(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の着色樹脂組成物は、バインダー樹脂、溶剤、硬化剤、特定の色材化合物を含有し、必要に応じて、他の顔料もしくは染料等の色材、界面活性剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤等の各種添加物を含有させることが出来、これらに限定されるものではなく、特定の色材化合物以外の成分としては特に制限無く使用できる。
【0011】
本発明の着色樹脂組成物を用いた画素製造方法としては、主にフォトリソグラフィー法とインクジェット法が挙げられ、前者には光重合開始剤を用いた現像性に優れた感光性樹脂組成物が用いられ、後者は必ずしも光重合開始剤を必要とせず、熱硬化性樹脂組成物が用いられる。
【0012】
本発明に使用できる前記式(1)で表される色材化合物のR
1〜R
6は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1−C12のアルキル基、C1−C12のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基を表す。Y
1〜Y
4はそれぞれ独立に水素原子、C1−C12のアルキル基、アリール基を表す。X
1〜X
5はそれぞれ独立に水素原子、C1−C12のアルキル基、C1−C12のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基、スルファモイル基を表す。アニオン部Z
−はC1−C10の高次ハロゲン化アルキル基を有するスルホニルメチドアニオンを表す。
【0013】
上記のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0014】
上記のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、iso−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル等のC1−C12のアルキル基等が挙げられる。これらのアルキル基は置換基を有しても良く、該置換基を有するアルキル基としては例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、2−スルホエチル基、カルボキシエチル基、シアノエチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。また、当該アルキル基が有することができる置換基にはカルバモイル基、カルボキシル基等が含まれる。
【0015】
上記のアルコキシ基としては、前記のアルキル基に同じくC1−C12のアルキル基を有したアルコキシ基が挙げられ、アルコキシカルボニル基も同じくC1−C12のアルキル基を有したアルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0016】
上記のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、ベンゾピレニル基等の芳香族炭化水素残基;ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピロリル基、インドレニル基、イミダゾリル基、カルバゾリル基、チエニル基、フリル基等の芳香族複素環残基、等が挙げられる。これらのアリール基は置換基を有しても良く、該置換基としては例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、スルホ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基等が挙げられる。
【0017】
上記のフェノキシ基は、置換基を有しても良く、置換基としては例えば、C1−C12の直鎖または分岐アルキル基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、水酸基等が挙げられる。
【0018】
上記のアルコキシカルボニル基としては、例えばメチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、シクロヘプチルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、シクロオクチルオキシカルボニル、ノニルオキシカルボニル、デカニルオキシカルボニル、トリシクロデカニルオキシカルボニル、メトキシプロピルオキシカルボニル、エトキシプロピルオキシカルボニル、ヘキシロキシプロピルオキシカルボニル、2−エチルヘキシロキシプロピルオキシカルボニル、メトキシヘキシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、等が挙げられる。
【0019】
上記のカルバモイル基は、置換基を有してもよく、置換基としては、C1−C12の置換又は無置換の直鎖または分岐アルキル基、フェニル基、ベンジル基、トシル基、ピリミジニル基等が挙げられる。更に、上記カルバモイル基としては、窒素に結合している2つのアルキル基が当該窒素原子と合わせてC3−C12のシクロアルキル環、或いは、窒素、酸素、硫黄などの1以上のヘテロ原子を有する脂肪族へテロ環を形成することができる。
【0020】
上記のスルホ基としては、例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、ヘキサンスルホニル、デカンスルホニル等が挙げられる。
【0021】
