(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749765
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】自動車用窓カバー
(51)【国際特許分類】
B60J 11/08 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
B60J11/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-143601(P2013-143601)
(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2015-16723(P2015-16723A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2014年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】野村 直資
(72)【発明者】
【氏名】渡部 大輔
【審査官】
岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−118245(JP,A)
【文献】
特開2010−260530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のフロントガラス(11)の外面を覆う前部シート(17)と、左右のフロントドアガラス(14)の外面を覆う一対の側部シート(18)とを一体に備え、前記一対の側部シート(18)を固定手段で車体に固定する自動車用窓カバーであって、
前記固定手段は、前記一対の側部シート(18)の後縁にそれぞれ固定された板状のタブ(27A,27B,27C)からなり、
前記タブ(27A,27B,27C)は、前記一対の側部シート(18)が前記左右のフロントドアガラス(14)の外面を覆う状態で前方を指向するように前記一対の側部シート(18)の後縁に一体に縫製(31)されていて、前記左右のフロントドアガラス(14)の後縁、前記左右のフロントドアガラス(14)のドアサッシュ(32)の後縁、または左右のフロントドア(12)のガーニッシュ(34)の後縁と、その後方に位置する車体部材(15,37)の前縁との間の隙間(α)に挿入されて固定されることを特徴とする自動車用窓カバー。
【請求項2】
前記タブ(27A,27B,27C)は各々の前記側部シート(18)の後縁に複数個ずつ設けられ、最も上側に位置する前記タブ(27A)は前記フロントドアガラス(14)の後縁の上端の隙間(α)に挿入され、最も下側に位置する前記タブ(27C)は前記フロントドアガラス(14)の後縁の下端の隙間(α)に挿入されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用窓カバー。
【請求項3】
前記タブ(27A,27B,27C)は各々の前記側部シート(18)の後縁に複数個ずつ設けられ、最も上側に位置する前記タブ(27A)は、それの挿入方向前端の角部を鈍角にしたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の自動車用窓カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロントガラスの外面を覆う前部シートと、左右のフロントドアガラスの外面を覆う一対の側部シートとを一体に備え、前記一対の側部シートを固定手段で車体に固定する自動車用窓カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
寒冷地等で夜間に自動車を屋外に放置すると、翌朝になってフロントガラスの外面や左右のフロントドアガラスの外面に霜が付着して運転者の視界が妨げられてしまうため、霜が解けるまで自動車を走行させることができない場合がある。
【0003】
このような不便を解消するために、自動車のフロントガラスの外面および左右のフロントドアガラスの外面を着脱自在な窓カバーで覆って霜の付着を防止するものが、下記特許文献1、2により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−118245号公報
