特許第5750056号(P5750056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750056
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】1
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2012-5895(P2012-5895)
(22)【出願日】2012年1月16日
(62)【分割の表示】特願2007-44931(P2007-44931)の分割
【原出願日】2007年2月26日
(65)【公開番号】特開2012-96065(P2012-96065A)
(43)【公開日】2012年5月24日
【審査請求日】2012年1月16日
【審判番号】不服2013-24520(P2013-24520/J1)
【審判請求日】2013年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100126413
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 太亮
(72)【発明者】
【氏名】小倉 一之
【合議体】
【審判長】 吉村 尚
【審判官】 平城 俊雅
【審判官】 瀬津 太朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−204537(JP,A)
【文献】 特開2004−41495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に設置された、遊技球が入賞可能な特別図柄始動入賞装置と、
前記特別図柄始動入賞装置への前記入賞を検知する特別図柄始動入賞検知手段と、
前記特別図柄始動入賞検知手段が前記入賞を検知したことに基づいて図柄変動ゲームを実行可能な特別図柄表示装置と、
前記特別図柄表示装置にて実行可能な前記図柄変動ゲームを制御する特別図柄表示制御手段と、を備え、
前記図柄変動ゲームの結果が、あらかじめ定められた大当り表示結果となったことに関連して大当り遊技状態が付与される遊技機において、
前記図柄変動ゲームの最終停止形態である停止表示パターンを複数記憶する記憶手段を備え、
前記特別図柄表示装置にて実行可能な図柄変動ゲームにおいて、前記記憶手段に記憶された複数の停止表示パターンのうちの一部の停止表示パターンを用いて変動表示が行われ、
前記図柄変動ゲームは、前記記憶手段に記憶されたすべての停止表示パターンのうちからあらかじめ定められた停止表示パターンを予め定められた順序に基づいて変動表示させて行われ、
前記図柄変動ゲームの後の前記大当り表示結果の停止表示は、乱数の値に基づいて行われると共に、前記記憶手段に記憶されたすべての停止表示パターンのうちのいずれかを用いて行われることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機など、遊技球の入賞に基づいて変動表示する特別図柄の表示結果と関連して大当り遊技状態が遊技者に与えられる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機のひとつであるパチンコ機では、発射された遊技球が特別図柄始動入賞装置(スタートチャッカー)に入賞したことを契機として、特別図柄が変動する特別図柄変動ゲームが行われる。現行のパチンコ機では、特別図柄を所定時間にわたって変動表示させた後に、その表示結果として、何らかの表示パターンにて最終的に停止表示させることによって1回の特別図柄変動ゲームが終了する。
【0003】
変動表示の表示結果として表示された特別図柄が、あらかじめ定められた大当り表示結果となった場合には、遊技者には大当り遊技状態が付与され、多数の賞球の獲得が期待されることとなる。また多くのパチンコ機では、大当り遊技状態が付与される特別図柄の表示パターンのうち、さらに特定のものが停止表示された場合には、大当り遊技状態が付与される確率が以降の遊技において高確率となる確率変動状態や、特別図柄始動入賞装置に遊技球が入賞しやすくなるように開閉羽根が開放されやすくなる時短状態が付与される。
【0004】
また一般的なパチンコ機では、上記特別図柄のほか、多様な演出を行って遊技者の興趣を喚起するための演出図柄が用意されている。近年では、遊技盤の中央に設置された大きな液晶表示装置によって演出図柄を華々しく変動させて遊技を演出することが通常である。
【0005】
大当り遊技状態が与えられるか否かの抽選(大当り判定)の結果を表示する特別図柄に関し、現行のパチンコ機では、(a)特別図柄の変動表示および停止表示は主制御基板のメインCPUで制御され、(b)当選する大当り遊技状態の内容が上記確率変動状態や時短状態を伴うか否かなど複数通りに存在する場合は、それぞれを異なる表示パターンによって表示しわけており、(c)特別図柄変動ゲームの途中では変動表示を停止させていなかった。
【0006】
したがって、特別図柄表示装置と演出図柄表示装置とを分け、メインCPUで前者を、サブCPU(演出CPU)で後者をそれぞれ制御することでCPU負荷を分散させることができる。また特別図柄を設けることにより、例えば確率変動状態が付与されない演出図柄をまず停止表示させて大当り遊技を開始させ、確率変動状態が付与されるか否かについては、大当り遊技中の演出図柄の表示内容によって遊技者に知覚させるといった演出も可能となる。なお、かかる演出を行う場合も、特別図柄表示装置で停止表示される特別図柄を見れば、例えば確率変動状態が付与される大当りであるか否かが識別可能である。このため、特にかかる演出を行う場合は、付与された大当り遊技状態の内容が如何なるものであるかを遊技者が特別図柄から容易に察知して興醒めとならないよう、特別図柄の停止表示パターンは多数用意される。
【0007】
このため従来のパチンコ機では、演出図柄表示装置は遊技者に最も目に付くように遊技盤の中央位置に設置し、特別図柄表示装置は演出図柄表示装置と比して目立たない位置にLEDや7セグメントを配置して構成するのが一般的である。また特別図柄と演出図柄とを備えるパチンコ機では、特別図柄の変動開始と同時に演出図柄も変動を開始し、演出図柄の停止と同時に特別図柄も停止するよう制御されるため、演出図柄における演出を注視する遊技者の視線が特別図柄に集まることは通常ない。
【0008】
下記特許文献1に記載の遊技機における特別図柄表示装置は、センター役物の下縁部に設けられた4つのLEDにより構成されている。この4つのLEDを各々点灯・消灯させることで全16通り(全消灯の場合を除くと表示パターンは15通り)の特別図柄を形成し、変動開始から40msec毎に図柄を順次更新させることで特別図柄変動ゲームを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−122358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、演出図柄表示装置に遊技者の視線を集中させるべく特別図柄表示装置を目立たない位置に配置したとしても、特に熟練した遊技者の場合は特別図柄表示装置による特別図柄変動ゲームの結果を注視することがある。また目立たない位置に配置するとはいえ、特別図柄表示装置で行われる特別図柄変動ゲーム、特に動きのある変動表示の態様は、遊技機全体の美感を創出するための重要な一要素となる。
【0011】
また上記特許文献1に記載の遊技機の場合は、特別図柄のすべての停止表示パターンを順次切り替えて表示することで変動表示が行われることから、特別図柄変動ゲーム中の演出が寂しいものとはならないが、変動する特別図柄の表示順が無作為であるため、これを見た遊技者に乱雑な印象を与え、やはり見た目上の美感に乏しいものであった。
特別図柄の停止表示パターンは上述のように、付与される大当り遊技状態の種類数や演出の態様に応じて多数用意されることから、これらを連続的に表示させつつ遊技者に美感を与えるよう表示順を決定することは容易ではなく、また変動表示パターンを主制御基板のメインROMに設定する作業量が膨大となってしまうという問題がある。
特に遊技内容がますます多様化しつつある近年の遊技機では、停止表示され得る特別図柄の図柄数も増大の傾向にある。
【0012】
そこで本発明は、かかる多様性を当該特別図柄の変動表示にもたせつつ、特別図柄の図柄数が増大した場合にも、その変動表示パターンを設定する作業量を膨大なものとすることのない遊技機を提供することを目的とする。本発明の他の目的については以下の説明から明らかとなろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、
