(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
オランザピン単独で処置した場合に比してのメタボリック症候群の発生率の減少を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置のためのオランザピン及びTAAR1アゴニストを含む、請求項1記載の組合せ。
オランザピン単独で処置した場合に比しての抗糖尿病性効力を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置のためのオランザピン及びTAAR1アゴニストを含む、請求項2記載の組合せ。
オランザピン単独で処置した場合に比して血糖変動を減少させることになる抗糖尿病性効力を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置のためのオランザピン及びTAAR1アゴニストを含む、請求項3記載の組合せ。
オランザピン単独で処置した場合に比して体脂肪量及び体重を減少させることになる抗糖尿病性効力を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置のためのオランザピン及びTAAR1アゴニストを含む、請求項4記載の組合せ。
オランザピン単独で処置した場合に比してのメタボリック症候群の発生率の減少を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置のための、オランザピン及びTAAR1アゴニストを含む、請求項1記載の組合せを含む医薬。
オランザピン単独で処置した場合に比してのメタボリック症候群の発生率の減少を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置用の医薬の製造のための、請求項1記載の組合せの使用。
オランザピン単独で処置した場合に比して血糖変動を減少させることになる抗糖尿病性効力を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置用の医薬の製造のための、請求項8記載の組合せの使用。
オランザピン単独で処置した場合に比して体脂肪量及び体重を減少させることになる抗糖尿病性効力を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置用の医薬の製造のためのオランザピン及びTAAR1アゴニストを含む、請求項9記載の組合せの使用。
オランザピン単独で処置した場合に比してのメタボリック症候群の発生率の減少を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置のための医薬であって、有効量のオランザピン及び請求項1に記載のとおりのTAAR1アゴニストを含む組合せを含む医薬。
オランザピン単独で処置した場合に比してのメタボリック症候群の発生率の減少が、血糖変動、体脂肪量及び体重を減少させることによる抗糖尿病性効力からもたらされる、請求項11記載の統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置のための医薬であって、有効量のオランザピン及び請求項1に記載のとおりのTAAR1アゴニストを含む組合せを含む医薬。
オランザピン単独で処置した場合に比してのメタボリック症候群の発生率の減少を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置のための、オランザピン及び請求項1に記載のとおりのTAAR1アゴニストの組合せを、薬学的に許容しうる賦形剤と共に含む、医薬組成物。
オランザピン単独で処置した場合に比してのメタボリック症候群の発生率の減少が、血糖変動、体脂肪量及び体重を減少させることによる抗糖尿病性効力からもたらされる、該メタボリック症候群の発生率の減少を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置のための、オランザピン及び請求項1に記載のとおりのTAAR1アゴニストの組合せを、薬学的に許容しうる賦形剤と共に含む、医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1a】マウスにおけるコカイン誘発自発運動に対する効果
【
図1b】マウスにおけるコカイン誘発自発運動に対する効果
【
図2】マウスにおけるL−687414−誘発自発運動に対するTAAR1アゴニストの効果
【
図3】マウスにおけるL−687414−誘発自発運動でのオランザピンとの相乗作用
【
図4a】マウスにおけるoGTT中のグルコース及びインスリンAUCに対するS1の効果
【
図4b】マウスにおけるoGTT中のグルコース及びインスリンAUCに対するS1の効果
【
図5a】マウスにおけるoGTT中のグルコース及びインスリンAUCに対するS2の効果
【
図5b】マウスにおけるoGTT中のグルコース及びインスリンAUCに対するS2の効果
【
図6a】マウスにおけるoGTT中のグルコース及びインスリンAUCに対するS3の効果
【
図6b】マウスにおけるoGTT中のグルコース及びインスリンAUCに対するS3の効果
【
図7a】マウスにおけるoGTT中のグルコース及びインスリンAUCに対するS4の効果
【
図7b】マウスにおけるoGTT中のグルコース及びインスリンAUCに対するS4の効果
【
図8】マウスにおけるoGTT中のグルコースAUCに対するS5の効果
【
図9a】マウスにおけるoGTT中のグルコースAUCに対するS6、S7及びS8(各、10mg/kg、経口)の効果
【
図9b】マウスにおけるoGTT中のグルコースAUCに対するS6、S7及びS8(各、10mg/kg、経口)の効果
【
図10a】マウスにおけるoGTT中のグルコースAUCに対するS9、S10及びS11の効果
【
図10b】マウスにおけるoGTT中のグルコースAUCに対するS9、S10及びS11の効果
【
図11a】マウスにおけるoGTT中のグルコースAUCに対するS12、S13、S14、S15及びS16の効果
【
図11b】マウスにおけるoGTT中のグルコースAUCに対するS12、S13、S14、S15及びS16の効果
【
図12】マウスにおけるoGTT中のグルコースAUCに対するS17(0.3及び1mg/kg、経口)の効果
【
図13a】ラットにおける累積体重増加に対するS2の効果
【
図13b】ラットにおける累積体重増加に対するS2の効果
【
図14a】ラットにおける体脂肪含有量に対するS2の効果
【
図14b】ラットにおける体脂肪含有量に対するS2の効果
【
図14c】ラットにおける体脂肪含有量に対するS2の効果
【0028】
TAAR1アゴニストの群より選択された化合物であって、WO08/092785、WO08/098857、WO2010/010014及びPCT/EP2010/070045に記載されており、かつ以下の構造(I):
【化1】
[式中、
R
1は、水素、重水素、三重水素、C
1−7−アルキル、ヒドロキシ、C
1−7−アルコキシ、ハロゲンで置換されているC
1−7−アルキル、ハロゲンで置換されているC
1−7−アルコキシ、ハロゲン、ハロゲンで場合により置換されているフェニルであるか、又は、フェニルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、−COO−C
1−7−アルキル、−O−(CH
2)
o−O−C
1−7−アルキル、NH−シクロアルキル、シクロアルキルもしくはテトラヒドロピラン−4−イルオキシであり、ここで、n>1の場合、置換基は、同じ又は異なっていてもよく;
Xは、結合、−CHR−、−CHRCHR’−、−OCH
2−、−NRCHR’、−OCHRCHR’、−CH
2OCHR−、−CH
2CH
2CH
2−、−SCH
2−、−S(O)
2CH
2−、−CH
2SCH
2−、−CH
2N(R)CH
2−、−シクロアルキル−CH
2−又はSiRR’−CH
2−であり;
R/R’は、互いに独立に、水素、C
1−7−アルキル、又はハロゲンで置換されているC
1−7−アルキルであり得;
R
2は、水素、フェニル又はC
1−7−アルキルであり;
Yは、フェニル、ナフチル、チオフェニル、ピリジニル、シクロアルキル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル又はベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルであり;
nは、0、1、2又は3であり;
oは、2又は3である]で示される化合物、又は薬学的に適切な酸付加塩である。
【0029】
更に具体的には、TAAR1受容体アゴニストは、以下の構造(I−1):
【化2】
[式中、
R
1は、水素、C
1−7−アルキル、ヒドロキシ、C
1−7−アルコキシ、ハロゲンで置換されているC
1−7−アルキル、ハロゲンで置換されているC
1−7−アルコキシ、又はハロゲンであり、ここで、n=2の場合、置換基は、同じ又は異なっていてもよく;
Xは、結合、−NRCHR’、−CHRCHR’又は−OCHRCHR’であり;
R/R’は、互いに独立に、水素、C
1−7−アルキルであり得;
nは、1又は2である]で示される化合物であるか、
或いは、式(II):
【化3】
[式中、
Rは、水素又はC
1−7−アルキルであり;
R
1は、−(CH
2)
n−(O)
o−ヘテロシクロアルキル(場合により、C
1−7−アルキル、ヒドロキシ、ハロゲンで、又は−(CH
2)
p−アリールで置換されている)であり;
nは、0、1又は2であり;
oは、0又は1であり;
pは、0、1又は2であり;
R
2は、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルであるか、又はアリールもしくはヘテロアリールであり、ここで、芳香族環は、C
1−7−アルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、CF
3、OCF
3、OCH
2CF
3、C
1−7−アルコキシ、CH
2−C
1−7−アルコキシ、C
2−7−アルキニル又はシアノより選択される1又は2個の置換基で場合により置換されており;
Xは、結合、−NR’−、−CH
2NH−、−CHR”−、−(CH
2)
q−O−又は−(CH
2)
2−であり;
R’は、水素又はC
1−7−アルキルであり、
R”は、水素、C
1−7−アルキル、C
1−7−アルコキシであり、
qは、0、1又は2である]で示される化合物、又はその薬学的に適切な酸付加塩であるか、
或いは、更に具体的には、式(II−1):
【化4】
[式中、
Rは、水素であり;
R
1は、ピロリジニルであり;
R
2は、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、芳香族環は、ハロゲンで場合により置換されており;
Xは、結合又は−NR’−であり;
R’は、水素又はC
1−7−アルキルである]で示される化合物、又はその薬学的に適切な酸付加塩である。
【0030】
本明細書で使用する、「C
1−7−アルコキシ」という用語は、アルキル残基が上で定義されたとおりであり、酸素原子を介して結合している基を意味する。
【0031】
本明細書で使用する、「ハロゲンで置換されているC
1−7−アルキル」という用語は、少なくとも1個の水素原子がハロゲン置き換えられている、上で定義されたとおりのアルキル基、例えば、CF
3、CHF
2、CH
2F、CH
2CF
3、CH
2CH
2CF
3、CH
2CF
2CF
3等を意味する。
【0032】
「ハロゲン」という用語は、塩素、ヨウ素、フッ素及び臭素を意味する。
【0033】
「シクロアルキル」という用語は、3〜6個の炭素環原子を含有する、アルキレン環である。
【0034】
「アルキニル」という用語は、例えば、エチニル又は2−プロピニルのような、三重結合及び炭素原子を7個まで、好ましくは4個まで含む直鎖状又は分岐鎖状炭化水素残基を表す。
【0035】
「アリール」という用語は、フェニル又はナフチル環、好ましくはフェニル環のような芳香族炭素環に関する。
【0036】
「ヘテロアリール」という用語は、ピリジニル、ピラゾリル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル及びイソキノリニルのような、窒素、酸素及び/又は硫黄より選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含むことができる、芳香族5〜6員単環式環、又は9〜10員二環式環を指す。
【0037】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル又はチオモルホリニルのような、窒素、酸素及び/又は硫黄より選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含むことができる、非芳香族5〜6員単環式環を指す。
【0038】
「薬学的に許容しうる酸付加塩」という用語は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のような無機酸及び有機酸との塩を包含する。
【0039】
以下に記載の実施例中で使用された特定の化合物は、下記:
S1=(S)−4−((S)−2−フェニル−ブチル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
S2=(S)−4−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
S3=(S)−4−(4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
