(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
登録された各々の広告に対して広告キーワードが対応づけられている広告データベースを参照し、入力された検索キーワードと前記広告キーワードの比較に基づいてn個の広告を抽出する広告データ抽出部と、
前記広告データ抽出部が抽出したn個の広告のそれぞれについて、入札値と、クリックレート値と、商品売上値とを少なくとも用いて選定値を算出し、前記選定値を用いて前記検索キーワードによる検索結果画面のm個の広告枠に表示させるm個の広告を選定する表示広告選定部と、
前記表示広告選定部で選定されたm個の広告について、前記クリックレート値と、前記商品売上値と、前記クリックレート値と前記商品売上値の反映度合いを設定する重み係数とを少なくとも用いて順序設定値を算出し、前記順序設定値に基づいてm個の広告枠に表示させる順序を設定する表示順序設定部と、を備え、
前記表示広告選定部は、所定の実績値が閾値以下の広告については、
前記選定値の算出に用いるクリックレート値として、前記広告データ抽出部が抽出したn個の広告の平均クリックレート値を用い、
前記選定値の算出に用いる商品売上値として、前記広告データ抽出部が抽出したn個の広告の平均商品売上値を用いる
情報処理装置。
前記表示順序設定部が前記順序設定値の算出に用いる前記重み係数は、前記広告データ抽出部が抽出したn個の広告の平均入札値であり、前記表示順序設定部は、前記順序設定値の算出の際に、前記平均入札値を前記クリックレート値に乗算する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
前記表示広告選定部は、前記広告データ抽出部が抽出したn個の広告のそれぞれの広告キーワードについて、検索キーワードに対する関連度を判定し、関連度を用いたソートを行った後に、前記選定値を用いたソートを行って、上位m個の広告を、前記検索キーワードによる検索結果画面のm個の広告枠に表示させる広告として選定する
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の情報処理装置。
登録された各々の広告に対して広告キーワードが対応づけられている広告データベースを参照し、入力された検索キーワードと前記広告キーワードの比較に基づいてn個の広告を抽出する広告データ抽出処理と、
前記広告データ抽出処理で抽出されたn個の広告のそれぞれについて、入札値と、クリックレート値と、商品売上値とを少なくとも用いて選定値を算出し、前記選定値を用いて前記検索キーワードによる検索結果画面のm個の広告枠に表示させるm個の広告を選定するとともに、所定の実績値が閾値以下の広告については、前記選定値の算出に用いるクリックレート値として、前記広告データ抽出処理で抽出したn個の広告の平均クリックレート値を用い、前記選定値の算出に用いる商品売上値として、前記広告データ抽出処理で抽出したn個の広告の平均商品売上値を用いる表示広告選定処理と、
前記表示広告選定処理で選定されたm個の広告について、前記クリックレート値と、前記商品売上値と、前記クリックレート値と前記商品売上値の反映度合いを設定する重み係数とを少なくとも用いて順序設定値を算出し、前記順序設定値に基づいてm個の広告枠に表示させる順序を設定する表示順序設定処理と、
を情報処理装置が実行する情報処理方法。
登録された各々の広告に対して広告キーワードが対応づけられている広告データベースを参照し、入力された検索キーワードと前記広告キーワードの比較に基づいてn個の広告を抽出する広告データ抽出処理と、
前記広告データ抽出処理で抽出されたn個の広告のそれぞれについて、入札値と、クリックレート値と、商品売上値とを少なくとも用いて選定値を算出し、前記選定値を用いて前記検索キーワードによる検索結果画面のm個の広告枠に表示させるm個の広告を選定するとともに、所定の実績値が閾値以下の広告については、前記選定値の算出に用いるクリックレート値として、前記広告データ抽出処理で抽出したn個の広告の平均クリックレート値を用い、前記選定値の算出に用いる商品売上値として、前記広告データ抽出処理で抽出したn個の広告の平均商品売上値を用いる表示広告選定処理と、
前記表示広告選定処理で選定されたm個の広告について、前記クリックレート値と、前記商品売上値と、前記クリックレート値と前記商品売上値の反映度合いを設定する重み係数とを少なくとも用いて順序設定値を算出し、前記順序設定値に基づいてm個の広告枠に表示させる順序を設定する表示順序設定処理と、
を情報処理装置に実行させるプログラム。
登録された各々の広告に対して広告キーワードが対応づけられている広告データベースを参照し、入力された検索キーワードと前記広告キーワードの比較に基づいてn個の広告を抽出する広告データ抽出処理と、
前記広告データ抽出処理で抽出されたn個の広告のそれぞれについて、入札値と、クリックレート値と、商品売上値とを少なくとも用いて選定値を算出し、前記選定値を用いて前記検索キーワードによる検索結果画面のm個の広告枠に表示させるm個の広告を選定するとともに、所定の実績値が閾値以下の広告については、前記選定値の算出に用いるクリックレート値として、前記広告データ抽出処理で抽出したn個の広告の平均クリックレート値を用い、前記選定値の算出に用いる商品売上値として、前記広告データ抽出処理で抽出したn個の広告の平均商品売上値を用いる表示広告選定処理と、
前記表示広告選定処理で選定されたm個の広告について、前記クリックレート値と、前記商品売上値と、前記クリックレート値と前記商品売上値の反映度合いを設定する重み係数とを少なくとも用いて順序設定値を算出し、前記順序設定値に基づいてm個の広告枠に表示させる順序を設定する表示順序設定処理と、
を情報処理装置に実行させるプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.全体構成>
<2.ハードウェア構成>
<3.広告サーバの処理機能及び広告データベース>
<4.第1の実施の形態の広告表示制御>
<5.第2の実施の形態の広告表示制御>
<6.第3の実施の形態の広告表示制御>
<7.まとめ及び変形例>
<8.プログラム及び記憶媒体>
【0017】
<1.全体構成>
図1に複数の店舗が出店する仮想的な商店街を実現するEC(electronic commerce(電子商取引))システムとして機能するネットワークシステムの構成例を示している。
図1における広告サーバ3が本発明請求項の情報処理装置の実施の形態に相当する。実施の形態の広告サーバ3は後述するように、ユーザによって入力された検索キーワードに関連する広告をユーザに対して表示するための処理を行う情報処理装置である。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態に係るECシステムは、電子商取引サーバ2(以下「ECサーバ2」という)、広告サーバ3、複数の店舗端末4、複数のユーザ端末5がネットワーク1により相互に通信可能に接続されている。またECサーバ2は電子商取引データベース6(以下「電子商取引DB6」と表記)にアクセス可能とされ、広告サーバ3は広告データベース7(以下「広告DB7」と表記)にアクセス可能とされている。
【0019】
ネットワーク1の構成は多様な例が想定される。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network)、CATV(Community Antenna TeleVision)通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が想定される。
またネットワーク1の全部又は一部を構成する伝送媒体についても多様な例が想定される。例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、電話線等の有線でも、IrDA(Infrared Data Association)のような赤外線、ブルートゥース(登録商標)、802.11無線、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【0020】
ECサーバ2は、例えば仮想商店街のポータルとして機能する仮想商店街サーバである。ECサーバ2は、店舗端末4やユーザ端末5から受信した処理要求に基づく処理を実行する。例えばユーザへの商品やサービスの検索ページの提供、各店舗に対する店舗ページの提供、ユーザの検索に応じた商品やサービスの検索、検索結果一覧表示、広告サーバとの連携による広告表示、商品購入に関する処理、店舗管理、ユーザ管理などを行う。
【0021】
店舗端末4は、仮想商店街に出店する店舗側で使用される情報処理装置として示している。店舗端末4は仮想商店街で販売する商品の情報等をECサーバ2を介して電子商取引DB6に登録することなどに用いられる。例えば、ECサーバ2から提供される専用画面が店舗端末4の表示部に表示される。店舗の担当者はこの専用画面を介して商品の情報等をデータベース22に登録する。
【0022】
ユーザ端末5は、仮想商店街を利用して商品やサービスの購入を行うユーザによって操作される情報処理装置として示している。ユーザ端末5は例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話機、又は携帯情報端末等の情報処理装置により実現される。
