特許第5750068号(P5750068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5750068携帯端末装置、携帯端末装置の動作制御方法および携帯端末装置の動作制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750068
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】携帯端末装置、携帯端末装置の動作制御方法および携帯端末装置の動作制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   H04M1/00 R
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-35791(P2012-35791)
(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公開番号】特開2013-172359(P2013-172359A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(72)【発明者】
【氏名】小関 光昭
【審査官】 宮田 繁仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−109711(JP,A)
【文献】 特開2003−284120(JP,A)
【文献】 特開2005−051427(JP,A)
【文献】 特開2006−174288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00、1/24−1/82、99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
表示手段と、
前記表示手段への情報表示を伴う処理が実行中か否かを検出する検出手段と、
前記検出手段で前記表示手段への情報表示を伴う処理が実行中であると検出された場合に、自機が移動状態にあるか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段で自機が移動状態にあると検知された場合に、前記撮像手段が撮像している映像を前記表示手段に表示させるようにする制限実施手段と
前記制限実施手段により、前記情報表示から前記撮像手段を通じて撮像している映像に切り替えて前記表示手段に表示させるようにした後に、自機が停止したことが検知された場合に、前記撮像手段を通じて撮像している映像表示に切り替える直前まで行っていた前記情報表示を再開する制限解除手段と
を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置であって、
振動検出手段と現在位置測位手段との一方または両方を備え、
前記検知手段は、前記振動検出手段と前記現在位置測位手段との一方または両方からの出力情報に基づいて、自機が移動状態にあるか否かを検知することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯端末装置であって、
前記振動検出手段と前記現在位置測位手段との一方または両方からの出力情報に基づいて自機が移動状態にあると検知された場合に、前記撮像手段を動作させる撮像制御手段と、
前記撮像手段により撮像される映像を解析することにより、自機の移動速度を検出する速度検出手段と、
自機の移動速度を考慮して、自機のユーザーが自転車やバイクの運転中か否かを検出する運転検出手段と
を備え、
前記制限制御手段は、自機が移動状態にあり、かつ、自機のユーザーが自転車やバイクの運転中であることが検出された場合に、前記撮像手段が撮像している映像を前記表示手段に表示させるようにすることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
撮像手段と、
表示手段と、
前記表示手段への情報表示を伴う処理が実行中か否かを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記表示手段への情報表示を伴う処理が実行中であると検出された場合に、振動検出手段と現在位置測位手段との一方または両方からの出力情報に基づいて、自機が移動状態にあるか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段で自機が移動状態にあると検知された場合に、前記撮像手段を動作させる撮像制御手段と、
前記撮像手段により撮像される映像を解析することにより、自機の移動速度を検出する速度検出手段と、
前記速度検出手段で検出された自機の移動速度を考慮して、自機のユーザーが自転車やバイクの運転中か否かを検出する運転検出手段と
前記検知手段により自機が移動状態にあると検知され、かつ、前記運転検出手段により自機のユーザーが自転車やバイクの運転中であることが検出された場合に、前記撮像手段が撮像している映像を前記表示手段に表示させるようにする制限実施手段と
を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
撮像手段と、表示手段とを備えた携帯端末装置で行われる動作制御方法であって、
検出手段を通じて、前記表示手段への情報表示を伴う処理が実行中か否かを検出する検出工程と、
前記検出工程において、前記表示手段への情報表示を伴う処理が実行中であると検出した場合に、検知手段を通じて、自機が移動状態にあるか否かを検知する検知工程と、
前記検知工程において、自機が移動状態にあると検知された場合に、制限実施手段を通じて、前記撮像手段が撮像している映像を前記表示手段に表示させるようにする制限実施工程と
前記制限実施工程において、前記情報表示から前記撮像手段を通じて撮像している映像に切り替えて前記表示手段に表示させるようにした後に、自機が停止したことを検知した場合に、前記撮像手段を通じて撮像している映像表示に切り替える直前まで行っていた前記情報表示を再開する制限解除工程と
を有することを特徴とする携帯端末装置の動作制御方法。
【請求項6】
撮像手段と、表示手段とを備えた携帯端末装置に搭載されたコンピュータが実行するプログラムであって、
検出手段を通じて、前記表示手段への情報表示を伴う処理が実行中か否かを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて、前記表示手段への情報表示を伴う処理が実行中であると検出した場合に、検知手段を通じて、自機が移動状態にあるか否かを検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて、自機が移動状態にあると検知された場合に、制限実施手段を通じて、前記撮像手段が撮像している映像を前記表示手段に表示させるようにする制限実施ステップと
前記制限実施ステップにおいて、前記情報表示から前記撮像手段を通じて撮像している映像に切り替えて前記表示手段に表示させるようにした後に、自機が停止したことを検知した場合に、前記撮像手段を通じて撮像している映像表示に切り替える直前まで行っていた前記情報表示を再開する制限解除ステップと
