(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749810
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】直線往復運動装置およびその位置決め制御方法
(51)【国際特許分類】
H02P 8/00 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
H02P8/00
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-545037(P2013-545037)
(86)(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公表番号】特表2014-500701(P2014-500701A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】CN2011084673
(87)【国際公開番号】WO2012083891
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2013年8月19日
(31)【優先権主張番号】201010621949.5
(32)【優先日】2010年12月24日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】507231932
【氏名又は名称】北大方正集▲団▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PEKING UNIVERSITY FOUNDER GROUP CO., LTD
(73)【特許権者】
【識別番号】507232478
【氏名又は名称】北京大学
【氏名又は名称原語表記】PEKING UNIVERSITY
(73)【特許権者】
【識別番号】507232456
【氏名又は名称】北京北大方正▲電▼子有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING FOUNDER ELECTRONICS CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】513157280
【氏名又は名称】北京北大方正技術研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】PEKING UNIVERSITY FOUNDER R & D CENTER
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 鵬
(72)【発明者】
【氏名】陳 峰
【審査官】
森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−023936(JP,A)
【文献】
特開平11−191010(JP,A)
【文献】
特開2000−217396(JP,A)
【文献】
特開平05−265557(JP,A)
【文献】
特開昭55−131467(JP,A)
【文献】
特開昭54−134984(JP,A)
【文献】
特開2000−176742(JP,A)
【文献】
特開2008−283185(JP,A)
【文献】
米国特許第04447770(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 8/00− 8/42
H02P 25/06
H02P 29/00
H02K 41/00−41/06
G05D 3/00− 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線往復運動装置であって、ベースと、前記ベースに固設された直線案内レール(2)と、前記直線案内レールに沿って直線往復運動する負荷(4)と、前記負荷(4)を駆動するモータ(8)とを含み、前記直線往復運動装置はさらに、
前記負荷の原点位置を検出するための限界検出装置を含み、該限界検出装置は、一端が前記負荷(4)に取付けられ、他端が前記ベースに向かって延在する止めピース(5)と、前記ベースに取付けられ、前記止めピース(5)の運動軌道に位置する光電スイッチセンサ(7)とを含み、
前記光電スイッチセンサ(7)は、前記止めピース(5)の通過に適しているスロットを有し、前記直線往復運動装置はさらに、
変位検出装置を含み、該変位検出装置は、一端が前記負荷(4)に取付けられ、他端が前記ベースに向かって延在する止めブロック(3)と、前記ベースに取付けられ、前記止めブロック(3)の運動軌道に位置する差動変圧器式変位センサ(1)とを含み、前記差動変圧器式変位センサ(1)の滑り棒が前記止めブロック(3)と正面衝突するように設けられ、前記直線往復運動装置はさらに、
前記限界検出装置と前記変位検出装置と前記モータ(8)とに接続された制御装置とを含む、装置。
【請求項2】
前記光電スイッチセンサ(7)は、前記負荷(4)の直線往復運動の原点に位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光電スイッチセンサ(7)は、前記止めピース(5)を検出した場合、信号Aを送信し、前記制御装置は、前記信号Aを受信した場合、リアルタイムで前記モータ(8)を停止させる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記差動変圧器式変位センサ(1)は、前記負荷(4)の位置決め領域に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記差動変圧器式変位センサ(1)は、前記止めブロック(3)が滑り棒と衝突していることを検出した場合、前記滑り棒の変位量に関連する振幅を有する信号Bを送信し、前記制御装置は、前記信号Bを受信した場合、前記信号Bの振幅に従ってリアルタイムで前記モータ(8)を線形減速させ、決められた位置に停止させるのに使用される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
直線往復運動装置の位置決め制御方法であって、
