(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5749849
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】オブジェクト取得プログラム、オブジェクト取得装置及びオブジェクト取得方法
(51)【国際特許分類】
G06F 17/30 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
G06F17/30 340A
G06F17/30 110C
G06F17/30 320Z
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-223991(P2014-223991)
(22)【出願日】2014年11月4日
(62)【分割の表示】特願2014-76140(P2014-76140)の分割
【原出願日】2014年4月2日
【審査請求日】2014年11月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504437801
【氏名又は名称】グリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】パロット ジェイソン
【審査官】
木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−345199(JP,A)
【文献】
特開2006−236002(JP,A)
【文献】
特開2004−361996(JP,A)
【文献】
特開2001−053916(JP,A)
【文献】
特開2001−204001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ端末に表示させる文書ファイルに含めて提供され、前記コンピュータ端末において実行させるプログラムであって、
前記コンピュータ端末の制御部を、
前記コンピュータ端末のソフトウェア構成の構成情報を取得し、前記構成情報に基づいて、オブジェクトの種類に応じた評価結果を算出する評価手段と、
前記文書ファイルにおいて利用するアイテムと、前記アイテムについて利用可能なオブジェクトを取得するアドレス情報と、前記オブジェクトの種類を特定するオブジェクト情報手段と、
前記アイテム毎に、前記利用可能なオブジェクトについて前記評価手段による評価結果を取得し、前記評価結果に応じて利用するオブジェクトを特定し、前記オブジェクトのアドレス情報を特定する特定手段
として機能させることを特徴とするオブジェクト取得プログラム。
【請求項2】
コンピュータ端末に表示させる文書ファイルに含めて提供され、前記コンピュータ端末において実行させるプログラムであって、
前記コンピュータ端末の制御部を、
前記コンピュータ端末のハードウェア構成の構成情報を取得し、前記構成情報に基づいて、オブジェクトの種類に応じた評価結果を算出する評価手段と、
前記文書ファイルにおいて利用するアイテムと、前記アイテムについて利用可能なオブジェクトを取得するアドレス情報と、前記オブジェクトの種類を特定するオブジェクト情報手段と、
前記アイテム毎に、前記利用可能なオブジェクトについて前記評価手段による評価結果を取得し、前記評価結果に応じて利用するオブジェクトを特定し、前記オブジェクトのアドレス情報を特定する特定手段
として機能させることを特徴とするオブジェクト取得プログラム。
【請求項3】
コンピュータ端末に表示させる文書ファイルに含めて提供され、前記コンピュータ端末において実行させるプログラムであって、
前記コンピュータ端末の制御部を、
前記コンピュータ端末の通信環境についての環境情報を取得し、前記環境情報に基づいて、オブジェクトの種類に応じた評価結果を算出する評価手段と、
前記文書ファイルにおいて利用するアイテムと、前記アイテムについて利用可能なオブジェクトを取得するアドレス情報と、前記オブジェクトの種類を特定するオブジェクト情報手段と、
前記アイテム毎に、前記利用可能なオブジェクトについて前記評価手段による評価結果を取得し、前記評価結果に応じて利用するオブジェクトを特定し、前記オブジェクトのアドレス情報を特定する特定手段
として機能させることを特徴とするオブジェクト取得プログラム。
【請求項4】
オブジェクトは、オーディオファイルや動画ファイルのコンテンツであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のオブジェクト取得プログラム。
【請求項5】
前記特定手段において、前記評価結果の算出は、オブジェクトのタイプに応じてスコアを算出し、ベストスコアのオブジェクトをベストオブジェクトとして特定し、このベストオブジェクトのアドレス情報を特定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のオブジェクト取得プログラム。
