(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
流体を処理するために使用することができる方法およびデバイスのさまざまな実施形態を本明細書に提供する。いくつかの実施形態では、上記にはエレクトロポレーションチャンバーに関連付けられた流れ発生器の使用が含まれる。流動流体内に含有される運動エネルギーを使用して流れ発生器に動力供給することで電気を作り出してエレクトロポレーションチャンバーに電力供給することができるように、デバイスおよび/またはシステムを流動流体とともに使用することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の電気パルスをエレクトロポレーションチャンバー内で印加して、流体内で少なくとも1つの細胞を電気穿孔することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、流体を処理するための方法には、エレクトロポレーションチャンバーを介して水の一部分を流すことと、水の一部分にパルス電撃を与えて、水中の少なくとも1つの生存している有機体または細胞を不可逆的に電気穿孔することとが含まれる。本方法は、水または他の流体を効果的に殺菌することを支援することができる。パルス電撃を生み出すエネルギーを、(システムに組み込み可能な)流れ発生器を介してシステムに流れ込む水から作り出すことができる。
【0012】
以下の「発明を実施するための形態」は、電気穿孔のさまざまな態様を概説し、次いで流体処理システムのさまざまな実施形態およびそれらを使用できる方法についての詳細な説明を提供する。次いでさまざまな態様に対してさらなる変形と代替とについての説明を行った後に、実施例のセクションで終結する。
【0013】
以下の「発明を実施するための形態」では、本明細書の一部をなす添付の図面を参照する。図面では、文脈によって別段に定められない限り、通常、同様の符号は同様の構成要素を識別する。「発明を実施するための形態」、図面および特許請求の範囲において述べる例示的な実施形態は、限定的なものとはされない。本明細書に提示される主題の趣旨または範囲を逸脱することなく、他の実施形態を利用してもよく、他の変更を加えてもよい。本明細書に概説し図に示す本開示の態様を、さまざまな異なる構成で配置、代用、結合、分離および設計することができ、これらが全て本明細書において明示的に企図されていることは、容易に理解されるであろう。
【0014】
電気穿孔
いくつかの実施形態では、電気穿孔は、電気パルスに対して細胞をさらすことによって、細胞膜の易透化を引き起こす動的現象である。本現象の有効性は、細胞膜上の各地点における局所的な膜貫通電圧に左右される。パルス強度、パルス継続時間およびパルス波形により、細胞内の電気穿孔現象の発現の少なくとも一部が決定される。これらの特性により、細胞膜に対して何も作用を及ぼさないか、細胞膜を可逆的に開口してその後もその細胞が生き延びることになるか、または細胞膜を不可逆的に透過処理することによって細胞が死滅する可能性がある。電界は細胞膜全体の電気化学ポテンシャルを変更し、分極細胞膜脂質二重層内の不安定性を誘導する。次いで、不安定な膜はその形状を変えて、その膜を通る水の経路を形成する。そして、電気化学制御下でこれらの流路を通る物質移動が生じる。E≧E
thである領域にある細胞は電気穿孔される(式中、Eは電界であり、E
thは閾値規模の電界である)。第2閾値(E
ir)に到達するか第2閾値(E
ir)を超える場合、電気穿孔、例えば不可逆的な電気穿孔により、細胞の生存能力が損なわれる。
【0015】
FDAにより認可されたパルス電界(PEF)技術が存在しており、熱による低温殺菌の代わりに使用されている(Ramaswamyら、「Pulsed Electric Field Processing, Fact Sheet for Food Processors」、Extension FactSheet、Food Science and Technology, 2015 Fyffe Road, Columbus OH 43210−1007, FSE−2−05、Ohio Stat University Extensionによる)。PEFはジュースに好適に作用し、ビール、ワイン、ヨーグルトおよびサラダドレッシングにも使用され得る。その媒体は汲み上げられ得るものでなければならない(例えば、液体またはスラリー)。PEFはほとんどの病原体の5−ログリダクションをもたらすが、低温殺菌法と考えられるため、製品は冷却される。PEFの1つの利点は、通常の熱による低温殺菌による風味の消失を回避することである。本技術は、廃液処理または任意の流体の一般的処理に適用可能であるため、どの製品も冷却する必要はない。
【0016】
いくつかの実施形態では、PEFは、非常に短い時間の間、流動流体上に強い電界を与える。約15kV/cmの臨界電界強度を上回ると、栄養細胞は死滅する。35kV/cmに至るまでの電界は、バクテリア、菌類および他の微生物を破壊することができる。PEFは細胞壁を分解することができる。PEFの他の使用法は、テンサイまたはブドウ糖などの植物原料からの液の抽出である。
【0017】
流体処理システムおよびデバイス
図1は、流体処理システムまたはデバイス1のいくつかの実施形態を表している。
図1に示されるように、システムまたはデバイス1は、カソード30およびアノード40の上流に位置付けられる流れ発生器10を含むことができる。流れ発生器10は、カソード30およびアノード40と電気的に連絡して、流れ発生器10によって生成された電気をカソード30およびアノード40に流すことができるようにする。デバイス1は、絶縁層または中央部50を含むこともできる。いくつかの実施形態では、流れ発生器10は、第1のリード線またはワイヤー11および第2のリード線またはワイヤー12を介して電極30および40にそれぞれ接続される。いくつかの実施形態では、アノード40およびカソード30は、バンドまたは円形部31および32を介して(絶縁中央部と一緒に)ともに保持される。
【0018】
図1の実施形態では、カソード30は配管の上半分であり、アノード40は配管の下半分であるため、それらが組み合わせられると完全な配管部を形成する。いくつかの実施形態では、アノードおよびカソードは絶縁層または中央部50によって分離され得る。アノードおよびカソードが流体を取り囲む外部シェルを形成するこのタイプの配置構成により、電流が流体の流路全体にわたって流れることが可能になる。他の実施形態では、カソードおよび/またはアノードは、(流路の外面を画定するのではなく)流体の流路内に位置することができるが、流体全てが2つの電極の間を通る必要がないことを理解されたい。
【0019】
いくつかの実施形態では、カソード30およびアノード40は、銅、鉄または導電性ポリマーなどの導電材料からできている。(