S4=(S)−4−[(エチル−フェニル−アミノ)−メチル]−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
S5=3−[(S)−1−((S)−2−アミノ−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチル)−プロポキシ]−フェノール
S6=5−クロロ−ピリジン−2−カルボン酸(4−ピロリジン−3−イル−フェニル)−アミド
S7=4−クロロ−N−(4−ピロリジン−3−イル−フェニル)−ベンズアミド
S8=1−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−3−(4−ピロリジン−3−イル−フェニル)ウレア
S9=(S)−4−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシメチル]−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
S10=5−クロロ−ピリミジン−2−カルボン酸{4−[2−((S)−2−アミノ−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェニル}−アミド
S11=N−{4−[2−((S)−2−アミノ−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェニル}−4−クロロ−ベンズアミド
S12=(R)−2−クロロ−6−メチル−N−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)イソニコチンアミド
S13=(S)−N−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)−6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ニコチンアミド
S14=(S)−N−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)−2−(トリフルオロメチル)イソニコチンアミド
S15=(S)−1−(4−フルオロベンジル)−3−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)ウレア
S16=(S)−1−(3−シアノフェニル)−3−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)ウレア、及び
S17=(S)−6−クロロ−N−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)ニコチンアミドである。
【0040】
驚くべきことに、抗精神病薬、特にオランザピンと上述のTAAR1アゴニストとの組合せは、幾つかの望まれない代謝系の副作用を減少させ得ることが示された。
【0041】
本発明の目的は、下記である:
− 非定型抗精神病薬とTAAR1アゴニストとの組合せ、ここで、好ましい非定型抗精神病薬は、オランザピンであり、そして好ましいTAAR1アゴニストは、式(I)、(I−1)、(II)又は(II−1)の化合物である。更に具体的には、TAAR1アゴニストは、S1〜S17より選択される化合物である。
【0042】
− 新規な化合物S2、これは、式(I)又は(I−1)により包含される、(S)−4−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミンである。
【0043】
− メタボリック症候群の発生率の減少を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置用のオランザピン及びTAAR1アゴニストを含む組合せ、ここで、該メタボリック症候群の発生率の減少は、血糖変動、体脂肪量及び体重を減少させることによる抗糖尿病性効力からもたらされる。
【0044】
− メタボリック症候群の発生率の減少を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置用のオランザピン及びTAAR1アゴニストを含む組合せの使用、ここで、該メタボリック症候群の発生率の減少は、血糖変動、体脂肪量及び体重を減少させることによる抗糖尿病性効力からもたらされる。
【0045】
− メタボリック症候群の発生率の減少を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置用の医薬の製造のためのオランザピン及びTAAR1アゴニストを含む組合せの使用、ここで、該メタボリック症候群の発生率の減少は、血糖変動、体脂肪量及び体重を減少させることによる抗糖尿病性効力からもたらされる。
【0046】
− メタボリック症候群の発生率の減少が、血糖変動、体脂肪量及び腹囲を減少させることによる抗糖尿病性効力からもたらされる、該メタボリック症候群の発生率の減少を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置のための方法であって、それを必要とするヒトに有効量の非定型抗精神病薬及びTAAR1アゴニストを含む組合せを投与することを含む、方法。
【0047】
− メタボリック症候群の発生率の減少が、血糖変動、体脂肪量及び腹囲を減少させることによる抗糖尿病性効力からもたらされる、該メタボリック症候群の発生率の減少を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置のための方法、ここで、非定型抗精神病薬は、オランザピンであり、そしてTAAR1アゴニストは、式(I)、(I−1)、(II)及び(II−1)に記載のとおりである。
【0048】
− メタボリック症候群の発生率の減少を伴う、統合失調症及び双極性障害に関連する躁病エピソードの処置用の、非定型抗精神病薬ならびに式(I)、(I−1)、(II)及び(II−1)に記載のとおりのTAAR1アゴニストの組合せを薬学的に許容しうる賦形剤と共に含む医薬組成物、ここで、該メタボリック症候群の発生率の減少は、血糖変動、体脂肪量及び体重を減少させることによる抗糖尿病性効力からもたらされる。
【0049】
TAAR1アゴニストは、以下のように調製し得る:
【0050】
実施例S1
(S)−4−((S)−2−フェニル−ブチル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
【化5】
a) (R)−1−ヨードメチル−プロピル)−ベンゼン
ジクロロメタン(150mL)中のトリフェニルホスフィン(15.4g、59mmol)及びイミダゾール(3.99g、59mmol)の溶液に、室温で、反応混合物の温度が30℃を超えて上昇しないようにして、ヨウ素(14.9g、50mmol)を少しずつ加えた。次に混合物に、ジクロロメタン(50mL)中の(R)−2−フェニル−ブタン−1−オール(7.34g、41mmol、CAS 16460-75-6)の溶液を加え、次に混合物を室温で一晩撹拌した。次に混合物を減圧下で濃縮し、残留物をエーテルに再懸濁し、得られた結晶を濾過により回収した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をヘプタン中でトリチュレートした。得られた結晶を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/EtOAc)により精製して、無色の油状物(6.38g、60%)を得た。
【0051】
b) (2R,5S)−2−イソプロピル−3,6−ジメトキシ−5−((S)−2−フェニル−ブチル)−2,5−ジヒドロ−ピラジン
テトラヒドロフラン(30mL)中の(2R)−(−)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−2−イソプロピルピラジン(4.25g、23.1mmol)の溶液を、−78℃に冷却し、次にn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、15.1mL、24.2mmol)を加え、混合物を1時間撹拌した。テトラヒドロフラン(30mL)中の((R)−1−ヨードメチル−プロピル)−ベンゼン(6.30g、24.2mmol)の溶液を、30分間かけて滴下し、−70℃からゆっくりと室温に温まるにまかせている間、混合物を一晩撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液の添加によりクエンチし、混合物をエーテルで抽出した。有機層を分離し、飽和ブラインで洗浄し、次にNa
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/EtOAc)により精製して、明黄色の油状物(4.69g、64%)を得た。MS (ISP): 317.0 ([M+H]
+).
【0052】
c) (2S,4S)−2−アミノ−4−フェニル−ヘキサン酸メチルエステル
水(440mL)中のトリフルオロ酢酸(3.4mL)の溶液に、15分間かけて、アセトニトリル(75mL)中の(2R,5S)−2−イソプロピル−3,6−ジメトキシ−5−((S)−2−フェニル−ブチル)−2,5−ジヒドロ−ピラジン(4.69g、14.8mmol)の溶液を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌し、次に飽和炭酸ナトリウム水溶液の添加により塩基性にし、混合物を酢酸エチルで抽出した。相を分離し、有機相を水そして飽和ブラインで順次洗浄し、次にNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2、EtOAc/ヘプタン)により精製して、黄色の油状物(2.78g、85%)を得た。MS (ISP): 222.1 ([M+H]
+).
【0053】
d) (2S,4S)−2−アミノ−4−フェニル−ヘキサン−1−オール
テトラヒドロフラン(8mL)中の水素化アルミニウムリチウム(121mg、3.18mmol)の懸濁液に、テトラヒドロフラン(10mL)中の(2S,4S)−2−アミノ−4−フェニル−ヘキサン酸メチルエステル(320mg、1.45mmol)の溶液を加え、混合物を16時間撹拌した。反応物を酢酸エチルの滴下でクエンチし、次に塩酸の添加によりpH5に酸性化し、次に飽和重炭酸ナトリウム水溶液の添加により塩基性にした。混合物を酢酸エチル/テトラヒドロフラン(1:1)に取り、相を分離し、有機相を水そして飽和ブラインで順次洗浄した。次に有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(カラム:Isolute (登録商標) Separtis製 Flash-NH
2; 溶離剤:ジクロロメタン/MeOH)により精製して、黄色の油状物(116mg、42%)を得た。MS (ISP): 194.4 ([M+H]
+).
【0054】
e) (S)−4−((S)−2−フェニル−ブチル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
メタノール(20mL)中の(2S,4S)−2−アミノ−4−フェニル−ヘキサン−1−オール(270mg、1.40mmol)及び酢酸ナトリウム(229mg、2.70mmol)の撹拌し、冷却した(0℃)溶液に、メタノール(2mL)中の臭化シアン(180mg、1.68mmol)の溶液を10分間かけて滴下した。次に混合物を室温に温まるにまかせ、撹拌を16時間続けた。混合物を減圧下で濃縮し、残留物を酢酸エチルに取り、飽和重炭酸ナトリウム水溶液そして飽和ブラインで順次洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(カラム:Isolute (登録商標) Separtis製 Flash-NH
2; 溶離剤:ヘプタン/EtOAc/MeOH)により精製して、明黄色の固体を得た。MS (ISP): 219.3 ([M+H]
+).
【0055】
S2
(S)−4−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
【化6】
a) (RS)−アミノ−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−アセトニトリル
メタノール(20mL)中の3−フルオロ−2−メチル−ベンズアルデヒド(5.0g)の撹拌した溶液に、アンモニア溶液(40.5mL、メタノール中7M 溶液)そしてオルトチタン酸テトライソプロピル(12.6mL)を順次加え、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。次にトリメチルシリルシアニド(4.69mL)を滴下し、撹拌を室温で一晩続けた。反応混合物を氷水(400mL)に注ぎ、次に混合物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(RS)−アミノ−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−アセトニトリル(5.90g、定量)を橙色の固体として得た。
1H NMR δ (CDCl
3, 300 MHz): 7.39 (1H, d, J = 7.3 Hz), 7.31 (1H, m), 7.17 (1H, dd, J = 9.6 & 9.6 Hz), 5.16 (1H, t, J = 7.8 Hz), 5.16 (1H, d, J = 7.8 Hz), 2.26 (1H, d, J = 2.1 Hz).
