(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の長手方向に延在するローブは、前記プランジャーロッドのほぼ一様な側方負荷たわみを形成するように相互に配されていることを特徴とする請求項1に記載のプランジャーロッド。
前記中空の細長い部材および前記前端装着部材および前記後端カバー部材のそれぞれが異なる材料から別々に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプランジャーロッド。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態によるプランジャーロッドおよびストッパーならびに注射筒を分解した立体投影図である。
【
図2A】本発明の第1実施形態によるストッパーの立体投影図である。
【
図2B】
図2Aの2B−2B線に沿って得られるストッパーの側断面図である。
【
図3】プランジャーロッドに装着されて注射筒内に配される
図2Aのストッパーの側断面図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に応じた本発明の第2実施形態によるストッパーの立体投影図である。
【
図4B】
図4Aの4B−4B線に沿って得られるストッパーの側断面図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に応じた本発明の第3実施形態によるストッパーの側面図である。
【
図5B】
図5Aの5B−5B線に沿って得られるストッパーの断面図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に応じた本発明の第4実施形態によるストッパーの立体投影図である。
【
図6B】
図6AのVI−VI線に沿って得られる
図6Aの外部構造を有し、かつ
図2Bに示した本発明の第1実施形態による内部構造を有するストッパーの側断面図である。
【
図6C】
図6AのVI−VI線に沿って得られる
図6Aの外部構造を有し、かつある種の注射器プランジャーロッドの装着部と組み合わされる
図4Bに示した本発明の第2実施形態による内部構造を有するストッパーの側断面図である。
【
図6D】
図6Aの線VI−VIに沿って得られる
図6Aの外部構造を有し、かつ別な種類の注射器プランジャーロッドの装着部と組み合わされる
図6Cに示すような内部構造を有するストッパーの側断面図である。
【
図6E】本発明の一実施形態による変形例のスカートを有するストッパーアセンブリーの側断面図である。
【
図6F】スカートを排除した本発明の一実施形態によるストッパーアセンブリーの側断面図である。
【
図7】注射筒内に配された
図6Bのストッパーの側断面図である。
【
図8】注射筒内に配された
図6Cのストッパーの側断面図である。
【
図9】注射筒内に配された
図6Dのストッパーの側断面図である。
【
図10】本発明の第1逆流減少ステップ中に
図2Bのストッパーを用いるストッパー/プランジャー構造の側断面図である。
【
図11】本発明の第2逆流減少ステップ中に
図2Bのストッパーを用いるストッパー/プランジャー構造の側断面図である。
【
図12】本発明の第3逆流減少ステップ中に
図2Bのストッパーを用いるストッパー/プランジャー構造の側断面図である。
【
図13】本発明の第1逆流減少ステップ中に
図6Cの実施形態のストッパーを用いるストッパー/プランジャー構造の側断面図である。
【
図14】本発明の第2逆流減少ステップ中に
図6Cの実施形態のストッパーを用いるストッパー/プランジャー構造の側断面図である。
【
図15】本発明の第3逆流減少ステップ中に
図6Cの実施形態のストッパーを用いるストッパー/プランジャー構造の側断面図である。
【
図17A】本発明の第1実施形態による
図1のプランジャーロッドのための装着部材の拡大立体投影図である。
【
図18A】本発明の第2実施形態によるプランジャーロッドのための装着部材の拡大立体投影図である。
【
図19A】本発明の第3実施形態によるプランジャーロッドのための装着部材の拡大立体投影図である。
【
図20A】本発明の第4実施形態によるプランジャーロッドのための装着部材の拡大立体投影図である。
【
図21A】本発明の第5実施形態による装着部材を含むプランジャーロッドの立体投影図である。
【
図21B】装着部材内に配される補強スラッグを含む
図2Aのプランジャーロッドの立体投影図である。
【
図21D】補強スラッグがプランジャーロッドの中空部内に配された
図21Aのプランジャーロッドの側面図である。
【
図22A】本発明の一実施形態によるプランジャーロッドを分解した立体投影図である。
【
図22B】
図2Aの22B−22B線に沿って得られるプランジャーロッドの断面図である。
【
図23A】本発明の第2実施形態によるプランジャーロッドの側面図である。
【
図23B】
図23Aの23B−23B線に沿って得られるプランジャーロッドの断面図である。
【
図24A】本発明の第3実施形態によるプランジャーロッドの側面図である。
【
図24B】
図24Aの24B−24B線に沿って得られるプランジャーロッドの断面図である。
【
図25】個別に形成することができる本発明の一実施形態によるプランジャーロッドの個々の部品を分解した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明の目的のため、用語「上方」,「下方」,「右」,「左」,「垂直」,「水平」,「上端」,「底」,「横」,「長手方向」およびこれらの派生語は、これが図面に方向付けられているように本発明に結び付けるべきである。しかしながら、本発明がそれと反対に明らかに具体的に述べた場合を除き、種々の別な変更を想定することができることを理解しなければならない。添付図面に示され、かつ下記の明細書に記述された特定の装置は、本発明の単なる代表的実施形態であることもまた、理解しなければならない。それ故、ここに開示した実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特徴は、限定として考慮されるべきではない。
【0013】
さて、概ね10として示した注射器の立体投影図を示す1図に対して参照がなされる。この注射器は、ストッパー12およびプランジャーロッド14を具えている。ストッパー12およびプランジャーロッド14は、注射筒16内での使用に適する。この注射器10は、事前充填されて滅菌される種類のものであることが好ましく、フラッシュ用途にて用いられる。注射筒16は、ルアー20の形態で示した(カテーテルの如き)別の医療器具の装着のための出口開口および/または機構を含む末端、すなわち前端18と、ストッパー12およびプランジャーロッド14のアセンブリーを収容するための開いた基端、すなわち後端22とを含む。この図では独立したストッパーおよびプランジャーのアセンブリーを描いているけれども、ストッパーの特徴は、プランジャーロッド14と一体成形することができることを意図している。