【請求項6】
ロードした前記文書ファイルに含まれるオブジェクトを、処理対象オブジェクトとして特定し、
前記処理対象オブジェクトのスコアを算出し、既存のベストスコアと比較し、算出したスコアがベストスコア以上と判定した場合、クライアント端末の制御部は、ベストオブジェクト及びベストスコアを更新することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のオブジェクト取得プログラム。
【請求項7】
前記評価手段は、オブジェクトの利用可否を判定するための基準点に関するデータを保持し、
ベストスコアが基準点未満と判定した場合、クライアント端末の制御部は、注意喚起処理を行なうことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のオブジェクト取得プログラム。
【請求項8】
コンピュータ端末において、文書ファイルを出力する制御部を備えたオブジェクト取得装置であって、
前記制御部が、
前記コンピュータ端末のソフトウェア構成の構成情報を取得し、前記構成情報に基づいて、オブジェクトの種類に応じた評価結果を算出する評価手段を備え、
前記文書ファイルにおいて利用するアイテムと、前記アイテムについて利用可能なオブジェクトを取得するアドレス情報と、前記オブジェクトの種類を特定し、
前記アイテム毎に、前記利用可能なオブジェクトについて前記評価手段による評価結果を取得し、前記評価結果に応じて利用するオブジェクトを特定し、前記オブジェクトのアドレス情報を特定し、
前記アドレス情報に基づいて、オブジェクトを取得して、実行することを特徴とするオブジェクト取得装置。
【請求項9】
コンピュータ端末において、文書ファイルを出力する制御部を備えたオブジェクト取得装置であって、
前記制御部が、
前記コンピュータ端末のハードウェア構成の構成情報を取得し、前記構成情報に基づいて、オブジェクトの種類に応じた評価結果を算出する評価手段を備え、
前記文書ファイルにおいて利用するアイテムと、前記アイテムについて利用可能なオブジェクトを取得するアドレス情報と、前記オブジェクトの種類を特定し、
前記アイテム毎に、前記利用可能なオブジェクトについて前記評価手段による評価結果を取得し、前記評価結果に応じて利用するオブジェクトを特定し、前記オブジェクトのアドレス情報を特定し、
前記アドレス情報に基づいて、オブジェクトを取得して、実行することを特徴とするオブジェクト取得装置。
【請求項10】
コンピュータ端末において、文書ファイルを出力する制御部を備えたオブジェクト取得装置であって、
前記制御部が、
前記コンピュータ端末の通信環境についての環境情報を取得し、前記環境情報に基づいて、オブジェクトの種類に応じた評価結果を算出する評価手段を備え、
前記文書ファイルにおいて利用するアイテムと、前記アイテムについて利用可能なオブジェクトを取得するアドレス情報と、前記オブジェクトの種類を特定し、
前記アイテム毎に、前記利用可能なオブジェクトについて前記評価手段による評価結果を取得し、前記評価結果に応じて利用するオブジェクトを特定し、前記オブジェクトのアドレス情報を特定し、
前記アドレス情報に基づいて、オブジェクトを取得して、実行することを特徴とするオブジェクト取得装置。
【請求項11】
コンピュータ端末において、文書ファイルを出力する制御部を備えたオブジェクト取得装置を用いて、オブジェクトを取得する方法であって、
前記制御部が、
前記コンピュータ端末のソフトウェア構成の構成情報を取得し、前記構成情報に基づいて、オブジェクトの種類に応じた評価結果を算出する評価手段を備え、
前記文書ファイルにおいて利用するアイテムと、前記アイテムについて利用可能なオブジェクトを取得するアドレス情報と、前記オブジェクトの種類を特定し、
前記アイテム毎に、前記利用可能なオブジェクトについて前記評価手段による評価結果を取得し、前記評価結果に応じて利用するオブジェクトを特定し、前記オブジェクトのアドレス情報を特定し、
前記アドレス情報に基づいて、オブジェクトを取得して、実行することを特徴とするオブジェクト取得方法。
【請求項12】
コンピュータ端末において、文書ファイルを出力する制御部を備えたオブジェクト取得装置を用いて、オブジェクトを取得する方法であって、
前記制御部が、
前記コンピュータ端末のハードウェア構成の構成情報を取得し、前記構成情報に基づいて、オブジェクトの種類に応じた評価結果を算出する評価手段を備え、
前記文書ファイルにおいて利用するアイテムと、前記アイテムについて利用可能なオブジェクトを取得するアドレス情報と、前記オブジェクトの種類を特定し、
前記アイテム毎に、前記利用可能なオブジェクトについて前記評価手段による評価結果を取得し、前記評価結果に応じて利用するオブジェクトを特定し、前記オブジェクトのアドレス情報を特定し、
