(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ノズルから材料の液滴を分配するようにインクジェット式のプリンティングヘッドの圧電ノズルに対する電気パルスの適用のためのタイミング・パラメータを制御するステップを含むプリンティング方法であって、前記タイミング・パラメータは、前記液滴の材料の密度を前記材料の自然の密度よりも小さい選択された密度値に下げるように前記液滴の材料へとガスバブルを導入するように制御される、方法。
前記タイミング・パラメータは、パルス周期、パルス幅、パルスの遅延、デューティサイクル、または全体のデューティサイクルからなるタイミング・パラメータ・リストから選択される、請求項1に記載の方法。
前記タイミング・パラメータを制御するステップは、前記タイミング・パラメータと前記材料の密度に関するプロパティとの間の予め決められた対応関係にしたがって前記タイミング・パラメータの値を選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
前記密度に関するプロパティは、前記材料の密度、硬化後の前記材料の密度、半透明性、光学的濃度、および誘電率からなる密度に関するプロパティ・リストから選択される、請求項4に記載の方法。
前記タイミング・パラメータを制御するステップは、前記プリンティングヘッドと前記分配された液滴が堆積する表面との間の相対運動に対応する前記タイミング・パラメータの値を選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
前記タイミング・パラメータの選択された値に対応するように、前記プリンティングヘッドと前記分配された液滴が堆積する表面との間の相対運動の速度を調整するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
前記パルスを適用するステップは、前記プリンティングヘッドの複数のノズルに前記パルスを同時に適用するステップを含み、前記ノズルは、少なくとも1つの他のノズルによって互いに切り離される、請求項9に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明において、多数の具体的な詳細は、本発明の完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細なしで実施されてよいことは、当業者によってよく理解される。他の例において、周知の方法、手順、コンポーネント、モジュール、ユニットおよび/または回路は、本発明を不明瞭にしないように詳述しなかった。
【0009】
本発明の実施形態によれば、インクジェット式のプリンティングヘッドの圧電ノズルによって分配される材料の密度は、制御可能である。プリンティングヘッドは、プリンタ内部にまたはそれに関連して組み込まれる。材料の液滴は、電気パルスがノズルに適用されるときにその圧電ノズルによって分配される。パルスの適用は、プリンティングヘッド内に含まれる材料の液滴を排出する圧力波の形成を生じさせる。液滴が排出されるにつれて、追加の材料は、プリンティングヘッド内へと流入する。圧力波の生成、液滴の分配、および追加の材料の流入の結合する作用によって、材料の内部にキャビテーションが生じる場合がある。材料の内部のキャビテーションは、プリンティングヘッドの内部で材料のガスバブル容量をこのように増加させる場合がある。
【0010】
材料は、オブジェクトを形成するように3Dプリンティングの目的で分配されてよい。材料の分配された液滴は、オブジェクトの形成に寄与するように表面上に堆積されてよい。例えば、表面は、オブジェクトがプリンティングされるかまたは形成される基板、トレイまたはプラットフォームでよい。表面は、部分的に形成されるオブジェクトの最も近い(例えば、より上のまたは頂部の)面を含んでよい。
【0011】
分配されて堆積される材料の密度を制御することは、制御可能な密度を有するオブジェクトの形成をこのように可能にする。形成されるオブジェクトの各層、領域またはコンポーネントを形成するために、分配される材料の密度を別々に制御することは、別のコンポーネントの密度とは異なる密度の1つのコンポーネントを有するオブジェクトの形成を可能にする。
【0012】
材料の密度は、材料へのガスバブルの導入によって、材料の自然の密度から低下してよい。本明細書において、材料の自然の密度は、材料が隣接していてガスバブルによって中断されないときに、(例えば、温度および圧力を含む環境条件の所与の設定の下での)材料の密度として定義される。このように、ガスバブル容量がゼロに近いときに、材料の密度は、その材料の自然の密度に実質的に等しい。材料のガスバブル容量(例えば量または質量分率として表現可能な)がより大きいほど、材料の密度は、より小さい。材料の硬化(例えば加硫(curing)の結果として)まで、そしてその後、ガスバブルは、材料内に捕捉される場合がある。
【0013】
圧電ノズルによって分配される材料のガスバブル容量は、そのノズルに対する一連の電気パルスの適用の制御によって制御されてよい。圧電ノズルに対する電気パルスの適用のタイミングを調整することによって、ガスバブルの形成は、制御されてよい。タイミングは、1つ以上のタイミング・パラメータによって特徴づけられる。タイミング・パラメータの少なくともサブセットは、分配される材料のガスバブル容量を制御するように調整可能である。電気パルスのタイミングに関する調整可能パラメータは、各パルスの持続時間、あるいは連続するパルス間の期間または時間を含んでよい。
【0014】
1つのパルスとその次との間の時間間隔は、ノズルに適用される1つのパルスの特定の点(例えばパルスの開始点)から、そのノズルに適用される直ぐ次のパルスの等価な点(例えば開始点)まで、(プリンティングヘッドの連続動作の間)測定されてよい。本発明のいくらかの実施形態によれば、時間間隔(ここからはパルス周期)は、プリンタの同時に実行される作動によって拘束される場合がある。例えば、プリンティングヘッドと材料が分配される基材表面との間の相対運動は、一定速度(例えば、常に、あるいは、単一のオブジェクトまたはオブジェクトの単一のコンポーネントの形成の全体にわたって)を有してよい。オブジェクトを正確に形成するために、パルスが発生するパルス周波数(パルス周期の逆数(例えばパルス数/毎秒で表される))は、材料の分配と相対運動との間の連携によって拘束されてよい。本発明の他の実施形態によれば、相対運動は、パルス周波数の調整と連携して調整可能でよい。
