補充されてよい。そこにおいて、本発明のさらなる変形実施形態は示される。
【0007】
液体還元剤を提供するための本発明による装置は、液体還元剤を格納するための還元剤タンクを備え、還元剤タンクは、少なくとも1つのヒータを備え、少なくとも1つのヒータは、還元剤タンクにおいて移動可能な仕方で配置されて、アクティブヒータの形態をとり、装置は、少なくとも1つのヒータと還元剤のための抽出ポイントとの間にチャネルを形成するためのアクティブ透孔ヒータを備える。
【0008】
この種の装置は、好ましくは供給ユニットも備える。それによって、液体還元剤は、還元剤タンクから排ガス処理装置まで運搬されてよい。還元剤を輸送するためのライン、バルブ、ポンプ、フィルタその他は、この目的のために設けられてよい。加えて、供給ユニットの少なくとも一部が還元剤タンクに配置されることは、可能である。供給ユニットは、タンク壁の一部によって還元剤から任意に切り離される。還元剤タンクは、プラスチック材料でできていることが好ましい。但しこれは絶対に重要なのではない。還元剤タンクは、加えて、充填オリフィス、センサ、クロージャ、デバイダ、熱絶縁物などを備える。
【0009】
本発明の目的のために、「アクティブ」ヒータは、特に自己発熱ヒータである。そしてそれは、熱エネルギーを還元剤タンク内に導入して、そして熱エネルギーの分配を支援するだけではない。この種のアクティブヒータは、例えば電気的に作動されてよい(特に所定の時間に)。内燃機関の冷却水から還元剤タンク内に熱エネルギーを導くヒータもまた、アクティブヒータとして考えられる。好ましくは、アクティブヒータは、特定の形のエネルギー(例えば電気または機械のエネルギー)を熱に変換する。アクティブヒータは、それが受動的すなわち単に熱伝導性があるだけではないという点も、特に特徴とする。
【0010】
還元剤タンクにおけるアクティブヒータの移動式配置は、還元剤タンク内の還元剤の充填レベルが異なる場合に、ヒータが常に還元剤の近くに配置されることを可能にする。特に、ヒータは、いずれの場合も還元剤タンクの充填レベルまたは表面の近くに配置されてよい。タンク内の還元剤が部分的にすでに液体でかつ部分的にまだ凍結している場合、移動式ヒータは、凍結した還元剤の近くで配置されてよい。そうすると、熱は、凍結した還元剤に特に効率的に導入されてよい。アクティブヒータがガイドされた仕方で移動することは好ましい。そうすると、例えば、移動のためのその範囲は制限される。これは、例えば、アクティブヒータが予め定められた次元または方向にだけ移動可能であること、および/または、それが基準点から間隔をおいた限られた範囲へだけ移動できることを意味してよい。このようにして、例えば、還元剤タンクの状況が好ましくないときでさえ、アクティブヒータがエネルギーソース(例えばパワーソース)に接続していることが確実になってよい。
【0011】
アクティブヒータの移動式配置は、したがって、還元剤の現在の充填レベルまたは現在の位置にかかわりなく、液体還元剤の有意な量および/または熱伝達を著しく妨げるガスなしで、凍結した還元剤に熱が直接導入されてよい所に、目的を持ってかつ正確に配置される(空間的に制限された方法で)ようにアクティブヒータを特に導く。
【0012】
抽出ポイントで、供給ユニットは、還元剤タンクから還元剤を抜く。還元剤タンクにおける抽出ポイントの位置は、しばしば固定する。抽出ポイントは、タンク底部の近くに配置されることが好ましい。レベルが低いときでも、これによって還元剤は抜かれることができる。ヒータは、抽出ポイントから少し離れてしばしば配置される。特に、充填レベルが高いときに、抽出ポイントはタンク底部の近くにあると共に、ヒータはタンクの最上部にしばしば配置される。このようなわけで、ヒータに加えて透孔ヒータが設けられることは、有利である。透孔ヒータは、ヒータから抽出ポイントまで凍結した還元剤のチャネル(ガスおよび/または液体の通過ができる)を急速に溶かすことができる。大量の還元剤は、ヒータを囲む領域において、通常溶解する。この還元剤は、次いで抽出ポイントまでチャネルを通過してよい。そして、同様に、ガスの均等化は、凍結した還元剤によって切り離される還元剤タンクの間隔を置いた領域との間に達成されてよい。
【0013】
