【実施例1】
【0019】
以下、本発明の一実施形態の冷蔵庫について図を用いて説明する。
図1は、本実施形態の冷蔵庫の中央縦断面図である。
図2は、冷蔵室2の最下段空間部分の断面図である。
図3は、減圧貯蔵室24の斜視図である。
【0020】
冷蔵庫は、箱状の冷蔵庫本体1と、冷蔵庫本体1の開口部に開閉可能に取り付けられる複数の扉6〜9とを備える。冷蔵庫本体1は、鋼板製の外箱11と、樹脂製の内箱12と、外箱11と内箱12の間に設けられるウレタン発泡断熱材13及び真空断熱材(図示せず)とを備えて構成される。冷蔵庫本体1には、上から冷蔵室2、冷凍室3、4、野菜室5の順に、複数の貯蔵室が設けられる。換言すれば、最上段に冷蔵室2が、最下段に野菜室5が、それぞれ区画して配置されており、冷蔵室2と野菜室5との間には、これらの両室と断熱的に仕切られた冷凍室3、4が配設されている。冷蔵室2及び野菜室5は冷蔵温度帯の貯蔵室(例えば、5℃程度)である。冷凍室3、4は、0℃以下の冷凍温度帯(例えば、約−20℃〜−18℃の温度帯)の貯蔵室である。これらの貯蔵室2〜5は、仕切り壁33,34,35により区画されている。
【0021】
冷蔵庫本体1の前面には、貯蔵室2〜5の前面開口部を閉塞する扉6〜9が設けられている。冷蔵室扉6は冷蔵室2の前面開口部を閉塞する扉、冷凍室扉7は冷凍室3の前面開口部を閉塞する扉、冷凍室扉8は冷凍室4の前面開口部を閉塞する扉、野菜室扉9は野菜室5の前面開口部を閉塞する扉である。冷蔵室扉6は、観音開き式の両開きの扉として構成される。冷凍室扉7、冷凍室扉8、野菜室扉9は、引き出し式の扉として構成され、引き出し扉とともに貯蔵室内の容器が引き出されるようになっている。
【0022】
冷蔵庫本体1には、冷凍サイクルが設置されている。この冷凍サイクルは、圧縮機14、凝縮器(図示せず)、キャピラリチューブ(図示せず)及び蒸発器15、そして再び圧縮機14の順に接続することで構成されている。圧縮機14及び凝縮器は、冷蔵庫本体1の背面下部に設けられた機械室に設置されている。蒸発器15は、冷凍室3、4の後方に設けられた冷却器室に設置されている。蒸発器15の上方には、送風ファン16が設置されている。
【0023】
蒸発器15によって冷却された冷気は、送風ファン16によって冷蔵室2、冷凍室3、4及び野菜室5の各貯蔵室へと送られる。具体的には、送風ファン16によって送られる冷気は、開閉可能なダンパー装置(不図示)を介して、その一部が冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室2及び野菜室5)へと送られる。冷気の他の一部は、冷凍温度帯の貯蔵室(冷凍室3、4)へと送られる。
【0024】
送風ファン16によって冷蔵室2、冷凍室3、4及び野菜室5の各貯蔵室へと送られる冷気は、各貯蔵室2〜5を冷却した後、冷気戻り通路を通って冷却器室に戻される。このように、本実施形態の冷蔵庫は冷気の循環構造を有しており、各貯蔵室2〜5を適切な温度に維持する。
【0025】
冷蔵室2内には、透明な樹脂板で構成される複数段の棚17〜20が取り外し可能に設置されている。最下段の棚20は、内箱12の背面及び両側面に接するように設置され、その下方空間である最下段空間21を上方空間と区画している。また、左右の冷蔵室扉6の内側には複数段の扉ポケット25〜27が設置されている。これら扉ポケット25〜27は、冷蔵室扉6が閉じられた状態で冷蔵室2内に突出するように設けられている。冷蔵室2の背面には、送風ファン16から供給された冷気を通す通路を形成する背面パネル30が設けられている。
【0026】
最下段空間21には、向かって左から順に、冷凍室3の製氷皿に製氷水を供給するための製氷水タンク(不図示)、デザートなどの食品を収納するための収納ケース(不図示)、および、室内を減圧して食品の鮮度保持及び長期保存するための減圧貯蔵室24が設置されている。減圧貯蔵室24は、冷蔵室2の横幅より狭い横幅を有し、冷蔵室2の側面に隣接して配置されている。
【0027】
図示せぬ製氷水タンク及び収納ケースは、向かって左側の冷蔵室扉6の後方に配置されている。これによって、ユーザは左側の冷蔵室扉6を開くのみで、製氷水タンク及び収納ケースを引き出すことができる。減圧貯蔵室24は、向かって右側の冷蔵室扉6の後方に配置されている。これによって、ユーザは右側の冷蔵室扉6を開くのみで、減圧貯蔵室24の食品トレイ60を引き出すことができる。
【0028】