【0056】
b) (RS)−アミノ−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−酢酸
(RS)−アミノ−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−アセトニトリル(5.89g)を、5N 塩酸水溶液(40mL)に懸濁し、混合物を18時間加熱還流した。次に混合物を酢酸エチルで抽出し、水相を減圧下で濃縮した。残留物をイソプロパノールに再懸濁し、減圧下で再び濃縮した。残留物を水に取り、1N NaOH水溶液の滴下により中和し、それにより白色の結晶がゆっくりと形成した。結晶を濾過により回収し、50℃にて減圧下で乾燥させて、(RS)−アミノ−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−酢酸(7.1g、定量)をオフホワイトの固体として得た。MS (ISP): 184.1 ([M+H]
+).
【0057】
c) (RS)−2−アミノ−2−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−エタノール
THF中の水素化ホウ素リチウム(48.9mL、2M 溶液)の撹拌した溶液に、アルゴン雰囲気下、クロロトリメチルシラン(25.0mL)を滴下した。得られた懸濁液を0℃に冷却し、(RS)−アミノ−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−酢酸(7.1g)を滴下し、それにより反応混合物の温度が一時的に45℃に上昇した。氷浴を取り外し、次に撹拌を室温で90分間続けた。混合物をメタノール(20mL)の滴下によりクエンチし、次に減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチルに懸濁し、2N NaOH水溶液で洗浄した。相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(RS)−2−アミノ−2−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−エタノール(1.83g、28%)を明黄色の固体として得た。MS (ISP): 170.3 ([M+H]
+).
【0058】
d) (RS)−4−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
メタノール(17mL)中の(RS)−2−アミノ−2−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−エタノール(1.82g)及び酢酸ナトリウム(1.72g)の撹拌し、冷却した(0℃)溶液に、メタノール(8mL)中の臭化シアン(1.18g)の溶液を10分間かけて滴下した。次に混合物を0℃で1時間撹拌し、次に室温に温まるにまかせ、撹拌を2時間続けた。混合物を減圧下で濃縮し、残留物を水に再懸濁し、1M 水酸化ナトリウム水溶液の添加により塩基性にした。次に混合物をジクロロメタンで2回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2; 勾配:ジクロロメタン/メタノール)により精製して、(RS)−4−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン(0.85g、41%)を明黄色の固体として得た。MS (ISP): 195.3 ([M+H]
+).
【0059】
e) (+)−(S)−4−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン及び(−)−(R)−4−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
(RS)−4−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミンを、キラルHPLC(Chiralpak AD、EtOH/ヘプタン=10:90)により分離して、(−)−(R)−4−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン(白色の固体;MS (ISP): 195.3 ([M+H]
+))を第1画分として、そして(+)−(S)−4−(3−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン(白色の固体;MS (ISP): 195.3 ([M+H]
+))を第2画分としてとして得た。
【0060】
S3
(+)−(S)−4−(4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
【化7】
a) (RS)−4−(4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
これを、実施例S2(工程a〜d)と同様にして、3−フルオロ−2−メチル−ベンズアルデヒドの代わりに4−クロロ−2−トリフルオロメチル−ベンズアルデヒドから出発して調製した。白色の固体。MS (ISP): 267.1 ([{
37Cl}M+H]
+), 265.0 ([{
35Cl}M+H]
+).
【0061】
b) (+)−(S)−4−(4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン及び(−)−(R)−4−(4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
(RS)−4−(4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミンを、キラルHPLC(Chiralpak AD、EtOH/ヘプタン=5:95)により分離して、(+)−(S)−4−(4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン(白色の固体; MS (ISP): 267.1 ([{
37Cl}M+H]
+), 265.0 ([{
35Cl}M+H]
+))を第1画分として、及び(−)−(R)−4−(4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン(白色の固体; MS (ISP): 267.1 ([{
37Cl}M+H]
+), 265.0 ([{
35Cl}M+H]
+))を第2画分として得た。
【0062】
S4
(S)−4−[(エチル−フェニル−アミノ)−メチル]−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
【化8】
a) (S)−4−[(エチル−フェニル−アミノ)−メチル]−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル
1,2−ジクロロエタン(10mL)中の(R)−(+)−4−ホルミル−2,2−ジメチル−3−オキサゾリンカルボン酸tert−ブチル(681mg、CAS 95715-87-0)の撹拌した溶液に、室温で、アルゴン雰囲気下、モレキュラーシーブ4Å(1.5g)及びN−エチルアニリン(0.25mL)を加えた。室温で15分間撹拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.68g)を一度に加え、続いて酢酸(5滴)を加え、撹拌を室温で一晩続けた。混合物を10%KHCO
3(15mL)の注意深い添加によりクエンチした。二相性混合物を室温で室温で20分間撹拌し、濾過した。濾液の水相をCH
2Cl
2で逆抽出した。合わせた有機物をH
2O及びブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2; 勾配:シクロヘキサン→シクロヘキサン/EtOAc 4:1)により精製して、(S)−4−[(エチル−フェニル−アミノ)−メチル]−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(469mg、57%)を橙色の粘性油状物として得た。MS (ISP): 335.5 ([M+H]
+).
【0063】
b) (S)−2−アミノ−3−(エチル−フェニル−アミノ)−プロパン−1−オール
ジオキサン(5.85mL)中の(S)−4−[(エチル−フェニル−アミノ)−メチル]−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(462mg)の撹拌した溶液に、室温でアルゴン雰囲気下、HCl溶液(ジオキサン中4M ; 4.14mL)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、濃縮した。残留物をEtOAcに取り、10%重炭酸カリウム水溶液で洗浄した。水層をEtOAcで逆抽出した。合わせた有機物を水で、次にブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Isolute (登録商標) SPE Flash-NH2カラム、アミノプロピル−官能基化シリカ;CH
2Cl
2/MeOH 9:1)により精製して、(S)−2−アミノ−3−(エチル−フェニル−アミノ)−プロパン−1−オール(133mg、62%)を明褐色の粘性油状物として得た。MS (ISP): 195.1 ([M+H]
+)
【0064】
c) (S)−4−[(エチル−フェニル−アミノ)−メチル]−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
THF(5mL)中の(S)−2−アミノ−3−(エチル−フェニル−アミノ)−プロパン−1−オール(128mg)の撹拌した溶液に、室温でアルゴン雰囲気下、炭酸カリウム(182mg)及びTHF(5mL)中の臭化シアン(140mg)の溶液を加えた。撹拌を室温で21時間続けた。混合物(オフホワイトの懸濁液)をEtOAcで希釈し、H
2Oで洗浄した。水層をEtOAcで逆抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Isolute (登録商標) SPE Flash-NH2カラム、アミノプロピル−官能基化シリカ; 勾配:CH
2Cl
2→CH
2Cl
2/MeOH 9:1)により精製して、(S)−4−[(エチル−フェニル−アミノ)−メチル]−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン(108mg、75%)をオフホワイトの固体として得た。MS (ISP): 220.4 ([M+H]
+)
【0065】
S5
3−[(S)−1−((S)−2−アミノ−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチル)−プロポキシ]−フェノール
【化9】
a) (S)−4−((R)−2−ヒドロキシ−ブチル)−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル及び(S)−4−((S)−2−ヒドロキシ−ブチル)−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル
乾燥ジエチルエーテル(100mL)中の(S)−2,2−ジメチル−4−(2−オキソ−エチル)−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(15.5g; CAS 147959-19-1)の撹拌した溶液に、アルゴン雰囲気下、室温で、ジエチルエーテル中のエチルマグネシウムブロミドの溶液(42.6mL、3M 溶液)を滴下し、撹拌を1時間続けた。次に反応混合物を、水(10mL)の注意深い添加によりクエンチし、次に混合物をデカライトを通して濾過した。濾液を、水そして飽和ブラインで順次洗浄し、次に有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2; 勾配:ヘプタン/EtOAc 100:0→50:50)により精製して、画分から(S)−4−((R)−2−ヒドロキシ−ブチル)−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(7.30g)を最初に溶離し、及び画分から(S)−4−((S)−2−ヒドロキシ−ブチル)−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(6.44g)を後に溶離し、両方の化合物を無色の油状物として得た。(S)−4−((R)−2−ヒドロキシ−ブチル)−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル:
1H NMR δ (CDCl
3, 300 MHz): 4.52 (1H, br. D, J = 3.3 Hz), 4.23 (1H, m), 4.00 (1H, dd, J = 8.7 & 5.4 Hz), 3.66 (1H, d, J = 8.7 Hz), 3.40 (1H, m), 1.79 (1H, td, J = 11.4 & 2.1 Hz), 1.60-1.44 (16H, m), 0.95 (3H, t, J = 7.5 Hz).(S)−4−((S)−2−ヒドロキシ−ブチル)−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル:
1H NMR δ (CDCl
3, 300 MHz): 4.12 (1H, m), 3.98 (1H, dd, J = 9.0 & 5.7 Hz), 3.82 (1H, m), 3.55 (1H, m), 2.88 (1H, br. s), 1.79 (1H, m), 1.70-1.40 (16H, m), 0.95 (3H, t, J = 7.5 Hz).
【0066】
b) (S)−4−[(S)−2−(3−ベンジルオキシ−フェノキシ)−ブチル]−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル
THF(5mL)中の3−ベンジルオキシ−フェノール(264mg)の撹拌した溶液に、トリフェニルホスフィン(364mg)そしてジ−tert−ブチルアゾジカルボキシラート(309mg)を順次加え、得られた黄色の溶液を室温で15分間撹拌した。次にTHF(5mL)中の(S)−4−((R)−2−ヒドロキシ−ブチル)−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(300mg)の溶液を滴下し、得られた混合物を70℃で90分間撹拌した。反応混合物を室温に冷まし、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2; 勾配:ヘプタン/EtOAc 100:0→70:30)により精製して、(S)−4−[(S)−2−(3−ベンジルオキシ−フェノキシ)−ブチル]−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.35g、34%)を無色の粘性油状物として得た。MS (ISP):456.4 ([M+H]
+).