上記のスルファモイル基としては、例えばスルファモイル、メタンスルファモイル、エタンスルファモイル、プロパンスルファモイル、イソプロパンスルファモイル、ブタンスルファモイル、イソブタンスルファモイル、ペンタンスルファモイル、イソペンタンスルファモイル、ネオペンタンスルファモイル、シクロペンタンスルファモイル、ヘキサンスルファモイル、シクロヘキサンスルファモイル、ヘプタンスルファモイル、シクロヘプタンスルファモイル、オクタンスルファモイル、2−エチルヘキサンスルファモイル、1,5−ジメチルヘキサンスルファモイル、シクロオクタンスルファモイル、ノナンスルファモイル、デカンスルファモイル、トリシクロデカンスルファモイル、メトキシプロパンスルファモイル、エトキシプロパンスルファモイル、プロポキシプロパンスルファモイル、イソプロポキシプロパンスルファモイル、ヘキシロキシプロパンスルファモイル、2−エチルヘキシロキシプロパンスルファモイル、メトキシヘキサンスルファモイル、3−フェニル−1−メチルプロパンスルファモイル等が挙げられる。
【0022】
一般式(1)においてZ
−は、C1−C10の高次ハロゲン化アルキル基を有するスルホニルメチドアニオンを表すが、特にトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンが好ましい。
【0023】
本発明の着色樹脂組成物に用いられる色材化合物は、例えば、株式会社技報堂発行の細田豊著「理論製造染料化学」(373〜375頁)に記載された既知の合成法で得られるが、Z
−が塩素アニオンである市販品を購入し、対応する塩または酸を加え塩交換することにより合成することも可能である。
【0024】
本発明における色材化合物を塩交換により合成する場合は、例えば、Z
−が塩素アニオンである色材化合物を反応溶媒(例えば、水、またはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、N,N−ジメチルホルアミド(以下DMFと略記)、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略記)等の水溶性極性溶媒が挙げられ、これらの溶媒は単独、または混合してもよい。)に溶解し、対応する塩または酸を0.5〜3当量程度加え、所定温度(例えば0〜100℃)で攪拌し、容易に合成でき、析出した結晶をろ取する事により得られる。
【0025】
上記式(1)で示される具体例を以下の表1−1及び表1−2に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0027】
本発明の着色樹脂組成物は、前記式(1)で示される色材化合物を全固形分(色材化合物、バインダー樹脂、硬化剤等から成る固形分の総量を指す。以降も同義で用いられる。)中に、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは5〜30質量部、を含む組成物である。この範囲よりも含有量が多い場合、析出や凝集等の問題が発生したり、硬化不十分のために基板との密着性の低下を引き起こす。含有量が少ない場合は大きな問題は無いが、色特性としては十分な色純度が得られない可能性がある。
【0028】
前記式(1)で表される色材化合物の着色樹脂組成物への溶解性が低い場合には、後述する任意成分である顔料と同様に、分散剤を用いて分散させて使用してもよい。前記式(1)で表される色材化合物は2種以上を混合しても単独で使用してもよいが、他の染料や顔料を混合してもよい。本発明は主として青色画素や赤色画素に関するものなので、必要により公知の青色染料、バイオレット染料、赤色染料や黄色染料、または青色顔料、バイオレット顔料、赤色顔料や黄色顔料等と混合することも可能である。
【0029】
本発明で用いられるバインダー樹脂とは、フォトリソグラフィー法の設計上、カラーフィルター製造時の現像処理工程において用いられるアルカリ性現像液に可溶であることが望ましく、さらには良好な微細パターンを形成するために光重合開始剤、光重合性モノマー等との十分な硬化特性を有しているものが望ましい。また、顔料分散樹脂組成物も光重合開始剤、光重合性モノマー、顔料分散液等の構成材料との相溶性が良く、析出や凝集等を起こさないよう安定でなければならない。インクジェット法の場合は特にアルカリ可溶性は必要ではないため、他の色材や添加剤との相溶性の良い樹脂を選択すればよい。
【0030】
バインダー樹脂としては公知の樹脂を使用することもできるが、より好ましくは以下に挙げられる1個以上のカルボキシル基、または水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーあるいは他の共重合可能な芳香族炭化水素基や脂肪族炭化水素基を有するエチレン性不飽和モノマー等の共重合体であることが望ましい。また、これらの側鎖もしくは末端等にエポキシ基を有したもの、さらにアクリレートを付加させたエポキシアクリレート樹脂も使用できる。これらのモノマー等は単独でも2種以上組み合わせても良い。
【0031】
本発明で使用できる前記のカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、エタクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸(無水物)類;3価以上の不飽和多価カルボン酸(無水物)類、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタアクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0032】
本発明で使用できる前記の水酸基含有エチレン性不飽和モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシ−3−メチル−ペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノ(メタ)アクリレート、2−(2−ヒドロキシエチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0033】
また、前記の他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノール(メタ)アクリレートヒドロキシエチル化物、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、フェニルノルボルニル(メタ)アクリレート、シアノノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、フェンチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−8−イル=(メタ)アクリレート、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−4−メチル=(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環骨格類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキル末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピルアクリレート、2−アミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−(メタ)アクリロイルフタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、マレイミド等の不飽和アミドあるいは不飽和イミド類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリn−ブチルアクリレート、ポリn−ブチルメタクリレート、ポリシリコーン等の重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0034】
また、共重合体の側鎖に更に不飽和二重結合を導入した重合体も有用である。例えば、無水マレイン酸と共重合可能なスチレン、ビニルフェノール、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド等との共重合物の無水マレイン酸部に、ヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性のヒドロキシル基を有するアクリレートやグリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有するアクリレートを反応させハーフエステル化した化合物、およびアクリル酸、アクリル酸エステルとヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性のヒドロキシル基を有するアクリレートとの共重合体の水酸基にアクリル酸を反応せしめた化合物等が挙げられる。また、ウレタン樹脂やポリアミド、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、市販のACA−200M(ダイセル社製)、ORGA−3060(大阪有機化学製)、AX3−BNX02(日本触媒製)、UXE−3024(日本化薬製)、UXE−3000(日本化薬製)、ZGA−287H(日本化薬製)、TCR−1338H(日本化薬製)、ZXR−1722H(日本化薬製)、ZFR−1401H(日本化薬製)、ZCR−1642(日本化薬製)も使用することができる。
【0035】
一般に顔料を分散する際には分散剤、分散助剤を使用する。顔料に対して良好な吸着性を有する色素系分散剤、樹脂系分散剤や界面活性剤等がある。例えば、色素系分散剤としては上記の特許文献4にあるような顔料のスルホン化物あるいはその金属塩を顔料と混和する方法や置換アミノメチル誘導体を混和する方法等が公知技術として知られている。樹脂系分散剤としては無極性のノニオン系のものもあるが、良好な顔料吸着性を付す酸価、アミン価等を有する高分子樹脂が一般的であり、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカルボン酸、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。その具体例としては、例えば、ED211(楠本化成製)、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ製)ソルスパース71000(アビシア製)等が挙げられる。
【0036】
本発明で用いられるバインダー樹脂(共重合体)を製造する場合は、重合開始剤を使用する。ここで共重合体を合成するときに使用される重合開始剤の具体例としては、α,α’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、t−ブチルパーオクトエート、ジ−t−ブチルパーオキシド過酸化ベンゾイルメチルエチルケトンパーオキシド等を挙げることができる。重合開始剤の使用割合は、共重合体の合成に使用する全ての単量体の合計に対して、0.01〜25質量部である。また、共重合体を合成する場合は、下記で説明する有機溶剤を使用するのが好ましいが、使用する単官能のモノマーや重合開始剤等に対して十分な溶解力を有するものを使用する。共重合体を合成するときの反応温度は50〜120℃であることが好ましく、特に好ましくは80〜100℃である。また、反応時間は1〜60時間であることが好ましく、より好ましくは3〜20時間である。共重合体の好ましい酸価は10〜300(mgKOH/g)であり、好ましい水酸基価は10〜200(mgKOH/g)である。酸価もしくは水酸基価が10以下の場合は現像性が低下する。共重合体の重量平均分子量(Mw)は2000〜400000が好ましく、3000〜100000がより好ましい。この重量平均分子量が2000以下、あるいは400000以上では、感度および現像性等が低下する。
【0037】
本発明において、前記バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明におけるバインダー樹脂の含有量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、通常、0.5〜99質量部、好ましくは5〜50質量部である。この場合、バインダー樹脂の含有量が0.5質量部未満では、アルカリ現像性が低下したり、画素が形成される部分以外の領域での地汚れや膜残り等の問題が発生する可能性がある。
【0038】
本発明で使用する硬化剤としては、ラジカル重合の場合は光重合モノマー、イオン硬化の場合はエポキシ樹脂、その他にメラミン硬化剤等が挙げられる。これらの具体例は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−F型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−フルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、9,9−ビス〔4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕フルオレン、カヤラッドRP−1040(日本化薬製)、カヤラッドDPCA−30(日本化薬製)、UA−33H(新中村化学製)、UA−53H(新中村化学製)、M−8060(東亞合成製);チオール系重合モノマーとして、TEMPIC(堺化学製)、TMMP(堺化学製)、PEMP(堺化学製)、DPMP(堺化学製);エポキシ樹脂としては、日本化薬製品のNC―6000、NC−3000、EOCN−1020、XD−1000、EPPN−501H、BREN−S、NC−7300L、ダイセル化学製品のセロキサイト2021P、EHPE3150、サイクロマーM100、エポリードPB3600、ジャパンエポキシレジン製品のエピコート828、エピコートYX8000、エピコートYX4000、サイラエースS510(チッソ)、TEPIC(日産化学工業)等;メラミン硬化剤としてはメチロール化メラミンやMw−30(三和ケミカル)等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの含有量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して1〜80質量部、好ましくは5〜30質量部である。
【0039】
本発明の着色樹脂組成物中の必須成分以外に併用できる色素は、カラーフィルターに適合する分光特性を有するものが好ましく、染料、有機顔料、無機顔料の中から適宜選択することが出来、必要に応じて単独又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの含有量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して0〜60質量部、好ましくは5〜30質量部である。これらの各種顔料および染料について以下に示す。
【0040】
本発明の着色樹脂組成物中の必須成分以外に併用できる有機顔料としては特に制限はないが、例えば、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリフェニルメタン系、ベンゾイミダゾロン系、キナクリドン系、アゾキレート系、アゾ系、イソインドリン系、イソインドリノン系、ピランスロン系、インダスロン系、アンスラピリミジン系、ジブロモアンザンスロン系、フラバンスロン系、ペリレン系、ペリノン系、キノフタロン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、キサンテン系等の顔料;酸性染料、塩基性染料、直接染料等をそれぞれの沈澱剤で不溶化したレーキ顔料、染付けレーキ顔料等が挙げられる。より具体的にはカラーインデックスで、例えば、ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79、ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50、ピグメントバイオレット3、4、27,39、ピグメントレッド7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、81:5、122、146、168、177、178、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279、ピグメントオレンジ43、71、73、ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、ピグメントグリーン7、36、58、等が挙げられる。中でも色相や耐性等が良好である、ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、75、76、79等の金属フタロシアニン顔料;ピグメントバイオレット23、ピグメントレッド177、254、ピグメントイエロー83、138、139、150が好ましく、特に銅フタロシアニン顔料のピグメントブルー15:6が好ましい。
【0041】
本発明の着色樹脂組成物中の必須成分以外に併用できる無機顔料としては特に制限はないが、例えば、複合金属酸化物顔料、カーボンブラック、黒色低次酸化チタン、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、ベンガラ、群青、紺青、酸化クロム、アンチモン白、鉄黒、鉛丹、硫化亜鉛、カドニウムエロー、カドニウムレッド、亜鉛、マンガン紫、コバルト紫、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等の金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩等が挙げられる。
【0042】
本発明の着色樹脂組成物中の必須成分以外に併用できる染料は特に制限はなく、酸性染料、塩基性染料、直接染料、硫化染料、建染染料、ナフトール染料、反応染料、分散染料等が挙げられる。中でも有機溶剤に可溶なものであれば良いが、有機溶剤に不溶な染料でも分散体とする事で適宜使用することができる。有機溶剤に不溶な染料はよく知られた処方として、例えば酸性染料の場合は、有機アミン化合物(例えばn−プロピルアミン、エチルヘキシルプロピオン酸アミン等)を反応させアミン塩染料に変性するか、又はそのスルホン酸基に同有機アミン化合物を反応させてスルホンアミド基を有する染料等に変性することが知られている。それらアミン変性した染料も本発明の着色樹脂組成物に使用可能である。その具体的な染料としては、カラーインデックスで、例えばC.I.ナンバーのベーシックブルー7、アシッドブルー1、7、9、15、18、23、25、27、29、40、42、45、51、62、70、80、83、86、87、90,92,96,103,112,113,120,129,138,147,150,158,171,182,192,210,242,243,249、256,259,267,278,280,285,290,296,315,324,335,340、ベーシックブルー7、11、15、26、ソルベントブルー2、3、4、5、6、23、25、35、37、38、43、55、59、67、72、124、ベーシックバイオレット10、アシッドバイオレット17、49、ソルベントバイオレット4、5、14、ベーシックレッド1、10、29、アシッドレッド91、92、97、114、138、151、289、ソルベントレッド45、49、127、アシッドイエロー17、23、25、29、38、40、42、76、ソルベントイエロー4、14、15、24、76、81、82、94、98、162、ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56、アシッドグリーン9、16、等が挙げられる。
【0043】
フォトグラフィー法に用いられる本発明の着色樹脂組成物に用いられる光重合開始剤としては、露光光源として一般的に用いられる超高圧水銀灯から射出される紫外線に充分感度を有するものが好ましく、ラジカル重合性の光ラジカル開始剤、イオン硬化性の光酸発生剤もしくは光塩基発生剤等が挙げられる。光重合では、より少ない露光エネルギーで硬化をさせるような増感剤と呼ばれる重合促進剤の成分を組み合わせて使用することができる。使用できる光重合開始剤は特に制限は無いが、具体例としては、ベンジル、ベンゾインエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸のエステル化物、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、ベンジルジメチルケタール、2−ブトキシエチル−4−メチルアミノベンゾエート、クロロチオキサントン、メチルチオキサントン、エチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、ジメチルアミノメチルベンゾエート、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4−ビス(トリブロモメチル)−6−(4’−メトキシフェニル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1,3−ベンゾジオキソラン−5−イル)−1,3,5−s−トリアジン、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート、1−(4−メチルスルファニルフェニル)ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−アセタート、1−(4−メチルスルファニルフェニル)ブタン−1−オンオキシム−O−アセタート、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、2,2’−ビス(O−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、ジアゾナフトキノン系開始剤、また市販のカヤキュアーDMBI、カヤキュアーBDMK、カヤキュアーBP−100、カヤキュアーBMBI、カヤキュアーDETX−S、カヤキュアーEPA(いずれも日本化薬製)、ダロキュアー1173、ダロキュアー1116(いずれもメルクジャパン製)、イルガキュアー907、イルガキュアー369(BASFジャパン製)、イルガキュアー379EG(BASFジャパン製)、イルガキュアーOXE−01(BASFジャパン製)、イルガキュアーOXE−02(BASFジャパン製)、イルガキュアーPAG103(BASFジャパン製)、TME−トリアジン(三和ケミカル製)、ビイミダゾール(黒金化成製)、STR−110、STR−1(いずれもレスペケミカル製)等が挙げられる。
【0044】