(1)遊技盤に設置された、遊技球が入賞可能な特別図柄始動入賞装置と、前記特別図柄始動入賞装置への前記入賞を検知する特別図柄始動入賞検知手段と、前記特別図柄始動入賞検知手段が前記入賞を検知したことに基づいて図柄変動ゲームを実行可能な特別図柄表示装置と、前記特別図柄表示装置にて実行可能な前記図柄変動ゲームを制御する特別図柄表示制御手段と、を備え、前記図柄変動ゲームの結果が、あらかじめ定められた大当り表示結果となったことに関連して大当り遊技状態が付与される遊技機において、前記図柄変動ゲームの最終停止形態である停止表示パターンを複数記憶する記憶手段を備え、前記特別図柄表示装置にて実行可能な図柄変動ゲームにおいて、前記記憶手段に記憶された複数の停止表示パターンのうちの一部の停止表示パターンを用いて変動表示が行われ、前記図柄変動ゲームは、前記記憶手段に記憶されたすべての停止表示パターンのうちからあらかじめ定められた停止表示パターンを予め定められた順序に基づいて変動表示させて行われ、前記図柄変動ゲームの後の前記大当り表示結果の停止表示は、乱数の値に基づいて行われると共に、前記記憶手段に記憶されたすべての停止表示パターンのうちのいずれかを用いて行われることを特徴とする遊技機;
を要旨とする。
【0014】
また本発明においては、さらに具体的な態様として、
(2)特別図柄表示装置における特別図柄の変動表示の表示結果として、前記あらかじめ定められた大当り表示結果のうちの一の表示パターンが表示される場合と、他の表示パターンが表示される場合とで、前記演出図柄表示装置にて同一の演出図柄が表示されることを特徴とする上記(1)記載の遊技機;
によっても上記本発明の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の遊技機によれば、複数種類の特別図柄を変動表示させることで、特別図柄変動ゲーム中の多様な演出を可能にしつつ、変動表示または停止表示され得る特別図柄の一部のみを選択して変動表示に用いることで、特別図柄の美感ある表示演出を容易な設定で実現することができる。
すなわち本発明によれば、停止表示パターンの数や態様に必ずしもとらわれることなく、美感が創出されると考えられる比較的少数の表示パターンとその表示順を予め選定して変動表示パターンを設定しておくことにより、特別図柄の停止表示パターンの内容や数の大小によらず、美感を持ってこれを変動表示させることができ、また変動表示パターンを設定する作業量が膨大となることがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】パチンコ機10の機表側の模式図である。
図2】パチンコ機10の遊技盤13の正面図である。
図3】表示器60の斜視図である。
図4】表示器60の正面図である。
図5】(a)は表示装置設置領域61の拡大図、(b)は特別図柄表示装置30を構成するLEDと、普通図柄表示装置50を構成するLEDのみ示す模式図である。
図6】(a)〜(f)は特別図柄を変動表示させる特別図柄表示装置30の表示形態を示す模式図である。
図7】パチンコ機10の制御構成を示すブロック図である。
図8】メインCPU26aで行うタイマ割込み処理のフローチャートである。
図9】入力処理サブルーチンのフローチャートである。
図10】特別図柄表示処理サブルーチンのフローチャートである。
図11】変動表示開始処理サブルーチンのフローチャートである。
図12】特別図柄表示番号設定処理サブルーチンのフローチャートである。
図13】変動表示終了処理サブルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の遊技機として、パチンコ遊技機(以下、パチンコ機という。)を例にとり、本発明を実施するための最良の形態について以下図面を用いて具体的に説明する。ただし本発明の遊技機としてはパチンコ機のほか、アレンジボール機等であってもよい。また以下の説明において、上下左右方向とは図1に示すように遊技盤13に正対した場合の当該方向を指すものであり、前方は遊技盤13の手前側、後方は遊技盤13の奥側をそれぞれ意味する。
【0018】
<パチンコ機の基本構成について>
図1は、パチンコ機10の機表側の模式図である。図2は、多数の釘(図示せず)によって遊技球の流れに変化を与えつつ転動させる経路が形成された遊技盤13の正面図である。
【0019】
縦長矩形状の機体の外郭をなす外枠11の開口前面側には、各種構成部材を装着する中枠12が開閉自在に組み付けられている。中枠12の前面側には、機内を透視可能に保護する保護ガラス等が装着された前枠14と、上球皿15がそれぞれ横開きに開閉可能に組み付けられている。前枠14を通じて視認される遊技盤13は中枠12に装着されるが、図1では図示を省略している。また外枠11、中枠12および前枠14は、施錠装置42によって互いに閉止される。
【0020】
前枠14の前面側や遊技盤13の遊技領域13aには、点灯または点滅して発光演出を行うLEDなどの装飾ランプ16が設けられている。外枠11の下部などには、各種音声を出力して音声演出を行うスピーカ17が収納されている。中枠12の下部には、上球皿15から溢れた遊技球の受け皿である下球皿18と、遊技領域13aに遊技球を発射する弾球装置19が装着されている。
【0021】
パチンコ機10の機内に配設された遊技盤13には、図2に示すように、その盤面に略円形状に湾曲形成したレール41が配設されて、該レール41の内部に遊技領域13aが画成されている。そして弾球装置19を操作することにより、上球皿15に貯留されている遊技球がレール41に沿って遊技領域13aに打ち出されて、該遊技領域13aを流下する。
【0022】
遊技盤13の遊技領域13aの略中央には、液晶ディスプレイ型のゲーム表示手段としての演出図柄表示装置40を備えた装飾部材としてのセンター役物20が設けられ、各種の装飾部品により遊技盤13を装飾するとともに、変動画像または画像表示に基づく各種の表示演出、特に複数種類の演出図柄を変動させて表示する演出図柄変動演出や発光演出、および変動する図柄を組み合わせる図柄組合せゲームが行われる。
【0023】
センター役物20の内側下部にはステージ48が形成されている。ステージ48上で左右に揺動した遊技球は、ステージに設けられた複数の球出口から再び遊技領域13aへと誘導される。この複数の球出口のうち少なくとも一つの球出口へと誘導された遊技球は、ステージ下方に開口形成された特別図柄始動入賞装置(始動口)22へ入賞しやすくなっている。本実施形態のパチンコ機10では、始動口は上下に二つ設けられている。上側の始動口22aには、ステージ48の球出口から落下した遊技球と、ステージ48を経由せずに遊技領域13aを転動流下してきた遊技球が常に入賞可能となっている。また、下側の始動口22bは後述するようにアクチュエータ(図示せず)によって開閉羽根21(図2参照)が開放されることによって入賞可能となる。
【0024】
始動口22a,22bには、入賞した遊技球を電磁的に検知する特別図柄始動入賞検知手段(入賞検知スイッチ)が設けられており(図7を参照)、該入賞検知スイッチにて検出された遊技球は、遊技盤13の奥方で合流し、図示しない機外排出経路を介してパチンコ機10の機外へと排出される。また入賞検知スイッチが遊技球を検知したことを契機として、演出図柄表示装置40では図柄組合せゲームが行われ、例えば「777」などの組み合わせが揃った場合には、遊技者に有利な大当り遊技状態が付与される。演出図柄表示装置40で実行される演出表示は、後述するように表示制御基板28(図7を参照)によって制御される。
【0025】
遊技盤13には、遊技者が視認できる位置に特別図柄表示装置30が設けられている。入賞検知スイッチが遊技球の入賞を検知すると、演出図柄表示装置40による図柄組合せゲームの開始と同時に特別図柄表示装置30においては特別図柄変動ゲームが開始され、所定時間の演出動作の後、演出図柄の確定停止と同時に、特別図柄も所定の表示パターンにて停止表示される。特別図柄表示装置30における特別図柄の変動表示および停止表示は、後述するようにメインCPU26a,メインROM26bおよびメインRAM26cを備える主制御基板26(図7を参照)によって制御される。すなわち主制御基板26が、特別図柄表示制御手段としての機能を有している。
【0026】
始動口22a,22bの下方には、図示しないアクチュエータの作動により開閉動作を行う大入賞口扉23を備えた大入賞口24が配設されている。そして、大当り遊技状態が付与されると、大入賞口扉23の開動作によって大入賞口24が開放されて遊技球が入賞可能となるため、遊技者は多数の賞球が獲得できるチャンスを得ることができる。
【0027】
始動口22bの左右には、アクチュエータ(図示せず)の作動によって揺動する一対の開閉羽根21が設けられている。このため、開閉羽根21の上側を開放して逆ハの字状とすることで遊技球は始動口22bに入賞しやすくなり、逆に上側を閉めてハの字状にすることで始動口22bへの入賞が不可能となる。
【0028】
開閉羽根21の開放動作は、遊技領域13aに設置された普通図柄始動装置(ゲート)25を遊技球が通過したことを契機として行われる。ゲート25は、遊技球がその内部を通過したことを電磁的に検知する検知スイッチを普通図柄始動検知手段として備えており、遊技球がゲート25を通過すると、パチンコ機10の内部では普通図柄表示制御手段によって抽選がおこなわれ、これに当選した場合は所定時間にわたって開閉羽根21が開放される。
なお、本発明に用いる普通図柄始動検知手段には、遊技球が自身の内部を通過したことを検知する上記ゲート式の検知スイッチのほか、特定の領域を遊技球が通過したことを検知する近接スイッチを用いてもよい。
