(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
消色性着色剤により画像形成されたシート上の画像を消色する消色処理部と、前記消色処理部にシートを搬送する第1のシート搬送部と、前記消色処理部にて消色されたシートを、シート排出口へ向けて搬送する第2のシート搬送部と、前記第1のシート搬送部よりも装置外壁に近接配置される反転搬送部と、前記反転搬送部の装置外壁側に設けられる供給用手差しトレイと、前記反転搬送部の装置外壁側でありかつ前記反転搬送部におけるシート搬送方向における前記供給用手差しトレイとは異なる位置に設けられる排出用手差しトレイと、を備える消色装置によるシート搬送方法であって、
前記供給用手差しトレイに載置されたシートを、前記第1のシート搬送部に供給して前記消色処理部にて消色し、
該消色されたシートを、前記反転搬送部により前記第2のシート搬送部に一時的に搬入してスイッチバック搬送し、前記第1のシート搬送部及び前記消色処理部に再度搬送した後に前記排出用手差しトレイに排出することで、前記反転搬送部を介して前記消色処理部で消色されたシートを排出するシート搬送方法。
消色性着色剤により画像形成されたシート上の画像を消色する消色処理部と、前記消色処理部にシートを搬送する第1のシート搬送部と、前記消色処理部にて消色されたシートを、シート排出口へ向けて搬送する第2のシート搬送部と、前記第1のシート搬送部よりも装置外壁に近接配置される反転搬送部と、前記反転搬送部の装置外壁側に設けられる供給用手差しトレイと、前記反転搬送部の装置外壁側でありかつ前記反転搬送部におけるシート搬送方向における前記供給用手差しトレイとは異なる位置に設けられる排出用手差しトレイと、を備える消色装置を制御するコンピュータに、
前記供給用手差しトレイに載置されたシートを前記第1のシート搬送部に供給し、前記消色処理部にて消色する手順、
該消色されたシートを、前記反転搬送部により前記第2のシート搬送部に一時的に搬入してスイッチバック搬送する手順、
該スイッチバック搬送されたシートを前記第1のシート搬送部及び前記消色処理部に再度搬送した後に前記排出用手差しトレイに排出する手順、
を実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、消色装置Eの外観を示す正面図である。
消色装置Eは、いわゆる消色性トナーや消色性インク等の「消色性着色剤」により画像が形成されたシートに対して、消色性着色剤の色を消す「消色処理」を施す。
消色装置Eは、制御部8、 操作入力部805、およびディスプレイ806を備える。
【0011】
制御部8は、消色装置E全体を制御する。制御部8は、プロセッサ801、ASIC802(Application Specific Integrated Circuit)、MEMORY803、およびHDD804(Hard Disk Drive)を備える。プロセッサ801は、MEMORY803またはHDD804に格納されているプログラムを実行することにより、消色装置Eにおける各種処理を行う。プロセッサ801は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)であってもよい。ASIC802は、プロセッサ801が行う処理の一部を行ってもよい。HDD804は、フラッシュメモリであってもよい。MEMORY803は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)、およびフラッシュメモリであってもよい。
【0012】
操作入力部805は、キーボード(Keyboard)、マウス(Mouse)、タッチパネル(touch panel)、タッチパッド(touchpad)、ペンタブレット(graphics tablet)、および専用ボタンであってもよい。ディスプレイ806は、電子ペーパ、LCD(Liquid crystal display)、EL(Electronic Luminescence)、PDP(Plasma Display Panel)、CRT(Cathode Ray Tube)であってもよい。操作入力部805とディスプレイ806とは、タッチパネルディスプレイとして一体となっていてもよい。
【0013】
図2は、消色装置Eを示す縦断面図である。
消色装置Eは、カセット501、502、供給用手差しトレイ503,504、排出カセット505、506、排出用手差しトレイ507、リジェクトボックス508、重送センサ509、厚さセンサ510(厚み検出部)、消色前読取部511、消色後読取部512(画像読取部)、消色処理部513、冷却ファン514、供給ローラR1〜R4、排出ローラR5〜R8、およびシート搬送部2を備える。これら各要素は、手差しトレイ503、504、507を除いて装置外壁51内にある。
【0014】
カセット501、502は、消色処理の対象となる画像形成済のシートを積載収容する。カセット501、502に積載収容されるシートは、ユーザが頻繁に使用する特定のサイズとなっている。本実施形態では、カセット501、502には、A4サイズおよびLT(Letter)サイズの少なくとも一方のサイズのシートが積載収容される。
排出カセット505、506は、消色装置Eにて消色処理を施されたシートを収容する。
リジェクトボックス508は、再利用不可能なシートを収容する。
供給ローラR1〜R4は、カセット501、502および供給用手差しトレイ503,504からシート搬送部2へシートを供給する。
排出ローラR5〜R8は、シート搬送部2からシートを排出カセット505、506、排出用手差しトレイ507、およびリジェクトボックス508へ排出する。
【0015】
シート搬送部2は、カセット501、502および供給用手差しトレイ503,504から供給されたシートを、規定されたシート搬送方向に沿って、排出カセット505、506、排出用手差しトレイ507、およびリジェクトボックス508に搬送する。シート搬送部2は、シートをシート搬送方向に導く搬送パスPa〜Pkと、搬送パスPa〜Pkに沿ってシートを搬送する搬送ローラR9〜R17と、搬送パスPa〜Pkの分岐点に設けられ、シートを各分岐に振り分けるフラッパFとを備える。
シート搬送部2は、第1のシート搬送部21、第2のシート搬送部22、および反転搬送部23を備える。