なお、製氷水タンク及び収納ケースは、左側の冷蔵室扉6の最下段の扉ポケット27の後方に位置する。減圧貯蔵室24は、右側の冷蔵室扉6の最下段の扉ポケット27の後方に位置する。蒸発器15によって冷却されて冷蔵室2へ送られた冷気は、減圧貯蔵室24の周囲を通ることで、減圧貯蔵室24の内部を間接冷却するようになっている。なお、製氷水タンク、収納ケース、減圧貯蔵室24の配置はこれに限定されず、例えば、収納ケースを省略して減圧貯蔵室24の幅を広げて大型化する構成や、製氷水タンクを異なる場所に配置する構成であってもよい。
【0029】
製氷水タンクの後方には、製氷水ポンプ(不図示)が設置されている。収納ケースの後方で且つ減圧貯蔵室24の後部側方の空間には、減圧貯蔵室24を減圧するための減圧装置の例である負圧ポンプ29が配置されている。
図3に示すように、負圧ポンプ29は、減圧貯蔵室24の側面に設けられたポンプ接続部に導管29Aを介して接続される。導管29Aの途中には、圧力センサ28が設けられている。
【0030】
コントローラ90は、減圧貯蔵室24の動作を制御する。コントローラ90は、冷蔵庫全体を制御するコントローラの一部として構成してもよい。コントローラ90は、圧力センサ28で検出される減圧貯蔵室24内の圧力値に基づいて、負圧ポンプ29の作動を制御する。
【0031】
コントローラ90には、冷蔵室2のドア6の開閉状態を検出するためのドアスイッチ91と、減圧貯蔵室24のドア50(
図3参照)の開閉状態を検出するためのドアスイッチ92と、減圧貯蔵室24内の食品ガスの濃度を検出する食品ガスセンサ93とが接続されている。後述のように、コントローラ90は、冷蔵室2のドア6および減圧貯蔵室24のドア50(
図3参照)がそれぞれ閉扉しており、さらに、減圧貯蔵室24の圧力が所定値まで低下し、さらに、減圧貯蔵室24内の食品ガスの濃度が所定値以上になったことを確認してから、光源80に制御信号を出力して点灯させる。
【0032】
図2および
図3に示すように、減圧貯蔵室24は、食品出し入れ用開口部を有する箱状の減圧貯蔵室本体40と、減圧貯蔵室本体40の食品出し入れ用開口部を開閉する減圧貯蔵室ドア50と、食品を収納して減圧貯蔵室ドア50に出し入れする食品トレイ60とを備えて構成されている。ユーザは、減圧貯蔵室ドア50のハンドル51を操作することで、食品出し入れ用開口部を開口させて食品トレイ60を引き出し、食品トレイ60に食品を出し入れすることができる。詳しくは、ユーザが減圧貯蔵室ドア50を手前に引くことにより、減圧貯蔵室ドア50の一部に設けられた圧力解除バルブが動作して減圧貯蔵室24の減圧状態が解除され、大気圧の状態となる。これにより、ユーザは、簡単に減圧貯蔵室ドア50を開けて、食品トレイ60に食品を出し入れすることができる。
【0033】
食品トレイ60は、減圧貯蔵室本体40の底部43に接して前後に移動可能に設けられている。食品トレイ60は、減圧貯蔵室ドア50の背面側に取り付けられており、減圧貯蔵室ドア50の移動に伴って前後に移動する。ユーザが食品トレイ60に食品を載せて減圧貯蔵室ドア50を閉じると、減圧貯蔵室24の内部が密閉状態となる。ドア50が閉じるとドアスイッチ91がオンされて負圧ポンプ29が駆動され、減圧貯蔵室24が大気圧よりも低い状態に減圧される。これにより減圧貯蔵室24内の酸素濃度が低下して、食品中の栄養成分の劣化を防止することができる。なお、減圧貯蔵室ドア50を閉じてから冷蔵室2のドア6を閉じることが一般的であることから、減圧貯蔵室24のドアスイッチ92を省略する構成であってもよい。すなわち、冷蔵室2のドアスイッチ91によって、減圧貯蔵室24の開閉状態を間接的に判断する構成であってもよい。
【0034】
さらに、本実施例では、減圧貯蔵室24に保存している食品から発生する臭気成分ガスおよびエチレンガスなどが、後述する光触媒反応によって、二酸化炭素に変化する。従って、減圧による上記効果に加えて、減圧貯蔵室24内のガス成分の変化による鮮度保持効果が期待できる。また、密閉状態の減圧貯蔵室24が減圧されると、減圧貯蔵室24の中に収納された食品からわずかに水分が蒸発する。この蒸発した水分により、減圧貯蔵室24の中は高湿状態(例えば湿度100%近く)になる。さらに、食品から蒸発した水分は、ラジカルの原料としても利用される。
【0035】
減圧貯蔵室24の上部には、透明な窓部の一例としてのガラス部材70がシール部材72を介して取り付けられている。つまり、減圧貯蔵室本体40の天井部42には、例えば矩形状の開口部が形成されており、その開口部に矩形状のガラス部材70がシール部材72を介して取り付けられる。シール部材72は、ガラス部材70の周縁と開口部との間の隙間を埋めて、減圧貯蔵室24の密閉性を保持している。減圧時に減圧貯蔵室本体40は撓むが、その場合でも、ガラス部材70の周囲に隙間は生じない。
【0036】
図2に示すように、ガラス部材70の両面のうち減圧貯蔵室24の内部に位置する内側面には、光触媒層71が形成されている。