【0029】
一方、遊技盤13には遊技者が視認できる位置に普通図柄表示装置50が設けられている。
遊技球がゲート25を通過したことを普通図柄始動検知手段が検知すると、普通図柄表示装置50では普通図柄の変動表示が行われる。本実施形態のパチンコ機10では、普通図柄を複数通りに変動表示させた後に所定の表示パターンで停止表示させる普通図柄変動ゲームが実施される。普通図柄変動ゲームの結果、普通図柄が所定の表示パターンにて停止表示されることで、遊技者は普通図柄変動ゲームにおける抽選結果を知ることができる。抽選結果が当選であった場合は、開閉羽根21が開放状態となって始動口22bへの遊技球の入賞確率が上昇する。
【0030】
普通図柄の変動表示および停止表示を制御する普通図柄表示制御手段は、本実施形態のパチンコ機10の場合、主制御基板26によって実現されている。すなわち主制御基板26は、特別図柄表示制御手段としての処理機能と、普通図柄表示制御手段としての処理機能とを併せ持っている。
【0031】
なお遊技領域13aには、遊技球の入賞によって賞球が払い戻される一般入賞口55が一つまたは複数設けられていてもよい。
【0032】
<特別図柄表示装置および普通図柄表示装置について>
本実施形態の特別図柄表示装置30は、LEDなどの発光素子を複数個組み合わせて構成されている。ただし本発明においてはこのほか、7セグメントや液晶ディスプレイ、または機械的に駆動される可動体を特別図柄表示装置30に用いることもできる。
また本実施形態の普通図柄表示装置50もまた、LEDなどの発光素子を複数個組み合わせてなる。
【0033】
図3は、特別図柄表示装置30と普通図柄表示装置50とを互いに隣接して備える表示器60の斜視図である。表示器60は、ベース63の表面側に表示装置設置領域61、装飾62、および二つの一般入賞口55を備え、裏面側にLED基板64を備えている。ベース63には複数の通孔65が設けられており、ネジなどの緊締具によってベース63を遊技盤13に固定することができる。すなわちベース63を遊技盤13に装着することによって、遊技盤13には表示装置設置領域61が区画形成されることとなる。
【0034】
図4は表示器60の正面図である。表示器60には、円形などに区画形成された表示装置設置領域61の内側に特別図柄表示装置30を構成するLEDと普通図柄表示装置50を形成するLEDとがともに配置されている。表示装置設置領域61内には17個のLEDが互いの間を仕切りなどで隔てることなく並べて配置されており、そのうち7つが特別図柄表示装置30を、2つが普通図柄表示装置50を構成している。特別図柄表示装置30を構成する7つのLEDを便宜的に特別図柄表示LED30a〜30gとし、普通図柄表示装置50を構成する2つのLEDを普通図柄表示LED50a,50bとする。また17個のLEDのうち残る8個が、普通図柄記憶LED51(51a,51b)、特別図柄記憶LED31(31a,31b,31c,31d)、遊技状態表示LED32(32a,32b)として設けられている。
【0035】
普通図柄表示装置50は、2つの普通図柄表示LED50a,50bを備えることで、それぞれの点灯・消灯のパターンによって4通りの表示パターンを表示しわけることができる。したがって、普通図柄表示装置50では、普通図柄表示LED50a,50bがいずれも消灯している場合を除き最大3通りの普通図柄を変動表示および停止表示することができる。
同様に、特別図柄表示装置30は7つの特別図柄表示LED30a〜30gを備えることにより、2=128通りの表示パターンを表示しわけることができ、したがってすべての特別図柄表示LEDが消灯している場合を除き最大127通りの特別図柄を変動表示および停止表示することができる。すなわち、本実施形態においては、すべての特別図柄表示LEDが消灯している場合は表示パターンとして設定はしていない。
【0036】
本発明の遊技機は、特別図柄表示装置30に表示され得るすべての表示パターンの特別図柄のうち、一部のみを連続的に切換表示することによって変動表示を行うことを特徴とするものである。詳細については後述する。
【0037】
普通図柄記憶LED51は、ゲート25を通過した遊技球のストック数を表示するための表示装置であり、2つのLEDの点灯・消灯の態様によって、普通図柄変動ゲームを開始させるための当該遊技球の保留数(普通図柄始動保留数)を表示する。本実施形態のパチンコ機10における普通図柄変動ゲームでは最大4つの保留が可能となっており、保留数が1の場合は一方のLEDが点灯し、保留数が2の場合は両方のLEDが点灯し、保留数が3の場合は一方のLEDが点灯すると共に他方のLEDが点滅する。また保留数が4の場合は両方のLEDが点滅する。
【0038】
特別図柄記憶LED31は、始動口22a,22bに入賞した遊技球のストック数を表示するための表示装置であり、4つのLEDの点灯・消灯の態様によって、当該入賞球の保留数(始動保留数)を表示する。本実施形態のパチンコ機10における特別図柄変動ゲームでは最大4つの保留が可能となっており、その保留数に応じた数のLEDが点灯する。
【0039】
遊技状態表示LED32は、遊技状態が通常状態であるか、上述した確率変動状態や時短状態であるかどうか等を示すための表示装置である。
【0040】
これらのLEDは、図示のように同一形状のものを使用しても、一部または全部が互いに異なる形態のものを使用してもよい。
【0041】
このように特別図柄表示装置30と普通図柄表示装置50とを隣接して配置することで、遊技者に対して両者が配置構成上の観点から渾然一体化した印象を与えることができる。特に本実施形態のパチンコ機10のように、遊技盤13に区画形成された表示装置設置領域61内に特別図柄表示装置30と普通図柄表示装置50とを互いの間を隔てることなくともに配置することによって、かかる渾然一体化の効果が促進される。
【0042】
特別図柄表示装置30と普通図柄表示装置50とを配置構成上で渾然一体化させることで、遊技者はいずれのLEDが特別図柄表示装置30を構成するものであるかが瞬時には判断できず、演出図柄表示装置40の表示結果を待たずして特別図柄表示装置30によって大当り判定の結果を知得してしまうことを防いでいる。また、特別図柄表示装置30と普通図柄表示装置50とでそれぞれ行われる変動表示やその後の停止表示が見た目上で組み合わされるため、両者をあわせて統一感のある演出を実現することができる。
【0043】
表示器60は、さらに大当り遊技状態の継続長さ(獲得が期待される賞球の多寡)を表示するためのラウンド数表示LED66(66a,66b)や、装飾ランプ16としてのLEDを複数個備えている。
【0044】
図5(a)は表示装置設置領域61の拡大図、同図(b)は特別図柄表示装置30を構成するLEDと、普通図柄表示装置50を構成するLEDのみ示す模式図である。図示のように、普通図柄表示LED50aは特別図柄表示LED30gと30bとを結ぶ直線上にある。また普通図柄表示LED50bは特別図柄表示LED30fと30bとを結ぶ直線上にある。なお本発明で普通図柄表示LEDが当該直線上にあるとは、同LEDの一部が当該直線にかかっていることをいうものである。
【0045】
このように、普通図柄表示装置50を構成する発光素子のうちの少なくとも二の発光素子同士を結ぶ直線上に、特別図柄表示装置30を構成する発光素子を少なくとも一つ配置することにより、遊技者にとっては特別図柄表示LED30a〜30gと普通図柄表示LED50a,50bとを容易に識別することができなくなり、上記した特別図柄表示装置30と普通図柄表示装置50との渾然一体化の効果がさらに促進される。
【0046】
<特別図柄の表示パターンについて>
上述のように本発明の遊技機は、特別図柄の停止表示パターンを多数用意した場合も容易な設定により特別図柄の変動表示に多様性をもたせることを目的とする。
本実施形態のパチンコ機10は、図5各図に示すように特別図柄表示装置30として7個のLED(特別図柄表示LED30a〜30g)を備えており、そのいずれか一つ以上を点灯させることで最大127通りの特別図柄が表示可能である。変動表示を行う場合はLEDの点灯または消灯のパターンを連続的に切り換え、停止表示を行う場合はいずれか一つの表示パターンが表示された状態を所定時間保持すればよい。本実施形態のパチンコ機10の場合、特別図柄変動ゲームに当選した場合は大当り遊技状態の終了まで、同ゲームに外れた場合は次回の特別図柄変動ゲームが開始されるまで停止表示を継続することとしている。
【0047】
[停止表示について]
まず、特別図柄表示装置30で行う特別図柄変動ゲームの最終停止形態である停止表示パターンについて説明する。
特別図柄表示LED30a〜30gの具体的な停止表示パターンを下記表1および2に示す。本実施形態のパチンコ機10では、パターン0〜102までの103通りの停止表示パターンを特別図柄表示装置30で行うこととしている。停止表示時に点灯する特別図柄表示LEDを表中で「1」と記し、消灯するものを「0」と記している。
【0048】