【0016】
第1のシート搬送部21は、カセット501、502、供給用手差しトレイ504、および供給ローラR1、R2,R4によって供給されるシートを消色処理部513に搬送する。第1のシート搬送部21は、搬送パスPc、Pdおよび搬送ローラR9〜R12を備える。第1のシート供給部は、第1のシート搬送部21にシートを供給する。第1のシート供給部は、カセット501、502、および供給ローラR1、R2を備える。第2のシート供給部は、第1のシート搬送部21によるシート搬送路における消色前読取部511よりも下流側かつ消色処理部513よりも上流側に位置し、第1のシート搬送部21にシートを供給する。第2のシート供給部は、供給用手差しトレイ504および供給ローラR4を備える。
【0017】
供給用手差しトレイ504は、第1のシート搬送部21によるシート搬送路における消色前読取部511よりも下流側かつ消色処理部513よりも上流側に位置する。供給用手差しトレイ504には、ユーザが頻繁に使用する特定のサイズ以外のサイズのシート、例えばユーザが頻繁に使用する特定のサイズ(A4サイズやLTサイズ)よりも幅が広いサイズのシートや、該特定のサイズよりも小さいサイズのシート等が積載される。本実施形態では、供給用手差しトレイ504には、例えばA3サイズのシートや、はがきサイズであるA6サイズ以下のサイズのシート、および長尺の不定形のシートが積載される。供給用手差しトレイ504の設置位置は、供給用手差しトレイ504と消色処理部513とを結ぶ搬送路がほぼ直線となる位置である。
【0018】
第1のシート搬送部21におけるシート搬送経路は以下の特徴を有する。
(a)第1のシート供給部から消色処理部513までのシート搬送経路よりも、第2のシート供給部から消色処理部513までのシート搬送経路の方が変曲点の数が少ない。
(b)第1のシート供給部から消色処理部513までのシート搬送経路よりも、第2のシート供給部から消色処理部513までのシート搬送経路の方が曲がり角度の総合計が小さい。
(c)第1のシート供給部から消色処理部513までのシート搬送経路よりも、第2のシート供給部から消色処理部513までのシート搬送経路の方が、搬送ローラの配置ピッチの平均が短い。
(d)第1のシート供給部から消色処理部513までのシート搬送経路(A4サイズやLTサイズのシートを供給する経路)よりも、第2のシート供給部から消色処理部513までのシート搬送経路(幅の広いA3サイズのシートを供給する経路)の方が、シート搬送方向と直交する
図2中紙面奥行き方向における幅が広い。
【0019】
第2のシート搬送部22は、消色処理部513にて消色されたシートを排出カセット505、506(シート排出口)へ向けて搬送する。第2のシート搬送部22は、搬送パスPe、Pf、および搬送ローラR13、R14を備える。
反転搬送部23は、装置外壁51に近接配置される。反転搬送部23は、消色処理部513にて消色された後に第2のシート搬送部22に一時的に搬入されて第2のシート搬送部22にスイッチバック搬送されるシートを、第1のシート搬送部21に再度搬送する。これにより、消色前読取部511および消色処理部513による処理済みの面Saとは反対側の第2面Sbを消色前読取部511および消色処理部513に処理させることが可能となる。反転搬送部23は、搬送パスPgおよび搬送ローラR17を備える。反転搬送部23は、搬送ガイド231を有する。搬送ガイド231は、少なくとも冷却ファン514に対向する位置に通風孔232を備える。搬送ガイド231は、反転搬送部23に対向し、通風孔232と連通する排出孔233を備える。
【0020】
供給用手差しトレイ503は、反転搬送部23の装置外壁51側に設けられ、反転搬送部23に供給ローラR3によってシートを供給する。供給用手差しトレイ503に積載されるシートのサイズは、ユーザが頻繁に使用する特定のサイズとなっている。本実施形態では、供給用手差しトレイ503には、A4サイズおよびLTサイズの少なくとも一方のサイズのシートが積載される。
排出用手差しトレイ507は、反転搬送部23の装置外壁51側でありかつ反転搬送部23におけるシート搬送方向における供給用手差しトレイ503とは異なる位置に設けられる。排出用手差しトレイ507は、反転搬送部23にて搬送されるシートを、排出ローラR5によって排出する。本実施形態では、排出用手差しトレイ507は、第2のシート搬送部22からスイッチバック搬送されるシートが反転搬送部23に搬入される位置近傍に設けられている。また、反転搬送部23は、反転搬送部23におけるシート搬送方向において、供給用手差しトレイ503よりも上流側に位置する。
【0021】
図3は、供給用手差しトレイ503および排出用手差しトレイ507を示す斜視図である。
供給用手差しトレイ503および排出用手差しトレイ507は、装置外壁51に対して展開可能、かつ装置外壁51にある開口52内に収容可能に支持されている。各トレイ503、507は、制御部8による制御の下、上下に駆動する。開口52の壁面において各トレイ503、507の側方に当たる各部分には、上下方向に延びるレール53(
図3では1つのみ図示)がある。レール53上には、レール53上を上下に移動する支持移動体54がある。支持移動体54は、各トレイ503、507を装置外壁51に対して展開可能に支持する。また、支持移動体54は、制御部8による制御の下、レール53上を上下に移動し、各トレイ503、507を上下に駆動する。
【0022】
図2に戻って、重送センサ509は、カセット501、502から供給されるシートの重送を検出し、制御部8に検出信号を出力する。
厚さセンサ510は、第1のシート搬送部21によるシート搬送方向における消色前読取部511よりも上流側にある。厚さセンサ510は、カセット501、502から消色処理部513へ向けて第1のシート搬送部21により搬送されるシートの厚さを検出する。厚さセンサ510は、レバー式であり、回転軸510rを支点として回転可能なレバー部材510Lを備える。レバー部材510Lは、回転軸510rを支点として
図2中反時計回りにバネ等の弾性部材により付勢される。厚さセンサ510をシートが通過すると、レバー部材510Lがシートの厚さに応じて
図2中時計回りに回転する。厚さセンサ510は、レバー部材510Lの回転角度を光学式センサ等によって検出し、検出信号を制御部8に出力する。