【0015】
単一パルスの持続時間(ここからはパルス幅)は、調整可能でよい。パルス周波数またはパルス周期が固定されるかまたは一定であるときに、パルス幅の調整は、パルスの遅延の補償調整によって付随されてよい。例えば、パルスの遅延は、パルス周期の一定の(例えば任意に選択された)位置とパルスの開始との間に時間間隔を記述してよい。パルス幅およびその対応するパルスの遅延(負の値を有してよい)の合計は、特定の固定したパルス周波数または周期にとってこのように実質的に一定でもよい。
【0016】
本発明のいくらかの実施形態によれば、電気パルスタイミングと材料密度(または関連する材料のプロパティ(例えば透光性))との関係は、実験または観察から経験的に由来してよい。例えば、経験的関係を決定することは、一定のパルスタイミング(例えばパルス幅および周期)を維持すると共に、オブジェクトを形成するためにプリンティングヘッドのノズルを操作することを含んでよい。形成されたオブジェクトの密度は、次いで測定される。さまざまなパルスタイミングを有するオブジェクトの類似の形成、それらの密度の測定および結果の分析は、パルスタイミングと材料密度(または関連する材料のプロパティ(例えば透光性または誘電率))との間の経験的関係をもたらしてよい。
【0017】
本発明のいくらかの実施形態によれば、プリンティングヘッドの1つのノズルに対する電気パルスの適用は、隣接するノズルに対するパルスの適用と連携してもよい。例えば、連携は、2つの隣接するノズル(例えば、最も近接するものと次の最も近接するもの)に対する電気パルスの同時適用を防止してよい。ノズルは、ノズルの多くのグループ(例えば3つのグループ)に割り当てられてよい。そして、各ノズルは、グループのうちの1つのメンバである。電気パルスは、単一のグループのメンバであるノズルに対して同時に適用されてよい。パルスは、他のグループに適用されるパルスの合間中に、1つのグループのノズルに適用される。
【0018】
本発明のいくらかの実施形態によれば、パルスタイミングは、デューティサイクルによって特徴づけられてよい。単一のノズル(またはノズルのグループ)のためのデューティサイクルは、パルス周期に対するパルス幅の比として定義されてよい。隣接するノズルにパルスが同時に適用されないように、電気パルスの適用が連携されるときに、全体のデューティサイクルは、パルス周期に対する、それらのノズルの全てに適用されるパルスの合計の比として定義されてよい。
【0019】
例えば、アクリル・ベースのフォトポリマー(例えば、Objet VeroClear(登録商標)RGD810(Objet(登録商標)社、Rehovot、イスラエル))のようないくらかの材料を分配するときに、電気パルスは、全体で40%のデューティサイクルを有して適用されてよい。40%以下のデューティサイクルを有する電気パルスの適用は、分配される材料の密度をその材料の自然の密度以下にかなり低下させる(例えば約10%まで)ために、分配される材料に充分なガスバブル(例えば約10容量%)を導入してよい。
【0020】
1つ以上の電気パルスタイミング・パラメータと材料密度(またはガスバブル容量)との関係は、ルックアップテーブルまたは類似の表現によって表されてよい。例えば、ルックアップテーブルは、材料密度によってインデックスを付けられてよい。このように、特定の密度を有する材料が分配されるときに、ルックアップテーブルの参照は、その密度を有して分配される材料を産生する電気パルスタイミング・パラメータの値をもたらしてよい。あるいは、ルックアップテーブルに対するパルスタイミング・パラメータと材料密度との関係は、関数、公式または方程式として表されてよい。例えば、関数関係は、関数形成に対して経験に由来するデータを適合させることに由来してよい。
【0021】
分配される材料の密度をその材料の自然の密度以下に低下させることは、有利でもよい。例えば、分配される材料の密度を低下させることは、その自然の密度を有して分配される材料による場合に比べてより軽いオブジェクトの形成を可能にしてよい。材料に、そして形成されるオブジェクトに依存して、ガスバブルの導入による材料密度の低下は、形成されるオブジェクトの機械的強度または他の機械的性質にこれといって影響を及ぼすことができない。同様に、オブジェクトを形成するために必要な材料の分量は、減少されてよく、したがって、オブジェクトを形成するためのコストを低減させる。
【0022】
異なる材料を用いるプリンティングによって(例えば、追加のプリンティングヘッドによって、またはプリンティングヘッドに提供される材料を置き換えることによって)、異なる材料密度を有するプリンティングが達成可能であるにもかかわらず、この種のソリューションは、資源(例えば、材料当たりのプリンティングヘッドの制限される数)またはスループット(例えば、材料供給コンテナおよび付随する作用を置き換えるために必要な時間)により大きい負担をかけることができる。他方で、本発明の実施形態によれば、パルスタイミングを変更することは、プリンティング速度を減少させることなくプリンティング・プロセス中に繰り返し実行されることができる。
【0023】
いくらかの材料については、密度を低下させるためにガスバブルを導入することは、分配される材料の、または形成されるオブジェクトの他の特性に影響を及ぼす場合がある。例えば、ガスバブルの導入は、材料の誘電率または他の電磁関連特性に影響を及ぼす場合がある。材料が透明である場合、材料へのガスバブルの導入によって、材料は、より半透明になる場合がある。(この場合、材料の透光性と材料密度との結合は、その半透明性を測定するかまたは観察することによって、分配される材料の密度または形成されるオブジェクトを決定するかまたは推定することを可能にしてよい。)Objet VeroClear(登録商標)RGD810(Objet社、Rehovot、イスラエル)は、その自然の密度において少なくとも部分的に透明であるが、ガスバブル容量の増加にともなってより半透明になる材料の1つの例である。
