(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749867
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】菱形ローレットパターンを有する電気接点
(51)【国際特許分類】
H01R 4/18 20060101AFI20150625BHJP
H01R 4/62 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
H01R4/18 A
H01R4/62 A
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-539954(P2014-539954)
(86)(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公表番号】特表2014-532968(P2014-532968A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】US2012056546
(87)【国際公開番号】WO2013070327
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2014年10月10日
(31)【優先権主張番号】61/556,452
(32)【優先日】2011年11月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/450,936
(32)【優先日】2012年4月19日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599023978
【氏名又は名称】デルファイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】サイファート,カート・ピー.
(72)【発明者】
【氏名】パーム,ウィリアム・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】サービン,ブルース・ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】フロート,リサ・エル.
【審査官】
片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−259532(JP,A)
【文献】
特開2010−010000(JP,A)
【文献】
特開2010−272508(JP,A)
【文献】
特開平10−125362(JP,A)
【文献】
特開2010−092851(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/140092(WO,A1)
【文献】
特開2008−198530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/18
H01R 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接点(122)の少なくとも一部分に沿って前記電気接点(122)の内面(136)に形成される少なくとも1つの溝付きチャネル(153)を備え、前記少なくとも一部分が長手方向軸に沿って配置されて、ワイヤケーブル(10)のリード線(18)を、前記一部分への取り付けのために軸方向で受け入れるように構成され、それにより、取り付けられた前記リード線(18)が前記少なくとも1つの溝付きチャネル(153)の凹状面(159)と係合接触する、電気接点であって、前記少なくとも1つの溝付きチャネル(153)は、深さを有するとともに、前記深さに沿って延びる少なくとも1つの側壁(157)を含み、前記少なくとも1つの側壁(157)は、前記電気接点(122)の前記内面(136)から、前記深さに沿って前記少なくとも1つの側壁(157)上に配置される前記内面(136)から窪んだ位置へと傾斜して延びる少なくとも1つの領域を含み、前記電気接点は、
前記電気接点(122)の前記一部分に沿って前記電気接点(122)の前記内面(136)に形成されるローレットパターン(144)を更に含み、前記電気接点(122)の前記一部分は、前記ワイヤケーブル(10)の前記リード線(18)を、前記一部分への取り付けのために軸方向で受け入れるように構成され、それにより、前記リード線(18)が前記ローレットパターン(144)と係合接触できるようにし、前記ローレットパターン(144)が複数の要素(154)を含み、前記複数の要素(154)における各要素(154)が複数の内側角部を含む形状を有し、対向する内側角部(56)の第1の対がこれらの角部間に略軸方向の短い間隔を規定し、対向する内側角部(58)の前記第1の対とは異なる対向する内側角部(58)の第2の対がこれらの角部間に長い間隔を規定し、前記略軸方向の短い間隔が前記長い間隔よりも短い、電気接点。
【請求項2】
前記ローレットパターン(144)は、前記少なくとも1つの溝付きチャネル(153)と前記一部分の後縁部(150)との間で前記内面(136)上に配置される、請求項1に記載の電気接点(122)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの側壁(157)の前記少なくとも1つの領域は、前記凹状面(159)から離れて外方へ延びて前記位置から前記内面(136)まで配置される傾斜面であり、それにより、前記傾斜面が傾斜角を成して傾けられ、前記傾斜角は、前記位置を通って規定される水平面(168)に対するものであり、前記水平面(168)が前記内面(136)と略平行な関係を有し、前記傾斜角は、鋭角と関連付けられる範囲内の値を有する、請求項1に記載の電気接点(122)。
【請求項4】