【0067】
c) (2S,4S)−2−アミノ−4−(3−ベンジルオキシ−フェノキシ)−ヘキサン−1−オール
水(6mL)中のトリフルオロ酢酸(0.07mL)の溶液に、アセトニトリル(1mL)中の(S)−4−[(S)−2−(3−ベンジルオキシ−フェノキシ)−ブチル]−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(135mg)の溶液を滴下した。混合物を機械振盪しながら80℃で4時間加熱した。次に混合物を室温に冷まし、1N 水酸化ナトリウム水溶液で希釈した。混合物を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−ベンジルオキシ−フェノキシ)−ヘキサン−1−オール(94mg、定量)を明黄色の粘性油状物として得た。MS (ISP): 316.1 ([M+H]
+).
【0068】
d) (S)−4−[(S)−2−(3−ベンジルオキシ−フェノキシ)−ブチル]−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
メタノール(2mL)中の(2S,4S)−2−アミノ−4−(3−ベンジルオキシ−フェノキシ)−ヘキサン−1−オール(90mg)と酢酸ナトリウム(46mg)の撹拌した混合物に、アルゴン雰囲気下、メタノール(1mL)中の臭化シアン(37mg)の溶液を加えた。混合物を18時間撹拌し、次に1N 水酸化ナトリウム水溶液で希釈した。混合物をジクロロメタンで2回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(カラム:Isolute (登録商標) Separtis製 Flash-NH
2; 勾配:ジクロロメタン/MeOH 100:0→95:5)により精製して、(S)−4−[(S)−2−(3−ベンジルオキシ−フェノキシ)−ブチル]−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン(69mg、71%)を明黄色のガム状物として得た。MS (ISP): 341.1 ([M+H]
+).
【0069】
e) 3−[(S)−1−((S)−2−アミノ−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチル)−プロポキシ]−フェノール
メタノール(3mL)中の(S)−4−[(S)−2−(3−ベンジルオキシ−フェノキシ)−ブチル]−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン(60mg)の溶液に、室温で10%パラジウム担持炭(19mg)を加えた。混合物を水素雰囲気(1atm)下、室温で1時間撹拌した。触媒をデカライトを通して濾過により除去し、メタノール及びジクロロメタンで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して、3−[(S)−1−((S)−2−アミノ−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチル)−プロポキシ]−フェノールを白色の固体(44mg、定量)として得た。MS (ISP): 251.2 ([M+H]
+).
【0070】
S6
(RS)−4−クロロ−N−(4−ピロリジン−3−イル−フェニル)−ベンズアミド塩酸塩
【化10】
a) (RS)−3−[4−(4−クロロ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
THF(50mL)中の(RS)−tert−ブチル 3−(4−アミノフェニル)ピロリジン−1−カルボキシラート(1.9g、CAS 908334-28-1)の撹拌した懸濁液に、トリエチルアミン(2.0mL)そして4−クロロ−ベンゾイルクロリド(0.93mL)を順次加え、撹拌を室温で3時間続けた。次に混合物を酢酸エチルで希釈した。水を加え、混合物を1M 塩酸水溶液の添加によりpH1に酸性化した。有機相を分離し、水酸化ナトリウム水溶液そして飽和ブラインで順次洗浄した。次に有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(RS)−3−[4−(4−クロロ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.42g、83%)を白色の固体として得て、これを更に精製しないで次の工程で使用した。
【0071】
b) (RS)−4−クロロ−N−(4−ピロリジン−3−イル−フェニル)−ベンズアミド塩酸塩
THF(30mL)中の(RS)−3−[4−(4−クロロ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.36g)の撹拌した溶液に、ジオキサン中の塩化水素の溶液(22mL、4M 溶液)を滴下し、混合物を60℃で一晩加熱した。次に混合物を0℃に冷却し、結果として生じた結晶を濾過により回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、次に減圧下で60℃にて乾燥させて、(RS)−4−クロロ−N−(4−ピロリジン−3−イル−フェニル)−ベンズアミド塩酸塩(1.65g、83%)を白色の結晶質固体として得た。MS (ISP): 303.2 ([{
37Cl}M+H]
+), 301.3 ([{
35Cl}M+H]
+).
【0072】
S7
(RS)−1−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−3−(4−ピロリジン−3−イル−フェニル)−ウレア塩酸塩
【化11】
a) (RS)−3−{4−[3−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−ウレイド]−フェニル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
ジクロロエタン(20mL)中の2−アミノ−5−クロロ−ピリジン(1.01g)の撹拌した懸濁液に、トリホスゲン(831mg)を少しずつ加えた。次にトリエチルアミン(2.22mL)を滴下し、混合物を50℃で1時間撹拌した。次に混合物を減圧下で濃縮して、トリエチル塩化アンモニウム及び5−クロロ−2−イソシアナト−ピリジンの混合物を含有しているベージュ色の固体を得た。次にこの固体を、ジクロロエタン(6mL)中の(RS)−tert−ブチル 3−(4−アミノフェニル)ピロリジン−1−カルボキシラート(350mg、CAS 908334-28-1)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.68mL)の撹拌した溶液に加え、得られた混合物を60℃で一晩撹拌した。次に混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2; 勾配:ヘプタン/EtOAc)により精製して、(RS)−3−{4−[3−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−ウレイド]−フェニル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(212mg、38%)をオフホワイトの固体として得た。MS (ISP): 419.2 ([{
37Cl}M+H]
+), 417.2 ([{
35Cl}M+H]
+).
【0073】
b) (RS)−1−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−3−(4−ピロリジン−3−イル−フェニル)−ウレア塩酸塩
THF(4mL)中の(RS)−3−{4−[3−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−ウレイド]−フェニル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(210mg)の撹拌した溶液に、ジオキサン中の塩化水素の溶液(1.89mL、4M 溶液)を滴下し、混合物を60℃で一晩加熱した。次に混合物を0℃に冷却し、結果として生じた結晶を濾過により回収し、酢酸エチルで洗浄し、減圧下で60℃にて乾燥させて、(RS)−1−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−3−(4−ピロリジン−3−イル−フェニル)−ウレア塩酸塩(167mg、94%)をベージュ色の結晶質固体として得た。MS (ISP): 319.1 ([{
37Cl}M+H]
+), 317.2 ([{
35Cl}M+H]
+).
【0074】
S8
(RS)−5−クロロ−ピリジン−2−カルボン酸(4−ピロリジン−3−イル−フェニル)−アミド塩酸塩
【化12】
a) (RS)−3−{4−[(5−クロロ−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
DMF(10mL)中の(RS)−tert−ブチル 3−(4−アミノフェニル)ピロリジン−1−カルボキシラート(200mg、CAS 908334-28-1)の撹拌した懸濁液に、N−メチルモルホリン(0.22mL)、TBTU 490mg)そして5−クロロ−2−ピリジンカルボン酸(180mg)を順次加え、混合物を室温で90分間撹拌した。次に混合物を酢酸エチルで希釈し、1M 塩酸水溶液そして飽和ブラインで順次洗浄した。相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2; 勾配:ヘプタン/EtOAc)により精製して、(RS)−3−{4−[(5−クロロ−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(310mg、定量)を白色の固体として得た。MS (ISP): 421.3 ([M+NH
4]
+), 419.2 ([M+NH
4]
+).
【0075】
b) (RS)−5−クロロ−ピリジン−2−カルボン酸(4−ピロリジン−3−イル−フェニル)−アミド塩酸塩
THF(6mL)中の(RS)−3−{4−[(5−クロロ−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(310mg)の撹拌した溶液に、ジオキサン中の塩化水素の溶液(2.9mL、4M 溶液)を滴下し、混合物を60℃で一晩加熱した。次に混合物を0℃に冷却し、結果として生じた結晶を濾過により回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で60℃にて乾燥させて、(RS)−5−クロロ−ピリジン−2−カルボン酸(4−ピロリジン−3−イル−フェニル)−アミド塩酸塩を明黄色の固体として得た。MS (ISP): 304.2 ([{
37Cl}M+H]
+), 302.3 ([{
35Cl}M+H]
+).
【0076】
S9
(S)−4−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシメチル]−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
【化13】
a) 1−((S)−1−アリルオキシ−エチル)−4−フルオロ−ベンゼン
乾燥DMF(180mL)中の水素化ナトリウム(3.14g、油中55%分散液)の撹拌した懸濁液に、アルゴン雰囲気下、(S)−1−(4−フルオロフェニル)−エタノール(8.41g、CAS 101219-73-2)を加えた。次に臭化アリル(6.6mL)を滴下した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、次に水の添加によりクエンチした。混合物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を乾燥(MgSO
4)させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2; 勾配:ヘプタン/EtOAc)により精製して、1−((S)−1−アリルオキシ−エチル)−4−フルオロ−ベンゼン(8.66g、80%)を無色の液体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3, δppm): 1.43 (d, J=6.6 Hz, 3H), 3.84 (m, 2H), 4.45 (q, J=6.6 Hz, 1H), 5.15 (dd, J
1=10.5 Hz, J
2=1.8 Hz, 1H), 5.22 (dd, J
1=17.4 Hz, J
2=1.8 Hz, 1H), 5.89 (m, 1H), 7.03 (m, 2H), 7.29 (m, 2H).
【0077】
b) (S)−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1,2−ジオール
AD−MIX−β(62.9g)を、t−BuOH/H
2O 1:1(440mL)中で、室温にて15分間撹拌し、次に0℃に冷却した。この溶液に、1−((S)−1−アリルオキシ−エチル)−4−フルオロ−ベンゼン(8.00g)を加えた。混合物を0℃で48時間撹拌した。反応混合物を亜硫酸ナトリウムで処理し、0℃で30分間、そして室温で1日間撹拌した。溶液を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を乾燥(MgSO
4)させ、減圧下で濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2; 勾配:ヘプタン/EtOAc 1/1→0/1)により精製して、(S)−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1,2−ジオール及び(R)−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1,2−ジオールの80:20の混合物(8.59g、90%)を明黄色の液体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3, δppm): 1.44 (d, J=6.6 Hz, 3H), 2.1 (b, 1H), 2.6 (b, OH), 3.39 (m, 2H), 3.60 (m, 1H), 3.64 (m, 1H), 3.83 (m, 1H), 4.41 (q, J=6.6 Hz, 1H), 7.03 (m, 2H), 7.27 (m, 2H).