【0014】
さて、本発明の種々の異なる実施形態による押し込み変位ストッパー12の立体投影図を示す
図2Aおよび
図4Aならびに
図6Aに対して参照がなされる。
図2Bおよび
図4Bならびに
図6B〜
図6Dは、注射器10に関するストッパーの押し込み変位の特徴の詳細を容易に見ることができるストッパーの異なる実施形態の断面図を示し、同様な要素は図面中に亙り同じ符号によって示される。ストッパー12は、注射筒16内で使用するためにプランジャーロッド14との装着に適する。ストッパー12は、天然ゴムか、合成ゴムか、熱可塑性エラストマーか、またはこれらの組み合わせのグループから選択されるエラストマー材料から好ましくは作られる。本発明のストッパー12は、この分野において良く知られているように、カテーテルと共に用いられるものの如きフラッシュ注射器において特に有用である。
【0015】
ストッパーは、開いた後端28と閉じた前端30とを画成する本体26を含む。開いた後端28は、プランジャーロッド14の前端装着部31を収容するようになっている。この前端装着部31は、ストッパー12に装着することができる任意の周知構造のものであってよいが、本発明のストッパー12と共に使用するのに適した種々の独創的な装着部材を本発明は含む。これら本発明の装着部材は、以下にさらに詳細に述べられる。
【0016】
ストッパー12は、本体26と一体成形されて閉じた前端30に隣接する可撓性コア部材32をさらに含む。
図3に示すように、可撓性コア部材32は、自動調心するのに適した輪郭形状を有する先端部34を含み、ストッパー12が注射筒16の中心に配されない場合であっても、これは注射筒16のルアー20の内面36の如き、注射筒16の出口開口とで能動的シールを作り出すようになっている。ストッパー12が注射筒16を通って全行程を移動し、注射筒16の前方壁、すなわち内面36にてその内面に当接すると、能動的シールをこれと共に形成することができる。一実施形態において、先端部34は自動調心する半球形状を有し、ストッパー12が注射筒16の中央に配されていない場合、ストッパー12が注射筒16に底づきすると、これが出口開口、すなわちルアー20と共に能動的シールを作り出すようになっている。可撓性コア部材32の先端部34は、注射筒16の出口開口、すなわちルアー20に対してそれ自体が自動調心することができるほぼ円錐形や正六面体および/または任意の他の容積測定形状の如き他の形状を含むことができる。このシールは、ストッパー12が注射筒16に底づきすると、余分な流体が注射器10の外に押し出されるのを阻止する。ストッパー12の形状が跳ね戻って余剰の流体を注射器10に引き戻す場合、注射の終りに押し出された余剰の流体が「逆流」として知られる現象を引き起こす可能性がある。本発明の構造において、シールはまた、ストッパー12と注射筒16との間に閉じ込められた流体内の圧力の上昇を可能にし、次に圧力が解放されると、流体の押し込み変位をもたらそう。逆流を阻止するこの流体の押し込み変位は、以下により詳細に述べられる。
【0017】
可撓性コア部材32は、前部38と、後部40と、これら前部38および後部40の間に配された中央部42とを含む。前部38は、本体26からこの本体26の長手方向軸線に沿うように突出する。可撓性コア部材32は、この可撓性コア部材32と本体26との間に延在する可撓膜44を介して本体26と相互連結されることができる。この可撓性コア部材32の後部40は、プランジャーロッド14の前端装着部31に当接している。この自動調心先端部34の独創的構造は、僅かな力がストッパー12に加えられてストッパー12および注射筒16の全許容範囲を越えた場合にシールが作られることを可能にする。
【0018】
上述したように、先端部34のシール面は、
図1に示す注射筒16の前端にて円錐形ルアー20の内面36、すなわち後面と接触状態になる。一実施形態において、ルアー20の内面36とストッパー12の先端部34とが完全に同心ではない可能性があるため、ストッパー12の先端部34は、これがルアー20の内面36と完全接触するようにするために横方向に移動可能であってよい。さらなる一実施形態において、可撓性コア部材32および可撓膜44は、先端部34が実質的に横方向に移動することを可能にすることができる。さらに他の実施形態において、先端部34の部分的な球形状は、先端部34が接触前に回転または、ずれた場合であっても、この先端部34とルアー20の内面36との間の完全接触を確実なものにする。
【0019】
現在のストッパーが円錐形の先端を一般的に有し、ストッパーおよび注射筒が完全に同心の場合にのみ、シールするように機能するので、本発明のストッパー12の独創的な構造は、これら現在のストッパーに対する改良である。従来の構造において、2つの部品が正確に位置合わせされない場合、より大きな力をストッパーに加えてこれを注射筒のルアーテーパー部とでシールする形状へと変形させない限り、適切なシールとはならない。
【0020】
図2A,
図2B,
図3に示すようなストッパー12の第1実施形態および
図4A,
図4Bに示すようなストッパーの第2実施形態によると、本体26は、径方向外側に延在してこの本体26の周囲をほぼ取り囲む少なくとも1つの第1リブ46を含む。この第1リブ46は、注射筒16と共に能動的シールを形成するのに適している。一実施形態において、本体26は、この本体26のほぼ周囲に延在する第2リブ48を含む。第1リブ46および第2リブ48は、本体26の長手方向に沿って軸線方向に間隔をあけることができる。
【0021】
図2Aおよび
図2Bならびに
図3に示した第1実施形態のストッパー構造の特徴は、本体26の閉じた前端30から延在する前方延在スカート50である。この前方延在スカート50の弾性および/または可撓性のため、前方延在スカート50は、径方向内側に向けて撓むことにより、本体26の外側部分52とほぼ接触状態へと変形させることができる。このようなたわみは、ストッパー12の挿入により注射筒16内にエアーポケット53を形成してそこに気泡の閉じ込めをもたらす可能性がある。エアーポケット53内に取り込まれた気泡は、以下に詳細に述べるように、本発明の反逆流特性を補助する。注射筒16内へのストッパー12の挿入により、前方延在スカート50は、注射筒16内に正圧を作り出すようにすることができる。
【0022】