前記アドレス情報に基づいて、オブジェクトを取得して、実行することを特徴とするオブジェクト取得方法。
【請求項13】
コンピュータ端末において、文書ファイルを出力する制御部を備えたオブジェクト取得装置を用いて、オブジェクトを取得する方法であって、
前記制御部が、
前記コンピュータ端末の通信環境についての環境情報を取得し、前記環境情報に基づいて、オブジェクトの種類に応じた評価結果を算出する評価手段を備え、
前記文書ファイルにおいて利用するアイテムと、前記アイテムについて利用可能なオブジェクトを取得するアドレス情報と、前記オブジェクトの種類を特定し、
前記アイテム毎に、前記利用可能なオブジェクトについて前記評価手段による評価結果を取得し、前記評価結果に応じて利用するオブジェクトを特定し、前記オブジェクトのアドレス情報を特定し、
前記アドレス情報に基づいて、オブジェクトを取得して、実行することを特徴とするオブジェクト取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライアント端末において利用するオブジェクトを取得するためのオブジェクト取得プログラム、オブジェクト取得装置及びオブジェクト取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、スマートフォン等のコンピュータ端末を利用するユーザに対して、各種コンテンツが提供されている。このようなコンテンツは、ウェブページにより提供される場合がある。このウェブページは、HTML(HyperText Markup Language)等のマークアップ言語で記述されている。
【0003】
更に、ウェブページにおいて、オーディオや動画などの、多様なメディアコンテンツを提供できる規格も開示されている(非特許文献1を参照)。この規格においては、source要素(<audio>要素、<video>要素)により、多様なコーデックのコンテンツ・リソースを指定することができる。このsource要素においては、コンテンツ属性として、「src」、「type」、「media」を有する。ここで、「src」属性は、メディア・リソースのアドレス(URL)を提供するために用いる。「type」属性は、リソースの多目的インターネットメール拡張(MIME:Multipurpose Internet Mail Extension)タイプを示し、メディア・リソースを取得する前に再生できるかどうかを決定する際に用いる。「media」属性は、メディア・リソースの対象とするメディアタイプを示し、この属性もメディア・リソースを取得する前に再生できるかどうかを決定する際に用いる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】The World Wide Web Consortium(W3C)、″HTML5 A vocabulary and associated APIs for HTML and XHTML W3C Candidate Recommendation 04 February 2014″、[online]、ホームページ、[平成26年3月20日検索]、インターネット<http://www.w3.org/TR/html5/embedded-content-0.html#the-source-element>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載された技術においては、このsource要素により、複数のコーデックのメディア・リソースを指定することができる。ブラウザ上でコンテンツ(例えば、オーディオファイル)を再生する場合、ソースコードに記述された順番(「Head」⇒「bodyのaudioタグ」⇒「footer」の順番)に、再生可能なコンテンツを検索する。
【0006】
ここで、再生可能な複数のオーディオファイルが記述されている場合、ソースコードの最初(bodyの冒頭)に記述されたオーディオファイルを再生する。このため、最適なオーディオファイルがソースコードの最後(bodyの後方)に記述されている場合には、このファイルを再生できなかった。
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、クライアント端末において適切なオブジェクトを取得するためのオブジェクト取得プログラム、オブジェクト取得装置及びオブジェクト取得方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するオブジェクト取得プログラムは、コンピュータ端末に表示させる文書ファイル
に含めて提供され、前記コンピュータ端末において実行させる。この場合、前記コンピュータ端末の制御部を、前記コンピュータ端末のソフトウェア構成の構成情報を取得し、前記構成情報に基づいて、オブジェクトの種類に応じた評価結果を算出する評価手段と、