【0078】
c) (R)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−2−オール
テトラヒドロフラン(84mL)中の(S)−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1,2−ジオール及び(R)−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1,2−ジオールの80:20の混合物(8.40g)の溶液に、トリエチルアミン(5.74mL)及び4−ジメチルアミノピリジン(479mg)を加えた。混合物を0℃に冷却し、テトラヒドロフラン(17mL)中のtert−ブチル(クロロ)ジメチルシラン(6.21g)の溶液を滴下した。0℃で2時間後、反応混合物を室温で16時間撹拌した。水を加え、混合物をジエチルエーテルで2回抽出した。合わせた有機層を乾燥(MgSO
4)させ、減圧下で濃縮して、(R)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−2−オール及び(S)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−2−オールの80:20の混合物(12.6g、98%)を黄色の液体として得た。粗生成物を更に精製しないで次の工程で使用した。
【0079】
d) (S)−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシメチル]−エチルアミン
ジクロロメタン(60mL)中の(R)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−2−オール及び(S)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−2−オールの80:20の混合物(12.4g)ならびにトリエチルアミン(6.84mL)の撹拌した溶液に、0℃で、THF中のメタンスルホニルクロリド(3.52mL)の溶液を滴下した。混合物を0℃で1時間撹拌し、次に水及びジクロロメタンを加えた。水相を2度目はジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、生成物を高真空下で乾燥させた。得られた粗メシル酸生成物(15.5g)をDMF(100mL)に溶解し、アジ化ナトリウム(4.94g)を加えた。反応混合物を100℃で16時間撹拌した。次に反応物を水でクエンチし、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗アジド生成物(15.6g)をメタノール(160mL)に溶解し、10%パラジウム担持炭(1.6g)を加えた。混合物を水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。触媒を、セライトを通して濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮して、(S)−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシメチル]−エチルアミン及び(R)−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシメチル]−エチルアミンの80:20の混合物(14.4g、100%)を黄色の液体として得て、これを更に精製しないで次の工程で使用した。
【0080】
e) (R)−2−アミノ−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1−オール
THF(150mL)中の(S)−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシメチル]−エチルアミン及び(R)−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシメチル]−エチルアミンの80:20混合物(14.4g)の撹拌した溶液に、0℃でフッ化テトラブチルアンモニウム(22.9mL、THF中1M 溶液)を加え、混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(カラム:Isolute (登録商標) Separtis製 Flash−NH
2; 溶離剤:酢酸エチル)により精製して、(R)−2−アミノ−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1−オール及び(S)−2−アミノ−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1−オールの80:20の混合物(5.58g、60%)を明黄色の液体として得た。MS (ISP): 214.4 ([M+H]
+).
【0081】
f) (R)−2−アミノ−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1−オール(R)−ヒドロキシ−フェニル−アセタート
イソプロパノール(3mL)中の(R)−2−アミノ−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1−オール及び(S)−2−アミノ−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1−オール(2.94g)の80:20の混合物の撹拌した溶液に、イソプロパノール(2mL)中のD−(−)−マンデル酸(2.10g)の溶液を加えた。溶媒を蒸発させ、酢酸エチルと交換して、白色の結晶を得、これを濾過により回収した。結晶を80℃の高温EtOAc(65mL)中で溶解し、混合物をゆっくりと放冷した。70℃の温度に達したときに結晶が現れ、次に懸濁液を室温で16時間撹拌した。結晶を濾過により回収し、80℃の高温EtOAc(80mL)中に再溶解し、結晶化が開始するまで混合物をゆっくりと放冷し、次に得られた懸濁液を室温で16時間撹拌した。結晶を濾過により回収して、純粋な(R)−2−アミノ−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1−オール(R)−ヒドロキシ−フェニル−アセタート(3.08g、61%)を白色の固体として得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO, δppm): 1.34 (d, J=6.3 Hz, 3H), 3.13 (m, 1H), 3.23 (m, 1H), 3.37 (m, 4H), 3.83 (m, 1H), 4.46 (q, J=6.3 Hz, 1H), 4.54 (s, 1H), 7.20 (m, 5H), 7.35 (m, 4H).
【0082】
g) (S)−4−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシメチル]−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン
EtOAc中の(R)−2−アミノ−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1−オール(R)−ヒドロキシ−フェニル−アセタートの懸濁液を、重炭酸ナトリウム水溶液で処理し、全ての固体が溶解してしまうまで、混合物を室温で撹拌した。相を分離し、有機層をMgSO
4で乾燥させた。溶媒を蒸発させて、(R)−2−アミノ−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1−オールを遊離塩基として得た。
【0083】
THF(80mL)中の(R)−2−アミノ−3−[(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−プロパン−1−オール(1.40g)の撹拌した溶液に、K
2CO
3(1.82g)そして臭化シアン(0.83g)を順次加えた。混合物を室温で18時間撹拌し、次に水を加えた。混合物を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、Isolute(登録商標)Flash-NH
2シリカゲル上で蒸発させた。クロマトグラフィー(カラム:Isolute(登録商標)Separtis製 Flash-NH
2;溶離剤:ヘプタン/酢酸エチル=25:75)に付して、標記化合物を白色の固体(1.15g、73%)として得た。MS (ISP): 239.0 ([M+H]
+).
【0084】
S10
5−クロロ−ピリミジン−2−カルボン酸{4−[2−((S)−2−アミノ−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェニル}−アミド
【化14】
標記化合物を、実施例S3と同様にして、工程c)の4−クロロ安息香酸の代わりに5−クロロピリミジン−2−カルボン酸(CAS 38275-61-5)を使用して得た。白色の固体。MS (ISP): 348.3 ([{
37Cl}M+H]
+), 346.1 ([{
35Cl}M+H]
+).
【0085】
S11
N−{4−[2−((S)−2−アミノ−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェニル}−4−クロロ−ベンズアミド
【化15】
a) (S)−2,2−ジメチル−4−[(E)−2−(4−ニトロ−フェニル)−ビニル]−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル
−78℃に冷却したTHF(50mL)中のジイソプロピルアミン(1.81mL)の撹拌した溶液に、ヘキサン中のn−ブチルリチウムの溶液(8.05mL、1.6M)を滴下した。冷却浴を取り外し、反応混合物を10℃まで温まるにまかせた後、−78℃に再冷却した。次にTHF(60mL)中の(4−ニトロ−ベンジル)−ホスホン酸ジエチルエステル(2.71g、CAS 2609-49-6)の溶液を滴下し、反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。次にTHF(50mL)中の(R)−4−ホルミル−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.50g、CAS 95715-87-0)の溶液を、30分間かけて滴下し、次に混合物を室温に90分間かけて温まるにまかせた。次に混合物を酢酸エチルで希釈し、1N 塩酸水溶液の添加により酸性化した。次に混合物を水そして飽和ブラインで順次洗浄した。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2; 勾配:ヘプタン/EtOAc)により精製して、(S)−2,2−ジメチル−4−[(E)−2−(4−ニトロ−フェニル)−ビニル]−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.21g、64%)を黄色の油状物として得た。MS (EI): 333 ([M-CH
3]
+), 292 ([M- C
4H
8]
+), 277 ([M-CH
3-C
4H
8]
+), 57 ([C
4H
9]
+).
【0086】
b) (S)−4−[2−(4−アミノ−フェニル)−エチル]−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル
メタノール(140mL)中の(S)−2,2−ジメチル−4−[(E)−2−(4−ニトロ−フェニル)−ビニル]−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.08g)撹拌した懸濁液に、ギ酸アンモニウム(5.66g)及びパラジウム担持炭(0.51g、10wt%)を加え、混合物を60℃で90分間加熱した。次に混合物を室温に冷まし、セライトを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2; 勾配:ヘプタン/EtOAc)により精製して、(S)−4−[2−(4−アミノ−フェニル)−エチル]−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.58g、82%)を黄色の油状物として得た。MS (ISP): 321.4([M+H]
+).
【0087】
c) (S)−4−{2−[4−(4−クロロ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−エチル}−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル
THF(4mL)中の(S)−4−[2−(4−アミノ−フェニル)−エチル]−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(20)の撹拌した溶液に、4−クロロ安息香酸(147mg)、N−メチルモルホリン(0.27mL)及びTBTU(401mg)を加えた。反応混合物を50℃に加熱し、16時間撹拌した。次に反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO
2; 勾配:EtOAc/ヘプタン)により精製して、(S)−4−{2−[4−(4−クロロ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−エチル}−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステルを白色の固体(254mg、89%)として得た。MS (ISP): 478.3 ([{
37Cl}M+NH
4]
+), 476.3 ([{
35Cl}M+NH
4]
+), 405.4 ([{
37Cl}M+H-C
4H
8]
+), 403.2 ([{
35Cl}M+H-C
4H
8]
+).
【0088】
d) N−[4−((S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−ブチル)−フェニル]−4−クロロ−ベンズアミド
アセトニトリル(5mL)中の(S)−4−{2−[4−(4−クロロ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−エチル}−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル(438mg)の溶液に、水(4mL)及びトリフルオロ酢酸(0.29mL)を加えた。混合物を80℃で4.5時間加熱した。次に混合物を室温に冷まし、1M NaOH水溶液に注ぎ、EtOAc/THFで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、N−[4−((S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−ブチル)−フェニル]−4−クロロ−ベンズアミド(255mg、84%)を白色の固体として得た。MS (ISP): 321.2 ([{
37Cl}M+H]
+), 319.2 ([{
35Cl}M+H]
+).
【0089】
e) N−{4−[2−((S)−2−アミノ−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェニル}−4−クロロ−ベンズアミド
メタノール(10mL)中のN−[4−((S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−ブチル)−フェニル]−4−クロロ−ベンズアミド(250mg)及び酢酸ナトリウム(124mg)の撹拌した懸濁液に、メタノール(3mL)中の臭化シアン(100mg)の溶液を滴下した。次に得られた淡黄色の溶液を、室温で16時間撹拌した。反応混合物を1N NaOH水溶液に注ぎ、ジクロロメタン/THFで2回抽出した。合わせた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル; 溶離剤:ヘプタン中の0%〜100%EtOAc、次にEtOAc中の0%〜30%MeOH)により精製して、N−{4−[2−((S)−2−アミノ−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェニル}−4−クロロ−ベンズアミド(150mg、56%)を白色の固体として得た。MS (ISP): 346.1 ([{
37Cl}M+H]
+), 344.2 ([{
35Cl}M+H]
+).
