【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、使用する包装箱によっては、開けられた包装箱の一部がその開けられた状態から復元方向に動き、その結果、食品密封包装袋の圧抜き部が袋の他の部分に対して、袋内容物の吹き出しを十分抑制できるほどに高所に配置されなくなる恐れがある。場合によっては、包装箱の開け方を間違って、食品密封包装袋の圧抜き部が袋の他の部分に対して、袋内容物の吹き出しを十分抑制できるほどに高所に配置されなくなることも考えられる。
【0011】
また、上記した従来の食品密封収容袋包装体によると、食品密封包装袋を包装箱ごと電子レンジ内に傾斜姿勢で配置して加熱できるように包装箱の一部を開けた状態では、袋の圧抜き部が包装箱から露出し、食品の種類、量、加熱の程度等によっては、開封された圧抜き部から食品の一部が吹きだして電子レンジ内を汚すなどの恐れがある。
【0012】
本発明は電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を包装するための食品密封収容袋包装箱であって次の利点を有する包装箱を提供することを第1の課題とする。
(1)包装箱の一部を開けた状態で該開けた部分を支えにして電子レンジ内に傾斜姿勢で配置でき、食品密封収容袋を圧抜き部のある部位が該開ける部分に向くように該包装箱に収容しておけば、該食品密封収容袋を包装箱の一部を開けた状態で包装箱ごと圧抜き部を高い位置において傾斜させて電子レンジ内に配置し加熱することができ、その傾斜姿勢により圧抜き部からの食品の一部の吹き出しなどの恐れを低減できる。
(2)たとえ推奨される標準的箱開き状態とは異なる開き方がなされても、その開き方によっては、食品密封収容袋を圧抜き部のある部位が該開ける部分に向くように該包装箱に収容しておけば、該食品密封収容袋を包装箱の一部を開けた状態で圧抜き部を高い位置において包装箱ごと傾斜させて電子レンジ内に配置できる。
【0013】
本発明は電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱に収容した食品密封収容袋包装体であって次の利点を有する包装体を提供することを第2の課題とする。
(1)内部に収容した食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱の一部を開けた状態で、しかし、なお食品密封収容袋の圧抜き部が包装箱で覆われた状態で、該開けた部分を支えにして電子レンジ内に該包装箱ごと該袋の圧抜き部を高い位置において傾斜姿勢で配置でき、それにより食品密封収容袋の圧抜き部からの食品の一部の吹き出しなどの恐れを低減できるとともに、包装箱周辺への食品吹き出しを抑制できる。
(2)食品密封収容袋包装箱がたとえ推奨される標準的箱開き状態とは異なる開き方がなされても、その開き方によってはなお食品密封収容袋をその圧抜き部のある部位を高い位置において、且つ、圧抜き部が包装箱で覆われた状態で、安全に電子レンジ加熱することができる。
【0014】
また、本発明は本発明に係る食品密封収容袋包装箱を組み立て形成できる箱原板を提供することを第3の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は前記第1の課題を解決するため、
電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を包装するための食品密封収容袋包装箱であり、
上壁と、前記上壁の左側端に上端が連続する左側壁と、前記上壁の右側端に上端が連続する右側壁と、前記左右側壁の下端に連続し、前記上壁に対向する下壁と、前記各壁の前端に続く前壁及び後端に続く後壁を含んでいて前記左右側壁間距離及び前記前後壁間距離より前記上下壁間距離が短い扁平形状を呈しており、
前記上壁は該上壁の前後端間の中間位置より上壁前端寄りの部位に形成された上壁後端側へ突出する円弧状に延びる中央破断用部、前記中央破断用部の左端から前記上壁の左側端へ延びる左破断用部、前記中央破断用部の右端から前記上壁の右側端へ延びる右破断用部及び前記中央破断用部より上壁前端寄りの部位に形成された、前記左右破断用部間に延びる上壁折り曲げ用部を有しており、