本発明による装置の有利な構成において、少なくとも1つのヒータは、フロートの形態をとる。還元剤が(部分的に)液体であるとき、ヒータは、次いで表面のおよび/または充填レベルの近くで浮く。還元剤が凍結する場合、ヒータはこの位置のままである。ヒータは、したがって、充填レベルがどうであれ常に還元剤の近くにある。アクティブヒータを囲む領域から凍結した還元剤が一旦溶解すると、溶解した液体還元剤は、ヒータからまだ凍結した還元剤に対流によって熱を効率的に移すことができる。例えば、アクティブヒータが(再び)(まだ)凍結した還元剤の少量の方向に移動することは、同様に可能である。アクティブヒータは、それ自身でフロートの形態をとってよくておよび/または少なくとも1つのフロートに接続されるかまたはそれと協働してよい。複数のヒータが単一のフロートと協働することもまた任意に可能である。しかし、各ヒータがそれ自身の(別々の)フロートを備えることは好ましい。フロートは、しばしば、アルキメデスの原理にしたがう置換から生じるその浮力のせいでそれ自体が浮くことのできる物体である。それ自体が浮く材料ではないフロートは、例えば、空気および/または軽い固体を含むチャンバを備えることができる。
【0014】
本発明による装置のさらに有利な構成において、少なくとも1つのヒータは、少なくとも1つの加熱部および少なくとも1つの浮力部を備える。ヒータのこの種の2部製造は、加熱部がいずれの場合も還元剤によって完全に囲まれることを確実にすることができる。その一方で、浮力部は還元剤タンク内でのヒータの位置を決定する。特に、浮力部は、還元剤の充填レベルまたは表面の近くにヒータの位置を予め定める。加熱部が還元剤によって完全に囲まれるので、熱は効率的に還元剤に導入される。少なくとも1つの加熱部が還元剤に面している外側に配置され、そして、少なくとも1つの浮力部が内側または還元剤と直接接触して外に配置されることは、したがって、好ましい。
【0015】
上記の装置の特に有利な構成において、少なくとも1つのヒータは、そのヒータにエネルギーを供給するための供給を備える。そして、アクティブ透孔ヒータは、供給ラインにも設けられる。アクティブ(電気)ヒータは、還元剤を加熱するためにエネルギーを供給されなければならず、この目的のために供給ラインを必要とする。一般に、少なくとも1つの電線は、供給ラインに設けられる。透孔ヒータは、したがって、例えば供給ラインにおける加熱導体という形態をとってよい。(少なくとも部分的に堅いおよび/または可撓性の)供給ラインは、例えば、ヒータへの抽出ポイントの近くにおける還元剤タンク内の場所から、外へ延びてよい。供給ラインが透孔ヒータを備える場合、これは、ヒータと凍結した還元剤の抽出ポイントとの間にチャンネルの形成を許容する。
【0016】
本発明による装置において、還元剤タンク内の還元剤の充填レベルを検出するための少なくとも1つのコンポーネントが少なくとも1つのヒータに設けられる場合、それもまた有利である。アクティブヒータは、しばしば還元剤タンク内の広域フロートという形態をとる。ヒータの位置は、充填レベルに応じて変化する。このために、ヒータの位置は、充填レベルを検出するために特に都合よく用いられてよい。
【0017】
還元剤タンク内の充填レベルを決定するために、少なくとも1つのヒータが還元剤の表面の50%以上、好ましくは80%以上、そして特に好ましくは90%以上をカバーすることは、加えて好ましい。還元剤タンクにおいて還元剤がはねる(slosh)ために、還元剤の自由表面が、通常、必要である。ヒータが還元剤タンク内の還元剤の表面の広域をカバーする場合、還元剤タンク内のスロッシングは事実上減少してもよい。還元剤タンク内のスロッシング運動は、それらが様々な充填レベル信号を導くので、還元剤タンク内の充填レベルの正確な測定にとって非常に不利である。
【0018】
本発明による装置において、少なくとも1つのヒータがそれに沿って移動できる少なくとも1つのヒータのためのガイド構造が還元剤タンク内に設けられる場合、それも有利である。この種のガイド構造は、ヒータが還元剤タンク内で制御されずに移動できないことを確実にしてよい。このようにして、例えば、還元剤のための抽出パイプに対しておよび/または還元剤タンクのタンク壁に対しておよび/またはセンサに穴開けすることを妨げて、そして望まれないノイズおよび/または損傷を与えないことも、可能である。還元剤タンクから還元剤を抜くための抽出パイプが同時にヒータ用のガイド構造を形成することは、同様にこの場合可能である。