【0090】
S12
(R)−2−クロロ−6−メチル−N−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)イソニコチンアミド塩酸塩
【化16】
標記化合物を、実施例S4と同様にして、工程b)の(S)−2−(4−ブロモ−フェニル)−モルホリンの代わりに(R)−2−(4−ブロモ−フェニル)−モルホリンを使用し、そして工程e)の6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ニコチン酸の代わりに2−クロロ−6−メチルイソニコチン酸(CAS 25462-85-5)を使用して得た。明黄色の固体。MS (ISP): 334.1 ([{
37Cl}M+H]
+), 332.1 ([{
35Cl}M+H]
+).
【0091】
S13
(S)−N−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)−6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ニコチンアミド塩酸塩
【化17】
a) (S)−2−(4−ブロモフェニル)モルホリン:
(RS)−2−(4−ブロモ−フェニル)−モルホリン(2.27g、CAS-1131220-82-0)の鏡像異性体を、キラルHPLC(カラム: Chiralpak IA,8×32cm; 溶離剤:n−ヘプタン/エタノール(1:11)(0.1%DEA含有))を使用し分離して、下記を得た:
(S)−2−(4−ブロモ−フェニル)−モルホリン:7.6分〜9.4分に回収した。
97.4%(ee)で、収量(収率)0.97g(42.9%)
(R)−2−(4−ブロモ−フェニル)−モルホリン:9.8分〜13.9分に回収した。
97.4%(ee)で、収量(収率)0.99g(43.6%)。
【0092】
b) (S)−tert−ブチル2−(4−ブロモフェニル)モルホリン−4−カルボキシラート
THF(360mL)中の(S)−2−(4−ブロモ−フェニル)−モルホリン(36.3g)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(31.4mL)を、二炭酸ジ−tert−ブチル(39.3g)で処理した。反応混合物を室温で17時間撹拌し、次に減圧下で濃縮し、酢酸エチルで希釈し、1M クエン酸水溶液(2×100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗物質をヘキサンから結晶化して、(S)−tert−ブチル 2−(4−ブロモフェニル)モルホリン−4−カルボキシラート(47.1g、92%)をオフホワイトの固体として得た。MS (ISP): 344.1 ([M+H]
+).
【0093】
c) (S)−tert−ブチル2−(4−(ジフェニルメチレンアミノ)フェニル)モルホリン−4−カルボキシラート
(S)−tert−ブチル 2−(4−ブロモフェニル)モルホリン−4−カルボキシラート(47g)、ジフェニルメタンイミン(29.9g)、BINAP(6.41g)及びPd
2(dba)
3(3.14g)を、アルゴン下、乾燥かつ脱気したトルエン(940mL)に溶解し、ナトリウムtert−ブトキシド(18.5g)で処理した。暗褐色の混合物を90℃で18時間撹拌した。黄/褐色の反応混合物をトルエン(700mL)で希釈し、室温に冷まし、水で2回抽出した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をヘキサン300mLで希釈し、1時間撹拌し、濾別し、橙色の固体(68g)を得て、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20%酢酸エチル/ヘプタン)により精製した。合わせて濃縮した画分をヘキサンに懸濁し、17時間撹拌し、濾別し、減圧下で乾燥させて、(S)−tert−ブチル−(4−(ジフェニルメチレンアミノ)フェニル)モルホリン−4−カルボキシラート(54.1g、89%)を黄色の固体として得た。MS (ISP): 443.3 ([M+H]
+).
【0094】
d) (S)−tert−ブチル 2−(4−アミノフェニル)モルホリン−4−カルボキシラート
メタノール(930mL)中の(S)−tert−ブチル 2−(4−(ジフェニルメチレンアミノ)フェニル)モルホリン−4−カルボキシラート(54.1g)、ギ酸アンモニウム(116g)及び5%パラジウム担持炭(6.5g)の懸濁液を、60℃で2時間撹拌した。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル及び水に溶解した。有機相を0.5M HCl水溶液で2回抽出した。合わせた水相を、2M NaOH水溶液で塩基性化し、ジクロロメタンで2回抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で乾燥させて、(S)−tert−ブチル 2−(4−アミノフェニル)モルホリン−4−カルボキシラート(31.95g、94%)をオフホワイトの固体として得た。MS (ISP): 279.1 ([M+H]
+).
【0095】
e) (S)−tert−ブチル 2−(4−(6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ニコチンアミド)フェニル)モルホリン−4−カルボキシラート
THF(75mL)中の(S)−tert−ブチル 2−(4−アミノフェニル)モルホリン−4−カルボキシラート(1.5g)の撹拌した懸濁液に、N−メチルモルホリン(1.78mL)、HBTU(3.07g)そして6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ニコチン酸(1.63g)を順次加え、混合物を室温で17時間撹拌した。懸濁液をEtOAcで希釈し、0.5M HCl水溶液、飽和NaHCO
3水溶液、そして飽和ブラインで順次洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をヘプタン/EtOAc(1:1)から再結晶化により精製して、(S)−tert−ブチル 2−(4−(6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ニコチンアミド)フェニル)モルホリン−4−カルボキシラート(2.11g、81%)を白色の固体として得た。MS (ISP): 482.1 ([M+H]
+).
【0096】
f) (S)−N−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)−6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ニコチンアミド塩酸塩
ジオキサン(8mL)中の(S)−tert−ブチル 2−(4−(6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ニコチンアミド)フェニル)モルホリン−4−カルボキシラート(2.11g)の撹拌した懸濁液に、ジオキサン中の塩化水素の溶液(16.7mL、4M 溶液)を滴下し、混合物を60℃で2時間加熱した。反応混合物を室温に冷まし、ジオキサンで希釈し、結晶質生成物を濾過により回収し、Et
2Oで洗浄した。生成物を減圧下で乾燥させて、(S)−N−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)−6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ニコチンアミド塩酸塩(1.75g、94%)を明黄色の固体として得た。MS (ISP): 382.2 ([M+H]
+).
【0097】
S14
(S)−N−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)−2−(トリフルオロメチル)イソニコチンアミド塩酸塩
【化18】
標記化合物を、実施例S4と同様にして、工程e)の6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ニコチン酸の代わりに2−(トリフルオロメチル)イソニコチン酸(CAS 131747-41-6)を使用して得た。オフホワイトの固体。MS (ISP): 352.3 ([M+H]
+).
【0098】
S15
(S)−1−(4−フルオロベンジル)−3−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)ウレア塩酸塩
【化19】
a) (S)−tert−ブチル 2−(4−(3−(4−フルオロベンジル)ウレイド)フェニル)モルホリン−4−カルボキシラート
DMF(3.5mL)中の(S)−tert−ブチル 2−(4−アミノフェニル)モルホリン−4−カルボキシラート(100mg)の撹拌した溶液に、トリエチルアミン(62μL)そして1−フルオロ−4−(イソシアナトメチル)ベンゼン(58.4μL)を順次加え、混合物を60℃で17時間撹拌した。懸濁液を室温に冷まし、次に水で希釈し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機相を水そして飽和ブラインで順次洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配:EtOAc/ヘプタン)により精製して、(S)−tert−ブチル 2−(4−(3−(4−フルオロベンジル)ウレイド)フェニル)モルホリン−4−カルボキシラート(164mg、定量)を白色の固体として得た。MS (ISP): 374.0 ([M+H-C
4H
8]
+).
【0099】
b) (S)−1−(4−フルオロベンジル)−3−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)ウレア塩酸塩
THF(9mL)中の(S)−tert−ブチル 2−(4−(3−(4−フルオロベンジル)ウレイド)フェニル)モルホリン−4−カルボキシラート(163mg)の撹拌した懸濁液に、ジオキサン中の塩化水素の溶液(1.42mL、4M 溶液)を滴下し、混合物を60℃で6時間加熱した。反応混合物を室温に冷まし、EtOAcで希釈し、結晶質の生成物を濾過により回収し、Et
2Oで洗浄した。生成物を減圧下で乾燥させて、(S)−1−(4−フルオロベンジル)−3−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)ウレア塩酸塩(101mg、73%)を白色の固体として得た。MS (ISP): 330.1 ([M+H]
+).
【0100】
S16
(S)−1−(3−シアノフェニル)−3−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)ウレア塩酸塩
【化20】
標記化合物を、実施例S7と同様にして、工程a)の1−フルオロ−4−(イソシアナトメチル)ベンゼンの代わりに3−イソシアナトベンゾニトリル(CAS 16413-26-6)を使用して得た。オフホワイトの固体。MS (ISP): MS (ISP): 323.2 ([M+H]
+).
【0101】
S17
(S)−6−クロロ−N−(4−(モルホリン−2−イル)フェニル)ニコチンアミド塩酸塩
【化21】
標記化合物を、実施例S4と同様にして、工程e)の6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ニコチン酸の代わりに6−クロロニコチン酸(CAS 5326-23-8)を使用して得た。オフホワイトの固体。MS (ISP): MS (ISP): 320.1 ([{
37Cl}M+H]
+), 318.1 ([{
35Cl}M+H]
+).