前記左側壁は前記上壁の左破断用部に続いて上下方向に延びる左側壁破断用部を有しており、
前記右側壁は前記上壁の右破断用部に続いて上下方向に延びる右側壁破断用部を有しており、
前記下壁は前記左右の側壁破断用部の下端間に延びる下壁折り曲げ用部を有している食品密封収容袋包装箱を提供する。
【0016】
本発明に係る食品密封収容袋包装箱によると、その組立て形成とともに内部に食品密封収容袋を収容することができる。
本発明に係る食品密封収容袋包装箱によると、上壁の中央破断用部と折り曲げ用部の間の部分を例えば指で箱内側へ押し込むようにして該中央破断用部を破断することができ、また、その押し込み部分を該破断操作にともなって折り曲げ用部に沿って箱内側へ向け折り曲げることができる。
【0017】
さらに、前記箱内側へ向け折り曲げた部分あたりを引き上げるようにして、前記中央破断用部の破断に続けて該中央破断用部に続く左右の破断用部、さらに左右側壁の破断用部も破断するとともに、下壁の前端部を下壁折り曲げ用部にそって下側へ折り曲げることで包装箱の一部を開くことができる。
【0018】
このとき推奨される標準的な包装箱の開き方に従って、下壁の前端部を下壁折り曲げ用部にそって略180度折り曲げ回動させて下壁残部に重ねた状態に開き(この状態では復元回動し難い)、その開いた箱部分を支持枕にして包装箱を傾斜姿勢におくことができる。
以下この推奨される標準的な包装箱の開き方を「標準開き」ということがある。
【0019】
本発明に係る包装箱は上記のように一部を開けた状態で該開けた部分を支えにして電子レンジ内に傾斜姿勢で配置できる。従って、食品密封収容袋を圧抜き部のある部位が該開ける部分近くに位置するように該包装箱に収容しておけば、該食品密封収容袋を包装箱の一部を開けた状態で包装箱ごと圧抜き部を高い位置において傾斜させて電子レンジ内に配置し加熱することができ、その傾斜姿勢により圧抜き部からの食品の一部の吹き出しなどの恐れを低減できる。
【0020】
本発明に係る食品密封収容袋包装箱は前記「標準開き」とは異なった、しかし予測される開け方で開かれることがあり得る。例えば次の開き方を例示できる。
上壁の中央破断用部と折り曲げ用部の間の部分を箱内側へ押し込むようにして該中央破断用部を破断し、その押し込み部分を該破断操作にともなって折り曲げ用部に沿って箱内側へ向け折り曲げ、さらに前記中央破断用部の破断に続けて該中央破断用部に続く左右の破断用部、左右側壁の破断用部も破断するとともに、下壁の前端部を下壁折り曲げ用部にそって下側へ折り曲げる。しかしこのとき、下壁の前端部を下壁折り曲げ用部にそって略90度だけ折り曲げ回動させる。このように開かれた箱部分を支持枕にして包装箱を傾斜姿勢におく。以下この開き方を「90度開き」ということがある。
【0021】
このような開き方で開かれた場合でも、上壁の中央破断用部と折り曲げ用部の間の部分が既に上壁折り曲げ用部に沿って折り曲げられており、その折り曲げ部分が開かれた包装箱から突き出す食品密封収容袋の下方に位置して該開かれた箱部分の復帰回動が妨げられる。従って、食品密封収容袋を圧抜き部のある部位が該開ける部分近くに位置するように該包装箱に収容しておけば、包装箱の一部をこのように不完全に開けた状態でも該食品密封収容袋をその圧抜き部を高い位置において包装箱ごと傾斜させて電子レンジ内に配置できる。
【0022】
本発明に係る食品密封収容袋包装箱における前記上壁折り曲げ用部の例として、折り曲げ易いように、上壁を貫通切断した切断線と折り曲げ用筋付け線とを一列状に配列して形成したものを挙げることができる。
【0023】
そのような折り曲げ用部のさらなる例として、
切断線と折り曲げ用筋付け線とを直線状に配列して形成したもの、及び
切断線と折り曲げ用筋付け線とを上壁の前端側へ突出する円弧状に配列して形成したものを例示できる。
【0024】