【0023】
広告サーバ3はECサーバ2と連携して、仮想商店街を形成する各種ウェブページに広告を表示させるための各種制御を行う。電子商取引システムでは、ユーザ端末5の表示部に表示されるウェブページ(コンテンツ)に1又は複数の広告領域が設けられており、複数の広告のうちから選択された広告が広告領域に表示される。広告サーバ3はこのような広告表示を行うための処理を行う。本実施の形態では、広告サーバ3は特にサーチワード広告の表示のための制御処理に特徴を有する。これについては後に詳述する。
なおサーチワード広告とは、ユーザがユーザ端末5により仮想商店街のウェブページを閲覧し、検索キーワードを入力して商品等の検索を実行させた際に、その検索キーワードに基づいて広告を選択し、検索結果画面において検索された情報とともに表示する広告又はその広告表示手法である。
【0024】
本実施形態の場合、例えば、ECサーバ2ではHTTP(Hypertext Transfer Protocol)デーモンが起動される。また店舗端末4又はユーザ端末5ではブラウザが起動され、店舗端末4又はユーザ端末5からは、ブラウザを介して処理要求(HTTPリクエスト)がECサーバ2に送信される。ECサーバ2からは、上記の処理要求に対応する処理結果(HTTPレスポンス)が店舗端末4又はユーザ端末5に送信される。例えば、ウェブページ記述言語で記述されたページデータが店舗端末4又はユーザ端末5に送信される。そして、このページデータに基づいて、処理結果に基づくウェブページ(画面)が店舗端末4又はユーザ端末5の表示部に表示される。
ECサーバ2はこのような動作によりユーザ端末5に仮想商店街としてのウェブページを提供し、またユーザ端末5からの要求に応じた商品検索、商品提示、広告提示、決済処理等を行う。またECサーバ2は店舗端末4に対しても同様の動作で、商品登録ページの提供や、店舗端末4からの要求に応じた商品登録などを行う。
【0025】
ECサーバ2がこれらの処理を行うために電子商取引DB6に必要な情報が格納される。図では店舗テーブル6a、商品テーブル6b、ユーザテーブル6c、購入履歴テーブル6dを例示している。
店舗テーブル6aには、仮想商店街に出店している店舗に関するデータが登録される。例えば各店舗について、店舗識別子としての店舗ID(identification)、名称、住所、電話番号、及び店舗に関するウェブページ(店舗ページ)へのリンク情報(URL(Uniform Resource Locator))などが登録される。
商品テーブル6bには、仮想商店街で取り扱っている商品に関するデータが登録される。例えば商品テーブル6bには、各商品について、商品識別子としての商品ID、当該商品を販売する店舗の店舗ID、商品のカテゴリー、名称、価格、在庫、商品に関するウェブページ(商品ページ)へのリンク情報(URL)などが登録される。
ユーザテーブル6cには、仮想商店街を利用するユーザに関するデータが登録される。例えば登録されたユーザ毎に、ユーザID、ログインのパスワード、住所、氏名、性別や年齢等の属性情報、決済情報、電子メールアドレスなどが登録される。
購入履歴テーブル6dには、仮想商店街で行われた取引の履歴に関するデータが登録される。例えばユーザID毎に、購入商品の商品ID及び商品に関する情報、購入店舗、購入日時、購入価格等が登録される。
【0026】
ECサーバ2はこのような電子商取引DB6にアクセスして各種処理に必要な情報を取得する。なお電子商取引DB6は、ECサーバ2とは別のサーバコンピュータ内に構築されていてもよいし、ECサーバ2内に構築されていてもよい。
【0027】
また広告サーバ3が広告表示のための制御処理を行うために必要な情報が広告DB7に格納されている。広告DB7には例えば、広告テーブル7a、キーワードテーブル7b、広告領域テーブル7c、実績テーブル7dが設けられる。
広告テーブル7aには、店舗によって登録された広告の情報が登録されている。キーワードテーブル7bには、広告に対応づける各種キーワードが登録されている。広告領域テーブル7cには各ウエブページにおける広告領域の情報が登録されている。実績テーブル7dには、各広告についての広告効果を評価するための実績データなどが登録される。各テーブルの具体的なデータ内容については
図5,
図6で後述する。
広告サーバ3はこのような広告DB7にアクセスして広告表示のための処理に必要な情報を取得する。なお、広告DB7は、広告サーバ3とは別のサーバコンピュータ内に構築されていてもよいし、広告サーバ3内に構築されていてもよい。
【0028】
また広告サーバ3及びECサーバ2は別体のサーバコンピュータによって実現されるようにしてもよいし、一台のサーバコンピュータによって実現されるようにしてもよい。
また広告サーバ3及び広告DB7による広告サービスの提供者(すなわち、広告サーバ3及び広告DB7の管理者)と、仮想商店街の提供者(すなわち、ECサーバ2及び電子商取引DB6の管理者)は同じ業者であってもよいし異なる業者であってもよい。
【0029】
続いて
図1に示したECサーバ2、広告サーバ3、店舗端末4、ユーザ端末5を構成する情報処理装置のハードウエア構成を
図2に示す。ECサーバ2、広告サーバ3、店舗端末4、ユーザ端末5として示した各装置は、情報処理および情報通信が可能な
図2に示すようなコンピュータ装置として実現できる。
【0030】
図2において、コンピュータ装置のCPU(Central Processing Unit)101は、ROM( Read Only Memory)102に記憶されているプログラム、または記憶部108からRAM( Random Access Memory )103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM103にはまた、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU101、ROM102、およびRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104には、入出力インターフェース105も接続されている。
入出力インターフェース105には、キーボード、マウス、タッチパネルなどよりなる入力部106、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、有機EL(Electroluminescence)パネルなどよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部107、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ装置などより構成される記憶部108、ネットワーク1を介しての通信処理や機器間通信を行う通信部109が接続されている。
入出力インターフェース105にはまた、必要に応じてメディアドライブ110が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111が適宜装着され、リムーバブルメディア111に対する情報の書込や読出が行われる。
【0031】
このようなコンピュータ装置では、通信部109による通信によりデータやプログラムのアップロード、ダウンロードが行われたり、リムーバブルメディア111を介したデータやプログラムの受け渡しが可能である。
CPU101が各種のプログラムに基づいて処理動作を行うことで、ECサーバ2、広告サーバ3、店舗端末4、ユーザ端末5としての必要な情報処理や通信が実行される。
なお、ECサーバ2、広告サーバ3、店舗端末4、ユーザ端末5を構成する情報処理装置は、
図2のようなコンピュータ装置が単一で構成されることに限らず、複数のコンピュータ装置がシステム化されて構成されてもよい。複数のコンピュータ装置は、LAN等によりシステム化されていてもよいし、インターネット等を利用したVPN等により遠隔地に配置されたものでもよい。
【0032】
<3.広告サーバの処理機能及び広告データベース>
ここでサーチワード広告に関する動作とそのための広告サーバ3の処理機能について説明する。
【0033】
広告を行うことを希望する店舗の担当者は店舗端末4を用いて広告サーバ3にアクセスする。この場合、広告サーバ3から提供される専用画面が店舗端末4の表示部に表示される。店舗の担当者はこの専用画面を介して自らの広告を広告DB7に登録するための操作を行う。
この際に店舗の担当者は、自らの広告に関連づけるキーワード(説明上「広告キーワード」と呼ぶ)を指定する。例えば、ワインを販売する店舗の担当者は、自らの広告に関連づける広告キーワードとして「ワイン」を指定する。専用画面では、予め登録されたキーワードのうちのいずれかを選択できるようになっており、店舗の担当者は予め登録されたキーワードのうちのいずれかを広告キーワードとして選択する。なお、予め登録されたキーワード以外のキーワードを店舗の担当者が広告キーワードとして指定できるようにしてもよい。
【0034】
