【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは上記の目的を達成するために、アリールアミン系材料が薄膜の安定性や耐久性に優れていることに着目して、屈折率が高い特定のアリールアミン化合物を選別し、キャッピング層を構成する材料として用いた有機EL素子を作製し、素子の特性評価を鋭意行った結果、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明によれば、以下の有機EL素子が提供される。
【0017】
1)少なくとも陽極電極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極電極およびキャッピング層をこの順に有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記キャッピング層が下記一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を含む、有機EL素子。
【0018】
【化1】
(1)
【0019】
(式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4は相互に同一でも異なってもよく、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、nは0〜4の整数を表す。ここで、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4の少なくとも1つは、下記構造式(B)で示される1価基であるか、もしくは、該1価基を置換基として有するものとする。)
【0020】
【化2】
(B)
【0021】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4は相互に同一でも異なってもよく、連結基、もしくは水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、または置換もしくは無置換のアリールオキシ基であって、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子、硫黄原子またはN−Ar
8を介して互いに結合して環を形成していてもよい。Xは炭素原子または窒素原子を表し、Yは炭素原子、酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を表し、Ar
5は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、もしくは連結基を表し、Ar
6、Ar
7は相互に同一でも異なってもよく、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、もしくは連結基であって、Yが酸素原子もしくは硫黄原子である場合、YはAr
7を有さないものとし、XおよびYが窒素原子である場合、Ar
5、Ar
6、Ar
7のいずれかひとつが置換基、もしくは連結基であるものとし、Xが窒素原子かつYが炭素原子である場合、XはAr
6を有さないものとする。Ar
8は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。ただし、R
1、R
2、R
3、R
4、Ar
5、Ar
6、Ar
7のいずれか1つのみが連結基であるものとし、Xが窒素原子、かつYが酸素原子もしくは硫黄原子である場合を除く。なお、Ar
6、Ar
6、Ar
7は相互に同一でも異なってもよい。)
【0022】
2)前記構造式(B)が下記構造式(B−1)で示される1価基である、上記1)記載の有機EL素子。
【0023】
【化3】
(B−1)
【0024】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4は相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、または置換もしくは無置換のアリールオキシ基であって、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子、硫黄原子またはN−Ar
8を介して互いに結合して環を形成してもよい。Ar
8は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【0025】
3)前記構造式(B)が下記構造式(B−2)で示される1価基である、上記1)記載の有機EL素子。
【0026】
【化4】
(B−2)
【0027】
(式中、R
1、R
3、R
4は相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、または置換もしくは無置換のアリールオキシ基であって、R
3とR
4は単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子、硫黄原子またはN−Ar
8を介して互いに結合して環を形成してもよい。Ar
6、Ar
8は相互に同一でも異なってもよく、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【0028】
4)前記構造式(B)が下記構造式(B−3)で示される1価基である、上記1)記載の有機EL素子。
【0029】
【化5】
(B−3)
【0030】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4は相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、または置換もしくは無置換のアリールオキシ基であって、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子、硫黄原子またはN−Ar
8を介して互いに結合して環を形成してもよい。Ar
8は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【0031】
5)前記構造式(B)が下記構造式(B−4)で示される1価基である、上記1)記載の有機EL素子。
【0032】
【化6】
(B−4)
【0033】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4は相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、または置換もしくは無置換のアリールオキシ基であって、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子、硫黄原子またはN−Ar
8を介して互いに結合して環を形成してもよい。Ar
8は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【0034】
6)前記構造式(B)が下記構造式(B’)で示される1価基である、上記1)記載の有機EL素子。
【0035】
【化7】
(B’)
【0036】
(式中、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8は相互に同一でも異なってもよく、連結基、もしくは水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、または置換もしくは無置換のアリールオキシ基であって、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子、硫黄原子またはN−Ar
8を介して互いに結合して環を形成していてもよい。Xは炭素原子または窒素原子を表し、Yは炭素原子、酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を表し、Ar
5は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、もしくは連結基を表し、Ar
6、Ar
7は相互に同一でも異なってもよく、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、もしくは連結基であって、Yが酸素原子もしくは硫黄原子である場合、YはAr
7を有さないものとし、XおよびYが窒素原子である場合、Ar
5、Ar
6、Ar
7のいずれかひとつが置換基、もしくは連結基であるものとし、Xが窒素原子かつYが炭素原子である場合、XはAr
6を有さないものとする。Ar
8は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。ただし、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、Ar
5、Ar
6、Ar
7のいずれか1つのみが連結基であるものとし、Xが窒素原子、かつYが酸素原子もしくは硫黄原子である場合を除く。)
【0037】