前記位置が前記凹状面(159)に配置される、請求項1に記載の電気接点(122)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの側壁(157)は、前記凹状面(159)から離れて外方へ延びて前記凹状面(159)に配置される前記位置から前記内面(136)まで配置される傾斜面であり、それにより、前記傾斜面が傾斜角を成して傾けられ、前記傾斜角は、前記凹状面(159)に沿って規定され且つ前記位置を通って規定される水平面(168)に対するものであり、前記水平面(168)が前記内面(136)と平行な関係を有し、前記傾斜角は、鋭角と関連付けられる範囲内の値を有し、前記鋭角が84度未満の最大値を有する、請求項4に記載の電気接点(122)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの溝付きチャネル(153)が幅を有し、前記幅が前記長手方向軸と垂直に配置される、請求項1に記載の電気接点(122)。
【請求項7】
前記複数の要素(154)における各要素(154)は、前記内面(136)に対して離間された窪んだ関係を有する表面を含む、請求項1に記載の電気接点(122)。
【請求項8】
前記複数の要素(154)における各要素(154)は、菱形形状を成す領域を有する表面を含む、請求項1に記載の電気接点(122)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの溝付きチャネル(153)および前記ローレットパターン(144)が二部品ダイポンチ(280)に形成される、請求項8に記載の電気接点(122)。
【請求項10】
1つまたは複数の電気接点を含む少なくとも1つのコネクタを備える、電気接続システムであって、前記1つまたは複数の電気接点が1つまたは複数のワイヤケーブルと電気的に接続し、前記1つまたは複数の電気接点は、
前記1つまたは複数の電気接点(122)の少なくとも一部分に沿って前記1つまたは複数の電気接点(122)の内面(136)に形成される少なくとも1つの溝付きチャネル(153)を含み、前記少なくとも一部分が長手方向軸に沿って配置されて、ワイヤケーブル(10)のリード線(18)を、前記一部分への取り付けのために軸方向で受け入れるように構成され、それにより、取り付けられた前記リード線(18)が前記少なくとも1つの溝付きチャネル(153)の凹状面(159)と係合接触し、前記少なくとも1つの溝付きチャネル(153)は、深さを有するとともに、前記深さに沿って延びる少なくとも1つの側壁(157)を含み、前記少なくとも1つの側壁(157)は、前記1つまたは複数の電気接点(122)の前記内面(136)から、前記深さに沿って前記少なくとも1つの側壁(157)上に配置される前記内面(136)から窪んだ位置へと傾斜して延びる少なくとも1つの領域を含み、
前記1つまたは複数の電気接点(122)は、前記1つまたは複数の電気接点(122)の前記少なくとも一部分に沿って前記1つまたは複数の電気接点(122)の前記内面(136)に形成されるローレットパターン(144)を更に含み、前記少なくとも一部分は、前記長手方向軸に沿って配置されて、1つ以上のワイヤケーブル(10)の前記リード線(18)を、前記少なくとも一部分への取り付けのために軸方向で受け入れるように構成され、それにより、前記リード線(18)が前記ローレットパターン(144)と係合接触できるようにし、前記ローレットパターン(144)が複数の要素(154)を含み、前記複数の要素(154)における各要素(154)が複数の内側角部を含む形状を有し、対向する内側角部(56)の第1の対がこれらの角部間に略軸方向の短い間隔を規定し、対向する内側角部(56)の前記第1の対とは異なる対向する内側角部(58)の第2の対がこれらの角部間に長い間隔を規定し、前記略軸方向の短い間隔が前記長い間隔よりも短い、
電気接続システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの側壁(157)の前記少なくとも1つの領域は、前記凹状面(159)から離れて外方へ延びて前記位置から前記内面(136)まで配置される傾斜面であり、それにより、前記傾斜面が傾斜角を成して傾けられ、前記傾斜角は、前記位置を通って規定される水平面(168)に対するものであり、前記水平面(168)が前記内面(136)と略平行な関係を有し、前記傾斜角は、鋭角と関連付けられる範囲内の値を有する、請求項10に記載の電気接続システム。
【請求項12】
前記位置が前記凹状面(159)に配置される、請求項10に記載の電気接続システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの側壁(157)は、前記凹状面(159)から離れて外方へ延びて前記凹状面(159)に配置される前記位置から前記内面(136)まで配置される傾斜面であり、それにより、前記傾斜面が傾斜角を成して傾けられ、前記傾斜角は、前記凹状面(159)に沿って且つ前記位置を通って規定される水平面(168)に対するものであり、前記水平面(168)が前記内面(136)と平行な関係を有し、前記傾斜角は、鋭角と関連付けられる範囲内の値を有し、前記鋭角が84度未満の最大値を有する、請求項12に記載の電気接続システム。
【請求項14】
前記複数の要素(154)における各要素(154)は、前記内面(136)に対して離間された窪んだ関係を有する表面を含む請求項10に記載の電気接続システム。
【請求項15】
前記複数の要素(154)における各要素(154)は、菱形形状を備える表面を含む請求項10に記載の電気接続システム。
【請求項16】
前記複数の要素(154)における各要素(154)の前記菱形形状を備える表面は、前記内面(136)に対して離間された窪んだ関係を有する請求項15に記載の電気接続システム。
【請求項17】
前記1つまたは複数のワイヤケーブル(10)と電気的に接続する前記1つまたは複数の電気接点(122)が原動機付き車両に配置されるワイヤハーネスと関連付けられる、請求項10に記載の電気接続システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国で2012年4月19日に出願された米国特許出願第13/450936号および米国で2011年11月7日に出願された米国仮特許出願第61/556,452号の特許協力条約第8条に基づく利益を主張する。利益が主張される両方の出願の全開示は、参照することにより本願に組み入れられる。