また店舗の担当者は入札金額を指定する。入札金額とは、広告が行われるごとに店舗(広告主)が広告サービスの提供者に支払う金額(単価)である。これを店舗の担当者は「入札金額」として指定する。例えば、店舗の担当者はクリック単価(CPC:Cost Per Click)を指定する。「クリック単価」とは、広告がユーザによってクリックされるごとに広告主が広告サービスの提供者に支払う金額である。入札金額が高いほど、広告がユーザによってクリックされるごとに広告主が広告サービスの提供者に支払う金額が高くなる。一方、入札金額が高いほど、広告がユーザ端末5の表示部に表示される可能性が高くなる。
店舗の担当者によって指定されたキーワード及び入札金額は該店舗の広告に関連づけて広告DB7に登録される(後述の
図5参照)。
【0035】
仮想商店街を利用するユーザは、ユーザ端末5を用いてECサーバ2にアクセスする。この場合、例えば、商品を検索するための商品検索ページデータがECサーバ2からユーザ端末5に送信され、商品検索ページ(図示せず)がユーザ端末5の表示部に表示される。ユーザは、商品検索ページで商品や店舗の検索のためのキーワード(説明上「検索キーワード」と呼ぶ)等の検索条件を指定して検索ボタンをクリックすることによって所望の商品を探し、商品を購入する。
【0036】
図3は、ユーザが商品検索ページで検索キーワードを指定して検索ボタンをクリックした場合にユーザ端末5の表示部に表示される検索結果ページ20の一例を示す。この
図3では、検索キーワードとして「ワイン」が指定された場合に表示される検索結果ページ20の一例を示している。
図3に示すように、検索結果ページ20はキーワード欄21、検索ボタン22、及び検索結果が提示される一覧領域25を含んでいる。
【0037】
キーワード欄21にはユーザによって指定された検索キーワードが表示される。なお、キーワード欄21及び検索ボタン22は、一覧領域25に表示される商品の一覧をさらに絞り込むために使用される。
一覧領域25には、ユーザによって指定された検索キーワードに関連する商品の一覧が表示される。例えば一覧領域25では、検索でヒットしたそれぞれの商品についての商品情報26が表示される。例えば商品情報26として、その商品の画像、商品の名称や説明文、価格、商品を販売している店舗などが表示される。
なお一覧領域25では、商品の画像や商品名がリンクボタンになっており、商品の詳細を示す商品ページへのリンク情報(URL)が商品名に関連づけられている。ユーザが商品名等をクリックすると、商品ページが表示部に表示される。商品ページにおいてユーザは商品を購入することができる。
【0038】
また検索結果ページ20は、広告を表示するための広告領域23を含んでいる。広告領域23には、ユーザによって指定された検索キーワードに関連する店舗又は商品の広告情報24が表示される。
広告情報24は例えば広告画像、広告文(例えば店舗名又は商品名等)、広告されている商品の価格などを含んでいる。
広告情報24における広告画像や広告文はリンクボタンになっており、店舗ページ又は商品ページへのリンク情報(URL)が関連づけられている。広告画像又は広告文がクリックされると、店舗ページ又は商品ページが表示部に表示される。ユーザは店舗ページや商品ページにおいて商品を購入することができる。
【0039】
なおこの例では、広告領域23には広告情報24を表示する領域、即ち広告枠が5つ用意されている例を示している。広告枠が5つというのは一例である。各種ページや検索対象の商品種別などに応じて広告枠の数が可変設定されてもよい。また、広告領域23がスクロールして、表示上の広告枠数以上の広告が表示可能とされる場合もある。また広告枠の全てを、いわゆるサーチワード広告としてする場合もあるが、例えば5つの広告枠の一部(3つなど)をサーチワード広告の枠とするような場合もある。また各広告枠の形状、表示内容も
図3に例示のものに限られない。例えば横長の領域形状ではなく、画像と商品名のみで正方形に近い領域形状として、複数の広告枠が横に並べられるような形態もある。
本実施の形態では、広告領域23は固定(スクロールしない)とし、また例えば5つの全部の広告枠をサーチワード広告による表示に使用する例で説明する。
【0040】
本実施の形態では広告サーバ3が、広告領域23に表示する広告を、入札金額だけでなく、広告料収入や商品売上を考慮して選定し、また複数の広告枠における表示順も設定する。
このための広告サーバ3の機能構成を
図4に示す。広告サーバ3は、広告サーバ3としてのコンピュータ装置のCPU101(
図2参照)がプログラムに基づいて実行する処理機能として、広告データ抽出部30、表示広告選定部31、表示順序設定部32、DB(データベース)管理部33を有する。
【0041】
DB管理部33は、広告DB7の各テーブルの更新管理を行う。例えば上述のように広告主の店舗端末4から、商品の広告について広告データ、広告キーワード、入札金額等が登録情報として送信されてきた際に、広告テーブル7aに登録する処理を行う。またDB管理部33はキーワードテーブル7bのキーワードの更新管理を行う。またDB管理部33は、広告領域テーブル7cの情報の更新管理を行う。またDB管理部33は各広告の実績情報を例えばECサーバ2等から受信することに応じて実績テーブル7dの更新管理を行う。
【0042】
広告データ抽出部30は、登録された各々の広告に対して広告キーワードが対応づけられている広告データベース7(広告テーブル7a)を参照し、入力された検索キーワードと広告キーワードの比較に基づいてn個(nは自然数)の広告を抽出する処理を行う。即ち検索キーワードと一致又は一部が一致する広告キーワードが登録されている広告を抽出する。なお、サーチワード広告のための処理負荷を過大にしないようにするため、抽出する広告の数nは、最大nmax個(例えば500個)などに制限すると良い。
【0043】
表示広告選定部31は、広告データ抽出部30が抽出したn個の広告のそれぞれについて、入札値と、クリックレート値と、商品売上値とを少なくとも用いて選定値を算出する。この算出のために広告領域テーブル7c、実績テーブル7dから必要な情報を取得する。そして選定値が上位となったm個の広告を、
図3の検索結果ページ20のm個(mは自然数で、例えばm=5)の広告枠に表示させる広告として選定する。
【0044】
表示順序設定部32は、表示広告選定部31で選定されたm個の広告について、クリックレート値と、商品売上値と、クリックレート値と商品売上値の反映度合いを設定する重み係数とを少なくとも用いて順序設定値を算出する。この算出のために広告領域テーブル7c、実績テーブル7dから必要な情報を取得する。そして順序設定値に基づいてm個の広告枠に表示させる広告の順序を設定する。
図3のような広告領域23における複数の広告枠では、順番の上の方が広告効果(ユーザへのアピール効果)が高いとされる。そのため順序設定は広告主にとっても、また電子商取引システム管理者にとっても重要となる。
そして表示順序設定部32は、表示広告設定情報として、表示する広告として選定したm個の広告とその表示順序の情報等の広告表示用の制御データを生成し、ECサーバ2に受け渡す。
【0045】
このような機能を有する広告サーバ3がアクセスする広告DB7の各テーブルの内容例を
図5,
図6を用いて説明する。
【0046】
図5Aは広告テーブル7aの一例を示している。広告テーブル7aは、広告ID、広告主ID、広告キーワード、入札値、広告データの各フィールドを有する。広告IDフィールドには、各広告についてユニークに付与される識別情報として広告ID(A001、A002・・・)が登録される。
広告主IDフィールドには、広告を行うことを希望している店舗(広告主)の店舗ID(S001、S002・・・)が登録される。
広告キーワードフィールドには、広告に関連づける広告キーワードとして店舗(広告主)によって指定されたキーワードが登録される。例えばそれぞれの広告について、「ワイン」「赤、ワイン」「フランス、ワイン」など、1又は複数の広告キーワードが登録される。
【0047】
入札値フィールドには、店舗(広告主)によって提示された入札金額(CPC)が登録される。例えばクリック単価として60円、80円等、広告主が指定する金額の値が登録される。
広告データフィールドには、広告をユーザ端末5の表示部に表示するために必要な広告データが登録される。例えば、広告画像データ、広告文データ、リンク情報(例えば、店舗ページ又は商品ページへのリンク情報)などが広告データとして登録される。
【0048】
図5Bはキーワードテーブル7bの一例を示している。キーワードテーブル7bには、店舗(広告主)が広告キーワードとして選択可能な各種のキーワードが登録される。このキーワードテーブル7bには、例えば広告サービスの提供者等によって予め指定されたキーワードが登録される。ここでは「ワイン」「赤」「白」「ロゼ」等のキーワードを例示している。もちろん各種の商品に応じて適切なキーワードが用意される。
なお、店舗(広告主)によって指定されたキーワードがキーワードテーブルに登録されるようにしてもよい。例えば広告サーバ3にアクセスすることによって店舗端末4に表示される専用画面において店舗の担当者は、キーワードテーブルに登録したいキーワードを入力する。店舗の担当者によって入力されたキーワードは、電子商取引システム(広告サービスの提供者等)側での確認が行われた後、特に問題等がなければ、キーワードテーブルに追加登録されるようにする。
【0049】