図1に表したものなどの)いくつかの実施形態では、アノードおよびカソードの組み合わせは、所定の位置に接合することが可能な配管系の残りの部分であるバンドまたは締付部31および32によって、ともに保持される。他の実施形態では、バンドまたは締付部31および32は、別個のゴムまたはプラスチックのリングであり、デバイスまたはシステムが配管系内に設置されない時でも、(絶縁中央部によって分離された)アノードおよびカソードをともに保持することができる。いくつかの実施形態では、バンドまたは締付部は、本デバイスが差し込まれるシステムの配管の残りの部分の端部である。
【0020】
いくつかの実施形態では、デバイスまたはシステムは、流れ発生器10およびカソード30またはアノード40のうちの少なくとも1つと電気的に連絡するパルス発生器20をさらに含む。いくつかの実施形態では、パルス発生器はアノードおよび/またはカソードへの電気の印加を制御する。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、流れ発生器、アノード、カソードまたはこれらのある組み合わせに組み込まれる。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、流体への電流を効果的に管理するために、(
図1に示されるような、配管部全体に及ぶことができる)アノードおよびカソード全体に十分強い電界を作り出す。いくつかの実施形態では、パルスを加えることは、流体に存在する少なくとも1つの有機体およびまたは細胞を電気穿孔するのに適している。いくつかの実施形態では、印加される電圧は10アンペアより大きい電流で1〜10kVの間である。いくつかの実施形態では、デバイスおよび/またはシステムは、E≧E
irである電界を生み出すことによって、「不可逆」電気穿孔をもたらすように構成される。「不可逆電気穿孔」は、細胞膜または他の膜がその膜を、その完全性を弱らせるおよび/または低減するように、またいくつかの実施形態では、その細胞を死滅させるか、そうでなければ成長を抑制するように、変質されていることを示す。いくつかの実施形態では、不可逆電気穿孔は非熱的電気穿孔である。いくつかの実施形態では、不可逆電気穿孔は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または24時間内に細胞死をもたらす。いくつかの実施形態では、不可逆電気穿孔は、細胞を弱らせることによって、いずれのさらなる細胞増殖も防止または低減する。いくつかの実施形態では、デバイスおよび/またはシステムは、E≧E
thである電界を生み出すことによって、「可逆」電気穿孔をもたらすように構成される。「可逆電気穿孔」は、細胞膜または他の膜がその膜を、その完全性を弱らせるおよび/または低減するように、またいくつかの実施形態では、その細胞を死滅させるように、一時的に変質されていることを示す。例えば、一時的な透過性が(通常は流体に存在するか追加される)細胞を死滅させる化合物の流入を可能にした場合、またはそうでなければ、細胞の生理機能を損なった場合、細胞の死滅、またはそうでなければ、細胞の増殖の抑制につながる。
【0021】
いくつかの実施形態では、パルスは、複数の電気パルスが流体の一部分を通過する際に流体がそのパルスを受け取るように、流量と比較して十分な周波数、形状および継続時間で生成される。いくつかの実施形態では、これにより殺菌の有効性が高められる。いくつかの実施形態では、これは、与えられた電界の周波数、形状および/または強度が可変であり、かつ流れおよび濁度センサによって制御されるように、またはシステムから流出する流体に対する特定の使用に合致するように、調整される。
【0022】
いくつかの実施形態では、システムの電気は、自給式のシステムとなるように、システム自体によって生成される。よって、配管を通る流体を使用して(流れ発生器を介して)電気を作り出し、次いでそれをパルス発生器に供給する。いくつかの実施形態では、電気は、電気泳動槽を通過する流体へ電撃を供給するのに充分となる時まで、パルス発生器20に蓄えられる。いくつかの実施形態では、コンデンサを使用することによって、このエネルギー貯蔵が達成され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、流れ発生器と電極との組み合わせは、電気が自給式自己調整システム内で流体によって生成されることを可能にする。いくつかの実施形態では、流体の流れが速いほど、流体内の細胞および/または有機体を電気穿孔するためにより多くのエネルギーが作り出される。いくつかの実施形態では、流れ発生器の形状を幅狭くすることによって、流体から得られるエネルギーの量を増加させることができる。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバーの形状を幅狭くすることによって、流体にもたらされるエネルギーの量を増加させることができる。いくつかの実施形態では、流路の断面積を、本装置への浸入(または、流れ発生器もしくはエレクトロポレーションチャンバーとの接触)前の流路の断面積の99、98、97、95、90、85、80、70、60、50、40、30、20、15、10、5、4、3、2、1%以下とすることができる。これには、前述の値のいずれか未満の任意の範囲および前述の値のいずれか2つによって画定される任意の範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、流れ発生器および/もしくは電極を通る、ならびに/または流れ発生器および/もしくは電極の周りの流体の形状は、エレクトロポレーションチャンバー全体に及ぶ電界の形状が比較的または十分に均一であるような形状である。いくつかの実施形態では、流れ発生器および/もしくは電極を通る、ならびに/または流れ発生器および/もしくは電極の周りの流体の形状により、流動特性を、印加された電界と合致させることが可能になる。
【0024】
いくつかの実施形態では、流れ発生器は、粒子と微生物とを効率的に混ぜ合わせるために、乱流を流体に取り入れる効果的な手段としての役割を果たす。いくつかの実施形態では、これにより、電気穿孔の有効性が高められる。いくつかの実施形態では、流れ発生器は、流体へ圧力を取り入れる効果的な手段としての役割を果たす。いくつかの実施形態では、これにより、電気穿孔の有効性が高められる。いくつかの実施形態では、流れ発生器は、流体へ熱を加える効果的な手段としての役割を果たす。いくつかの実施形態では、これにより、電気穿孔の有効性が高められる。
【0025】
いくつかの実施形態では、システムを、紫外線光源との組み合わせ、または、他の殺菌方法もしくはろ過方法といった、殺菌技術と一体化することもできる。
【0026】
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、デバイスまたはシステム1をバイオリアクター100と一体化することができる。バイオリアクター100は、より複雑な処理システムの一部として、まず、微生物または細胞7の増殖を促し、それを使用して、例えば、何らかの望ましくない構成要素を隔離する、低減する、無害にするまたは有益にする、あるいは排除するために、栄養素または汚染物質を消費する、代謝させる、変化させる、またはそうでなければ、修正することができる。いくつかの実施形態では、流体処理システム1は、バイオリアクター100と流体連通し、そうすることで、処理システム1は、バイオリアクター100からの有機体を電気穿孔するための二次処理プロセスとしての役割を果たすことができる。いくつかの実施形態では、システムは、流体をさらに処理し、ある程度の死滅または損傷細胞8のいずれも除去するまたは低減するための、沈殿またはろ過110のための追加の態様をさらに含む。
