特許第5750105号(P5750105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5750105マレイミド系共重合体およびマレイミド系共重合体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750105
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】マレイミド系共重合体およびマレイミド系共重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 222/40 20060101AFI20150625BHJP
   C08F 212/08 20060101ALI20150625BHJP
   C08F 220/18 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   C08F222/40
   C08F212/08
   C08F220/18
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-526310(P2012-526310)
(86)(22)【出願日】2011年7月26日
(86)【国際出願番号】JP2011004203
(87)【国際公開番号】WO2012014446
(87)【国際公開日】20120202
【審査請求日】2012年12月25日
(31)【優先権主張番号】特願2010-170651(P2010-170651)
(32)【優先日】2010年7月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】新谷 武士
(72)【発明者】
【氏名】立石 祐一
【審査官】 松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−263083(JP,A)
【文献】 特開2005−026698(JP,A)
【文献】 特開平04−085302(JP,A)
【文献】 WEI,J. et al,Controlled radical alternating copolymerization of N-phenyl maleimide with ethyl α-ethylacrylate by,Journal of Applied Polymer Science,2004年,Vol.94, No.6,p.2376-2382
【文献】 LI,A. et al,Controlled/living RAFT polymerization of N-phenyl maleimide and synthesis of its block copolymers,Journal of Applied Polymer Science,2009年,Vol.114, No.4,p.2469-2473
【文献】 REN,Y. et al,Radical copolymerization of maleimide with ethyl α-ethylacrylate and α-ethylacrylic acid via RAFT,Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry,2004年,Vol.42, No.15,p.3828-3835
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 222/00 − 222/40
C08F 212/00 − 212/36
C08F 220/00 − 220/70
CA/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の繰り返し単位(A)及び(B)を有し、
(A):式(I)
【化1】
(式中、R、Rは、それぞれ水素原子を表し、Rは、フェニル基又はヒドロキシ基で置換されたフェニル基を表す。)で表されるマレイミド系繰り返し単位、(B):式(II)
【化2】
(式中、R、R、Rは、それぞれ水素原子を表し、Rは、ヒドロキシ基を表す。mは1を表す。)で表されるスチレン系繰り返し単位及び
式(III)
【化3】
(式中、R、Rはそれぞれ水素原子を表し、R10は、水素原子又はメチル基を表し、R11は、t−ブチル基を表す。)で表される(メタ)アクリル酸系繰り返し単位からなる群より選ばれる少なくとも一
つ、数平均分子量が5,000〜20,000、分子量分布(Mw/Mn)が、1.01〜1.50であることを特徴とする共重合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マレイミド類とスチレン類、又はマレイミド類と(メタ)アクリル酸類を構成単位として含む共重合体であって、かつ、狭分散の共重合体、及びその製造方法に関する。本願は、2010年7月29日に出願された日本国特許出願第2010−170651号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
マレイミド系共重合体は、一般的に、アルカリ可溶性を示すことや非常に高い耐熱性を有することが知られており、これらの特徴的な性質を活かすことができる様々な用途展開が図られている。例えば、熱可塑性樹脂の耐熱向上材、導光板、レンズおよびピックアップレンズ等の透明材料、印刷配線板、印刷板、IC回路、カラープルーフおよびカラーフィルター等に用いる熱硬化性若しくは感光性樹脂組成物のバインダー用樹脂などに有用である。
【0003】
例えば、特許文献1では、マレイミド類とヒドロキシスチレン類との交互共重合体が知られている。具体的には、マレイミドとパラヒドロキシスチレン、N−アルキルマレイミドとパラヒドロキシスチレン、N−フェニルマレイミドとパラヒドロキシスチレンを重合した交互共重合体などが記載されている。マレイミド類のモノマーと、パラヒドロキシスチレンをラジカル重合開始剤の存在下、ラジカル重合させることにより、分子量分布(Mw/Mn)が2.1〜4.1である交互共重合体を製造している。
【0004】