【0023】
消色前読取部511は、消色処理部513よりもシート搬送方向上流側に配置される。消色前読取部511は、光学式のラインセンサである。消色前読取部511には、消色処理前のシートが第1のシート搬送部21により搬送される。消色前読取部511は、シートの第1面Saにある画像を読み取る。消色前読取部511は、シートに形成されている画像の印字状態(濃度、色の輝度、汚れ、しみ、しわを含む)を検出する。
【0024】
消色処理部513は、シートの例えば第1面Saにある消色性着色剤による画像を加熱して消色する。消色処理部513は、ローラa1、a2、およびローラa1、a2に巻架されるベルトa3を備える。ローラa1、a2の少なくとも一方は、制御部8に制御され、回転駆動する。ローラa1、a2の少なくとも一方は、制御部8に制御されるヒータに加熱される。消色処理部513は、ベルトa3や、ベルトa3に対向するローラにより、シートを搬送しながら加熱し、消色性着色剤によるシート上の画像を消色する。
【0025】
冷却ファン514は、消色処理部513の背面側かつ側方にある。冷却ファン514は、消色処理部513に冷却風を送り、消色処理部513を冷却する。同時に、冷却ファン514は、通風孔232および排出孔233を介して、反転搬送部23にて搬送される消色処理後のシートに冷却風を供給する。
消色後読取部512は、消色処理部513よりもシート搬送方向下流側に配置される。消色後読取部512は、光学式のラインセンサである。消色後読取部512には、消色処理後のシートが第2のシート搬送部22により搬送される。消色後読取部512は、消色前読取部511および消色処理部513にて処理済みのシートの第1面Sa、および未処理の第2面Sbにある両画像を読み取る。消色前読取部511には、カセット501、502からA4サイズのシートが供給される。消色後読取部512には、A4サイズのシートに加え、供給用手差しトレイ504からA3サイズのシートも供給される。そのため、消色後読取部512は、消色前読取部511よりも、シート搬送方向と直交する
図2中紙面奥行き方向における幅が広い。
【0026】
図4は、制御部8の構成を示す図である。
制御部8は、プロセッサ801がメモリ803内のプログラムを実行することにより実現する機能部として、消色可否判定部81、再利用可否判定部82、種別判定部83、判定基準設定部84、消色成否判定部85、消色要否判定部86、および搬送制御部87を備える。
以下、消色装置Eによる消色処理を
図5のフローチャートを参照して説明する。該消色処理は、プロセッサ801がメモリ803内のプログラムを取得し実行することにより実現する。
まず、ユーザが頻繁に使用するA4サイズ等のシートに対する消色処理を説明する。
【0027】
搬送制御部87は、供給ローラR1〜R3を制御し、カセット505、506および供給用手差しトレイ503からA4サイズのシートを第1のシート搬送部21に供給する(ACT1)。
Act1の後、搬送制御部87は、重送センサ509が重送を検出する場合(ACT2:Yes)、
図6の太線矢印に示すように、重送が検出されたシートを、搬送ローラR9、10および排出ローラR8により、第1のシート搬送部21から、あるいは供給用手差しトレイ503から、搬送パスPa,Pb、Pjを通じてリジェクトボックス508に排出する(ACT3)。
【0028】
Act1の後、消色可否判定部81は、重送センサ509が重送を検出しない場合(ACT2:NO)、厚さセンサ510による検出信号に基づいて、画像読み取りの対象となったシートを消色処理部513にて消色可能か否かを判定する(Act4)。具体的に、消色可否判定部81は、シートの厚さが閾値以下か否かを判定する。消色可否判定部81がシートの厚さが閾値を超えると判定する場合(ACT4:NO)、搬送制御部87は、
図7に示すように、シートを第1のシート搬送部21から搬送パスPi、Ph、Pjを通してリジェクトボックス508に排出する(ACT3)。
【0029】
消色可否判定部81がシートの厚さが閾値以下と判定する場合(ACT4:Yes)、搬送制御部87は、第1のシート搬送部21により消色前読取部511にシートを搬送し、消色前読取部511により、シートの第1面Saにある画像を読み取る(ACT5)。
ACT5の後、再利用可否判定部82は、読み取られた画像に基づいてシートを再利用可能か否かを判定する(ACT6)。具体的に、再利用可否判定部82は、読み取った画像に基づいてシートの汚れ、しみ、しわが閾値を超えるか否かを判定する。再利用可否判定部82がシートの汚れ等が閾値を超えると判定する場合(ACT6:NO)、搬送制御部87は、
図8に示すように、シートを第1のシート搬送部21から搬送パスPk、Pjを介して、リジェクトボックス508に排出する(ACT3)。
【0030】
再利用可否判定部82がシートの汚れ等は閾値以下と判定する場合(ACT6:YES)、
種別判定部83は、読み取った画像に基づいて画像の種別を判別する。本実施形態では、種別判定部83は、読み取った画像に基づいて該画像が機密文書か通常文書かを判別する(Act7)。具体的に、メモリ803には機密文書を表すconfidential等の文言やマークが予め格納されている。種別判定部83は、メモリ803から機密文書を表す文言やマークを取得し、画像内に該文言やマークがある場合(
図9)、種別判定部83は、シートの画像は機密文書であると判別し(ACT7:YES)、画像内に該文言やマークが無い場合、画像は通常文書であると判別する(ACT7:NO)。
【0031】
ところでメモリ803には、
図10に示すように、消色成否判定部85における消色処理の成否の判定に影響を及ぼす設定値や閾値を含む通常文書用判定基準88と、機密文書用判定基準89とが予め格納されている。消色成否判定部85は、判定基準88、89に基づいて、消色処理後のシートの画像であって消色後読取部512にて読み取られた画像から、消色処理の成否を判定する。判定基準88、89は、消色後読取部512にて読み取られた画像から消色処理の成否を判定する際に基準となる印字率、印字濃度、および色の輝度の閾値を含む。判定基準88、89は、消色処理の成否を判定する際に使用する画像内の塊のドット数を含む。判定基準88、89は、消色後読取部512にてシート上の画像を読み取る際の第2のシート搬送部22によるシート搬送速度、および消色後読取部512にてシート上の画像を読み取る際の解像度を含む。