【0024】
本発明のいくらかの実施形態によれば、
図1は、プリンティング中に分配される材料の密度を制御することが可能な3Dプリンタの概略図である。
【0025】
3Dプリンタ10は、コントローラ20によって制御されるように作動してよいプリンティングヘッド12を含む。プリンティングヘッド12は、複数の圧電ジェッティングユニット14を含む。各圧電ジェッティングユニット14は、その圧電ジェッティングユニット14の圧電アクチュエータに適用される一連の電気パルスを発生させるために、コントローラ20のジェッティング制御モジュール26によって作動されてよい。圧電アクチュエータに対するパルスの適用は、ノズル16に提供されるプリンティング材料に一連の圧力波を発生させてよい。プリンティング材料における圧力波の生成によって、ノズル16は、プリンティング材料の液滴18を噴出させるかまたは分配させてよい。分配されるプリンティング材料の密度は、電気パルスの適用されるシーケンスのタイミングによって測定されてよい。タイミングは、ジェッティング制御モジュール26のタイミング制御サブモジュール27によって制御されてよい。
【0026】
パルスは、複数の圧電ジェッティングユニット14に同時に適用されてよい。1つのノズル16による液滴18の分配が隣接するまたは隣りのノズル16からの液滴の分配に影響(例えば、さまざまな機械的、音響的、または流体力学効果による)を及ぼすことを妨げるために、ジェッティング制御モジュール26は、隣接するノズル16の圧電ジェッティングユニット14に同時にパルスを適用することを回避するように構成されてよい。1つの配置において、ノズル16は、3つ以上のグループに分けられる。パルスは、単一のグループのノズル16の圧電ジェッティングユニット14にだけ同時に適用される。例えば、ノズル16が3つのグループに分けられるとき、ノズルの列の全ての第3のノズル16は、第1グループに属し、第1グループのノズルに直ちに後続するノズルは、第2グループに属し、第1グループのノズルに直ちに先行するノズルは、第3グループに属する。(例えば、
図1に概略的に示される3つの隣接するノズル16は、各々、別々のグループに属する。そうすると、示される3つのノズル16のうちの2つは、同時に液滴18を分配しない。)このように、同時に液滴を分配する2つのノズル16は、最初の2つと同時に液滴を分配していない少なくとも2つの介在するノズル16によって切り離される。
【0027】
いくつかの実施形態において、圧電ジェッティングユニット14のすべてのコンポーネントは、プリンティングヘッド12内に位置する。他の実施態様において、圧電ジェッティングユニット14のいくらかのコンポーネント(例えばいくらかの電気回路部品)は、プリンティングヘッド12の外側に(例えばコントローラ20に)位置してよい。
【0028】
3Dプリンタ10が単一のプリンティングヘッド12を有して示されるにもかかわらず、プリンタは、複数のプリンティングヘッドを含んでよい。例えばプリンティング速度を上げるために、さまざまなプリンティングヘッドは、同時に作動されてよい。例えばプリンティングオブジェクト36の異なる部分を形成するために、さまざまなプリンティングヘッドは、異なる材料を分配するように構成されてよい。
【0029】
分配のための材料は、導管系統42を介して材料貯蔵部40からプリンティングヘッド12のノズル16まで提供されてよい。(導管系統42は、共通の材料貯蔵部40からプリンティングヘッド12の複数のノズル16まで材料を提供する複数の分岐(単純にするため
図1には示されない)を概して含む。)材料貯蔵部40から導管系統42を介してノズル16までの材料の提供は、コントローラ20の材料供給制御モジュール38によって制御されてよい。典型的な3Dプリンタは、3Dプリンタ貯蔵部への異なる材料の供給のための複数のカートリッジ供給ユニット(図示せず)を備えてよい。導管系統を介して、異なる材料は、複数のカートリッジユニットの異なるカートリッジから供給されてよい。この種の供給ユニットは、例えば同じ譲受人の米国特許第7,725,209号に記載されていて、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0030】
層(例えばプリンティングオブジェクト36の層37a、37b)を形成するために、プリンティングヘッド12は、液滴18を分配するように構成されてよい。プリンティングされて、液滴18は、オブジェクト36のより下位層37aの表面上に堆積されてよい。ここで、新しい上位層37bの少なくとも一部を形成するために、それは凝固する(または、凝固するために硬化されてよい)。凝固する材料は、液滴18の材料密度によって決定される密度を有する。プリンティングオブジェクト36は、支持プラットフォーム32によって支持されてよい。プリンティングヘッド12と支持プラットフォーム32との間に相対的な並進運動または回転運動を引き起こすために、アクチュエータ30は、コントローラ20の運動制御モジュール28によって作動されてよい。例えば、アクチュエータ30は、支持プラットフォーム32、プリンティングヘッド12、またはその両方を動かすために作動されてよい。矢印34によって図式的に示される運動(ここからは運動34)は、支持プラットフォーム32と実質的に平行な平面における並進運動を含んでよく、(例えば、材料の分配された液滴18の堆積によってプリンティングオブジェクト36が形成されるにつれてプリンティングオブジェクト36の高さが増大するにつれて、ノズル16とプリンティングオブジェクト36の最も近い点との間の実質的に一定の距離、したがって実質的に一定の層厚さを維持するために)プリンティングヘッド12と支持プラットフォーム32との間の距離を調整する並進運動を含んでよく、または、プリンティングヘッド12と支持プラットフォーム32との間に相対的回転を含んでよい。