を実行することを特徴とする携帯端末装置の動作制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、歩行中や、自転車やバイクの運転中において、携帯電話端末等の携帯端末装置の使用を抑制できるようにする装置、方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末を操作しながら歩いたり自転車に乗ったりしている人達が多くなってきている。車両の運転中に携帯電話端末を使用することは違法行為になるが、歩行中の携帯電話端末の使用はマナーの範疇になっている。また、自転車に乗りながらの携帯電話端末の使用も条例等で禁止されている自治体はあるものの、十分な対応が取られていないのが実状である。人間の五感から受け取る情報のうち、目からのものが全体の80%を占め、前を見て移動しなければ危険なことはいうまでもない。
【0003】
このような背景から、後に記す特許文献1には、ユーザーが歩行中や運転中は操作をできないようにする携帯電話端末装置に関する発明が開示されている。当該特許文献1に記載の発明の携帯電話端末装置は、ユーザーの歩行振動を検出しているときに、操作がなされると、操作のロックを行って操作不能にすると共に、歩行中であり危険であるため操作できないことを通知するメッセージを出力するものである。この発明は、歩行中の携帯電話端末装置の使用を効果的に防止する1つの手段を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−53988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に記載の発明の携帯電話端末装置は、ユーザーが移動している状態にあるときに操作されたことを検知して操作を不能にしている。したがって、ユーザーが停止している状態で携帯電話端末装置に対して操作がなされ、当該携帯電話端末装置において何らかの処理が実行された場合、その後にユーザーが移動しても何らかの操作が行われない限り実行された処理が停止されることはない。例えば、近年、急速に普及してきているスマートフォンなどでは、映像音声コンテンツの再生なども可能であるが、コンテンツの再生中においては操作が行われることも少ないので、危険を伴う歩行中の使用を十分に抑制できない場合がある。また、移動中の携帯電話端末装置の使用を抑制するだけではなく、移動中に携帯電話端末装置を使用した場合に、ユーザーや周囲の人の安全をできるだけ確保できることが望ましい。
【0006】
以上のことに鑑み、この発明は、歩行中や、自転車やバイクの運転中における、携帯電話端末装置等の携帯端末装置の使用を効果的に抑制し、かつ、ユーザー及びその周囲の人の安全を確保できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の携帯端末装置は、
撮像手段と、
表示手段と、
前記表示手段への情報表示を伴う処理が実行中か否かを検出する検出手段と、
前記検出手段で前記表示手段への情報表示を伴う処理が実行中であると検出された場合に、自機が移動状態にあるか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段で自機が移動状態にあると検知された場合に、前記撮像手段が撮像している映像を前記表示手段に表示させるようにする制限実施手段と
前記制限実施手段により、前記情報表示から前記撮像手段を通じて撮像している映像に切り替えて前記表示手段に表示させるようにした後に、自機が停止したことが検知された場合に、前記撮像手段を通じて撮像している映像表示に切り替える直前まで行っていた前記情報表示を再開する制限解除手段と
を備えることを特徴とする。
【0008】
この請求項1に記載の発明の携帯端末装置によれば、表示手段への情報表示を伴う処理が実行中であると検出手段によって検出され、かつ、自機が移動状態にあることを検知手段によって検知されたとする。この場合、制限実施手段が機能し、撮像手段を通じて撮像している映像を表示手段に表示させる。
【0009】
これにより、歩行中や、自転車やバイクの運転中における、携帯端末装置の使用を効果的に抑制できる。また、ユーザーは、自分の進行方向(前方)の映像を、表示手段を通じて視認でき、ユーザーの前方への視線の回復を促して、ユーザー及びその周囲の人の安全を確保できる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、歩行中や、自転車やバイクの運転中における、携帯電話端末装置等の携帯端末装置の使用を効果的に抑制することができる。そして、携帯端末装置のユーザー及びその周囲の人の安全が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態の携帯電話端末1の構成例を説明するためのブロック図である。
図2】歩行中の携帯電話端末1の使用を抑制する処理について説明するためのフローチャートである。
図3】携帯電話端末1の表示部123に表示される表示映像(表示画像)の例を説明するための図である。
図4】第2の実施の形態の携帯電話端末1Aの構成例を説明するためのブロック図である。
図5】自転車やバイクの運転中の携帯電話端末1Aの使用を抑制する処理について説明するためのフローチャートである。
図6】携帯電話端末1Aの表示部123に表示される表示映像(表示画像)の例を説明するための図である。
図7】第2の実施の形態の変形例における自転車やバイクの運転中の使用を抑制する処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照しながら、この発明の装置、方法、プログラムの一実施の形態について説明する。なお、この発明は、互いに反対側となる面にカメラ部と表示部の表示画面とを備えた種々の携帯端末装置、例えば、携帯電話端末、タブレット端末、携帯型ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistants)等に適用可能なものである。しかし、以下に説明する実施の形態においては、説明を簡単にするため、広く普及しているカメラ機能付き携帯電話端末にこの発明を適用した場合を例にして説明する。また、以下に説明する実施の形態においては、第1の実施の形態として、歩行中の使用を抑制する携帯電話端末について説明し、第2の実施の形態として、自転車やバイクの運転中における使用を抑制する携帯電話端末について説明する。
【0013】
[第1の実施の形態:歩行中の使用を抑制する携帯電話端末]
[携帯電話端末1の構成例]
図1は、第1の実施の形態の携帯電話端末1の構成例を説明するためのブロック図である。まず、携帯電話端末1を構成する各部について説明する。
【0014】
[携帯電話端末1の基本構成部分について]