【特許文献2】特開平11−151940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載されたものは、左右のフロントドアガラスの外面を覆うシート状のカバーの左右後端部にシート片を介して円柱状の抜け止め部材を取り付け、この抜け止め部材を車室内に位置させた状態でフロントドアを閉じてシート片をドアおよび車体間に挟むことで、フロントガラスの外面および左右のフロントドアガラスの外面を覆う位置にカバーを固定するようになっている。しかしながら、このものは抜け止め部材を車室内に位置させた状態でシート片をドアおよび車体間に挟む操作を車室外から行うのが難しく、また前記操作を車室内から行うと、操作を行った乗員がリヤドアから車室外に出る必要があり、利便性が著しく損なわれる問題がある。
【0006】
また上記特許文献2に記載されたものは、左右のフロントドアガラスの外面を覆うシート状のカバーの左右後端部にそれぞれ上下一対の装着筒部を設け、これらの装着筒部に一端を固定したクリップの他端をドアサッシュおよびドアガラス間に挟んだ後にドアを閉じることで、フロントガラスの外面および左右のフロントドアガラスの外面を覆う位置にカバーを固定するようになっている。しかしながら、このものはドアを開いた状態でカバーを取り付けた後にドアを閉じる必要があるため、ドアの開閉時にカバーが捩じれたり絡んだりして作業性が低下する問題がある。
【0007】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車体に対する装着が容易な自動車用窓カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、自動車のフロントガラスの外面を覆う前部シートと、左右のフロントドアガラスの外面を覆う一対の側部シートとを一体に備え、前記一対の側部シートを固定手段で車体に固定する自動車用窓カバーであって、前記固定手段は、前記一対の側部シートの後縁にそれぞれ固定された板状のタブからなり、前記タブは
、前記一対の側部シートが前記左右のフロントドアガラスの外面を覆う状態で前方を指向するように前記一対の側部シートの後縁に一体に縫製されていて、前記左右のフロントドアガラスの後縁
、前記左右のフロントドアガラスのドアサッシュの後縁、または左右のフロントドアのガーニッシュの後縁と、その後方に位置する車体部材の前縁との間の隙間に挿入されて固定されることを特徴とする自動車用窓カバーが提案される
。
【0009】
また請求項
2に記載された発明によれば、請求項
1の構成に加えて、前記タブは各々の前記側部シートの後縁に複数個ずつ設けられ、最も上側に位置する前記タブは前記フロントドアガラスの後縁の上端の隙間に挿入され、最も下側に位置する前記タブは前記フロントドアガラスの後縁の下端の隙間に挿入されることを特徴とする自動車用窓カバーが提案される。
【0010】
また請求項
3に記載された発明によれば、請求項1
または請求項
2の構成に加えて、
前記タブは各々の前記側部シートの後縁に複数個ずつ設けられ、最も上側に位置する前記タブ
は、それの挿入方向前端の角部を鈍角にしたことを特徴とする自動車用窓カバーが提案される。
【0011】
尚、実施の形態のリヤドアガラス15
、リヤドア13のガーニッシュ37は本発明の車体部材に対応する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の構成によれば、自動車用窓カバーは、自動車のフロントガラスの外面を覆う前部シートと、左右のフロントドアガラスの外面を覆う一対の側部シートとを一体に備え、一対の側部シートが固定手段で車体に固定される。固定手段は、一対の側部シートの後縁にそれぞれ固定された板状のタブからなり、タブはフロントドアガラスの後縁と、その後方に位置する車体部材の前縁との間の隙間に挿入されて固定されるので、フロントドアを閉じた状態で窓カバーを簡単に装着することが可能となって利便性が向上するだけでなく、フロントドアの開閉時に窓カバーが捩じれたり絡んだりして作業性が低下することがない。
【0013】
ま
た、一対の側部シートが左右のフロントドアガラスの外面を覆う状態で、タブは前方を指向するように一対の側部シートの後縁に一体に縫製されるので、窓カバーが重力や風で引っ張られたときにタブが隙間から抜け難くなり、窓カバーを安定した状態で固定することができる。
【0014】
また請求項
2の構成によれば、タブは各々の側部シートの後縁に複数個ずつ設けられ、最も上側に位置するタブはフロントドアガラスの後縁の上端の隙間に挿入され、最も下側に位置するタブはフロントドアガラスの後縁の下端の隙間に挿入されるので、側部シートをフロントドアガラスの外面に沿わせて隙間なく覆うことができ、しかも窓カバーを小さく折り畳んで収納するときにタブが邪魔になることがない。
【0015】
また請求項
3の構成によれば、