いずれにしても、該切断線は複数形成する場合、間欠的にミシン目様に形成する場合を例示できる。該折り曲げ用筋付け線についても間欠的にミシン目様に形成してもよいが、連続するように、しかし、全体としては切断線と折り曲げ用筋付け線とが一列状に配列された態様を呈するように形成してもよい。そのような態様として、連続する折り曲げ用筋付け線に沿って切断線を形成する場合を例示できる。
【0025】
前記下壁の前端から前記下壁折り曲げ用部までの距離は、本発明に係る箱を開くにあたり前記のように「90度開き」する場合でも、上壁の中央破断用部と折り曲げ用部の間の該折り曲げ用部に沿って折り曲げられた部分が開かれた包装箱から突き出す食品密封収容袋の下方に位置することができる距離とする例を挙げることができる。具体例として、前記下壁の前端から前記下壁折り曲げ用部までの距離を前記上壁の前端から前記上壁折り曲げ用部までの距離と同等程度又はそれより長くする場合を挙げることができる。
【0026】
本発明に係る食品密封収容袋包装箱の前記の標準的な開け方とは異なるさらに他の開け方の例として、次の開け方も考えられる。
すなわち、上壁の中央破断用部と折り曲げ用部の間の部分を箱内側へ押し込むようにして該中央破断用部を破断し、その押し込み部分を該破断操作にともなって折り曲げ用部に沿って箱内側へ向け折り曲げ、或いはさらに上壁の前記中央破断用部の破断に続けて該中央破断用部に続く左右の破断用部を開け、或いはさらに左右側壁の破断用部も破断させ、しかし、下壁の前端部を下壁折り曲げ用部にそって下側へ折り曲げない開け方である。
以下この開き方を「平坦開き」ということがある。
【0027】
このような開け方の場合でも、包装箱及びそれに収容される食品密封収容袋が該袋の圧抜き部が高い位置におかれるように傾斜姿勢をとるように、前記下壁折り曲げ用部を次のように形成してもよい。
すなわち、前記左側壁破断用部の下端に続いて下壁の後端且つ右側端の方向へ傾斜して延びる左側傾斜破断用部、前記右側壁破断用部の下端に続いて下壁の後端且つ左側端の方向へ傾斜して延びる右側傾斜破断用部及び前記左右の傾斜破断用部の下壁後端側の端部間に延びる中央折り曲げ用部を有している下壁折り曲げ用部である。
【0028】
この下壁折り曲げ用部によると、本発明に係る包装箱が標準的な開け方とは異なる前記の「平坦開き」で開けられた場合でも、内部の食品密封収容袋が加熱により内圧で膨張して前記包装箱の上壁及び下壁が丸みを帯びるように変形するにつれ、前記下壁折り曲げ用部の左右の破断用部が破断され、それにより、包装箱の開けられた部分が下方へ反り、包装箱及びそれに収容される食品密封収容袋が該袋の圧抜き部が高い位置におかれるように傾斜姿勢をとることができる。
【0029】
前記下壁折り曲げ用部における中央折り曲げ用部は、折れ曲がり易いように、そして一旦折り曲げると復元回動し難いように、下壁前端側へ突出する山形状の切断線と下壁後端側へ突出する逆山形状の切断線とを順次交互に、且つ、隣り合う山形状の切断線と逆山形状の切断線の間に非切断ヒンジ部を介在させつつジグザグ状に配列して形成されていてもよい。
【0030】
本発明に係る食品密封収容袋包装箱が前記[90度開き]で開かれる場合、包装箱を傾斜姿勢に支える開かれた部分の下端面となる包装箱前壁外面が膨出するように丸みを帯びていると、開かれた箱部分が電子レンジ内トレイ上で滑って復帰回動し易くなり、箱姿勢が不安定になるおそれがある。
【0031】
そこで前壁外面を平坦化するために次のようにしてもよい。
前記前壁は、前記左右の側壁の前端に連続する前フラップがそれぞれ内側に折り曲げられ、前記左右の前フラップ上に、前記上壁の前端に連続する前壁用片及び前記下壁の前端に連続する前壁用片のうち一方が曲げ重ねられ、且つ、該一方に予め形成しておいた糊通し孔が重ねられ、さらに該一方の上に他方が曲げ重ねられるとともに該両前壁用片が糊付けされ、且つ、該他方の前壁用片が前記糊通し孔を介して前記フラップにも糊付けされているものとする。
【0032】