制御部100は、携帯電話端末1の各部を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103がCPUバス104を通じて接続されたコンピュータ装置である。記憶装置110は、記録媒体として不揮発性メモリを備え、種々のアプリケーションプログラムや種々の処理により得られたデータ等の当該不揮発性メモリへの書込み/記録保持/読み出し/削除を行う。
【0015】
送受信アンテナ111、無線通信部112は、携帯電話網やインターネットなどの広域ネットワークを通じて通信を行う機能を実現する。受話器(スピーカ)113および送話器(マイクロホン)114は、通話を行うためのものである。すなわち、無線通信部112は、携帯電話網を通じて相手先との間に通話回線を接続し、受話器(スピーカ)113および送話器(マイクロホン)114を通じての通話を可能にする。また、無線通信部112は、インターネットに接続し、インターネットを通じてのデータの送受信を可能にし、電子メールの送受信やインターネット上に開示されたWebページの閲覧等を可能にする。
【0016】
キー操作部121は、携帯電話端末1に設けられたハードウェアキーからなり、ユーザーからの操作入力を受け付ける。表示処理部122と表示部123とは、種々の映像(画像)、表示メッセージなどの表示情報を表示するためのものである。タッチパネル124は、表示部123の表示画面に貼付され、ユーザーの指等の指示体による接触位置(接触座標)を検出し、これを制御部100に通知する。したがって、タッチパネル124は、制御部100によって表示位置が制御される表示部123の表示画面に表示される表示情報と共に入力インターフェースを構成する。音声出力部125とスピーカ126Aおよび音声出力端子126Bとは、種々の音声情報を出力するためのものである。なお、音声出力端子126Bには、イヤホンやヘッドホンが接続されて利用される。
【0017】
カメラ部127は、撮像レンズ、撮像素子、カメラ信号処理回路などを備え、被写体の映像を撮影し、これをデジタル信号の映像(画像)データとして取り込む機能を有する。なお、撮影時においては、カメラ部127を通じて取り込まれた映像データは、制御部100を通じて表示処理部122に供給にされる。表示処理部122は、これに供給された映像データから表示部123に供給する映像信号を形成し、これを表示部123に供給する。これにより、カメラ部127が捉えている映像が表示部123に表示され、ユーザーは表示部123の表示画像を確認しながら撮影が行える。
【0018】
マイクロホン128および音声入力部129は、例えば、カメラ部127を通じた映像の撮影時などにおいて、音声を収音し、これをデジタル信号として取り込む機能を有する。そして、キー操作部121やタッチパネル124を通じて、画像の記録指示(録画指示)が入力された場合には、カメラ部127を通じて取り込まれた映像データと、マイクロホン128および音声入力部129を通じて取り込まれた音声データとは、例えば、記憶装置110の不揮発性メモリに記録(録画、録音)できる。
【0019】
バイブレータ131は、振動を発生させることにより、着信や警告等の発生をユーザーに通知する。リンガ132は、所定の呼び出し音や警告音を発生させることにより、着信や警告等の発生をユーザーに通知する。加速度センサ141は、例えば、表示部123の上下方向を決定するために携帯電話端末1の傾きを検出したり、携帯電話端末1が備える歩数計機能を実現するために振動を検出したりする。GPS部142およびGPSアンテナ143は、自機の現在位置を測位するためのものである。
【0020】
これらの構成を有する携帯電話端末1は、電話を掛けたり、受けたりすることができる。また、電子メールの作成や参照を行ったり、インターネットにアクセスして電子メールの送受信を行ったり、Webページを閲覧したり、SNS(Social Networking Service)を利用したりすることができる。また、例えば、記憶装置110に記憶保持されている映像音声コンテンツを、表示処理部122および表示部123、音声出力部125およびスピーカ126Aを通じて再生して視聴したり、同様にして、ゲームを実行して楽しんだりすることができる。もちろん、記憶装置110に記憶保持されている音楽コンテンツを、音声出力部125および音声出力端子126Bを通じて再生して、イヤホン等を用いて聴取することもできる。
【0021】
[歩行中の使用を抑制する機能を実現する部分について]
そして、この第1の実施の形態の携帯電話端末1は、ユーザーが歩行中である場合の使用を抑制する機能を実現する部分として、動作状態検出部151、移動検知部152、警告制御部153、制限実施部154、制限解除部155を備える。
【0022】
動作状態検出部151は、制御部100による各部の制御状態に基づいて、通話処理や音楽コンテンツの再生処理以外の表示部123への表示情報の表示を伴う処理を実行中か否かを検出する。表示部123への表示情報の表示を伴う処理は、例えば、電子メールの作成や参照、Webページの閲覧、SNSの利用、映像音声コンテンツの再生、ゲームの実行、設定情報のメンテナンス処理、表示を伴う各種アプリケーションの実行処理等である。すなわち、表示部123への表示情報の表示を伴う処理は、ユーザーが必ず確認すべき表示情報の表示を伴う種々の処理である。
【0023】
移動検知部152は、制御部100の制御の下、動作状態検出部151が表示部123への表示情報の表示を伴う処理を実行中であると検出した場合に、自機を使用しているユーザーが歩行中か否かを検知する。当該検知処理は、加速度センサ141の検出出力やGPS部142によって測位される現在位置の変化に基づいて行われる。
【0024】
警告制御部153は、移動検知部152によって自機を使用しているユーザーが歩行中であると検知した場合に、携帯電話端末1のユーザーに対して歩行中の使用であることを警告する処理を行う。警告制御部153は、制御部100を通じてバイブレータ131を振動させたり、制御部100を通じて表示処理部122に警告用表示メッセージデータを供給し、表示部123に警告用メッセージを表示させたりして、歩行中の使用を警告する。なお、警告メッセージの表示は、目立つように、例えば、吹き出しメッセージを表示させるなど、種々の表示態様とすることが可能である。この他にも、警告制御部153は、リンガ132から警告音を放音したり、制御部100を通じて音声出力部125に警告用音声メッセージデータを供給し、スピーカ126Aから音声による警告メッセージを出力したりして、歩行中の使用を警告することができる。
【0025】
制限実施部154は、警告制御部153による警告処理の後、表示部123に表示させる映像(画像)をカメラ部127からの映像に切り替える処理を行う。この場合、制限実施部154は、制御部100を通じてカメラ部127を起動させ、カメラ部127からの映像データを、制御部100を通じて表示処理部122に供給する。これにより、表示部123の表示画面の全面にカメラ部127からの映像データに応じた映像を表示する。
【0026】