一実施形態において、本体26は、開いた後端28から軸線方向内側に延在する少なくとも1つのアンダーカット部分55を含む。このアンダーカット部分55は、プランジャーロッド14の前端装着部31に係合してこのプランジャーロッド14の前端装着部31をストッパー12内に固定するようになっている。
図3に示すような一実施形態によると、アンダーカット部分55は、プランジャーロッド14の前端装着部31と組み合わされる少なくとも1つの撓みアーム130と連係するようになっている逆テーパー部56を含むことができる。
【0023】
本発明のストッパー12はまた、途中での逆流を減少および/または阻止するように適合させることができる。フラッシュ液が完全に注入されず、ストッパーが移動しているのに医者が経路を閉じない場合、途中での逆流が発生する。従前の注射器構造は、ストッパーの外径の摩擦力と、ストッパーの中央に対するプランジャーロッドの力とがストッパーの先端部を「引き伸ばす」ので、逆流を発生しよう。ストッパー移動を引き起こす静摩擦および動摩擦を克服するため、プランジャーロッドの力は摩擦力よりも大きくなくなければならず、この力の不均衡は、流体背圧とストッパーの伸びとによって相殺される。この差は小さいけれども測定可能である。この出願の
図3に示すように、間隙94がストッパー12の可撓性コア部材32の後部93と、プランジャーロッド14の前端装着部31の表面95との間に設けられている。この間隙94および可撓性コア部材32をストッパー本体26に設けた可撓膜44の可撓性のため、可撓性コア部材32が基端側に撓んでプランジャーロッド14の力がなくなると、直ちに押し込み変位の形態に解放される位置エネルギーを蓄えることができる。従って、注射器10の使用中、プランジャーロッド14は、間隙94のため、可撓性コア部材32に対して前方の力を直接加えない。プランジャーロッド14が前方の力をストッパー12の内側部に加える代わりに、今度は引張り力を可撓性コア部材32に可撓膜44を介して加える。従って、プランジャーロッドへの圧力の印加中に、可撓性コア部材32は間隙94へと僅かに収容される。前方の力が停止した途端、可撓性コア部材32はこの前方動作を続けて途中の逆流を阻止する。
【0024】
図2Bおよび
図3ならびに
図4Bに描いたような本発明の一形態によると、本体26の内部は、プランジャーロッド14の前端装着部31のテーパー部196と接触するようになっているテーパー部198を有する内面132を含む。これらの接触テーパー部196,198は、プランジャーロッド14に前方の力を加えることよってストッパー12が径方向の力を注射筒16に加え、これと共に能動的シールを形成するように相互に連係する。本発明の能動的シールの形態が以下に詳細に述べられる。
【0025】
図4Aおよび
図4Bに示すような本発明の第2実施形態によると、可撓膜44Aは、可撓性コア部材32から第1リブ46Aで終わる本体26の側壁部57Aまで延在することができる。一つの構成において、可撓膜44Aおよび第1リブ46Aならびに側壁57Aは、一体成形される。さらなる一構成においては、第1実施形態の前方延在スカート50が含まれない。
【0026】
図5Aおよび
図5Bに示すような本発明の第3実施形態によると、能動的シールは前述の実施形態のそれと同じ結果を達成するが、液圧用途で用いた場合に一般的に「リップシール」として述べられる異なる機構を持っている。254として概ね指示したストッパーがこのリップシールを含んでいる。ストッパー254の前部シール256は、可撓性アーム258の前端縁に配されている。
図1に示すように、初期シール圧が可撓性アーム258と注射筒16の壁との干渉によって発生する。注射筒16内の圧力が上昇すると、この圧力は径方向外側への力を可撓性アーム258の内側259に加える。この外方向の力は、シール256が注射筒16の内壁に対して押し付ける力を増大しよう。
【0027】
さて、本発明の第4実施形態によるストッパー12を示す
図6A〜
図6Fおよび
図7〜
図9に対して参照がなされる。この実施形態において、ストッパー12は閉じた前端30を有する本体26を含む。この本体26は、プランジャーロッド14の前端装着部31を収容するようになっている開いた後端28を含むことができる。上述したように、前端装着部31は、ストッパー12を装着することができる。本体26は、
図6Bに示すような第1直径D1を有する第1本体部60と、この第1本体部60の第1直径よりも大きい
図6Bに示すような第2直径D2を有する第2本体部62とを含む。肩部64が本体26の第1本体部60の外周を囲んで延在する。好ましくは、この肩部64は第1本体部60に対して径方向外側の方向に延在する。
【0028】
第1実施形態の説明に関して上述したように、可撓性コア部材32が閉じた前端30に隣接して本体26と一体成形されている。この可撓性コア部材32は、注射筒16のルアー20の如く、出口開口の内面36に当接するようになっている閉じた前端30から延在する先端部34を含む。可撓性コア部材32を可撓性の材料から形成することができ、その先端部34は、能動的シールを注射筒16の前端にてルアー20と共に作り出す半球形の自動調心形状を含むことができる。
【0029】
図6A〜
図6Eに示す第4実施形態のストッパー12は第1実施形態とは異なり、このストッパー12は、第2本体部62から本体26の前端30に向けて延在する少なくとも1つの周縁スカート66を含む。この周縁スカート66は、ストッパー12の挿入および/または移動により、肩部64と連係してこれらの間に注射筒16内およびこれを通るエアーポケット、すなわち気泡68を閉じ込める。この方法において、プランジャーロッド14に対する前方の力の解除により、注射筒16内の残留流体がその押し込み変位を介してルアー20へと押し出される。
図6B〜
図6Dに詳細に示すように、スカート66は、内面70および外面72を含むことができ、かつ径方向内側に撓むことができる弾性および/または可撓性の材料から形成されることができる。周縁スカート66の内面70は、肩部64に実質的に接触して少なくとも1つのエアーポケット/気泡68を取り込むことができる。一実施形態において、このスカート66は、リップ部74および末部76を含む。リップ部74は、外側に延在する隆起部、すなわち第1リブ77を含むことができる。この第1リブ77の外面77を
図1に示した注射筒16の壁の内面78に対して接触するように適合させることができる。この第1リブ77は、
図7〜