【0031】
コントローラ20の条件モジュール48は、プリンティングヘッド12における、または3Dプリンタ10の他のエンクロージャまたはコンポーネントにおける1つ以上の環境条件(例えば、周囲温度、湿度、冷却液流れ、冷却液組成)を示す1つ以上のセンサ(例えば、温度計、湿度センサ、流れセンサ、または他の光学的、機械的または電磁的センサ)からの受信データを制御してよい。1つ以上の環境条件を制御するために、条件モジュール48は、1つ以上の環境制御デバイス(例えば、ヒータ、ファン、またはフィルタ)を制御してよい。条件モジュール48は、検出された1つ以上の環境条件が予め決められた範囲から逸脱するときに、警報(例えば、視覚可能なまたは聴覚可能な)を発生するか、あるいは3Dプリンタ10の作動を停止するかまたは休止するか、あるいはその両方をするように構成されてよい。環境条件を受け入れ可能な値に戻すために、警報は、修正処置(例えば、フィルタを交換し、材料を補充し、スイッチをリセットする)を実行するようにオペレータに指示してよい。
【0032】
コントローラ20は、プロセッサ22および1つ以上のモジュールを含む。プロセッサ22は、1つ以上の処理デバイスを含んでよい。プロセッサ22の全てのまたはいくらかのコンポーネントは、プリンタ10に組み込まれてよいか、あるいはプリンタ10と通信するコンピュータまたは外部制御装置に組み込まれてよい。プロセッサ22は、プログラム学習にしたがって動作してよい。
【0033】
本発明のいくらかの実施形態によれば、コントローラ20のモジュール(例えば、ジェッティング制御モジュール26、運動制御モジュール28、材料供給制御モジュール38、または条件モジュール48)は、モジュールの機能の実行を可能にするための回路を含んでよい。いくらかの実施形態によれば、コントローラ20のモジュールは、プログラム、アプリケーション、またはモジュールの機能の実行を可能にするようにプロセッサ22によって実行されるように構成されるプログラム学習のセットを含んでよい。
【0034】
コントローラ20のプロセッサ22は、データ記憶装置24と通信してよい。データ記憶装置24は、1つ以上の揮発性または不揮発性データの、固定されるかまたは着脱可能なデータ記憶デバイスを含んでよい。データ記憶装置24は、不揮発性のコンピュータ可読のデータ記憶媒体を含んでよい。データ記憶装置24は、コントローラ20または3Dプリンタ10に組み込まれる1つ以上のコンポーネント・データ記憶デバイスを含んでよい。データ記憶装置24は、コントローラ20と別々であるかまたはコントローラ20からリモートされる1つ以上のコンポーネント・データ記憶デバイスを含んでよい。この場合、プロセッサ22は、データ通信チャネルまたはネットワークを介して、データ記憶装置24のリモートコンポーネントと通信してよい。
【0035】
データ記憶装置24は、プロセッサ22またはコントローラ20の動作のためのプログラム学習を格納するのに利用されてよい。格納されたプログラム学習は、コントローラ20の1つ以上モジュール(例えば、ジェッティング制御モジュール26、運動制御モジュール28、材料供給制御モジュール38、または条件モジュール48)の動作のための命令を含んでよい。
【0036】
データ記憶装置24は、プリンティングオブジェクト36を形成するために、3Dプリンタ10の動作を制御するためのデータまたはパラメータを格納するのに利用されてよい。例えば、データ記憶装置24は、オブジェクト記述44を格納するのに利用されてよい。
【0037】
本発明のいくらかの実施形態によれば、オブジェクト記述44は、3Dプリンタ10によって形成されるかまたはプリンティングされるオブジェクトのデジタル表現を含んでよい。例えば、デジタル表現は、体素(体積要素)の3次元配列を含んでよい。各体素は、オブジェクトの3次元位置(例えば、適切な3次元座標系において特定されるような)で構成(composition)を特定する情報を含んでよい。オブジェクト記述44は、プロセッサ22によって得られてよく、そして解釈されてよい。オブジェクト記述44に基づいて、プロセッサ22は、例えば、ジェッティング制御モジュール26、運動制御モジュール28、または材料供給モジュール38によって、実行のための一連の命令を生成してよい。生成された命令の実行は、3Dプリンタ10のコンポーネント(例えば、プリンティングオブジェクト36を形成するように1つ以上のプリンティングヘッド12またはアクチュエータ30)の動作を制御してよい。
【0038】
本発明のいくらかの実施形態によれば、オブジェクト記述44は、例えば、ジェッティング制御モジュール26、運動制御モジュール28、または材料供給モジュール38によって実行のための一連の命令を含んでよい。生成された命令の実行は、3Dプリンタ10のコンポーネント(例えば、プリンティングオブジェクト36を形成するように1つ以上のプリンティングヘッド12またはアクチュエータ30)の動作を制御してよい。
【0039】
オブジェクト記述44は、密度データ46を含んでよい。オブジェクト記述44が形成されるオブジェクトのデジタル表現を含む場合、密度データ46は、そのデジタル表現の要素の密度を特定してよい。密度データ46は、プリンティングオブジェクト36の要素(例えば、堆積材料が凝固したあと)の密度、またはその要素を形成するために分配される液滴18の材料密度、を特定してよい。オブジェクト記述44が、プリンティングオブジェクト36を形成するようにコントローラ20のモジュールによる実行のための命令を含む場合、密度データ46は、ジェッティング制御モジュール26のタイミング制御サブモジュール27による実行のための命令を含んでよい。命令の実行は、ノズル16が所望の密度を有する液滴18を分配するように、ジェッティング制御モジュール26に圧電ジェッティングユニット14の電気パルスタイミングを制御させてよい。
【0040】