【0102】
マウスTAAR1受容体におけるTAAR1アゴニストのインビトロ機能活性
マウスTAAR1を発現している組換えHEK293細胞を、5%CO
2/95%空気、37℃で、250mL容量のFalcon培養フラスコ中の培養液30mL中で成長させた。細胞培養液は、DMEM高グルコース、ウシ胎仔血清(10%、56℃で30分間加熱不活性化した)、ジェネテシンG418(500μg/mL)、及びペニシリン/ストレプトマイシン(1%)を含有していた。80〜90%のコンフルエント時に細胞を採取した。次に培養液を培養フラスコから除去し、細胞をPBS 5mLで1回洗浄した。洗浄液を除去した後、トリプシン/EDTA溶液5mLを37℃で5分間加えた。その後、培養液45mLを、剥離細胞の溶液5mLに加え、そして合計50mLを、50mL Falcon管(参照:2070)に移し、管を1300rpmで室温にて3分間遠心分離し、培養液を除去した。細胞ペレットを新たな培養液中で再懸濁し、1ミリリットル当たり5×10
5細胞にした。次に細胞を96−穴プレート(Becton Dickinson製 BIOCOAT 6640)にマルチピペットを用いて蒔き(100μL/穴、50000細胞/穴)、37℃で20時間インキュベートした。
【0103】
cAMPアッセイ:
細胞培地を除去し、細胞をPBSで1回洗浄した。1mM IBMXを含むPBS(AMIMED、エンドトキシン不含: 8-05F00-1)50μLを加え、細胞を、37℃で、5%CO
2/95%空気、30分間、インキュベートした。次に(例えば)20μM化合物溶液の50μL、又は1mM IBMXを含むPBS(AMIMED、エンドトキシン不含)中の50%β−PEA刺激濃度の50μLを加え、細胞を上記のように再び37℃で30分間インキュベートした。インキュベーションの後、3×検出混合溶液(Ru-cAMP, Alexa700-cAMP Ab及び溶解緩衝剤を含有)50μLで少なくとも60分間(2時間の方がより良い)、室温にて、激しく振盪しながら、細胞を溶解した。蛍光を、NanoScan (IOM読み取り装置)(励起:456nm、発光:630&700nm)で測定した。
【0104】
以下の表に示すように、化合物は、0.01μM未満の範囲においてマウスTAAR1でEC
50値(μM)を示す。効力値(%効力)は、100%アゴニスト活性を有するフェニルエチルアミンと相関関係にある。
【0105】
【表1】
【0106】
精神病の兆候を示す2つの動物モデルにおける、市販の抗精神病薬オランザピンに対する相加的及び相乗的なTAAR1アゴニストの抗精神病薬−様活性
【0107】
マウスにおけるコカイン誘発自発運動試験でのTAAR1アゴニスト及びオランザピンの相加的効果
TAAR1の活性化は、ドーパミン作動性神経伝達を下方調節することが示されたが、一方、TAAR1の阻害は、ドーパミン作動性神経伝達を増強することが示された(Lindemann et al., 2008; Bradaia et al., 2009)。マウスにおける、コカイン−及びL−687414(ベンジルオキシアミン)−誘発ハイパー自発運動活性試験からのデータは、TAAR1アゴニストが、潜在的な抗精神病薬−様活性を有していることを示している。
【0108】
ベースライン自発運動活性に対して適度の効果を有する用量で、S2は、マウスに1及び3mg/kg(経口)にて、コカイン誘発ハイパー自発運動活性を有意にアンタゴナイズした。更に、併用した場合、S2(0.3mg/kg、経口)及びオランザピン(0.3mg/kg、経口)の部分的活性用量は、コカインによって誘発されたハイパー自発運動を完全に逆転させた(
図1a)。このことは、S2が市販の抗精神病薬オランザピンに対して相加的効果を有し得ることを示している。
【0109】
また、S1及びオランザピンを別々に試験した場合、S1(0.1mg/kg、経口)及びオランザピン(0.3mg/kg、経口)は、コカイン誘発自発運動活性を部分的にアンタゴナイズしたことが観察されたが、一方、これらの化合物を併用した場合、コカイン誘発ハイパー自発運動活性の完全な逆転が観察された(
図1b)。
【0110】
このことは、S1が市販の抗精神病薬オランザピンに対して相加的効果を有していることを示し、市販の抗精神病薬に対するアドオン治療法としてのS1の可能性を支持している。
【0111】
図1 マウスにおけるコカイン誘発自発運動に対する効果
a)単独で試験した場合にコカイン誘発ハイパー自発運動活性を部分的にアンタゴナイズした、S1(0.1mg/kg、経口)及びオランザピン(0.3mg/kg、経口)の用量を併用した場合、正常化効果を示した。*p≦0.05、**p≦0.01、***p≦0.002 vs 「溶剤及びコカイン」群。b)単独で試験した場合にコカイン誘発ハイパー自発運動活性を部分的にアンタゴナイズした、S2(0.3mg/kg経口)及びオランザピン(0.3mg/kg経口)の用量を併用した場合、正常化効果を示した。*p≦0.05、**p≦0.01、***p≦0.002 vs 「溶剤及びコカイン」群。
【0112】
マウスにおけるL−687414−誘発自発運動試験でのTAAR1アゴニスト及びオランザピンの相乗的効果
グルタミン酸作動性系に対するS2の潜在的効果に取り組むために、S2(0.00003〜1mg/kg、経口)を、マウスにおいてL−687414(N−ヒドロキシ−3−アミノ−4−メチル−ピロリジン−2−オン、グリシン部位において作用しているNMDA受容体アンタゴニスト)−誘発ハイパー自発運動の急性手順において試験し、ここで、S2は、0.003〜1mg/kg(経口)の用量範囲で有意性を示して、用量依存的にL−687414をアンタゴナイズした(
図2)。
【0113】
図2 マウスにおけるL−687414−誘発自発運動に対するTAAR1アゴニストの効果
L−687414−誘発自発運動: S2(0.00003〜1mg/kg、経口)は、0.003〜1mg/kgで、L−687414−誘発ハイパー自発運動活性を完全にアンタゴナイズした(●黒丸)。*p≦0.05、**p≦0.01、***p≦0.001 vs 溶剤(○白丸)。
【0114】
更に、TAAR1アゴニストS2(0.001mg/kg、経口;
図2中の灰色のバー)の部分活性用量を、オランザピンの漸増する用量(0〜0.1mg/kg、経口)に加えた。
図3に示すように、オランザピンの非活性用量(0.02〜0.06mg/kg、経口)と併用したS2の部分活性用量(0.001mg/kg、経口)は、TAAR1アゴニスト及びオランザピンが、統合失調症の兆候があるこのマウスモデルにおいて相乗的効果を表すことを示しながら、L−687414−誘発自発運動活性を完全にアンタゴナイズした。
【0115】
図3 マウスにおけるL−687414−誘発自発運動でのオランザピンとの相乗作用
L−687414−誘発自発運動: オランザピンの漸増する用量(0〜0.1mg/kg、経口)と併用したS2(0.001mg/kg、経口)は、オランザピンの0.02及び0.06mg/kgでL−687414−誘発ハイパー自発運動活性を完全にアンタゴナイズした。*p≦0.05、**p≦0.01、***p≦0.001 L−687414+S2 vs L−687414群単独。
【0116】
正常な雄C57Bl6マウスにおける経口グルコース負荷試験(oGTT)に対するTAAR1アゴニストの急性効果。
経口グルコース負荷試験(oGTT)を、潜在的TAAR1アゴニストの抗糖尿病効果を示すためにC57Bl6マウスにおいて実施した。雄C57BL/6Jマウス(Charles River Laboratories, Lyon, France)を、体重に応じて8匹マウスの群に分けた。動物が餌1gを摂餌した前の晩、これは約10時間の絶食期間に相当する。実験の日に、動物を、2g/kgの経口グルコース負荷の45分前に、TAAR1アゴニスト又はプラセボ(0.3%Tween 80)で処置した。主な読み取り値は、Accu-Chek Avivaで測定された血糖であった。並行して、血液サンプルをインスリン測定のために採血した。
【0117】
S1は、グルコース負荷の後の溶剤と比較して、0.1及び0.3mg/kg(経口)で、血糖変動を有意に低下させた(
図4a)。同時に、溶剤処置と比較してTAAR1アゴニスト投与時に、インスリン可動域を有意に低下させた(
図4b)。S1を用いた空腹時血糖値に対する効果は、観察されなかった。メタボリック症候群は、統合失調症において有病率が高いので、抗糖尿病効果が統合失調症の患者にプラスの影響を与えることが想定される。
【0118】
図4 マウスにおけるoGTT中のグルコース及びインスリンAUCに対するS1の効果
S1(0.1、0.3mg/kg、経口)は、マウスにおけるoGTT中に、(a)グルコース及び(b)インスリンAUC(0〜60分)を顕著に低下させた。結果は、平均値±SEMとして示す。統計値: Anovaに続き、Dunettの事後検定、**p≦0.01、***p≦0.001 vs 溶剤(Veh)群;n=8匹/群。
【0119】
様々なレベルの効果(β−フェニルエチルアミンと比較して、51〜90%)を有する幾つかの更なるTAAR1アゴニスト(S2〜8)を、oGTTで試験し、そしてすべてがグルコースAUCを減少させることにおいて有意な効果を示したが、一方、該更なるTAAR1アゴニストが、インスリンAUCを減少させる試験をした(
図5〜9)。
【0120】
図5 マウスにおけるoGTT中のグルコース及びインスリンAUCに対するS2の効果
S2(0.3、1mg/kg、経口)は、マウスにおけるoGTT中に、(a)グルコース及び(b)インスリンAUC(0〜60分)を顕著に低下させた。結果は、平均値±SEMとして示す。統計値: Anovaに続き、Dunettの事後検定、***p≦0.001 vs 溶剤(Veh)群;n=8匹/群。
【0121】
図6 マウスにおけるoGTT中のグルコース及びインスリンAUCに対するS3の効果
S3(1、3mg/kg、経口)は、マウスにおけるoGTT中に、(a)グルコース及び(b)インスリンAUC(0〜60分)を顕著に低下させた。結果は、平均値±SEMとして示す。統計値: Anovaに続き、Dunettの事後検定、*p≦0.05、***p≦0.001 vs 溶剤(Veh)群;n=8匹/群。
【0122】
図7 マウスにおけるoGTT中のグルコース及びインスリンAUCに対するS4の効果
S4(0.3mg/kg、経口)は、マウスにおけるoGTT中に、(a)グルコース及び(b)インスリンAUC(0〜60分)を顕著に低下させた。結果は、平均値±SEMとして示す。統計値: Anovaに続き、Dunettの事後検定、*p≦0.05、***p≦0.001 vs 溶剤(Veh)群;n=8匹/群。
【0123】
図8 マウスにおけるoGTT中のグルコースAUCに対するS5の効果
S5(30mg/kg、経口)は、マウスにおけるoGTT中に、グルコースAUC(0〜60分)を顕著に低下させた。結果は、平均値±SEMとして示す。統計値: Anovaに続き、Dunettの事後検定、***p≦0.001 vs 溶剤群;n=8匹/群。
【0124】
図9 マウスにおけるoGTT中のグルコースAUCに対するS6、S7及びS8(各、10mg/kg、経口)の効果
S6(10及び30mg/kg、経口)、S7(10mg/kg、経口)、及びS8(10及び30mg/kg、経口)は、マウスにおけるoGTT中に、グルコースAUC(0〜60分)を顕著に低下させた。結果は、平均値±SEMとして示す。統計値: Anovaに続き、Dunettの事後検定、**p≦0.01、***p≦0.001 vs 溶剤群;n=8匹/群。