【0019】
本発明による装置のさらに有利な構成によれば、少なくとも1つのヒータは、それが凍結した還元剤の表面において作動しているときに、融解した還元剤のための流出面が形成されるように配置されるかまたは成形される。ヒータによって融解した還元剤は、しばしば還元剤抽出ポイントに向けて通過することが可能でなければならない。この目的のために、流出面または少なくとも流出溝が形成されるように、ヒータは、適切に配置されておよび/または凍結した還元剤の表面を形づくるために成形される。好ましくは、凍結した還元剤の表面は、抽出ポイントおよび/またはチャネルの開始部に向けて煙突の形でほぼ進行する。
【0020】
アクティブ移動式ヒータは、したがって、完全に漏斗形状でもよい。あるいは、または加えて、ヒータはフィンを備えてよい。フィンは、融解した還元剤が抽出ポイントに向けておよび/または透孔ヒータチャネルの開始部に向けて流出してよいように融解する仕方で、凍結した還元剤の表面を構成してよい。融解した還元剤のためのこの種の流出面は、車両が傾斜した向きで進行している場合であっても、還元剤が抽出ポイントにそしてその全体に急速に到達することも、特に確実にしなければならない。
【0021】
本発明のさらに別の態様によれば、還元剤タンク内の凍結した還元剤を融解する方法であって、少なくとも以下のステップを含む方法は、提案される:
(a)還元剤の表面の近くに移動可能な仕方で少なくとも1つのアクティブヒータを配置するステップ;
(b)還元剤が還元剤の表面で凍結する場合に、少なくとも1つのヒータを起動させるステップ;
(c)還元剤の表面で還元剤を融解して、少なくとも1つのヒータを移動させるステップ;および
(d)還元剤のための抽出ポイントに融解した還元剤を供給するステップ。
【0022】
本発明による方法のステップ(a)〜(d)は、概して連続的に繰り返される。しばしば、ステップ(a)〜(d)はまた、各々が連続的に、そして互いに平行して進行する。ヒータが起動している間(ステップb)、それはまた、還元剤の表面に向けてさらに移動する(ステップa)。同時に、還元剤は、還元剤の表面で融解されていて(ステップc)、そして還元剤のための抽出ポイントに供給される(ステップd)。
【0023】
本発明による方法の結果、ヒータは、凍結した還元剤が存在する場所で正確に還元剤に対して熱を常に導入する。これは、ヒータの効果を増加させる。同時に、ヒータが還元剤を融解する位置に常にあることがこのようにして確実にされる。
【0024】
本発明による装置のために、そして本発明による方法のために個々に記載されている各ケースの利点および特別な構成は、方法および装置に適用できる。本発明による方法は、本発明による装置で実行されてよい。
【0025】
本発明は、内燃機関ならびに、還元剤供給部および本発明による装置を備える排ガス処理装置を備える車両において適用できる。本発明による車両はまた、特に、本発明による方法を実施するために準備される。この技術的な環境は、図を参照してより詳細に記載される。
【0026】
本発明および技術的な環境は、図を参照して以下により詳細に説明される。図は、特に好適な例示的実施形態を示す。しかしながら、本発明はそれに制限されない。図および特にサイズの比率は、概略的であり、同一の構成要素は同じ参照番号を備えていることに注意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明による装置の第1の変形実施形態を示す。
図2図2は、本発明による装置の第2の変形実施形態を示す。
図3図3は、本発明による装置の第3の変形実施形態を示す。
図4図4は、本発明による装置の第4の変形実施形態を示す。
図5図5は、本発明による装置の第5の変形実施形態を示す。
図6図6は、本発明による装置の第6の変形実施形態を示す。
図7図7は、本発明による装置の第7の変形実施形態を示す。
図8図8は、本発明による装置の第7の変形実施形態の詳細を示す。
図9図9は、本発明による装置の第1の変形実施形態の上から見た図を示す。