また、特許文献2では、マレイミド類と(メタ)アクリル酸類との共重合体が知られている。具体的には、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミドとn−ブチルアクリレートをラジカル重合した共重合体等が記載されている。N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミドとn−ブチルアクリレートをジメチルホルムアミドに均一に溶解した溶液を、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を重合開始剤として用いてラジカル重合することにより、共重合体を製造している。これらの共重合体についての分子量分布(Mw/Mn)の値については、記載されていない。
【0005】
以上のように、従来は、マレイミド類とスチレン類、又はマレイミド類と(メタ)アクリル酸類を構成単位として含む共重合体については、通常のラジカル重合反応による製造方法と、その方法で製造した共重合体の例が知られているだけであった。また、そのような手法で、製造された共重合体は、広い分子量分布(Mw/Mn)を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−218607号
【特許文献2】特開2010−24427号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マレイミド系共重合体の用途を開発する場面において、従来のマレイミド共重合体は、アルカリ性溶液に溶解した際に、不要物が溶け残る場合があることや、十分な溶解速度が得られない場合があることが問題となっていた。
そこで、本発明の課題は、狭い分子量分布を有すると共に、十分な溶解速度を有するマレイミド系共重合体を提供すること、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、マレイミド系モノマーとスチレン系モノマー、又は、マレイミド系モノマーと(メタ)アクリル酸系モノマーを重合開始剤の存在下に重合する際に、可逆的付加開裂型連鎖移動剤(RAFT剤)を存在させることにより、分子量分布(Mw/Mn)が狭い重合体が得られることを見出した。また、そのようにして得られた共重合体は、従来の方法で製造したマレイミド系共重合体よりも良好なアルカリ溶解速度を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、
(1)式(I)
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、C1〜C3アルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化されたC1〜C3アルキル基、又はハロゲン原子を表し、Rは、水素原子、C1〜C6アルキル基、フェニル基、又は、ヒドロキシ基、C1〜C6アルキル基及びC1〜C6アルコキシ基からなる群より選ばれた少なくとも一種で置換されたフェニル基を表す。)で表されるマレイミド系繰り返し単位と、式(II)
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、又はC1〜C3アルキル基を表し、Rは、ヒドロキシ基、C1〜C6アルキル基又はC1〜C6アルコキシ基を表す。mが2以上の場合、各Rは同一又は相異なっていてもよい。mは0〜5のいずれかの整数を表す。)で表されるスチレン系繰り返し単位及び
式(III)
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、R、R、R10は、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表し、R11は、C1〜C6アルキル基又はC6〜C10アリールC1〜C6アルキル基を表す。)で表される(メタ)アクリル酸系繰り返し単位からなる群より選ばれる少なくとも一つを有し、
かつ、分子量分布(Mw/Mn)が、1.01〜2.00であることを特徴とする共重合体に関する。
【0016】
また、本発明は、
(2)式(IV)
【0017】
【化4】
【0018】
(式中、R12、R13は、それぞれ独立して水素原子、C1〜C3アルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化されたC1〜C3アルキル基、又はハロゲン原子を表し、R14は、水素原子、C1〜C6アルキル基、フェニル基、又は、ヒドロキシ基、C1〜C6アルキル基及びC1〜C6アルコキシ基からなる群より選ばれた少なくとも一種で置換されたフェニル基を表す。)で表されるマレイミド系モノマーと、式(V)
【0019】
【化5】
【0020】
(式中、R15、R16、R17は、それぞれ独立して水素原子、又はC1〜C3アルキル基を表し、R18は、ヒドロキシ基、C1〜C6アルキル基、又はC1〜C6アルコキシ基を表す。nが2以上の場合、各R18は同一又は相異なっていてもよい。nは0〜5のいずれかの整数を表す。)で表されるスチレン系モノマー
及び式(VI)
【0021】
【化6】
【0022】
(式中、R19、R20、R21は、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基を表し、R22は、水素原子、C1〜C6アルキル基又はC6〜C10アリールC1〜C6アルキル基を表す。)で表される(メタ)アクリル酸系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも一つ、
を可逆的付加開裂型連鎖移動剤(RAFT剤)の存在下でラジカル共重合することを特徴とする(1)に記載の共重合体の製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本明細書において用いられる用語の意味を記載し、本発明について更に詳細に説明する。
「C1〜C3アルキル基」とは、炭素数1ないし3の直鎖状又は分岐状のアルキル基を意味し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