図9に示すように、周縁スカート66と注射筒16の壁の内面78との間に単一の接触線を画成する。第1リブ77は、末部76に隣接する周縁スカート66の外側面69を、注射筒16の壁の内面78から予め設定した距離だけ離れて配されるのを保持するように機能する。これは、周縁スカート66と注射筒16との間の接触領域を最小にし、離脱力を低減すると共に注射筒16に対する周縁スカート66の静摩擦を減少させる。この周縁スカート66の独特な構造は、設定投薬量のより明確な観察を可能にすることができる。一実施形態において、周縁スカート66は、相対的に直線形状を有し、本体26の第1本体部60の周囲に円筒状に延在する。他の実施形態によると、エアーポケットまたはチャンバー68を形成するため、周縁スカート66の内面70を必ずしも本体26に接触させる必要はないが、本体26に対して充分近接させ、表面張力がチャンバー68を塞ぎ、そこに気泡を閉じ込めて保持するようになっている。
【0030】
図6B〜
図6Dに示すように、ストッパー12の周縁スカート66は、肩部64と連係するための予め設定した接触領域80を有する寸法に作られる。接触領域80は、空気を捕捉するための予め設定した充分な間隙を形成するようになっており、空気チャンバーから流体チャンバーへの圧力の伝達を可能にする。
【0031】
図6Eはストッパー12の変更例の第4実施形態を示し、スカート366は、
図6B〜
図6Dの周縁スカート66の長さL2よりも短く、かつ肩部364の高さH1よりも低い予め設定した長さL1を有し、予め設定した接触領域380が肩部364の底面365に接触して空気圧チャンバー368を形成するようになっている。
【0032】
図6Fに示すような他の構成によると、空気圧チャンバー468を径方向に延在する肩部464と注射筒416の内面478との連係によって単に作り出すことができる。この形状において、肩部464の先端467は、空気圧チャンバー468を作成するために注射筒16の壁の内面478に実際に接触しなくてもよいが、むしろ空気圧チャンバー468を仕切るために単にこの内面に対して所定距離内にある必要がある。
【0033】
再び
図6A〜
図6Fを参照すると、本発明のストッパー12の可撓性コア部材32は、本体26の上に延在する前部82と、後部84と、これら前部82と後部84との間に配された中央部86とを含む。この可撓性コア部材32は、本体26、特にその第1本体部60に対し、可撓性コア部材32の中央部86と本体26の第1本体部60との間に延在する可撓膜44を介して相互に連結されている。本発明の自動調心先端部34の構造は、僅かな力がストッパー12に加えられてプランジャーロッド14および注射筒16を介してストッパー12の全許容範囲を越えた場合、先端部34とルアー20の出口開口の内面36との間にシールが作られることを可能にする。第1実施形態に関して上述したように、可撓性コア部材32の先端部34の部分的球形表面形状は、先端部34が接触前に回転または、ずれた場合であっても、先端部34とルアー20の内面36との間の完全な接触を確実にする。
【0034】
プランジャーロッド14に対する正圧の解除および可撓性コア部材32の先端部34とルアー20の内面36との間のシールの解除により、この位置エネルギーの放出が注射筒16内の流体をルアー20および任意に装着されたカテーテルを介して押し出すように、可撓膜44およびエアーポケット/気泡68は、位置エネルギーを蓄えるようになっている。
【0035】
この本発明の第4実施形態によると、本体26は、この本体26の第2本体部62のほぼ径方向外側かつその周囲をほぼ取り囲んで延在する少なくとも1つの第2リブ88を含む。この第2リブ88は、注射筒16の内面78とで能動的シールを形成するようになっている。少なくとも1つのエアーポケット/気泡68は、第2リブ88に対して前方位置に配される。本体26は第3リブ90を含むことができ、第2リブ88および第3リブ90が
図6Bに示すような本体26の第2本体部62の外径D2の周囲を取り囲んで径方向外側に延在すると共にこの第2本体部62に沿って軸線方向に間隔をあけられている。
【0036】
図6B〜
図6Fおよび
図7〜
図9に示すように、ストッパー12の本体26は、開いた後端28の軸線方向内側に延在する少なくとも1つのアンダーカット部分55を含むことができる。このアンダーカット部分55は、プランジャーロッド14の前端装着部31をストッパー12内に固定するようになっている。一形態によると、アンダーカット部分55は、プランジャーロッド14の前端装着部31と連係するのに適した例えば
図7に示すような逆のテーパー部56を含むことができる。本発明による前端装着部31の種々の構造が以下に詳細に述べられる。
【0037】
図6Bおよび
図7に示すように、本体26はまた、プランジャーロッド14の前端装着部31のテーパー部196と接触するようになっているテーパー部198を有する内面を含むことができる。これら接触テーパー部196,198は相互に連係し、プランジャーロッド14に対して前方の力を加えることによって、ストッパー12が注射筒16に対して径方向の力を加え、これと共に能動的シールを形成するようになっている。
【0038】
図6C,
図6D,
図8,
図9に描いたような本発明の他の形態によると、本体26の内面132のテーパー部199は、この本体26の側壁部57から可撓性コア部材32まで連続した輪郭形状であってよい。この連続した輪郭のテーパー部199は、プランジャーロッド14の前端装着部31のテーパー部196と連係するようになっており、プランジャーロッド14に前方の力を加えることにより、ストッパー12が注射筒16に対して径方向の力を加え、これと共に能動的シールを形成するようになっている。
【0039】
注射筒16の内圧の上昇は、ストッパー12の閉じた前端30が注射筒16の壁の内面78に対してより高い接触圧を持つようにさせ、それによってストッパー12と注射筒16とのシール漏れを阻止する。本発明の能動的シールは、注射筒16内が低流体圧の場合にストッパー12と注射筒16との間の低接触圧を用いることにより、この問題を解決するが、注射筒16を通るプランジャーロッド14およびストッパー12の前方移動中の如き流体圧が上昇する場合にはより高い接触圧がある。
【0040】
一実施形態において、この能動的シールは、プランジャーロッド14の前端装着部31とストッパー12の内側との相互作用によって達成される。
図6Bに示すような一実施形態によると、プランジャーロッド14の前端装着部31は、前方案内面テーパー部196を含み、ストッパー12の内側のテーパー部198に対応している。使用中にプランジャーロッド14が押し込まれた場合、前方案内端縁がストッパー12の内側に力を加える。2つの面196,198が先細り形状のため、プランジャーロッド14は、注射筒16内のストッパー12を前方に押し出す力と、ほぼ径方向外側に押し出す力とを付与する。外方向の力は、ストッパー12を第2リブ88の前方の注射筒16の壁へと進めてシール圧を増大する。同様に、
図6Cおよび