【0002】
本発明は、内面に形成されるセレーションおよびローレットパターンを含む電気接点に関し、より詳細には、電気接点は、外方に傾斜した側壁を有するセレーションと、対向する内側角部の第2の対間に規定される長間隔よりも短い対向する略軸方向の内側角部の第1の対間に規定される軸方向短間隔を含む複数の凹状要素を有するローレットパターンとを含む。
【背景技術】
【0003】
端子に取り付けられるワイヤケーブルの端子との機械的および/または電気的な接続を高めるために、端子の内面に配置される溝付きセレーションを使用することが知られている。
【0004】
硬化歯形態、不規則な表面、セレーション形状、正方形形状または長方形形状、隆起状歯形態、および、アンダーカット側壁を有するセレーションなど、多くの従来の断面溝付きセレーションプロファイルが配線技術で使用されてきた。アルミニウムケーブル配線用途のために使用される端子(2)に形成される別のタイプの従来のセレーション(1)が従来技術の
図1に示される。セレーション(1)は、それぞれが傾斜角θを有する傾斜側壁(3)を含む。傾斜角θは、セレーション(1)の凹状面(5)に沿って規定される平面(4)に対して84度の角度値を有する。傾斜角シータが84度である場合、側壁(2)は、6度の角度値を有する対応する抜き勾配αで斜めに配置される。抜き勾配αは、製造プロセス中に端子(2)におけるセレーション(1)のスタンピング加工を容易にする。しかしながら、急勾配の傾斜角θは、アルミニウムケーブルと端子(2)との圧着が形成されるときに、アルミニウムワイヤケーブルのリード線のワイヤストランドの一部分がセレーション(1)中に押し入る際、アルミニウムケーブルのワイヤストランドを損傷させる場合があり望ましくない。ワイヤストランドがセレーション(1)内に押し入ってこれを満たす間に傷つけられまたは切断される場合には、これにより、ワイヤストランドとセレーション(1)との間の接触表面積が減少する場合があり望ましくなく、それにより、圧着の抵抗が増大する場合があり望ましくない。アルミニウムワイヤケーブルは、類似の銅系ワイヤケーブルよりも重量およびコストが減少するため、原動機付き車両用途で用いることが益々望まれるようになってきている。アルミニウムワイヤケーブルを使用する車両は質量を減らすことができ、その結果、車両の燃費節約の向上をもたらすことができ望ましい。セレーション形状は、既に説明した従来のセレーションとは異なり、アルミニウムワイヤケーブルと端子との間に形成される圧着の機械的および電気的な特性を少なくとも維持しまたは好ましくは高め、それにより、シートメタルストックからの端子の高品質、高速製造も可能にするため望ましい。
【0005】
したがって、必要とされるものは、アルミニウムワイヤ導体と電気接点との間に形成される圧着接続の機械的および電気的な特性を維持しまたは高め、それにより、電気接点の高品質、高速製造も可能にする、セレーション形状を有するセレーションを含む電気接点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の核心は、電気接点または端子の高品質、高速製造を可能にするために3つのファクタの組み合わせを考慮に入れた、電気接点の内面に形成されるセレーション形状の発見である。1つのファクタは、ワイヤケーブルのワイヤストランドの望ましくない損傷および切断の可能性を減らし、したがって、ワイヤケーブルと端子との間に形成される圧着内の抵抗を減らすセレーション形状にしたいという要求である。
【0007】
抵抗の軽減は、電流がワイヤケーブル/電気接点接続を通じてより自由に流れることができることを意味する。第2のファクタは、端子製造ダイ内での端子の製造中に下流側工具ステーションにおける適切な端子位置合わせを依然として維持しつつ、製造プロセス中に材料成長が端子に生じることができるようにする態様でセレーション形状を形成したいという要求である。下流側工具ステーションでの端子の位置ずれは、端子へと製造される他の特徴の位置ずれに起因して、望ましくない端子品質欠陥をもたらす。特定の断面セレーション形状または深さが非常に深いまたは浅いセレーションは、端子製造ダイにおける位置ずれの可能性を更に高める場合がある。また、第3のファクタは、同じ高速端子製造プロセスにおいてワイヤケーブルと端子との間に形成される圧着の機械的および電気的な特性を更に高める望ましいローレットパターンと併せてセレーション形状を生成したいという要求である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この場合、本発明の1つの実施形態によれば、電気接点は、電気接点の長さの少なくとも一部分に沿って電気接点の内面に形成される溝付きセレーションを含む。溝付きセレーションは、内面からセレーションの凹状面にまで至る深さを有し、深さに沿って配置される少なくとも1つの側壁を更に含む。側壁は、内面から深さに沿って配置される内面から奥まった側壁の位置へと傾斜して延びるその少なくとも1つの領域を含む。
【0009】
また、側面が傾斜した溝付きセレーションは、電気接点の内面のローレットパターンと併せて形成されてもよい。ローレットパターンは菱形形状の凹状要素を含む。ローレットパターンにおけるそれぞれの菱形形状の凹状要素は軸方向短間隔を有する。
【0010】
電気接続システムは、側面が傾斜した溝付きセレーションおよび/または菱形形状の凹状要素を有するローレットパターンを含む電気接点を含む。電気接続システムは、原動機付き車両用途で使用されるケーブルハーネスと関連付けられてもよい。
【0011】
本発明の更なる特徴、用途、および、利点は、添付図面に関連して単なる非限定的な例として与えられる本発明の好ましい実施形態の以下の「発明を実施するための形態」を読むと、より明確になると。
【0012】
以下の添付図面を参照して本発明を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】6度抜き勾配を可能にするセレーション状の凹状面に対して84度傾斜角を伴う傾斜面を有する従来のセレーションを有する端子の断面図を示す。
【