図5Cは広告領域テーブル7cの一例を示している。広告領域テーブル7cは、各ウェブページ(コンテンツ)に設けられる広告領域23に関するテーブルである。広告領域テーブル7cは広告領域ID、ページID、広告数、増加フラグの各フィールドを有する。
広告領域IDフィールドには、広告領域23を一意に識別するための識別情報として広告領域ID(R001,R002・・・)が登録される。
ページIDフィールドには、広告領域23が設定されたウェブページの識別情報としてページID(P001,P002・・・)が登録される。
広告数フィールドには、広告領域23に表示可能な広告の数(広告枠の数)が登録される。
増加フラグフィールドには、表示可能な広告の数を増加することが可能な広告領域23であるか否かを示すフラグ情報として「0」又は「1」の値が登録される。
【0050】
図6は実績テーブル7dの一例を示している。実績テーブル7dは、広告効果を示す各種指標値に関するテーブルである。実績テーブル7dは広告ID、表示回数(インプレッション)、クリック回数、CTR(Click Through Rate)、アクセス数、コンバージョン数、CVR(Conversion Rate)、商品売上値の各フィールドを有している。
各行の情報は、広告ID(A001,A002・・・)により、広告テーブル7aに登録された各広告と紐づけられる。
【0051】
表示回数フィールドには、広告がユーザ端末5の表示部に表示された回数(広告がユーザ端末5に配信された回数)が登録される。クリック回数フィールドには広告がクリックされた回数が登録される。
広告がユーザ端末5の表示部に表示される(ユーザ端末5に配信される)ごとに、表示回数フィールドの値がインクリメントされる。また、ユーザ端末5の表示部に表示された広告がクリックされるごとに、その旨が広告サーバ3に通知され、クリック回数フィールドの値がインクリメントされる。
【0052】
CTRフィールドには、広告効果を示す指標値の一種であるCTRが登録される。CTRはクリック回数を表示回数で除することによって算出される。CTRの値が高いほど、広告効果が高いといえる。
アクセス数フィールドには、広告領域23が設定されたウェブページへのアクセス数(ページビュー)が登録される。
コンバージョン数フィールドには、広告主が望む最終成果(例えば商品購入又は資料請求等)まで至った件数が登録される。
広告領域が設定されたウェブページへのアクセスが発生するごとに、その旨が広告サーバ10に通知され、アクセス数フィールドの値がインクリメントされる。また、広告主が望む最終成果(例えば商品購入又は資料請求等)まで至るごとに、その旨が広告サーバ10に通知され、コンバージョン数フィールドの値がインクリメントされる。
【0053】
CVRフィールドには、広告効果を示す指標値の一種であるCVRが登録される。CVRはコンバージョン数をアクセス数で除することによって算出される。コンバージョン・レートの値が高いほど、広告効果が高いといえる。なお、アクセス数の代わりにユニークユーザ数を用いるようにしてもよい。ユニークユーザ数とは、広告領域が設定されたウェブページへのアクセス者数の重複を除くようにしてカウントしたものである。
【0054】
商品売上値フィールドには、広告をクリックしたユーザが広告主たる店舗において実際に購入した商品についての売上総額が登録される。従って商品売上値も広告効果を示す指標値の一種であり、商品売上値が高いほど、広告効果が高いといえる。
【0055】
<4.第1の実施の形態の広告表示制御>
以下、広告サーバ3の処理として実行されるサーチワード広告の表示を実行するための処理を説明する。まずここでは第1の実施の形態としての具体的な処理例を述べる。
図7はサーチワード広告を実行する際の広告サーバ3の処理例を示している。広告サーバ3は、広告データ抽出部30、表示広告選定部31、表示順序設定部32の機能により、
図7の処理を実行する。
【0056】
広告サーバ3は、ステップS100として検索キーワード、ページ情報が取得されることに応じてサーチワード広告表示のための処理を開始する。例えばユーザがユーザ端末5において商品検索ページで検索キーワードを指定して検索ボタンをクリックした場合に、ECサーバ2は検索キーワードに応じた商品検索を行う。このときにECサーバ2から検索キーワードや検索結果ページ20のページIDや形式等を示したページ情報が広告サーバ3に伝えられる。広告サーバ3は、ECサーバ2における商品検索と並行して、サーチワード広告表示のための処理を実行することになる。
【0057】
広告サーバ3はステップS101で、まず広告データ抽出部30の機能により、検索キーワードを用いてn個の広告を抽出する。即ち広告サーバ3は、広告テーブル7aに登録された広告の中で、検索キーワードに全部又は一部が一致する広告キーワードを有する広告を抽出する。例えば検索キーワードが「ワイン」の場合、広告キーワードが「ワイン」である広告(
図5の例では広告IDがA001,A003の広告)を抽出するが、広告キーワードが「赤、ワイン」や「フランス、ワイン」等、複数の広告キーワードのうちの一部が一致する広告(
図5の例では広告IDがA002,A004の広告)も抽出する。また「ワイングラス」「ワインストッカー」等、1つの広告キーワードの一部が一致する広告を抽出するようにしてもよい。
但し上述のように例えば最大500個など、抽出する広告数の上限を設けている場合において、例えば検索キーワードに全部又は一部が一致する広告キーワードが上限数以上存在する場合、そのキーワードの一致度合いで上限数以下に絞り込んで広告を抽出する。
【0058】
続いて広告サーバ3はステップS102,S103で表示広告選定部31の機能による処理を行う。まずステップS102では、抽出した広告の数が、広告枠数m以下であるか否かを確認する。
広告枠数mは、例えばステップS100で取得したページ情報(ページID)に基づいて広告領域テーブル7cを参照し、広告数フィールドの値を読み出すことで確認できる。抽出した広告数が広告枠数m個以下であれば、既に表示させるm個の広告は特定されたことになるため、ステップS103を経ずにステップS104に進む。
多くの場合は、抽出した広告数が広告枠数m個を越えることが想定される。その場合、抽出したn個の広告の中から表示させるm個の広告を特定するためにステップS103の処理を行う。ステップS103ではn個の各広告について、入札値としてのCPCと、クリックレート値としてのCTRと、商品売上値とを少なくとも用いて選定値を算出する。そして選定値が上位となったm個の広告を表示させる広告として選定する。詳細は
図8で後述する。
【0059】
続いて広告サーバ3はステップS104で、表示順序設定部32の機能により、m個の広告について、m個の広告枠において表示する順序を設定する。この場合、表示するものとして選定されたm個の広告のそれぞれについて、クリックレート値としてのCTRと、商品売上値と、CTRと商品売上値の反映度合いを設定する重み係数とを少なくとも用いて順序設定値を算出する。重み係数としてはn個の広告のCPCの平均値を用いる。そして順序設定値の順に、表示順序を設定する。詳細は
図9で後述する。
【0060】
ここまでの処理で、検索結果ページ20のm個の広告枠に表示するm個の広告とその順序が決定される。広告サーバ3はステップS105で、m個の広告の広告データ(もしくは広告データへのリンク情報)や、各広告の表示順序の情報を広告表示用の制御データとして生成し、ECサーバ2に受け渡す。以上で広告サーバ3としての1回のサーチワード広告の実行のための処理を終了する。
ECサーバ2では、検索キーワードに基づいて検索した多数の商品の画像やテキストを一覧領域25で提示し、また広告サーバ3からの広告表示用の制御データに基づいて広告領域23で各広告情報24を提示するためのHTMLデータを生成する。そしてHTTPレスポンスとして当該HTMLデータをユーザ端末5に送信する。これにより検索を行ったユーザは、
図3のような検索された商品の一覧情報とサーチワード広告を含む検索結果ページ20を閲覧できることになる。
【0061】
上記のステップS103としてm個の広告を選定するための具体的な処理を
図8で説明する。これは検索キーワードに応じて抽出されたn個の広告について、それぞれ選定値SAを求め、選定値SAでソートして上位m個の広告を選定する処理である。
【0062】
まずステップS201で広告サーバ3は、抽出されたn個の広告AD1〜ADnについて、選定のために必要な情報を広告テーブル7a,実績テーブル7dから取得する。ここでは各広告AD1〜ADnについて、入札値(CPC)、CTR、表示回数、商品売上値を取得する。
次にステップS202で広告サーバ3は、n個の広告AD1〜ADnを対象として、平均CTR、平均商品売上値を算出する。
【0063】
そしてステップS203以降で、各広告AD1〜ADnについて選定値SAを算出していく。まずステップS203で変数xを“1”にセットする。
広告サーバ3はステップS204〜S207では、変数xで指定される広告AD(x)について選定値SA(x)を求める処理を行う。変数xはステップS208でnに達したと判断されるまで、ステップS209でインクリメントされてステップS204からの処理が繰り返される。従って、ステップS204〜S207で、広告AD1、AD2・・・ADnのそれぞれについての選定値SA1、SA2、・・・SAnが算出されていくこととなる。
【0064】