図6Dに示すように、プランジャーロッド14の前端装着部31のテーパー部196は、プランジャーロッド14に対して前方の力を加えることによって、本体26の内面132の連続する輪郭テーパー部199に力を与え、ストッパー12が径方向の力を注射筒16に加え、これと共に能動的シールを形成するようになっている。大きなプランジャーロッドの力が注射筒16内の高圧によってもたらされ、これらの接触圧は、注射筒16内の圧力が上昇するので増大しよう。
【0041】
さらなる一実施形態において、ストッパー12の周縁スカート66はまた、リップシールとしても機能する。流体圧が上昇すると、エアーポケット/気泡68の空気圧を上昇させ、ストッパー12と注射筒16との境界でのスカート接触圧が上昇し、シール性能を改善する。この能動的シールの他の利点は、プランジャーロッド14の力を前方、すなわち第2リブ88にのみ加えることにより、注射中に後方、すなわち第3リブ90が前方に「引っ張られる」ことを可能にする。この引っ張りはまた、後方、すなわち第3リブ90の材料を引き伸ばして注射筒16に対して作用する力を減じると共に摩擦力をさらに低減させよう。
【0042】
本発明のストッパー構造は、ストッパー12が注射筒16に底づきして力がプランジャーロッド14から除かれた後、注射筒の前端から(任意に装着されたカテーテルへと)流体の押し込み変位を作り出すことによって、逆流を阻止することを意図する。この押し込み変位を作り出すために機能するストッパー12の特徴は、ストッパー12の先端部34でのシールと、先端部34と前方、すなわち第2シールリブ88との間のストッパー12の屈曲、すなわち相対変位と、獲得した加圧流体の形態にてプランジャーロッド14から力を解除する前に蓄えられる位置エネルギーとがある。ストッパー12の先端部34に対する第2リブ88の相対移動は、前方外側、すなわち第2リブ88を可撓性コア部材32と先端部34とに結合する可撓膜44によって達成される。エネルギーの蓄えは、可撓膜44と、周縁スカート66により第2リブ88の直前に閉じ込められる気泡、すなわちエアーポケット68との両方によって達成される。
【0043】
本発明のストッパー12の第4実施形態の特別な構造は、いくつかの利点を有する。例えば、周縁スカート66がほぼ直線状であってよいので、あらゆる径方向のフランジを必要とせず、周縁スカート66のしわが減少および/または排除される。特に、ストッパーの本体26の第1本体部60に肩部64を設けることは、周縁スカート66が相対的に直線形状を有することを可能にし、周縁スカート66の弾性および/または可撓性は、周縁スカート66自体の変形なく、周縁スカート66の接触領域80を肩部64と接触状態になるように、内側方向に撓ませることを可能にする。この構造の他の利点は、ストッパー12の製造が単純化されることである。単に1枚の成型板のみが金型の底部のために必要なので、金型費用が減じられる。
【0044】
周縁スカート66の外方延在部、すなわち隆起部77の付加は、注射筒16の内面78と接触する周縁スカート66の領域を最小にする。この減少した接触領域は、解除力および静摩擦を減少させ、投薬量の明瞭な表示をも提供する。最後に、この干渉構造および周縁スカート66の長さは、空気を閉じ込めるための適切な間隙を保持すると共に空気チャンバーから流体チャンバーへの圧力の伝達を可能にするようなものである。
【0045】
注射筒16内のストッパー12の能動的シールは、プランジャーロッド14の前端装着部31により、以下に記述されるようにストッパー12の特別な内部構造と組み合わせてさらに達成可能である。前端装着部31は、ここで前述したストッパーの任意の実施形態と共に用いるのに適している。本発明は、注射器10が事前充填および殺菌され、かつプランジャーロッド14をストッパー12に装着する前にストッパー12を注射筒16に挿入する状況において、特に有用である。
【0046】
図16A〜
図16Cに示すように、プランジャーロッド14は、前端126と後端128とを有し、
図16Bに示すような長手方向軸線AXに沿って延在する細長い部材124を含むことができる。少なくとも1つの撓みアーム130をこの細長い部材124の前端126と連係させることができる。撓みアーム130は、ストッパー12へのプランジャーロッド14の挿入中に径方向内側に撓むことができ、かつプランジャーロッド14をストッパー12内に固定するためにストッパー12へと挿入後、
図3に示すように外側に撓んでストッパー12の内面132と接触状態にすることができる。
図16A〜
図16Cは、2つの撓みアーム130を示しているけれども、プランジャーロッド14をストッパー12内に確実に装着する必要がある場合、任意の数の撓みアーム130を設けることができる。
【0047】
図3に戻って参照すると、プランジャーロッド14をストッパー12に挿入した場合、プランジャーロッド14の撓みアーム130がたわみ、かつ/またはストッパー12はこのストッパー12の内側のアンダーカット空間134へと撓みアーム130が移動することを可能にするように変形する。撓みアーム130がアンダーカット空間134に入ると、プランジャーロッド14は所定位置に固定されてストッパー12からの分離が阻止される。使用者が吸引のために注射器10を用いる場合、プランジャーロッド14の撓みアーム130は、ストッパー12の内側にあるストッパー12のアンダーカット面136へと食い込み、プランジャーロッド14がストッパー12から引っ張られるのを阻止しよう。撓みアーム130の底面133は、ストッパー12のアンダーカット面136の形状と対応するように先細りにすることができる。以下に詳細に述べるような種々の構造に従って撓みアーム130を組み込むことができる。
【0048】
図17Aおよび
図17Bに示すような第1実施形態によると、細長い部材124の前端126は、この前端126の前面144から延在するヘッド部材140を含む。このヘッド部材140は、その前面144に沿って延在するリム部材142を含む。撓みアーム130は、リム部材142の底面146からほぼ下方向に延在することができる。ストッパー12へのプランジャーロッド14の挿入中に撓みアーム130のたわみを制限するため、少なくとも1つの第1停止部材148を設けることができる。この第1停止部材148をヘッド部材140の後方部分150に隣接して配することができる。
【0049】
リム部材142は、
図3に示すようにストッパー12の内側面と共に能動的シールを形成することができるエラストマー材料から好ましくは形成される。補強材料153を撓みアーム130の接触領域に設けることも可能である。また、
図16Aおよび
図16Cならびに