前記直線往復運動装置は、ベースと、前記ベースに固設された直線案内レール(2)と、前記直線案内レールに沿って直線往復運動する負荷(4)と、前記負荷(4)を駆動するモータ(8)とを含み、前記直線往復運動装置はさらに、
前記負荷の原点位置を検出するための限界検出装置を含み、該限界検出装置は、一端が前記負荷(4)に取付けられ、他端が前記ベースに向かって延在する止めピース(5)と、前記ベースに取付けられ、前記止めピース(5)の運動軌道に位置する光電スイッチセンサ(7)とを含み、
前記光電スイッチセンサ(7)は、前記止めピース(5)の通過に適しているスロットを有し、前記直線往復運動装置はさらに、
変位検出装置を含み、該変位検出装置は、一端が前記負荷(4)に取付けられ、他端が前記ベースに向かって延在する止めブロック(3)と、前記ベースに取付けられ、前記止めブロック(3)の運動軌道に位置する差動変圧器式変位センサ(1)とを含み、前記差動変圧器式変位センサ(1)の滑り棒が前記止めブロック(3)と正面衝突するように設けられ、前記直線往復運動装置はさらに、
前記限界検出装置と前記変位検出装置と前記モータ(8)とに接続された制御装置を含み、
前記制御装置は、前記限界検出装置からの位置検出結果および前記変位検出装置からの変位検出結果に従って、前記モータ(8)の動作を制御する、方法。
【請求項7】
前記光電スイッチセンサ(7)は、前記負荷(4)の直線往復運動の原点に位置し、
前記光電スイッチセンサ(7)は、前記止めピース(5)を検測した場合、信号Aを送信し、
前記制御装置は、前記信号Aを受信した場合、前記モータ(8)をリアルタイムで停止させるのに使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記差動変圧器式変位センサ(1)は、前記負荷(4)の位置決め領域に配置され、
前記差動変圧器式変位センサ(1)は、前記止めブロック(3)が滑り棒と衝突していることを検出した場合、前記滑り棒の変位量に関連する振幅を有する信号Bを送信し、
前記制御装置は、前記信号Bを受信した場合、前記信号Bの振幅に従って前記モータ(8)をリアルタイムで線形減速させ、決められた位置に停止させるのに使用される、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、自動制御分野に関し、より詳しくは、直線往復運動装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
直線運動制御は、CNCマシンツール、インクジェットプリンタ、およびデジタル印刷装置などのさまざまな工業自動装置において広く応用されている。直線往復運動中、伝動システムの機械構造による誤差および原点検出装置による測定偏差により、往復運動の位置決めに誤差が生じる。この問題を解決するために、関連技術は、以下の方法を使用した。1)移動体にグレーティングスケールを取付けることにより、移動体の位置を精確に検出し、制御装置は、
グレーティングスケールからフィードバックされた移動体の位置信号に基づいて判断処理を行い、往復運動の位置決めを実現する。2)伝動システムにより回転運動を直線運動に変換し、駆動軸に回転エンコーダまたは回転変圧器を取付け、制御装置は、
回転エンコーダまたは回転変圧器からフィードバックされた移動体の位置信号に基づいて判断処理を行い、往復運動の位置決めを実現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
方法1は、グレーティングスケールが高価であるため、普及が困難であり、また、方法2は、位置決め精度が原点検出装置の測定偏差に影響されるため、まだ不十分であることを、本願発明者は発見した。
【0004】
発明の概要
本発明の目的は、直線往復運動装置の位置決め精度における問題を解決するために、直線往復運動装置およびその位置決め制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態において、直線往復運動装置が提供される。直線往復運動装置は、ベースと、ベースに固設された直線案内レールと、直線案内レールに沿って直線往復運動する負荷と、負荷を駆動するモータとを含み、さらに、負荷の原点位置を検出するための限界検出装置と、負荷の位置決め領域における相対変位量を検出するための変位検出装置と、限界検出装置と変位検出装置とモータとに接続された制御装置とを含む。
【0006】
本発明の一実施形態において、直線往復運動装置の位置決め制御方法が提供される。直線往復運動装置は、ベースと、ベースに固設された直線案内レールと、直線案内レールに沿って直線往復運動する負荷と、負荷を駆動するモータとを含み、さらに、負荷の原点位置を検出するための限界検出装置と、負荷の位置決め領域における相対変位量を検出するための変位検出装置と、限界検出装置と変位検出装置とモータとに接続された制御装置とを含む。この方法において、制御装置は、限界検出装置からの位置検出結果および変位検出装置からの変位検出結果に従って、モータの動作を制御する。
【0007】
本発明の実施形態による直線往復運動装置およびその位置決め制御方法は、限界検出装置および変位検出装置を用いて位置決めを制御するため、現在の位置決め制御の高コストまたは低精度を克服し、より低いコストでより高い精度の位置決めを実現した。
【0008】
図面は、本発明をさらに説明するために用いられるものであって、本願の一部を形成する。本発明の例示的な実施形態およびその記載は、本発明を説明するために用いられるものであって、本発明を不適切に制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る直線往復運動装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましい実施形態の詳細な説明
