特許第5750074号(P5750074)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5750074液晶表示装置、液晶表示装置の製造方法、および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750074
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】液晶表示装置、液晶表示装置の製造方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20150625BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   G02F1/1343
   G02F1/1337 505
   G02F1/1337 500
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-54439(P2012-54439)
(22)【出願日】2012年3月12日
(65)【公開番号】特開2013-190461(P2013-190461A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2014年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(74)【代理人】
【識別番号】100092152
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 毅巖
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大亮
(72)【発明者】
【氏名】大森 英幸
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−237414(JP,A)
【文献】 特開2007−264231(JP,A)
【文献】 特開2009−288604(JP,A)
【文献】 特許第5300866(JP,B2)
【文献】 特開2009−048007(JP,A)
【文献】 特開2012−113305(JP,A)
【文献】 特開2009−237108(JP,A)
【文献】 特開2010−008874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343
G02F 1/1368
G02F 1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶層を挟持して対向配置された1対の基板の一方に、互いに異なる方向に延在する走査線および信号線を複数有し、
前記液晶層から順に、画素配列方向に対して所定の傾きを有するラビング処理方向でラビング処理された配向膜と、画素電極と、絶縁層と、共通電極と、を備え、
前記画素電極は、前記ラビング処理方向に並ぶ第1の領域と第2の領域とからなるサブ画素を有し、
前記第1の領域は、前記走査線および前記信号線により区画され、前記第2の領域は、前記走査線および前記信号線により区画され、
前記第1の領域と前記第2の領域は、それぞれシングルドメインであって、前記サブ画素は、前記第1の領域と前記第2の領域とによりマルチドメインを構成し、
前記第1の領域は、前記ラビング処理方向に対して第1の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有し、
前記第2の領域は、前記ラビング処理方向に対して前記第1の方向と異なる第2の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有し、
前記第1の領域の複数のスリット状開口の主部の延在方向の終端部は、同じ方向に延在して隣り合って配置されるとともに、前記第1の領域のスリット状開口の主部の延在方向に対して、前記第1の方向に第1の傾きを有して延在し、
前記第2の領域の複数のスリット状開口の主部の延在方向の終端部は、同じ方向に延在して隣り合って配置されるとともに、前記第2の領域のスリット状開口の主部の延在方向に対して、前記第2の方向に前記第1の傾きと異なる第2の傾きを有して延在する、
液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1の領域のスリット状開口の前記ラビング処理方向に対する傾きの大きさと、前記第2の領域のスリット状開口の前記ラビング処理方向に対する傾きの大きさとは、同じ大きさである請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記ラビング処理方向に対する傾きの大きさは、5度である請求項記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記ラビング処理方向の傾きは、10度である請求項記載の液晶表示装置。
【請求項5】
1画素は、3つのサブ画素により構成されている請求項記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1の領域のスリット状開口の延在方向の終端部と、前記第2の領域のスリット状開口の延在方向の終端部は、平面視においてブラックマトリクスと重なる請求項記載の
液晶表示装置。
【請求項7】
前記信号線は、前記第1の領域の一側に沿い配線される第1部分と、前記第2の領域の一側に沿い配線される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分をクランク形状で接続する第3部分とを含む請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記信号線は、1の画素の前記第2部分と、前記1の画素に隣接する他の画素の前記第1部分をクランク形状で接続する第4部分とを含む請求項記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第1の領域の開口率と、前記第2の領域の開口率が同じである請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第1の領域の重心と、前記第2の領域の重心とは、前記画素配列方向に沿って並ぶ請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第1の領域と前記第2の領域は、前記第1の領域と前記第2の領域が並ぶ前記画素配列方向に沿って繰り返し配置される請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項12】