図17Aに示すように、リム部材142およびヘッド部材140は、少なくとも1つの側壁158によって画成される中空部156を含むことができる。この側壁158は、中空部156の中央に向けて径方向内側に延在する複数の内側延在リブ159を有する。一実施形態によると、この中空部156は、可撓性コア部材32の後部とストッパー12の内部で接触状態になることができる。
【0050】
図18Aおよび
図18Bに示すような第2実施形態によると、少なくとも1つの撓みアーム160がヘッド部材140の中央部162から径方向外側に延在している。この実施形態において、撓みアーム160は、ヘッド部材140の中央部162の開口163を通って延在する連続部材であってよい。この実施形態のヘッド部材140およびリム部材142にも中空部166が設けられている。撓みアーム160の両端168を適切な補強材料から形成することも可能である。第1停止部材170は、ヘッド部材140の後方部分150から外側に延在している。第2停止部材172はリム部材142の底面173から後方に延在し、注射器10の吸引中の如き逆方向のアームのたわみを制限する。
【0051】
図19Aおよび
図19Bに示すような第3実施形態によると、少なくとも1つの撓みアームは、リム部材142の底面173から下向きかつ径方向外側に向けて延在する一対の撓みアーム174を含む。この実施形態において、第1停止部材176は、ヘッド部材140の後方部分150から外側に延在している。第2停止部材178は、吸引中の如き撓みアーム174のたわみを制限するため、リム部材142の外側端縁179から下方に延在している。撓みアーム174の両端180は適切な補強材料から形成されている。
【0052】
図20A〜
図20Cに示すような第4実施形態によると、細長い部材124の前端126は、ここから延在するヘッド部材140を有するベース面126Aを含む。ヘッド部材140は、その前面144に沿って延在するリム部材142を含む。この実施形態において、少なくとも1つの撓みアームは、ベース面126Aからヘッド部材140と平行に延在する第1アーム部182と、この第1アーム部182の前部186に装着されて第1アーム部182に対し後方かつ外方向に延在する第2アーム部184とを含む。ストッパー12へのプランジャーロッド14の挿入中に第2アーム部184のたわみを制限するため、
図20Cに示すような停止部材188を設けることができる。この停止部材188は、第1アーム部182の外側面190に隣接して第2アーム部184の内面191に隣接した場所に配される。必要な場合には、第2アーム部184の一部に補強材料189を含むことができる。さらに、第2アーム部材184の底面193を平坦か、または希望する場合には、ストッパー12の係合面のアンダーカット部分136の形状に応じて先細りにすることができる。
【0053】
これら二重の撓みアーム部182,184は、プランジャーロッド14の前端のベースと、この前端構造のベースに取り付けられたアームの先端とから撓むことができる。挿入中、通常の負荷が第2アーム部184の外側面に加えられる。この圧力が第2アーム部184の先端、すなわち前部186に加わると、第1アーム部182が内側にたわむ。圧力が第2アーム部184の表面に降下すると、この第2アーム部184がたわみ始めよう。たわみは、両方のアーム部182,184が最大たわみの場合に最も大きい。引き込み中に圧縮および/またはねじり負荷がアーム部182,184に加わり、第1アーム部182が内側にたわみ始めると共に第2アーム部184が
図3に示すようなアンダーカット面136の如きストッパーのアンダーカット面へと食い込もう。しかしながら、たわみは、アームの第2アーム部184とストッパー12の壁の内面132との間の接触によって制限される。上述したように、アーム部182,184のたわみを制限することによってアーム部182,184への応力を減少させるため、停止部材188を必要に応じて設け、挿入中および停止部材188と第2アーム部184とが相互に接触状態になった後の表面圧力に関係なく、たわませることができる。
【0054】
図20A〜
図20Cの実施形態もまた、ヘッド部材140の開口192およびリム部材142を含むことができる。この開口192は、円形の側壁194と、この円形の側壁194から開口192に向けて内側に延在する複数のリブ195とによって画成される。
【0055】
図21A〜
図21Fに示すような第5実施形態によると、概ね200で示したプランジャーロッド14の装着部は、撓みアーム204を含むことができ、これは単一の円形撓みアームか、または細長い部材124の前端126から延在する複数の撓みアームを含むことができる。この撓みアーム204は空間206を画成し、ストッパー12内へのプランジャーロッド14の装着中に、撓みアーム204は空間206に向けて内側にたわむ。撓みアーム204が最大たわみに達してストッパー12の内側のアンダーカット空間134に収容されると、スラッグ208がこの空間206に挿入されて撓みアーム204を支持し、注射器10の使用中にこれがつぶれてストッパーから分離するのを阻止することができる。
図21Dおよび
図21Eに示すような一実施形態によると、細長い部材124は中空部210を含み、スラッグ208はこの中空部210内に予め成形されている。ストッパー12に対するプランジャーロッド14の装着後、付加力が中空部210内に加えられてスラッグ208を空間206へと押し込む。代わりに、スラッグ208を別体で形成し、その後、差し込むことができる。
【0056】
本発明の他の形態は、
図22A,
図22B,
図23A,
図23B,
図24A,
図24B,
図25に示すような新奇なプランジャー本体の構造である。プランジャーロッド14は、硬質熱可塑性材料から好ましくは作られる。この構造は、以下に詳細に述べるように、中空の細長いプランジャーロッド本体から成り、この中空部は複数の長手方向に延在するローブによって画成され、好ましくは奇数個のローブが設けられている。従来の中実本体4本リブのプランジャー構造において、使用者がリブの端縁に対して垂直の可能性がある側方負荷を吸引中に加える可能性があり、最小の側方負荷たわみを生じさせるか、あるいはリブ間の領域、すなわちリブから45°の領域に対して垂直な最大側方負荷たわみを生じさせる。本発明は、前端236を有する細長い本体部234と、後端238と、前端236と後端238との間に長手方向軸線に沿って延在する側壁部239とを具えたプランジャー本体を導入している。側壁部239は、内側中空部242を画成する複数の長手方向延在ローブ240を具えている。装着部材244が前端236に固定され、ストッパー12に対するプランジャーロッド14の装着に適合する。カバー部材246が細長い本体部234の後端238に固定され、内側の中空部242を覆うと共に使用中にプランジャーロッド14に力を加えるための親指押し領域248を与えている。