図10図10は、本発明による装置を備える車両を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1図7は、本発明による装置25のさまざまな変形実施形態を示し、共通の特徴が一緒にここに記載される。本発明による装置25は、いずれの場合も還元剤タンク1を備える。そしてそれは、充填レベル10まで還元剤2で満たされる。タンク底部6の近くに、還元剤タンク1から還元剤2を抜くための抽出ポイントポイント5は、いずれの場合も配置される。還元剤2は、いずれの場合も、抽出ポイントポイント5から供給ユニット28まで通過する。供給ユニット28は、還元剤2を排ガス処理装置に輸送する役割を果たす。図1図7のすべての変形実施形態に共通の特徴は、還元剤2上にまたは還元剤2内において浮く少なくとも1つの移動式アクティブヒータ3が還元剤タンク1内に配置されるということである。電気ヒータ3は、給電ライン21を介して(他の種類のアクティブヒータでは、対応する種類の供給ライン(例えば熱水その他)が設けられてよい)、エネルギーを供給される。
【0029】
供給ライン21は、それが液体還元剤2によって囲まれる場合、危険にさらされてよい。好適でない状況の下で、供給ライン21は、還元剤2の膨張の結果として、裂けてもよい。このために、図1図2図3図4図7の変形実施形態では、供給ライン21は、それが還元剤タンク1内の還元剤2の充填レベル10を上回って位置するように、案内される。図1は加えて、保護装置22を示す。それによって、供給ライン21は保護されている。図5図6によれば、供給ライン21は、液体還元剤2を通過する。この設計では、供給ライン21は、還元剤2のが凍結することで起こる負荷に耐えることが可能な十分に堅牢なまたは可撓性の構造である。図5図6による供給ライン21は、さらに伸長可能でもよい。そうすれば、破損しないためにより長くなることができる。供給ライン21は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、可逆的に伸長可能でもよいことが好ましい。
【0030】
図1図3によれば、供給ユニット28は、還元剤タンク1の上部31に配置される。抽出ポイント5から、還元剤2は、抽出パイプ4を介して供給ユニット28まで通過する。図4図5図7の変形実施形態において、供給ユニット28は、タンク底部6の近くに配置される。供給ユニット28は、次いで抽出ポイント5のすぐ近くに配置される。これらの変形実施形態は、抽出パイプ4を省略する。図6は、還元剤タンク1の中に浮いている供給ユニット28の変形を開示する。この場合、抽出ポイント5は、供給ユニット28にしかもタンク底部6の近くでない部分に配置されて、還元剤タンク1内において供給ユニット28と共に移動可能である。供給ユニット28は、抜かれた還元剤2を流通させる少なくとも1つのポンプ、1つのバルブおよび/または1つのフィルタを備えることが好ましい。
【0031】
還元剤タンク1の上部31に配置される供給ユニット28を有する図1図3による本発明による装置の変形実施形態の共通の特徴は、加熱エレメント7が抽出パイプ4に配置されるということである。これらは、透孔ヒータ33を構成する。この透孔ヒータ33によって、チャネル15は、ヒータ3から抽出ポイント5まで冷凍した還元剤2において融解されてよい。
【0032】
図1図3に示す変形実施形態において、ヒータ3は、還元剤タンク1内の充填レベル10を同時に決定してもよい。この目的で、第1コンポーネント9は、充填レベルを決定するためのヒータ3に固定される。第1コンポーネント9は、第2コンポーネント12と協働する。そして、図1図3による第2コンポーネント12の各々は、例として抽出パイプ4に取り付けられる。第2コンポーネント12は、タンク壁11に取り付けられてもよい。これは、抽出パイプ4のない装置25の変形において特に有用である。第1コンポーネント9と第2コンポーネント12との協働によって、還元剤タンク1内の充填レベル10は、確認されてよい。これは、充填レベルを決定するための磁界または類似の方法を介して第1コンポーネント9と第2コンポーネント12との間の電気伝導接触によって、例えば進行してよい。容器内のフロートの位置を決定する他の方法が、用いられてもよい。
【0033】