一実施形態において、構築された3次元モデルの内側に異なる量のガスバブルを導入してテストするために、ほぼ1cm厚の平面平行したサンプルは、透明なフォトポリマー(Objet Vero Clear(登録商標)RGD810)からプリンティングされて、異なるジェッティング周波数および、プリンティングヘッドに供給する電気信号のパターニングのためのパルス幅および遅延の異なる組み合わせを用いてALARIS(登録商標)3Dプリンタ(両方ともObjet(登録商標)社、Rehovot、イスラエル)によってジェッティングされた。異なる構築条件は、異なるおよび様々なガスバブル容量に結果としてなり、そして次に、以下の図に記載されかつ概略的に示されるように、半透明性の異なるレベルに結果としてなる。
【0041】
図2A、
図2Bは、単一のノズル16のための電気パルス発生のコントロールを概略的に示す。
【0042】
図2Aは、本発明の実施形態による、単一のノズルのための低いデューティサイクルを有する電気パルスの発生を示す。
図2Aに示す電気パルス発生のデューティサイクルは、
図2Bに示す電気パルス発生のデューティサイクルと比較して低い。低いデューティサイクルを有するパルスの適用は、分配された材料の増加したガスバブル容量および低下した密度に結果としてなってよい。
【0043】
グラフ200は、時間Tの関数として、プリンティングヘッドのノズルの圧電素子に対する電圧Vの電気信号の適用を示す。グラフ200に示すように、適用される電圧は、電気パルス202が発生するときを除いてほぼゼロである。パルス周期204は、ノズルに対するパルス202の継続的な連続適用間の時間間隔である。パルス周期204(パルス周波数で逆数)は、1つ以上の要因によって決定されてよい。例えば、パルス周期204は、パルス202の適用と、プリンティングヘッドと形成されるプリンティングオブジェクトとの間の相対運動との同期に関連してもよい。
【0044】
パルス幅206は、パルス202が適用される時間を表す。例えば、パルス幅206は、パルス202の半値幅を表してよい。
【0045】
パルスは、プリンティングヘッドの複数のノズルに同時に適用されてよい。例えば、単一のノズル(またはノズルのグループ)に適用される第1のパルス202の終端と直後のパルス202との間の時間間隔中に、パルスは、他のノズルに適用されてよい。このように、単一のノズルに対するパルスの連続適用の間の他のノズルに対するパルスの適用は、デューティサイクルを拘束してよい。
【0046】
図2Bは、本発明の実施形態による、単一のノズルのための高いデューティサイクルを有する電気パルスの発生を示す。
図2Bに示す電気パルス発生のデューティサイクルは、
図2Aに示す電気パルス発生のデューティサイクルと比較して高い。低いデューティサイクルを有するパルスの適用は、増加したガスバブル容量に結果としてなってよい。その一方で、高いデューティサイクルを有するパルスの適用は、材料の自然の密度に近い分配される材料の密度を与えてよい。
【0047】
グラフ200’に示すように、適用される電圧は、電気パルス202’が発生される場合を除いてほぼゼロである。パルス周期204は、ノズルに対するパルス202’の継続的な連続適用間の時間間隔である。パルス幅206’は、パルス202’が適用される時間を表す。
【0048】
パルス周期204が一定値に固定されるかまたは拘束されるとき、グラフ200のパルス幅206およびパルスの遅延208の合計は、グラフ200’のパルス幅206’およびパルスの遅延208’の合計に等しい。
【0049】
図3Aは、本発明の実施形態による、3つのグループのノズルのための
図2Aのデューティサイクルを有する電気パルスの発生を示す。
【0050】
グラフ300a、300b、300cは、それぞれ、3つの異なるグループのノズルに対する電気パルス202の適用を表す。例えば、グラフ300a、300b、300cは、プリンティングヘッドの3つの隣接するノズルに対する電気パルス202の適用を表してよい。
図3Aに示すように、パルスの遅延208は、異なるグループのノズルに対するパルス202の適用の間の時間遅延を表す。例えば、パルス202がグラフ300aに対応するノズルに適用された後、他のパルス202は、パルスの遅延208の後にグラフ300bに対応するノズルに適用される。
【0051】
例えば、
図2A、
図3Aにおいて、パルス幅206は、ほぼ4マイクロ秒でもよい。パルスの遅延208は、ほぼ5マイクロ秒でもよい。パルス周期204は、ほぼ33マイクロ秒(約30キロヘルツのジェッティングまたはパルス周波数に対応する)でもよい。このように、各ノズルのためのデューティサイクルは、約12%であり、全体のデューティサイクルは、ほぼ36%である。この種のパルスタイミングを有する典型的なアクリル・ベースのフォトポリマーを分配するとき、ガスバブル容量は著しく増加して(例えば約10%)、分配された材料の密度は対応して低下する(自然の密度の約89%まで)。このような条件下で、透明なアクリル・ベースのフォトポリマーは、不透明であるように見えてよい。
【0052】
図3Bは、本発明の実施形態による、3つのグループのノズルのための
図2Bのデューティサイクルを有する電気パルスの発生を示す。
【0053】
グラフ310a、310b、310cは、それぞれ、3つの異なるグループのノズルに対する電気パルス202’の適用を表す。パルスの遅延208’は、異なるグループのノズルに対するパルス202’の適用の間の時間遅延を表す。
図3Bに示すデューティサイクルは、最大に近い。このように、パルス202’は、時間のほぼ全てでノズルのグループのうちの1つに適用されている。
【0054】
例えば、
図2B、
図3Bにおいて、パルス幅206’は、ほぼ7マイクロ秒でもよい。パルスの遅延208’は、ほぼ1マイクロ秒でもよい。パルス周期204は、ほぼ33マイクロ秒(約30キロヘルツのジェッティングまたはパルス周波数に対応する)でもよい。このように、各ノズルのためのデューティサイクルは、約21%であり、全体のデューティサイクルは、ほぼ63%である。この種のパルスタイミングを有する典型的なアクリル・ベースのフォトポリマーを分配するとき、ガスバブル容量はゼロに近くて(例えば0.1%未満)、分配された材料の密度は自然の密度の近くにある。
【0055】
図3A、