【0057】
長手方向延在ローブ240は、相互にほぼ等距離に間隔をあけた奇数個のローブを好ましくは具えている。
図23Aおよび
図23Bに示すような一実施形態によると、複数の長手方向延在ローブ240は、相互にほぼ120°に配された3つのローブ構造250を具えている。また
図22Aおよび
図22Bに示すような他の実施形態によると、複数の延在ローブ240は5個の数から成り、5つのローブ構造251を形成し、これらローブ240は相互にほぼ等距離に間隔をあけている。ローブは、プランジャーロッド14のほぼ一様な側方負荷たわみを形成するように、相互に配されている。奇数個のローブ240を設けることは、負荷がローブ240の間の領域に加えられた場合、反発負荷を支持する反対側にローブを設けることによって予想されるたわみを減少させる。本発明はまた、
図24Aおよび
図24Bに示す如き4つのローブ240の中空の細長いプランジャー本体構造252をも含む。プランジャー14の本体部分が中空部253を含むので、上述したような中空構造に関連する利点は、4つのローブ構造252にも同様に存在しよう。中空構造はまた、プランジャーロッド14の本体部234の剛性の付加と、製造経費の減少や、より容易な製造方法ならびに以下の詳細な記述などの如き、いくつかの人間工学的な改良とをもたらす。
【0058】
本発明のプランジャーロッド14は、次の工程によって製造可能である。第1の工程において、細長い本体部234および前端装着部材244が同一材料から一体成形される。プランジャーロッド14は内側中空部242を有するように設計され、射出成形中にコアピンをプランジャーロッド14の中央に押し上げることができるようになっている。これは、プランジャーロッド14が「立ち姿勢」で成形されることを可能にし、コアピンの追加冷却に帰せられる成形サイクルタイムの短縮と、キャビティの数の増加に帰せられる生産量の増大とを結果としてもたらす。親指押し側/領域248のコアピン開口、すなわち内側中空部242を覆うため、注射中の快適さを付加する柔らかな感触の面板249を親指押し領域248に装着することができる。
【0059】
図25に示すような第2の工程によると、プランジャーロッド14を3つの別々な部品で製造することができる。装着部材244は射出成形可能であり、プランジャーロッド14の細長い本体部234は、押し出し成形または射出成形可能であり、カバー部材、すなわち親指押し板246は打ち抜き成形法によって製造可能である。性能を改善する必要がある場合、これら装着部材244および細長い本体部234ならびに親指押し板246を異なる材料から形成することができる。例えば、性能を改善するためにより高価な材料を用いて前端装着部材244を成形することができ、柔らかな感触のエラストマーを親指押し板246のために用いることができる。プランジャー14の本体部234を押し出し成形した場合、均一な側方負荷たわみをもたらすような断面の幾何学的形状を付加することを可能にし、また金型の分割線によって制限される他の方法に対して人間工学的な改良を可能にする。さらに、本体部に対して押し出し成形法を採用することは、異なる長さの注射筒16と共に用いるために単一の押し出し装置から異なる長さの本体部を製造することを可能にする。
【0060】
図17A,
図17B,
図18A,
図18B,
図19A,
図19B,
図20A〜20Cの装着構成において、これらの実施形態のそれぞれは、その前面144に沿って延在するリム部材142を有するヘッド部材140を含み、リム部材は、前方の力をプランジャーロッド14に加えることにより、径方向の力をストッパー12に加えるため、
図2Bに示すようにストッパー12内で対応テーパー部198に当接するようになっているテーパー部196を含む。
図21A〜
図21Fの構成において、撓みアーム204は、前方の力をプランジャーロッド14に加えることにより、径方向の力をストッパー12に加えるため、ストッパー12内で対応テーパー部198に接触するようになっているテーパー部213をその前端214に含む。
【0061】
本発明のストッパー構造は、ストッパー12が注射筒16に底づきして力がプランジャーロッド14から除かれた後、装着したカテーテルへの流体の押し込み変位を作り出すことによって、逆流を阻止することを意図している。この押し込み変位を作り出すために機能するストッパー12の特徴は、ストッパー12の先端部34のシール、および先端部34と前方、すなわち第1シールリブ46との間のストッパー12の屈曲、すなわち相対変位、ならびに加圧流体の形態の位置エネルギーが捕捉されてプランジャーロッド14から力を除く前に蓄えられることができる手段である。ストッパー12の先端部34に対する第1リブ46の相対移動は、外側の第1リブ46を可撓性コア部材32および先端部34に接続する可撓膜44によって達成される。このエネルギーの蓄えは、可撓膜44と、折り畳まれた前方延在スカート50により第1リブ46の直前で閉じ込められる気泡、すなわちエアーポケットチャンバー53との両方によって達成される。
【0062】
図10〜
図12に示すように、押し込み変位、すなわち注射筒内への逆流を阻止する方法は、次のステップを含む。第1のステップは、開いた後端28と閉じた前端30とを画成する本体を有するストッパー12を用意する。開いた後端28は、プランジャーロッド14の前端装着部材31をそこに収容するようになっている。可撓性コア部材32は、閉じた前端30に隣接する本体26と一体成形された可撓膜44を介して本体26と相互に連結されている。可撓性コア部材32は、上述したような輪郭を好ましくは有し、自動調心して注射筒16のルアー20の内面とで能動的シールを作り出すようになっている先端部34を含む。この方法は、プランジャーロッド14の前端装着部材31をストッパー12の開いた後端28内に差し込むステップをさらに含む。プランジャーロッド14に力を加え、可撓性コア部材32の先端部34が注射筒のルアー20の内面36に接触するまで、注射筒16へとストッパー12を前進させると、シールが形成されると共にルアー20へと流出する流体が閉じ込められる。追加の力をプランジャーロッド14に加えて先端部34を圧縮すると、少なくとも1つのリブ46が注射筒16内を前進して閉じ込められた空気を圧縮し、エアーポケット53内の圧力上昇を形成する。この方法の最後のステップは、プランジャーロッド14に対する力を除き、 先端部34とルアー20の内面36との間のシールを解除することを具え、摩擦力がリブ46を注射筒16内の前進位置に保持し、閉じ込められたすべての流体がエアーポケット53内の上昇圧力によってルアー20およびあらゆる装着カテーテルを介して押し出されるようになっている。
【0063】
図2Aおよび
図2Bならびに