通常、携帯電話端末においては、カメラ部と表示部の表示画面とは互いに反対側となる面に設けられている。カメラ部で捉えた映像を表示部に表示させることにより、ユーザーがカメラ部を通じてとらえている映像を確認しながら撮影を行えるようにするためである。したがって、携帯電話端末1がユーザーによって使用されている場合、カメラ部127は、ユーザーの前方、すなわち、ユーザーの進行方向の映像を捉える。このため、携帯電話端末1を使用しているユーザーが歩行を開始した場合に、携帯電話端末1の表示部123の表示画面の全面にカメラ部127が捉えた映像を表示する。これにより、ユーザーは携帯電話端末1の表示部123に表示された映像により、自分の進行方向の状態を認識することができる。そして、視覚的にユーザーの進行方向の障害を回避すると共に、ユーザーの進行方向(前方)への視線の回復を促すことができる。
【0027】
制限解除部155は、制限実施部154によりカメラ部127からの映像データに応じた映像を表示部123に表示させた後、移動検知部152によりユーザーが歩行を停止させたことを検知した場合に、表示部123に元の表示情報を表示させる処理を行う。この場合、制限解除部155は、制御部100を通じてカメラ部127の動作を停止させる。そして、制限解除部155は、制御部100を通じて、カメラ部127からの映像データに応じた映像に切り替える直前まで表示部123に表示させていた表示情報を表示するための表示データを表示処理部122に供給する処理を再開する。これにより、カメラ部127からの映像データに応じた映像に切り替える直前まで表示部123に表示していた表示情報の表示に復帰させる。
【0028】
[歩行中の使用を抑制する携帯電話端末1の処理について]
次に、図1に示した構成を有するこの第1の実施の形態の携帯電話端末1で行われる歩行中の携帯電話端末1の使用を抑制する処理について説明する。図2は、当該歩行中の携帯電話端末1の使用を抑制する処理について説明するためのフローチャートである。また、図3は、携帯電話端末1の表示部123に表示される表示映像(表示画像)の例を説明するための図である。図2に示す処理は、携帯電話端末1に電源が投入されているときに、所定のタイミング毎に主に制御部100において実行される。
【0029】
図2に示す処理が実行されると、制御部100は、動作状態検出部151を制御し、自己の動作状態を検出する(ステップS101)。そして、制御部100は、ステップS101の検出結果に基づいて、自機においては表示部123への表示情報の表示を伴う処理を実行中か否かを判別する(ステップS102)。ステップS102の判別処理において、表示情報の表示を伴う処理を実行していないと判別したときには、使用を制限する必要はないので、この図2に示す処理を終了し、次の実行タイミングを待つことになる。すなわち、通話処理、音声再生処理、待ち受け処理などが行われ、表示情報の表示を伴う処理が行われていないときには、この図2に示す処理は終了する。
【0030】
また、携帯電話端末1において、電子メールの参照、電子メールの作成、電子メールの送受信、Webページの閲覧、SNSの利用、映像音声コンテンツの再生等の表示情報の表示が伴う処理が行われていたとする。この場合には、ステップS101の検出処理を受けて、ステップS102の判別処理では、表示情報の表示を伴う処理を実行していると判別することになる。具体的に、図3Aに示すように、自己宛ての電子メールを受信して、これを表示部123に表示し閲覧していたとする。この場合には、ステップS101の検出処理を受けて、ステップS102の判別処理では、表示情報の表示を伴う処理を実行していると判別することになる。
【0031】
この場合、制御部100は移動検知部152を制御して、自機を使用しているユーザーが歩行中か否かを検知する処理を実行する(ステップS103)。そして、制御部100は、ステップS103の検知結果に基づいて、自機を使用しているユーザーが歩行中か否かを判別する(ステップS104)。ステップS104の判別処理において、自機を使用しているユーザーが歩行中ではないと判別したときには、使用を抑制する必要はないので、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0032】
ステップS104の判別処理において、自機を使用しているユーザーが歩行中であると判別したときには、制御部100は警告制御部153を制御し、携帯電話端末1の歩行中の使用は危険である旨の警告を出力する(ステップS105)。ステップS105では、上述もしたように、バイブレータ131による振動や表示部123へのメッセージ表示により、携帯電話端末1の使用中の歩行は危険である旨の警告がなされる。
【0033】
この後、制御部100は制限実施部154を制御して、カメラ部127を起動させ、表示映像をカメラ部127からの映像データに応じた映像に切り替える(ステップS106)。この場合には、図3Aに示した映像に替えて、例えば、図3Bに示すように、表示部123の表示画面123Gとは反対側の面に設けられたカメラ部127がとらえているユーザーの前方(進行方向)の画像が、表示部123の表示画面123Gの全面に表示される。これにより、携帯電話端末1のユーザーは、表示部123に表示された映像により自己の進行方向を確認することができるようになり、図3Bに示したように、自己の進路上に位置する人や物の存在を認知することができる。すなわち、ユーザーの進行方向の視界を確保し、ユーザーが視覚的に進行方向の障害を回避できると共に、ユーザーの進行方向(前方)への視線を回復させることができる。
【0034】
そして、ステップS103の処理と同様に、制御部100は移動検知部152を制御して、自機を使用しているユーザーが歩行中か否かを検知する処理を実行する(ステップS107)。制御部100は、ステップS107の検知結果に基づいて、自機を使用しているユーザーが停止しているか否かを判別し(ステップS108)、停止していないと判別したときにはステップS107からの処理を繰り返す。すなわち、ユーザーが歩行をやめ停止するのを待つ。
【0035】
また、ステップS108の判別処理において、ユーザーは歩行をやめ停止したと判別したときには、制御部100は、制限解除部155を制御し、表示部123への表示映像を切り替え前の映像に復帰させる処理を行う(ステップS109)。具体的に、制限解除部155は、制御部100を通じてカメラ部127の動作を停止させる。そして、制限解除部155は、制御部100からカメラ部127からの映像表示に切り替える直前まで表示処理部122に供給していた表示データの供給を再開させ、表示部123への表示映像を元の映像に戻す処理を行う。この後、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0036】
このようにして、この第1の実施の形態の携帯電話端末1においては、表示部123への表示情報の表示を伴う処理を実行中に、ユーザーが歩行していることを検知した場合には、携帯電話端末1の使用を適切に抑制できる。そして、携帯電話端末1のユーザーが歩行を停止した場合には、表示部123の表示を歩行前の状態に復帰させる。したがって、ユーザーは、歩行を停止させた状態にあるときには、何らの制約をも受けることなく、携帯電話端末1を使用することができる。