【0027】
図3は、いかにして流体処理システムを採用することができるかについての一般的方法を概説するフローチャートを示す。いくつかの実施形態では、そのプロセスは、流体の一部分を流して流れ発生器に動力供給し、電気を作り出すことから開始し得る(ブロック200)。次いで、パルス発生器を使用して電気パルスを作り出すことができる(ブロック210)。そして、これらの電気パルスを流動流体の一部分に印加することができる(ブロック220)。いくつかの実施形態では、流体の移動する部分はまず、流れ発生器に動力供給することによって電気を生成して、次に流体のその部分はエレクトロポレーションチャンバーに浸入し、電気パルス(単数または複数)が加えられる。いくつかの実施形態では、まず、蓄えられた電荷は流動流体の一部分に付与されて(ブロック220)、その後、流動流体の一部分はエレクトロポレーションチャンバーまで流路を下って流れていき、そこで、流れ発生器にエネルギーを供給して、次のパルスを付与するために(ブロック210)、電気を作り出す(ブロック200)。
【0028】
本明細書に開示される本プロセスおよび方法ならびに他のプロセスおよび方法について、当該プロセスおよび方法で実行される機能は、異なる順序で実行することができることを、当業者は理解するであろう。さらに、概説した工程および動作は単に例として提供され、工程および動作のいくつかは、開示された実施形態の本質を損なうことなく、任意であってもよく、組み合わせてより少ない工程および動作にしてもよく、追加の工程および動作に拡張されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、流体を処理するための方法は、電力を生成するための生成器を介して細胞で汚染された流体を流すことと、パルス発生器を使用して電力を電気パルスに変換することと、電気パルスを十分な電流かつ十分な電圧で流体に印加して細胞を溶解および/または損傷させることによって、流体を処理することとを含む。いくつかの実施形態では、流体を処理する方法は、電力を生成するための生成器を介して細胞で汚染された流体を流すことと、パルス発生器を使用して電力を電気パルスに変換することと、電気パルスを十分な電界で流体に印加して細胞を溶解および/または損傷させることによって、流体を処理することとを含む。いくつかの実施形態では、電力を生成する流体の一部分には電気パルスが印加される。いくつかの実施形態では、第2および第3の電気パルスが流体に印加される。いくつかの実施形態では、電気パルスの周波数は、流動流体の流量によって決定される。いくつかの実施形態では、流量の増加によりパルスの周波数が大きくなり、流量の減少によりパルスの周波数が小さくなる。いくつかの実施形態では、10アンペアで少なくとも1kVの電圧を有する少なくとも2つの電気パルスが、流体に印加される。いくつかの実施形態では、より速い流量は、所与の周波数に対してより大きいパルスを生成するのに使用され得る。いくつかの実施形態では、10アンペアで適切な電界(例えば、10mV/cm〜50kV/cm)を有する少なくとも2つの電気パルスが、流体に印加される。
【0030】
いくつかの実施形態では、
図3の方法は流体を帯電させるための方法である。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載された流体処理システムの実施形態のうちのいずれかを提供することと、流れ発生器を介して流体を流して電位を生成することと、流体全体に1つまたは複数の電気パルスを生成して流体を帯電させるように、アノードおよびカソードに電位を印加することとを含むことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、流体の流れを逆転させることができる。いくつかの実施形態では、流体処理システムを、電極(およびエレクトロポレーションチャンバー)が流れ発生器の上流にあるように位置付けることができ、そうすることで、システムを流れる流体が最初に電気穿孔される対象となり、次いで流れ発生器と接触して次のパルスのための電気を生成するようにする。
【0032】
図4は、流体処理システムを採用することができる方法に関するいくつかの実施形態を表すフローチャートを示す。いくつかの実施形態では、流体内のさまざまな汚染物質を除去するために微生物を含むことができるバイオリアクターを提供することができる(ブロック310)。そして、(バイオリアクターの上流またはその下流いずれかの)流動流体(ブロック320)、エレクトロポレーションチャンバー、パルス発生器および/または流れ発生器(ブロック330、340および350)を提供して、流れ発生器を介して流動流体から電力を生成することができる(ブロック360)。次に、生成された電力をパルスとして流動流体に印加することができる(ブロック370)。そして、追加のパルスを流体に印加して(ブロック380)、続いて流体を沈殿処理(ブロック390)および/またはろ過して(ブロック400)電気穿孔された細胞を含む場合がある汚染物質を除去することができる。最後に、流体を収集することができる(ブロック410)。いくつかの実施形態では、上記のプロセスのうちの1つまたは複数を削除、省略または反復することができる。いくつかの実施形態では、フローチャートの下位から開始することができる。
【0033】
図5に示されるように、プロセスのうちのいくつかを代替の順序で行うことができる。いくつかの実施形態では、まず、流動液体(ブロック320)をバイオリアクター(ブロック310)内に供給し、エレクトロポレーションチャンバー、パルス発生器および流れ発生器を提供する(ブロック330、340、および350)。そして、流体に電力を印加して(ブロック370)(電力は事前に蓄えておくことができる)、次いで、次のパルスのために(流れ発生器によって)流動流体から電力を生成することができる(ブロック360)。
【0034】
いくつかの実施形態では、流体はまず提供されたエレクトロポレーションチャンバーに、その後流れ発生器に流れ込むため、流れ発生器を流れる流体は既に電気穿孔を施されている。いくつかの実施形態では、流体はまず提供された流れ発生器に、その後エレクトロポレーションチャンバーに流れ込むため、流体の第1部分は、発生器に動力供給すること、および、電気パルスを受け取ることの両方が可能である。いくつかの実施形態では、電気パルスが印加される流体は流れずに停止し、複数のパルスが流体に付与されることを可能にする。
【0035】
(
図1および