表1,2に示す停止表示パターンは、メインROM26b(図7を参照)に設けられた特別図柄LEDパターンテーブルに格納され、後述するようにメインCPU26aが取得した乱数の値に基づいて所定のパターンが選択されて呼び出され、特別図柄表示装置30にて該当する特別図柄表示LEDを点灯および消灯させることで、特別図柄の停止表示がなされる。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
このように本実施形態のパチンコ機10は7個のLEDの点灯・消灯によって多数の表示パターンを表示し分けることができる。したがって、特別図柄変動ゲームの当選によって遊技者に付与され得る大当り遊技状態が例えば以下の5種類である場合、各大当りおよびハズレに対してそれぞれ一つまたは複数の特別図柄を割り当てることができる。
【0052】
(大当りA)当該大当り遊技状態で獲得が期待される賞球の数が多く(ラウンド数が多く)、かつ当該大当り遊技状態の終了後、次の大当り判定に当選するかまたは10000回の特別図柄変動ゲームが実行されるまで、確率変動状態と時短状態がともに付与される大当り;
(大当りB)当該大当り遊技状態で獲得が期待される賞球の数が多く(ラウンド数が多く)、かつ当該大当り遊技状態の終了後、次の大当り判定に当選するかまたは10000回の特別図柄変動ゲームが実行されるまで確率変動状態が付与され、同じく次の大当り判定に当選するかまたは100回の特別図柄変動ゲームが実行されるまで時短状態が付与される大当り;
(大当りC)当該大当り遊技状態で獲得が期待される賞球の数が少なく(ラウンド数が少なく)、かつ当該大当り遊技状態の終了後、次の大当り判定に当選するかまたは10000回の特別図柄変動ゲームが実行されるまで、確率変動状態と時短状態がともに付与される大当り;
(大当りD)当該大当り遊技状態で獲得が期待される賞球の数が少なく(ラウンド数が少なく)、かつ当該大当り遊技状態の終了後、次の大当り判定に当選するかまたは10000回の特別図柄変動ゲームが実行されるまで確率変動状態が付与され、一方、(d1)確率変動状態で当該大当り遊技状態が当選した場合は、次の大当り判定に当選するかまたは10000回の特別図柄変動ゲームが実行されるまで時短状態が付与され、(d2)非確率変動状態(通常状態)で当該大当り遊技状態が当選した場合は時短状態が付与されない大当り;
(大当りE)当該大当り遊技状態で獲得が期待される賞球の数が多く(ラウンド数が多く)、かつ当該大当り遊技状態の終了後、確率変動状態は付与されず、次の大当り判定に当選するかまたは100回の特別図柄変動ゲームが実行されるまで時短状態のみが付与される大当り。
【0053】
上記のように大当りを設定し、かつ大当り遊技状態中またはその終了後に、当該大当りによって確率変動状態が付与されたか否かが演出図柄表示装置40によっては遊技者に告知されないパチンコ機10の場合、大当りA,B,Eのいずれかを当選させた遊技者は、特別図柄の停止表示パターンを識別するか、または遊技状態表示LED32を見て遊技状態を確認する以外には、当該付与された大当り遊技状態が上記の3つのうちいずれであったかを知得できない場合がある。すなわち、大当り遊技状態のラウンド数の大小によって当該大当りがA,B,Eのいずれであるかを知った遊技者は、当該大当り遊技状態の終了後、100回の特別図柄変動ゲームが終了した時点で、時短状態がその後も継続するか否かという判断材料によって当該大当りが大当りAであったか、または大当りBもしくはEであったかということまでは知ることができるものの、後者の場合については、パチンコ機10の主制御基板26で抽選される特別図柄変動ゲームの当選確率が高確率(確率変動状態)であるか低確率(非確率変動状態:通常状態)であるかを遊技者は演出図柄表示装置40の演出態様からは知ることができないためである。言い換えると、大当りが当選した際に停止表示される特別図柄の表示パターンから容易に当該大当りの種別が識別されることを防ぐことにより、たとえ大当りEが当選した遊技者であっても、当該大当りが確率変動状態を伴う大当りBであったかもしれないとの期待感を持って大当り遊技状態終了後の特別図柄変動ゲームに接することができる。
【0054】
したがって本実施形態のパチンコ機10のように特別図柄を最大127通りに表示可能とすることにより、遊技者が当該大当りの種別を特別図柄から容易に察知できないよう、上記各大当りに対して数パターンから数十パターンの特別図柄を割り当てるとよい。
なお、特別図柄変動ゲームがハズレに終わった場合、遊技者は演出図柄表示装置40の演出態様から当該ハズレを容易に察知することができるため、特別図柄に関しても一通りの停止表示パターンを割り当てれば十分である。
【0055】
なお本実施形態のパチンコ機10においては、特別図柄変動ゲームの表示結果として更に、
(小当りF)大当りCやDで行われる大当り遊技状態と同じ演出態様であって、当該小当り終了後に確率変動状態も時短状態も付与されない小当り;
を大当り表示結果の一つとして設けておくとよい。
【0056】
かかる小当りFを設けることにより、非確率変動状態で大当りDが当選した場合と、当該小当りFが当選した場合とでは、いずれも時短状態が付与されないことから、遊技者は大当りDが当選して確率変動状態が付与されたか、小当りFが当選してこれが付与されていないかを演出図柄表示装置40の演出態様のみによっては識別することができなくなる。
この場合も、特別図柄の停止表示パターンを、大当りDと小当りFとにそれぞれ複数通りに割り当てることで、たとえ小当りFが付与された場合であっても、以後の特別図柄変動ゲームに対する遊技者の興趣を喚起することが可能となる。
【0057】
このように、特別図柄表示装置30における特別図柄の変動表示の表示結果として、あらかじめ定められた大当り表示結果のうちの一の表示パターンが表示される場合(例えば大当りBまたは大当りD)と、他の表示パターン(同じく大当りEと小当りF)が表示される場合とで、演出図柄表示装置40にて同一の演出図柄が表示されるよう構成することにより、特別図柄表示装置30と普通図柄表示装置50とを渾然一体化し、遊技者が特別図柄の停止表示結果を容易に識別することを防いで遊技者の期待感を損なわないという本実施形態の効果を十分に享受することができる。
【0058】
具体的には、上記大当りAに対して上記表1,2に示すパターン29〜60、大当りBに対してパターン21〜28、大当りCに対してパターン1〜5、大当りDに対してパターン6〜20、大当りEに対してパターン61〜92、小当りFに対してパターン93〜102、ハズレに対してパターン0が、それぞれ割り当てられている。
なお、上記表1,2に示すように大当りDと小当りFは、いずれも特別図柄表示LEDが3個以上停止し、いずれに割り当てられた特別図柄の表示パターンであるかが遊技者に容易には識別されないよう配慮されている。
【0059】
[変動表示について]
つぎに、特別図柄変動ゲームの停止表示の前に行われる変動表示の表示パターンについて説明する。
図6(a)〜(f)は、この順に連続的に表示パターンを切り替えることによって特別図柄を変動表示させる特別図柄表示装置30の表示形態を示す模式図である。なお白抜きの丸が特別図柄表示LEDの点灯状態、黒塗りの丸が消灯状態をそれぞれ表している。
同図(a)および(c)は表2のパターン59、同図(b)は表1のパターン0、同図(d)および(f)は表1のパターン28、同図(e)は表2のパターン54に相当している。すなわち本実施形態のパチンコ機10では、延べ6通りの表示パターンを順次切り替えることで特別図柄変動ゲームの変動表示を行う。
【0060】
具体的には、本実施形態の場合、始動口22a,22bへの遊技球の入賞を契機として特別図柄変動ゲームが開始されると、常に図6(a)の表示パターンから変動表示が始まる。また同図(f)まで連続的に切換表示されると、再び同図(a)から始まる変動表示パターンが繰り返して表示される。主制御基板26(図7を参照)で決定された所定の変動表示時間にわたってこれを繰り返した後、表1または2から選択されたいずれかの停止表示パターンを停止表示させることで、一回の特別図柄変動ゲームが終了する。
【0061】
本実施形態においては、以下の(i−1)〜(i−3)に従って特別図柄LED30a,30b,30fを規則的に点灯または消灯させることで、特別図柄表示装置30全体における変動表示に美感を創出している。
(i−1)特別図柄表示LED30aは、消灯→点灯→消灯→点灯→消灯→点灯と、消灯・点灯を交互に繰り返す。
(i−2)特別図柄表示LED30bは、点灯→消灯→点灯→消灯→点灯→消灯と、点灯・消灯を交互に繰り返す。
(i−3)特別図柄表示LED30fは、消灯→消灯→消灯→点灯→点灯→点灯と、消灯を3図柄分繰り返した後、点灯を3図柄分繰り返す。
上記のように設定することにより、特別図柄表示LED30aと30bは交互に点灯と消灯を繰り返すこととなる。したがって、これに隣接する普通図柄表示LED50a,50bによる普通図柄の変動表示パターンもこれと同様に交互に点灯と消灯とを繰り返す態様とすることで、特別図柄の変動表示と普通図柄の変動表示とを渾然一体化することができる。
【0062】
また本発明においてはこのほか、
(ii)特別図柄表示LED30aから、LED30b→30c→30d→30e→30f→30a→・・・と時計回りに、または逆に反時計回りに、点灯するLEDを環状に周回させる変動表示;