【0125】
図10 マウスにおけるoGTT中のグルコースAUCに対するS9、S10及びS11の効果
a)S9(10mg/kg、経口)及びS10(10mg/kg、経口)、ならびにb)S11(1及び3mg/kg、経口)は、マウスにおけるoGTT中に、グルコースAUC(0〜60分)を顕著に低下させた。結果は、平均値±SEMとして示す。統計値: Anovaに続き、Dunettの事後検定、*p≦0.05、**p≦0.01、***p≦0.001 vs 溶剤群;n=8匹/群。
【0126】
図11 マウスにおけるoGTT中のグルコースAUCに対するS12、S13、S14、S15及びS16の効果
a)S12及びS13(各、3mg/kg、経口)、ならびにb)S14、S15及びS16(各、1mg/kg、経口)は、マウスにおけるoGTT中に、グルコースAUC(0〜60分)を顕著に低下させた。結果は、平均値±SEMとして示す。統計値: Anovaに続き、Dunettの事後検定、*p≦0.05、**p≦0.01、***p≦0.001 vs 溶剤群;n=8匹/群。
【0127】
図12 マウスにおけるoGTT中のグルコースAUCに対するS17(0.3及び1mg/kg、経口)の効果
S17(0.3及び1mg/kg、経口)は、マウスにおけるoGTT中に、グルコースAUC(0〜60分)を顕著に低下させた。結果は、平均値±SEMとして示す。統計値: Anovaに続き、Dunettの事後検定、**p≦0.01、***p≦0.001 vs 溶剤群;n=8匹/群。
【0128】
TAAR1アゴニストは、正常なラットにおける体重増加を減少させ、及び抗精神病薬オランザピンにより誘発された体重増加を正常化する。
【0129】
多数の抗精神病薬は、統合失調症の患者における体重増加を誘発する。体重増加は、重篤な健康上の合併症及び糖尿病のような疾患を導く可能性があるので、動物において有望で、より新しい抗精神病の化合物を、体重を変化させるそれらの傾向について評価することが重要である。14日−処置レジメンを、雌Sprague-Dawleyラットにおいて、S2及びオランザピン(体重増加を生じるとして公知の臨床上用いられる抗精神病薬)を用いて使用した。体重測定に加えて、磁気共鳴(MR)緩和時間測定法を用いて、非侵襲的やり方で、動物における体脂肪量成分を測定した。
【0130】
結果は、S2の3及び10mg/kg(経口)が、処置前の値と比較した場合、体重減少を誘発することなく、溶剤−処置動物と比較して、体重増加(
図13a)、体脂肪量(
図14a、14c)及び摂餌量(表1)を減少させたことを示す。1mg/kg(経口)で、有意な効果は測定されなかった(
図13b、14b、表1)。更に、オランザピン(2mg/kg、経口)と併用させたS2(1mg/kg、経口)は、オランザピン−処置ラットにおいて測定された、体重増加における増量、体脂肪含有量及び摂餌量を減少させた(
図13b、14b、表1)。
【0131】
このことは、S2が、単独で投与された場合に体重増加を誘発せず、かつ市販の抗精神病薬オランザピンによって誘発される体重増加を阻害できることを示している。
【0132】
図13 ラットにおける累積体重増加に対するS2の効果
(a)S2の1mg/kgではなく、3及び10mg/kg(経口)において、雌Sprague-Dawleyラットにおける体重増加を減少させた(S2群における線形の傾き vs 溶剤群の線形の傾きの対比、3mg/kgでp=0.0024、及び10mg/kgでp=0.012)。(b)オランザピン(2mg/kg、経口)との併用のS2(1mg/kg、経口)は、オランザピン−誘発体重増加(オランザピンの線形の傾き vs 溶剤の線形の傾き、p=4.6E−10;S2/オランザピン vs 溶剤、p=0.41)を正常化した。各時点における群間の比較:t−検定、*p≦0.05、**p≦0.01、***p≦0.001 vs 溶剤;# p≦0.05、## p≦0.01、### p≦0.001 vs オランザピン群;n=8匹/群。
【0133】
図14 ラットにおける体脂肪含有量に対するS2の効果
オランザピン(2mg/kg、経口)との併用のS2(1mg/kg、経口)は、雌Sprague-Dawleyラットにおけるオランザピン−誘発体脂肪量増加を正常化した。溶剤群と比較した場合、S2単独での有意な効果は測定されなかった。Dunettの検定、*p≦0.05、**p≦0.01、***p≦0.001 vs 溶剤;# p≦0.05、## p≦0.01、### p≦0.001 vs オランザピン群;n=8匹/群。
【0134】
表1
ラットにおける累積摂餌量に対するS2の効果
オランザピン(2mg/kg経口)との併用のS2(1mg/kg、経口)は、摂餌におけるオランザピン−誘発増量を正常化した。摂餌における有意な減少が、10mg/kgでのS2−処置ラットにおいて測定された;n=8匹/群。
【0135】
【表2】
【0136】
オランザピンならびに式(I)、(I−1)、(II)及び(II−1)の化合物、及び薬学的に許容される塩は、医薬として、例えば、医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与することができる。しかし投与はまた、例えば坐剤の剤形で直腸内に、又は例えば注射液の剤形で非経口的に行うこともできる。
【0137】
式(I)、(I−1)、(II)及び(II−1)の化合物は、医薬製剤を製造するため、薬学的に不活性な無機又は有機担体と共に製剤化することができる。乳糖、トウモロコシデンプン、セルロース又はそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸又はそれらの塩などが、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤のためのそのような担体として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤のための適切な担体は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオール類等である。しかし、活性物質の性質に応じて、軟ゼラチンカプセル剤の場合は、通常担体を必要としない。溶剤及びシロップ剤の製造に適切な担体は、例えば、水、ポリオール類、グリセリン、植物油等である。坐剤に適切な担体は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体のポリオール等である。
【0138】
更に、製剤は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、着香剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含むことができる。それらは、その他の治療上有用な物質も更に含有することができる。
【0139】
オランザピンならびに式(I)、(I−1)、(II)及び(II−1)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び治療上不活性な担体を含有する医薬もまた、式(I)、(I−1)、(II)及び(II−1)の化合物ならびにオランザピン及び/又は薬学的に許容される酸付加塩の1種以上と、所望により、他の治療上有用な物質の1種以上とを、治療上不活性な担体の1種以上と共に、ガレヌス製剤の投与形態に調製することを含む製造製方法と同様に、本発明の目的である。
【0140】
用量は、広い範囲内で変化させることができ、そして当然それぞれの具体的な症例における個々の要求に合わせられる。経口投与の場合、成人用の用量を、1日当たり約0.01mg〜約1000mgのオランザピンならびに一般式(I)、(I−1)、(II)及び(II−1)の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩の対応する量で変えることができる。1日用量は、1回量として又は分割量として投与してよく、加えて、必要性が示される場合、上限を超えることもできる。
【0141】
錠剤の処方(湿式造粒)
品目 成分 mg/錠剤
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式(I)の化合物 5 25 100 500
2.無水乳糖DTG 125 105 30 150
3.Sta-Rx 1500 6 6 6 30
4.微晶質セルロース 30 30 30 150
5.ステアリン酸マグネシウム 1 1 1 1
合計 167 167 167 831
【0142】
製造手順
1.品目1、2、3及び4を混合し、精製水と共に造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な微粉砕装置に通す。
4.品目5を加え、3分間混合し、適切な成形機で圧縮する。
【0143】
カプセルの処方
品目 成分 mg/カプセル
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式(I)の化合物 5 25 100 500
2.含水乳糖 159 123 148 ---
3.トウモロコシデンプン 25 35 40 70
4.タルク 10 15 10 25
5.ステアリン酸マグネシウム 1 2 2 5
合計 200 200 300 600
【0144】
製造手順
1.品目1、2及び3を適切なミキサーで30分間混合する。
2.品目4及び5を加え、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0145】
オランザピン錠剤の処方
品目 成分 mg/カプセル
2.5mg 7.5mg 15mg 20mg
1.オランザピン 2.5 7.5 15.0 20.0
2.乳糖一水和物 89.0 84.0 76.5 71.5
3.ヒプロロース 7.5 7.5 7.5 7.5
4.クロスポビドン 4.5 4.5 4.5 4.5
5.微晶質セルロース 45.0 45.0 45.0 45.0
6.ステアリン酸マグネシウム 1.5 1.5 1.5 1.5
合計 150.0 150.0 150.0 150.0
【0146】
製造手順
1.品目1〜5を混合し、精製水と共に造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な微粉砕装置に通す。
4.品目6を加え、3分間混合し、適切な成形機で圧縮する。
【0147】
併用剤の処方
品目 成分 mg/カプセル
式(I)の化合物/オランザピン 5/2.5 25/2.5 100/15mg
1.式(I)の化合物 5.00 25.00 100.00
2.オランザピン 2.50 2.50 15.00
3.乳糖一水和物 166.25 146.25 58.75
4.プロビドン K30 12.50 12.50 12.50
5.クロスカルメロースナトリウム 7.50 7.50 7.50
6.微晶質セルロース 50.00 50.00 50.00
7.ステアリン酸マグネシウム 1.25 1.25 1.25
8.タルク 5.00 5.00 5.00
合計 250.00 250.00 250.00
【0148】
製造手順
1.品目1〜6を混合し、精製水と共に造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な微粉砕装置に通す。
4.品目7及び8を加え、3分間混合し、適切な成形機で圧縮する。
【0149】
【表3】