以下、実施形態とともに、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る直線往復運動装置を示す図である。直線往復運動装置は、ベース(すなわち、取付けベースプレート)と、ベースに固設された直線案内レール2と、直線案内レールに沿って直線往復運動する負荷4と、負荷4を駆動するモータ8とを含む。モータ8は、たとえば、ステッピングモータであって、ダイヤフラム形軸継手を介してボールねじ6と接続し、ボールねじ6により形成された伝動システムを駆動する。伝動システムは、負荷4を直線案内レール2に沿って往復運動するように駆動する。直線往復運動装置はさらに、負荷の原点位置を検出するための限界検出装置と、負荷の位置決め領域における相対変位量を検出するための変位検出装置と、限界検出装置と変位検出装置とモータ8とに接続された制御装置(図示せず)とを含む。
【0012】
本発明の一実施形態において、直線往復運動装置の位置決め制御方法が提供される。この方法において、制御装置は、限界検出装置からの位置検出結果および変位検出装置からの変位検出結果に従って、モータ8の動作を制御する。
【0013】
関連技術は、グレーティングスケールを用いて位置決めを制御するが、コストが高すぎ、また回転エンコーダまたは回転変圧器を用いて位置決めを制御するが、精度の偏差が大きい。本実施形態において、位置決めは、限界検出装置および変位検出装置を用いて制御される。限界検出装置および変位検出装置のコストがグレーティングスケールにより低いので、現在の技術による位置決め制御の高コストという問題は克服された。限界検出装置および変位検出装置の検出精度がより高いので、本実施形態はより低いコストでより高い精度の位置決めを実現した。
【0014】
好ましくは、
図1に示すように、限界検出装置は、一端が負荷4に取付けられ、他端がベースに向かって延在する止めピース5と、ベースに取付けられ、止めピース5の運動軌道に位置する光電スイッチセンサ7とを含み、光電スイッチセンサ7は、止めピース5の通過に適しているスロットを有する。このスロット式光電スイッチセンサの感度を保証するために、整形回路または増幅回路をスロット式光電スイッチセンサに設ける。
【0015】
好ましくは、
図1に示すように、光電スイッチセンサ7は、負荷4の直線往復運動の原点に位置する。この原点位置は、負荷の運動開始位置である。
【0016】
伝動システムの負荷に設けられた止めピース5が光電スイッチセンサ7を通過すると、光電スイッチセンサ7を作動させることができる。光電スイッチセンサ7は止めピース5を検出した場合、信号Aを発信する。制御装置は、信号Aを受信した場合、伝動システムの負荷が有効行程外に出ないようにモータをリアルタイムで停止させる。
【0017】
好ましくは、
図1に示すように、変位検出装置は、一端が負荷4に取付けられ、他端がベースに向かって延在する止めブロック3と、ベースに取付けられ、止めブロック3の運動軌道に位置する差動変圧器式変位センサ1とを含み、差動変圧器式変位センサ1の滑り棒が止めブロック3と正面衝突するように設けられる。位置決めの精度を向上させるために、高精度の差動変圧器式変位センサを使用してもよい。この差動変圧器式変位センサは、内蔵された2つの二次コイルを逆直列接続することによって、センサの精度を増強し、直線性を改良する。
【0018】
好ましくは、
図1に示すように、差動変圧器式変位センサ1は、負荷4の位置決め領域に配置される。この位置決め領域において決められた位置は、負荷の運動到達位置である。
【0019】
伝動システムの負荷に設けられた止めブロック3が差動変圧器式変位センサ1の滑り棒と衝突すると、滑り棒が自由自在に移動するように押付けられ、よって、差動変圧器式変位センサ1を作動させることができる。差動変圧器式変位センサ1は、止めブロック3が滑り棒と衝突していることを検出した場合、滑り棒の変位量に関連する振幅を有する信号B(すなわち、信号Bは線形相関電圧アナログ信号である)を送信する。制御装置は、信号Bを受信すると、信号Bの振幅に従ってリアルタイムでモータ8を線形減速させ、決められた位置に停止させ、すなわち、高精度の往復運動位置決めを実現する。
【0020】
以上の実施形態によれば、伝動システムの負荷4が
光電スイッチセンサ7に向かって移動するとき、
光電スイッチセンサ7が止めピース5を検出し、それに対応する電気信号(すなわち、信号A)を発信する。往復運動制御装置は、伝動システム
のモータ8をすぐに停止するように制御する。伝動システムの負荷4が
光電スイッチセンサ7から位置決め領域に向かって移動するとき、以下のステップを用いて、往復運動の高精度の位置決め処理を実現する。a)往復運動制御装置は、伝動システム
のモータ8を制御し、動作速度まで線形加速し、伝動を安定して運行させる。b)その後、伝動システムの負荷4に取付けられた止めブロック3が
差動変圧器式変位センサ1の滑り棒を自由自在に移動するように押付けるとき、センサは電圧アナログ信号(すなわち、信号B)を出力し、制御装置はその電圧アナログ信号に基づき、伝動システム
のモータ8を線形減速する。
c)最後に、伝動システムの負荷が決められた位置に到達すると、変位検出装置1は、決められた位置に対応する電圧アナログ信号を出力し、往復運動制御装置は、その電圧アナログ信号に基づき、伝動システム
のモータ8を精確に停止するように制御する。
【0021】
好ましくは、上記実施形態に係る本発明の直線往復運動装置は、CNCマシンツール、インクジェットプリンタ、およびデジタル印刷装置などのさまざまな工業自動装置であってもよい。たとえば、上記実施形態に係る本発明の直線往復運動装置は、印刷装置であり、負荷4は印字ヘッドである。
【0022】
以上の記載によれば、本発明の上記実施形態は、伝動システムを安定して往復運動させるとともに、往復運動の高精度の位置決め処理を実現することが分かる。関連技術に比べて、本発明の装置は、構造が簡単で、コスト効率が高く、往復運動の高精度の位置決めを適宜実現することができ、したがって、広く応用することができ、普及し易いなどの利点を有する。
【0023】
本発明は、好ましい実施形態によって説明されたが、これらは決して本発明を限定するものではなく、本発明に変更や修正を加えることがが可能であることは当業者には明らかである。したがって、このような修正、均等置換えおよび変更は、本発明によって保護され、本発明の主旨および内容に含まれることが意図される。