液晶層を挟持して対向配置された1対の基板の一方に、互いに異なる方向に延在する走査線および信号線を複数有し、前記液晶層から順に、配向膜と、画素電極と、絶縁層と、共通電極と、を備える液晶表示装置の製造方法であって、
画素配列方向に対して所定の傾きを有するラビング処理方向で、前記配向膜にラビング処理をおこなうラビング工程と、
前記画素電極は、前記ラビング処理方向に並ぶ第1の領域と第2の領域とからなるサブ画素を有し、前記第1の領域は、前記走査線および前記信号線により区画され、前記第2の領域は、前記走査線および前記信号線により区画され、前記第1の領域と前記第2の領域は、それぞれシングルドメインであって、前記サブ画素は、前記第1の領域と前記第2の領域とによりマルチドメインを構成し、前記第1の領域は、前記ラビング処理方向に対して第1の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有し、前記第2の領域は、前記ラビング処理方向に対して前記第1の方向と異なる第2の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有し、前記第1の領域の複数のスリット状開口の主部の延在方向の終端部は、同じ方向に延在して隣り合って配置されるとともに、前記第1の領域のスリット状開口の主部の延在方向に対して、前記第1の方向に第1の傾きを有して延在し、前記第2の領域の複数のスリット状開口の主部の延在方向の終端部は、同じ方向に延在して隣り合って配置されるとともに、前記第2の領域のスリット状開口の主部の延在方向に対して、前記第2の方向に前記第1の傾きと異なる第2の傾きを有して延在する前記画素電極を形成する画素電極形成工程と、
を有する液晶表示装置の製造方法。
【請求項13】
液晶表示装置を備える電子機器であって、
前記液晶表示装置は、
液晶層を挟持して対向配置された1対の基板の一方に、互いに異なる方向に延在する走査線および信号線を複数有し、
前記液晶層から順に、画素配列方向に対して所定の傾きを有するラビング処理方向でラビング処理された配向膜と、画素電極と、絶縁層と、共通電極と、を備え、
前記画素電極は、前記ラビング処理方向に並ぶ第1の領域と第2の領域とからなるサブ画素を有し、
前記第1の領域は、前記走査線および前記信号線により区画され、前記第2の領域は、前記走査線および前記信号線により区画され、
前記第1の領域と前記第2の領域は、それぞれシングルドメインであって、前記サブ画素は、前記第1の領域と前記第2の領域とによりマルチドメインを構成し、
前記第1の領域は、前記ラビング処理方向に対して第1の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有し、
前記第2の領域は、前記ラビング処理方向に対して前記第1の方向と異なる第2の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有し、
前記第1の領域の複数のスリット状開口の主部の延在方向の終端部は、同じ方向に延在して隣り合って配置されるとともに、前記第1の領域のスリット状開口の主部の延在方向に対して、前記第1の方向に第1の傾きを有して延在し、
前記第2の領域の複数のスリット状開口の主部の延在方向の終端部は、同じ方向に延在して隣り合って配置されるとともに、前記第2の領域のスリット状開口の主部の延在方向に対して、前記第2の方向に前記第1の傾きと異なる第2の傾きを有して延在する、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、液晶表示装置、液晶表示装置の製造方法、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
横電界方式のLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示)パネルとして、FFS(Fringe Field Switching)方式のLCDパネルが知られている。FFS方式のLCDパネルは、携帯電話などの携帯式電子機器の普及に伴い、これら携帯式電子機器に用いられている。携帯式電子機器は、屋外での使用機会が多く、携帯式電子機器の使用者は、偏光サングラスを通して、携帯式電子機器が備える表示画面を観察する機会をもつことがある。その際に、FFS方式のLCDパネルが直線偏光特性を有することで、偏光サングラスの透過軸と、FFS方式のLCDの透過軸とが、0度/180度、あるいは90度/270度の角度をなすときに、使用者(観察者)が表示画面を観察しにくくなることがあった。
【0003】
このような偏光サングラス対策として、直線偏光を円偏光に変換する位相差板を設けることができるが、位相差板の増設は、モジュール厚の増加や、コスト増加などを伴う。
【0004】
そこで、ラビング方向を画素の配列方向に対して平行または直交以外の角度で設定し、偏光素子の透過軸をラビング方向と同一方向とするLCDパネルの提案がある。このようなLCDパネルは、位相差板を増設することなく、偏光サングラスを使用した観察者に対する輝度低下を低減可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−288604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、単に、ラビング方向を画素の配列方向に対して平行または直交以外の角度で設定し、偏光素子の透過軸をラビング方向と同一方向とするだけでは、画素電極中にスリット状開口を効率よく配置することができず、開口率ロスが大きくなるとい問題がある。
【0007】