図3Bの各々において、全てのグループの全てのパルスが単一のパルス幅(それぞれ206、206’)および単一パルスの遅延(それぞれ208、208’)を有するものとして示されるにもかかわらず、パルス幅およびパルスの遅延は、異なるグループのために異なってもよい。
【0056】
コントローラは、分配されるプリンティング材料の密度を制御する方法にしたがってプリンタを作動するように構成されてよい。特に、3Dプリンタのコントローラは、その方法にしたがって作動するように構成されてよい。
【0057】
図4は、本発明の実施形態による、分配されるプリンティング材料の密度を制御する方法のフローチャートである。(参照は、
図1に示すコンポーネントにもなされる。)
【0058】
フローチャートのブロックによって表される個別の動作への図示の方法の区分が便宜および明快さのためにだけ選択されたことは、フローチャートに関して理解されなければならない。個別の動作への図示の方法の他の区分は、等価な結果をともなって可能である。個別の動作への図示の方法のこの種の他の区分は、本発明の他の実施形態を表すものとして理解されなければならない。
【0059】
同様に、特に明記しない限り、フローチャートのブロックによって表される動作の実行の図示の順序が便宜および明快さのためにだけ選択されたことを理解すべきである。図示の方法の動作は、他の命令において、または同時に、等価な結果をともなって実行されてよい。図示の方法の動作のこの種の再命令は、本発明の他の実施形態を表すものとして理解されなければならない。
【0060】
密度の制御方法400は、3Dプリンタ10のコントローラ20のようなコントローラ、または、3Dプリンタ10のプロセッサ22のようなコントローラのプロセッサによって実行されてよい。
【0061】
プリンティングによって形成されるオブジェクトの記述は、得られてよい(ブロック410)。コントローラ20と関連するか、またはコントローラ20と通信してよいデータ記憶装置24から、記述は、得られてよい。記述は、形成されるオブジェクトのデジタル表現を含んでよい。記述は、実行される動作のリストをもたらすために分析されてよい。あるいは、得られた記述は、オブジェクトの形成に関して実行される動作のリストを含んでよい。
【0062】
密度に関するデータは、得られてよい(ブロック420)。密度に関するデータは、形成されるオブジェクトの全部または一部の密度に関するプロパティを特定してよい。密度に関するプロパティは、ノズル16によって分配される材料の密度を含んでよく、あるいは、形成されるオブジェクト(例えば、材料が凝固したあと)の密度、またはオブジェクトの領域、一部またはコンポーネントの密度を含んでよい。密度に関するプロパティは、材料またはオブジェクトの相対密度(例えば、自然の密度または比重の分数(fraction))を含んでよい。密度に関するプロパティは、材料の多くの分配される液滴、あるいは材料またはオブジェクトのガスバブル容量を含んでよい。密度に関するプロパティは、材料またはオブジェクトの密度と相関してよいプロパティを含んでよい。この種のプロパティは、例えば、半透明性、光学的濃度、引張強さ、または誘電率を含んでよい。
【0063】
密度に関するデータに対応するパルスタイミングは、決定されてよい(ブロック430)。パルスタイミングは、例えば、密度に関するプロパティをパルスタイミングの1つ以上の特徴と関連づけるルックアップテーブルまたは関数関係から得られてよい。パルスタイミングの特徴は、パルス周波数またはパルス周期、パルス幅、パルスの遅延、単一のノズルまたはノズルのグループのためのデューティサイクル、あるいはノズルの複数のグループのための全体のデューティサイクルを含んでよい。
【0064】
さらなる要因は、パルスタイミングの特徴を決定する際に考慮されてよい。例えば、一方でプリンティングヘッド12と、他方でプリンティングされるオブジェクトまたは支持プラットフォーム32との間の相対運動の同期は、パルス周波数またはパルス周期の決定に影響を及ぼしてよい。
【0065】
例えば、パルス周波数は、材料堆積の予め決められた割合を可能にするために、相対運動の速度と連携されてもよい。例えば、堆積速度が1ミリメートルにつき100滴である場合、22キロヘルツのパルス周波数は、1秒につき220ミリメートルの相対運動に対応する。同じ堆積速度については、33キロヘルツのパルス周波数は、1秒につき300ミリメートルの相対運動に対応する。
【0066】
1つの電気パルス(概して一連の電気パルスの一部)は、決定されたパルスタイミングにしたがってノズル16の圧電ジェッティングユニット14に適用される(ブロック440)。電気パルスの適用によって、材料の複数の液滴18は、関連するノズル16によって分配されてよい。各分配される液滴18のガスバブル容量およびしたがって密度は、パルスタイミングによって決定される。
【0067】
制御された密度の液滴18の分配をともなうプリンティングヘッド12と支持プラットフォーム32との間の同時的相対運動によって、分配された材料は、形成されているオブジェクト(例えば、プリンティングオブジェクト36)上に直線または曲線の形で堆積されてよい。他のノズル16またはプリンティングヘッド12による材料の同時的分配(またはプリンティングヘッド12と支持プラットフォーム32との間の横のまたは他の追加的な相対運動)によって、制御された密度の材料の区域、領域、または層は、プリンティングオブジェクト36上に堆積されてよい。
【実施例】
【0068】
上記のように、ガスバブル容量とパルスタイミングとの関係は、経験的に決定されてよい。下記の実施例は、3次元モデルをプリンティングするときにガスバブル容量の経験的決定を示す。
【0069】
異なる量のガスバブルを3次元モデルの内側に導入して、ガスバブル容量を測定するために、ほぼ1cm厚の平面平行したサンプルは、透明なフォトポリマー(Objet Vero Clear(登録商標)RGD810)からプリンティングされて、ALARIS(登録商標)3Dプリンタ(両方ともObjet(登録商標)社、Rehovot、イスラエル)によってジェッティングされた。プリンティングヘッドの圧電素子に適用された電気信号をパターン化する際に、異なるジェッティング(パルス)周波数ならびに、パルス幅およびパルスの遅延の異なる組み合わせが使われた。テストされたパルスタイミング・パターンおよび可変のパラメータは、