図3は、ストッパー12が本体26の閉じた前端30から延在する少なくとも1つの前方延在スカート50を含むストッパー構造を示し、ストッパー12を注射筒の中へと前進させる力を加えるステップは、このスカート50がストッパー12の本体26に対して内側にたわんで実質的に接触するか、あるいはその外側部分52に対して予め設定した距離以下にたわみ、エアーポケット53を形成してその中に空気を閉じ込めることをもたらす。追加の力をプランジャーロッド14に加えて先端部34を圧縮するステップは、可撓膜44の引き伸ばしをもたらす。プランジャーロッド14に対する力を解除し、それによって可撓膜44対する力を除くステップは、閉じ込められたあらゆる流体が出口開口、すなわちルアー20および任意の装着カテーテルを介して押し出されることをもたらす。
【0064】
図4Aおよび
図4Bは、蓄えられたエネルギーを補助し、閉じ込められた任意の流体をルアー20から押し出すため、可撓性のスカートに気泡を閉じ込めることに依存しないストッパー構造を示す。どちらかと言えば、この構造は、可撓性コア部材32をストッパー12の本体26に結合する膜44Aの可撓性に依存しているだけであり、圧力エネルギーを獲得し、力がプランジャーロッド14から除かれると、これを戻す。気泡を閉じ込めることができる追加の特徴は、ポケットまたは溝付き経路をストッパー面に成形した他の形態を含む。
【0065】
図5Aおよび
図5Bは、本発明によるストッパー254のさらに他の構造を例示する。すでに詳細に述べたこの構造は、注射筒に対してシールするためのリップシールを示す。ストッパー254の前部シール256は、可撓性アーム258の前端縁に配される。初期シール圧は、注射筒の壁に対するアームの干渉によって発生する。注射筒16内の圧力が上昇すると、径方向外向きの力が可撓性アーム258の内側259に加わる。この外向きの力は、注射筒の壁に対するシールの押し付け力を増大させよう。
【0066】
図6Cのストッパー構造を用いて流体を押し付け変位させると共に注射筒内の逆流を阻止する方法もまた、本発明によってもたらされ、
図13〜
図15に示されている。この方法は、閉じた前端30を有する本体26を具えたストッパー12を用意するステップを具えている。本体26はまた、その中にプランジャーロッド14の前端装着部材31を収容するようになっている開いた後端28を含むものであってよい。本体26は、第1の直径を有する第1本体部60と、第1本体部60の第1の直径よりも大きな第2直径を有する第2本体部62とを含む。可撓性コア部材32は、閉じた前端30に隣接する本体26と一体成形されている。可撓性コア部材32は、前端から延在する先端部34と、本体26の第1本体部60の周囲に延在する肩部64と、第2本体部62から本体26の前端30に向かって延在する少なくとも1つの周縁スカート66とを含む。周縁スカート66は、肩部64と連係してそこに少なくとも1つのエアーポケット/気泡68を閉じ込める。周縁スカート66は、外面リップ部74に沿った径方向延在隆起部、すなわち第1リブ77を含む。この方法は、本体26の外径部、すなわち第2本体部62の周囲を取り囲んで径方向外側に延在する少なくとも1つの第2リブ88を用意するステップと、プランジャーロッド14の前端装着部材31をストッパー12の開いた後端28内に挿入するステップと、プランジャーロッド14に力を加え、可撓性コア部材32の先端部34がルアー20の如き出口開口の後ろ、すなわち内面36に当接するまで、ストッパー12を注射筒16へと推進させるステップと、シールを形成してルアー20へと流出する流体を閉じ込めるステップと、追加の力のプランジャーロッド14に加えて先端部34を圧縮するステップと、第2リブ88を注射筒16内に進めるステップと、閉じ込めた空気を圧縮してエアーポケット68内に上昇圧力を形成するステップとをさらに具えている。フラッシュ作業の完了により、この方法は、プランジャーロッド14に対する力を除いて先端部34とルアー20の内面36との間のシールを解除するステップを含み、摩擦力が第2リブ48を注射筒12内の前進位置に保持し、エアーポケット68内の上昇圧力は、閉じ込められたすべての流体がルアー20および任意の装着カテーテルを通って押し出されるようになっている。シールが失われると、エアーポケット/気泡68内の圧力および貯蔵エネルギーが解放される。このエアーポケット/気泡68は、ストッパー12の前部に押し付ける流体を増大させよう。この解除された圧力は、ルアー20を介して外方に押し、装着した任意のカテーテルを通って流体が外に押し出されることをもたらす。
【0067】
可撓性コア部材32の先端部34は、能動的シールを注射筒16のルアー20の内面とで作り出すような輪郭を有する。このコア部材32は、可撓性および/または弾性の膜44を介して本体26と相互に連結される。追加の力をプランジャーロッド14に加えて先端部34を圧縮するステップは、可撓膜44が引き伸ばされることをもたらし、プランジャーロッド14に対する力を解除するステップは、可撓膜44に対するこの力を解除し、閉じ込められたあらゆる流体をルアー20および任意の装着カテーテルを介して押し出されることをもたらし、注射筒16内への逆流を阻止する。
【0068】
本発明は、既存のプランジャーロッドおよびストッパーの構造に対して多くの利点を有する。本発明の一形態において、ストッパー12が最初に前進する場合に離脱力の低減があって、この器具の使いやすさを増大し、ストッパー12を最初に離脱させた時に発生する解除を低減する。この構造はまた、能動的シールによりストッパー12と注射筒16との間での干渉を減少させたため、ストッパー12が受ける力を改善、すなわち減らし、プランジャーロッド14とストッパー12とのアセンブリーがより広範な多種多様の注射器ポンプ用途で用いられることを可能にする。本発明のアセンブリーのさらに別の利点は、特にプランジャーロッド14がストッパー12に装着される前にストッパー12が注射筒16に挿入される場合、プランジャーロッド14とストッパー12との間の改善された接続である。ねじ締結を用いた従前の構造は、ストッパーを中心からずれて変形またはこれを押し付け、漏洩の可能性を増大させる傾向があった。最後に、本発明の構造は、プランジャーロッド14が底づきしてプランジャーロッド14に対する力が解除された後、流体の押し込み変位を達成する。
【0069】
本発明の特定の実施形態を詳細に記述したけれども、この開示内容の全体的な教示に照らして種々の変更およびこれらの細部についての選択を創出できることは、当業者らによって理解されよう。従って、記述された特定の構成は単なる例示であって、添付した特許請求の範囲ならびにあらゆるその均等物のすべての広がりに与えられるべき発明の範囲を限定しない。