【0032】
機密文書用判定基準89は、通常文書用判定基準88よりも、消色処理が不十分と判定されやすい厳しい基準になっている。例えば、機密文書用判定基準89は、印字率、印字濃度、および色の輝度の閾値が、通常文書用判定基準88よりも低くなっている。機密文書用判定基準89は、消色処理の成否を判定する際に使用する画像内の塊のドット数が通常文書用判定基準88のドット数よりも低くなっている。機密文書用判定基準89は、消色後読取部512にてシート上の画像を読み取る際の第2のシート搬送部22によるシート搬送速度が、通常文書用判定基準88のシート搬送速度よりも低くなっている。機密文書用判定基準89は、消色後読取部512にてシート上の画像を読み取る際の解像度が、通常文書用判定基準88の解像度よりも高くなっている。
【0033】
種別判定部83が画像の種別を通常文書と判別する場合(ACT7:NO)、判定基準設定部84は、メモリ803から通常文書用判定基準88を取得し、通常文書用判定基準88に設定する(Act8)。具体的に、判定基準設定部84は、消色処理の成否を判定する際に使用する画像内の塊のドット数を、通常文書用判定基準88に含まれるドット数に設定する。判定基準設定部84は、消色後読取部512にてシート上の画像を読み取る際の第2のシート搬送部22によるシート搬送速度を、通常文書用判定基準88に含まれるシート搬送速度に設定する。消色後読取部512にてシート上の画像を読み取る際の解像度を、通常文書用判定基準88に含まれる解像度に設定する。判定基準設定部84は、消色処理の成否を判定する際に使用する印字率、印字濃度、および色の輝度の閾値を、通常文書用判定基準88に含まれる各閾値に設定する。
【0034】
種別判定部83が画像の種別を機密文書と判別する場合(ACT7:YES)、判定基準設定部84は、消色処理が不十分と判定されやすい厳しい機密文書用判定基準89をメモリ803から取得し、機密文書用判定基準89に設定する(Act9)。具体的に、判定基準設定部84は、消色処理の成否を判定する際に使用する画像内の塊のドット数を、機密文書用判定基準89に含まれる通常文書用判定基準88よりも低いドット数に設定する。判定基準設定部84は、消色後読取部512にてシート上の画像を読み取る際の第2のシート搬送部22によるシート搬送速度を、機密文書用判定基準89に含まれる低いシート搬送速度に設定する。判定基準設定部84は、消色後読取部512にてシート上の画像を読み取る際の解像度を、機密文書用判定基準89に含まれる高い解像度に設定する。判定基準設定部84は、消色処理の成否を判定する際に使用する印字率、印字濃度、および色の輝度の閾値を、機密文書用判定基準89に含まれる低い各閾値に設定する。
【0035】
これにより、種別判定部83に機密文書と判別された場合において、消色残りがある場合、種別判定部83に通常文書と判別された場合よりも、消色処理が不十分と判定されやすくなる。
Act8、9の後、搬送制御部87は、第1のシート搬送部21によりシートを消色処理部513に搬送し、消色処理部513により、シートの第1面Saに対してシートを加熱する消色処理を行う(Act10)。
搬送制御部87は、消色処理を施したシートを第2の搬送部22により、判定基準88,89に含まれる搬送速度で消色後読取部512に搬送する。搬送制御部87は、判定基準88,89に含まれる解像度に基づいて、消色後読取部512によりシートの両面Sa,Sbの画像を読み取る(ACT11)。
【0036】
消色成否判定部85は、消色処理済みのシートの第1面Saの画像であって消色後読取部512により読み取られた画像に基づいて、消色処理部513における消色処理の成否を判定する(ACT12)。消色成否判定部85は、画像の印字率、印字濃度、および色の輝度が、判定基準88,89に含まれる各閾値を超える場合、消色処理が不十分と判定する(ACT12:YES)。消色成否判定部85は、画像の印字率、印字濃度、および色の輝度が、判定基準88,89に含まれる各閾値以下の場合、消色処理は十分と判定する(ACT12:NO)。消色成否判定部85が消色処理の成否を判定する際に使用する画像内の塊のドット数は、判定基準88、89に含まれるドット数である。
【0037】
機密文書用判定基準89に含まれる搬送速度や解像度、各閾値、およびドット数の方が、通常文書用判定基準88に含まれる各値よりも、消色処理が不十分と判定されやすい値になっている。消色成否判定部85は、そのような各判定基準88、89に基づいて消色処理の成否を判定するので、精度よく消色処理の成否を判定できる。
消色処理が不十分と消色成否判定部85が判定する場合(ACT12:YES)、搬送制御部87は、
図11に示すように、第2のシート搬送部22にシートをスイッチバック搬送させ、シートを第2のシート搬送部22から反転搬送部23に搬送する。搬送制御部87は、シートを反転搬送部23から搬送パスPjを介してリジェクトボックス508に排出する(ACT3)。
【0038】
消色処理が十分と消色成否判定部85が判定する場合(ACT12:NO)、消色要否判定部86は、消色処理が未処理のシートの第2面Sbの画像であって消色後読取部512により読み取られた画像に基づいて、第2面Sbに対する消色処理の要否を判定する(ACT13)。消色要否判定部86は、第2面Sbの画像の印字率や印字濃度、および色の輝度が閾値を超える場合、第2面Sbに対する消色処理を要すると判定する(ACT13:YES)。消色要否判定部86は、第2面Sbの画像の印字率や印字濃度、および色の輝度が閾値以下の場合、第2面Sbに対する消色処理は不要と判定する(ACT13:NO)。
【0039】
第2面Sbに対する消色処理が不要と消色要否判定部86が判定する場合(ACT13:NO)、搬送制御部87は、
図12に示すように、第2の搬送部22にシートを反転搬送部23へスイッチバック搬送させた後、反転搬送部23および排出ローラR5によりシートを排出用手差しトレイ507に排出する(Act14)。なお、消色処理の開始前に、ユーザは操作入力部805により、消色処理済みのシートをカセット505,506に排出するように設定することも可能である。その場合、搬送制御部87は、Act14にて、