図2】本発明に係るワイヤケーブルを受ける電気接点であって、該電気接点の長さの一部に沿ってローレットパターンを含む電気接点の斜視図を示す。
【
図3】
図2のローレットパターンおよびその詳細の拡大図を示す。
【
図4】
図3の電気接点に
図2のワイヤケーブルを取り付ける圧着接続を示す。
【
図5】
図4の圧着接続の線5−5を貫く断面図を示す。
【
図6】
図3のローレットパターンおよびその詳細の拡大図を示す。
【
図7】
図6のローレットパターンの凹状菱形形状要素の拡大図を示す。
【
図8】傾けられた傾斜側壁を含む
図7の凹状菱形形状要素の線8−8を貫いてとられた断面図を示す。
【
図9】
図7の複数の凹状菱形形状要素における単一の凹状菱形形状要素の拡大図を示す。
【
図10】電気接点の内面に
図6の凹状菱形形状要素を構築するために使用されるプレス工具のダイと関連付けられる対応する隆起した突出要素の等角三次元図を示す。
【
図11】
図10のプレス工具のダイの対応する要素の線11−11に沿う断面図を示す。
【
図12】本発明の代替実施形態に係る電気接点の内面に凹状菱形形状ピラミッド要素を作製するために使用されるプレス工具のダイと関連付けられる対応する要素の等角三次元図を示す。
【
図13】単一の溝付き傾斜セレーションと
図3のローレットパターンとを伴う本発明の他の代替実施形態に係る電気接点を示す。
【
図13A】
図13の傾斜セレーションならびにその傾斜角γおよび抜き勾配βの詳細の断面図を示す。
【
図14】本発明の更なる他の実施形態に係るセレーションの断面図であって、セレーションの側壁の一部がその傾斜角Φおよび抜き勾配Σの詳細を含む傾斜側壁を有する、断面図である。
【
図15】
図13および
図13Aの電気接点にローレットパターンおよび傾斜セレーションを形成するために使用される二部品組み合わせポンチの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
電気接点および取り付けられるワイヤケーブルは、原動機付き車両、トラック、ボート、および、航空機に配置される電気システムの頼みの綱である。これらの輸送製品が世界中で消費者による強力な市場の需要を持ち続けるにつれて、所望の更なる燃費節約をもたらし得る軽量なこれらの輸送製品を製造することも益々望ましい。
【0015】
この目的のため、また、本発明によれば、
図2を参照すると、ワイヤ導体またはワイヤケーブル10が長手方向軸Aに沿って配置される。ワイヤケーブル10は、絶縁外側カバー12と、アルミニウム系の内側コア14とを有する。本明細書中のこの文書で使用される用語「アルミニウム系」は、純アルミニウム、または、合金中でアルミニウムが主要な金属であるアルミニウム合金を意味するべく定義される。外側カバー12は内側コア14を取り囲む。内側コア14は、内側コア14が電気接点22内に受けられるときに内側コア14内に軸方向で配置されてもよい個々のワイヤストランド16から構成される。あるいは、内側コアは、束ねられて一緒にねじられる複数の個々のワイヤストランドから構成されてもよい。ワイヤストランドがねじられて一緒に束にされるときには、そのリード線が電気接点内へ軸方向で受けられてもよいが、ねじられたワイヤストランドが電気接点内に軸方向で配置されなくてもよい。ワイヤストランド16は、配線用途(図示せず)でワイヤケーブル10が設置されるときにワイヤケーブル10の柔軟性を与えるのに有益であり、これは例えば車両の製造中に当てはまり得る。あるいは、ワイヤケーブルの内側コアが単一の中実ワイヤストランドから形成されてもよい。ワイヤケーブル10の外側カバー12の端部(図示せず)は、内側コア14の一部を露出させるべく除去される。内側コア14の露出部分がワイヤケーブル10のリード線18である。リード線18は外側カバー12の軸方向縁部20から延びる。
【0016】
銅系端子または電気接点22は、嵌め合い端部24と、開放翼端部28とを含む。あるいは、電気接点が任意の導電材料から形成されてもよい。翼端部28はリード線18を軸Aに沿って受ける。翼端部28は、一対のコア翼31から軸方向に離間される一対の絶縁翼29を含む。絶縁翼29は、ワイヤケーブル10を受ける電気接点22のベース(換言すれば、基部)21に沿ってコア翼31の後部に配置される。本明細書中のこの文書で使用される用語「銅系」は、純銅、または、合金中で銅が主要な金属である銅合金を意味するべく定義される。電気接点22は、車両(図示せず)で使用される配線ハーネス(図示せず)の一部である複数の電気接点(図示せず)を含んでもよいコネクタ(図示せず)内へ受けられてもよく、また、コネクタ(図示せず)は、原動機付き車両で使用される対応する嵌め合いコネクタ(図示せず)と結合してもよい。嵌め合い端部24は、雌ボックス接点30部分を含み、また、周知のように、電気接点および配線技術で使用される。例えば車両(図示せず)内に配置される対応する嵌め合いコネクタ(図示せず)において見出され得るように、雌ボックス接点30は対応する雄電気接点(図示せず)内へ受けられてもよい。雌ボックス接点30は、内側コア14により伝えられる電気信号を、対応する雄受け電気接点により取り付けられる他の電気回路と電気的につなげる。あるいは、雌嵌め合い端部が雄嵌め合い端部であってもよく、また、電気接点は、翼端部と嵌め合い端部との間に配置される他の更なる部分を備えてもよい。絶縁翼29およびコア翼31はそれぞれ、電気接点22のベース21から離れて外側に角度をもって延びる。ベース21は、中立状態で弓形形状を有することが好ましい。電気接点22の中立状態は、
図2および
図3に最も良く示されるように、初期構造後で且つ圧着接続46が形成される前の電気接点22の形態を成す。弓形ベース21は、ワイヤケーブル10が電気接点22内に受けられるときにリード線18の形状にほぼ適合する。絶縁翼29は外側カバー12を圧着するように構成され、また、コア翼31はリード線18に圧着するように構成される。
【0017】