前記文書ファイルにおいて利用するアイテムと、前記アイテムについて利用可能なオブジェクトを取得するアドレス情報と、前記オブジェクトの種類を特定するオ
ブジェクト情報手段と、前記アイテム毎に、前記利用可能なオブジェクトについて前記評価手段による評価結果を取得し、前記評価結果に応じて利用するオブジェクトを特定し、前記オブジェクトのアドレス情報を特定する特定手段として機能させることを特徴とする。これにより、クライアント端末のソフトウェア構成に適合したオブジェクトを選択することができる。
【0009】
(2)上記課題を解決するオブジェクト取得プログラムは、コンピュータ端末に表示させる文書ファイル
に含めて提供され、前記コンピュータ端末において実行させる。この場合、前記コンピュータ端末の制御部を、前記コンピュータ端末のハードウェア構成の構成情報を取得し、前記構成情報に基づいて、オブジェクトの種類に応じた評価結果を算出する評価手段と、
前記文書ファイルにおいて利用するアイテムと、前記アイテムについて利用可能なオブジェクトを取得するアドレス情報と、前記オブジェクトの種類を特定するオブジェクト情報手段と、前記アイテム毎に、前記利用可能なオブジェクトについて前記評価手段による評価結果を取得し、前記評価結果に応じて利用するオブジェクトを特定し、前記オブジェクトのアドレス情報を特定する特定手段として機能させることを特徴とする。これにより、クライアント端末のハードウェア構成に適合したオブジェクトを選択することができる。
【0010】
(3)上記課題を解決するオブジェクト取得プログラムは、コンピュータ端末に表示させる文書ファイル
に含めて提供され、前記コンピュータ端末において実行させる。この場合、前記コンピュータ端末の制御部を、前記コンピュータ端末の通信環境についての環境情報を取得し、前記環境情報に基づいて、オブジェクトの種類に応じた評価結果を算出する評価手段と、
前記文書ファイルにおいて利用するアイテムと、前記アイテムについて利用可能なオブジェクトを取得するアドレス情報と、前記オブジェクトの種類を特定するオブジェクト情報手段と、前記アイテム毎に、前記利用可能なオブジェクトについて前記評価手段による評価結果を取得し、前記評価結果に応じて利用するオブジェクトを特定し、前記オブジェクトのアドレス情報を特定する特定手段として機能させることを特徴とする。これにより、クライアント端末の通信環境に適合したオブジェクトを選択することができる。
【0011】
(4)上記オブジェクト取得プログラムにおいて、オブジェクトは、オーディオファイルや動画ファイルのコンテンツであることが好ましい。
(5)上記オブジェクト取得プログラムにおいて、前記特定手段において、前記評価結果の算出は、オブジェクトのタイプに応じてスコアを算出し、ベストスコアのオブジェクトをベストオブジェクトとして特定し、このベストオブジェクトのアドレス情報を特定することが好ましい。
【0012】
(6)上記オブジェクト取得プログラムにおいて、ロードした
前記文書ファイルに含まれるオブジェクトを、処理対象オブジェクトとして特定し、前記処理対象オブジェクトのスコアを算出し、既存のベストスコアと比較し、算出したスコアがベストスコア以上と判定した場合、クライアント端末の制御部は、ベストオブジェクト及びベストスコア
を更新することが好ましい。
【0013】
(7)上記オブジェクト取得プログラムにおいて、前記評価手段は、オブジェクトの利用可否を判定するための基準点に関するデータを保持し、ベストスコアが基準点未満と判定した場合、クライアント端末の制御部は、注意喚起処理を行なうことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、クライアント端末において適切なオブジェクトを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】本実施形態のソースコード例の一部の説明図。
【
図4】本実施形態のソースコード例の一部の説明図。
【
図5】本実施形態のソースコード例の一部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1〜
図5に従って、オブジェクト取得プログラムの一実施形態を説明する。
本実施形態では、
図1に示すように、クライアント端末20が、サーバ10から取得した文書ファイル(マークアップ言語ファイル)に基づいて、オブジェクト(オーディオファイルや動画ファイルのコンテンツ等)を取得して再生する場合を想定する。
【0017】
サーバ10は、文書ファイル記憶部12及びオブジェクト記憶部13を備える。