そこで、偏光サングラス対策をおこないながら、開口率ロスを低減可能な液晶表示装置、液晶表示装置の製造方法、および電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、液晶表示装置は、液晶層を挟持して対向配置された1対の基板の一方に、互いに異なる方向に延在する走査線および信号線を複数有し、液晶層から順に、画素配列方向に対して所定の傾きを有するラビング処理方向でラビング処理された配向膜と、画素電極と、絶縁層と、共通電極と、を備える。画素電極は、走査線および信号線により区画され、ラビング処理方向に並ぶ第1の領域と第2の領域とからなるサブ画素を有する。第1の領域は、ラビング処理方向に対して第1の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有する。第2の領域は、ラビング処理方向に対して第2の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有する。
【0009】
また、上記課題を解決するために、液晶層を挟持して対向配置された1対の基板の一方に、互いに異なる方向に延在する走査線および信号線を複数有し、液晶層から順に、配向膜と、画素電極と、絶縁層と、共通電極と、を備える液晶表示装置の製造方法は、ラビング工程と、画素電極形成工程と、を有する。ラビング工程は、画素配列方向に対して所定の傾きを有するラビング処理方向で、配向膜にラビング処理をおこなう。画素電極形成工程は、走査線および前記信号線により区画され、ラビング処理方向に並ぶ第1の領域と第2の領域とからなるサブ画素を有する画素電極を形成する。第1の領域は、ラビング処理方向に対して第1の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有する。第2の領域は、ラビング処理方向に対して第2の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有する。
【0010】
また、上記課題を解決するために、電子機器は、上記した液晶表示装置を備える。
【発明の効果】
【0011】
上記の液晶表示装置、液晶表示装置の製造方法、および電子機器によれば、偏光サングラス対策をおこないながら、開口率ロスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態の液晶表示パネルの1画素の正面図を示す図である。
図2図1のA−A線に沿った断面図である。
図3】第1の実施形態の液晶表示パネルのサブ画素を構成する領域の交互配置構造を示す図である。
図4】第1の実施形態の液晶表示パネルの画素電極およびスリット状開口の形状の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態の液晶表示パネルの信号線の引き回しの一例を示す図である。
図6】配向方向を90度とした場合における、サブ画素を構成する領域を区画する信号線の配置を示す参考図である。
図7】配向方向を80度とした場合における、サブ画素を構成する領域を区画する信号線の配置を示す参考図である。
図8】配向方向を60度とした場合における、サブ画素を構成する領域を区画する信号線の配置を示す参考図である。
図9】第2の実施形態のテレビジョン装置の一例を示す外観斜視図である。
図10】第3の実施形態のデジタルカメラの一例を示す図であり、(A)は、デジタルカメラの表面側の外観斜視図であり、(B)は、デジタルカメラの裏面側の外観斜視図である。
図11】第4の実施形態のノート型パーソナルコンピュータの一例を示す外観斜視図である。
図12】第5の実施形態のビデオカメラの一例を示す外観斜視図である。
図13】第6の実施形態の携帯電話機の一例を示す図であり、(A)は携帯電話機を開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は携帯電話機を閉じた状態の正面図、(D)はその左側面図、(E)はその右側面図、(F)はその上面図、(G)はその下面図である。
図14】第7の実施形態のスマートフォンの一例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
【0014】
まず、第1の実施形態の液晶表示パネルの構成について図1から図3を用いて説明する。図1は、第1の実施形態の液晶表示パネルの1画素の正面図を示す図である。図2は、図1のA−A線に沿った断面図である。図3は、第1の実施形態の液晶表示パネルのサブ画素を構成する領域の交互配置構造を示す図である。
【0015】
液晶表示パネル(液晶表示装置)1は、横電界方式の液晶表示パネルであり、より詳しくは、FFS方式の液晶表示パネルである。液晶表示パネル1は、対向配置された1対の基板として、カラーフィルタ基板11とアレイ基板20を備える。カラーフィルタ基板11とアレイ基板20は、ガラス、プラスチックその他の透明部材を基材とする。カラーフィルタ基板11とアレイ基板20は、液晶層17を挟持する。カラーフィルタ基板11とアレイ基板20の間隙は、スペーサ18によって均一の厚さに保持される。
【0016】
液晶表示パネル1は、対向配置されたカラーフィルタ基板11とアレイ基板20の外側となる面に、第1偏光板27と第2偏光板12を備える。第1偏光板27は、アレイ基板20の光源(バックライト30)側の面に備えられる。第2偏光板12は、カラーフィルタ基板11の観察側の面に備えられる。
【0017】
アレイ基板20は、基板本体26を基体としている。基板本体26は、ガラスや石英、プラスチック等からなる透明部材を基材とする。アレイ基板20は、基板本体26の液晶層17側に、走査線3を備え、走査線3を覆ってゲート絶縁膜25を備えている。アレイ基板20は、ゲート絶縁膜25の上に、半導体層(たとえば、アモルファスシリコン)と、ソース電極と、ドレイン電極とから構成されるTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)7を備える。なお、TFT7の半導体層は、ゲート絶縁膜25を介して走査線3と対向配置されている。
【0018】
アレイ基板20は、ゲート絶縁膜25の上に、TFT7を覆うようにして層間絶縁膜24を備える。層間絶縁膜24は、たとえば、酸化ケイ素ないし窒化ケイ素等からなる。アレイ基板20は、層間絶縁膜24の上に樹脂層23を備え、さらに樹脂層23の上に、走査線3と信号線2(2r,2g,2b)で区画された領域毎に共通電極(下電極)6を備える。共通電極6は、たとえば、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)、IZO(Indium Zinc Oxide:酸化インジウム亜鉛)等の透明導電材料からなる。アレイ基板20は、共通電極6を覆って電極間絶縁膜22を備える。電極間絶縁膜22は、たとえば、低温生成された酸化ケイ素ないし窒化ケイ素等からなる。