電気接点22は、電気接点22とワーヤケーブル10との間の効果的な圧着を可能にするべく、翼端部28がリード線18とリード線18に隣接する外側カバー12の部分とを受けることができる十分に大きいサイズを有するように、所定の電気用途のために選択される。コア翼31は、ワイヤケーブル10が電気接点22に圧着されるときにリード線18の少なくとも一部の周囲に十分に巻回し、リード線18の少なくとも一部を覆い、および、リード線18の少なくとも一部と係合するように寸法付けられる。コア翼31は、ワイヤケーブル10と電気接点22との間の電気的な接続を行なうためにワイヤケーブル10が電気接点22に圧着されるときにリード線18の内側コア14の少なくとも一部と係合する内面または当接面36を含む。好ましくは、コア翼31は、リード線18が電気接点22内に受けられるときにローレットパターン44がリード線18の軸方向長さの全体と係合し且つ圧着接続46が形成されるときに電気接点22の後縁部50が外側カバー12の縁部20に隣接して配置されるように、リード線18に合わせて寸法付けられる。
【0018】
流体コンフォーマルコーティング40が少なくともリード線18の外表面とリード線18の端部38とにわたって配置される。また、コーティング40は、縁部20上にも塗布され、リード線18に隣接する絶縁外側カバー12の部分へと延びる。したがって、コーティング40のシール被覆42は、ワイヤケーブル10が電気接点22の翼端部28内へ受けられるときにワイヤケーブル10のリード線18に耐食保護層を与えるようにリード線18を埋没させる。「流体」は「流れることができるもの」として定義される。シール被覆42は、好適には、圧着接続46における電解腐食の形成を防止するのに役立ってもよい。コーティング40の粘度は、リード線18の少なくとも外面を完全に覆うことができる十分なコーティング40の厚さを得るべくコーティング40がワイヤケーブル10へと適切に流れることができるように変えられてもよい。コーティング40のシール被覆42は、滴下、噴射、電解転写、ならびに、ブラシおよびスポンジ塗布等によってワイヤケーブル10に塗付されてもよい。1つのそのようなシール被覆は、参照することにより本願に組み入れられる2010年9月16日に出願されたSEALED CRIMP CONNECTION METHODSと題される米国特許出願公開第2011/0083324号明細書に記載される。あるいは、リード線は、任意の塗布される流体コーティングを欠いて電気接点に対して電気的に且つ機械的に取り付くように構成されてもよい。
【0019】
図3を参照すると、電気接点22はローレットパターン44を含む。ローレットパターン44は、電気接点22の長さLの一部に沿って電気接点22のコア翼31の当接面36内に形成される。長さLは軸Aに沿って軸方向に配置される。
図4および
図5を参照すると、圧着接続46を形成するために電気接点22がワイヤケーブル10に取り付けられるときに、ローレットパターン44は、リード線18の少なくとも外面に対して係合接触する。ローレットパターン44は、電気接点および配線技術で知られるように、ダイプレスを使用することによって内面36に形成されて打ち込まれてもよい。圧着接続46は、コア翼31の後縁部50と前縁部52との間に形成される継ぎ目48を含む。圧着接続46は、ワイヤケーブル10と電気接点22とを含むワイヤアセンブリ49の一部である。
【0020】
図6〜
図9を参照すると、ローレットパターン44は、当接面36の下側に位置する床面(換言すれば、底面)55に沿って延びる複数の要素54を含む。各要素54の凹状面60が床面55に隣接して配置される。床面55は、当接面36から離間されて窪んでいる。隆起部65が要素54間に配置され、隆起部65は、周囲の当接面36と略面一な上端平面66を有する。複数の要素54のそれぞれは複数の側壁61を含む。それぞれの要素54の縁部63は、側壁61と隆起部65の上端平面66との間の界面に形成される。各要素54は、各要素54を取り囲む複数の縁部63から形成される外周縁部を有する。複数の要素54の各要素における複数の側壁61の各側壁は、縁部63が形成されるように、凹状面60から上端平面66および上端面66への移行部へ向けて傾けられた斜め方向で延びる。したがって、
図8に最も良く示されるように、側壁61は、断面で見たときに傾けられた斜面である。好適には、複数の傾けられた側壁61は、ローレットパターンがスタンピング加工されるときに電気接点22からダイを除去するのに役立つ。好ましくは、側壁の傾斜面は、床面55と垂直に規定される平面に対して鋭角である抜き勾配を有する。あるいは、複数の要素の各要素における複数の側壁は、床面に対して垂直な方向に配置されてもよい。各要素54における凹状面60は、当接面36および軸Aと略平行である。隆起部65は、
図7および
図8に最も良く示されるように、各要素54をローレットパターン44で隣接して取り囲む。隆起部65の上端平面66は、
図6に最も良く示されるように、周囲の当接面36と過渡的に通じる。あるいは、隆起部の上端平面は、上端平面が床面と周囲の当接面との間に配置されるように窪んでいてもよい。縁部63は、圧着接続46が形成される際にリード線18上に配置される酸化アルミニウムを破壊するのに有効である。側壁61、縁部63、および、隆起部65の構造相互関係が
図8に最も良く示される。床面55は、当接面36と離間された略平行な関係を有する。各凹状面60は、対向する略軸方向の内側角部56の第1の対を含む形状を有する。対向する内側角部56の第1の対は、これらの間に第1の間隔または軸方向短間隔x
1を規定する。対向する内側角部56の第1の対とは異なる対向する内側角部58の第2の対は、これらの間に第2の間隔または長間隔x
2を規定する。長間隔x
2は、
図9に最も良く示されるように、短間隔x
1に対して交差する垂直な関係を有する。軸方向短間隔x
1は長間隔x
2よりも短い。各要素54における凹状面60は、菱形形状を成す表面領域を有する。あるいは、軸方向短間隔が軸Aを伴う略軸方向であってもよく、また、長間隔が略軸方向短間隔に対して垂直である。各要素54において、軸方向の対向する内側角部56の第1の対はそれぞれ、対向する内側角部56の第2の対のそれぞれの角度値よりも大きい角度値を有する。好ましくは、