図2で示されるような)いくつかの実施形態では、デバイスの複数の部品は組み合わせられて単一のデバイスになる。しかしながら、いくつかの実施形態では、デバイスは、キット形式またはシステム形式で提供され、この場合、装置は物理的に1つに組み立てられる必要はない(むしろ、単に適切な連係を可能にするように構成される)。いくつかの実施形態では、流れ発生器と、パルス発生器と、流れ発生器と電気的に連絡する(または流れ発生器との電気的な連絡を可能にするように構成された)アノードと、流れ発生器と電気的に連絡する(または流れ発生器との電気的な連絡を可能にするように構成された)カソードとを含むキットが提供される。いくつかの実施形態では、アノードおよび/またはカソード内の電気は、パルス発生器によって制御される。いくつかの実施形態では、流れ発生器およびパルス発生器は、電気パルスを提供するように構成される。いくつかの実施形態では、パルスは10アンペアで少なくとも1kVである。いくつかの実施形態では、アノードおよび/またはカソードは、送水管内に適合しかつ流路の一部を占有するサイズの金属プレートである。
【0036】
いくつかの実施形態では、細胞を電気穿孔する、またはさもなければ処理するために、パルスは閾値以上の電界(例えば、E>E
th)を確立する。いくつかの実施形態では、この電界はE
irより大きく、不可逆的閾値である(ただしこれは全ての実施形態に必要とされるわけではない)。微小電流が電気穿孔において役割を果たす場合があるが、エレクトロポレーションチャンバーの細胞を電気穿孔する能力は、チャンバー内の細胞に印加される外部電界に関して説明され得る。いくつかの実施形態では、印加される電界は、1メートルにつき1mV〜500kVの間である。いくつかの実施形態では、印加される電界は、(電気穿孔の代わりに)細胞刺激が所望される場合に有益であり得る範囲の、10mV/cm〜数V/cmの間である。いくつかの実施形態では、例えば、電界を、1センチメートルにつき10、20、30、40、50、60、70、80、100、200、300、500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000または10,000ミリボルトとすることができる。これには、前述の値のいずれか以上の任意の範囲、および前述の値のいずれか2つの間で画定される任意の範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、印加される電界は、(例えば、不可逆電気穿孔にとってより有用な電界が所望される場合)1センチメートルにつき100ボルトから1センチメートルにつき100,000ボルトである。いくつかの実施形態では、電界を、例えば、1センチメートルにつき200、500、1,000、5,000、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000または99,000ボルトとすることができる。これには、前述の値のいずれか以上の任意の範囲、および前述の値のいずれか2つの間で画定される任意の範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、カソードおよび/もしくはアノード、ならびに/または流れ発生器、ならびに/またはパルス発生器は、本明細書に記載されるように、上述した電界強度を流体に供給するように構成される。
【0037】
さらなる変形および追加または代替実施形態
いくつかの実施形態では、システムおよび/またはデバイスは、既存の家庭雑排水システムに後付けすることおよび/または新設することを可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、システムおよび/またはデバイスは家庭用に構成される。いくつかの実施形態では、システムおよび/またはデバイスは工業用に構成される。
【0038】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法またはデバイスの1つまたは複数は、水処理のためのインラインソリューションを提供することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法またはデバイスの1つまたは複数は、既存の流体システムのレトロフィットを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法またはデバイスの1つまたは複数は、さらなる試薬を必要とせずに、有効な殺菌を提供することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法またはデバイスの1つまたは複数は、自給式、自己再生および/または自己動力システムを提供することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法またはデバイスの1つまたは複数を、さまざまな状態(例えば水の流れ、濁り、使用)に対して調整することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法またはデバイスの1つまたは複数を、既存のシステムと一体化することができる。
【0039】
エレクトロポレーションチャンバー
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバーは、パイプ形状の流路を形成するように、パイプの2つの部分を含む。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバーは大気に開かれているため、エレクトロポレーションチャンバー内の流体は、例えば送水路、水路、溝などにおいて、大気にさらされる。
【0040】
いくつかの実施形態では、パイプはシリンダである。いくつかの実施形態では、(パイプとすることができる)チャンバーは直線構成されている。いくつかの実施形態では、チャンバーは、対向する壁の第1セットと対向する壁の第2セットとを有する。対向する壁の第1セットは、対向する壁の第2セットより幅広い。いくつかの実施形態では、対向する壁の幅広い方のセットはアノードおよび/またはカソードであり、対向する壁の幅狭い方のセットは、アノード壁をカソード壁から絶縁する役割を果たすことができる。いくつかの実施形態では、壁の幅狭い方のセットは非導電材料を含むか、非導電部を含む。いくつかの実施形態では、幅狭い方の壁のうちの1つは「底部」(地上に最も近い側)に位置付けられる。いくつかの実施形態では、幅広い方の壁のうちの1つが「底部」に位置付けられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバーの内部は、アノードを含む第1内部表面と、カソードを含む第2内部表面とによって画定される。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバーは、流体が流れる流路の外部表面を画定し、アノードまたはカソードは流路内に位置付けられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバー(ならびに/またはアノードおよびカソード)の外部は、システムを外部接地から絶縁するための非導電性シェルを含む。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバー(ならびに/またはアノードおよびカソード)は、システムを不都合に短絡させる場合がある他の構成物から分離される。