【0037】
[第1の実施の形態の効果]
上述したように、第1の実施の形態の携帯電話端末1は、表示部123への表示情報の表示を伴う処理を実行中に、ユーザーが歩行していることを検知した場合には、カメラ部127がとらえている映像を表示部123に表示させるという従来にない態様で、携帯電話端末1の使用を適切に抑制することができる。そして、単に歩行中の携帯電話端末1の使用を抑制するだけでなく、視覚的にユーザーの進行方向の障害を回避すると共に、ユーザーの進行方向(前方)への視線を回復させることができる。すなわち、ユーザーおよびその周囲の人の安全を確保することができる。
【0038】
[第1の実施の形態の変形例]
なお、携帯電話端末1においては、例えば、加速度センサ141の検出出力を常時モニタし、検出出力の大きさ(レベル)や検出出力の変化パターン(移動と停止のパターン)などを考慮して、歩行中か否かを検知するようにしてもよい。また、上述もしたように、GPS部142からの現在位置に基づいて、2点間の距離と、その2点間の距離を移動するのに掛かった時間から移動速度を算出し、当該移動速度が時速4km以下であれば、歩行していると判別することが可能である。
【0039】
また、カメラ部127からの映像データに応じた映像を表示部123に表示させた場合に、当該映像データを記憶装置110に記録するようにし、トラブル時の証拠として利用することもできる。もちろん、映像データだけでなく、マイクロホン128を通じて収音する音声データについても記録してもよい。
【0040】
[第2の実施の形態:自転車やバイクの運転中の使用を抑制する携帯電話端末]
携帯電話端末は歩行中だけでなく、自転車やバイクの運転中にも使用される可能性がある。しかし、自転車やバイクの運転中においては、加速度センサ141により歩行中のような顕著な検出出力が得られない場合がある。また、GPS部142からの現在位置をも考慮したとしても、バス、自動車、電車などの乗り物に乗っている場合と区別がつかない場合もある。そこで、この第2の実施の形態の携帯電話端末1Aは、カメラ部からの映像を解析することにより、携帯電話端末1Aの移動速度を検出し、この移動速度をも考慮して、自転車やバイクの運転中か否かを検出する。そして、この第2の実施の形態の携帯電話端末1Aは、自転車やバイクの運転中における携帯電話端末1Aの使用を適切に抑制する。
【0041】
[携帯電話端末1Aの構成例]
図4は、第2の実施の形態の携帯電話端末1Aの構成例を説明するためのブロック図である。この第2の実施の形態の携帯電話端末1Aは、図1に示した第1の実施の形態の携帯電話端末1とは、カメラ映像解析部156を備える点で異なっている。そして、後述もするが、制御部100が、ユーザーの移動を検知した場合にカメラ部127を起動させる撮像制御手段としての機能と、カメラ映像解析部156の解析結果をも考慮して、ユーザーが自転車やバイクを運転しているか否かを検出する運転検出手段としての機能を実現している。これ以外の各部は、図1に示した第1の実施の形態の携帯電話端末1とほぼ同様に構成される。このため、図4に示した第2の実施の形態の携帯電話端末1Aにおいて、図1に示した第1の実施の形態の携帯電話端末1と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、その部分の説明については重複するので省略する。
【0042】
[自転車やバイクの運転中に使用を抑制する機能を実現する部分について]
この第2の実施の形態の携帯電話端末1Aは、単にユーザーが移動中か否か検知して使用を抑制するものではなく、自機の移動速度をも考慮して、自転車やバイクを運転中か否かを判別し、運転中である場合に使用を抑制する。このため、この第2の実施の形態の携帯電話端末1Aにおいても、動作状態検出部151において、表示部123への表示情報の表示を伴う処理を実行中であるか否かを検出する。動作状態検出分151により、表示部123への表示情報の表示を伴う処理を実行中であると検出された場合に、移動検知部152が、加速度センサ141の検出出力やGPS部142からの現在位置情報に基づいて、自機が移動中か否かを検知する。
【0043】
そして、移動検知部152において、自機が移動中であると検知した場合に、制御部100は、カメラ部127を起動させて撮影を開始させると共に、撮影された映像の映像データをカメラ映像解析部156において解析させて、自機の移動速度を算出する。具体的にカメラ映像解析部156は、カメラ部127を通じて順次に取り込まれる映像データを解析し、移動速度を求める。当該移動速度は、カメラ部127からの映像データによる映像がどれ位の速さで変化しているのかを解析することにより求めることができる。
【0044】
そして、制御部100は、カメラ映像解析部156の解析結果に基づき、移動速度が例えば時速5km以上であれば、携帯電話端末1Aのユーザーは、自転車やバイクの運転中であると検出する。この場合、制御部100は、まず、警告制御部153を制御し、上述した第1の実施の形態の携帯電話端末1の場合と同様の態様で、自転車やバイクの運転中に携帯電話端末1Aを使用することは危険である旨を警告する。この後、制御部100が制限実施部154を制御して、表示部123の表示画面の全面に表示する映像をカメラ部127からの映像に切り替える。
【0045】
これにより、上述した第1の実施の形態の携帯電話端末1の場合と同様に、視覚的にユーザーの進行方向の障害を回避する共に、ユーザーの進行方向(前方)への視線を回復させる。この後、制御部100は、カメラ映像解析部156からの解析結果に基づいて、ユーザーが停止したこと(自転車やバイクを停止させたこと)を検出したとする。この場合、制御部100は、制限解除部155を制御して、表示部123に表示する映像を、カメラ部127からの映像に切り替える前の映像に復帰させる。これにより、携帯電話端末1Aのユーザーは、自転車やバイクを停止させているときには、何らの制約をも受けることなく、携帯電話端末1を使用することができる。
【0046】
[自転車やバイクの運転中の使用を抑制する携帯電話端末1Aの処理について]
次に、図4に示した構成を有するこの第2の実施の形態の携帯電話端末1Aで行われる自転車やバイクの運転中の携帯電話端末1Aの使用を抑制する処理について詳細に説明する。図5は、当該自転車やバイクの運転中の携帯電話端末1Aの使用を抑制する処理について説明するためのフローチャートである。また、図6は、携帯電話端末1Aの表示部123に表示される表示映像(表示画像)の例を説明するための図である。この図5に示す処理は、携帯電話端末1Aに電源が投入されているときに、所定のタイミング毎に主に制御部100において実行される処理である。
【0047】