文書ファイル記憶部12には、クライアント端末20に提供する文書ファイルを記憶させておく。この文書ファイルは、マークアップ言語により記述される。この文書ファイルには、後述するように、クライアント端末20において、各種手段を実現するための記述を含めておく。本実施形態では、後述する環境情報取得手段212、評価手段213、オブジェクト取得手段214を実現するための記述を含める。
【0018】
更に、この文書ファイルには、出力時に使用するアイテムに関する情報(アイテム情報)を含めておく。アイテム情報(オブジェクト情報手段)は、オーディオや動画等の取得可能なオブジェクトを特定するために用いる。このアイテム情報では、アイテムID、取得先、タイプに関する情報が含まれる。
【0019】
ここで、アイテムIDは、文書ファイル上で用いるアイテムを特定するための識別子(例えば、「BGM」)である。
取得先は、このアイテムを利用する場合、提供可能なオブジェクトが格納されたアドレス情報(例えば、URL:Uniform Resource Locator)である。
【0020】
タイプは、このオブジェクトの種類である。この種類には、例えば、mpeg(Moving Picture Experts Group)やwave(Windows(登録商標)で使うPCM(pulse code modulation)音源の標準データフォーマット)等の規格を用いることができる。
【0021】
また、オブジェクト記憶部13には、クライアント端末20において、文書ファイル(マークアップ言語ファイル)に基づいて提供するオブジェクトを記憶させておく。本実施形態では、このオブジェクトとして、例えば、オーディオファイルや動画ファイルのメディアコンテンツを用いる。
【0022】
クライアント端末20は、文書ファイルを閲覧するユーザが利用するコンピュータ(スマートフォン等の情報処理端末)であり、オブジェクト取得装置として機能する。このクライアント端末20は、CPU、メモリ(RAM及びROM)等からなる制御部21、端末記憶部22、入出力部23を備えている。
【0023】
端末記憶部22には、クライアント端末20において用いられる各種設定やプログラムが記録される。本実施形態では、マークアップ言語で記載されたファイルを表示するブラウザ(プログラム)が格納される。
入出力部23は、タッチパネルディスプレイ等により構成され、データの出力や入力を行なう。
【0024】
制御部21は、端末記憶部22に格納されたブラウザプログラムを実行することにより、ブラウザ210を起動させる。このブラウザ210は、文書ファイル取得手段211、出力処理手段215を備える。
【0025】
文書ファイル取得手段211は、文書ファイル(マークアップ言語ファイル)を読み込む。
出力処理手段215は、マークアップ言語ファイルをウェブページとして、入出力部23に出力する。
【0026】
更に、ブラウザ210は、この文書ファイルに含まれる記述を実行する。この記述を実行することにより、環境情報取得手段212、評価手段213、オブジェクト取得手段214を実現する。
【0027】
環境情報取得手段212は、クライアント端末20の環境に関する情報を取得する。ここでは、クライアント端末20に実装されたハードウェアやソフトウェア(端末属性)、通信環境に関する情報や、端末識別情報等を取得する。
【0028】
評価手段213は、サーバ10から取得可能なオブジェクトについて、クライアント端末20において出力する場合の適合性を評価する。ここで、オブジェクトとしては、例えば、オーディオファイルや動画ファイルなどのコンテンツを用いることができる。この適合性の評価のため、評価手段213は、クライアント端末20の環境情報とオブジェクトのタイプとをパラメータとする所定の評価ロジックを保持している。そして、評価手段213は、利用可能なオブジェクトに対して、評価結果(ベストスコア、ベストオブジェクト)に関する情報をメモリに記録する。更に、評価手段213は、オブジェクトの利用可否を判定するための基準点に関するデータを保持している。
オブジェクト取得手段214は、適合性が最も高いベストオブジェクトを、サーバ10から取得する。
【0029】
次に、
図2を用いて、クライアント端末20において、文書ファイルを出力する場合の処理を説明する。
【0030】
まず、クライアント端末20の制御部21は、文書ファイルのロード処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、制御部21のブラウザ210に、出力希望の文書ファイルのURLを入力する。この場合、ブラウザ210の文書ファイル取得手段211は、サーバ10に対して、URLの文書ファイルを要求する。そして、ブラウザ210は、サーバ10から、文書ファイルを取得する。ここでは、文書ファイルとして、マークアップ言語ファイルを取得する場合を想定する。この文書ファイルには、環境情報取得手段212、評価手段213、オブジェクト取得手段214を実現するための記述が含まれる。更に、この文書ファイルには、出力時に使用するアイテム(例えば、BGM)に関する情報を含んでいる。