【0043】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバーは水平である。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバーは近接端部および遠心端部を有する。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバーの遠心端部は、エレクトロポレーションチャンバーの近接端部より低くすることができる。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバーは近接端部および遠心端部を含み、エレクトロポレーションチャンバーの遠心端部はエレクトロポレーションチャンバーの近接端部より高い。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバーと流れ発生器とを通る流路は水平である。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバーと流れ発生器とを通る流路は、近接端部および遠心端部を有する。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバーと流れ発生器とを通る流路において、遠心端部は近接端部より低い。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバーと流れ発生器とを通る流路において、遠心端部は近接端部より高い。当業者には理解されるように、本開示を考慮すると、デバイスおよび/またはシステムの下流部が上流部より高い実施形態では、流体が高所部を越えるのに十分なエネルギーを有する限り、流動流体は、依然デバイスを機能させることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、流体が処理される量は流体のタイプ(例えば、流体内における存在が疑われる汚染物質のタイプ)に左右される。いくつかの実施形態では、電気穿孔は、電気穿孔が行われると、生存している細胞および/または有機体が100パーセント未満となるようなものである。いくつかの実施形態では、電気穿孔は、電気穿孔が行われると、再生または複製することができる細胞および/または有機体が100パーセント未満となるようなものである。いくつかの実施形態では、電気穿孔が行われると、例えば、細胞および/または微生物の99.999、99.99、99.9、99、98、97、96、95、93、92、91、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.1、0.01または0.001未満が生存している、または再生もしくは複製することができる。これには、前述の値のいずれか未満の任意の範囲、および前述の値のいずれか2つの間で画定される任意の範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、上記の範囲およびパーセントは、電界にさらされる流体内の細胞に適用する。いくつかの実施形態では、上記のパーセンテージは、例えば1つまたは複数の以下のパルス、すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100またはそれ以上のパルスによって実現される。これには、前述の値のいずれかを上回る任意の範囲、および前述の値のいずれか2つの間で画定される任意の範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、パルスの数は、用途、汚染のタイプおよび量、流体の組成、流量、加えられるエネルギーなどに左右され得る。
【0045】
場合によっては、処理される流体の量は配管のサイズによって限定される。いくつかの実施形態では、配管が大きいほど、電気システムは出力を維持するためにより大きくなる可能性がある。このことはパルスレーダーシステムとよく似ている。ジュースタイプの用途では、ジュースが通過する時、8つのまでの連続したチャンバーにおいて10マイクロ秒のパルスが印加される。パルスの短い継続時間では、加熱効果は一切ないか最低限しかない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のデバイスおよび方法はマイクロ流体の用途に適用され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、流れ発生器に優れた利点(例えば、より速い流動流体、より多くの電気を生成すること)、および、エレクトロポレーションチャンバーに有効性(E
thはV/cmであり、したがって全体の距離が短いほどデバイスの有効性および/または効率は向上する)をもたらすように、チャンバーを幅狭くすることができる。いくつかの実施形態では、チャンバー全体にわたる電界の分布さえ可能にするように、または、少なくとも流体の流動特性に合致するように、エレクトロポレーションチャンバーの形状を最適化することができる。
【0047】
アノードおよびカソード
いくつかの実施形態では、アノードおよび/またはカソードは、
図1で示される配管などの流路を画定する外部表面である。いくつかの実施形態では、アノードおよび/またはカソードは、流路内に位置付けられるプレート、ワイヤー、ロッド、スクリーン、または他の構成物である。いくつかの実施形態では、アノードは流体の流路内に位置付けられる(プレート、ワイヤーまたはロッドなどの)構成物であり、カソードは(パイプ内部などの)流路を画定する内面である。いくつかの実施形態では、カソードは流体の流路内に位置付けられる(プレート、ワイヤーまたはロッドなどの)構成物であり、アノードは(パイプ内部などの)流路を画定する内面である。
【0048】
いくつかの実施形態では、アノードおよび/またはカソードは金属または他の導電性材料からできている。いくつかの実施形態では、アノードおよび/またはカソードは、鉄、銅、チタン、アルミニウム、またはこれらの任意の組み合わせからできている。
【0049】
いくつかの実施形態では、アノードおよび/またはカソードは、(それらが平滑なパイプ表面である場合など)システムを通る流体の流れに対する影響を低減するように構成される。
【0050】
いくつかの実施形態では、アノードおよび/またはカソードは流れ発生器に組み込まれる。いくつかの実施形態では、アノードは、(ブレードなどの)流れ発生器内の流体の流れによって動く構造、またはその構造の一部であり、カソードは配管の別個の部分または配管の一部である。いくつかの実施形態では、カソードは、流れ発生器内(ブレードなど)の流体の流れによって動く構造、またはその構造の一部であり、アノードは配管の別個の部分または配管の一部である。
【0051】