図9に最も良く示されるように、軸方向の対向する内側角部56の第1の対の内側角部は鈍角度値を有し、また、対向する内側角部58の第2の対の内側角部は鋭角度値を有する。更なる代わりの実施形態において、軸方向の対向する内側角部の第1の対の内側角部は、100度より大きくてもよい鈍角度値を有する。
【0021】
図10および
図11を参照すると、対応するローレットパターン70がダイプレスのダイ(いずれも図示せず)と関連付けられる。ダイプレスは、周知のようにローレットパターン70を生成するのに有効で且つ電気接点および配線技術で使用される任意の種類のダイプレスであってもよい。電気接点22のローレットパターン44の複数の凹状要素54を構成するために、ローレットパターン70の隆起菱形部71がダイプレスで使用されるダイ上で利用される。溝72が、ダイ上に配置されるローレットパターン70で各菱形部71を取り囲む。ローレットパターン70を含むダイは、電気接点または端子よりも硬い硬化金属から、例えば硬化炭素鋼を使用して、構成される。溝72は、床面55から測定されるローレットパターン44の隆起部65の深さよりも深い深さを有することが好ましい。溝72は、
図11に最も良く示されるように、菱形突起71の表面からダイの床面73までの深さを有する。
【0022】
図2および
図3に最も良く示されるように、電気接点22のローレットパターン44は、ワイヤケーブル10が取り付けられないときには使われない。
【0023】
図3および
図4に最も良く示されるように、電気接点22のローレットパターン44は、圧着接続46を形成するためにローレットパターン44がリード線18と係合するときに使用される。圧着接続46は、電気接点および配線技術で知られるようにプレスによって形成されてもよい。圧着接続46が形成される際、複数の要素54は、アルミニウムリード線18の一部が複数の要素54内へ押し入るようにアルミニウムリード線18に対して係合するべくプレスにより印加される力によって付勢される。軸方向短間隔x
1および長間隔x
2の菱形形状方向と組み合わせた複数の要素54における縁部63は、圧着接続46の電気的および機械的なロバスト性を高めるためにワイヤケーブル10のリード線18の外表面全体にわたって酸化アルミニウムを破壊するのに更に役立つ。
【0024】
任意の特定の理論に限定されないが、軸方向短間隔x
1および長間隔x
2の方向を有する複数の要素54を使用すると、リード線18に対する電気接点22の圧着中に長期間にわたって要素54を開放状態に維持するのに役立つことが分かってきた。アルミニウムリード線18の一部分は要素54中に押し入って凹状面60に押し付けられ、それにより、要素54は、押し入ったアルミニウムリード線18の部分と係合して接し、その結果、本明細書中で既に述べたように、空隙が生じない。長軸間隔x
2はリード線18に対して垂直であるため、任意の特定のワイヤストランド16におけるより大きな接触表面積は、個々のワイヤストランド16上に配置される酸化アルミニウムが凹状要素54内へも押し入りつつ破壊されて砕かれる傾向を更に大きくする。コア翼31上のローレットパターン44の表面領域材料36,60,61,63,66と機械的および電気的に接触するリード線18の少なくとも外表面上の純アルミニウムのより大きな接触表面積は、より信頼できるロバスト性が高い電気的な接続を確保する。また、より大きな表面積接触は、圧着接続46におけるリード線18と電気接点22との間のロバスト性が高い電気的な接触を維持するのに役立つリード線18とコア翼31との間の強固な機械的連結をもたらす。表面36,60,61,63,66とリード線18との間のこの大きな表面積接触が
図5および
図8に最も良く示される。このように、ローレットパターン44は、好適には、圧着接続46が形成されるときにリード線18と電気接点22との間の最大の電気的および機械的な接続を可能にする。また、圧着接続46が中立状態から最終状態まで形成されるにつれてコア翼31が圧着接続46の形成中に略弓形形状を維持するような態様でコア翼31が圧着されることも重要である。コア翼31の最終状態は、
図4に最も良く示されるように、コア翼31が圧着接続46を成して形成されるときである。圧着プロセス中にコア翼31の弓形形状を維持することにより、要素54が長期間にわたって十分に開放したままとなることができ、それにより、
図5に最も良く示されるように、要素54が係合して部分的に閉じる前にアルミニウムリード線18の一部分が要素54内へ押し入って、閉じられた要素54内にアルミニウムリード線18の押し入った部分が捕捉される。
【0025】
また、コア翼31の内面36にローレットパターン44が形成されるときに凹状要素54が斜めの列67を成して形成されると、長間隔x
2が共にコア翼31の幅をカバーし、それにより、コア翼31上のローレットパターン44の長さおよび幅にわたって複数の要素54が少なくともリード線18の表面積全体に押し込まれ、ワイヤケーブル10と導体22とのロバスト性が高い電気的接続が確保される。ローレットパターン44における要素54の外周縁部は、圧着接続46が形成されるときにリード線18上の酸化アルミニウムを破壊できる高い能力をローレットパターン44に与えるのに有効である。
【0026】
圧着接続46が解析されてコア翼31がリード線18からの巻回を解かれると、ローレットパターン44のかなりの部分がワイヤケーブル10のリード線18の外表面に刻印されたままであることが分かった。多くの解析された圧着接続に関しては、ローレットパターンの百パーセント(100%)がそれぞれのワイヤケーブルのリード線上に刻印されたままである。
【0027】
あるいは、
図12を参照すると、ダイがピラミッド状の菱形形状突起101を使用し、また、関連する隣接した溝102が利用されてもよい。突起101はそれぞれ扁平な切頭上端を有する。電気接点のコア翼上およびベース上に凹状のローレットパターンをスタンピング加工するためにピラミッド状突起101と関連する隣接した溝102とを使用するダイが用いられると、複数の凹状ピラミッド菱形形状要素が電気接点の内面に形成される。それぞれの扁平な切頭上端は、各凹状ピラミッド菱形形状要素内にあり、電気接点の内面の床面に隣接して配置される。
図13の実施形態のダイは、本明細書中で既に述べたような
図10および