【0031】
次に、クライアント端末20の制御部21は、利用環境情報の取得処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21のブラウザ210は、環境情報取得手段212により、クライアント端末20における利用環境情報を取得する。ここでは、例えば、利用環境情報として、文書ファイルを利用するクライアント端末20が保持しているシステム情報において、オペレーションシステム(OS)を特定する。
【0032】
次に、クライアント端末20の制御部21はベストオブジェクト及びベストスコアの初期化処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部21のブラウザ210は、評価手段213により、メモリに記録されているベストオブジェクト及びベストスコアをリセットする。
【0033】
そして、ロードした文書ファイルに含まれるアイテムを、処理対象アイテムとして特定し、処理対象アイテム毎に、以下の処理を繰り返す。
ここでは、まず、クライアント端末20の制御部21は、利用可能なオブジェクトの特定処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21のブラウザ210は、評価手段213により、処理対象アイテムについて、サーバ10において準備されているオブジェクトを特定する。この場合には、文書ファイル中に設定されているアイテム情報に基づいて、利用可能なオブジェクトを特定し、特定したオブジェクト毎に、以下の処理を繰り返す。
【0034】
ここでは、クライアント端末20の制御部21は、利用環境情報に応じてスコアの算出処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部21のブラウザ210は、評価手段213により、処理対象アイテムのオブジェクトに対して、評価ロジックを適用し、このオブジェクトのスコアを算出する。
【0035】
次に、クライアント端末20の制御部21は、既存のベストスコア以上かどうかについての判定処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部21のブラウザ210は、評価手段213により、利用可能なオブジェクト毎に、算出したスコアと、メモリに記録されたベストスコアとの比較を繰り返す。
算出したスコアがベストスコア以上でないと判定した場合(ステップS1−6において「NO」の場合)、このオブジェクトについての処理を終了する。
【0036】
一方、算出したスコアがベストスコア以上と判定した場合(ステップS1−6において「YES」の場合)、クライアント端末20の制御部21は、ベストオブジェクト及びベストスコアの更新処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、制御部21のブラウザ210は、評価手段213により、新たにスコアを算出したオブジェクトをベストオブジェクトとしてメモリに記録する。更に、算出したスコアをベストスコアとしてメモリに記録する。以上の処理を、すべての利用可能なオブジェクトについて繰り返す。
そして、文書ファイルに含まれるすべてのアイテムについて、上記処理を繰り返す。
【0037】
次に、クライアント端末20の制御部21は、ベストスコアは基準点以上かどうかについての判定処理を実行する(ステップS1−8)。具体的には、制御部21のブラウザ210は、評価手段213により、アイテム毎に、メモリに記録されているベストスコアと基準点とを比較する。
【0038】
ベストスコアが基準点未満と判定した場合(ステップS1−8において「NO」の場合)、クライアント端末20の制御部21は、注意喚起処理を実行する(ステップS1−9)。具体的には、制御部21のブラウザ210は、入出力部23に、このアイテムについて「適切なオブジェクトがない」ことを示すメッセージを出力する。
【0039】
一方、ベストスコアが基準点以上と判定した場合(ステップS1−8において「YES」の場合)、クライアント端末20の制御部21は、ベストオブジェクトの読込処理を実行する(ステップS1−10)。具体的には、制御部21のブラウザ210は、オブジェクト取得手段214により、アイテム情報用いて、このアイテムについてのベストオブジェクトの取得先(URL)を特定する。そして、この取得先を用いて、サーバ10からオブジェクトを取得する。
【0040】
次に、クライアント端末20の制御部21は、オブジェクトの実行処理を実行する(ステップS1−11)。具体的には、制御部21のブラウザ210は、出力処理手段215により、取得したオブジェクトを実行する。