最も上側に位置するタブの挿入方向前端の角部を鈍角にしたので、タブを隙間に挿入する際に引っ掛かり難いだけでなく、タブにより車体が傷つくのを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】窓カバーを装着した自動車の車体前部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1〜
図4に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1および
図2に示すように、自動車の車室の前面にはフロントガラス11が設けられ、車室の左右側面にそれぞれ配置されたフロントドア12およびリヤドア13の上部にはフロントドアガラス14およびリヤドアガラス15が設けられる。フロントガラス11の外面および左右のフロントドアガラス14,14の外面を覆う窓カバー16は、耐水性を有するビニール製のシートを帯状に形成したもので、フロントガラス11を覆う前部シート17と、左右のフロントドアガラス14,14を覆う一対の側部シート18,18とからなり、左右のフロントピラー19,19に沿う位置で、前部シート17に左右の側部シート18,18が接続される。従って、前部シート17は概略矩形状であり、左右の側部シート18,18は概略台形状に形成される。
【0019】
側部シート18,18の前下の隅部には袋状のドアミラー収納部20,20が設けられており、これらのドアミラー収納部20,20がフロントドア12に設けたドアミラー21,21に被せられる。前部シート17の裏面(フロントガラス11に接する面)には四角形のシートの3辺を縫製した収納袋22が設けられており、収納袋22が開口する下縁に1本の持ち手23が取り付けられ、この持ち手23と対を成すもう一つの持ち手24が前部シート17の裏面に縫製される。また前部シート17の下縁にはU字状の凹部17aが形成されており、この凹部17aを閉じるように舌片25が設けられる。舌片25の一端は前部シート17に縫製されるが、他端は面ファスナー26により開閉可能である。
【0020】
図2および
図3から明らかなように、窓カバー16の装着時にフロントドアガラス14の後縁に沿う側部シート18の後縁に、3個のタブ27A,27B,27Cが設けられる。3個のタブ27A,27B,27Cは、四角形に切断した合成樹脂の板材28をシート片29で覆ったもので、その基端部を側部シート18の後縁に重ね合わせ、更にその外側に二つ折りにした帯状のシート片30を重ね合わせた状態で縫製31により固定される。この状態で、3個のタブ27A,27B,27Cは側部シート18に裏面に重なり合い、先端が前方に向かって延びている。
【0021】
3個のタブ27A,27B,27Cのうち、上下方向中央のタブ27Bおよび下側のタブ27Cは略長方形に形成されるが、上側のタブ27Aは上縁27aが前方に向かって下向きに傾斜することで、前縁27bとの間の角度が鈍角θになっている。
【0022】
図4に示すように、フロントドア12の後縁のドアサッシュ32に保持したランチャンネル33にフロントドアガラス14の後縁が上下摺動自在に支持されており、ドアサッシュ32の車幅方向外面がガーニッシュ34で覆われる。またリヤドア13の前縁のドアサッシュ35に保持したランチャンネル36にリヤドアガラス15の前縁が上下摺動自在に支持されており、ドアサッシュ35の車幅方向外面がガーニッシュ37で覆われる。リヤドア13のドアサッシュ35およびガーニッシュ37に雨水の浸入を阻止するためにゴム製のウエザーストリップ38が装着される。ウエザーストリップ38のリップ38aはフロントドア12のガーニッシュ34の後縁に当接し、フロントドアガラス14およびリヤドアガラス15間の隙間αをシールする。
【0023】
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
【0024】
窓カバー16を車体に装着するには、展開した窓カバー16の前部シート17をフロントガラス11の外面に沿わせるとともに、左右の側部シート18,18をフロントドア12,12のフロントドアガラス14,14の外面に沿わせ、左右の側部シート18,18に設けたドアミラー収納部20,20を左右のドアミラー21,21に被せる。この状態で、各側部シート18の後縁に設けたタブ27A,27B,27Cをフロントドアガラス14およびリヤドアガラス15間の隙間αに差し込み、ウエザーストリップ38のリップ38aを後方に押し開いてフロントドア12のガーニッシュ34の後縁との間に挿入する。そして前部シート17の下縁の凹部17aをワイパー39の軸部39aに係合し(
図2参照)、凹部17aおよび舌片25間に軸部39aを挟んだ状態で、舌片25を面ファスナー26で前部シート17に固定する。