いくつかの実施形態では、アノードは絶縁部によってカソードと分離される。いくつかの実施形態では、絶縁部は空間または空気である。いくつかの実施形態では、絶縁部はゴムまたはプラスチックなどの非導電性材料である。いくつかの実施形態では、絶縁材料は、流体が流れることができる密閉流路を効果的に作り出すために、アノードとカソードとの間の流体密封結合(fluid tight connection)を可能にする。いくつかの実施形態では、絶縁材料は、デバイス内にこの時点で存在する電気的および化学的環境に対して耐性がある。
【0052】
いくつかの実施形態では、アノードおよびカソードは、流路の下半分がアノードまたはカソードを含むように、および、流路の上半分が対応するカソードまたはアノードを含むように、間隔をあけて配置される。よって、かかる実施形態では、電位差は、流体の流れに対して垂直方向に、配管全体にわたる。いくつかの実施形態では、アノード(またはカソード)はパイプ内の第1の地点に配置され、カソード(またはアノード)は上流または下流に配置されて、パイプの流れ方向に電位差が生じるようにする。
【0053】
いくつかの実施形態では、2つ以上のエレクトロポレーションチャンバーおよび/またはアノード/カソード対を処理システムにおいて使用する。いくつかの実施形態では、単一の流れ発生器は1つまたは複数のアノード/カソード対に電力を供給することができる。いくつかの実施形態では、アノード/カソード対のそれぞれがそれ自体の流れ発生器を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、発電機自体とその周囲のパイプのシェルは、アノード/カソード対を含む。例えば、ホイールをアノード/カソードとすることができ、パイプはカソード/アノードである。いくつかの実施形態では、発電機は、流体がシステムを通って移動する際に電界がシステム自体の中に存在するように配置され得る。
【0055】
パルス発生器
いくつかの実施形態では、パルス発生器20は、流れ発生器ならびに/またはアノードおよび/もしくはカソードから分離されるが、かかる構成要素と電気的に連絡する。いくつかの実施形態では、電気的な連絡はワイヤーを介して実現される。
【0056】
いくつかの実施形態では、パルス発生器は、(電気穿孔の代わりに)細胞刺激が所望される場合に有益であり得る範囲の、10mV/cm〜数V/cmの間の電界を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、例えば、パルス発生器は、1センチメートルにつき10、20、30、40、50、60、70、80、100、200、300、500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000または10,000ミリボルトの電界を提供するように構成される。これには、前述の値のいずれかを上回る任意の範囲、および前述の値のいずれか2つの間で画定される任意の範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、(例えば、不可逆電気穿孔にとってより有用な電界が所望される場合)1センチメートルにつき100ボルトから1センチメートルにつき100,000ボルトの電気を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、電界を、例えば、1センチメートルにつき、200、500、1,000、5,000、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000または99,000ボルトとすることができる。これには、前述の値のいずれかを上回る任意の範囲、および前述の値のいずれか2つの間で画定される任意の範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、エレクトロポレーションチャンバー全体に少なくとも0.1kVの電圧を提供するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、デバイスは、0.2、0.3、0.5、0.7、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、15、20、30kVまたはそれ以上を提供するように構成される。これには、前述の値のいずれかを超える任意の範囲および前述の値のいずれか2つの間で画定される任意の範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、これは、エレクトロポレーションチャンバー全体に平均的に加えられる電圧である。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、エレクトロポレーションチャンバー全体に少なくとも1アンペアの電流を与えるように構成される。いくつかの実施形態では、これを、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、40アンペアまたはそれ以上とすることができる。これには、前述の値のいずれかを超える任意の範囲および前述の値のいずれか2つの間で画定される任意の範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、前述の電界強度および/または電圧範囲のいずれかを、前述の電流値のいずれかで実現することができる。いくつかの実施形態では、電界強度は10mV/cm〜50kV/cmであり、かつ/または電圧は約1〜10kVであり、ならびに、電流は約5〜15アンペア(例えば、10アンペア)である。いくつかの実施形態では、流れ発生器と、上記の電界、電流および電圧範囲を実現するように構成されるパルス発生器とが組み合わせられる。いくつかの実施形態では、上記の電界、電流および電圧範囲を実現するように構成されるのは、アノードおよび/またはカソードとパルス発生器との組み合わせである。いくつかの実施形態では、上記の電界、電流および電圧範囲を実現するように構成されるのは、流れ発生器と、アノードおよび/またはカソードと、パルス発生器との組み合わせである。いくつかの実施形態では、システムおよび/またはデバイスは、動作する時、電界、電流および電圧の上述した範囲を実現することができるように構成される。
【0057】
いくつかの実施形態では、パルス発生器は、流体の一部分がエレクトロポレーションチャンバーを流れる時に、複数のパルスが流体の一部分に提供されるような周波数および継続時間で、パルスを提供するように構成される。いくつかの実施形態では、パルス発生器はコンデンサを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、システム、パルス発生器、流れ発生器、またはこれらの任意の組み合わせは、カソードとアノードとの間にAC電流を流すように構成される。いくつかの実施形態では、システム、パルス発生器、流れ発生器、またはこれらの任意の組み合わせは、カソードとアノードとの間にDC電流を流すように構成される。
【0059】
流れ発生器