【0041】
次に、
図3〜
図5を用いて、クライアント端末20に対して、文書ファイル(マークアップ言語ファイル)に含めて提供するコード(プログラム)を説明する。ここでは、JavaScript(登録商標)を用いて記述された「Manifest」オブジェクトを提供する場合を想定する。ここでは、一つの「Manifest」オブジェクトを、三つの第1パート500(
図3)、第2パート510(
図4)、第3パート520(
図5)に分けて説明する。
【0042】
図3に示す第1パート500においては、記述501〜503を含む。
記述501では、クライアント端末20の環境に応じて値を戻す処理を行なう。ここでは、OSとしてAndroid(登録商標)を利用しているクライアント端末20の場合には、値「true」を戻す。
【0043】
記述502,503では、オブジェクトを評価するための関数を含む。
記述502には、MP3ファイル(mpeg)についての評価点を付与する関数が設定されている。ここでは、MP3ファイルに対して、端末属性がAndroid(登録商標)端末の場合には「30」、それ以外の端末属性の端末の場合には「10」を付与する関数が設定されている。
記述503は、PCMファイル(wave)についての評価点を付与する関数が設定されている。PCMファイルに対しては、「20」を付与する関数が設定されている。
【0044】
図4に示す第2パート510においては、「Manifest」におけるプロトタイプ「addURL」、「get」を定義する。
【0045】
プロトタイプ「addURL」においては、利用可能なオブジェクトのアイテム情報(アイテムID、取得先(URL)、タイプ)を定義する。
プロトタイプ「get」においては、アイテムIDのオブジェクトの取得、実装を定義する。
【0046】
図5に示す第3パート520においては、「Manifest」におけるプロトタイプ「load」を定義する。更に、第3パート520においては、プロトタイプに基づいて、「Manifest」の新たなオブジェクトを生成する。
【0047】
プロトタイプ「load」においては、記述521〜525を含む。
記述521は、ベストスコアを記録するメモリをリセットし、ベストスコアを初期化する機能を実現する。
【0048】
記述522は、各アイテムについて、評価ロジックを用いて、利用可能なオブジェクトを評価する機能を実現する。そして、算出したスコアに基づいて、メモリに記録されているベストスコア、ベストアイテムを記録更新する。
【0049】
記述523は、評価結果を出力する機能を実現する。ここでは、メモリにベストスコアが記録されているオブジェクトを評価結果として出力する。
記述524には、利用可能なオブジェクトが設定されている。例えば、オーディオの場合、アイテムID「BGM」について、2つのオーディオファイル(「bgm.mp3」(MP3形式)と「bgm.wav」(PCM形式))を利用する。
【0050】
記述525は、アイテム毎に、ベストスコアのオブジェクトを、アイテム情報のURLを用いてタウンロードするための設定である。
記述521〜524によって評価手段213が実現され、記述525によってオブジェクト取得手段214が実現される。
【0051】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、文書ファイルに、環境情報取得手段212を実現させるための記述を含める。そして、環境情報取得手段212は、クライアント端末20の環境に関する情報を取得する。これにより、クライアント端末の環境に関する情報を取得することができる。
【0052】
(2)本実施形態では、文書ファイルに、評価手段213を実現させるための記述を含める。この評価手段213は、サーバ10から取得可能なオブジェクトについて、クライアント端末20において出力再生する場合の適合性を評価する。これにより、利用可能なオブジェクトが複数ある場合にも、クライアント端末の環境に適合したオブジェクトを利用することができる。例えば、最も適したオブジェクトに関する情報が、マークアップ言語ファイルにおいて後順番で記述されている場合でも、このオブジェクトを利用することができる。
【0053】
(3)本実施形態では、文書ファイルに、オブジェクト取得手段214を実現させるための記述を含める。オブジェクト取得手段214は、適合性が最も高いベストオブジェクトを、サーバ10から取得する。これにより、複数のオブジェクトの中で適合性の高いオブジェクトを効率的にダウンロードすることができる。
【0054】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、クライアント端末20の制御部21は、文書ファイルのロード処理を実行する(ステップS1−1)。ここでは、ブラウザ210は、サーバ10から、文書ファイル(ウェブページ)を取得する。文書ファイルはマークアップ言語により記載されたファイルであれば、ウェブページに限定されるものではない。