(iii)特別図柄表示LED30aから、LED30b→30g→30e→30d→30c→30g→30f→30a→・・・と、点灯するLEDを波型に周回させる変動表示;
(iv)特別図柄表示LED30gのみを点灯させた後、LED30b,30c,30e,30fを同時に点灯させ、次にLED30aと30dとを点灯させることで、点灯するLEDを放射状に拡散させる変動表示;
など、何らかのコンセプトに基づいて美感が創出される変動表示パターンを決定してもよい。
【0063】
このように本発明は、特別図柄表示装置30にて変動表示される特別図柄が、複数の表示パターンからなる特別図柄であって、かつ、特別図柄表示装置30に表示され得るすべての表示パターンの特別図柄のうちの一部のみとしている。
【0064】
これにより、例えば本実施形態のパチンコ機10についていえば、最大127通りに表示し得る特別図柄の表示パターンのうち、少数(延べ6通り)の表示パターンの繰り返しによって変動表示に美感を創出しつつ、多数(102通り)の停止表示パターンを用意することによって複数種類の大当り遊技状態を好適に識別し分けることができる。
【0065】
本実施形態においては、変動表示される特別図柄(延べ6通り)はいずれも停止表示パターンに含まれるものである。これにより、変動表示に用いる特別図柄の表示パターンがいずれの態様であるかを問わず、特別図柄表示装置30で表示され得るすべての表示パターンを停止表示パターンに割り当てることも可能となる。
【0066】
またこのほか、停止表示パターンとは異なる表示パターンの特別図柄を変動表示の一部または全部に用いてもよい。これにより、例えば停止表示パターンは多数のLEDを同時に点灯させて遊技者が一瞥しただけではいずれの表示パターンが表示されているかを識別困難としつつ、変動表示パターンについては少数のLEDを切り換え点灯させて、遊技者に寂しい印象を与えないながらも簡素な演出を行うことができる。
【0067】
また、一般的なパチンコ機10における特別図柄変動ゲームの大当り確率は、確率変動状態においても数パーセント、通常状態(非確率変動状態)においては1パーセント程度以下であり、当該ゲームの停止表示は圧倒的にハズレのパターン(パターン0:図6(b)の表示パターン)となることから、図6(a)に示すように本実施形態では、変動表示の最初に特別図柄表示LED30bを点灯させることで、パターン0からの連続性が発揮される。すなわちパターン0ではLED30aのみが所定時間点灯することで停止表示が行われるところ、これと隣接するLED30bのみを点灯させることにより、LEDの点灯位置が不連続となることも、点灯数が不連続となることもない。
【0068】
さらに本実施形態においては、普通図柄表示LED50a,50bと隣接する特別図柄表示LEDであるLED30bを変動表示の最初に点灯させることにより、特別図柄表示装置30と普通図柄表示装置50の変動表示を配置構成上で渾然一体化する上記効果を高めることができる。
また当該LED30bは、これと特別図柄表示LED30gや30fとを結ぶ直線上に普通図柄表示LED50aや50bが配置されていることから、当該LEDを変動表示の最初に点灯させることにより、上記渾然一体化の効果がさらに高まる。
【0069】
<パチンコ機の制御構成について>
次に、パチンコ機10の制御構成を図7のブロック図に基づき説明する。
パチンコ機10には、遊技機全体を制御する主制御基板26が遊技盤13の裏面側などに装着されている。主制御基板26は、メインCPU26a、メインROM26b、メインRAM26c、およびこれらを接続する主制御回路261を備え、遊技機全体を制御するための各種処理を実行し、該処理結果に応じて各種の制御信号(制御コマンド)を出力する。
【0070】
メインCPU26aは各種乱数の値を所定の周期毎に更新している。
乱数としては、(a)特別図柄変動ゲームでの大当りの当否を判定する大当り判定用乱数、(b)大当り当選の際に演出図柄表示装置40で停止表示される演出図柄を決定する大当り図柄用乱数、(c)特別図柄変動ゲームの抽選に外れた場合に行われる演出図柄の変動表示演出において、大当りの当選を予感させるいわゆるリーチ状態を伴うか否かを判定するリーチ判定用乱数、(d)後述する変動パターン振分乱数などが例示される。
メインROM26bには、パチンコ機10を制御するためのメイン制御プログラム、図6各図に例示した特別図柄の変動表示パターン、表1,2に例示した特別図柄の停止表示パターン、大当り判定値、リーチ判定値、および変動パターンなどが記憶されている。
【0071】
このほかパチンコ機10は、主制御基板26からの指示に基づいて視覚的および聴覚的な演出を制御するサブ統括制御基板27と、サブ統括制御基板27から出力された信号に基づいて演出図柄表示装置40において演出図柄を変動表示および停止表示させる表示制御基板28とを備えている。
サブ統括制御基板27は、サブ統括制御回路271と、音・ランプ制御回路272とを備え、音・ランプ制御回路272や表示制御基板28に対して制御信号を発信する。
【0072】
音・ランプ制御回路272は、装飾ランプ16の発光態様や、スピーカ17の音声出力態様を制御する。また表示制御基板28は、サブ統括制御基板27から与えられた乱数値や時刻情報などに基づいて演出図柄表示装置40の表示内容(図柄、背景、文字、キャラクタなどの表示画像)を制御する。
【0073】
本実施形態のパチンコ機10の場合、特別図柄の変動表示と演出図柄の変動表示は、ともに始動口22a,22bへの遊技球の入賞を契機として同時に開始され、また同時に停止して停止表示がなされる。したがって以下断りなく変動表示と記す場合は、特別図柄表示装置30における特別図柄の変動表示および演出図柄表示装置40における演出図柄の変動表示を意味するものとする。
【0074】
ここで変動パターンとは、変動表示が開始されてから、その変動表示が確定停止するまでの遊技内容のベースとなるパターンを示すものであり、例えば演出図柄の変動表示演出においてリーチ状態を伴うか、または当該リーチが大当り当選を伴うか否か等を識別するものである。変動パターンは通常複数用意され、変動パターンごとに変動表示の変動時間が定められている。変動パターンは一つまたは複数の変動パターンテーブルに格納され、遊技球の入賞信号に基づいてメインCPU26aが取得した変動パターン振分乱数に基づいていずれか一つが選択される。
【0075】
始動口22a,22bに遊技球が入賞し、それぞれの備える入賞検知スイッチからの検知信号がメインCPU26aに入力されると、メインRAM26cに記憶(設定)されている始動保留球の記憶数(以下、「保留記憶数」と示す)が予め定められた上限数(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する。この判定結果が肯定(上限数未満である)の場合、メインCPU26aは、保留記憶数を1加算(+1)し、書き換える。また、メインCPU26aは、大当り判定用乱数の値と大当り図柄用乱数の値をメインRAM26cから読み出し、メインRAM26cの所定の格納領域に順次格納(記憶)する。保留記憶数は、保留中の変動表示演出の実行回数を示すものである。メインCPU26aは、特別図柄および演出図柄の変動表示演出の開始時に保留記憶数を1減算(−1)し、書き換える。
なお、上記した表示器60の備える特別図柄記憶LED31には、当該保留記憶数が表示される。
【0076】
メインRAM26cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数の値など)が記憶(設定)されるようになっている。
メインCPU26aは、変動表示の開始直前に、メインRAM26cに格納されている前記大当り判定用乱数の値とメインROM26bに記憶されている大当り判定値とを比較して大当りか否かの大当り判定をする。そして、メインCPU26aは、大当り判定の判定結果が肯定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが一致)の場合、大当りを決定する。大当りを決定したメインCPU26aは、大当り判定用乱数の値とともにメインRAM26cに記憶した大当り図柄用乱数の値を読み出し、該値に予め対応付けられた演出図柄を大当り図柄として決定する。大当り図柄は、最終的に演出図柄表示装置40にて確定停止表示される大当りの図柄組み合わせ(最終的な大当り表示結果)を形成する図柄である。また、メインCPU26aは、変動パターン振分乱数の値を読み出し、該値に基づき大当り演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを決定する。本実施形態では、主制御基板26が、変動パターン決定手段として機能する。
【0077】
上記のように、大当り遊技状態が付与するか否かの抽選(大当り判定)は、遊技球が始動口22a,22bなどの特別図柄始動入賞装置に入賞した際にメインCPU26aによって取得された大当り判定用乱数に基づいて変動開始直前に行われることが通常であり、必ずしも変動表示が最終的に確定停止した時点ではじめて大当りの当否が判断されるものではないが、両者の大当り判定の態様を含めて本発明では「変動表示の表示結果が大当り表示結果となったことに関連して大当り遊技状態が付与される」と表現している。