図5に示す処理が実行されると、制御部100は、動作状態検出部151を制御し、自己の動作状態を検出する(ステップS201)。そして、制御部100は、ステップS201の検出結果に基づいて、自機においては表示部123への表示情報の表示を伴う処理を実行中か否かを判別する(ステップS202)。ステップS202の判別処理において、表示情報の表示を伴う処理を実行していないと判別したときには、使用を制限する必要はないので、この図5に示す処理を終了し、次の実行タイミングを待つことになる。
【0048】
また、この第2の実施の形態の携帯電話端末1Aにおいても、例えば、図3Aに示すように、自己宛ての電子メールを受信して、これを表示部123に表示し閲覧するようにしていたとする。この場合、ステップS201の検出処理を受けて、ステップS202の判別処理では、表示情報の表示を伴う処理を実行していると判別することになる。この場合、制御部100は移動検知部152を制御して、自機を使用しているユーザーが移動中か否かを検知する処理を実行する(ステップS203)。
【0049】
ステップS203においては、加速度センサ141からの検出出力が、自転車やバイクなどの乗り物に載っている場合に生じる程度の振動を検出しているときには、自機は移動していると検知する。また、GPS部142から順次に提供される現在位置により決まる2点間の距離と、その2点間を移動するためにかかった時間とに基づいて移動速度を求め、その速度に応じて移動しているか否かを検知するようにしてもよい。もちろん、これらを併用してもよい。
【0050】
そして、制御部100は、ステップS103の検知結果に基づいて、自機を使用しているユーザーが移動中か否かを判別する(ステップS204)。ステップS204の判別処理において、自機を使用しているユーザーが移動中ではないと判別したときには、使用を抑制する必要はないので、ステップS201からの処理を繰り返す。また、ステップS204の判別処理において、自機を使用しているユーザーが移動中であると判別したときには、制御部100は、カメラ部127、音声入力部129を起動して、録画、録音を開始する(ステップS205)。この場合、カメラ部127を通じて撮影された映像の映像データと、マイクロホン128を通じて収音された音声の音声データとは、制御部100を通じて記憶装置110に格納される。
【0051】
次に、制御部100は、カメラ映像解析部156を制御し、上述したように、カメラ部127を通じて順次に取り込まれる映像データを解析し、自機の移動速度の算出処理を開始させる(ステップS206)。そして、制御部100は、カメラ映像解析部156により求められた移動速度に基づいて、自機のユーザーは自転車やバイクを運転中か否かを判別する(ステップS207)。
【0052】
ステップS207の判別処理において、自機のユーザーは自転車やバイクの運転中であると判別したとする。この場合、制御部100は警告制御部153を制御し、携帯電話端末1Aの自転車やバイクの運転中の使用は危険である旨の警告を出力する(ステップS208)。このステップS208では、バイブレータ131を振動させたり、制御部100および表示処理部122を通じて表示部123に、携帯電話端末1Aの自転車やバイクの運転中の使用は危険である旨の表示メッセージを表示させたりする。
【0053】
この後、制御部100は制限実施部154を制御して、表示部123の表示画面の全面に表示する表示映像を、カメラ部127からの映像に切り替える(ステップS209)。この場合には、元の表示が例えば図3Aに示した映像であったとすると、これが図6に示すように、カメラ部127がとらえているユーザーの前方(進行方向)の映像に変えられる。これにより、ユーザーの進行方向の視界を確保し、視覚的にユーザーの進行方向の障害を回避する共に、ユーザーの進行方向(前方)への視線を回復させる。そして、制御部100は、カメラ映像解析部156で求められている移動速度を参照し、ユーザーが停止したか否か(自転車やバイクの運転を止めたか否か)を判別する(ステップS210)。ステップS210の判別処理において、停止していないと判別した時には、ステップS210からの処理を繰り返す。すなわち、ユーザーが自転車やバイクの運転を止め、停止するのを待つ。
【0054】
また、ステップS210の判別処理において、ユーザーは自転車やバイクを運転するのを止め停止したと判別したときには、制御部100は、制限解除部155を制御し、表示部123への表示を切り替え前の表示に戻す処理を行う(ステップS211)。具体的に、制限解除部155は、制御部100を通じてカメラ部127の動作を停止させる。そして、制限解除部155は、制御部100からカメラ部127からの映像表示に切り替える直前まで表示処理部122に供給していた表示データの供給を再開させ、表示部123への表示映像を元の映像に戻す処理を行う。この後、制御部100は、カメラ部127、音声入力部129、カメラ映像解析部156の機能を停止させて、移動速度の算出を終了し(ステップS212)、ステップS201からの処理を繰り返すようにする。
【0055】
また、ステップS207の判別処理において、自機のユーザーは自転車やバイクの運転中ではないと判別したとする。この場合には、例えば、バス、自動車、電車など、自分が運転していない交通機関を利用していると考えられるので、ステップS213の処理に進み、移動速度の算出を終了させ(ステップS212)、この後、ステップS201からの処理を繰り返す。
【0056】
このように、この第2の実施の形態の携帯電話端末1Aは、ユーザーが自転車やバイクを運転して移動中であることを検出した場合に、携帯電話端末1Aのユーザーよる使用を抑制し、ユーザーや周囲の人の安全を図ることができる。
【0057】
[第2の実施の形態の効果]
上述したように、第2の実施の形態の携帯電話端末1Aは、表示部123への表示情報の表示を伴う処理を実行中に、ユーザーが自転車やバイクを運転中の場合には、強制的にカメラ部127が捉えている映像を表示部123に表示させるという従来にない態様で、携帯電話端末1Aの使用を適切に抑制することができる。そして、単に自転車やバイクの運転中の携帯電話端末1Aの使用を抑制するだけでなく、視覚的にユーザーの進行方向の障害を回避すると共に、ユーザーの進行方向(前方)への視線を回復させることができる。すなわち、歩行時よりも高速に移動しているために非常に危険である自転車やバイクの運転中における携帯電話端末1Aの使用を効果的に抑制し、ユーザーおよびその周囲の人の安全を確保することができる。
【0058】
[第2の実施の形態の変形例]
[変形例1]
この第2の実施の形態の変形例の携帯電話端末1Aでは、画像認識技術を用い、カメラ部127がとらえている映像中に存在する障害物の存在を検知して、周囲への警報をも行う。なお、この第2の実施の形態の変形例の携帯電話端末1Aもまた、図4に示した第2の実施の形態の携帯電話端末1Aと同様の構成を有するものであるが、カメラ映像解析部156において、カメラ部127からの映像中に存在する障害物の認識処理をも行うようにしている。
【0059】
図7は、この第2の実施の形態の変形例における携帯電話端末1Aで行われる自転車やバイクの運転中の使用を抑制する処理について説明するためのフローチャートである。この図7に示す処理は、携帯電話端末1Aに電源が投入されているときに、所定のタイミング毎に主に制御部100において実行される処理である。