図13に示すように、第2の搬送部22および排出ローラR6,7によりシートをカセット505,506に排出する。
【0040】
第2面Sbに対する消色処理を要すると消色要否判定部86が判定する場合(ACT13:YES)、
図14に示すように、搬送制御部87は、消色処理部513にて第1面Saが消色されたシートを、第2のシート搬送部22にて反転搬送部23へスイッチバック搬送させる。搬送制御部87は、シートを反転搬送部23に第1のシート搬送部21へ再度搬送させる(Act15)。これにより、第2面Saが消色前読取部511および消色処理部513による処理の対象となり、Act5に戻る。
ユーザがあまり頻繁には使用しないA3サイズのシートや、はがきサイズであるA6サイズ以下のサイズのシート、および長尺サイズのシートに対して消色処理を行う場合、搬送制御部87は、供給ローラR4を制御し、供給用手差しトレイ504からA3サイズのシートを第1のシート搬送部21に供給する。同時に判定基準設定部84が、消色処理が不十分と判定されやすい厳しい機密文書用判定基準89をメモリ803から取得し、消色処理の成否に係る各値を機密文書用判定基準89に含まれる各値に設定する(ACT16)。ACT16の後、消色処理部513が第1面Saに対し消色処理を行う(Act10)。
【0041】
本実施形態の消色装置Eは、シートの画像が機密文書等の特定の文書であるか否かを判定し、シートの画像が特定の文書である場合、消色処理後の消色成否判定に係る判定基準を厳しく設定する。そのため、本実施形態では、特定の文書において消色残りがあるか否かを精度良く判定できる。よって、本実施形態では、消色残りがある場合にシートを廃棄することで、再利用不可能なシートが再利用可能なシートとして発生することを防止できる。
本実施形態では、シートの画像が機密文書である場合、通常の文書よりも厳しい判定基準を設定し、消色処理が不十分と判断された場合には機密文書を廃棄する。そのため、本実施形態はセキュリティを強化できる。
【0042】
本実施形態によれば、以下の構成の消色装置を提供できる。
(1) 消色性着色剤により画像形成されたシート上の画像を消色する消色処理部と、
前記消色処理部にシートを搬送する第1のシート搬送部と、
前記第1のシート搬送部により搬送される消色処理前のシート上の画像を読み取る消色前読取部と、
前記消色前読取部における読み取り結果に基づいて、前記消色処理部に搬送されるシート上の画像の種別を判別する種別判別部と、
前記消色処理部にて消色されたシートを搬送する第2のシート搬送部と、
前記第2のシート搬送部により搬送される消色処理後のシート上の画像を読み取る消色後読取部と、
前記消色後読取部における読み取り結果に基づいて、前記消色処理部における消色処理の成否を判定する消色成否判定部と、
前記種別識別部にて判別された画像の種別に基づいて、前記消色成否判定部における判定基準を設定する判定基準設定部と
を備える消色装置。
【0043】
(2) (1)の装置において、
前記消色成否判定部は、前記消色後読取部にて読み取られる画像の濃度に基づいて、前記消色処理部における消色処理の成否を判定する消色装置。
(3) (1)の装置において、
前記判定基準設定部は、前記消色処理部に搬送されるシート上の画像の種別が、前記種別判別部にて機密性の高い所定の種別であると判別される場合に、前記消色成否判定部における判定基準を、前記種別判別部にて機密性の高い所定の種別でないと判別される場合よりも厳しい判定基準に設定する消色装置。
【0044】
(4) (3)の装置において、
前記判定基準設定部は、前記判定基準として消色処理後のシート上の画像の濃度を含み、前記消色処理部に搬送されるシート上の画像の種別が、前記種別判別部にて機密性の高い所定の種別であると判別される場合に、前記判定基準としての前記濃度を、前記種別判別部にて機密性の高い所定の種別でないと判別される場合よりも低くする設定を行う消色装置。
(5) (3)の装置において、
前記判定基準設定部は、前記判定基準として消色処理後のシート上の画像のドットの大きさを含み、前記消色処理部に搬送されるシート上の画像の種別が、前記種別判別部にて機密性の高い所定の種別であると判別される場合に、前記判定基準としての前記ドットの大きさを、前記種別判別部にて機密性の高い所定の種別でないと判別される場合よりも小さくする設定を行う消色装置。
【0045】
(6) (3)の装置において、
前記判定基準設定部は、前記消色処理部に搬送されるシート上の画像の種別が、前記種別判別部にて機密性の高い所定の種別であると判別される場合に、前記消色後読取部にてシート上の画像を読み取る際の前記第2のシート搬送部によるシート搬送速度を、前記種別判別部にて機密性の高い所定の種別でないと判別される場合よりも低く設定する消色装置。
(7) (3)の装置において、
前記判定基準設定部は、前記消色処理部に搬送されるシート上の画像の種別が、前記種別判別部にて機密性の高い所定の種別であると判別される場合に、前記消色後読取部にてシート上の画像を読み取る際の解像度を、前記種別判別部にて機密性の高い所定の種別でないと判別される場合よりも高く設定する消色装置。
【0046】
(種々のサイズのシートに対する消色技術)
従来、消色性着色剤により画像が印刷されたシートに対し、シートを加熱する消色処理を施して画像を消色し、シートを再利用可能とする消色装置が知られる。ステイプル処理済みのシートは、消色処理を施しても再利用が難しい。そのため、消色装置では、消色処理前にシートの厚みを検出し、シートがステイプル処理済みであるか否かを検出する場合がある。
ところで、消色装置が消色処理するシートの大半は特定のサイズのシートである。ユーザは、他のサイズのシートに消色装置により消色処理を施すことはまれであるが、他の様々なサイズのシートにも消色処理を施すことができる消色装置を要望する。
しかしながら、どのサイズのシートに対しても、消色処理前にシートの厚みを検出し、シートがステイプル処理済みであるか否かを検出するように装置を構成すると、装置の構成が複雑になるとともに、装置の大型化、コスト増を招くという問題がある。
【0047】