【0055】
・上記実施形態では、オブジェクトとして、例えば、オーディオファイルや動画ファイルのメディアコンテンツを用いる。このオブジェクトは、オーディオファイルに限定されるものではない。例えば、オブジェクトとして、一つのアイテムに対して複数のプログラムを提供することも可能である。この場合も、プログラムのタイプに応じて、クライアント端末20におけるベストオブジェクト(ベストプログラム)を特定し、これをダウンロードする。
【0056】
・上記実施形態では、クライアント端末20の制御部21は、利用環境情報の取得処理を実行する(ステップS1−2)。ここでは、環境情報としてOSを特定する。ベストオブジェクトを特定するための環境情報は、OSに限定されるものではない。クライアント端末20に実装されているハードウェア環境やソフトウェア環境、通信環境や端末種別情報を用いることも可能である。
【0057】
ハードウェア環境としては、CPU処理能力やメモリ容量等を用いることができる。この場合、環境情報取得手段212には、ハードウェア環境情報をパラメータとする評価ロジックを保持させておく。そして、環境情報取得手段212は、クライアント端末20に実装されたハードウェアの処理能力(ハードウェア環境情報)を取得する、これにより、クライアント端末20のハードウェアにおける処理能力に応じて、適切なオブジェクトを特定することができる。
【0058】
ソフトウェア環境としては、コンテンツを再生するドライバやプラグインの有無等を用いることができる。この場合、環境情報取得手段212には、ソフトウェア環境情報をパラメータとする評価ロジックを保持させておく。そして、環境情報取得手段212は、クライアント端末20に実装されたソフトウェアの種別(ソフトウェア環境情報)を取得する。これにより、オブジェクトに適合したソフトウェアの実装状況に応じて、適切なオブジェクトを特定することができる。
【0059】
また、通信環境については、通信速度や通信方法等を用いることができる。この場合、環境情報取得手段212には、通信環境情報をパラメータとする評価ロジックを保持させておく。そして、環境情報取得手段212は、クライアント端末20における通信状態に関する情報を取得する。これにより、オブジェクトのダウンロード時間を考慮して、適切なオブジェクトを特定することができる。
【0060】
また、端末種別情報については、端末メーカ情報や型番情報を用いることができる。特定のメーカや型番において、オブジェクト実行時に障害が発生することがある。この場合、環境情報取得手段212には、端末種別に関連付けて整合性の有無を記録した整合性リストを保持させておく。そして、環境情報取得手段212は、クライアント端末20の端末種別を特定し、整合性リストと比較する。このような障害情報に対応して、整合性がある適切なオブジェクトを特定することができる。
【0061】
・上記実施形態では、文書ファイルで用いるオブジェクトを、サーバ10のオブジェクト記憶部13に保存する。オブジェクトの保存先は、文書ファイルが格納されたサーバ10に限定されるものではない。また、保存先の特定もURLに限定されるものではなく、バイナリデータを用いて特定するようにしてもよい。
【0062】
・上記各実施形態では、文書ファイルには、環境情報取得手段212、評価手段213、オブジェクト取得手段214を実現するための記述を含める。この記述は、文書ファイル内に含める場合に限定されるものではない。文書ファイル内に、各記述の取得先を設定しておき、この取得先から記述を取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…サーバ、12…文書ファイル記憶部、13…オブジェクト記憶部、20…クライアント端末、21…制御部、22…端末記憶部、23…入出力部、211…ファイル取得手段、212…環境情報取得手段、213…評価手段、214…オブジェクト取得手段、215…出力処理手段。
【要約】
【課題】クライアント端末に対して適切なオブジェクトを提供するためのオブジェクト取得プログラム、オブジェクト取得装置及びオブジェクト取得方法を提供する。
【解決手段】文書ファイルに、環境情報取得手段212、評価手段213、オブジェクト取得手段214を実現するための記述を含める。そして、クライアント端末20の制御部21は、文書ファイルはロードし、利用環境情報の取得処理を実行する。ロードした文書ファイルに含まれるアイテムについて、制御部21は、利用可能なオブジェクトを特定し、環境情報に応じてスコアの算出し、ベストスコアを算出したベストオブジェクトを特定する。そして、制御部21は、ベストオブジェクトを読み込み、オブジェクトを実行する。
【選択図】
図1