「完全若しくは部分的にフッ素化されたC1〜C3アルキル基」とは、前記C1〜C3アルキル基が、完全に若しくは部分的にフッ素化されている基を意味し、例えば、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
「C1〜C6アルキル基」とは、炭素数1ないし6の直鎖状又は分岐状のアルキルを意味し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
「C1〜C6アルコキシ基」とは、炭素数1ないし6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基を意味し、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、i−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
「C6〜C10アリール基」とは、炭素数6ないし10のアリール基を意味し、例えば、フェニル基、ナフチル基等が例示される。
「C6〜C10アリールC1〜C6アルキル基」とは、前記C6〜C10アリール基と前記C1〜C6アルキル基が結合した基を意味する。具体的には、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基等が例示される。
【0024】
(1)共重合体
本発明の共重合体は、マレイミド系繰り返し単位とスチレン系繰り返し単位を含有する共重合体、又は、マレイミド系繰り返し単位と(メタ)アクリル酸系繰り返し単位を含有する共重合体である。
本発明の共重合体は、スチレン系繰り返し単位と(メタ)アクリル酸系繰り返し単位の両方を含有していてもよい。
また、本発明の共重合体は、マレイミド系繰り返し単位、スチレン系繰り返し単位及び(メタ)アクリル酸系繰り返し単位以外に、他の繰り返し単位を含有していてもよい。好ましくは、マレイミド系繰り返し単位とスチレン系繰り返し単位のみからなる共重合体、又は、マレイミド系繰り返し単位と(メタ)アクリル酸系繰り返し単位のみからなる共重合体である。
さらに、本発明の共重合体は、ランダム、交互、ブロック共重合体のいずれも包含する。
【0025】
(マレイミド系繰り返し単位)
上記マレイミド系繰り返し単位としては、マレイミド又はマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位であれば特に制限はないが、たとえば、下記一般式(I)で表される繰り返し単位が例示される。
【0026】
【化7】
【0027】
式(I)中、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、C1〜C3アルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化されたC1〜C3アルキル基、又はハロゲン原子である。Rは、水素原子、C1〜C6アルキル基、フェニル基、又は、ヒドロキシ基、C1〜C6アルキル基及びC1〜C6アルコキシ基からなる群より選ばれた少なくとも一種で置換されたフェニル基である。
【0028】
式(I)で表される繰り返し単位の原料となるモノマーとしては、式(IV)で表されるマレイミド系モノマーが例示される。
【0029】
【化8】
【0030】
式(IV)中、R12、R13は、それぞれ独立して水素原子、C1〜C3アルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化されたC1〜C3アルキル基、又はハロゲン原子である。R14は、水素原子、C1〜C6アルキル基、フェニル基、又は、ヒドロキシ基、C1〜C6アルキル基及びC1〜C6アルコキシ基からなる群より選ばれた少なくとも一種で置換されたフェニル基である。
式(IV)で表されるマレイミド系モノマーとして、具体的には、ピロール−2,5−ジオン、3,4−ジフルオロ−ピロール−2,5−ジオン、3,4−ビス−トリフルオロメチル−ピロール−2,5−ジオン、1−メチル−ピロール−2,5−ジオン、1−エチル−ピロール−2,5−ジオン、1−イソプロピル−ピロール−2,5−ジオン、1−プロピル−ピロール−2,5−ジオン、1−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−ヒドロキシ−フェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジヒドロキシ−フェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−メトキシ−フェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−tert−ブトキシ−フェニル)−ピロール−2,5−ジオン等が例示される。
これらは1種単独で、あるいは2種以上混合して、用いることができる。
【0031】
(スチレン系繰り返し単位)
上記スチレン系繰り返し単位としては、スチレン誘導体に由来する繰り返し単位であれば特に制限はないが、たとえば、下記一般式(II)で表される繰り返し単位が例示される。
【0032】
【化9】
【0033】
式(II)中、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、又はC1〜C3アルキル基を表し、Rは、ヒドロキシ基、C1〜C6アルキル基又はC1〜C6アルコキシ基を表す。mが2以上の場合、各Rは同一又は相異なっていてもよい。mは0〜5のいずれかの整数である。
【0034】
式(II)で表される繰り返し単位の原料となるモノマーとしては、式(V)で表されるスチレン系モノマーが例示される。
【0035】
【化10】
【0036】
式(V)中、R15、R16、R17は、それぞれ独立して水素原子、又はC1〜C3アルキル基である。R18は、ヒドロキシ基、C1〜C6アルキル基、又はC1〜C6アルコキシ基である。nが2以上の場合、各R18は同一又は相異なっていてもよい。nは0〜5のいずれかの整数である。