本実施形態では、ユーザが頻繁に使用するA4サイズ等のシートに対しては、消色処理前に厚みを検出し、消色可能か否かを判定するが、ユーザがまれに使用するA3サイズのシートや、はがきサイズであるA6サイズ以下のサイズのシート、および長尺サイズのシートに対しては、消色可否判断を行うことなく消色処理を行う。そのため、消色装置Eの構成を簡素にできるとともに、消色装置Eの小型化、およびコストの低減を図ることができる。
【0048】
(第1参考例)
まれに使用されるA3サイズのシートや、はがきサイズであるA6サイズ以下のサイズのシート、および長尺サイズのシートに対し、消色可否判断を行うことなく消色処理を行う第1参考例を以下説明する。前記実施形態と同一機能部位には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
図15は、消色装置E1の概略構成を示す斜視図、
図16は、消色装置E1の概略構成を示す断面図である。
消色装置E1は、供給用手差しトレイ503、504(第1のシート供給部、第2のシート供給部)、排出カセット505(排出口)、リジェクトボックス508、厚さセンサ510(厚み検出部)、消色前読取部511、消色後読取部512(画像読取部)、消色処理部513、第1のシート搬送部21、第2のシート搬送部22、分岐搬送部23A、フラッパF(
図16)、および制御部8を備える。各要素は装置外壁51(
図16)内にある。
【0050】
消色前読取部511は、第1のシート搬送部21により搬送されるシートの両面を読み取る。消色処理部513は、第1のシート搬送部21により搬送されるシートの両面を消色処理する。
まず、消色装置E1が、頻繁に使用されるA4サイズ等のシートに対し消色処理を行う場合の工程を説明する。
【0051】
消色装置E1は、前記実施形態と同様、頻繁に使用されるA4サイズ等のシートを供給用手差しトレイ503から取得し、厚さセンサ510および消色前読取部511により、厚さおよびシート両面の折れやシミを検出し、消色可否判断を行う。消色装置E1は、シートの少なくとも一面が消色不可能と判断する場合、シートを搬送部22、23Aによりリジェクトボックス508に排出する。消色装置E1は、シートの両面とも消色可能と判断する場合、消色装置E1は、読み取った画像に基づいてシートの種別を判断する。消色装置E1は、シートの両面の画像が通常文書であると判断する場合、メモリ803から通常文書用判定基準88(
図10)を取得し、各値を通常文書用判定基準88に含まれる各値に設定する。具体的に、消色装置E1は、消色処理の成否を判定する際に使用する画像内の塊のドット数、消色後読取部512にてシート上の画像を読み取る際のシート搬送速度、消色後読取部512にてシート上の画像を読み取る際の解像度、消色処理の成否を判定する際に使用する印字率、印字濃度、および色の輝度を、通常文書用判定基準に含まれる各値に設定する。消色装置E1は、シートの少なくとも片面の画像が機密文書と判断する場合、メモリ803から機密文書用判定基準89(
図10)を取得し、各値を機密文書用判定基準89に含まれる各値に設定する。
【0052】
消色装置E1は、消色処理部513にてシートに対し消色処理を行う。消色装置E1は、設定された搬送速度および解像度で消色処理を行った面の画像を消色後読取部512にて読み取る。消色装置E1は、設定された印字率の閾値、印字濃度の閾値、および色の輝度の閾値に基づいて、読み取った画像から消色処理の成否を判断する。消色装置E1は、消色処理を行った面の消色処理が十分と判断する場合、シートを第2のシート搬送部22により排出カセット505に排出する。消色装置E1は、消色処理を行った面の消色処理が一面でも不十分と判断する場合、シートをフラッパFにより第2のシート搬送部2から分岐搬送部23Aに振り分ける。消色装置E1は、シートを分岐搬送部23Aからリジェクトボックス508に排出する。なお、消色装置E1は、消色処理を行った面の消色処理が一面でも不十分と判断する場合、シートを第2のシート搬送部2により消色処理部513までスイッチバック搬送し、シートに再度消色処理を行ってもよい。
【0053】
次に、消色装置E1が、まれに使用するA3サイズのシートや、はがきサイズであるA6サイズ以下のサイズのシート、および長尺サイズのシートに対し消色処理を行う場合の工程を説明する。
消色装置E1は、前記実施形態と同様、A3サイズのシートや、はがきサイズであるA6サイズ以下のサイズのシート、および長尺サイズのシートを供給用手差しトレイ504から取得する。同時に消色装置E1は、消色処理が不十分と判定されやすい厳しい機密文書用判定基準89をメモリ803から取得し、消色処理の成否に係る各値を機密文書用判定基準89に含まれる各値に設定する。消色装置E1は、消色可否判断を行うことなく、消色処理部513にてシートの少なくとも一面に対し消色処理を行う。その後、消色処理の成否判断を行い、シートを排出カセット505あるいはリジェクトボックス508に排出する。
第1参考例では、第2のシート供給部、消色処理部513、消色後読取部512、および消色処理済みのシートが排出される排出カセット505をつなぐシート搬送路が直線状となっている。
【0054】
本実施形態および第1参考例によれば、以下の構成の消色装置を提供できる。
(1) 消色性着色剤により画像形成されたシート上の画像を消色する消色処理部と、
前記消色処理部にシートを搬送する第1のシート搬送部と、
前記第1のシート搬送部にシートを供給する第1のシート供給部と、
前記第1のシート供給部から前記消色処理部へ向けて前記第1のシート搬送部により搬送されるシートの厚みを検出する厚み検出部と、
前記厚み検出部における検出結果に基づいて、厚み検出の対象となったシートを前記消色処理部にて消色可能か否かを判定する消色可否判定部と、
前記第1のシート搬送部によるシート搬送路における前記厚み検出部よりも下流側かつ前記消色処理部よりも上流側に位置し、前記第1のシート搬送部にシートを供給する第2のシート供給部と
を備える消色装置。
【0055】
(2) (1)に記載の消色装置において、
前記消色処理部にて消色されたシート上の画像を読み取る消色後読取部と、
前記消色後読取部における読み取り結果に基づいて、画像読み取りの対象となったシートに対する前記消色処理部による消色処理の成否を判定する消色成否判定部と、
をさらに備える消色装置。
(3) (1)に記載の消色装置において、