また、このような前壁外面の平坦化に代えて、或いは平坦化とともに、前記前壁は、前記上壁の前端に連続する前壁用片及び前記下壁の前端に連続する前壁用片を含んでおり、前記両前壁用片はそれらのうち一方の上に他方が重ねられるように曲げ重ねられるとともに互いに糊付けされており、前記下壁の前端に連続する前壁用片には前記下壁前端から一体的に突出する突起が切断線で囲って形成されており、前記突起が前記下壁前端に連続する前壁用片の前記前壁形成のための折り曲げにより前記下壁前端から突出するようにしてもよい。
【0033】
この突起が前壁外面を下壁後端側で高位置をとるように傾斜配置可能とし、滑り止め機能を発揮する。
【0034】
本発明は前記第2の課題を解決するため次の食品密封収容袋包装体も提供する。
電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱に収容した食品密封収容袋包装体であり、
前記食品密封収容袋はマイクロ波透過可能なフィルムで形成され、内部に電子レンジ加熱可能な食品が収容されているとともに前辺部、該前辺部に対向する後辺部及び該前後辺部間に延びる左右側辺部を含む周辺部が密封されて扁平形状を呈しており、前記前辺部寄りの部位に前記食品の加熱による内圧上昇により開封される圧抜き部が形成されており、
前記食品密封収容袋包装箱は本発明に係る包装箱であり、
前記食品密封収容袋は前記前辺部が前記包装箱の前壁側に向けられて該包装箱内に収容されているとともに前記包装箱の前記上壁の破断用部の破断により該包装箱が開かれても前記圧抜き部が前記上壁の破断用部より上壁後端側の上壁部分で覆われるように該包装箱内に収容されている食品密封収容袋包装体である。
【0035】
本発明に係る食品密封収容袋包装体は、食品密封収容袋を収容する食品密封収容袋包装箱として本発明に係る包装箱を採用しているので、該包装箱内部に収容した食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱の一部を開けた状態で、該開けた部分を支えにして電子レンジ内に該包装箱ごと該袋の圧抜き部を高い位置において傾斜姿勢で配置でき、それにより食品密封収容袋の圧抜き部からの食品の一部の吹き出しなどの恐れを低減できる。
【0036】
また、本発明に係る食品密封収容袋包装体は、食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱の一部を開けた状態で、しかし、なお食品密封収容袋の圧抜き部が包装箱で覆われた状態で電子レンジ内に配置できるので、包装箱外周辺への食品密封収容袋の圧抜き部からの食品吹き出しや散乱を抑制できる。
【0037】
また、食品密封収容袋包装箱がたとえ推奨される標準的箱開き状態とは異なる開き方で開かれても、その開き方によってはなお食品密封収容袋をその圧抜き部のある部位を高い位置において、且つ、圧抜き部が包装箱で覆われた状態で、安全に電子レンジ加熱することができる。
【0038】
本発明は前記第3の課題を解決するため、予め裁断された紙製(紙主体)の平坦な箱原板を提供する。
該箱原板は平坦な状態において
前記破断用部及び前記折り曲げ用部を含む前記上壁、
前記上壁の右端に連続し、前記右側壁破断用部を含む前記右側壁、
前記右側壁の右端に連続し、前記下壁折り曲げ用部を含む前記下壁、
前記下壁の右端に連続し、前記左側壁破断用部を含む前記左側壁、
前記左右の各側壁の前端に続く前フラップ、
前記上壁の前端に連続する第1の前壁用片、
前記下壁の前端に連続する第2の前壁用片、
前記左右の各側壁の後端に続く後ろフラップ、
前記上壁の後端に連続する第1の後壁用片、
前記下壁の後端に連続する第2の後壁用片及び
前記上壁の左端に連続し、前記左側壁の破断用部に重ねられる破断用部を有する糊代片を含んでいる。
【0039】
この箱原板によると、
前記上壁、右側壁、下壁、左側壁及び糊代片を隣り合うものの境目で順次折り曲げて前記糊代片の上に前記左側壁を重ねて糊付けし、前記前フラップをそれぞれ内側へ折り曲げ、該前フラップ上に前記第1及び第2の前壁用片を曲げ重ねるとともに少なくとも該第1及び第2の前壁用片を糊付けし、前記後ろフラップをそれぞれ内側へ折り曲げ、該後ろフラップ上に前記第1及び第2の後壁用片を曲げ重ねるとともに少なくとも該第1及び第2の後壁用片を糊付けすることで前記食品密封収容袋包装箱を形成できる。