図2では、理解のために光触媒層71の厚さを誇張して示している。
【0037】
減圧貯蔵室24の外側には、ガラス部材70の上方に位置して、光源80が設けられている。光源80とガラス部材70とは、できるだけ近づけて配置するのが望ましい。ガラス部材70を通過して光触媒層71に到達する光の量を大きくできるためである。光源80とガラス部材70の距離が遠くなるほど、光源80の出力を増加する必要がある。紫外線のように波長の短い光は減衰しやすいため、光源80とガラス部材70(正確にはガラス部材70に形成された光触媒層71)の距離は短い方が好ましい。
【0038】
ところで、光源80を冷蔵庫本体1に取り付ける方法は、種々考えられる。そのうち第1の方法としては、例えば
図2に示すように、最下段の棚20の下面に光源80を設置する方法が考えられる。最下段の棚20の下面は、減圧貯蔵室本体40の天井部42と近いため、そこに光源80を設ければ光触媒層71に吸収される光の量を大きくできる。
【0039】
光源80を冷蔵庫本体1に取り付ける第2の方法は、例えば
図3に示すように、光源80を減圧貯蔵室本体40の天井部42に着脱可能な光源ユニットとして構成する。光源ユニット(光源80)は、ガラス部材70の上側に位置して、天井部42に着脱可能に取り付けられる。
【0040】
第1の方法または第2の方法のいずれの方法を採用してもよい。第2の方法では、光触媒層71を有するガラス部材70と光源80とを減圧貯蔵室24に一体的に設けることができる。本実施例では、
図2に第1の方法に従う光源80を示し、
図3〜
図19では第2の方法に従う光源80を示す。なお、後述する実施例のように、光触媒層71を有するガラス部材70と光源80を、減圧貯蔵室24の底部に配置してもよい。
【0041】
図2に示す第1の方法では、光源80は、例えば、LED(Light Emitting Diode)基板82と、LED基板82の下面側に設けられる一つまたは複数のLED83とから構成することができる。LED83を有するLED基板82は、棚20の下面に着脱可能に取り付けることができる。
【0042】
図3に示す第2の方法では、光源80は、LED83が下面に設けられるLED基板82(
図13参照)と、LED基板82を減圧貯蔵室本体40の天井部42に取り付けるためのLEDカバー81とから構成することができる。LEDカバー81は、LED基板82を保護する機能も備える。
【0043】
ここで、光源80が放射する光の波長について検討する。光は、例えば、紫外線(10〜400nm)、可視光線(400〜800nm)、赤外線(800〜4μm)のように分けることができる。
【0044】
紫外光に強く反応する紫外光応答型の触媒から光触媒層71を構成する場合、光源80も紫外線を放出するLEDから構成する。紫外線を用いる場合、ユーザが光源80を直視するのを防止するための部材を設ける必要がある。冷蔵室2のドアスイッチ91またはハンドル51の操作を検出するスイッチ92と連動させて、光源80のオンオフを制御することもできる。しかし、万が一に備えて、紫外線がユーザに直視されるのを防止するための直視防止用部材を設けるのが好ましい。これに対し、可視光線に強く反応する可視光応答型の触媒から光触媒層71を構成し、可視光を放出するLEDから光源80を構成する場合、上記の直視防止用部材は不要となる。従って、可視光応答型の光触媒層71と可視光を出力する光源80を用いる方が、簡素な構成となる。さらに、可視光線で光触媒反応を起こす場合、冷蔵庫本体1内の空間、または減圧貯蔵室24内の空間に上記部材を設ける必要がなく、それら空間の容量を減少させることもない。
【0045】
ところで、紫外線は可視光線よりも高いエネルギを有する。比較的波長の長い350nmの紫外線でも、343kj/molのエネルギを持つ。減圧貯蔵室24を構成する樹脂を形成する炭素間結合C−Cは、353kj/molである。従って、紫外線が樹脂に照射されると化学反応が起こり、ポリマー鎖が切断されたり、切断された部分と別の場所の炭素とがくっついて架橋してしまったりして、樹脂が劣化する可能性がある。特に、減圧貯蔵室24は減圧に耐えうる密閉構造が必要となるため、紫外線によって樹脂が劣化するのは好ましくない。
【0046】
そこで、本実施例では、可視光応答型の光触媒層71と可視光を放射する光源80とを用いて光触媒反応を得る。可視光の波長範囲のうち、比較的エネルギの強い470nm付近の波長の可視光を一例として使用する。寿命および発光効率の点でLEDは有利な特徴を備えるため、本実施例では光源80をLEDから構成する。これに限らず、他の種類の発光素子を用いてもよい。
【0047】
可視光応答型の光触媒としては、例えば、酸化チタンを可視光領域まで反応するよう加工したものなどが知られている。これに限らず、酸化タングステンを用いてもよい。酸化タングステンは可視光のみに反応し、紫外線とは反応しないため、光触媒として酸化タングステンを用いれば、比較的高い反応効率が得られる。酸化タングステンは、酸化チタンのように加工を施す必要が無いので、その取り扱いが容易であり、ガラス部材70に形成する場合のコストを少なくできる。この点でも、光触媒として酸化タングステンを用いる方が有利である。
【0048】
酸化タングステンから光触媒層71を形成すると上記の利点を得ることができる。しかしそれにも関わらず、酸化チタンまたは同等物、あるいは可視光に反応する他の物質から、光触媒層71を形成してもよい。また、紫外光を用いて光触媒反応を得る場合の不利な点を許容できるのであれば、紫外光を用いる構成を採用してもよい。
【0049】
光触媒層71を形成する基板(担体)は、光触媒を担持することができ、かつ、光触媒反応を引き起こすための光線に対して透明であることが望ましい。従って,可視光に対して透明なガラスまたは樹脂から基板を構成するのが好ましい。
【0050】
しかし、樹脂は有機物であるため、直接光触媒を塗布すると樹脂の劣化を招く。樹脂から基板を形成する場合は、プライマー処理が必要となる。これに対し、ガラスは無機物であるため、直接塗布しても劣化しない。従って、基板の製造工程数、材料コスト等の面から、光触媒層71を担持する基板は、ガラスから形成するのが好ましい。しかし、樹脂板の表面にプライマー処理を施して透明な保護層を形成し、保護層の上に光触媒層71を形成する構成でもよい。
【0051】
ところで、光触媒層71の厚み寸法が大きいほど光触媒反応の効果を高めることができるが、厚み寸法が大きくなりすぎると透明性が低下する。従って、光触媒層71を透過する光量が減少する。これにより、可視光線を減圧貯蔵室24内の照明として使用した場合、光量不足で減圧貯蔵室24の視認性が低くなる。また光触媒層71が厚くなりすぎると、光触媒層71が割れるおそれもある。そこで、本実施例では、透過光量があまり低下せず、かつ、物理的破壊の可能性が低下するように、光触媒層71の厚みを設定する。
【0052】
上述の通り、光源80からガラス部材70を透過して光触媒層71に到達する可視光は、減圧貯蔵室24内を照らす照明手段として利用することもできる。しかし、減圧貯蔵室24内の食品(食材)に直接光を当てると、光酸化反応によって食品の栄養成分が酸化したり、食品の退色を招いたりするおそれがある。また、野菜に関しては、その波長によっても異なるが強い光を照射すると光合成反応が促進されて、減圧貯蔵室24内の二酸化炭素を消費してしまう可能性がある。
【0053】
そこで、
図2に示すように、本実施例では、食品とガラス部材70との間には、光源80からの光線に対して不透明な遮光板41を設ける。ガラス部材70および光触媒層71を透過した光は、遮光板41によって遮られ、直接食品に照射されない。第1の方法の場合も第2の方法の場合も、減圧貯蔵室24内に遮光板41を設けることができる。
図2中に点線で示すように、遮光板41と天井部42との間の隙間を介して、減圧貯蔵室24内のガス(二酸化炭素、臭気成分ガス、エチレンガス)および水分等が流通する。なお、必ずしも遮光板41を必要とするものではなく、食品に可視光線が直接的に照射されないように光源80の位置を特定して、栄養成分の酸化が適切に抑制できる構成であればよい。
【0054】
図3〜
図19を用いて、光触媒層71を有するガラス部材70と光源80とをユニット化する場合の構成例を説明する。
図3の斜視図に示すように、減圧貯蔵室本体40の天井部42には、光触媒層71を有するガラス部材70と、光源ユニット80とが着脱可能に取り付けられる。
【0055】
図4は、ガラス部材70をシール部材72を介して天井部42の開口部に取り付けた後で、光源ユニット80を装着しようとする状態を示す。
図5は、光源ユニット80をガラス部材70の上側に取り付ける途中の状態を示す。
図6は、光源ユニット80をガラス部材70の上側に取り付け終わった状態を示す。
図7は、
図5の一部を拡大した図である。同様に、
図8は、
図6の一部を拡大した図である。
図9は、光源ユニット80の取り付けられた天井部42を上から見た図である。
【0056】
図10〜
図15は、光源ユニット80を組み立てる様子を示す。まず
図10は、LEDカバー81の下面に形成された取付空間85に、LED83を有するLED基板82を取り付ける前の状態を示す。
図11は、LED基板82をLEDカバー81内の取付空間85に挿入した状態を示す。
図12は、LED基板82をLEDカバー81内の取付空間85に取付終わった状態を示す。
【0057】
図13は、
図10に示す状態をLEDカバー81の下側から見た斜視図である。
図14は、
図11に示す状態をLEDカバー81の下側から見た斜視図である。
図15は、
図12に示す状態をLEDカバー81の下側から見た斜視図である。
【0058】
図15に示すように、LEDカバー81の下面側には、取付空間85の下側に位置して、複数の(例えば2つの)支持部84が幅方向に離間して形成されている。それら支持部84により、LED基板82は支持されている。取付空間85の幅寸法は、LED基板82の幅寸法WLに合わせて設定されているため、LED基板82を取付空間85に取り付けた時点でLED基板82は幅方向に位置決めされる。また、
図12等に示すように、支持部84は傾斜して設けられているため、LED基板82を取付空間85の奥まで挿入することで、LED基板82は長手方向でも位置決めされる。
【0059】
さらに、LED基板82は、下側から複数の支持部84で支持されるため、LEDカバー81から自然に外れて落下したりすることもない。支持部84は、LED83に干渉しない位置に設けられている。
【0060】
なお、LED83を位置決め用ストッパとして利用する構成も可能である。例えば、LED基板82の幅寸法WLを取付空間85の幅寸法よりも小さくした場合において、各LED83が最寄りの支持部84に接触することで、LED基板82の幅方向の位置決めを行うことができる。このように、LED83に、発光機能だけでなく、位置決め用ストッパ機能も持たせることで、LED基板82を取付空間85よりも小さく形成した場合でも、専用のストッパを形成せずにLED基板82を位置決めすることができる。
【0061】
図16は、シール部材72の構成を示す。
図16(a)はシール部材72の斜視図、
図16(b)はシール部材の断面図である。シール部材72の外周面には、シールリップ部72Aと、シールリップ部72Aの上下に形成される補助リップ部72Bとが設けられている。シールリップ部72Aは、減圧貯蔵室24内を気液密にシールするための部材であり、補助リップ部72Bは塵埃がシールリップ部72Aに向けて侵入するのを防止するための部材である。
【0062】
図17は、減圧貯蔵室本体40の天井部42にシール部材72を置いた状態を示す。
図18は、シール部材72の上面側にガラス部材70を置いた状態を示す。
図19は、さらにガラス部材70の上に光源ユニット80を置いた状態を示す。
図18および
図19に示すように、光触媒層71は、ガラス部材70の下面側(内側面)の全体に形成する必要はなく、減圧貯蔵室24内に露出する領域にのみ形成すればよい。
【0063】
図20を参照して、減圧貯蔵室24での光触媒作用を説明する。光源80のLED83から所定波長(例えば470nm近辺)の光を含む可視光線が出力されると、その可視光はガラス部材70を透過して光触媒層71に入射する。可視光が光触媒層71に入射すると、電子とホールとが生成される。ホールはプラスの電荷を帯びているため、水分(H
2O)から電子を奪い、OHラジカルおよび水素ラジカルを生成する。また、光触媒層71に生じた電子は酸素分子に乗り移って酸素ラジカルを生成する。減圧貯蔵室24内の食品からわずかに蒸発する水分は、光触媒層71に接触してラジカルの原料となる。
【0064】
ラジカルは、食品からのガス(例えばエチレンガス、メチルメルカプタン、二硫化ジメチル)と減圧貯蔵室24内に浮遊する微小な有機物(例えば雑菌)を、二酸化炭素と水に分解する。一例として、野菜から発生するエチレンガスの分解反応を下記化学式(1)に示す。
【0065】
C
2H
4+4O
2→2CO
2+2H
2O・・・(1)
【0066】
化学式(1)からわかるように、野菜から発生したエチレンガスは、空気中の酸素と反応して二酸化炭素と水を生成する。減圧貯蔵室24内の野菜は生きており、空気中の酸素と二酸化炭素の濃度比に応じて呼吸している。減圧貯蔵室24内の二酸化炭素濃度が高くなると、野菜の気孔が閉じて呼吸活動が抑制されるため、野菜の劣化が抑制される。従って、味および栄養の低下を比較的長期にわたって防止することができる。
【0067】
減圧貯蔵室24で保存される肉および魚は、既に死滅しているので、野菜の鮮度保持メカニズムとは異なる。しかし、肉および魚から発生する臭気成分ガスおよび有機系のガスも、光触媒反応により二酸化炭素と水に分解される。
【0068】
光触媒反応によって生じた二酸化炭素は水に容易に溶解する。従って、光触媒反応の生成物である二酸化炭素は、食品表面の水分に溶解して炭酸となる。炭酸は、食品表面のpH値を変化させる。食品表面のpH値が変化すると、食品表面に存在していた微生物の至適pHと不一致となる。従って、微生物の繁殖が抑制される。
【0069】
また、食品中の酵素反応にも至適pHがあるため、食品のpH値が変化することで、酵素反応を抑制することができる。肉および魚の鮮度は、酵素反応の進行に応じて低下していく。従って、食品のpH値を変化させて酵素反応を抑制することで、肉および魚の鮮度を比較的長く保持することができる。
【0070】
さらに、光触媒は減圧貯蔵室24内の臭気成分ガスを分解するので、減圧貯蔵室24の脱臭を行うことができる。さらに、減圧貯蔵室24内に水分が存在すると、光触媒の働きによってラジカルが生成する。従って、ラジカルの作用によって減圧貯蔵室24内を除菌することができる。
【0071】
このように、減圧貯蔵室24内の二酸化炭素が増加すると、肉および魚の鮮度低下を抑制でき、野菜の品質劣化も抑制できる。しかし、二酸化炭素だけでは、食品の酸化を抑制することはできない。肉および魚の場合、酸化反応が生じると、脂肪酸が劣化したり、ビタミン類などが劣化したりする。
【0072】
これに対し、本実施例の貯蔵室24は、単に二酸化炭素濃度が高いだけではなく、大気圧よりも低い状態に保持される減圧貯蔵室である。つまり、減圧貯蔵室24内の酸素濃度の割合は通常の大気のそれよりも低く、逆に、減圧貯蔵室24内の二酸化炭素濃度の割合は、通常の大気のそれよりも高い。
【0073】
通常の大気の成分は、酸素21%、二酸化炭素0.4%である。窒素およびその他の微小成分は割愛する。もしも減圧貯蔵室24の圧力を通常の大気圧よりも20%低下させると、大気圧での組成に比較して、酸素16%、二酸化炭素0.032%となる。光触媒反応により、減圧貯蔵室24内には二酸化炭素が発生するため、例えば、減圧貯蔵室24の二酸化炭素濃度は0.13%程度の値に上昇する。これらの具体的数値は、本実施例の作用効果を理解するための一例に過ぎず、本発明はそれらの数値に限定されない。
【0074】
このように本実施例の減圧貯蔵室24では、減圧による酸素濃度の低下と、光触媒反応による分解生成物である二酸化炭素の増加とが発生している。減圧による酸素濃度の相対的な低下は、酸化反応を抑制し、肉および魚の鮮度を比較的長く保持できる。さらに、上述の通り、二酸化炭素の増加は、肉および魚の酵素反応を抑制したり、微生物の繁殖を抑制したり、野菜の呼吸を抑えて劣化を防止したりする。
【0075】
さらに、本実施例の減圧貯蔵室24は、減圧状態で食品を保存するため、通常の大気圧状態の場合よりもラジカルの寿命を延ばして、エチレンガス等の食品ガスの分解反応、菌および有機物の分解反応の効率を改善できると考えられる。通常の場合、光触媒層71で発生するラジカルおよびイオンは、空気中の分子などと反応して直ちに消滅する。しかし、減圧状態では減圧貯蔵室24内の分子が減少し、反応速度が遅くなる。従って、ラジカルおよびイオンの寿命が延びると考えられる。
【0076】
図21を用いて、減圧貯蔵室24の制御方法の例を説明する。
図21に示す処理はコントローラ90によって実行される。
図21に示す処理は、コンピュータプログラムとして実現してもよいし、ハードウェア回路として実現してもよい。
【0077】
コントローラ90は、減圧貯蔵室24のドア50の開閉状態を検出するドアスイッチ92からの信号に基づいて、ドア50が閉じているか判定する(S10)。減圧貯蔵室24のドア50が閉じている場合(S10:YES)、コントローラ90は、冷蔵室2のドア6の開閉状態を検出するドアスイッチ91からの信号に基づいて、ドア6が閉じているか判定する(S11)。なお、減圧貯蔵室24のドアスイッチ92を省略して、冷蔵室2のドアスイッチ96で減圧貯蔵室24のドア50の開閉を間接的に判定する構成の場合、S10は省略する。
【0078】
冷蔵室2のドア6が閉じていることを確認した場合(S11:YES)、コントローラ90は、負圧ポンプ29に制御信号を出力して駆動し(S12)、減圧貯蔵室24内の空気を排出させる。ドア6またはドア50のいずれか一方でも閉じていない場合(S10:NO、または、S11:NO)、ステップS10に戻る。
【0079】
コントローラ90は、圧力センサ28からの検出信号を監視しており、減圧貯蔵室24の圧力P1が予め設定された所定圧Pth以下になったか判定する(S13)。コントローラ90は、減圧貯蔵室24の圧力P1が所定圧Pth以下になるまで負圧ポンプ29を作動させる(S13:NO)。減圧貯蔵室24の圧力P1が所定圧Pth以下になると(S13:YES)、コントローラ90は負圧ポンプ29を停止させる(S14)。
【0080】
減圧貯蔵室24が減圧された後で、コントローラ90は、食品ガスセンサ93からの検出信号に基づいて、減圧貯蔵室24の食品ガスの濃度GC1が予め設定された所定のガス濃度GCTh以上になった判定する(S15)。
【0081】
ここで、ガス濃度の閾値GCThは、例えば、エチレンガス用の閾値、メチルメルカプタン用の閾値、二硫化ジメチル用の閾値などのように、食品ガスの種類毎に用意することができる。そして、複数種類の食品ガスのうちいずれか一つのガス濃度が閾値に達した場合(S15:YES)、コントローラ90は、光源80を点灯させる(S16)。これにより、上述した通り、減圧環境下において光触媒反応が行われて食品ガスは二酸化炭素と水に分解される。そして、対象の食品ガスの濃度が全て閾値を下回った場合(S15:NO)、コントローラ90は、光源80を消灯させる(S17)。
【0082】
なお、ステップS15を省略し、その代わりに一定時間だけ光源80を点灯させる構成としてもよい。この場合、
図21のフローチャートからステップS15およびステップS17が取り除かれ、ステップS14から直ちにステップS16に移る。そして、ステップS16の内容が「光触媒用光源を点灯」から「所定時間だけ光触媒用光源を点灯」に変化する。この改善されたステップには符号S16Aを与えることができる。
【0083】
または、光源80は減圧貯蔵室24の照明装置としても利用できるため、冷蔵室2の扉6が開いている間は、光源80を点灯しておく構成でもよい。さらに、光源80から照射する光の強さ、および/または、光の波長を状況に応じて切り替える構成でもよい。例えば、光源80を、減圧貯蔵室24の照明装置として利用する場合は、複数のLED83のうちの一部のLED83のみを点灯し、光触媒反応を促進するための装置として使用する場合は、全てのLED83を点灯させてもよい。または、異なる波長の光を出力可能なLED83を光源80に搭載し、照明装置として利用する場合の波長と、光触媒反応を促進する場合の波長とを違える構成としてもよい。さらには、光源80を照明装置として用いる場合は、LED83の点灯数を少なくすると共に波長も長くし、光源80を光触媒反応の促進装置として使用する場合は、LED83の点灯数を増加すると共に波長を短くする、等のように光の強度と波長の組合せを冷蔵庫の状況に応じて違える構成でもよい。
【0084】
図22と
図23を用いて光触媒作用に伴う二酸化炭素の増加について説明する。
図22は、野菜の劣化を促すエチレンガスを多く発生させるアボカドを密閉空間に収容した場合の、二酸化炭素濃度の時間変化およびエチレンガスの濃度の時間変化を示す。
【0085】
特性線G10は、光触媒を使用した場合の二酸化炭素濃度の時間変化を示す。特性線G11は、光触媒を使用しない場合の二酸化炭素濃度の時間変化を示す。特性線G12は、光触媒を使用した場合のエチレン濃度の時間変化を示す。特性線G13は、光触媒を使用しない場合の時間変化を示す。
【0086】
アボカドを収容してから徐々にエチレンガスの濃度が上昇していくが、光触媒を使用しない場合、エチレンガス濃度はやがて略一定値を保つ(G13)。光触媒を使用しない場合、二酸化炭素の濃度もほぼ一定している(G11)。これに対し、光触媒を使用する場合、エチレンガスは光触媒層71により二酸化炭素と水に分解されるため、エチレンガスの濃度は時間の経過につれて低下する(G12)。エチレンガスの分解生成物である二酸化炭素は、時間の経過につれて増大する(G10)。
【0087】
従って、野菜から発生したエチレンガスは光触媒によって分解されて二酸化炭素が生成していることがわかる。密閉空間では二酸化炭素が外部に漏出しにくいため、密閉空間の二酸化炭素濃度は高まっていく。二酸化炭素は野菜の呼吸を抑制するため、野菜の鮮度低下を抑制することができる。なお、野菜は光が当たると光合成を行う特徴がある。野菜は、630nm付近の赤色光に反応して光合成する。本実施例のLED83は、470nm付近の波長の光を主に出力するため、野菜の光合成を抑制できる。
【0088】
図23は、肉または魚を密閉空間内に保存した場合の、二酸化炭素濃度の時間変化と臭気成分ガス濃度の時間変化を示す。
【0089】
特性線G14は、光触媒を使用しない場合の二酸化炭素の濃度の時間変化を示す。特性線G15は、光触媒を使用した場合の二酸化炭素濃度の時間変化を示す。特性線G16は、光触媒を使用しない場合の臭気成分ガスの濃度の時間変化を示す。特性線G17は、光触媒を使用する場合の臭気成分ガスの時間変化を示す。
【0090】
光触媒を使用しない場合、肉または魚から発生する臭気成分ガスを分解することができないため、臭気ガス成分の濃度は次第に上昇する(G16)。光触媒を使用しない場合、光触媒反応の結果物としての二酸化炭素も発生せず、二酸化炭素の濃度もほぼ一定である(G14)。これに対し、光触媒を使用した場合、臭気成分ガスは光触媒により二酸化炭素と水に分解されるため、その濃度は時間経過につれて低下する(G17)。光触媒反応により二酸化炭素が発生するため、二酸化炭素の濃度は時間の経過につれて増大する(G15)。
【0091】
図23に示すように、肉、魚を保存した状態で光触媒を作用させると、臭気成分ガスが分解されると共に、二酸化炭素が増大し、その二酸化炭素によって酵素反応が抑制されたり、微生物の繁殖が抑制される。従って、肉および魚の鮮度が低下するのを抑制することができる。
【0092】
図24〜
図26を用いて、野菜、肉、魚を保存したときの、二酸化炭素による鮮度保持効果について説明する。
図24〜
図26は、密閉空間内にホウレン草とブロッコリーとアボカドを3日間保存した場合のビタミンC残存量を、光触媒の有無で比較した場合のグラフである。
図24は、ホウレン草とアボカドを密閉空間に収容した場合である。
図25は、ブロッコリーとアボカドを密閉空間に収容した場合である。アボカドはエチレンガスを発生しやすい食品のため、エチレンガス発生用として用いた。
【0093】
図24は、光触媒を用いた場合のホウレン草のビタミンC残存量G22と、光触媒を使用しない場合のホウレン草のビタミンC残存量G21を比較した結果を示す。光触媒を作用させたときのホウレン草のビタミンC残存量G20の方が、光触媒を使用しない場合のビタミンC残存量G23よりも大きいことが分かる。
【0094】
図25は、光触媒を使用した場合のブロッコリーのビタミンC残存量G22と、光触媒を使用しない場合のブロッコリーのビタミンC残存量G23を比較した結果を示す。光触媒を使用した場合のビタミンC残存量G22の方が、光触媒を使用しない場合のビタミンC残存量よりも大きいことが分かる。以上の実験結果から、二酸化炭素を増加させると、野菜の鮮度低下を抑制できることが確認された。
【0095】
図26および
図27を用いて、動物性食品(肉、魚)の鮮度変化を説明する。
図26は、密閉空間にマグロを3日間保存した場合を示す。光触媒を使用した場合のマグロのK値G24は、光触媒を使用しない場合のK値G25よりも低くなっている。これにより、二酸化炭素の増加により、マグロの鮮度低下が抑制されていることが分かる。
【0096】
図27は、密閉空間に牛肉を3日間保存した場合の赤色度の変化を示す。光触媒を使用した場合の赤色度G26は、光触媒を使用しない場合の赤色度G27よりも変化が少なく、肉の変色が抑制されていることが分かる。
【0097】
このように構成される本実施例では、密閉空間の減圧貯蔵室24内の二酸化炭素濃度を高くすることができる。従って、野菜の呼吸を抑制して劣化を防止し、微生物の繁殖を抑制し、肉または魚のような食品の酵素反応を低下させることができる。従って、二酸化炭素濃度を増加させない場合に比べて、食品の鮮度を保持する効果が高い。
【0098】
本実施例では、密閉された減圧貯蔵室24内で光触媒反応を引き起こすため、光触媒反応の生成物である二酸化炭素を減圧貯蔵室24内に閉じ込めて、二酸化炭素の濃度を効果的に高めることができる。従って、二酸化炭素による上記の鮮度保持作用を効率的に得ることができる。
【0099】
本実施例では、減圧貯蔵室24に保存された食品からわずかに蒸発する水分をラジカルの原料として使用し、そのラジカルによって臭気成分ガスおよび雑菌などを二酸化炭素と水に分解する。分解生成物である二酸化炭素および水は、密閉された貯蔵室内に閉じ込められる。水分は、ラジカルの原料として再利用されると共に、減圧貯蔵室24の湿度を高くして保持する。二酸化炭素は、上記の鮮度保持作用を実現する。
【0100】
本実施例では、密閉された減圧貯蔵室24に食品を保存して光触媒反応を行うことで、臭気成分ガスおよび水分をラジカルの原料として利用し、さらに、光触媒反応による分解生成物である二酸化炭素を食品の鮮度保持等に利用する。このように、ほぼ閉じた環境の中で、光触媒反応による臭気成分ガスの分解および除菌という光触媒作用と、二酸化炭素による作用とを結合させて、食品の鮮度低下を抑制できる。
【0101】
さらに、本実施例では、密閉された減圧貯蔵室24を大気圧よりも低い状態にして二酸化炭素を増加させるため、減圧貯蔵室24内の二酸化炭素の濃度を効率的に高めることができる。また、貯蔵室24内を減圧するため、二酸化炭素が貯蔵室24の外部に漏出するのを抑制できる。貯蔵室24の外部の方が気圧が高いためである。さらに、貯蔵室24内の空気分子を少なくできるため、ラジカルの寿命を長くすることができ、ラジカルが臭気成分ガスおよび雑菌等を分解する可能性を高めることができる。