図3A、
図3Bに概略的に示される。
【0070】
異なる構築条件(パルスタイミング)は、異なるおよび様々なガスバブル容量に結果としてなり、そして次に、モデルの半透明性の異なるレベルに結果としてなる。
【0071】
インクジェット式のプリンティングヘッドは、ヘッドの加工ボリュームの内側の圧力波へと電気パルスを変形させるための圧電素子を使用した。一般の従来技術の実践は、パルスの所与の振幅(例えば、
図3Aにグラフで示されるパルス202の高さ)のための放出される液滴の量を最大にすることである。この方法は、最も広い可能なパルス(例えば、
図3Bの最大パルス幅206’)に結果としてなる。その一方で、パルスの遅延(例えば、
図3Bのパルスの遅延208’)は、継続的なパルスの時にはオーバーラップを回避する極小値にセットされる。テストされるプリンティングヘッドのために、典型的なタイミング・パラメータは、7.0マイクロ秒のパルス幅および1.0マイクロ秒のパルスの遅延を含む。パルス幅は、一般的に用いられるパルスタイミング・パラメータのためのパルスの遅延を超える。
【0072】
一実施形態において、増加した(例えば最小限よりも著しく大きい)ガスバブル容量は、パルスタイミング・パラメータを一般的に用いられる値から意図的に変更することによってジェッティングされた材料へと導入された。ガスバブル容量は、プリンティングモデルの材料密度を測定することによって測定された。バブルのガスの密度は、ジェッティングされた液体の密度と比較して、無視できるほど小さい。このように、バブルのない同一材料(材料B)の(自然な)密度に関してバブルを含む材料(材料A)の密度の比率は、材料Aのガスバブルの体積率に匹敵するとみなされてよい。
【0073】
プリンティングヘッド・メーカーによって推奨される最も一般的な操作モードにおいて、電気パルス幅(
図3Bのすべてのジェットのための同じ206’)は、7.0マイクロ秒であり、パルスの遅延(
図3Bのすべてのジェットのための同じ208’)は、1.0マイクロ秒であり、ジェッティング周波数は、30kHzである。パルスは、ノズルの3つのグループに別々に適用される。30kHzのジェッティング周波数は、33.3マイクロ秒のパルス周期204(
図3Bの)に対応する。このように、単一のパルス周期において、パルスは、21マイクロ秒(ノズルの全3つのグループのためのパルス幅の合計)(パルス周期のほぼ63%)の合計時間の間、適用される。全体のデューティサイクル(電気パルスがノズルに供給される間のパルス周期の一部分として)の値は、ジェッティングされた液滴の量を増加させるために、通常、できるだけ高く維持される。このような条件下で、ガスバブルの特定の容量は、材料において観察されて、材料は、ある程度は半透明であるように見える。
【0074】
7.5マイクロ秒の(
図3Bのすべてのノズルのための同じ)電気的パルス幅206’、4.5マイクロ秒の(
図3Bのすべてのジェットのための同じ)パルスの遅延208’、および22kHzのジェッティング周波数が使われるとき、材料のガスバブル容量は、非常に少なくて、材料は、完全に透明に見える。
【0075】
4.0マイクロ秒の(
図3Aのすべてのジェットのための同じ)電気パルス幅206、5.0マイクロ秒の(
図3Aのすべてのジェットのための同じ)パルスの遅延208、および30kHzのジェッティング周波数が使われるとき、材料は、完全に不透明に見える。パルス幅よりも大きいパルスの遅延を有するこの種のパルスタイミングは、従来技術において公知のパルスタイミングとは対照的である。典型的な従来技術のパルスタイミングについては、パルスの遅延は、低い値にセットされる。そして、プリンティングヘッドから放出される材料の十分に高い量の液滴を提供するために、パルス幅は、高い値にセットされる。
【0076】
標準外の組み合わせ(例えば、4.0マイクロ秒のパルス幅、5.0マイクロ秒のパルスの遅延、および30kHzのジェッティング周波数、あるいは、7.5マイクロ秒のパルス幅、4.5マイクロ秒のパルスの遅延、および22kHzのジェッティング周波数)の使用は、一般的に用いられるパラメータセット(7.0マイクロ秒のパルス幅、1.0マイクロ秒のパルスの遅延、および30kHzのジェッティング周波数)で得られる値に関して、ある程度(5〜8%)までプリンティングヘッドから放出される材料液滴の量を減少させる。この減少は、液滴におけるガスバブルの存在によって生じる。構築された(凝固した)材料の密度は、同じ範囲に低下する。
【0077】
周波数およびパルスの異なる値を用いてプリンティングされる材料サンプルの密度は、算出された。サンプルは、40mm×40mm×10mmの寸法を有する材料の矩形ブロックであった。ブロックの寸法は、0.01mmの精度をもつdigital Fowler ProMax Caliper IP67(Fred V. Fowler社、米国)を用いて測定された。それらの重量は、0.0001gの精度をもつanalytical balance AB204−S of Mettler Toledo(Mettler−Toledo、スウェーデン)を用いて決定された。結果は、表1に示される。
【0078】
【表1】
【0079】
表1から分かるように、第1の作業点で構築されるサンプルは、第2の作業点で構築されるサンプルよりも低い約10%の密度を有する。慎重な顕微鏡検査は、第2の作業点で構築されたサンプルが気泡を含まないことを示した。このように、第1の作業点で構築されるサンプルは、10%の気泡容量を有する。
【0080】
フォトポリマー材料を節約する目的で、著しく増加したガスバブル容量(減少した密度)を有するモデルを構築するために、本発明の実施形態は、使われてよい。表1に記載されたデータから、4.0マイクロ秒の幅、5.0マイクロ秒の遅延を有し、30kHzのジェッティング周波数を有する電気パルスのパラメータを用いてプリンティングを走らせることは、フォトポリマーに10%のガスバブルの導入を提供すると結論されてよい。この極めて高いガスバブル容量は、パルスの遅延がパルス幅を超える(すなわち、デューティサイクルだけでほぼ40%以下)ときに得られてよい。