【0078】
一方、メインCPU26aは、大当り判定の判定結果が否定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが不一致)の場合、リーチ判定用乱数の値をメインRAM26cから読み出し、該値とメインROM26bに記憶されているリーチ判定値とを比較してリーチか否か(演出図柄の変動表示においてリーチ演出を行うか否か)を判定(リーチ判定)する。そして、メインCPU26aは、リーチ判定の判定結果が肯定(リーチ判定用乱数の値とリーチ判定値とが一致)の場合、リーチを決定する。また、大当り判定結果が否定されているので、CPU26aは、特別図柄としてパターン0(表1を参照)を決定する。
また、メインCPU26aは、変動パターン振分乱数の値を読み出し、該値に基づきはずれリーチ演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを決定する。なお、はずれリーチ演出は、演出図柄変動表示が、リーチ演出を経て最終的にはずれの図柄組み合わせを確定停止表示するように展開される演出である。
【0079】
また、メインCPU26aは、大当り判定の判定結果が否定であって、さらにリーチ判定の判定結果が否定(リーチ判定用乱数の値とリーチ判定値とが不一致)の場合、はずれを決定する。また、大当り判定結果が否定されているので、CPU26aは、特別図柄としてパターン0を決定する。はずれ図柄は、リーチを形成せずに、最終的に演出図柄表示装置40にて確定停止表示されるはずれの図柄組み合わせを形成する図柄である。
また、メインCPU26aは、変動パターン振分乱数の値を読み出し、該値に基づきはずれ演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを決定する。はずれ演出は、図柄変動表示が、リーチ演出を経ることなく、最終的にはずれの図柄組み合わせを確定停止表示するように展開される演出である。
【0080】
図柄および変動パターンを決定したメインCPU26aは、所定の制御コマンドを所定のタイミングでサブ統括制御基板27(統括CPU27a)に出力する。具体的に言えば、メインCPU26aは、最初に変動パターンを指示するとともに、図柄変動表示演出の開始を指示する変動パターン指定コマンドを出力する。次に、メインCPU26aは、図柄を示す図柄指定コマンドを出力する。その後、メインCPU26aは、指示した変動パターンに定められている変動時間の経過時に、図柄の停止(確定停止表示)を指示する図柄停止コマンドを出力する。
【0081】
サブ統括制御基板27には、統括CPU27a、統括ROM27bおよび統括RAM27cとこれらを接続するサブ統括制御回路271が設けられている。統括ROM27bには主に演出内容を決定するためのプログラムが記憶されている。統括CPU27aは主制御基板26から入力される各種コマンドに基づいて演出内容を決定する。統括RAM27cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数の値など)が記憶(設定)される。
具体的には、主制御基板26から変動パターンコマンドと図柄指定コマンドを入力すると、変動パターンに基づいて演出図柄表示装置40における演出パターンや演出図柄を決定する。例えば、主制御基板26から入力された変動パターンがリーチを示す変動パターンであった場合、統括CPU27aは、リーチ図柄を決定すると共に、複数ある演出パターンのうちからいずれを演出図柄表示装置40に表示させるかを決定する。そして、決定した内容を示すコマンドを生成して表示制御基板28に対して該コマンドを出力する。
本実施形態では、サブ統括制御基板27が、演出パターン決定手段として機能する。
【0082】
表示制御基板28には、図示しない演出図柄制御CPU、演出図柄制御ROM、演出図柄制御RAM、演出データROM、演出データRAM、およびこれらを接続する演出制御回路などが設けられている。演出制御ROMには、演出図柄表示装置40の表示内容を制御するための表示制御プログラムや、装飾ランプ16の発光態様を制御するための発光制御プログラムや、スピーカ17の出力音声を制御するための音声制御プログラムなどが記憶されている。また、演出データROMには、演出データとしての画像データや音声データが記憶されている。画像データには、図柄変動表示の演出内容を演出図柄表示装置40に画像表示するための動画像用のデータを含む。また、演出データRAMには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が記憶(設定)されるようになっている。
そして、サブ統括制御基板27から入力されるコマンドに基づいて演出図柄表示装置40を制御する。
【0083】
<パチンコ機の制御フローについて>
本実施形態にかかるパチンコ機10の主制御基板26にて行われる具体的な制御処理動作について説明する。なお本発明は特別図柄表示装置30における特別図柄の変動表示および停止表示に特徴を有するゆえ、サブ統括制御基板27や表示制御基板28における制御処理については詳細な記載を省略するが、当業者であればサブ統括制御基板27や表示制御基板28に関する公知の制御フローを適用して本発明を容易に実施することが可能といえよう。
【0084】
図8〜13は、主制御基板26のメインCPU26aで行われる処理(タイマ割込み処理)についてのフローチャートである。この処理を行うためのプログラムはメインROM26bに格納され、またメインCPU26aにおいて所定の割込み周期(本実施形態の場合、4msec)ごとに実行される。
【0085】
図8において、メインCPU26aは、先ず主制御基板26の送信バッファに格納されたコマンドを送信し(S100)、次にステップS101の入力処理へ移行し、図9にフローチャートを示すサブルーチンを実行する。
【0086】
図9のサブルーチンは、ステップS200〜S206の処理からなる。ステップS200において、メインCPU26aは、始動口22aまたは22bに遊技球が入賞したか否かを判定する。遊技球の入賞があった場合(ステップS200:Y)、メインCPU26aは、ステップS201の処理へ移行する。一方、遊技球が入賞していない場合(ステップS200:N)、メインCPU26aは、ステップS201〜S206の処理を行わず本サブルーチンを終了する。
【0087】
ステップS201において、メインCPU26aは、後述するステップS202にて加算され、後述するステップS301にて減算される遊技球の保留球数が、現時点で「4」未満であるか否かを判断する。保留球数が4未満である場合(ステップS201:Y)、メインCPU26aは、ステップS202の処理へ移行する。一方、保留球数が4以上の場合(ステップS201:N)、メインCPU26aは、保留球数をそれ以上加算することなく、ステップS202〜S206の処理を行わずに、本サブルーチンを終了する。即ち、本実施形態のパチンコ機10では、保留球数の上限は4個に設定されている。
【0088】
ステップS202においては、前記ステップS200にて遊技球の入賞が判定され、ステップS201にて保留球数が4未満であると判断されているため、メインCPU26aは、保留球数を1加算して、ステップS203の処理へ移行する。ステップS203において、メインCPU26aは、後述する乱数更新処理ステップS102にて随時更新される当り判定用乱数を取得し、ステップS204の処理へ移行する。なお、ここで取得した当り判定用乱数は、後述するステップS302の当否判定処理を行う際に用いられる。ステップS204において、メインCPU26aは、ステップS203にて取得した当り判定用乱数を、メインRAM26cの乱数記憶領域に記憶する。次にメインCPU26aは、ステップS205において大当り図柄用乱数を取得し、これをメインRAM26cの他の乱数記憶領域に記憶する(ステップS206)。この大当り図柄用乱数は、後述する図柄決定処理(ステップS307)で用いられる乱数であり、ステップS203にて取得した当り判定用乱数が仮に大当り当選であった場合に演出図柄表示装置40で停止表示させる図柄を決定するためのものである。そして、メインCPU26aは、本サブルーチンを終了する。
【0089】
図9に示されるサブルーチンが終了すると、メインCPU26aは、図8に示されるステップS102の処理(乱数更新処理)へと移行する。乱数更新処理の具体的な処理フローは省略するが、メインCPU26aは、当り判定用乱数や大当り図柄用乱数のほか、リーチ判定用乱数や変動パターン振分乱数を1ずつ加算し、それぞれ設定された上限値に至った場合はゼロにクリアする処理を行う。
【0090】
乱数更新処理が終了すると、メインCPU26aはステップS103の変動表示開始処理へ移行する。