前記第1のシート供給部から前記消色処理部までのシート搬送経路よりも、前記第2のシート供給部から前記消色処理部までのシート搬送経路の方が変曲点の数が少ない消色装置。
【0056】
(4) (1)に記載の消色装置において、
前記第1のシート供給部から前記消色処理部までのシート搬送経路よりも、前記第2のシート供給部から前記消色処理部までのシート搬送経路の方が曲がり角度の総合計が小さい消色装置。
(5) (1)に記載の消色装置において、
前記第1のシート供給部から前記消色処理部までのシート搬送経路よりも、前記第2のシート供給部から前記消色処理部までのシート搬送経路の方が搬送ローラの配置ピッチの平均が短い消色装置。
【0057】
(6) (1)に記載の消色装置において、
前記第1のシート供給部から前記消色処理部までのシート搬送経路よりも、前記第2のシート供給部から前記消色処理部までのシート搬送経路の方が、シート搬送方向と直交する方向における幅が広い消色装置。
(7) (1)に記載の消色装置において、
前記第1のシート供給部は、前記第1のシート搬送部にA4サイズまたはレターサイズのシートを供給し、
前記第2のシート供給部は、前記第1のシート搬送部にA3サイズのシートを供給する消色装置。
【0058】
(8) (1)に記載の消色装置において、
前記第1のシート供給部は、前記第1のシート搬送部にA4サイズまたはレターサイズのシートを供給し、
前記第2のシート供給部は、前記第1のシート搬送部にA6サイズ以下のサイズのシートを供給する消色装置。
(9) (2)に記載の消色装置において、
前記第1のシート供給部から前記消色処理部へ向けて前記第1のシート搬送部により搬送されるシート上の画像を読み取る消色前読取部と、
前記消色前読取部における読み取り結果に基づいて、画像読み取りの対象となったシートが再利用可能か否かを判定する再利用可否判定部とを備え、
前記消色前読取部は、前記消色後読取部よりもシート搬送方向と直交する方向における幅が広い消色装置。
(10) (2)に記載の消色装置において、
前記第2のシート供給部と、前記消色処理部と、前記消色後読取部とをつなぐシート搬送路は直線状である消色装置。
【0059】
(消色処理済みのシートの排出技術)
従来、消色性着色剤により画像が印刷されたシートに対し、シートを加熱する消色処理を施して画像を消色し、シートを再利用可能とする消色装置が用いられる。このような消色装置において、手差し部を有するものが知られる。該装置は、手差し部から供給されたシートに消色処理を施した後、装置内にあるカセットに消色処理済みのシートを排出する。
しかしながら、該装置では、カセット内に消色処理済みのシートが排出されるので不便である。
【0060】
本実施形態では、消色処理済みのシートが排出用手差しトレイ507に排出されるので、利便性を向上できる。
本実施形態では、第1のシート搬送部21は、消色処理部513にシートを搬送する。本実施形態では、消色処理済みのシートを第1のシート搬送部21に再度搬送する反転搬送部23は、装置外壁51に近接配置される。本実施形態では、排出用手差しトレイ507および供給用手差しトレイ503は、反転搬送部23に接続し、互いに近い位置に設けられるので、利便性をより向上できる。排出用手差しトレイ507および供給用手差しトレイ503に接続する反転搬送部23は、装置外壁51に近接配置されるので、排出用手差しトレイ507および供給用手差しトレイ503へのシートの出入りによりジャムが発生しても、ジャムの解消を容易にできる。
【0061】
本実施形態の消色装置Eの構成をMFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置に適用した場合、例えば第1の搬送部21に、シートに画像を転写する画像転写部を設け、消色処理部513が加熱定着処理および消色処理を行う構成が考えられる。この場合、画像形成装置は、画像を転写したシートは第2の搬送部21からカセット505,506に排出する。画像形成装置は、消色処理部513によってシートに対し消色処理を行う場合には、消色処理済みのシートは、排出用手差しトレイ507に排出する。すなわち、本実施形態の消色装置は、装置外壁51に近接配置される反転搬送部23に、排出用手差しトレイ507および供給用手差しトレイ503が接続するので、大きな変更をすることなく、従来の画像形成装置に適用できる。そして、従来の画像形成装置を容易に消色処理可能な装置、かつ利便性の高い装置にできる。
【0062】
一般に、加熱による消色処理を施されたシートは、加熱処理により水分を奪われるため、うねりが発生することがある。本実施形態では、排出用手差しトレイ507が、供給用手差しトレイ503よりもシート搬送方向上流側にあるため、排出用手差しトレイ507が供給用手差しトレイ503よりもシート搬送方向下流側にある場合に比べ、消色処理部513から排出用手差しトレイ507までの移動距離が短くなる。そのため、本実施形態では、シート詰まりの発生を抑制できる。
本実施形態では、冷却ファン514が消色処理部513および消色処理後のシートを共に冷却するので、各要素の冷却のために個別に冷却ファンを設ける場合に比べ、省スペース化を図ることができる。
【0063】
(第2参考例)
前記実施形態において、第1のシート搬送部21の一部および反転搬送部23を装置外壁51に沿って平行に配置することも可能である。その場合の搬送路を説明するために、
図17に、第2参考例の画像形成装置10の概略構成図を示す。第2参考例の説明においても、前記実施形態と同一機能部位には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
画像形成装置10は、A4サイズ等のシートが積載されるカセット501、A3サイズのシートや、はがきサイズであるA6サイズ以下のサイズのシート、および長尺サイズのシートが積載される供給用手差しトレイ504(第2のシート供給部)、排出カセット505(排出口)、リジェクトボックス508、厚さセンサ510(厚み検出部)、消色前読取部511、消色後読取部512(画像読取部)、消色処理部513B、画像形成部530、第1のシート搬送部21B、第2のシート搬送部22、反転搬送部23B、およびフラッパFを備える。各要素は装置外壁51内にある。
画像形成部530は、シートに消色性着色剤により画像を形成する。