【0060】
図7において、ステップS301〜ステップS305までの処理は、図5に示したステップS201〜ステップS205までの処理と同様に行われる。ステップS305の処理の後、制御部100は、カメラ映像解析部156を制御し、カメラ部127からの映像を解析することにより、移動速度の算出処理と、画像認識技術を用いた障害物の認識処理を開始する(ステップS306)。具体的に、ステップS306においては、図5に示したステップS206の処理と同様に、移動速度の算出処理を行うと共に、カメラ部127からの映像のユーザーの進行方向に存在する障害物を、パターン認識技術を用いて認識する処理をも行う。
【0061】
そして、制御部100は、カメラ映像解析部156により求められた移動速度に基づいて、自機のユーザーは自転車やバイクの運転中か否かを判別する(ステップS307)。ステップS307の判別処理において、自機のユーザーは自転車やバイクの運転中であると判別したとする。この場合、制御部100は警告制御部153を制御し、携帯電話端末1Aの自転車やバイクの運転中の使用は危険である旨の警告を出力する(ステップS308)。この後、制御部100は制限実施部154を制御して、表示映像をカメラ部127からの映像に切り替える(ステップS309)。これにより、ユーザーの進行方向の視界を確保し、視覚的にユーザーの進行方向の障害を回避する共に、ユーザーの進行方向(前方)への視線を回復させる。これらステップS307〜ステップS309の処理は、図5に示したステップS207〜ステップS209の処理と同様に行われる処理である。
【0062】
この後、制御部100は、カメラ映像解析部156による障害物の認識結果に基づいて、ユーザーの進行方向に障害物が存在しているか否かを判別する(ステップS310)。例えば、図6に示したように、ユーザーの前方(進行方向)の路上に、子供が乗ったり押したりして遊ぶおもちゃ自動車が置かれていたとする。この場合、ステップS306の障害物の認識処理の結果に基づき、ステップS310の判別処理においては、ユーザーの前方に障害物が存在していると判別することになる。
【0063】
ステップS310の判別処理において、ユーザーの進行方向に障害物が存在していると判別したとする。この場合、制御部100は、警告制御部153を制御してリンガ132を通じて大音量で警報音を放音させたり、あるいは、音声出力部125およびスピーカ126Aから大音量で警報音を放音させたりする(ステップS311)。これにより、近隣に存在する人に対しても危険を報知する。なお、図6に示した例では、携帯電話端末1Aのユーザーの前方に物(おもちゃ自動車)が存在する場合を示したが、障害物が人や動物である場合ももちろんある。従って、ユーザーの進行方向に、人、動物、物などの障害物が存在する場合には、当該ユーザーの自転車やバイクの運転中における携帯電話端末1Aの使用により、危険な目にあわせる可能性のある周囲の人に対しても警報を発する。
【0064】
そして、ステップS311の警報処理の後、あるいは、ステップS310の判別処理において、進行方向に障害物は存在していないと判別したときには、制御部100はステップS312の判別処理に進む。この場合、制御部100は、カメラ映像解析部156で求められている移動速度に基づいて、ユーザーが停止したか否か(自転写やバイクの運転を止めたか否か)を判別する(ステップS312)。ステップS312の判別処理において、停止していないと判別した時には、制御部100は、上述したステップS310の処理と同様に、カメラ映像解析部156による障害物の認識結果に基づいて、ユーザーの進行方向に障害物が存在しているか否かを判別する(ステップS313)。ステップS313の判別処理において、障害物が存在していると判別した場合には、ステップS311の処理と同様に、大音量の警報音を放音して、近隣に存在する人に対しても危険を報知する(ステップS314)。ステップS314の処理の後、また、ステップS313の判別処理において、障害物は存在しないと判別した場合には、ステップS312からの処理を繰り返す。
【0065】
また、ステップS2312の判別処理において、ユーザーは自転車やバイクを運転するのを止め停止したと判別したときには、制御部100は、制限解除部155を制御し、表示部123への表示映像を切り替え前の映像に戻す処理を行う(ステップS315)。このステップS315の処理は、図6に示したステップS212と同様に行われる処理である。そして、制限解除部155は、制御部100からカメラ部127からの映像表示に切り替える直前まで表示処理部122に供給していた表示データの供給を再開させ、表示部123への表示映像を元の映像に戻す処理を行う。この後、制御部100は、カメラ部127、音声入力部129、カメラ映像解析部156の機能を停止させて、移動速度の算出処理、および、障害物の認識処理を終了し(ステップS316)、ステップS301からの処理を繰り返すようにする。
【0066】
また、ステップS307の判別処理において、自機のユーザーは自転車やバイクの運転中ではないと判別したとする。この場合には、例えば、バス、自動車、電車など、自分が運転していない交通機関を利用していると考えられるので、ステップS316の処理に進み、移動方向や移動速度の算出処理と障害物の認識処理を終了させ(ステップS316)、この後、ステップS301からの処理を繰り返す。
【0067】
このように、この第2の実施の形態の変形例における携帯電話端末1Aは、ユーザーが自転車やバイクを運転して移動中であることを検出した場合に、携帯電話端末1Aのユーザーよる使用を抑制し、ユーザーや周囲の人の安全を図ることができる。さらに、ユーザーの進行方向に障害物が存在することが確認できた場合には、周囲の人にも警告音等により危険を報知できる。
【0068】
[変形例2]
なお、上述した第2の実施の形態の携帯電話端末1Aにおいては、カメラ部127からの映像を解析することにより求められる移動速度をも考慮して、歩行時よりも振動が少なく、移動速度が速い自転車やバイクの運転中か否かを判別するようにした。しかし、これに限るものではない。カメラ部127からの映像を解析することによりユーザーの向き及び移動方向をも検出し、これをも考慮して、自転車やバイクの運転中か否かを判別してもよい。
【0069】
例えば、ユーザーの向きは、通常、携帯電話端末1Aのカメラ部127の向きと同じである。また、移動方向は、映像の流れる方向(変化する方向)により特定できる。このため、例えば、図6に示した態様の映像が撮影できている場合、ユーザーの向きは前方であり、移動方向は、ユーザーの後方から前方であることが判別できる。このように、ユーザーの向きと移動方向が一致している場合であって、移動速度が歩行時よりも速い場合には、自転車やバイクの運転中であると判別することができる。このように、ユーザーの向きや移動方向をも考慮することにより、例えば、横向きでバスや電車に乗っている場合と、自転車やバイクを運転中の場合とを効果的に区別することができる。