【0019】
アレイ基板20は、電極間絶縁膜22の液晶層側の面に画素電極(上電極)4を備える。画素電極4は、たとえば、ITO、IZO等の透明導電材料からなる。画素電極4は、概略Y軸方向に延在する複数のスリット状開口5を有する。スリット状開口5は、フォトリソグラフィー法によって、画素電極4を露光、エッチングすることによって形成される。
【0020】
アレイ基板20は、画素電極4、電極間絶縁膜22を覆うようにして第1配向膜21を備える。第1配向膜21は、たとえば、ポリイミドからなる。第1配向膜21は、所定の方向(たとえば、Y軸に対して時計回りに10度傾いた方向)にラビング処理が施されている。
【0021】
カラーフィルタ基板11は、基板本体13を基体としている。基板本体13は、ガラスや石英、プラスチック等からなる透明部材を基材とする。基板本体13は、サブ画素毎に異なる色の光(たとえば、R(赤)、G(緑)、B(青)等)を透過するカラーフィルタ層14を備え、所要の位置に遮光材からなるブラックマトリクス8を備える。カラーフィルタ基板11は、カラーフィルタ層14とブラックマトリクス8を覆うようにして保護樹脂層15を備え、保護樹脂層15を覆うようにして第2配向膜16を備える。第2配向膜16は、所定の方向(たとえば、Y軸に対して時計回りに10度傾いた方向)にラビング処理が施されている。
【0022】
第2偏光板12の透過軸と、第2配向膜16のラビング処理方向は、平行である。また、第1偏光板27の透過軸と、第2偏光板12の透過軸は、互いに直交するように配置されている。第2配向膜16のラビング処理方向は、画素電極4と共通電極6との間に生じる電界の主方向と交差する方向とされる。初期配向状態では、ラビング処理方向に沿って平行配向している液晶分子が、画素電極4と共通電極6との間への電圧印加によって、電界の主方向側へ回転して配向する。液晶表示パネル1は、この初期配向状態と電圧印加時の配向状態との差異にもとづいて、各サブ画素の階調表示をおこなう。
【0023】
このような液晶表示パネル1は、偏光サングラスの透過軸と、第2偏光板12の透過軸とが、0度/180度、あるいは90度/270度をなす関係にないため、位相差板を設けることなく、偏光サングラスを使用した観察者に対する輝度低下を低減可能とする。
【0024】
次に、液晶表示パネル1の画素構成について説明する。液晶表示パネル1は、X軸方向、およびX軸方向と直交するY軸方向を配列方向としてマトリクス状に複数の画素を備える。液晶表示パネル1の1画素は、縦横比1:1の概略矩形である。液晶表示パネル1の1画素は、RGBの各色に対応した3つのサブ画素で構成されるので、サブ画素は、縦横比3:1の概略矩形である。各サブ画素は、画素電極4に対応する第1領域と、画素電極9に対応する第2領域を有する。なお、画素電極4と画素電極9は、それぞれ独立したTFT7と接続し、第1領域と第2領域について独立して階調表示を可能にしている。
【0025】
すなわち、1つの画素は、赤色(R)に対応する画素電極4r,9rと、緑色(G)に対応する画素電極4g,9gと、青色(B)に対応する画素電極4b,9bにより構成される。RGBの各色に対応する第1領域(画素電極4r,4g,4b)は、X軸方向に並んで配列される。同じく、RGBの各色に対応する第2領域(画素電極9r,9g,9b)は、X軸方向に並んで配列される。
【0026】
一方、1つのサブ画素の構成要素となる第1領域と第2領域の対(画素電極4r,9r、画素電極4g,9g、あるいは画素電極4b,9b)は、1つの画素内という局所的な観点において、それぞれ概ねラビング処理方向に沿って配列される。なお、第1領域と第2領域は、複数の画素を俯瞰する大局的観点では、第1領域と第2領域が画素配列方向(Y軸方向)に沿って並び、第1領域、第2領域、第1領域、第2領域、…のように繰り返し配置される。
【0027】
第1領域と第2領域は、信号線2と走査線3により区画される。信号線2は、画素電極4,9の延在方向の一側に沿って配線され、画素電極4,9の延在方向両端部においては、画素電極4,9の両端部でX軸方向にずれた配線を引き戻す(接続する)ため、クランク形状に配線される。すなわち、信号線2は、鋸歯形状の配線となる。走査線3は、X軸方向に直線状に配線される。
【0028】
このように区画された第1領域は、高さ(Y軸方向)h1、幅(X軸方向)w1の平行四辺形形状となる。また、第2領域は、高さ(Y軸方向)h2、幅(X軸方向)w2の平行四辺形形状となる。
【0029】
したがって、液晶表示パネル1は、高さh1と高さh2を同じにし、幅w1と幅w2を同じにすることで、第1領域の開口率と第2領域の開口率とを容易に同じにすることができる。また、液晶表示パネル1は、第1領域と第2領域が交互に並んでも、第1領域の開口率と第2領域の開口率とを同じにすることで、観察者がスジ(X軸方向の明暗による線)を観察するスジリスクを低減することができる。
【0030】
次に、画素電極4のスリット状開口5と、画素電極9のスリット状開口10について説明する。電界は、画素電極4,9とスリット状開口5,10に位置する共通電極6の電位差によって生じる。電界は、アレイ基板20の面に概略平行に生じ、平面視での電界の向きは、スリット状開口5,10の辺の法線方向となる。
【0031】
スリット状開口5,10の両端に位置する短辺の電界方向は、スリット状開口5,10の延在方向となる長辺の電界方向と異なるため、リバースツイストドメインが発生する。このリバースツイストドメインの発生領域は、正常な表示ができないので、開口率低下の原因となる。また、スリット状開口5,10の両端近傍は、スリット状開口5,10を閉結するための領域を必要とするため、更に開口率が低下する。
【0032】
スリット状開口5,10は、画素電極4,9の延在方向を長辺として配置し、スリット状開口5,10の両端部が画素電極4,9の短辺近傍に位置するようにしている。これにより、液晶表示パネル1は、画素電極4,9にスリット状開口5,10を効率よく配置することができる。
【0033】