消色処理部513Bは、シートに対して加熱処理を行い、画像をシートに定着させる、または画像を消色する。
【0065】
画像形成装置10は、供給用手差しトレイ504に積載されたA3サイズのシートや、はがきサイズであるA6サイズ以下のサイズのシート、および長尺サイズのシートの画像を消色する場合、メモリから機密文書用判定基準を取得し、各値を機密文書用判定基準に含まれる各値に設定する。画像形成装置10は、消色処理部513Bにてシートの第1面Saの画像に消色処理を施した後、消色後読取部512にて、第1面Saと反対側の第2面Sbの画像を読み取る。画像形成装置10は、第2面Sbに対する画像の要否を判断し、第2面Sbに対する消色処理が必要であると判断する場合、第1面Saが消色されたシートを、第2のシート搬送部22にて反転搬送部23Bにスイッチバック搬送し、反転搬送部23Bから第1のシート搬送部21Bに再度搬送する。画像形成装置10は、消色処理部513Bにてシートの第2面Sbに消色処理を施す。
【0066】
なお、第2参考例は、前記実施形態と同様、ユーザが多用するA4サイズ等のシートに対し、厚さセンサ510および消色前読取部511により消色可否判断を行う。第2参考例は、前記実施形態と同様、A4サイズ等のシートに対し、消色前読取部511により画像を読み取り、通常文書であれば、消色処理の成否に係る各値を通常文書用判定基準の各値に設定する。第2参考例は、A4サイズ等のシートに対し、消色前読取部511により画像を読み取り、機密文書であれば、消色処理の成否に係る各値を機密文書用判定基準の各値に設定する。
【0067】
本実施形態および第2参考例によれば、以下の構成の消色装置を提供できる。
(1) 消色性着色剤により画像形成されたシート上の画像を消色する消色処理部と、
前記消色処理部にシートを搬送する第1のシート搬送部と、
前記消色処理部にて消色されたシートを、シート排出口へ向けて搬送する第2のシート搬送部と、
前記第1のシート搬送部よりも装置外壁に近接配置され、前記消色処理部にて消色された後に前記第2のシート搬送部に一時的に搬入されてスイッチバック搬送されるシートを、前記第1のシート搬送部に再度搬送する反転搬送部と、
前記反転搬送部の装置外壁側に設けられ、前記反転搬送部にシートを供給する供給用手差しトレイと、
前記反転搬送部の装置外壁側でありかつ前記反転搬送部におけるシート搬送方向における前記供給用手差しトレイとは異なる位置に設けられ、前記反転搬送部にて搬送されるシートを排出する排出用手差しトレイと
を備える消色装置。
【0068】
(2) (1)の装置において、
前記供給用手差しトレイおよび前記排出用手差しトレイの内の少なくともいずれかは、装置外壁に対して展開可能に支持されている消色装置。
(3) (1)の装置において、
前記供給用手差しトレイおよび前記排出用手差しトレイの内の少なくともいずれかは、装置外壁に対して上下動可能に支持されている消色装置。
(4) (1)の装置において、
前記排出用手差しトレイは、前記反転搬送部における、前記第2のシート搬送部からスイッチバック搬送されるシートが前記反転搬送部に搬入される位置近傍に設けられている消色装置。
【0069】
(5) (1)の装置において、
前記排出用手差しトレイは、前記反転搬送部におけるシート搬送方向において、前記供給用手差しトレイよりも上流側に位置する消色装置。
(6) (1)の装置において、
前記消色処理部は、消色性着色剤により画像形成されたシート上の画像を熱を加えることにより消色するものであり、
前記消色処理部を冷却する冷却ファンをさらに備え、
前記反転搬送部は、少なくとも前記冷却ファンに対向する位置に通風孔を備える搬送ガイドを有し、
前記冷却ファンは、前記通風孔を介して、前記反転搬送部にて搬送される消色処理後のシートに冷却風を供給する消色装置。
【0070】
(7) (1)の装置において、
前記消色処理部は、シートの片面に対して消色処理を施すものであり、
前記消色処理部によるシートの第1面への消色処理後に前記第2のシート搬送部にて搬送されるシートの第2面上の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部における読み取り結果に基づいて、画像を読み取ったシートの第2面に対する消色処理の要否を判定する消色要否判定部と、
前記消色要否判定部にて前記シートの第2面に対する消色処理が必要であると判定される場合に、前記消色処理部にて第1面が消色されたシートを、前記第2のシート搬送部にてスイッチバック搬送させて前記第1のシート搬送部に再度搬送させる搬送制御部と
をさらに備える消色装置。
【0071】
(変形例)
前記実施形態では、シートの画像を機密文書と判定した場合において、消色残りがあった場合(Act12:YES)、シートを廃棄していた。しかしながら、第2の搬送部22によりシートを消色処理部513までスイッチバック搬送し、再度同一の面に対して消色処理を行ってもよい。
消色可否判定部81は、再利用可否判定部82を兼ねてもよい。すなわち、消色可否判定部81は、消色前読取部511にて読み取られた画像に基づいて、消色が可能か否かを判断してもよい。消色可否判定部81は、シートの厚み、および消色前読取部511にて読み取られた画像、の両方に基づいて消色が可能か否かを判断してもよい。
記録媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であってもよい。具体的に、記録媒体としては、例えば、ROMやRAM等のコンピュータに内部実装される内部記憶装置、CD−ROMやフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体、コンピュータプログラムを保持するデータベース、あるいは他のコンピュータ並びにそのデータベースなどが挙げられる。インストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS等と共働してその機能を実現させるものであってもよい。プログラムは、その一部または全部が、動的に生成される実行モジュールであってもよい。
実施形態における各処理の順序は、実施形態で例示した順序と異なっていてもよい。
【0072】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。