【0070】
もちろん、自動車やバスに乗車する場合に、進行方向を向いて着席する場合もあるが、その場合には、自動車やバスなどの乗り物内か否かを画像認識により判別することができる。また、自転車やバイクである程度の速度で移動している場合には、もはや携帯電話端末1Aを使用することは難しい。このため、移動速度が所定値以上の場合には、自転車やバイクの運転中ではなく、自動車やバスなどの乗り物内であると判別するようにすることも可能である。なお、移動速度の上限値を用いる場合には、画像認識を併用するなど、他の判別方法と併用することが望ましい。
【0071】
[歩行中、および、自転車やバイクの運転中の携帯電話端末の使用の抑制]
上述した第1の実施の形態では、歩行中における携帯電話端末の使用を抑制できるようにし、上述した第2の実施の形態で、自転車やバイクの運転中における携帯電話端末の使用を抑制できるようにした。しかし、これら合わせ持つようにすることももちろん可能である。この場合の携帯電話端末の構成は、図4に示した第2の実施の形態の携帯電話端末1Aと同様の構成になる。
【0072】
そして、当該携帯電話端末では、図2図5とを合わせた処理、あるいは、図2図7とを合わせた処理を行うようにすればよい。基本的に、図2のステップS101〜ステップS104の処理と、図5のステップS201〜ステップS204の処理と、図6のステップS301〜ステップS304の処理とは同様に行われる。
【0073】
このため、自機において表示部123への表示情報の表示を伴う処理を実行中であるか否の検出処理を行い(ステップS101、201、301)、これに基づき表示部123への表示情報の表示を伴う処理を実行中であると判別したとする(ステップS102、202、302)。この場合に、自機のユーザーの移動状態を検知し(ステップS103、203、203)し、歩行による移動中か、歩行以外の移動中か、停止中かを判別する(ステップS104、204、304)。ステップS103、203、203の検知処理では、加速度センサ141の検出出力がユーザーの歩行時に特有の検出出力となっているか、歩行時特有の検出出力ではないが移動を示す検出出力となっているか、あるいは、検出出力は極めて小さいか等に応じて、ユーザーの移動状態を検知できる。また、GPS部142からの現在位置を利用して求める移動速度を考慮してもよい。
【0074】
そして、ステップS103、203、203の検知処理に基づき、ステップS104、204、304で停止中であると判別したときには、図2図5図7に示した場合と同様に、ステップS101、201、301からの処理を繰り返す。ステップS104、204、304で歩行による移動中であると判別したときには、図2に示したステップS105〜ステップS109の処理を実行する。また、ステップS104、204、304で歩行以外の移動中であると判別したときには、図5に示したステップS205〜ステップS212の処理を、あるいは、図7に示したステップS305〜ステップS316の処理を実行する。なお、ステップS109、223、316の処理の後には、ステップS101、201、301からの処理を繰り返す。
【0075】
このように、図2図5とを合わせた処理、あるいは、図2図7とを合わせた処理を行うことにより、ユーザーの歩行時においても、また、ユーザーの自転車やバイクの運転時においても、携帯電話端末の使用を適切に抑制することが可能となる。
【0076】
[実施の形態の効果等]
上述した実施の形態の携帯電話端末1、1Aにより、携帯電話端末1、1Aのユーザー自身が、歩行中や、自転車やバイクの運転中の携帯電話端末の使用が危険であることを認識することができる。従って、法令等で禁止されるまでも無く、マナーとして移動時の携帯電話端末の使用をしないように意識付けることができる。
【0077】
また、図2図5図7に示した処理を行なう機能を、携帯電話会社や携帯電話メーカーの工場出荷時点において、携帯電話端末に組み込むことが望ましい。もちろん、既存の携帯電話端末に対しても、図2図5図7に示した処理を行なうプログラムを、インターネット等を通じて提供することにより、機能を強化させることもできる。すなわち、動作状態検出部151、移動検知部152、警告制御部153、制限実施部154、制限解除部155、カメラ画像解析部156の各部の機能は、ソフトウェアによって制御部100の機能として実現することが可能である。
【0078】
[その他]
上述した実施の形態の記載からも分かるように、携帯端末装置の撮像手段としての機能は、携帯電話端末1、1Aのカメラ部127が実現し、携帯端末装置の表示手段としての機能は、表示部123が実現している。また、携帯端末装置の検出手段としての機能は、携帯電話端末1、1Aの動作状態検出部151が実現し、携帯端末装置の検知手段としての機能は、携帯電話端末1、1Aの移動検知部152が実現している。また、携帯端末装置の制限実施手段としての機能は、携帯電話端末1、1Aの制限実施部154が実現している。
【0079】
また、携帯端末装置の振動検出手段、現在位置測位手段の機能は、携帯電話端末1、1Aの加速度センサ141、GPS部142が実現している。また、携帯端末装置の撮像制御手段としての機能は、携帯電話端末1Aの制御部100が実現し、携帯端末装置の速度検出手段としての機能は、携帯電話端末1Aのカメラ映像解析部156が実現している。また、携帯端末装置の運転検出手段は、携帯電話端末1Aの制御部100が実現し、携帯端末装置の制限解除手段としての機能は、携帯電話端末1、1Aの制限解除部155が実現している。
【0080】
また、図2図5図7のフローチャートに示した処理は、この発明の携帯端末装置の動作制御方法に対応するものである。また、図2図5図7のフローチャートに応じた処理を実行するプログラムが、この発明の携帯端末装置の動作制御プログラムである。したがって、図2図5図7に示した処理を実行するプログラムを形成し、これを携帯端末装置に搭載して、当該携帯端末装置において実行可能にしておくことにより、この発明の携帯端末装置を容易に実現することができる。
【符号の説明】
【0081】
1、1A…携帯電話端末、100…制御部、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…CPUバス、110…記憶装置、111…送受信アンテナ、112…無線通信部、113…受話器、114…送話器、121…キー操作部、122…表示処理部、123…表示部、124…タッチパネル、125…音声出力部、126A…スピーカ、126B…音声出力端子、127…カメラ部、128…マイクロホン、129…音声入力部、131…バイブレータ、132…リンガ、141…加速度センサ、142…GPS部、143…GPSアンテナ、151…動作状態検出部、152…移動検知部、153…警告制御部、154…制限実施部、155…制限解除部、156…カメラ映像解析部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7