7)前記一般式(1)において、nが0である、上記1)記載の有機EL素子。
【0038】
8)前記一般式(1)において、nが1である、上記1)記載の有機EL素子。
【0039】
9)前記一般式(1)において、nが2である、上記1)記載の有機EL素子。
【0040】
10)前記一般式(1)において、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4のいずれか2つが、前記構造式(B)で示される1価基であるか、もしくは該1価基を置換基として有するものである、上記1)記載の有機EL素子。
【0041】
11)前記一般式(1)において、Ar
1およびAr
4が、前記構造式(B)で示される1価基であるか、もしくは該1価基を置換基として有するものである、上記1)記載の有機EL素子。
【0042】
12)前記キャッピング層の厚さが、30nm〜120nmの範囲内である、上記1)記載の有機EL素子。
【0043】
13)前記キャッピング層の屈折率が、該キャッピング層を透過する光の波長が450nm〜750nmの範囲内において、1.85以上である、上記1)記載の有機EL素子。
【0044】
14)前記一般式(1)で表される化合物を有機エレクトロルミネッセンス素子のキャッピング層に用いる方法。
【0045】
一般式(1)中のAr
1〜Ar
4で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピリジル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、およびカルボリニル基などをあげることができる。また、Ar
1とAr
2、もしくはAr
3とAr
4は単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子、硫黄原子またはN−Ar
8を介して互いに結合して環を形成していてもよい。ここで、「N−Ar
8」の「N」は窒素原子を表し、「Ar
8」は「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」であって、前記例示した基と同様の基をあげることができ、これらの基が有していてよい置換基も、同様に下記に例示した置換基をあげることができる。
【0046】
一般式(1)中のAr
1〜Ar
4で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基;アリル基などのアルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルキルオキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基などの芳香族複素環基;スチリル基、ナフチルビニル基などのアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基で置換されたジ置換アミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのジアラルキルアミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基などの芳香族複素環基で置換されたジ置換アミノ基;ジアリルアミノ基などのジアルケニルアミノ基;アルキル基、芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基、アラルキル基、芳香族複素環基またはアルケニル基から選択される置換基で置換されたジ置換アミノ基のような基をあげることができ、これらの置換基は、さらに前記例示した置換基が置換していてもよい。
また、これらの置換基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子、硫黄原子またはN−Ar
8を介して互いに結合して環を形成していてもよい。ここで、「N−Ar
8」は、上記一般式(1)中のAr
1〜Ar
4で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」に関して規定した「N−Ar
8」と同じものを意味する。
【0047】
構造式(B)、(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B’)中のR
1〜R
8で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基」または「置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基」または「炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」としては、具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基および2−ブテニル基などをあげることができ、これらの基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子、硫黄原子またはN−Ar
8を介して互いに結合して環を形成していてもよい。ここで、「N−Ar
8」は、上記一般式(1)中のAr
1〜Ar
4で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」に関して規定した「N−Ar
8」と同じものを意味する。
【0048】
構造式(B)、(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B’)中のR
1〜R
8で表される、「置換基を有する炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有する炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基」または「置換基を有する炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「置換基」としては、上記一般式(1)中のAr
1〜Ar
4で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0049】
構造式(B)、(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B’)中のR
1〜R
8で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」または「置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基」における「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」または「炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基」としては、具体的に、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基および2−アダマンチルオキシ基などをあげることができ、これらの基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子、硫黄原子またはN−Ar
8を介して互いに結合して環を形成していてもよい。ここで、「N−Ar
8」は、上記一般式(1)中のAr
1〜Ar
4で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」に関して規定した「N−Ar
8」と同じものを意味する。
【0050】
構造式(B)、(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B’)中のR
1〜R
8で表される、「置換基を有する炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」または「置換基を有する炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基」における「置換基」としては、上記一般式(1)中のAr
1〜Ar
4で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0051】
構造式(B)、(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B’)中のR
1〜R
8で表される、「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」としては、上記一般式(1)中のAr
1〜Ar
4で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0052】
構造式(B)、(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B’)中のR