図1はまた、ヒータ3がガイド構造13によって還元剤タンク1内において案内されることを示す。これは、ヒータ3が還元剤タンク1内において制御されずに移動することを防止してよい。図4による変形実施形態もまた、ヒータ3用のこの種のガイド構造13を有する。
【0034】
ヒータ3はフィン23を備えることがさらに示される。そして、それによって、凍結した還元剤の表面14は、抽出ポイント5におよび/またはチャネル15の入口24に還元剤2のための適切な流出面32を生じさせるために成形されてよい。
【0035】
ガイド構造13およびフィン23の作用モードの理解を支援するために、図1による変形実施形態は、図9において他の透視図法から再び示される。図9は、この変形実施形態による上から見た断面図を示す。ヒータ3を案内するためのガイド構造13は、確認することができる。還元剤タンク1は、その内部において、ヒータ3がガイド構造13によって案内されることも、確認することができる。ヒータ3は、還元剤タンク1の横断面積8の50%以上を越えて延びる。図は、加えて、加熱エレメント7を有する抽出パイプ4を示す。装置25が傾けられるときでも還元剤2が抽出ポイント5に向けて流れることもできるというような方法で、フィン23はヒータ3上に配置される。
【0036】
図2によれば、ヒータ3は、凍結した還元剤の表面14上にこの種の流出面32を生じさせるために漏斗形状である。両方の特徴を組み合わせることも、可能である。ヒータ3は、次いで漏斗形状でもよく、加えてフィン23を備えてもよい。
【0037】
図4による第4の変形実施形態もまた、ヒータ3上にこの種のフィン23を備える。正確に同にように、第7の変形実施形態(図7)によるヒータ3もまた、フィン23を有する。そしてそれは、凍結した還元剤の表面14上に適切な流出面32を生じさせてよい。
【0038】
図3の装置の第3の変形実施形態によれば、ヒータ3は、フロート26を備える。これらのフロート26は、ヒータ3が少なくとも部分的に還元剤の表面14の下に定義される位置に配置されることを確実にする。ヒータ3は、それが加熱部34および浮力部35を備えるように、特に構成される。フロート26によって形成される浮力部35は、還元剤2中のヒータ3の正しい位置決めを確実にする。このようにして予め定められるヒータ3の位置の結果、加熱部34は、還元剤2によってカバーされる。そして熱は、ヒータ3によって特に効率的に還元剤2中に導入されてよい。この浮いているヒータが還元剤の表面14からわずか5センチメートル離れていることは、好ましい。
【0039】
タンク底部6上に供給ユニット28を有する図4図5図7による変形実施形態において、システムヒータ30は、いずれの場合も設けられる。それによって、供給ユニット28の外側の還元剤2は、溶解してよい。システムヒータ30は、加えて、供給ユニット28周辺に凍結した還元剤2の氷の空洞29を生じさせてよい。液体還元剤2が氷の空洞29内に残っていない場合、氷の空洞29は、還元剤タンク1内の残留する還元剤2と関連して供給ユニット28のための断熱を構成する。システムヒータ30が還元剤2を溶解させることが可能であるよりも急速に供給ユニット28が液体還元剤2を運搬する場合、これは発生してよい。このようにして、氷の空洞29は、システムヒータ30が凍結した還元剤2を溶解させることを防止してよい。このために、還元剤タンク1内の移動式ヒータ3は、タンク底部6に配置される供給ユニット28を有する装置25の図4図5図7による変形実施形態において特に有利である。
【0040】
図4の変形実施形態によれば、透孔ヒータ33は、供給ユニット28から延びる棒状のガイド構造13で形成される。チャネル15は、ガイド構造13に沿って透孔ヒータ33によって形成される。
【0041】
第7の変形実施形態(図7)において、ヒータ3から抽出ポイント5までチャネル15を形成するための透孔ヒータ33は、タンク壁11の外側に取り付けられる還元剤ライン20によって設けられている。この還元剤ライン20は、供給ユニット28から内燃機関の排ガスシステムの排ガス処理装置まで還元剤2を運搬するのに役立つ。還元剤ライン20は、例えば、加熱エレメント7を有する加熱可能なホースの形態をとる。還元剤ライン20は、したがって、ヒータ3から抽出ポイント5までチャネル15を形成するための透孔ヒータ33を形成する。そしてそれは、還元剤タンク1の設計にかかわりなく達成することが非常に容易である。