インクジェット法等で用いられる熱硬化性樹脂組成物の場合は、一般に熱重合開始剤を用いるが、必要により光重合開始剤と併用しても良い。熱重合開始剤としてはアゾ系化合物や有機過酸化物系のものがあるが、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ジ−t−ブチル、ジベンゾイルパーオキシド、クミルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。
【0045】
これらの開始剤は、必要に応じて単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの含有量は、着色樹脂性組成物の固形分を100質量部としたとき0.5〜50質量部、好ましくは1〜25質量部である。
【0046】
本発明に用いる有機溶剤は、着色樹脂組成物の構成成分であるバインダー樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤等に対して十分な溶解力を有し、バインダー樹脂の合成に用いる単官能のモノマーや重合開始剤等に対しても十分な溶解力を有するものが使用できる。また、顔料分散体を作成する際にも分散安定性を保つことができるものが使用できる。
【0047】
本発明に用いる有機溶剤は、使用可能であれば、特に制限はないが、具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等のベンゼン類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ酢酸エステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル類;メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のプロピオン酸エステル類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、等が挙げられる。
【0048】
これらは単独もしくは2種以上組み合わせて使用してもよい。また、有機溶剤の使用量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して好ましくは40〜10000質量部であり、100〜1000質量部がより好ましい。
【0049】
本発明の着色樹脂組成物は、前記の、バインダー樹脂、硬化剤、特定の色材化合物、有機溶剤等を、ディゾルバーやホモミキサー等により混合撹拌して製造される。又、必要に応じて他の顔料や染料を加えることもできるが、顔料や溶解性の低い染料である場合は、適当な分散剤を用いてペイントシェーカー等の分散機により分散体を得て、着色樹脂組成物に加えて混合される。
【0050】
本発明の着色樹脂組成物は、必要に応じて、さらに各種添加剤、例えば、充填剤、界面活性剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、重合防止剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を添加することができる。又、本発明の着色樹脂組成物は、その調製後に異物等を取り除くためフィルター等で精密濾過することも出来る。
【0051】
次に本発明の着色樹脂組成物からその硬化物を調製する方法について説明する。先ず、本発明の着色樹脂組成物をガラス基板、シリコン基板等の基板上に、スピンコート法、ロールコート法、スリットアンドスピン法、ダイコート法、バーコート法等の方法で、膜厚が約0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜5μmになるように塗布し、必要に応じて、減圧チャンバー内で、乾燥条件、温度23〜150℃下で時間1〜60分、より好ましくは温度60〜120℃下で時間1〜10分で減圧乾燥を行い、さらにホットプレートもしくはクリーンオーブン等でプリベーク処理を行い製膜する。次に一般的なフォトリソグラフィー法により所定のマスクパターンを通して放射線(例えば電子線や紫外線、好ましくは紫外線が挙げられる)を照射し、界面活性剤水溶液、アルカリ水溶液、又は界面活性剤とアルカリ剤の混合水溶液で現像する。現像方式には、ディップ法、スプレー法、シャワー法、パドル法、超音波現像法等があるが、これらのいずれかを組み合わせても良い。現像により未照射部を取り除き、水でリンスした後にポストベーク処理、処理は例えば、温度130〜300℃下で時間1〜120分、より好ましくは温度150〜250℃下で時間1〜30分の条件で行い、本発明の着色硬化膜からなる画素を得る。
【0052】
上記において界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が使用出来る。又、アルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が使用される。本発明においては、アルカリ剤と界面活性剤の両方を含む水溶液の使用が好ましい。現像は、通常10〜50℃、好ましくは20〜40℃の処理温度下で、通常30〜600秒、好ましくは30〜120秒の処理時間で行われる。
【0053】
本発明の着色樹脂組成物の硬化物は液晶表示装置、有機ELディスプレイ、あるいはデジタルカメラ等に使用される固体撮像素子、等に好適なカラーフィルターとして有用であり、そのカラーフィルターは前記のようにして調製された本発明の着色樹脂組成物の硬化物からなるパターン化された画素を有する。
【0054】