液晶表示パネル1は、スリット状開口5,10と画素電極4,9の延在方向を揃えることで、開口率向上に不利なスリット状開口5,10の両端部の数を抑制する。さらに、液晶表示パネル1は、走査線3、および画素電極4,9の両端部と平面視で重畳するようにブラックマトリクス8を配設する。これにより、開口率向上に不利なスリット状開口5,10の両端部は、もともと開口に寄与しないブラックマトリクス8と重なることで開口率向上に不利とならない配置となる。
【0034】
なお、配向方向が異なるドメインのスリット状開口の分離によるスリット状開口の端部の増加に対しては、スリット状開口に屈曲部を設けて配向方向が異なるドメインを形成することがおこなわれることがある。このような屈曲部は、配向方向が異なるドメインが互いに行き来するためにリップル不良を生じる不具合があるが、液晶表示パネル1は、開口率向上と、リップル不良発生の抑止を両立する。
【0035】
スリット状開口5の延在方向は、第1配向膜21のラビング処理方向(たとえば、Y軸方向に対して時計回りに約10度傾いた方向)に対して、所定角度α(たとえば、時計回りに約5度)傾いている。スリット状開口10の延在方向は、第1配向膜21のラビング処理方向に対して、所定角度(たとえば、反時計回りに約5度)傾いている。
【0036】
これにより、液晶表示パネル1は、第1領域と第2領域とで、液晶分子の回転方向が異なる方向となるようにしている。すなわち、液晶表示パネル1は、第1領域と第2領域とでデュアルドメイン化をおこない、視野角向上を図っている。なお、第1領域と第2領域は、独立して階調表示を可能にしているため、疑似デュアルドメインとして捉えることもできる。
【0037】
次に、第1の実施形態の画素電極について図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態の液晶表示パネルの画素電極およびスリット状開口の形状の一例を示す図である。
【0038】
液晶表示パネル1は、ラビング処理方向(配向方向)をY軸方向に対して時計回りにα度(たとえば、約10度)傾いた方向としている。画素電極4は、延在方向をY軸方向に対して時計回りにβ1度(たとえば、約15度)傾けている。言い換えれば、画素電極4は、延在方向をラビング処理方向に対して時計回りに(|β1−α|)度(たとえば、約5度)傾けている。一方、画素電極9は、延在方向をY軸方向に対して時計回りにγ1度(たとえば、約5度)傾けている。言い換えれば、画素電極9は、延在方向をラビング処理方向に対して反時計回りに(|γ1−α|)度(たとえば、約5度)傾けている。
【0039】
このように、画素電極4の延在方向と画素電極9の延在方向は、ラビング処理方向に対して向きを違えて(時計回りと反時計回り)同じ大きさだけ傾いている。これにより、液晶表示パネル1は、サブ画素に第1領域と第2領域を形成し、サブ画素のデュアルドメイン(マルチドメイン)化をおこなっている。
【0040】
画素電極4は、画素電極4と延在方向を同じにするとともに同一形状の2つのスリット状開口5を有する。2つのスリット状開口5は、Y軸方向の位置を揃えて、X軸方向に並ぶ。スリット状開口5は、主部51と、副部50と、副部52を含む。主部51は、スリット状開口の中心部から延在方向両端部近傍に至るスリット状開口の主要部分を構成する。副部50と副部52は、スリット状開口の延在方向端部に位置する。
【0041】
主部51は、Y軸成分としてt2の長さを有する。副部50は、Y軸成分としてt1の長さを有する。副部52は、Y軸成分としてt3の長さを有する。副部50と副部52は、概略同じ長さ(t1≒t3)である。主部51は、副部50と副部52に対して十分に長い(t2>t1、t3)。
【0042】
主部51は、主部51の延在方向をY軸方向に対して時計回りにβ1度(たとえば、約15度)傾けている。言い換えれば、主部51は、主部51の延在方向をラビング処理方向に対して時計回りに(|β1−α|)度(たとえば、約5度)傾けている。
【0043】
副部50は、副部50の延在方向をY軸方向に対して時計回りにβ2度(たとえば、約20度)傾けている。言い換えれば、副部50は、副部50の延在方向を主部51の延在方向に対して時計回りに(|β2−β1|)度(たとえば、約5度)傾けている。
【0044】
副部52は、副部52の延在方向をY軸方向に対して時計回りにβ3度(たとえば、約20度)傾けている。言い換えれば、副部52は、副部52の延在方向を主部51の延在方向に対して時計回りに(|β3−β1|)度(たとえば、約5度)傾けている。なお、副部50と副部52は、延在方向を主部51の延在方向に対して同じ角度(β2=β3)としているが、異なる角度(β2≠β3)としてもよい。
【0045】
このように、主部51と副部50,52は、形式上、マルチドメインの関係を構成する。ただし、主部51は、開口率向上に寄与するものの、副部50,52は、主部51に対して小さな範囲であり、さらにその一部または全部がブラックマトリクス8と重なることから開口率向上に寄与するところは限定される。そのため、スリット状開口5を主部51と副部50,52によって構成することは、視野角向上を目的とするものではない。
【0046】
液晶表示パネル1は、スリット状開口5を主部51と副部50,52によって構成することで、液晶表示パネル1が押圧されたときの「面押し滲み」から早期に復帰可能としている。なお、「面押し滲み」は、液晶表示パネル1の表示面が押圧されて液晶分子の回転角が変化し、表示画像が変化することをいう。
【0047】
詳しくは、主部51と副部50,52は、液晶表示パネル1の押圧によりディスクリネーションが大きくなっても、屈曲部で液晶分子に大きな回転力が与えられるため、元の状態への復帰が容易になる。このような液晶表示パネル1は、タッチパネル機能を有する表示装置の表示品質向上に大きく寄与する。液晶表示パネル1の押圧を伴うタッチ操作があっても、液晶表示パネル1は、観察者に対して正常な映像を提示可能にする。
【0048】
画素電極9は、画素電極9と延在方向を同じにするとともに同一形状の2つのスリット状開口10を有する。2つのスリット状開口10は、Y軸方向の位置を揃えて、X軸方向に並ぶ。スリット状開口10は、主部54と、副部53と、副部55を含む。主部54は、スリット状開口の中心部から延在方向両端部近傍に至るスリット状開口の主要部分を構成する。副部53と副部55は、スリット状開口の延在方向端部に位置する。