【0025】
このようにして窓カバー16を装着すると、窓カバー16の張力F(
図4参照)で左右の側部シート18,18は車体前方側に引っ張られるが、タブ27A,27B,27Cが車体前方を向いて斜めに挿入されているため、前記張力Fはタブ27A,27B,27Cを隙間α内に引き込むように作用し、タブ27A,27B,27Cが抜け落ちるのを防止して窓カバー16を強固に固定することができる。また側部シート18,18のドアミラー収納部20,20が左右のドアミラー21,21に被さるため、側部シート18,18の前部をドアミラー21,21で支持し、重力による窓カバー16のずり下がりや、風による窓カバー16の捲り上がりを防止することができる。しかも前部シート17の下縁を凹部17aおよび舌片25によりワイパー39の軸部39aに固定するので、風による窓カバー16の捲り上がりを一層確実に防止することができる。
【0026】
以上のように、フロントドア12およびリヤドア13を開閉することなく、閉じたままの状態で窓カバー16を装着することができるので、その装着作業が容易になるだけでなく、フロントドア12の開閉時に窓カバー16が捩じれたり絡んだりして作業性が低下することがない。また薄い板状のタブ27A,27B,27Cをウエザーストリップ38を弾性変形させてガーニッシュ34との間に挿入して固定するので、ウエザーストリップ38の弾性でタブ27A,27B,27Cが抜け難くしながら、ウエザーストリップ38の変形を最小限に抑えて雨水の浸入を阻止することができる。
【0027】
また1個のタブを側部シート18の後縁の上端から下端に亙って設けると、窓カバー16を折り畳むときにタブが邪魔になって小さく折り畳むことが難しくなるが、タブ27A,27B,27Cを上中下の3個に分割して窓カバー16の折り畳みを容易にしながら、上端のタブ27Aおよび下端のタブ27Cで側部シート18をフロントドアガラス14の外面に沿わせて隙間なく覆うことができる。またタブ27A,27B,27Cを挿入するとき、特に上端のタブ27Aの上縁27aはフロントドアガラス14の上縁のガーニッシュ34に沿って挿入されるため、そのタブ27Aの上縁27aおよび前縁27b間の角部がガーニッシュ34に引っかかってスムーズな挿入が妨げられる虞があるが、前記角部を鈍角θ(
図3参照)にしたことで、上端のタブ27Aのスムーズな挿入が可能になるだけでなく、タブ27Aにより車体が傷つくのを未然に防止することができる。
【0028】
窓カバー16を取り外すときも、フロントドア12やリヤドア13を閉じた状態のままで、タブ27A,27B,27Cをフロントドアガラス14およびリヤドアガラス15間の隙間αから引き抜けば良いため、作業が極めて容易である。そして取り外した窓カバー16を前部シート17の収納袋22に向けて周囲から折り畳んだ後に、収納袋22を裏返すことで内部に窓カバー16をコンパクトに収納することができる。収納袋22には持ち手23,24が設けられているため、持ち運びも容易である。
【0029】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0030】
例えば、実施の形態では側部シート18が各々3個のタブ27A,27B,27Cを備えているが、その数は任意である。
【0031】
また実施の形態ではフロントドア12のガーニッシュ34およびリヤドア13のガーニッシュ37間の隙間αにタブ27A,27B,27Cを挿入しているが、ガーニッシュやドアサッシュを持たないピラーレスの自動車では、フロントドアガラス14およびリヤドアガラス15間の隙間αに直接タブ27A,27B,27Cを挿入しても良い。
【0032】
また後部ドアを持たない自動車では、フロントドアガラス14のドアサッシュ32(あるいはフロントドアガラス14)およびリヤクオータガラス間の隙間にタブ27A,27B,27Cを挿入しても良く、またセンターピラーが露出している自動車では、フロントドアガラス14のドアサッシュ32(あるいはフロントドアガラス14)およびセンターピラー間の隙間にタブ27A,27B,27Cを挿入しても良い。
【0033】
また本発明の自動車用窓カバーの用途は霜除けに限定されず、日除けや雪除けであっても良い。
【符号の説明】
【0034】
11 フロントガラス
12 フロントドア
14 フロントドアガラス
15 リヤドアガラス(車体部材)
17 前部シート
18 側部シート
27A タブ
27B タブ
27C タブ
31 縫製
32 フロントドアガラスのドアサッシュ
34 フロントドアのガーニッシュ
37 リヤドアのガーニッシュ(車体部材)
α 隙間