図11に示される実施形態のダイと同様の材料から形成される。
【0028】
ここで、
図13および
図13Aを参照して、本発明の他の代替実施形態を考えると、電気接点122は、コア翼31の前縁部152に近い方のローレットパターン144の前方に配置される単一の溝付きチャネルまたはセレーション153を含む。
図2〜
図9の実施形態に示される要素に類似する
図13および
図13Aの要素は、100だけ異なる参照数字を有する。セレーション153は、軸Aと同様の軸A’に対して垂直なコア翼131の幅にわたって配置されて、当接面136に形成される。ローレットパターン144は、コア翼131の後縁部150の方に近接して配置される。ローレットパターン144は複数の凹状要素154を含む。セレーション153は、セレーション153の当接面136から平坦な凹状面159まで延びる傾斜側壁157を含む。当接面と平行な凹状面159に沿って平面が規定される。傾斜側壁157は、凹状面159から内面136まで傾斜面を形成する。各側壁157の傾斜面は、平面168に対して傾斜角γを有する。傾斜角γは、最大値が84度未満である鋭角の範囲内の角度値を有する。84度未満の最大値を伴うこの鋭角度値を有することは、リード線と電気接点との高品質な機械的および電気的な接続も確保しつつ、可鍛性アルミニウム材料に関して圧着プロセス中にワイヤストランドに対する望ましくない損傷を最小限に抑えるために有益である。好ましくは、傾斜角γは15〜60度の範囲内の値を有する。さらにより好ましくは、傾斜角γは30〜45度の範囲内の値を有する。それに対応して、抜き勾配βは6度よりも大きい値を有する。任意の所定の用途において、電気接点の製造は、抜き勾配βと併せてあるいは合計して床面168に対して90度となる傾斜角γをもたらす。一般に、γおよびβに関する角度値は、セレーションのそれぞれの傾斜壁において同じである。あるいは、セレーションでの各傾斜壁におけるγおよびβの値が異なる値を有してもよい。
【0029】
セレーション153は、
図2〜
図9の実施形態に関して本明細書中で既に説明してきたようにワイヤ導体のリード線がコア翼内に受けられてアルミニウムワイヤ導体が電気接点に圧着されるときに使用される。アルミニウムリード線の一部分は、側方から押し入ってセレーション153を満たすようにダイプレスの力を受けて押圧される。圧着接続が形成されるときにアルミニウムリード線の一部分が溝付きセレーションを実質的に満たして側壁および凹状面と係合することが分かってきた。傾斜側壁は、圧着接続における望ましい機械的な強度を得るために、ワイヤ導体のワイヤストランドを損傷させることなく、セレーション内へのアルミニウムリード線の押し出しに関して、より漸進的な移行をもたらすことが見出された。
【0030】
前方に位置するセレーションは、
図13に最も良く示されるように、後方に位置するセレーションとは異なり、スタンプ工具によってセレーションパターンまたはセレーション/ローレットパターンが材料ストック中に刻印されるときに端子材料の所望の成長(換言すれば、伸長)を与えるのに良く適し得ることが分かってきた。これは、スタンプ工具が与える成長もスタンプ工具によって更に抑制されないからである。加えて、菱形ローレットパターンおよびセレーションの特徴を含まない電気接点の内面の量が最小限に抑えられる一方で、ワイヤケーブルと電気接点との機械的および電気的な接続を最大にするために単一の前方セレーションと相俟った菱形ローレットパターンの組み合わせが圧着翼の内面の大部分を覆うはずであることも分かってきた。
【0031】
図14を参照すると、他の代替実施形態では、電気接点222が側壁を含むセレーション253を有する。側壁は、傾斜壁部257へと移行する垂直壁領域275を含む。傾斜壁部257は、セレーション253の平坦な凹状面259から外方に配置される。傾斜壁部257は、電気接点222の当接面236からセレーション253の深さに沿う位置へ向けて下方へ延びる。セレーション253の深さは、内面236から平坦な凹状面259まで測定される。深さに沿う位置は、傾斜壁部257が垂直壁領域275へと移行する場所である。これらの位置に沿って、床面268および当接面236と垂直な平面270が規定される。既に前述したように、アルミニウムリード線は、セレーション153の態様と同様の態様でセレーション253を満たす。あるいは、垂直壁は、セレーションがスタンピング加工される際にポンチの容易な除去を少なくとも確保するために、傾斜壁部257とは異なる傾きを有してもよい傾斜壁であってもよい。好ましくは、傾斜角Φは84度未満であり、また、抜き勾配Σは6度よりも大きい。他の実施形態では、
図14に示されるような垂直壁275を形成する壁の傾きが約6度の抜き勾配を有してもよい。任意の所与の用途において、電気接点の製造は、抜き勾配Σと併せてあるいは合計して床面268に対して90度となる傾斜角Φをもたらす。一般に、ΦおよびΣに関する角度値は、セレーションのそれぞれの傾斜壁において同じである。あるいは、セレーションでの各傾斜壁におけるΦおよびΣの値が異なる値を有してもよい。
【0032】
セレーション153およびローレットパターン144を電気接点122にスタンピング加工するために、
図15に最も良く示されるような二部品組み合わせダイポンチ280が好ましくは使用される。ダイポンチ280は、互いに組み付いて単一工具を成す上部品または上部281と下部品または下部282とを含む。ダイポンチ280は、高速製造ラインに沿う大量製造プロセスで高品質端子構築を確保するためにローレットパターンおよびセレーションを好ましい幅および深さで一貫してスタンピング加工するのに役立つ。二部品ポンチは、ローレットパターン44を含まない電気接点を生成するために下部282を交換して他のセレーション要素を含んでもよい他のポンチと置き換えることができるため、有益である。
【0033】
あるいは、ワイヤケーブルの内側コアがアルミニウムでない導電材料から構成されてもよい。より一般的には、電気接点は、任意の種類の適した導電材料から構成されてもよい。例えば、ワイヤケーブルは、銅系金属により形成される内側コアを有してもよい。
【0034】