まずステップS204では、広告AD(x)の表示回数が、所定の閾値回数th1以下であるか否かが判断される。例えば閾値回数th1=100とした場合、当該広告AD(x)の表示回数が100以下であるか否かを判断する。
表示回数が閾値回数th1以下である広告は、ユーザに対する表示が回数的に十分に行われておらず、CTRや商品売上値が、他の広告との比較のための要素として適切な値になっていない可能性が高いと判断されるものである。
【0065】
ステップS204で表示回数が閾値回数th1を越えている場合は、その広告AD(x)についてステップS205で選定値SAの算出が行われる。この場合、
SA={(入札値)×(CTR)×1000}+{(商品売上値)×(利益率係数)}
として選定値SAを算出する。
ここで利益率係数とは、広告が対象とする商品の売上、即ち商品売上値から、実際の利益を想定する値である。例えば店舗の商品売上に対して電子商取引システム管理者が店舗からいくらかのパーセンテージをシステム使用料などとして得る場合、そのパーセンテージを利益率係数として扱えば良い。或いは利益率係数は店舗側での商品売上に対する平均的な利益率などとしてもよい。この利益率係数は固定値を用いれば良い。
また式中の“1000”は、入札値とCTRの乗算値を選定値SAにおいて広告収入の要素として反映させる際の係数である。
従って上記式の{(入札値)×(CTR)×1000}は、サーチワード広告において電子商取引システム管理者が広告収入として得ることのできる値(広告収入反映値)であり、{(商品売上値)×(利益率係数)}は、電子商取引システム管理者又は広告主が商品売上(又はに売上に応じて得る利益)の程度を反映した値(売上反映値)である。従って選定値SAは広告収入と商品売上(売上に応じた利益)を反映したものとなる。
広告サーバ3は、このように算出した選定値SAを、ステップS207で広告AD(x)の選定値SA(x)として内部レジスタに記憶する。
【0066】
一方、広告SA(x)の表示回数が閾値回数th1以下の場合は、その広告AD(x)についてステップS206で選定値SAの算出が行われる。この場合、
SA={(入札値)×(平均CTR)×1000}+{(平均商品売上値)×(利益率係数)}
として選定値SAを算出する。
平均CTR、平均商品売上値は、ステップS202で算出したn個の広告AD1〜ADnのCTR、商品売上値の各平均値である。なお広告SA1〜SAnにおいて表示回数が閾値回数th1以下のものが存在しない場合、平均CTR、平均商品売上値は使用しないことになるため、処理の効率化のため、ステップS202ではなく、初めてステップS206に進んだ段階で行うようにしても良い。
【0067】
このステップS206においてCTRに代えて平均CTRを用い、また商品売上値に代えて平均商品売上値を用いるのは、表示回数が少ない広告の場合、CTRが極端な例えば0%や100%などの極端な値や、統計的に信頼しにくい値となっている可能性が高く、また商品売上値も低く、表示広告選定の基準となる選定値SAの算出に用いることが適切ではないと考えられるためである。
表示回数の多寡に関わらず全てステップS205の処理で選定値SAを算出する処理例も考えられるが、その場合、CTRや表示回数が少ない広告は、入札値が高くてもなかなか表示されないような事象が生じてしまう恐れがある。そこで平均値で代用することで、このような事象が生じにくいようにする。
広告サーバ3は、ステップS206でこのように算出した選定値SAを、ステップS207で広告AD(x)の選定値SA(x)として内部レジスタに記憶する。
【0068】
以上のステップS204〜S207の処理を、変数xのインクリメントに応じて広告AD1〜ADnについて実行していく。するとステップS208でx=nとなった時点で、広告AD1〜ADnについての選定値SA1〜SAnが記憶されていることになる。
その場合広告サーバ3はステップS210に進んで、選定値SA1〜SAnをソートする。そしてステップS211で、ソート結果として上位となったm個の広告を、表示する広告に選定する。
【0069】
このように表示広告選定処理が行われた後、
図7のステップS104として、今度は表示順序設定部32の機能による表示順序設定処理が行われる。この具体例を
図9に示す。
【0070】
上記
図8の処理で選定されたm個の広告を広告eAD1〜eADmとする。まずステップS301で広告サーバ3は、選定されたm個の広告eAD1〜eADmについて必要な情報を取得する。例えば各広告eAD1〜eADmについて、CTR、表示回数、商品売上値を取得する。
なお、
図8の処理(
図7のステップS103)が行われた場合、広告サーバ3は広告eAD1〜eADmについて必要な情報は取得済みであるため、実際にはこのステップS301で改めて取得する必要はない。このステップS301の処理は、
図7で説明したステップS102→S104と進む場合(ステップS103が行われない場合)に必要となる。
【0071】
次にステップS302で広告サーバ3は、n個の広告AD1〜ADnを対象として、平均CTR、平均商品売上値、平均入札値を算出する。なお、これもステップS103(
図8の処理)が行われた場合は、平均CTR、平均商品売上値は既に算出済みであるため必要ない。ここでは平均入札値を求めればよい。また平均入札値も
図8のステップS202の段階で求めておいてもよい。
【0072】
ステップS303以降で、各広告eAD1〜eADmについて順序設定値DAを算出していく。まずステップS303で変数yを“1”にセットする。
広告サーバ3はステップS304〜S307では、変数yで指定される広告eAD(y)について順序設定値DA(y)を求める処理を行う。変数yはステップS308でmに達したと判断されるまで、ステップS309でインクリメントされてステップS304からの処理が繰り返される。従って、ステップS304〜S307で、広告eAD1、eAD2・・・eADmのそれぞれについての順序設定値DA1、DA2、・・・DAmが算出されていくこととなる。
【0073】
まずステップS304では、広告eAD(y)の表示回数が、所定の閾値回数th1以下であるか否かが判断される。この判断処理の意味は
図8のステップS204と同じく、ユーザに対する表示が回数的に十分に行われておらず、CTRや商品売上値が、他の広告との比較のための要素として適切な値になっていない可能性が高い広告か否かを判定するものである。
【0074】
ステップS304で表示回数が閾値回数th1を越えている場合は、その広告eAD(y)についてステップS305で順序設定値DAの算出が行われる。この場合、
DA={(平均入札値)×(CTR)×1000}+{(商品売上値)×(利益率係数)}
として順序設定値DAを算出する。上述の
図8のステップS205における選定値SAの算出との違いは、個別の入札値ではなく、n個の広告の平均入札値を用いている点である。
この平均入札値は、CTRと商品売上値の反映度合いを設定する重み係数としての意味を持つ。順序設定値DAには、検索キーワードによって抽出された商品群の平均入札値が高いほど、CTRの要素、つまり広告収入の要素が強く反映される。一方、検索キーワードによって抽出された商品群の平均入札値が低ければ、相対的に(商品売上値)×(利益率係数)の要素、つまり商品売上に応じた利益の要素が強く反映される。
広告サーバ3は、このように算出した順序設定値DAを、ステップS307で広告eAD(y)の順序設定値DA(y)として内部レジスタに記憶する。
【0075】
一方、広告eSA(y)の表示回数が閾値回数th1以下の場合は、その広告eAD(y)についてステップS306で順序設定値DAの算出が行われる。この場合、
DA={(平均入札値)×(平均CTR)×1000}+{(平均商品売上値)×(利益率係数)}
として順序設定値DAを算出する。上述の
図8のステップS206における選定値SAの算出との違いは、個別の入札値ではなく、n個の広告の平均入札値を用いている点である。即ちステップS305で順序設定値DAを算出する場合と同様、平均入札値をCTRと商品売上値の反映度合いを設定する重み係数として用いている。
また平均CTR、平均商品売上値を用いる意味は
図8のステップS206と同様である。
広告サーバ3は、ステップS306でこのように算出した順序設定値DAを、ステップS307で広告eAD(y)の順序設定値DA(y)として内部レジスタに記憶する。
【0076】
以上のステップS304〜S307の処理を、変数yのインクリメントに応じて広告eAD1〜eADmについて実行していく。するとステップS308でy=mとなった時点で、広告eAD1〜eADmについての順序設定値DA1〜DAmが記憶されていることになる。
その場合広告サーバ3はステップS310に進んで、順序設定値DA1〜DAmをソートする。そしてステップS311で、ソート結果を、広告eAD1〜eADmの表示順序として選定する。
【0077】
以上の
図7,
図8,
図9で説明したようにサーチワード広告の処理が行われることの意味を説明する。
まず検索キーワードに基づいて抽出されたn個の広告AD1〜ADnの中から、選定値SAに基づいて、表示するm個の広告eAD1〜eADmを選定する。
この場合に選定値SAは{(入札値)×(CTR)×1000}という広告収入を反映する要素と、{(商品売上値)×(利益率係数)}という電子商店街での商品売上(売上に応じた利益)を反映する要素を含んでいる。