【0042】
図8は、タンク壁11の外側に取り付けられる還元剤ライン20を再び詳細に示す。この還元剤ライン20は、加熱エレメント7を備える。それによって、チャネル15は、タンク壁11の内側の還元剤2に生じてよい。
【0043】
図5による変形実施形態によれば、複数のヒータ3は、還元剤タンク1内に設けられる。ヒータ3は、還元剤2中の予め定められた移動半径内において比較的自由に浮く。図5によるヒータ3は、異なる構成から成ってよい。左に示される変形によれば、ヒータ3は、フロート26を備え、したがって、浮力部35および加熱部34に分けられる。これは、加熱部34がいずれの場合も還元剤2によって完全に囲まれることを確実にする。そして、還元剤2への熱の特に効果的な入力に結果としてなる。図5の中間のヒータ3は、ダンパ27を備える。これは、例えば、外部に作用する力が弱められる弾力性のある多孔質層でもよい。この層は、還元剤タンク1内のヒータ3の移動の結果として、ノイズまたは損傷が起こらないことを確実にする。図5の右に示されるヒータ3の変形実施形態は、この種の特徴を備えていない。図3によれば、ヒータ3は、各々球面フロートの形態をとる。しかしながら、他のいかなる所望の形も、可能である。例えば、少なくとも1つの自由に移動する広域ヒータ3は、あってもよい。
【0044】
図5によるヒータ3の場合、給電ライン21は、いずれの場合も設けられている。そしてそれは、還元剤2を通って延びる。すでに説明されたように、これらの供給ライン21は、十分に堅牢でなければならなくておよび/または伸長可能でなければならない。供給ライン21は、ヒータ3を供給するための電線を備える。同時に、供給ライン21は、透孔ヒータ33を備える。供給ライン21に沿って、透孔ヒータ33は、ヒータ3から抽出ポイント5までチャネル15を溶解する。電線は、透孔ヒータ33を同時に形成してもよい。
【0045】
図6による装置の変形実施形態は、供給ユニット28を備える。そしてそれは、その全部が還元剤タンク1の中で浮くように配置される。この供給ユニット28は、還元剤2を融解するためのシステムヒータ30を有する。このシステムヒータ30は、移動式アクティブヒータ3を同時に形成する。還元剤の表面14が還元剤タンク1において下降するときに、供給ユニット28は同様に下降してよい。ヒータ3も、したがって移動式である。ヒータ3は、還元剤の表面14に氷の空洞29を溶解させる。供給ユニット28およびヒータ3は、この氷の空洞29内に入り込んでよい。図6による変形実施形態において、供給ユニット28およびヒータ3はまた、ガイド構造13を備える。そしてそれは、ヒータ3のための供給ライン21も同時に構成する。図6による変形実施形態において、還元剤ライン20はまた、装置25から還元剤2を放出するためのガイド構造13上に設けられる。
【0046】
図10は、内燃機関17および内燃機関17の排ガスを処理する排ガス処理装置18を備える本発明による車両16を示す。排ガス処理装置18は、供給部19を備える。供給部19は、還元剤ライン20を介して装置25に接続していて、還元剤ライン20を介して装置25から還元剤を供給される。還元剤2は、したがって、必要に応じて排ガスに加えられてよく、そして、排ガスは「SCR」法を用いてクリーニングされてよい。
【符号の説明】
【0047】
1…還元剤タンク
2…還元剤
3…ヒータ
4…抽出パイプ
5…抽出ポイント
6…タンク底部
7…加熱エレメント
8…横断面積
9…第1コンポーネント
10…充填レベル
11…タンク壁
12…第2コンポーネント
13…ガイド構造
14…還元剤の表面
15…チャネル
16…車両
17…内燃機関
18…排ガス処理装置
19…供給部
20…還元剤ライン
21…供給ライン
22…保護装置
23…フィン
24…入口
25…装置
26…フロート
27…ダンパ
28…供給ユニット
29…氷の空洞
30…システムヒータ
31…上部
32…流出面
33…透孔ヒータ
34…加熱部
35…浮力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10