本発明の表示装置のうち、液晶表示装置は、例えばバックライト、偏光フィルム、表示電極、液晶、配向膜、共通電極、本発明のカラーフィルター、偏光フィルム等がこの順に積層した構造で作製される。有機ELディスプレイは多層の有機発光素子の上もしくは下のどちらか一方に本発明のカラーフィルターを形成して作製される。また、固体撮像素子は、例えば、転送電極、フォトダイオードを設けたシリコンウエーハーの上に、本発明のカラーフィルター層を設け、ついでマイクロレンズを積層することにより作製される。
【実施例】
【0055】
以下実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものでは無い。また、分光特性を分光光度計「島津製作所UV−3150」により分光透過率を測定し、XYZ表色系における色度を算出し、着色体の耐性を評価した。
【0056】
合成例1
100mlビーカーに、下記式(100)のローダミンB(東京化成工業製)1g、水20gを仕込み、常温で30分間攪拌した。これにDMF1gにトリストリフルオロメタンスルホニルメチド(TFSM)のセシウム塩1gを溶解させた溶液を滴下し、3時間攪拌した。析出した染料をろ取、水洗、乾燥し、ローダミンBのTFSM塩である化合物No.1を0.7g得た。極大吸収波長:560nm(シクロヘキサノン)
【化2】
【0057】
合成例2
100mlビーカーに、下記式(101)のローダミン6G(東京化成工業製)1g、水20gを仕込み、常温で30分間攪拌した。これにDMF1gにトリストリフルオロメタンスルホニルメチドのセシウム塩1gを溶解させた溶液を滴下し、3時間攪拌した。析出した染料をろ取、水洗、乾燥し、ローダミン6GのTFSM塩である化合物No.2を0.8g得た。極大吸収波長:531nm(シクロヘキサノン)
【化3】
【0058】
合成例3 (バインダー樹脂(共重合体)の調製)
500mlの四つ口フラスコにメチルエチルケトン160g、メタクリル酸10g、ベンジルメタクリレート33g、α,α’−アゾビス(イソブチロニトリル)1gを仕込み、攪拌しながら30分間窒素ガスをフラスコ内に流入した。その後、80℃まで昇温し、80〜85℃でそのまま4時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、無色透明で均一な共重合体溶液を得た。これをイソプロピルアルコールと水の1:1混合溶液中で沈殿させ、濾過し、固形分を取り出し、乾燥させ、共重合体(A)を得た。得られた共重合体(A)のポリスチレン換算重量平均分子量は18000であり、酸価は152であった。
【0059】
実施例1
バインダー樹脂として共重合体(A)5.4g、光重合性モノマーとしてカヤラッドDPHA(日本化薬製)6g、光重合開始剤としてイルガキュアー907(BASFジャパン製)1.5gおよびカヤキュアーDETX−S(日本化薬製)0.6g、染料として合成例1の化合物No.1を0.6g、溶剤としてシクロヘキサノン20gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8.6g、それぞれを混合し、本発明のバイオレット色の着色樹脂組成物を得た。
【0060】
実施例2〜3については以下の通りとした。
実施例2:合成例1の化合物No.1を合成例2の化合物No.2に変更する以外は実施例1と同じ組成とし、赤色の着色樹脂組成物を得た。
実施例3:C.I.ピグメントブルー15:6/アジスパーPB821/ソルスパース5000/PGMEA=15.0/6.0/1.0/78.0(質量比)の組成比で混合した後、0.3mmジルコニアビーズ400gを添加し、ペイントシェーカーで60分間処理を行い、ろ過することにより、顔料分散液1を得た。実施例1に顔料分散液1を19g加えて、本発明の着色樹脂組成物を得た。
【0061】
比較例1:合成例1の化合物No.1をローダミンBに変更する以外は実施例1と同じ組成とし、バイオレット色の着色樹脂組成物を得た。
比較例2:合成例1の化合物No.1をローダミン6Gに変更する以外は実施例1と同じ組成とし、赤色の着色樹脂組成物を得た。
比較例3:合成例1の化合物No.1をBasic Blue 7に変更する以外は実施例1と同じ組成とし、青色の着色樹脂組成物を得た。
【0062】
パターニング評価
上記で得られた着色樹脂組成物(実施例1〜3)を前記基板上に塗布し、80℃×100秒の条件でプレベークした後、マスクを介して露光による硬化後、界面活性剤を含有するアルカリ水溶液で現像し、水でリンス後、200℃にて加熱し着色パターンを得た。得られた着色パターンは、ラインアンドスペースにて5μm角の解像性を持ち、残渣、画素の剥がれ等は確認されなかった。
【0063】
耐熱性評価について
耐熱性評価用の基板は、前記と同様にガラス基板に各組成物を塗布し、全面露光を行い、ポストベーク処理(200℃×5分)をして作成した。その後、以下に記載の通りに各評価を行った。耐熱性は、評価用基板を分光光度計により透過率を測定し、次いで200℃で120分間処理した後、再び分光透過率を測定し、色差(ΔEab)を算出して評価した。耐熱性の結果を表2に示した。
【0064】
【表2】
比較例1では耐熱処理前のポストベーク処理中に色素の消色が認められ、耐熱性が著しく劣る結果となった。
【0065】
表2は耐熱性の評価結果であるが、本発明の実施例1〜3は比較例2及び3の従来型の染料に比較して、耐熱性は著しく向上している。実施例3については顔料を併用したものであるが、青色や赤色等の様々な色特性を有する本発明の色材化合物と顔料を混合しても特に析出することなく良好な結果を示している。
【0066】
以上より、本発明は、特定の色材化合物を用いた着色樹脂組成物によりカラーフィルターを形成することができ、得られたカラーフィルターは染料でありながら十分な耐性を有しているので高品位で信頼性の高い鮮明な画素を得ることができる。また用途に応じて顔料や他の染料とも良好に混ぜ合わせて使用することができ、産業上価値の高いことが分かった。