【0049】
主部54は、Y軸成分としてt5の長さを有する。副部50は、Y軸成分としてt4の長さを有する。副部55は、Y軸成分としてt6の長さを有する。副部53と副部55は、概略同じ長さ(t4≒t6)である。主部54は、副部53と副部55に対して十分に長い(t5>t4、t6)。
【0050】
主部54は、主部54の延在方向をY軸方向に対して時計回りにγ1度(たとえば、約5度)傾けている。言い換えれば、主部54は、主部54の延在方向をラビング処理方向に対して反時計回りに(|γ1−α|)度(たとえば、約5度)傾けている。
【0051】
副部53は、副部53の延在方向をY軸方向に対して時計回りにγ2度(たとえば、約0度)傾けている。言い換えれば、副部53は、副部53の延在方向を主部54の延在方向に対して反時計回りに(|γ2−γ1|)度(たとえば、約5度)傾けている。
【0052】
副部55は、副部55の延在方向をY軸方向に対して時計回りにγ3度(たとえば、約0度)傾けている。言い換えれば、副部55は、副部55の延在方向を主部54の延在方向に対して反時計回りに(|γ3−γ1|)度(たとえば、約5度)傾けている。なお、副部53と副部55は、延在方向を主部54の延在方向に対して同じ角度(γ2=γ3)としているが、異なる角度(γ2≠γ3)としてもよい。
【0053】
このように、主部54と副部53,55は、形式上、マルチドメインの関係を構成する。ただし、主部54は、開口率向上に寄与するものの、副部53,55は、主部54に対して小さな範囲であり、さらにその一部または全部がブラックマトリクス8と重なることから開口率向上に寄与するところは限定される。そのため、スリット状開口10を主部54と副部53,55によって構成することは、視野角向上を目的とするものではない。
【0054】
液晶表示パネル1は、スリット状開口10を主部54と副部53,55によって構成することで、液晶表示パネル1が押圧されたときの「面押し滲み」から早期に復帰可能としている。
【0055】
詳しくは、主部54と副部53,55は、液晶表示パネル1の押圧によりディスクリネーションが大きくなっても、屈曲部で液晶分子に大きな回転力が与えられるため、元の状態への復帰が容易になる。このような液晶表示パネル1は、タッチパネル機能を有する表示装置の表示品質向上に大きく寄与する。液晶表示パネル1の押圧を伴うタッチ操作があっても、液晶表示パネル1は、観察者に対して正常な映像を提示可能にする。
【0056】
なお、サブ画素は、第1領域の重心(開口中心)となる第1領域重心g1と、第2領域の重心(開口中心)となる第2領域重心g2とを、画素配列方向であるY軸方向に並べる。たとえば、サブ画素は、第1領域重心g1と第2領域重心g2とがサブ画素のX軸方向中心となるサブ画素中心線CL上に並べる。これにより、液晶表示パネル1は、第1領域と第2領域とで異なる形状であっても、Y軸に沿う直線表示を好適におこなうことができる。
【0057】
次に、第1の実施形態の信号線の配線について図5から図8を用いて説明する。図5は、第1の実施形態の液晶表示パネルの信号線の引き回しの一例を示す図である。図6は、配向方向を90度とした場合における、サブ画素を構成する領域を区画する信号線の配置を示す参考図である。図7は、配向方向を80度とした場合における、サブ画素を構成する領域を区画する信号線の配置を示す参考図である。図8は、配向方向を60度とした場合における、サブ画素を構成する領域を区画する信号線の配置を示す参考図である。
【0058】
図5に示す信号線2は、概ね1つのサブ画素に対応する範囲の配線を示すものである。信号線2は、延在部60と、延在部62と、引き戻し部61と、引き戻し部63を含む。信号線2は、延在部60と、延在部62と、引き戻し部61と、引き戻し部63を1つの繰り返し範囲として、Y軸方向に繰り返す。
【0059】
延在部60は、第1領域の長辺の一側(図1に図示する画素電極4の左側)に沿って配線される部分である。したがって、延在部60は、概ねスリット状開口5の主部51と同じ角度の傾きを有し、第1領域の上端部から下端部に至る。延在部62は、第2領域の長辺の一側(図1に図示する画素電極9の左側)に沿って配線される部分である。したがって、延在部62は、概ねスリット状開口10の主部54と同じ角度の傾きを有し、第2領域の上端部から下端部に至る。
【0060】
引き戻し部61は、1つのサブ画素内の延在部60と延在部62を接続するようにクランク状に配線される部分である。引き戻し部61は、X軸に平行に配線され、延在部60の傾きに基づくX軸方向のずれ量を長さd1だけ引き戻す。引き戻し部63は、Y軸方向に並ぶ2つのサブ画素にある延在部60と延在部62を接続するようにクランク状に配線される部分である。引き戻し部63は、X軸に平行に配線され、延在部60と延在部62の傾きに基づくX軸方向のずれ量を長さd2だけ引き戻す。
【0061】
このように、引き戻し部61と引き戻し部63は、延在部60と延在部62の傾きに基づくX軸方向のずれを、信号線2の1つの繰り返し範囲で解消する。
【0062】
ここで、信号線2とラビング処理方向の関係について説明する。図6から図8に図示する第1領域は、延在方向がラビング処理方向に対して時計回り方向に5度の傾きを有し、第2領域は、延在方向がラビング処理方向に対して反時計回り方向に5度の傾きを有している。
【0063】
なお、偏光サングラス対策を必要としない場合、すなわちラビング処理方向(配向方向)がX軸に対して90度傾いている場合には、延在部60と延在部62の間でX軸方向のずれ量を生じないので、引き戻し部61と引き戻し部63は、必要とされない(図6)。
【0064】
一方、偏光サングラス対策を必要とする場合、たとえば、ラビング処理方向(配向方向)がX軸に対して80度傾いている場合には、延在部60と延在部62の間でX軸方向のずれ量を生じる。そのため、信号線2は、ずれ量を解消するために、引き戻し部61と引き戻し部63を有する。このような、引き戻し部61と引き戻し部63は、液晶表示パネル1の開口に寄与しない部分であるが、第1領域と第2領域との境界部に設けられるブラックマトリクス8と重なる位置に設けられる。ブラックマトリクス8は、開口を予定しない遮光部分であるので、引き戻し部61と引き戻し部63は、液晶表示パネル1の開口率向上の妨げるものではない(図7)。