図10にフローチャートを示すサブルーチンは、ステップS300〜S309の処理からなる。ステップS300において、メインCPU26aは、前記保留球数が現時点で「0」であるか否かを判断する。保留球数が0以外(1〜4)である場合(ステップS300:N)、メインCPU26aは、変動表示(特別図柄変動ゲーム)を開始させるためにステップS301の処理へ移行する。一方、保留球数が0である場合(ステップS300:Y)、メインCPU26aは、保留球数をそれ以上減算することなく、ステップS301〜S309の処理を行わずに、本サブルーチンを終了する。
【0091】
ステップS301において、メインCPU26aは、保留球数を1減算して、ステップS302の処理へ移行する。ステップS302において、メインCPU26aは、前記ステップS204にてメインRAM26cの乱数記憶領域に記憶した当り判定用乱数と、大当り判定値とを比較する当り判定を行う。比較結果が一致であるか不一致であるかを問わず、メインCPU26aはステップS303の変動パターン振分乱数取得処理へと移行する。
【0092】
メインCPU26aは変動パターン振分乱数取得処理(ステップS303)で当該乱数を取得したのち、ステップS304の変動パターン指定コマンド生成処理に移行する。ステップS304では、(a)前記大当り判定値との比較結果が一致である場合は大当り時変動パターン振分テーブルと当該乱数とを比較し、(b)前記大当り判定値との比較結果が不一致の場合はハズレ時変動パターン振分テーブルと当該乱数とを比較し、これから実行する変動表示の変動パターンを決定する。
なお、ハズレ時変動パターン振分テーブルには、リーチ用の変動パターン振分テーブルとリーチなしの変動パターン振分テーブルとがある。
【0093】
次にメインCPU26aは、上記決定された変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドを主制御基板26の送信バッファに格納して(ステップS305)、次のコマンド送信時(ステップS100)にサブ統括制御基板27へとこれを送信する。またメインCPU26aは、メインRAM26cのタイマNに、上記決定された変動パターンの処理時間(割込み回数)Xをセットする(ステップS306)。
【0094】
メインCPU26aは次に、ステップS205で取得された大当り図柄用乱数に基づいて、大当り当選時に特別図柄表示装置30で停止表示させる特別図柄を図柄種別テーブルより判定する(ステップS307)。なお、ステップS302の当否判定が否定すなわちハズレの場合には、本実施形態のパチンコ機10では、特別図柄は一義的にパターン0が決定される。特別図柄の場合、具体的には表1,2に示す特別図柄LEDパターンテーブルよりいずれかの停止表示パターンが選択され、特別図柄停止番号としてメインRAM26cに記憶される。つづけてメインCPU26aは、判定された図柄を指定するコマンドを生成する(ステップS308)とともに、図柄指定コマンドを次ステップでサブ統括制御基板27に送信すべく、これを主制御基板26の送信バッファに格納し(ステップS309)、変動表示開始処理サブルーチンが終了して図8のメインフローにおいてステップS104の特別図柄表示処理に移行する。
【0095】
図11にフローチャートを示す特別図柄表示処理サブルーチンは、ステップS400〜S406の処理からなる。ステップS400において、メインCPU26aは、まず特別図柄変動表示の停止タイミングであるか否かを判定する。具体的には、特別図柄表示装置30において変動表示が行われており、かつ上記ステップS306にて取得されたタイマNが0である場合にこれを肯定する。
【0096】
特別図柄変動停止タイミングが肯定された場合(ステップS400:Y)、メインCPU26aは後述のようにステップS401に移行し、特別図柄の変動表示の表示結果として所定の表示パターンの特別図柄を停止表示させる処理へと向かう。以降は後述する。
【0097】
ステップS400が否定された場合(ステップS400:N)、すなわち特別図柄表示装置30において変動表示が行われていないか、または変動表示中であってタイマNが0でない場合、メインCPU26aはステップS404の処理へ移行する。ステップS404においてメインCPU26aは、特別図柄表示装置30にて変動表示が行われているか否かを判定する。
変動処理が行われていない場合(ステップS404:N)、メインCPU26aは後述するステップS403の特別図柄出力処理に移行する。
【0098】
一方、変動表示が行われている場合(ステップS404:Y)、メインCPU26aはタイマNの値を1減算し(ステップS405)、ステップS406の処理へ移行する。ステップS406では、図12に示す特別図柄表示番号設定処理が行われる。
【0099】
図12にフローチャートを示す特別図柄表示番号設定処理は、ステップS500〜S506の処理よりなる。メインCPU26aは、初期値0から始まる特別図柄更新カウンタを1増加し(ステップS500)、これが予め定められた最大値(本実施形態の場合、最大値を50とする)よりも大きいか否かを判定する(ステップS501)。これが否定された場合(ステップS501:N)、当該サブルーチンを終了して図11の特別図柄表示処理に戻る。すなわち本実施形態の場合、4msecごとに割り込み処理される制御フローが50回繰り返されるまで下記の特別図柄の更新処理は行われない。つまり、特別図柄は200msecごとに更新されることとなる。
【0100】
特別図柄更新カウンタが最大値(50)を超えた場合(ステップS501:Y)、メインCPU26aは、特別図柄更新カウンタを0にリセットし(ステップS502)、初期値0から始まる特別図柄表示オフセットを1増加する(ステップS503)。特別図柄表示オフセットは、表3および表4に示す特別図柄変動表示テーブルより所望の格納データを呼び出すためのアドレスオフセット値を表す数値である。本実施形態における特別図柄の変動表示は上記のように延べ6通りの特別図柄を切り換え表示して行うことから、特別図柄表示オフセットの最大値は6−1=5に設定されている。
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
続けてメインCPU26aは、特別図柄表示オフセットが最大値(5)を超えた場合(ステップS504:N)、メインCPU26aは特別図柄表示オフセットを0にリセットする(ステップS505)。
【0104】
ここで、本実施形態における特別図柄の変動表示は、上記のように、いずれも停止表示パターンとして特別図柄表示装置30に表示され得る延べ6通りの特別図柄を切り替え表示することで行われる。すなわち変動表示される特別図柄の表示パターンは、特別図柄LEDパターンテーブル(表1,2を参照)にいずれも含まれている。
【0105】
特別図柄変動表示テーブルとして表3を用いるケースについてまず説明する。図12に示すフローはかかるケースを示すものであり、当該ケースを本発明の第一実施形態とする。
表3に示す特別図柄変動表示テーブルには、特別図柄の変動表示に用いられる表示パターンが対応する特別図柄LEDパターンテーブルのパターン番号が表示順に格納されている。メインCPU26aは、特別図柄表示オフセットを初期値0から5まで1ずつ増加させ、特別図柄変動表示テーブルから当該アドレスオフセット値に格納されたパターン番号を読み出し、特別図柄表示番号として設定する。
後述のように、特別図柄表示番号(パターン番号)に対応する特別図柄表示LED30a〜30gの点灯・消灯パターンを特別図柄LEDパターンテーブルから呼び出すことで、図6各図に示す特別図柄の表示パターンが特別図柄表示装置30によって実現される。
【0106】
なお、上記のように特別図柄表示オフセットが最大値(5)を超えた場合(ステップS504:N)にこれが0にリセットされることから、特別図柄の変動表示が図6(a)の態様から開始して同図(f)の態様に至ったのち、再び同図(a)の態様が表示されることとなる。
【0107】
また本発明の第二実施形態として、特別図柄変動表示テーブルに表4を用いる場合について説明する。
表4に示す特別図柄変動表示テーブルには、特別図柄の変動表示の態様が表示順に直接記述されている。7つのビットの0または1で構成される当該テーブルは、表1,2に示す特別図柄LEDパターンテーブルの内容と対応するものであり、左から順に特別図柄表示LED30a〜30gの点灯・消灯のパターンを、点灯状態が1、消灯状態が0で表している。
したがって本実施形態の場合、メインCPU26aは図12に示すステップS506を省略して、表4の特別図柄変動表示テーブルから特別図柄表示LED30a〜30gの点灯・消灯パターンのデータを直接読み出すことができる。
【0108】
なお、上記第二実施形態のように、特別図柄表示LED30a〜30gの点灯・消灯パターンを特別図柄変動表示テーブルに直接格納しておくことにより、特別図柄の変動表示パターンをその停止表示パターンとは無関係に設定することができ、これにより、停止表示パターンに含まれない特別図柄を用いて変動表示を行うことができる。
また上記第一実施形態のように、特別図柄LEDパターンテーブルのパターン番号のみが格納された特別図柄変動表示テーブル(表3)を用いることにより、メインROM26bに記憶すべきデータ量を削減することができる。
【0109】
以上により特別図柄表示番号設定処理サブルーチンを終了すると、メインCPU26aは図11に示す特別図柄出力処理(ステップS403)を実行する。