【0081】
3次元モデルの構築中に隣接するかまたは続くスライスまたは層のプリンティングの間に、プリンティングヘッドに供給する電気パルスのパラメータセット(幅、遅延および周波数)を変えることは、急速になされてよい。それは、単一の構築プロセスの間に単一の構築材料を用いていくつかのモデルまたはいくつかのモデルパーツのプリンティングを可能にする。ここで、各モデルまたは各モデルパーツを形成する材料は、構築材料の置換または変更を必要とせずに、それ自身の異なるガスバブル容量を有する。
【0082】
ジェッティング周波数の変更は、材料堆積の必要率を提供するために、運動方向(X方向)におけるプリンティングヘッド運動の速度の適切な変更を必要とすることは、当業者に明らかである。例えば、100dpm(mm当たりの液滴数)の堆積速度のために、22kHzのジェッティング周波数は、220mm/秒の速度を有するプリンティングヘッド運動に対応する。その一方で、33kHzのジェッティング周波数は、300mm/秒の速度を有するプリンティングヘッド運動に対応する
【0083】
プリンティングヘッドに適用される電気パルスのタイミング・パラメータ(例えば、それらの幅、遅延および周波数)の変化は、ジェッティング材料の内部に2つの極値(無視できるほど小さい(<0.1%)、および全く大きい(〜10%)ガスバブル容量)だけでなく、いくらかの中間値を得る可能性も生成できることを示した。
【0084】
本発明の第2実施形態は、単一のトレイまたは支持プラットフォーム上に少なくとも2つのモデルを構築するために使用してよい。ここで、1つのモデルは、非常に小さいガスバブル容量を有する。そして、第2のモデルの材料は、中間のガスバブル容量を有する。すべてのモデルは、単一の材料を用いて、例えば、ALARIS 3Dプリンタ(Objet社、イスラエル)上にObjet VeroClear RGD810を用いて、構築されてよい。
【0085】
本明細書に記載されたデータから、本実施例の第1実施形態によるモデルの層または領域は、220mm/秒(ジェッティング周波数22kHz)のプリンティングヘッド運動速度、ならびに、7.5マイクロ秒の幅および4.5マイクロ秒の遅延の電気パルス・パラメータを用いて構築されてよいと理解されてよい。本実施例の第2実施形態によるモデルに属する層または領域は、220mm/秒(ジェッティング周波数22kHz)の運動速度、ならびに、4.0マイクロ秒の幅および5.0マイクロ秒の遅延の電気パルス・パラメータを用いて構築されてよい。両方のタイプの領域は、同じジェッティング周波数を用いて、すなわち、プリンティングヘッドの同じ運動速度を用いて構築されてよい。
【0086】
本明細書に記載されたように、非常に小さいガスバブル容量を有するモデルは、透明であるように見える。その一方で、有意なガスバブル容量を有するモデルは、半透明であるように見える。このように、2つのモデルは、同じトレイ上で、同じプリンティング・プロセスの間、そして同じ材料を用いてプリンティングされてよい。しかし、1つのモデルは透明であり、第2のモデルは半透明外観を有する。
【0087】
プリンティングヘッドに適用される電気パルスのタイミング・パラメータのコントロールは、必要なガスバブル容量にしたがってなされてよい。他の場合、例えば、透明なフォトポリマー材料を用いて構築するときに、しかし異なるモデルにおいて(または同じモデルの異なる部分において)半透明性の異なる値が必要とされる所で、コントロールは、半透明性の必要な値にしたがって直接(例えば、較正表または較正曲線にしたがって)実行されてよい。ガスバブル容量(または、透明なフォトポリマーの場合における半透明性)の必要な分布に対応する電気パルスのパターンの決定は、構築プロセスの前に、そしてプリンティングシステムの任意に外側で、なされてよい。
【0088】
このように、別の実施形態では、半透明性の必要な分布に対応する電気パルスのパターンの決定のステップは、マシンの外側で、そして構築プロセスの前に、実行される。この場合、構築は、予め決められたパルスタイミングで始まる。
【0089】
追加的な実施形態によれば、同じプリンティング表面またはトレイ上の単一のプリンティング・プロセスにおいて、そして単一の提供される材料を用いて、2つのモデルが構築されてよい。ここで、第1のモデルは透明であり、第2のモデルは完全に不透明である。上記のデータから、第1のモデルに属する領域は、220mm/秒(ジェッティング周波数22kHz)の運動速度および、7.5マイクロ秒の幅、4.5マイクロ秒の遅延の電気パルス・パラメータを用いて構築されてよく、そして、第2のモデルに属する領域は、300mm/秒(ジェッティング周波数30kHz)の運動速度および、5.0マイクロ秒の幅、3.0マイクロ秒の遅延の電気パルス・パラメータを用いて構築されてよいことを、人は理解することができる。両方のタイプの領域がプリンティング面上の同じ層の範囲内に存在するこのようなプリンティング層は、トレイの上のプリンティングヘッドの2回のパス(透明モデルの領域のジェッティング周波数に対応するプリンティングヘッドの運動速度を有する1回目のパス、および半透明モデルの領域のジェッティング周波数に対応するプリンティングヘッドの運動速度を有する2回目のパス)において構築されてよい。関連するモデルの半透明性(または透明度)の関連するレベルに対応するプリンティングヘッドの運動速度については、2つのモデルのうちの1つだけの領域を含むトレイ上のプリンティング層は、単一のパスにおいて構築されてよい。
【0090】
本発明が限定された数の実施形態に関して記述されたとはいえ、本明細書において特に図示されかつ記述されたことによって本発明が制限されないことは、当業者によって認められる。むしろ、本発明の範囲は、本明細書を読み込む際に当業者に生じる、そして従来技術にはない変形および変更と同様に、本明細書に記載されているさまざまな特徴の組み合わせおよび下位組み合わせの両方を含む。