さらにまだあるいは、ローレットパターンは、ワイヤケーブルのリード線の少なくとも一部分と接触する電気接点の内面の長さおよび幅の任意の部分に沿って使用されてもよい。
【0035】
他の代替実施形態において、ワイヤアセンブリは、ロバスト性が高い電気的な接続を必要とする任意のタイプの電気用途で使用される電気接続システムと関連付けられてもよい。
【0036】
更なる他の代替実施形態において、ワイヤケーブルの内側コアは、互いにコンパクトにまとめられあるいは溶接される複数のワイヤストランドを有するリード線を含んでもよい。1つのそのような溶接されるリード線は、参照することにより本願に組み入れられる2011年6月24日に出願されたCRIMP CONNECTION TO ALUMINUM CABLEと題される米国特許出願公開第13/168,309号明細書に記載される。
【0037】
あるいは、セレーションは、対応するローレットパターンも使用されることなく電気接点の内面で使用されてもよい。セレーションは、軸と垂直な直線とは異なる任意のパターン形状を内面上で成してもよい。更なる代替実施形態において、セレーションは、電気接点の一部分の後縁部の方に近いローレットパターンの後部に配置されてもよい。さらにまだあるいは、任意の数のセレーションが電気接点で使用されてもよい。これらの複数のセレーションは、内面に沿う任意の場所で内面に形成されるとともに、対応するローレットパターンを伴ってあるいは伴わずに使用されてもよい。
【0038】
更なる他の代替実施形態において、
図13および
図13Aの実施形態でセレーションを形成するために使用されるダイプレスは、全体が長方形形状を有する態様で形成されてもよいが、
図14に示される実施形態のセレーションを形成してもよい。
【0039】
このように、傾斜側壁を有するセレーションとローレットとを含む電気接点が提示されてきた。84度未満の傾斜角を有するセレーションの傾斜側壁は、アルミニウムリード線がセレーションの凹状面および側壁と係合するようにセレーション中へとより漸進的に押し出されることができるようにし、これは、さもなければワイヤ導体/導電接続の電気的および機械的なロバスト性を低下させる場合がある個々のワイヤストランドの損傷を防止するのに役立つ。これらの特徴を有するセレーションにより、アルミニウムリード線は、空隙の存在を伴わずにセレーション内へ完全に押し出されることができ、それにより、電気接点とのロバスト性が高い電気的な接続を確保する。ローレットパターンのそれぞれの凹状の菱形要素は、電気接点内に受けられるワイヤケーブルに対して、電気接点とアルミニウムワイヤケーブルとの間の電気的および機械的な接続の向上を可能にする方向性を有する。それぞれの凹状の菱形要素は、軸方向の内側角部間に配置される軸方向短間隔を有する。それぞれの凹状の菱形要素は、軸方向でない内側角部間に配置される長間隔を更に含む。軸方向短間隔は長間隔よりも短い。凹状菱形要素は、ワイヤケーブルのリード線を軸方向で受ける電気接点の内面の任意の大きさに沿って配置されてもよい。ローレットパターンは、コア翼の幅に沿って且つ電気接点の内面に形成される電気接点の弓形ベースに沿って延びる。圧着プロセスは、圧着接続が構成される際にコア翼も中立状態から最終状態までにわたって弓形形状で圧着しつつベースの弓形形状を維持する。この圧着プロセスは、圧着接続が形成されるときに凹状要素に空隙が生じないようにするべく凹状菱形要素が部分的に閉じられる前に凹状菱形要素の少なくともかなりの部分をリード線の押し入ったアルミニウムで満たすことができるようにする。凹状菱形要素のかなりの部分が純アルミニウムで満たされて、純アルミニウムが菱形要素の凹状面の表面領域のかなりの部分と完全に接触すると、ワイヤアセンブリの耐用年数にわたって機械的および電気的な圧着接続の向上が確実に達成されるようにする、アルミニウムリード線と電気接点との間のより大きな表面接触領域が実現される。それぞれの菱形要素の軸方向短間隔方向と組み合わせたローレットパターンの複数の要素における縁部の総和の外周距離の増大は、圧着接続が形成されるときにローレットパターンにより取り囲まれるリード線の長さに沿ってリード線の少なくとも外表面にわたりワイヤケーブルのリード線上に配置される酸化アルミニウムがより効果的に確実に砕かれて破壊されるようにする。ワイヤケーブルのリード線を覆う流体コンフォーマルコーティングは、電気接点とリード線との間で圧着が形成されるときにロバスト性が高い電気的および機械的な接続を更にもたらす更なる耐食層を確保する。二部品組み合わせポンチは、84度未満の傾斜角を有するセレーションおよび菱形ローレットパターンを大量生産組み立てラインで端子上に製造できるようにする。端子の内面上の菱形ローレットパターンの前方に位置するセレーションは、スタンプ工具により抑制されることなく材料ストックへ刻印されるローレットパターンおよびセレーションを生成するために材料スタンピング加工プロセス中に所望の成長を可能にするという利点を与えることができる。
【0040】
本発明をその好ましい実施形態に関して説明してきたが、本発明は、そのように限定されるべく意図されておらず、むしろ、以下の特許請求の範囲に記載される範囲にのみ限定されるものである。
【0041】
当業者であれば容易に分かるように、本発明は、幅広い利用および用途を受け入れる余地がある。本発明の内容および範囲から逸脱することなく、前述した実施形態および適合以外の多くの実施形態および適合、ならびに、多くの変形、改変、および、等価な構成が、本発明および前述の記載から明らかであり、または、本発明および前述の記載によって当然に示唆される。したがって、本明細書中で本発明をその実施形態に関連して詳しく説明してきたが、この開示が、本発明の単なる例示および典型例であって、単に本発明の十分で可能な開示を与える目的でなされているにすぎないことを理解すべきである。先の開示は、本発明を限定するまたはさもなければ任意のそのような他の実施形態、適合、変形、改変、および、等価な構成を排除するように意図されないまたはそのように解釈されるべきではなく、本発明は、以下の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ限定される。