いくつかの実施形態では、任意の流体駆動流れ発生器を採用することができる。エネルギーを流動液体から得る実施形態では、流れ発生器は、(プラスチック、ゴム、木または金属ホイールもしくはブレードなどの)流体に適した適切な相互作用表面を含むことができる。いくつかの実施形態では、流れ発生器は、パルス発生器、ならびに/または、アノードおよび/もしくはカソードと電気的に連絡する。いくつかの実施形態では、流れ発生器は衝撃タービンである。いくつかの実施形態では、流れ発生器は、ペルトンタービン、フランシスタービン、および/またはカプランタービンである。
【0060】
いくつかの実施形態では、流れ発生器はワイヤーもしくはリード線11によってカソードに接続され、かつ/または、流れ発生器はワイヤーもしくはリード線12によってアノードに接続される。いくつかの実施形態では、ワイヤーまたはリード線11はパルス発生器を通過する。いくつかの実施形態では、ワイヤーまたはリード線12はパルス発生器を通過する。
【0061】
追加の構成要素
上述されるように、いくつかの実施形態では、追加の構成要素はデバイスまたはシステムに含まれ得る。いくつかの実施形態では、バイオリアクターまたは他のデバイスは、エレクトロポレーションチャンバーの上流に含まれる。いくつかの実施形態では、システムまたはデバイスはフィルタを含む。いくつかの実施形態では、システムまたはデバイスは沈殿槽を含む。いくつかの実施形態では、流れ発生器ならびに/またはパルス発生器ならびに/またはアノードおよび/もしくはカソードと電気的に連絡するコンデンサが提供される。いくつかの実施形態では、流れ発生器ならびに/またはパルス発生器ならびに/またはアノードおよび/もしくはカソードと電気的に連絡するバッテリーが提供される。いくつかの実施形態では、デバイスまたはシステムは、流れ発生器と随意に電気的に接続され得る紫外線光源を含むこともできる。
【0062】
いくつかの実施形態では、脱イオン樹脂はエレクトロポレーションチャンバーの上流に位置する。
【0063】
いくつかの実施形態では、本方法および/またはデバイスおよび/またはシステムは、高浸透性の溶液が存在する場合に使用され得る。かかるいくつかの実施形態では、膜の易透化が見られる場合、塩は細胞に入り込み、細胞の破壊をまねく場合がある。いくつかの実施形態では、本方法、システムおよび/またはデバイスを、洗濯機の廃水を処理するために取り付けることができる。いくつかの実施形態では、塩は溶液の導電性を増加させ得る。いくつかの実施形態では、本方法および/またはデバイスおよび/またはシステムを、カルシウムを有する流体に対して使用することができる。カルシウムは塩であり、完全に細胞が破壊されない場合でも、細胞に大量流入した場合、細胞を死滅させ得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、含まれ得る追加の添加剤(またはその供与源)は、殺生添加剤または細胞の成長を抑制する他の薬剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、含まれ得る追加の添加剤(またはその供与源)は、浸透物質、カルシウム、高張添加剤、殺生添加剤、微生物増殖抑制添加剤、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、フィルタシステムを流れ発生器の上流または下流で採用することができる。
【0066】
流体
いくつかの実施形態では、流体は家庭雑排水である。いくつかの実施形態では、流体は河川水である。いくつかの実施形態では、流体は水である。いくつかの実施形態では、流体は、微生物を含む、または、微生物を含む疑いがある。いくつかの実施形態では、流体は、微生物を含まない場合でも、または、微生物が含まれることが既知でない場合でも、電気穿孔によって処理される。いくつかの実施形態では、流体は、自然な状態では、海水面より上に位置する流体である。いくつかの実施形態では、流体は、ポテンシャルエネルギーおよび/または運動エネルギーを有する流体である。いくつかの実施形態では、流体は、自然な状態では、ポテンシャルエネルギーおよび/または運動エネルギーを有する流体である。いくつかの実施形態では、流体は、それ自体がポテンシャルおよび/または運動エネルギーを有するために引き上げられまたは汲み上げられなければならない流体ではない。いくつかの実施形態では、流体は、それ自体がポテンシャルおよび/または運動エネルギーを有するために引き上げられまたは汲み上げられることを必要としない。
【0067】
いくつかの実施形態では、流体は廃水である。いくつかの実施形態では、流体は、家庭用蛇口またはシンクの住宅吐水口または水栓から流出する。いくつかの実施形態では、デバイスまたはシステムは、居住環境で蛇口の端部にねじ込むように構成される。
【0068】
いくつかの実施形態では、流体はエレクトロポレーションチャンバー内にある。いくつかの実施形態では、流体は流れ発生器内にある。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションチャンバー内の流体は、流れ発生器内の流体と同じ流体である。
【0069】
いくつかの実施形態では、流体は細胞または微生物を含有する。いくつかの実施形態では、細胞は、微生物、寄生虫、バクテリア(大腸菌など)、植物細胞、非ヒト細胞(nonhuman cell)、もしくは病原細胞であるか、またはその一部である。
【0070】
いくつかの実施形態では、流体が流れる流路は水平である(そのため流体は圧力下で流れる)。いくつかの実施形態では、流体が流れる流路は、上り勾配になっている(そのため流体は圧力下で流れる)。圧力は(例えば、先の下り勾配部を介して)システムの前にかけることができ、または、システムの後に、例えば、サイフォンによる吸引といった負圧によってかけることができる。いくつかの実施形態では、流体を流れる流路は下り勾配になっている(そのため流体は重力下で流れる)。
【0071】
いくつかの実施形態では、流体はガスであり、電気穿孔により空中浮遊菌または空中浮遊細胞が処理される。かかる実施形態では、流れ発生器を風力タービンとすることができ、タービンを通る空気も、エレクトロポレーションチャンバー内で処理される。いくつかの実施形態では、流れ発生器を、空気をエレクトロポレーションチャンバーへと導くダクトを含む風力タービンとすることができる。
【0072】
用語「処理する」または「処理」は、流体内の細胞および/または膜の汚染物質全ての完全な除去を要さない。いくつかの実施形態では、処理後、生存する細胞もしくは有機体は少なくなる、または、弱体化した状態の細胞もしくは有機体が残される(これらは後に死滅するか、または複製もしくは再生不可能となる可能性がある)。当然ながら、いくつかの実施形態では、細胞の残骸が流体に残ることになる。
【実施例1】
【0073】
流れ発生器、パルス発生器およびエレクトロポレーションチャンバーを含む流体処理システムが提供される。本システムでは、チャンバーの上半分がカソードであり、チャンバーの下半分がアノードである。チャンバーは円柱状であり、チャンバーがその中に配置される廃水流体システム内の配管の内径とほぼ同じサイズの内径を有する。廃水流体システム内の配管の一部分が切り取られて、流体処理システムと置き換えられる。