この選定値SAが上位となるm個の広告eAD1〜eADmを選定するということは、広告枠の入札という自由競争の考え方に加え、電子商取引システム管理者等の広告サービス収入や、店舗側及び電子商取引システム管理者の商品売上に応じた収入、つまりは広告効果を反映させるものとなる。
従って、広告主にとってみると、入札金額に応じた適切な広告効果が得られる広告が表示される処理が実現されているということになる。これによって広告主は、広告効果が最適の広告表示に対して広告料を負担するという傾向ができ、広告主にとっての費用対効果の点で望ましいものとなる。
また電子商取引システム管理者(広告サービス業者)にとっては、広告料収入と仮想商店街での商品売上に応じた利益の双方を考慮して利益が最大化できる広告を表示対象に選定できるという利点がある。
【0078】
さらにn,mがそれぞれ2以上の自然数である場合のm個の広告eAD1〜eADmは、順序設定値DAによって表示順序が設定される。広告領域23における表示順序はユーザの認識つまり広告露出効果に影響する。若い順位で表示されるほどユーザに認識されやすいと考えられる。
順序設定値DAは、CTRと商品売上値の一方に重みをおいて求められる。そして重み係数として平均入札値を用いている。この点を説明する。
例えばn個の広告の平均入札値は、例えば検索キーワードが「カニ」のときは「カニ」を広告キーワードに設定した多数のカニ又はカニ関連商品の広告の平均入札値となる。検索キーワードが「ワイン」のときは「ワイン」を広告キーワードに設定した多数のワイン又はワイン関連商品の広告の平均入札値である。
入札は、多数の店舗(広告主)の自由競争で行われ、入札額の相場は商品種別毎の広告価値により上下する。
【0079】
ここで順序設定値DAの算出に用いるCTRは、入札額を乗じていなくても広告収入の指標となる。また{(商品売上値)×(利益率係数)}は上記のとおり商品売上(売上に応じた利益)を反映する要素である。
平均入札値は、n個の広告AD1〜ADnの入札値の平均値であるから、選定値SAで選定されたm個の広告eAD1〜eADmについては、当然、平均入札値は同じである。従って平均入札値は各広告eAD1〜eADmの順序に影響しない係数となる。結局、平均入札値は、CPCにより反映される広告収入と、{(商品売上値)×(利益率係数)}により反映される商品売上に応じた利益のいずれを重視して順位を決めるか、という点に影響することになる。
広告主間の広告に対する競争が比較的激しい商品分野などであって、広告AD1〜ADnの商品種別の入札額相場が高い場合は、平均入札値が高くなる。この場合、順序設定値DAはCPCが重視されて算出される。
広告主間の広告に対する競争があまり激しくない商品分野などであって、広告AD1〜ADnの商品種別の入札額相場が低い場合は、平均入札値が低くなる。この場合、順序設定値DAは相対的に{(商品売上値)×(利益率係数)}を重視したものとなる。
従って平均入札値は、商品種別によって変動する重み係数として用いることができる。
【0080】
そして順序設定値DAは、このような重み係数を用いて広告収入要素と売上に応じた利益の要素を調整した値となる。
このため電子商取引システム管理者にとっては、広告料収入が期待できる商品分野の場合は、広告収入重視で順位が決定され、比較的商品売上に応じた収入が期待できる商品分野の場合は、商品売上を重視して順位が決定される。
また入札の価値が高い商品の広告主にとっては、広告費用負担に応じて順序が優先されやすく、入札の価値が比較的低い場合は商品売上の実績(実際の広告効果)に応じて順序が優先されるものとなり、広告主にとっても好ましい順位づけを実現できる。
【0081】
以上のことから本実施の形態では、広告主、電子商取引システム管理者の双方に望ましい広告の選定、及び表示順序設定が実現される。さらにこのような表示される広告の選定や順位設定は、単に入札額に依存するものではなく売上やクリック回数として表出される各商品の市場での評判も反映される。このため表示される広告、さらに言えば上位順序で表示される広告は、評判のよい商品の広告となりやすく、ユーザが評判の良い商品にアクセスできる機会も増やすことができる。
【0082】
そしてこのような各者にとって満足度の高い広告選定及び表示順序設定を実現するための広告サーバ3の処理としては、CTR、商品売上値、入札値を変数として用いた簡単な演算処理で実現できる。従って処理時間も短くでき、サーチワード広告の処理として好適である。
また表示する広告の選定と、表示順序設定とでは、使用する演算要素としてクリックレート値、商品売上値は共通に用いていながら、重み付け係数を使用することで、選定値SAと順序設定値DAとして異なる結果が得られる。つまり広告の選定と、表示順序の設定を別の処理で行うことで、サーチワード広告として表示される広告が、単に入札額に応じた単調なものとならないようにすることができるとともに、この各処理で使用する演算要素が共通であることで処理負担は小さい。つまり少ない処理負担で、入札額と広告効果の両面で適切な広告を表示しつつ、その表示順序はその時々の広告効果(CTRや商品売上値)を反映したタイムリーなものとすることができる。
【0083】
また平均入札値を重み係数として用いることで、大量の指標値を用いたり複雑なデータ演算を行わずに、商品種類に応じた重み付けが可能となり、処理の簡易化、短時間処理を実現できる。
平均入札値は、入札値の相場変動によって変動するものであるから、抽出されたn個の広告の商品分野のタイムリーな指標としての意味をもつ。即ち抽出されたn個の広告AD1〜ADnの平均入札値は、その商品群について特化された重み係数であり、かつ市場での商品動向に応じてダイナミックに変動する重み係数である。このような重み係数を、大量の指標データや複雑な演算を使用せずに用意し、順序設定に使用することは、簡易かつ短時間の処理で最適な順序設定を実現するということに大きく貢献できる。
【0084】
なお重み係数としては、平均入札値以外を用いても良い。例えば商品分野毎に重み係数を予め設定しておくようにしてもよい。但し、上記のように平均入札値を用いることは、重み係数を記憶しておく必要がなく、またタイムリーに変動する重み係数とできる点で望ましい。
【0085】
また選定値SAは、入札値とCTRの乗算成分と、商品売上値と利益率係数の乗算成分とを含む値として算出される。順序設定値DAは、重み係数(平均入札値)とCTRの乗算成分と、商品売上値と利益率係数の乗算成分とを含む値として算出される。
利益率係数は、商品売上からの実際の利益を想定する値である。従って商品販売による利益の観点を加味した広告選定や表示順序設定が可能となる。
また利益率係数を固定値とすることで、商品売上に応じた利益を反映した選定値SA、順序設定値DAの算出する処理の複雑化を招かない。
【0086】
選定値SA、順序設定値DAの算出において{(商品売上値)×(利益率係数)}の項は、利益率係数の設定によって店舗の利益、又は電子商取引管理者の利益としての傾向を高めることができる。
例えば{(商品売上値)×(利益率係数)}の項を、電子商取引システム管理者の利益を表す項としたい場合は、利益率係数を、店舗から商品売上に応じて受け取るマージンの割合とすればよい。
また{(商品売上値)×(利益率係数)}の項を、店舗の利益を表す項としたい場合は、利益率係数を、店舗における商品売上についての平均的な利益率とすればよい。その場合、商品種別毎に利益率が大きく異なることもあるため、利益率係数をサーチされる商品種別に応じて異なるものとすることも考えられる。
このように利益率係数の設定によって、広告選定及び順序設定について、電子商取引システム管理者の利益を主に反映したものとするか、店舗利益を主に反映したものとするかを調整できる。従って状況に応じた広告選定及び順序設定が行いやすい。
【0087】
なお、利益率係数を用いるとして説明したが、必ずしも利益率係数ではなく、選定値SAや順序設定値DAに反映させる度合を調整する係数としてもよい。例えば選定値SA、順序設定値DAについて
SA={(入札値)×(CTR)×(係数)}+{(商品売上値)×(係数)}
DA={(平均入札値)×(CTR)×(係数)}+{(商品売上値)×(係数)}
としてもよい。広告収入を反映する項と商品売上を反映する項には、それぞれ反映度合を調整する適切な係数が使用されればよい
【0088】
また、より簡易的に
SA={(入札値)×(CTR)}+{(商品売上値}}
DA={(平均入札値)×(CTR)}+{(商品売上値)}
としてもよい。
【0089】
また
図8,
図9の表示広告選定及び表示順序設定の処理において、所定の実績値(表示回数)が閾値回数th1以下の広告については、選定値SA、順序設定値DAの算出に用いるCTRや商品売上値として、n個の広告AD1〜ADnの平均CTR、平均商品売上値を用いるようにしている。CTRや商品売上値は、例えば表示が少ない広告については極端な値となったりして、表示回数が多く値が収束した広告との比較に適さない。そこで平均値で代用する。これにより選定値SA、順序設定値DAにおいて表示回数が少ない広告と多い広告とのバランスをとることができる。例えば表示回数が少なくまだクリックされていない広告でも表示される機会が得られやすいようにできたり、逆に表示回数の初期の段階でたまたま多くクリックされたり売上が上がったものが、むやみに優先表示されすぎるようことを回避できる。
【0090】
<5.第2の実施の形態の広告表示制御>
続いて第2の実施の形態のとしての広告サーバ3の処理を説明する。第2の実施の形態の処理は、表示回数が少ない広告と多い広告のバランスをより良好にとれるようにしたものである。
【0091】
図10で考え方を説明する。
図10Aは、上述の第1の実施の形態のバランスの取り方
を模式的に示したものである。第1の実施の形態の場合は表示回数が閾値回数th1以下
であるか否かで切り分けた。即ち閾値回数th1を越えている場合は実績ベースとして、
図8,
図9のステップS205,S305でCTR、商品売上値としての実績を用いて選
定値SA、順序設定値DAを算出する。一方閾値回数th1以下の場合は平均値ベースと
して、ステップS206,S306で平均CTR、平均商品売上値を用いて選定値SA、
順序設定値DAを算出する。
これにより、上述のとおり表示回数が少ない広告と多い広告について、ある程度のバラ
ンスをとった選定値SA、順序設定値DAの算出を行うことができるが、閾値回数th1
で急に算出方式が変わるため、その変化点で算出値に大きな影響が現れることは否めない。
そこで第2の実施の形
態では、
図10Bのように、選定値SA、順序設定値DAの算出
に関して、表示回数が少ない時点では平均値ベースが支配的であるが、表示回数が増える
に従って徐々に実績ベースの要素が増えていくようにする。これにより各種の表示回数の
異なる広告どうしの比較のための、より適切な選定値SA、順序設定値DAが得られるよ
うにする。
【0092】
このような処理の実現のために変形したCTRを用いる。以下では説明上“newCTR”と呼ぶこととする。
図10C、
図10Dにより、4つの広告AD1〜AD4をモデルにしてnewCTRを説明する。広告AD1〜AD4の表示回数、クリック回数、CTRが
図10Cに示す値であったとする。この広告AD1〜AD4の平均CTRを考える。但し広告AD4はまだ表示回数0なので、CTRは値としてあり得ないから平均値から除外する。少なくとも1回以上表示されている広告AD1〜AD3の平均のCTRは0.5%となる。CTR=0.5%とは、200回表示された場合に1回クリックされたということである。
この場合、平均CTRから、表示回数=200とクリック回数=1という値が導かれた。そこで、各広告AD1〜AD4の実績値に、この“200”及び“1”を加算してnewCTRを算出する。
図10Dのように広告AD1〜AD4の表示回数に一律“200”を加算し、クリック回数に一律“1”を加算する。この加算後のクリック回数を加算後の表示回数で除して、newCTRを求める。newCTRは、各広告AD1〜AD4について
図10Bの考え方で得られる値となる。つまり表示回数が0回の広告AD4は完全に平均値が反映されている。表示回数がまだ100回と少ない広告AD2,AD3については、既にクリック実績がある広告AD2はそれが反映されてnewCTRは高くなるが、クリック実績がない広告AD3はnewCTRが低くなる。表示回数の多い広告AD1については、実績としての表示回数、クリック回数が支配的となり、平均値の影響は少ない。
【0093】
このようなnewCTRを用いて選定値SA、順序設定値DAを算出する。
図11に表示広告選定処理の例を示す。なお
図8と同一処理は同一のステップ番号を付して説明を省略する。この
図11の処理例は、
図8のステップS204のような処理分岐の判断は無く、抽出された全ての広告AD1〜ADnについて、ステップS220の処理で選定値SAを計算する。
この場合、選定値SAは、
SA={(入札値)×(newCTR)×1000}+{(商品売上値)×(利益率係数)}
で求める。newCTRは、具体的には、
newCTR=(クリック回数+1)/(表示回数+P)
である。式中の“P”とは、P=1/平均CTR、である。
図11の処理では、この式で各広告AD1〜ADnについて選定値SAを算出し、選定値SAが上位となるm個の広告eAD1〜eADmを選定する。
【0094】
図12に表示順序設定処理の例を示す。なお
図9と同一処理は同一のステップ番号を付して説明を省略する。この
図12の処理例は、
図9のステップS304のような処理分岐の判断は無く、表示対象として選定された全ての広告eAD1〜eADmについて、ステップS320の処理で順序設定値DAを計算する。
この場合、順序設定値DAは、
DA={(平均入札値)×(newCTR)×1000}+{(商品売上値)×(利益率係数)}
で求める。newCTRは、上述のとおりである。
そしてこの式で求められた各広告eAD1〜eADmについての順序設定値DAをソートして、表示順序を設定する。
【0095】
第2の実施の形態では、このように選定値SA、順序設定値DAの算出に用いるクリックレート値として、n個の広告AD1〜ADnの平均CTRから導かれる表示回数とクリック回数の値を、各広告の表示回数とクリック回数にそれぞれ加算した上で求めたnewCTRを用いるようにしている。
これにより表示回数等の実績値が少ないほど平均値に重きが置かれ、実績値が多くなるに従って徐々に実際の値に重きが置かれる形で選定値や順序設定値が求められるため、各広告について、よりバランスのよい表示選定や順序設定が実現される。
【0096】
なお第1の実施の形態の説明で述べた選定値SA、順序設定値DAの算出式の変形例においても、newCTRを用いることも好適である。即ち、
SA={(入札値)×(newCTR)×(係数)}+{(商品売上値)×(係数)}
DA={(平均入札値)×(newCTR)×(係数)}+{(商品売上値)×(係数)}
としてもよい。また、より簡易的に
SA={(入札値)×(newCTR)}+{(商品売上値}}
DA={(平均入札値)×(newCTR)}+{(商品売上値)}
としてもよい。
【0097】
<6.第3の実施の形態の広告表示制御>
広告サーバ3の処理として第3の実施の形態を説明する。
第3の実施の形態では、表示広告選定部30の機能で抽出されたn個の広告AD1〜ADnのそれぞれの広告キーワードについて、検索キーワードに対する関連度を判定する。そして関連度のランクを用いたソートを行った後に、選定値SAを用いたソートを行って、上位m個の広告eAD1〜eADmを表示させる広告として選定する例である。
【0098】
関連度について
図13で説明する。
図13では検索キーワードと広告キーワードの関連度の類型(マッチングタイプ)を示している。一例として、類型をパーフェクトマッチ(perfect match)、ランダムオーダーマッチ(random order match)、パーシャルマッチ(partial match)、デバイデッドパーフェクトマッチ(divided perfect match)としている。
【0099】
パーフェクトマッチは、検索キーワードと広告キーワードの完全一致をいう。
例えば検索キーワードが“Red_Wine”であった場合において、登録された広告キーワードが順に“Red”“Wine”の2つであった場合である。このような広告は検索キーワードに対する関連度が“大”と評価できる。
ランダムオーダーマッチは、順序は一致しないが、検索キーワードと広告キーワードとしての文字列が一致している場合をいう。
例えば検索キーワードが“Red_Wine”の場合において、登録された広告キーワードが順に“Wine”“Red”であった場合がランダムオーダーマッチである。この場合も、そのような広告キーワードが登録された広告は検索キーワードに対する関連度が“大”と評価できる。
【0100】
パーシャルマッチは、広告キーワードの一部が検索キーワードに一致している場合をいう。
例えば検索キーワードが“Red_Wine”の場合において、登録された広告キーワードが“Red”“Wine”“Italy”であった場合がパーシャルマッチとなる。また登録された広告キーワードが“Italy”“Red”“Wine”の場合もパーシャルマッチである。このような広告は、検索キーワードに対する関連度が“中”と評価できる。
【0101】
デバイデッドパーフェクトマッチは、広告キーワードの全てが検索キーワードの一部として含まれる場合である。
例えば検索キーワードが“Red_Wine_French”の場合において、登録された広告キーワードが“Red”のみであった場合、デバイデッドパーフェクトマッチとなる。また広告キーワードが“Red”“Wine”の場合もデバイデッドパーフェクトマッチとなる。デバイデッドパーフェクトマッチの場合、その広告は検索キーワードに対する関連度が“小”と評価できる。
【0102】
例えばこのような類型を用いてn個の広告AD1〜ADnをソートしたうえで、選定値SAを用いる。即ち関連度をファーストキー、選定値SAをセカンドキーとしてソートする。
図14に例を示す。
図14Aの広告AD1〜AD8をn個の抽出された広告とし、この中から5個(m=5)の広告を広告eAD1〜eADmとして選定する場合で説明する。
図14Aの各広告AD1〜AD8について、マッチングタイプが判定され、関連度の“大”“中”“小”が判定される。例えば広告AD1、AD5はパーシャルマッチ又はランダムオーダーマッチであって関連度“大”と判定されたとする。広告AD2、AD6はパーシャルマッチとして関連度“中”、広告AD3,AD4,AD7,AD8はデバイデッドパーフェクトマッチで関連度“小”と、それぞれ判定されたとする。
なお、各広告AD1〜ADnの括弧内の数値は、選定値SAであるとする。
【0103】
図14Bの例は、関連度“大”“中”の広告を第1グループ、関連度“小”の広告を第2グループとしてソートを行った例である。まず関連度によるソートとして第1グループ、第2グループが分けられ、次に各グループ内で選定値SAによるソートが行われる。これによって図示するように広告AD5,AD6,AD2,AD1,AD3,AD8,AD7,AD4の順番となり、上位m個(5個)の広告が広告eAD1〜eAD5として選定される。
【0104】
図14Cの例は、関連度“大”の広告を第1グループ、関連度“中”の広告を第2グループ、関連度“小”の広告を第3グループとしてソートを行った例である。まず関連度によるソートとして第1グループ、第2グループ、第3グループが分けられ、次に各グループ内で選定値SAによるソートが行われる。これによって図示するように広告AD5,AD1,AD6,AD2,AD3,AD8,AD7,AD4の順番となり、上位m個(5個)の広告が広告eAD1〜eAD5として選定される。
【0105】
このような関連度と選定値SAを用いた広告サーバ3の表示広告選定処理の例を
図15に示す。
図15は
図7のステップS103として実行される処理である。
まずステップS401で広告サーバ3は、抽出されたn個の広告AD1〜ADnについて、選定のために必要な情報を広告テーブル7a,実績テーブル7dから取得する。またステップS402で広告サーバ3は、n個の広告AD1〜ADnを対象として、平均CTR、平均商品売上値を算出する。以上は
図8のステップS201、S202と同様である。
【0106】
次に広告サーバ3はステップS403で、広告AD1〜ADnのそれぞれの関連度を判定し、関連度のレベルによる第1のソートによってグループ化を行う。即ち
図14Bの場合、第1グループ、第2グループに分ける。
図14Cの場合、第1グループ〜第3グループに分ける。
【0107】
その後ステップS404〜S407で、各グループ内で選定値SAを用いた第2のソートを行う。
まずステップS404で変数zを“1”にセットする。
広告サーバ3はステップS405では、変数zで指定される第(z)グループ内で選定値SAによるソートを行う。即ち第(z)グループに分類された広告ADを対象として、
図8のステップS203〜S210の処理、または
図11のステップS203〜S210及びS220の処理を行う。
ステップS406で変数zがグループ数に達していなければステップS407で変数zをインクリメントし、ステップS405の処理を行う。
これにより、各グループ毎に、グループ内での選定値SAによるソートが行われる。
【0108】
全グループについて以上の処理を終えたら、広告サーバ3はステップS408で、第1グループから最終グループまでの順の基での各グループ内ソート結果において、上位m個の広告を表示するm個の広告eAD1〜eADmとして選定する。
このように表示広告選定処理が行われた後、
図7のステップS104として、表示順序設定処理が行われる。
【0109】
以上のように第3の実施の形態では、検索キーワードと広告キーワードの関連度が表示される広告の選定に用いられる。
検索キーワードと広告キーワードの関連度は、広告の閲覧や購入に相関がある。関連度の高い広告ほど、その広告にリンクされた商品ページの閲覧や商品購入の可能性が大きいことが、統計上示されている。
そこで関連度も表示広告選定の要素とすることで、より広告効果の高い広告表示が促進される。
【0110】
また関連度を用いた具体的な処理として、上述の例のように、広告データ抽出処理で抽出したn個の広告AD1〜ADnを、関連度に応じてグループ分けし、各グループ内で選定値SAを用いたソートを行う。これにより関連度を第1のソートキー、選定値を第2のソートキーとして表示広告選定のための順位付けができる。関連度が高いものが優先されることで、登録された広告キーワードを重視した広告選定が実現され、広告主の意思(広告キーワード設定)をなるべく尊重したサーチワード広告が実現される。
【0111】
なお、変形例としてm個の広告選定の第1のソートキーを選定値、第2のソートキーを関連度ランクとすることも考えられる。この場合は、広告キーワードよりも、比較的、入札値や商品売上実績が重視されるものとなる。
【0112】
<7.まとめ及び変形例>
以上のように第1〜第3の実施の形態として示した広告サーバ3の処理により、検索キーワードに応じて表示する広告として、広告収入と商品売上の両方の観点を考慮して、広告主、電子商取引システムの管理者にとって、さらには電子店舗で買い物をする一般ユーザにとって望ましい広告表示を、比較的簡単な演算処理で迅速に実現できる。
即ち広告主にとって入札額と、その広告対象の商品の売上額が考慮され、広告効果が高いものが表示されるため、適正な広告費用での有効な広告が行われる。
広告表示者(電子商取引システム管理者)は、広告収入と商品販売に応じた収入を考慮して有効な広告を表示できる。
ユーザは広告から、単に入札額だけでなく売上的にも優良な商品にアクセスする機会が提供される。
そして広告サーバ3は、比較的簡単で短時間に実行できる処理により、このような有効なサーチワード広告を実現できることになる。即ち表示広告選定処理と、表示順序設定処理を別の処理で行うことによって入札額に応じた単調な表示とならないようにすることができるとともに、各処理で使用する演算要素として、入札値以外にはCTR、商品売上値を取得すればよく、さらにCTR、商品売上値は表示広告選定処理と表示順序設定処理とで共通の演算要素である。従って全体の処理負担はさほど大きくならず、また処理に必要な情報量、情報種類の負担は小さい。
【0113】
なお、本発明は実施の形態の例に限られず、上述した各種の例以外にも多様な変形例が考えられる。
電子商取引システム構成は
図1の例に限られない。広告サーバ3はECサーバ2の一部の機能として実現されても良い。
広告サーバ3のサーチワード広告のための処理は
図7に例に限られない。少なくとも検索キーワードに応じたn個の広告抽出、m個の表示する広告の選定、及び表示順序設定が行われる具体的処理例は多様に考えられる。
また表示広告選定処理、表示順序設定処理の具体例も
図8、
図9、
図11、
図12、
図15の例に限られない。
【0114】
<8.プログラム及び記憶媒体>
以上、本発明の情報処理装置の実施の形態としての広告サーバ3を説明してきたが、実施の形態のプログラムは、広告サーバ3としての処理を情報処理装置(CPU等)に実行させるプログラムである。
【0115】
実施の形態のプログラムは、登録された各々の広告に対して広告キーワードが対応づけられている広告DBを参照し、入力された検索キーワードと広告キーワードの比較に基づいてn個の広告AD1〜ADnを抽出する広告データ抽出処理と、抽出されたn個の広告AD1〜ADnのそれぞれについて、入札値と、CTRと、商品売上値とを少なくとも用いて選定値SAを算出し、選定値SAを用いて検索キーワードによる検索結果画面のm個の広告枠に表示させるm個の広告を選定する表示広告選定処理と、選定されたm個の広告について、CTRと商品売上値と、CTRと商品売上値の反映度合いを設定する重み係数(例えば平均入札値)とを少なくとも用いて順序設定値DAを算出し、順序設定値DAに基づいてm個の広告枠に表示させる順序を設定する表示順序設定処理と、を情報処理装置に実行させるプログラムである。
即ちこのプログラムは、情報処理装置に対して
図8、
図9、
図11、
図12、
図15で説明した処理を実行させるプログラムである。
【0116】
このようなプログラムにより、上述した広告サーバ3としての情報処理装置を実現できる。
そしてこのようなプログラムはコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記録媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記録しておくことができる。あるいはまた、半導体メモリ、メモリカード、光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスクなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。またこのようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
検索キーワードに対応して広告枠に表示する広告を選定し、かつ選定された広告内で表示順序を設定する処理を効率的に実行できるようにする。このためまず検索キーワードと広告について登録されている広告キーワードの比較に基づいてn個の広告を抽出する。そしてn個の広告のそれぞれについて、入札値と、クリックレート値と、商品売上値とを少なくとも用いて選定値を算出し、選定値の上位m個の広告を、m個の広告枠に表示させる広告として選定する。さらにm個の広告について、クリックレート値と、商品売上値と、クリックレート値と商品売上値の反映度合いを設定する重み係数とを少なくとも用いて順序設定値を算出し、順序設定値に基づいてm個の広告枠に表示させる順序を設定する。