1〜R
8で表される、「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、上記一般式(1)中のAr
1〜Ar
4で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0053】
構造式(B)、(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B’)中のR
1〜R
8で表される、「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」における「アリールオキシ基」としては、具体的に、フェニルオキシ基、トリルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ターフェニリルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基、フルオレニルオキシ基、インデニルオキシ基、ピレニルオキシ基、ペリレニルオキシ基などをあげることができ、これらの基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子、硫黄原子またはN−Ar
8を介して互いに結合して環を形成していてもよい。ここで、「N−Ar
8」は、上記一般式(1)中のAr
1〜Ar
4で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」に関して規定した「N−Ar
8」と同じものを意味する。
【0054】
構造式(B)、(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)、(B’)中のR
1〜R
8で表される、「置換アリールオキシ基」における「置換基」としては、上記一般式(1)中のAr
1〜Ar
4で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0055】
構造式(B)、(B−2)、(B’)中のAr
5、Ar
6、Ar
7で表される、「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」としては、上記一般式(1)中のAr
1〜Ar
4で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0056】
構造式(B)、(B−2)、(B’)中のAr
5、Ar
6、Ar
7で表される、「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、上記一般式(1)中のAr
1〜Ar
4で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0057】
一般式(1)において、nは0〜4の整数を表し、nは0、1または2であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。
一般式(1)において、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4の少なくとも1つが前記構造式(B)である態様か、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4の少なくとも1つが前記構造式(B)をその置換基として有する態様、もしくは、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4の少なくとも1つが前記構造式(B)であり、かつAr
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4の少なくとも1つが前記構造式(B)をその置換基として有する態様であるものとし、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4のいずれか2つが前記構造式(B)である態様か、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4のいずれか2つが前記構造式(B)をその置換基として有する態様、もしくは、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4のいずれか1つが前記構造式(B)であり、かつ前記構造式(B)ではないAr
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4のいずれか1つが前記構造式(B)をその置換基として有する態様であることが好ましく、Ar
1およびAr
4が前記構造式(B)である態様か、Ar
1およびAr
4が前記構造式(B)をその置換基として有する態様、もしくは、Ar
1が前記構造式(B)であり、Ar
4が前記構造式(B)をその置換基として有する態様であることがより好ましく、Ar
1およびAr
4が前記構造式(B−1)、(B−3)または(B−4)を置換基として有する態様、もしくは、前記構造式(B−2)である態様がより好ましい。
一般式(1)中のAr
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4としては、芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基、前記構造式(B)、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基、前記構造式(B)、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基がより好ましく、フェニル基、ビフェニリル基、フルオレニル基、前記構造式(B)、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基が特に好ましい。
構造式(B)、(B−2)、(B’)中のAr
5、Ar
6、Ar
7としては、芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基がより好ましい。
一般式(1)において、R
1、R
2、R
3、R
4、Ar
5、Ar
6、Ar
7のいずれか1つのみが連結基であるものとする。
構造式(B)、(B’)において、Xは炭素原子または窒素原子を表し、Yは炭素原子、酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を表す。ここで、Yが酸素原子、もしくは硫黄原子である場合、YはAr
7の連結基、もしくは置換基を有さない(Ar
7が存在しない)ものとし、XおよびYが窒素原子である場合、Ar
5、Ar
6、Ar
7のいずれかひとつが連結基、もしくは置換基である(Ar
5、Ar
6、Ar
7のいずれかふたつが存在しない)ものとし、Xが窒素原子かつYが炭素原子である場合、Ar
5、Ar
6のいずれかが連結基、もしくは置換基である(Ar
5、Ar
6のいずれかが存在しない)ものとする。
構造式(B)、(B’)において、Xが窒素原子である場合、Yは窒素原子であることが好ましく、この場合において、Ar
5、Ar
6もしくはAr
7の連結基は、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4の炭素原子と結合する(構造式(B)もしくは(B’)が、Ar
1、Ar
2、Ar
3もしくはAr
4の置換基となる)のが、化合物の安定性の観点から好ましい。
構造式(B)、(B’)において、Xが炭素原子である場合、Yは炭素原子、酸素原子、または硫黄原子であることが好ましく、酸素原子、または硫黄原子であることがより好ましい。
構造式(B)、(B’)において、Xが窒素原子、かつYが酸素原子もしくは硫黄原子である場合は本発明から除かれる。
【0058】
本発明の有機EL素子に好適に用いられる、前記一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は、有機EL素子の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子阻止層またはキャッピング層の構成材料として使用することができる。
【0059】
また、本発明の有機EL素子において、前記キャッピング層の厚さは、30nm〜120nmの範囲であることが好ましく、40nm〜80nmの範囲であることがより好ましい。
【0060】
また、本発明の有機EL素子において、前記キャッピング層を透過する光の波長が450nm〜750nmの範囲内における、該キャッピング層の屈折率が1.85以上であることが好ましく、1.90以上であることがより好ましい。
【0061】
また、本発明の有機EL素子において、前記キャッピング層を2種以上の異なる構成材料を積層することによって作製してもよい。