【0065】
また、ラビング処理方向(配向方向)がX軸に対して大きく傾いている(たとえば、60度)場合には、サブ画素間の信号線2が引き戻し部61と引き戻し部63で干渉(短絡)する。図8に示す信号線2rと信号線2g、信号線2gと信号線2b、信号線2bと信号線2rは、引き戻し部61で干渉している。このような配線は、おこなうことができないので、ラビング処理方向(配向方向)のX軸に対する傾きの大きさは、信号線2の配線によって制約される。
【0066】
ラビング処理方向、あるいはラビング処理方向を基準にして加減されるスリット状開口5,10の傾斜可能範囲は、サブピクセルのH×Vの寸法比率(縦横比)により、arctan(H/V)で近似される範囲とすることができる。
【0067】
なお、引き戻し部61の長さd1と、引き戻し部63の長さd2は、ラビング処理方向、スリット状開口5,10の傾きに応じて任意の長さに設定可能である。液晶表示パネル1は、引き戻し部61の長さd1と、引き戻し部63の長さd2の設定により、前述した第1領域と第2領域の開口率比の設定や開口重心の設定をおこなうことができる。
【0068】
なお、液晶表示パネル1は、ラビング工程と、画素電極形成工程と、を含む製造工程により製造することができる。ラビング工程は、画素配列方向に対して所定の傾きを有するラビング処理方向で、配向膜(第1配向膜21、第2配向膜16)にラビング処理をおこなう。画素電極形成工程は、信号線2と走査線3により区画される画素電極4,9を形成する。
【0069】
[モジュールおよび適用例]
次に、図9から図14を用いて、第1の実施形態で説明した液晶表示パネル(液晶表示装置)1の電子装置への適用例について説明する。第1の実施形態の液晶表示パネル1は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0070】
[第2の実施形態]
図9は、第2の実施形態のテレビジョン装置の一例を示す外観斜視図である。テレビジョン装置100は、たとえば、フロントパネル103およびフィルターガラス101を含む映像表示画面部102を有している。映像表示画面部102は、第1の実施形態の液晶表示パネル1により構成されている。
【0071】
[第3の実施形態]
図10は、第3の実施形態のデジタルカメラの一例を示す図であり、(A)は、デジタルカメラの表面側の外観斜視図であり、(B)は、デジタルカメラの裏面側の外観斜視図である。デジタルカメラ110は、たとえば、フラッシュ用の発光部112、表示部113、メニュースイッチ114およびシャッターボタン111を有している。表示部113は、第1の実施形態の液晶表示パネル1により構成されている。
【0072】
[第4の実施形態]
図11は、第4の実施形態のノート型パーソナルコンピュータの一例を示す外観斜視図である。ノート型パーソナルコンピュータ120は、たとえば、本体121、文字等の入力操作のためのキーボード122および画像を表示する表示部123を有している。表示部123は、第1の実施形態の液晶表示パネル1により構成されている。
【0073】
[第5の実施形態]
図12は、第5の実施形態のビデオカメラの一例を示す外観斜視図である。ビデオカメラ130は、たとえば、本体部132、本体部132の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ131、撮影時のスタート/ストップスイッチ134、および表示部133を有している。表示部133は、第1の実施形態の液晶表示パネル1により構成されている。
【0074】
[第6の実施形態]
図13は、第6の実施形態の携帯電話機の一例を示す図であり、(A)は携帯電話機を開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は携帯電話機を閉じた状態の正面図、(D)はその左側面図、(E)はその右側面図、(F)はその上面図、(G)はその下面図である。携帯電話機140は、たとえば、上側筐体141と下側筐体143とを連結部(ヒンジ部)144で連結したものである。携帯電話機140は、ディスプレイ142、サブディスプレイ145、ピクチャーライト147、およびカメラ146を有している。ディスプレイ142またはサブディスプレイ145は、第1の実施形態の液晶表示パネル1により構成されている。
【0075】
[第7の実施形態]
図14は、第7の実施形態のスマートフォンの一例を示す外観斜視図である。スマートフォン150は、たとえば、本体151と、操作部152と、表示部153と、操作部154を有している。操作部154は、表示部153の表示面にあり、表示面のタッチ操作を入力する。表示部153は、第1の実施形態の液晶表示パネル1により構成されている。表示部153は、操作部154におけるタッチ操作による面押し滲みが生じても、正常な表示状態に速やかに復帰可能である。
【0076】
なお、表示部153の表示面に操作部154を示したが、第2の実施形態から第6の実施形態に示した映像表示画面部102、表示部113,123,133、ディスプレイ142、およびサブディスプレイ145にタッチ式の操作部を設けるようにしてもよい。
【0077】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)液晶層を挟持して対向配置された1対の基板の一方に、互いに異なる方向に延在する走査線および信号線を複数有し、
前記液晶層から順に、画素配列方向に対して所定の傾きを有するラビング処理方向でラビング処理された配向膜と、画素電極と、絶縁層と、共通電極と、を備え、
前記画素電極は、前記走査線および前記信号線により区画され、前記ラビング処理方向に並ぶ第1の領域と第2の領域とからなるサブ画素を有し、
前記第1の領域は、前記ラビング処理方向に対して第1の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有し、
前記第2の領域は、前記ラビング処理方向に対して第2の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有する、
液晶表示装置。
(2)前記第1の領域と前記第2の領域は、それぞれシングルドメインであって、前記サブ画素は、前記第1の領域と前記第2の領域とによりマルチドメインを構成する前記(1)記載の液晶表示装置。
(3)前記第1の領域のスリット状開口の前記ラビング処理方向に対する傾きの大きさと、前記第2の領域のスリット状開口の前記ラビング処理方向に対する傾きの大きさとは、同じ大きさである前記(1)または前記(2)記載の液晶表示装置。
(4)前記ラビング処理方向に対する傾きの大きさは、5度である前記(3)記載の液晶表示装置。
(5)前記ラビング処理方向の傾きは、10度である前記(4)記載の液晶表示装置。
(6)1画素は、3つのサブ画素により構成されている前記(5)記載の液晶表示装置。
(7)前記第1の領域のスリット状開口の延在方向の終端部は、前記第1の方向にさらに所定の傾きを有し、前記第2の領域のスリット状開口の延在方向の終端部は、前記第2の方向にさらに所定の傾きを有する前記(1)乃至前記(6)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(8)前記第1の領域のスリット状開口の延在方向の終端部と、前記第2の領域のスリット状開口の延在方向の終端部は、平面視においてブラックマトリクスと重なる前記(7)記載の液晶表示装置。
(9)前記信号線は、前記第1の領域の一側に沿い配線される第1部分と、前記第2の領域の一側に沿い配線される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分をクランク形状で接続する第3部分とを含む前記(1)乃至前記(8)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(10)前記信号線は、1の画素の前記第2部分と、前記1の画素に隣接する他の画素の前記第1部分をクランク形状で接続する第4部分とを含む前記(9)記載の液晶表示装置。
(11)前記第1の領域の開口率と、前記第2の領域の開口率が同じである前記(1)乃至前記(10)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(12)前記第1の領域の重心と、前記第2の領域の重心とは、前記画素配列方向に沿って並ぶ前記(1)乃至前記(11)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(13)前記第1の領域と前記第2の領域は、前記第1の領域と前記第2の領域が並ぶ前記画素配列方向に沿って繰り返し配置される前記(1)乃至前記(12)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(14)液晶層を挟持して対向配置された1対の基板の一方に、互いに異なる方向に延在する走査線および信号線を複数有し、前記液晶層から順に、配向膜と、画素電極と、絶縁層と、共通電極と、を備える液晶表示装置の製造方法であって、
画素配列方向に対して所定の傾きを有するラビング処理方向で、前記配向膜にラビング処理をおこなうラビング工程と、
前記走査線および前記信号線により区画され、前記ラビング処理方向に並ぶ第1の領域と第2の領域とからなるサブ画素を有し、前記第1の領域は、前記ラビング処理方向に対して第1の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有し、前記第2の領域は、前記ラビング処理方向に対して第2の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有する、前記画素電極を形成する画素電極形成工程と、
を有する液晶表示装置の製造方法。
(15)液晶表示装置を備える電子機器であって、
前記液晶表示装置は、
液晶層を挟持して対向配置された1対の基板の一方に、互いに異なる方向に延在する走査線および信号線を複数有し、
前記液晶層から順に、画素配列方向に対して所定の傾きを有するラビング処理方向でラビング処理された配向膜と、画素電極と、絶縁層と、共通電極と、を備え、
前記画素電極は、前記走査線および前記信号線により区画され、前記ラビング処理方向に並ぶ第1の領域と第2の領域とからなるサブ画素を有し、
前記第1の領域は、前記ラビング処理方向に対して第1の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有し、
前記第2の領域は、前記ラビング処理方向に対して第2の方向に所定の傾きを有する複数のスリット状開口を有する、
電子機器。
【0078】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0079】
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0080】
1……液晶表示パネル、2(2r,2g,2b)……信号線、3……走査線、4(4r,4g,4b),9(9r,9g,9b)……画素電極、5,10……スリット状開口、6……共通電極、7……TFT、8……ブラックマトリクス、11……カラーフィルタ基板、12……第2偏光板、13,26……基板本体、14……カラーフィルタ層、15……保護樹脂層、16……第2配向膜、17……液晶層、18……スペーサ、20……アレイ基板、21……第1配向膜、22……電極間絶縁膜、23……樹脂層、24……層間絶縁膜、25……ゲート絶縁膜、27……第1偏光板、30……バックライト、50,52,53,55……副部、51,54……主部、60,62……延在部、61,63……引き戻し部、100……テレビジョン装置、101……フィルターガラス、102……映像表示画面部、103……フロントパネル、110……デジタルカメラ、111……シャッターボタン、112……発光部、113,123,133,153……表示部、114……メニュースイッチ、120……ノート型パーソナルコンピュータ、121,151……本体、122……キーボード、130……ビデオカメラ、131……レンズ、132……本体部、134……スタート/ストップスイッチ、140……携帯電話機、141……上側筐体、142……ディスプレイ、143……下側筐体、145……サブディスプレイ、146……カメラ、147……ピクチャーライト、150……スマートフォン、152,154……操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14