【0074】
まず、廃水を流れ発生器を介して流すことが可能とされ、続けてその廃水をエレクトロポレーションチャンバーへと流すことが可能とされる。廃水に、少なくとも10アンペアの電流の1kVのパルスを5つ与える。そのパルスの電気は、流れ発生器によって作り出され、パルス発生器によってパルスに印加される。処理された廃水の中には、生存可能な細胞が少なくなる。
【実施例2】
【0075】
エレクトロポレーションチャンバー、流れ発生器およびパルス発生器を含む流体処理システムが提供される。エレクトロポレーションチャンバーはパルス発生器に接続されて、パルス発生器がエレクトロポレーションチャンバーに印加される電気を制御することができるようにする。エレクトロポレーションチャンバーは、水が下り勾配に流れる屋外式送水路配置構成を含む。エレクトロポレーションチャンバーは、送水路の流路の表面と、パルス発生器に接続されかつアノードとして機能することができる第1金属プレートと、パルス発生器に接続されかつカソードとして機能することができる第2金属プレートとを含む。第1および第2金属プレートは、流れ発生器の上流に配置される。送水路を流れる水は流れ発生器に動力供給をし、それによりパルス発生器に電力が供給されて、パルス発生器は、流れ発生器から上流に流れている水全体に5〜10の電気パルスを生成する。次に、パルス処理された水は、送水路を下方へ流れて、新しい水の上流部における次回の処理のために、流れ発生器を付勢する。
【0076】
本開示は、さまざまな態様の例示として意図されている、本明細書に記載される特定の実施形態に関して限定されるものではない。当業者には明らかとされるように、本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく、多くの修正および変形を加えることができる。本明細書に列挙されているものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法および装置が、以上の説明から当業者には明らかとなるであろう。そのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあると意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲の各項と、かかる特許請求の範囲が権利付与される対象となる全範囲の均等物とによってのみ限定されるべきである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、構成物、または生物系に限定されず、これらは当然ながら多様であり得ることを理解すべきである。また、本明細書において使用される専門用語は特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定的であることが意図されていないことも理解すべきである。
【0077】
本明細書における実質的に全ての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。さまざまな単数形/複数形の置き換えは、理解しやすいように、本明細書で明確に説明することができる。
【0078】
通常、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全体を通じて「オープンな(open)」用語として意図されていることが、当業者には理解されよう(例えば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つまたは複数の(one or more)」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む実施形態に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(例えば、他の修飾語なしでの「2つの記載(two recitations)」の単なる記載は、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、BおよびC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBをともに、AおよびCをともに、BおよびCをともに、ならびに/またはA、B、およびCをともに、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。「A、B、またはC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBをともに、AおよびCをともに、BおよびCをともに、ならびに/またはA、B、およびCをともに、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方(one of the terms)、当該用語のいずれか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0079】
さらに、本開示の特徴または態様がマーカッシュグループとして記載される場合、本開示が、それによって、マーカッシュグループの任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループとしても記載されるものであることを、当業者は認識するであろう。
【0080】
当業者には理解されるように、ありとあらゆる目的で、例えば書面による説明を提供することに関して、本明細書において開示されるあらゆる範囲は、そのありとあらゆる可能な下位範囲および下位範囲の組み合わせも包含するものである。いずれの記載範囲も、その同じ範囲が、少なくとも2等分、3等分、4等分、5等分、10等分などに分割されることを十分に説明し可能にするものとして、容易に認識され得るものである。非限定的な例として、本明細書で論述する各範囲を、下3分の1、中3分の1および上3分の1などに、容易に分割することができる。また当業者には理解されるように、「〜に至るまで」、「少なくとも」などといった全ての用語は、記載される数を含み、後に前述の下位範囲に分割され得る範囲を指し示すものである。最後に、当業者には理解されるように、範囲は個々の各メンバーを含む。よって、例えば、1〜3個の細胞を有するグループは、1個、2個または3個の細胞を有するグループを指す。同様に、1〜5個の細胞を有するグループは、1個、2個、3個、4個または5個の要素を有するグループを指し、以下同様である。
【0081】
上記から、本開示のさまざまな実施形態が、例示のために本明細書において記載され、本開示の範囲および趣旨を逸脱することなく、さまざまな修正を行うことが可能であることが理解されるであろう。したがって、本明細書に開示されたさまざまな実施形態は限定を意図されず、真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲によって示される。