【文献】
PAN, D. et al.,Computation of incompressible flows with immersed bodies by a simple ghost cell method,International Journal for Numerical Methods in Fluids [online],John Wiley & Sons, Ltd.,2008年11月,Volume 60, Issue 12,pages 1378 - 1401,[retrieved on 20 Oct. 2014] Retrieved from: Wiley Online Library, DOI: 10.1002/fld.1942,URL,http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/fld.1942/abstract
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の流体シミュレーション方法は、コンピュータ1を用いて、固体の周囲での流体の流れを解析するための方法である。
【0018】
図1に示されるように、コンピュータ1は、例えば、大規模計算が可能な計算サーバー1Sと、該計算サーバー1Sに接続されかつ該計算サーバー1Sに所定の計算を行わせるクライアントコンピュータ1Cとを含んで構成されている。
【0019】
また、クライアントコンピュータ1Cは、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含む。この本体1aには、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2などが設けられる。記憶装置には、本実施形態の流体シミュレーション方法を実行するための処理手順(プログラム)が予め記憶されている。
【0020】
図2には、本発明の流体シミュレーションの処理手順の一例が示される。以下、順に説明する。
【0021】
流体シミュレーション方法では、先ず、コンピュータ1に、固体モデルが入力される(ステップS1)。
図3に示されるように、本実施形態の固体モデル2は、固体(非流体物)としてのゴルフボールを、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素5でモデル化(離散化)されたゴルフボールモデル2Aからなる。数値解析法としては、例えば、有限要素法等が採用される。また、ゴルフボールモデル2Aには、ゴルフボールの表面に形成されるディンプルが形成されるのが望ましい。
【0022】
本実施形態の固体モデル2の要素5としては、変位を未知数とするラグランジュ(Lagrange)要素が用いられている。また、各要素5には、要素番号、節点番号、全体座標系X−Y−Zの節点座標値及び材料特性(例えば密度、ヤング率及び/又は減衰係数等)などの数値データが定義される。これらの数値は、コンピュータ1に記憶される。
【0023】
次に、コンピュータ1に、流体モデルが入力される(ステップS2)。
図4に示されるように、流体モデル3は、固体の外側で流体(空気)が流れる空間を、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素6でモデル化(離散化)することによって定義されている。
【0024】
本実施形態の流体モデル3は、固体モデル2を完全に覆う大きさを有した直方体状に設定されている。また、流体モデル3は、x軸方向の一端に配置される前面3a、x軸方向の他端側に配置される後面3b、及び、前面3aと後面3bとの間をのびる側面3sが定義されている。
【0025】
流体モデル3の各要素6は、直方体状に設定された流体モデル3において、x軸方向にs分割、y軸方向にm分割、及び、z軸方向にn分割した直交格子状に定義されている。s、m及びnは、いずれも自然数である。これらの自然数s、m及びnは、モデルの大きさ、解析の精度、又は、流速等に応じて適宜定められる。例えば、ゴルフボールモデル2Aの外径が42.7mmの場合には、各軸x、y、zにおいて、要素6の間隔W1が2.5×10
−2〜1mm程度に設定されるのが望ましい。
【0026】
図5に示されるように、本実施形態の流体モデル3の各要素6としては、流体解析用の重心点8を有するオイラー(Euler)要素からなる。この要素6には、空気の初期の比重や、粘性、圧力及び温度といったパラメータが割り当てられる。また、各重心点8では、流体シミュレーションにおいて、空気の速度、圧力又は温度等が計算される。
【0027】
次に、固体モデル2の計算条件が、コンピュータ1に入力される(ステップS3)。この計算条件には、固体モデル2の流体モデル3に対する位置情報、固体モデル2の回転を定義する角速度R1等が含まれる。
【0028】
また、固体モデル2の位置情報は、固体モデル2の中心2cの座標と、流体モデル3の中心3cの座標とが一致するように設定させている。これにより、固体モデル2が流体モデル3の中央に配置される状態を定義することができる。これらの計算条件は、コンピュータ1に記憶される。
【0029】
次に、流体モデル3の計算条件が、コンピュータ1に入力される(ステップS4)。この計算条件には、流体モデル3の境界条件、圧力補正方程式を用いた速度場計算の収束条件、及び、反復回数等が含まれる。
【0030】
また、流体モデル3の境界条件の設定では、流体モデル3の前面3aに、流体モデル3の要素6の流入(流速V1)が定義される。また、流体モデル3の後面3bには、前面3aでの要素6の流入と同量の流出量になるように繰り返し収束計算される。さらに、後面3bでの要素6は、全ての変数(圧力、速度等)が拡散しないものとして定義される。また、流体モデル3の側面3sには、流体モデル3の内部への要素6の流入出が不能に定義されている。これらの計算条件は、コンピュータ1に記憶される。
【0031】
次に、コンピュータ1が、固体モデル2の周囲での流体モデル3の流れを解析する流体シミュレーションステップS5が行われる。
図6には、本実施形態の流体シミュレーションステップS5の具体的な処理手順が示されている。
【0032】
本実施形態の流体シミュレーションステップS5では、先ず、
図5に示されるように、流体モデル3において、固体モデル2が配置される固体領域T1と、固体領域T1の外側の流体領域T2との境界面7が、コンピュータ1によって定義される(ステップS51)。
【0033】
本実施形態の境界面7は、流体モデル3において、固体モデル2の表面を特定する座標値である。このような座標値は、固体モデル2の表面を構成する各要素5(
図3に示す)の座標値を追跡して設定される。これらの座標値は、コンピュータ1に記憶される。
【0034】
次に、流体モデル3の物理量が計算される(ステップS52)。このステップS52では、固体モデル2が配置される固体領域T1を除く流体領域T2の全ての要素6を対象に、流体モデル3の物理量が計算される。
【0035】
本実施形態では、流体モデル3の運動が、Immersed Boundary法に基づいて、ナビエ・ストークスの式によって表される。このナビエ・ストークスの式は、例えば、コンピュータ1で計算可能な近似式に変換して計算されることにより、空気の運動状態を表すパラメータ、即ち、流体モデル3の各要素6の重心点8での圧力や速度等が計算される。なお、シミュレーションの単位時間Txの増加により、固体領域T1から流体領域T2に変化した要素6は、該要素6に隣接する流体領域T2の要素6の圧力を、固体モデル2の移動速度の初期値として計算される。
【0036】
このような流体モデル3の運動状態の計算は、例えば、特開2012−83958号公報に記載されている「構造格子を用いたシミュレーション方法」に準じて計算することができるが、ANSYS社のFLUNETなどの市販の流体解析用のアプリケーションソフトを用いて計算することもできる。
【0037】
なお、Immersed Boundary法に基づく流体シミュレーションでは、固体領域T1にも圧力場が存在するものとして、固体領域T1の要素6aの全範囲を対象に、圧力補正方程式が適用される。このため、固体領域T1の圧力場が、流体領域T2の圧力場に影響し、シミュレーション精度が低下しやすい。このため、境界面7には、固体領域T1内の圧力勾配がゼロになるように、ノイマン境界条件が設定されるのが望ましい。本実施形態では、先ず、固体領域T1の要素6aにノイマン条件を設定する。さらに、境界面7が横切る要素6cでは、流体領域T2側の境界面7に、ノイマン境界条件が定義される。
【0038】
ノイマン境界条件は、隣り合う要素6、6の微分値に対して、拘束条件を与える(例えば、要素6、6の微分値の差をゼロにする)ものである。これにより、本実施形態では、固体領域T1を計算対象から除外して、流体領域T2のみを計算対象とすることができる。従って、本実施形態では、固体領域T1の圧力場が、流体領域T2の圧力場に影響するのを抑制でき、シミュレーション精度を高めることができる。
【0039】
ところで、流体モデル3の物理量のうち、境界面7に作用する流体モデル3のせん断応力を求める計算方法としては、種々提案されている。上記非特許文献1に基づく従来の方法では、例えば、下記式(3)が用いられる。なお、固体モデル2及び流体モデル3が三次元モデルからなる場合には、x軸、y軸及びz軸の各方向において、せん断応力τが求められる。
【0040】
【数3】
ここで、
μ:せん断粘度
A:境界面の面積
v:流体の速度
n:法線ベクトル
【0041】
上記式(3)を用いるには、境界面7から垂直にのびる法線ベクトルにおいて、境界面7での速度をゼロとした流体モデル3の速度勾配(dv/dn)を求める必要がある。この速度勾配(dv/dn)を求めるには、先ず、
図7(a)に示されるように、境界面7に隣接する流体モデル3の要素6、6をのび、かつ、境界面7に直交する垂線12が定義される。
【0042】
この垂線12の一端には、流体領域T2の要素6に配置される流体側点13が定義される。さらに、垂線12の他端には、固体領域T1の要素6の重心点8によって定義された固体側点14が設定される。また、境界面7には、垂線12との交点15が定義されている。
【0043】
次に、
図7(b)に示されるように、交点15から流体側点13までの速度勾配が、下記式(4)によって求められる。なお、流体側点13及び交点15は、流体領域T2の要素6の重心点8によって定義されていない。このため、流体側点での流体の速度V
i、及び、交点での流体の速度V
pは、それぞれの流体側点13及び交点15において、隣接する複数の要素6の重心点8で計算された速度から推定される。
【0044】
【数4】
ここで、
V
i:流体側点での流体の速度
V
p:交点での流体の速度
δ:流体側点から交点までの距離
【0045】
次に、下記式(5)を用いて、固体側点14での速度V
gが求められる。下記式(5)では、速度V
gが、固体側点14の位置ベクトルr
gと、交点15の位置ベクトルr
pとの差(r
g−r
p)から、上記式(4)で求めた速度勾配を用いて計算されている。そして、速度V
gの値を変更して、速度V
pを相対的にゼロして、境界面7での速度をゼロとした流体の速度勾配(dv/dn)が求められる。
【0046】
【数5】
ここで、
V
g:固体側点での流体の速度
V
p:交点での流体の速度
r
g:固体側点の位置ベクトル
r
p:交点の位置ベクトル
【0047】
このように、従来の方法では、速度V
i及び速度V
pを、複数の要素6の重心点8の速度から推定したり、速度V
gを変更して速度V
pを相対的にゼロにしたりする必要がある。このため、従来の方法では、計算過程が複雑であったため、計算時間の増大や、計算精度の低下を招きやすいという問題があった。
【0048】
本実施形態では、流体モデル3のせん断応力を計算するのに先立ち、
図8(a)に示されるように、境界面7を挟んで隣り合う固体領域T1の要素6aと、流体領域T2の要素6bとの間において、各重心点8、8を結ぶ直線9が定義される(ステップS53)。
【0049】
このステップS53では、先ず、固体領域T1側の要素6aと、流体領域T2の要素6bとの間において、境界面7を挟んで最も隣接する要素6a、6bの重心点8、8が探索される。そして、それらの重心点8、8間に、境界面7と交わる直線9が定義される。この直線9は、各重心点8、8の座標を特定する数値データであり、コンピュータ1に記憶される。
【0050】
また、最も隣接する要素6a、6bの重心点8、8を探索する方法としては、特に限定されるわけではないが、例えば、特開2011−108113号公報に開示されている「任意の実数群から探索点の最近傍値を探索する方法」が好適に採用される。これにより、最も隣接する要素6a、6bの重心点8、8を効率的に探索することができる。
【0051】
次に、境界面7と直線9との交点10が、コンピュータ1によって定義される(ステップS54)。この交点10は、流体モデル3において特定される座標値である。この座標値は、コンピュータ1に記憶される。
【0052】
次に、
図8(b)に示されるように、境界面7を挟んで最も隣接する要素6a、6bにおいて、流体領域T2の要素6bの重心点8と、交点10との間の距離L2が、コンピュータ1によって計算される(ステップS55)。この距離L2は、流体領域T2の要素6bの重心点8と、交点10との間において、直線9上で特定される距離である。この距離L2は、コンピュータ1に記憶される。
【0053】
次に、境界面7に作用する流体モデル3のせん断応力τ
correctが、下記式(1)を用いて計算される(ステップS56)。本実施形態のように、固体モデル2及び流体モデル3が三次元モデルからなる場合には、x軸、y軸及びz軸の各方向において、せん断応力τ
correctが求められる。
【0054】
【数1】
ここで、
τ
correct:境界面に作用する流体モデルのせん断応力
U
live:流体領域の要素の重心点での速度
U
boundary:交点での速度
dist
live cell to boundary:流体領域の要素の重心点と交点との間の距離
μ:流体のせん断粘度
A:境界面の面積
【0055】
流体領域T2の重心点8での速度U
liveは、ステップS52で実施される流体モデル3の物理量の計算結果に基づいて設定される。また、交点10での速度U
boundaryは、交点10に隣接する流体領域T2の要素6bにおいて、少なくとも一つの重心点8で計算された速度から推定される。さらに、距離dist
live cell to boundary は、ステップS55で計算された重心点8と交点10との間の距離L2である。
【0056】
また、流体のせん断粘度μは、解析対象の流体が持つ予め定められたせん断粘度が設定される。本実施形態では、空気のせん断粘度が用いられる。境界面7の面積Aは、
図8(a)に示されるように、境界面7が要素6に交わる断面17で特定される。
【0057】
このように、本実施形態のステップS56では、境界面7を挟んで隣り合う固体領域T1の要素6aの重心点8と、流体領域T2の要素6bの重心点8との間で連結される直線9を基準にして、境界面7に作用する流体モデル3のせん断応力τ
correctが求められている。このため、本発明では、
図7(a)に示される従来の方法のように、境界面7に交わる垂線12や、流体側点13を定義する必要がない。
【0058】
さらに、本発明では、従来のように、隣接する流体モデル3の重心点8の速度から流体側点13の速度V
iを推定したり、固体側点14での速度V
gを変更して、交点10での速度V
pを相対的にゼロにしたりする必要もない。従って、本発明では、計算が複雑になるのを防ぐことができるため、流体モデル3のせん断応力を短時間で、かつ、精度良く求めることができる。
【0059】
なお、上記式(1)では、分母である距離dist
live cell to boundaryの値が非常に小さくなると、せん断応力τ
correctが過度に大きくなり、計算が不安定になるおそれがある。最悪の場合には、ゼロ割りが発生し、計算が発散するおそれがある。このため、上記式(1)の距離dist
live cell to boundaryは、下記式(2)で修正される距離dist’
live cell to boundaryが用いられるのが望ましい。
【0060】
【数2】
ここで、
L1:直線の長さ
α:直線の長さL1に対するdist
live cell to boundaryの比(0≦α≦1)
【0061】
図9(a)に示されるように、距離dist
live cell to boundaryの比であるαがゼロに収束すると、αの逆数1/αが∞に発散する。これは、上記式(1)において、距離dist
live cell to boundary が非常に小さくなると、せん断応力τ
correctが過度に大きくなることを示している。
【0062】
一方、
図9(b)に示されるように、上記式(2)においてαの値が修正されたα
newでは、その逆数1/α
newが12付近で収束している。これは、距離dist
live cell to boundaryが非常に小さくても、直線9の長さL1にα
newを乗じた距離dist’
live cell to boundaryが、上記式(1)に代入されることにより、せん断応力τ
correctが過大になるのを防止できることを示している。従って、上記式(2)で修正される距離dist’
live cell to boundaryが、上記式(1)の距離dist
live cell to boundaryに代えて用いられることにより、計算安定性を高めることができる。
【0064】
なお、上記式(2)のα
newについては
、適宜変更することができるが、
図10に示されるように、α
newとαとの関係が、αの増加とともにα
newが増加する単調増加の連続関数18となるように設定されるのが望ましい。さらに、連続関数18は、α
new=αを示す直線19に近似するのが望ましい。これにより、α
newとαとの誤差を最小限に抑えることができるため、計算制度を維持することができる。
【0065】
次に、コンピュータ1が、予め定められた終了時間が経過したか判断する(ステップS57)。このステップS57では、終了時間が経過したと判断した場合、流体シミュレーションステップS5を終了させ、流体モデル3の物理量が出力される(ステップS6)。
【0066】
一方、コンピュータ1が、終了時間が経過していないと判断した場合には、単位時間Txを一つ進めて(ステップS58)、前記ステップS51〜S56が行われる。これにより、流体シミュレーションの開始から終了までの流体モデル3の物理量を、単位時間Tx毎に取得することができる。
【0067】
次に、流体モデル3の物理量が許容範囲内であるかが判断される(ステップS7)。このステップS7では、流体モデル3の物理量が許容範囲内であると判断された場合、上記固体モデル2(ゴルフボールモデル2A)に基づいて固体(ゴルフボール)が設計される(ステップS8)。一方、物理量が許容範囲内でないと判断された場合は、固体モデル2が設計変更され(ステップS9)、再度流体シミュレーションが行われる(工程S1〜S7)。
【0068】
このように、本実施形態の流体シュミュレーション方法では、流体モデル3の物理量が許容範囲内になるまで、固体モデル2が設計変更されるため、性能の優れた固体(ゴルフボール)を効率良く設計することができる。
【0069】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0070】
図2に示した手順に従って、
図3に示した固体モデル(ゴルフボールモデル)、及び、
図4に示した流体モデルがコンピュータに設定された。そして、
図6に示した手順に従って、境界面に作用する流体モデルのせん断応力が計算された(実施例)。
図11(a)には、実施例のシミュレーション結果を視覚化した側面図が示されている。
【0071】
また、比較のために、上記式(3)〜(5)を用いた従来の方法(ゴーストセル法)に基づいて、境界面に作用する流体モデルのせん断応力が計算された(比較例)。
図11(b)には、比較例のシミュレーション結果を視覚化した側面図が示されている。なお、流体モデルの運動状態の計算(ソルバー)は、特開2012−83958号公報に記載されている「構造格子を用いたシミュレーション方法」に準じて実施された。また、パラメータ等の共通仕様は、次のとおりである。
コンピュータ:SGI社のワークステーションXE340
CPUのコア数:160コア
搭載メモリ:1.44TB(72GB/ノード)
処理方法:MPIによる並列処理
固体モデル(ゴルフボールモデル):
外径:42.7mm
角速度R1:2500rpm
流体モデル
要素の間隔W1:0.08mm(ゴルフボール周辺)
流速V1:58m/S
【0072】
テストの結果、実施例の計算時間が、比較例の計算時間の約80%であった。従って、本発明の流体シミュレーション方法では、従来の流体シミュレーション方法に比べて、せん断応力の計算を短時間で計算できることが確認できた。
【0073】
また、
図11(a)に示されるように、実施例の流体シミュレーション方法では、バックスピンがかかったゴルフボールに作用する揚力を忠実に再現できることが確認できた。一方、
図11(b)に示されるように、比較例の流体シミュレーション方法では、バックスピンがかかったゴルフボールに作用する揚力を十分に再現できないことが確認できた。従って、本発明の流体シミュレーション方法では、従来の流体シミュレーション方法に比べて、せん断応力を精度良く求めうることを確認できた。