【0110】
上記第一実施形態の場合、ステップS403では、ステップS506で取得された特別図柄表示番号に対応する特別図柄LEDパターンテーブルのアドレス値から、メインCPU26aは特別図柄表示LED30a〜30gの点灯・消灯パターンのデータ(表1,2を参照)を読み出し、特別図柄表示装置30に対する出力信号を主制御基板26の送信バッファに格納する。
また上記第二実施形態の場合、ステップS403でメインCPU26aは、既に取得された特別図柄表示LED30a〜30gの点灯・消灯パターンのデータを同様に主制御基板26の送信バッファに格納する。
【0111】
なお、特別図柄が変動中でない場合(ステップS404:N)は、特別図柄表示番号の書き換え処理がなされないことから、前回の特別図柄変動ゲームの結果がハズレであった場合には、ハズレを示すパターン0が指定された状態でステップS403がメインCPU26aによって実行され、パターン0が継続して停止表示されることとなる。
【0112】
ステップS403の特別図柄出力処理を終了すると、メインCPU26aは、図8に示す制御フローの大当り処理(ステップS105)を行う。
【0113】
一方、ステップS400で特別図柄変動停止タイミングが肯定された場合(ステップS400:Y)、メインCPU26aは、メインRAM26cに記憶された特別図柄停止番号を特別図柄表示番号に入力する。
【0114】
続くステップS402にて、メインCPU26aは特別図柄の変動表示に対する終了データを生成する。
図13に、変動表示終了処理のサブルーチン(ステップS402)のフローチャートを示す。ステップS601では、特別図柄表示装置30において特別図柄を停止させる図柄停止データをメインCPU26aは生成し、これをステップS602において、主制御基板26の送信バッファに格納して本サブルーチンを終了する。
【0115】
ステップS401にて特別図柄表示番号には、ステップS307で取得された特別図柄停止番号が格納されているため、メインCPU26aは、ステップS403にて、特別図柄LEDパターンテーブルに設定された特別図柄表示LED30a〜30gの点灯・消灯パターンのデータを読み出し、特別図柄表示装置30に対する出力信号を生成して、主制御基板26の送信バッファに格納し、本サブルーチンを終了する。
【0116】
続けてメインCPU26aでは、図8のメインフローの大当り処理(ステップS105)において、ステップS302における当り判定用乱数の当否判定と同様の処理を行う。当否判定の判定結果が大当りではない場合、メインCPU26aはステップS106の割込み待機処理へと移行する。一方、大当り判定の判定結果が大当りである場合、具体的な説明は省略するが、メインCPU26aはメインRAM26cに記憶された大入賞口設定テーブルに基づき、大当り遊技のオープニング期間の開始を指示するオープニング指定コマンドや、大当り遊技において大入賞口開放タイミングと同期して開始し閉鎖タイミングと同期して終了するラウンド期間の開始を指示するラウンド指定コマンド、大当り遊技の終了を指示するエンディング指定コマンドなどを制御コマンドとしてサブ統括CPU27aに出力したのち、ステップS106へと移行する。
【0117】
ステップS106においてメインCPU26aは、前記ステップS100の処理が開始されてから所定時間(例えば4msec)経過するまで待機する。4msecが経過した後、メインCPU26aは、再びステップS100の処理へ移行する。
【0118】
本実施形態のパチンコ機10においては、4msecごとに図8の制御フローがタイマ割り込み実行され、またステップS501にて特別図柄更新カウンタが最大値である50を超えた場合にのみ特別図柄の変動表示を行う旨の出力信号がメインCPU26aによって生成されることから、主制御基板26の送信バッファには200msecごとに当該出力信号が格納されることとなる。送信バッファに格納された当該信号は、特別図柄表示装置30によって例えば16msecごとに読み込まれて特別図柄の変動表示および停止表示が実行される。この場合、時刻0で変動表示が開始されたのち、208msec、400msec、608msec、800msec・・・においてそれぞれ特別図柄の変動表示が切り替えられることとなる。
【0119】
また本実施形態のパチンコ機10では、特別図柄表示装置30における特別図柄の変動表示の更新間隔と、普通図柄表示装置50における普通図柄の変動表示の更新間隔とを同一に設定している。これにより、特別図柄表示装置30と普通図柄表示装置50とを演出上の観点から渾然一体化することができる。
【0120】
ここで、本実施形態のパチンコ機10において普通図柄の変動表示を普通図柄表示装置50で実行させるための制御処理方法を以下に略示する。
図7に示すように遊技球がゲート25を通過したことを示す通過信号は、検知スイッチより主制御基板26に送られる。
かかる入力信号をメインCPU26aが取得すると、メインCPU26aは、図8のメインフローに示す入力処理(ステップS101)において、普通図柄始動保留数が最大値(本実施形態の場合、4個)未満である場合に、普通図柄変動ゲームの当り判定用乱数を取得してこれをメインRAM26cに記憶する。
【0121】
次にメインCPU26aは、メインフローに示す特別図柄表示処理(ステップS104)の終了後に、図10に示すフローチャートに準じて普通図柄の変動表示開始処理を実行する。具体的には、普通図柄始動保留数が1以上であることを確認したのち、当該保留数を1減算し、普通図柄変動ゲームの当り判定用乱数の当否判定を行う。なお当該当否判定においては、時短状態が付与されている場合には当選確率が上昇する。
なお本実施形態のパチンコ機10の場合、普通図柄記憶LED51で表示される普通図柄始動保留数や、遊技状態表示LED32で表示される時短状態の有無、および上記当否判定の結果に基づいて、普通図柄の変動表示時間は一義的に決定されている。
したがってメインCPU26aは次に、当該決定された変動パターン(変動時間)を減算カウンタであるタイマにセットする。
【0122】
またメインCPU26aは、図11に示すフローチャートに準じて普通図柄の変動表示処理を実行する。具体的には、普通図柄の変動停止のタイミングか否かを上記タイマ値を参照して判定した後、(1)停止タイミングにおいては、当選またはハズレによってそれぞれ一義的に決定されている停止表示パターンを普通図柄表示装置50に表示させる普通図柄出力処理を行い、(2)変動表示の実行中には普通図柄更新カウンタを1ずつ増加させてこれが最大値として予め設定された50を超えた場合にのみ普通図柄を変動表示させる。かかる最大値の設定は特別図柄更新カウンタの最大値と同一としている。これにより、普通図柄の変動間隔と特別図柄の変動間隔とを共通とすることができる。また(3)普通図柄が変動していない場合は同一の表示パターンを継続して表示させることにより、結果的に普通図柄が停止表示されることとなる。
このようにして決定された普通図柄の変動表示パターンを、メインCPU26aは主制御基板26の送信バッファに格納し、普通図柄表示装置50に送信する。
【0123】
またメインCPU26aは、メインフローの大当り処理(ステップS105)の終了後に、普通図柄当り処理を実行する。
具体的には、上記当否判定によって普通図柄変動ゲームが当選した場合、開閉羽根21を開放するタイミングを示す開閉羽根開放データを生成して主制御基板26の送信バッファに格納するとともに、開放時間を減算カウンタにセットする。
これにより、開閉羽根21は上記指定されたタイミングおよび時間にわたってこれを開放し、始動口22bへの遊技球の入賞が可能となる。
【0124】
なお、本実施形態の特別図柄表示装置30は7個のLEDを備えてなるため、表1,2,4に示すように、特別図柄LEDパターンテーブルや特別図柄変動表示テーブルは7つのビットの0または1で構成されている。したがって、ステップS303の特別図柄出力処理においては、例えば特別図柄変動ゲームの確率変動状態の有無を表示する遊技状態表示LED32aなど、他のLEDの点灯・消灯パターンと併せて8ビット(1バイト)の情報として主制御基板26の送信バッファに格納すると処理効率がよい。また本実施形態の特別図柄表示装置30は、特別図柄記憶LED31が0〜4の始動保留数を表示するために3ビットを要し、もう一方の遊技状態表示LED32b、普通図柄表示LED50a,50bおよび普通図柄記憶LED51a,51bが合計5つであるためその点灯・消灯パターンを表すのに5ビットを要することから、表示器60に配置された合計17個のLEDの点灯・消灯パターンを2バイトの情報で処理することができるという利点がある。
【符号の説明】
【0125】
10 パチンコ機
13 遊技盤
22 特別図柄始動入賞装置(始動口)
24 大入賞
25 普通図柄始動装置(ゲート)
26 主制御基板
30 特別図柄表示装置
31 特別図柄記憶LED
32 遊技状態表示LED
40 演出図柄表示装置
50 普通図柄表示装置
51 普通図柄記憶LED
60 表示器
61 表示装置設置領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13