式(V)で表されるスチレン系モノマーとして、具体的には、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、2,4,6−トリイソプロピルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、m−t−ブトキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどを例示することができる。
これらは1種単独で、あるいは2種以上混合して、用いることができる。
【0037】
((メタ)アクリル酸系繰り返し単位)
上記(メタ)アクリル酸系繰り返し単位としては、(メタ)アクリル酸誘導体に由来する繰り返し単位であれば特に制限はないが、たとえば、下記一般式(III)で表される繰り返し単位が例示される。
【0038】
【化11】
【0039】
式(III)中、R、R、R10は、水素原子又はC1〜C3アルキル基である。R11は、C1〜C6アルキル基又はC6〜C10アリールC1〜C6アルキル基である。
【0040】
式(III)で表される繰り返し単位の原料となるモノマーとしては、式(VI)で表されるスチレン系モノマーが例示される。
【0041】
【化12】
【0042】
式(VI)中、R19、R20、R21は、それぞれ独立して、水素原子又はC1〜C3アルキル基である。R22は、水素原子、C1〜C6アルキル基又はC6〜C10アリールC1〜C6アルキル基である。
式(VI)で表される(メタ)アクリル酸系モノマーとして、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシルなどを例示することができる。
これらは1種単独で、あるいは2種以上混合して、用いることができる。
【0043】
(他の含有しうる繰り返し単位)
本発明の共重合体は、マレイミド系繰り返し単位、スチレン系繰り返し単位及び(メタ)アクリル酸系繰り返し単位以外に、他の繰り返し単位を含有していてもよい。
その他の繰り返し単位の原料となるモノマーとしては、エチレン性不飽和結合を持つ化合物であれば特に制限されない。
具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;シクロアルキル基およびベンジル基を含む、C1〜C18の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル(ただし、式(VI)に包含されないもの)〔たとえば、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等〕;エチレン、プロピレン、イソブチレン、ジイソブチレン等のオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の飽和モノカルボン酸のビニルエステル類;酢酸アリル、プロピオン酸アリル等の飽和脂肪族モノカルボン酸のアリルエステル類またはメタリルエステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物のジメタクリレート、ハロゲン化ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物のジまたはトリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類;トリアリルイソシアヌレート等の多価アリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸あるいはこれらの半エステル化物等が挙げられ、目的に応じて1種または2種以上が用いられるが、それらの種類および使用量は本発明の目的を逸脱しない範囲で選択すればよい。
【0044】
本発明の共重合体において、式(I)で表される繰り返し単位と、式(II)及び式(III)から選ばれる少なくとも一種で表される繰り返し単位とのモル比は、特に制限はないが、好ましくは、20:80〜80:20である。
本発明に係るマレイミド系共重合体の数平均分子量は2,000〜100,000であり、好ましくは5,000〜20,000である。
【0045】
(2)共重合体の製造方法
本発明の共重合体の製造方法は、式(IV)で表されるマレイミド系モノマーと、式(V)で表されるスチレン系モノマー及び式(VI)で表される(メタ)アクリル酸系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも一つを可逆的付加開裂型連鎖移動剤(RAFT剤)の存在下で、ラジカル重合開始剤を用いてラジカル共重合する方法であれば特に制限されない。
【0046】
(可逆的付加開裂型連鎖移動剤(RAFT剤))
本発明において使用する、可逆的付加開裂型連鎖移動剤(RAFT剤)は、一般的に使用されるRAFT剤であれば特に制限されない。
そのような試薬として、トリチオ炭酸エステル、ジチオ脂肪酸エステル若しくはその誘導体、ジチオ安息香酸エステル若しくはその誘導体、ジチオナフトエ酸エステル、テトラチオテレフタル酸エステル又はチオベンゾイルチオアルキルベンゼンを挙げることができる。
トリチオ炭酸エステルとしては、例えば、トリチオ炭酸ジベンジルなどを挙げることができる。
ジチオ脂肪酸エステル又はその誘導体としては、例えば、ジエトキシホスフィニルジチオギ酸ベンジル、ジチオ酢酸エトキシカルボニルメチル、ジチオ酢酸ベンジルなどを挙げることができる。
ジチオ安息香酸エステル又はその誘導体としては、例えば、ジチオ安息香酸t−ブチル、ジチオ安息香酸1,1,3,3−テトラメチルブチル、ジチオ安息香酸カルボキシメチル、ジチオ安息香酸1−アセトキシエチル、ジチオ安息香酸1−シアノ−1−メチルエチル、ジチオ安息香酸1−エトキシカルボニル−1−メチルエチル、ジチオ安息香酸1−シアノ−1−メチル−3−カルボキシプロピル、ジチオ安息香酸ベンジル、ジチオ安息香酸m−ビニルベンジル、ジチオ安息香酸p−ビニルベンジル、ジチオ安息香酸1−フェニルエチル、ジチオ安息香酸1−メチル−1−フェニルエチル、ジチオ安息香酸1−(p−メトキシフェニル)エチル、ジチオ安息香酸1−(p−クロロフェニル)−1−メチル、p−クロロジチオ安息香酸1−メチル−1−フェニルエチル、トリチオ過安息香酸t−ブチル、などを挙げることができる。
ジチオナフトエ酸エステルとしては、例えば、ジチオ−1−ナフトエ酸1−メチル−1−フェニルエチルなどを挙げることができる。
テトラチオテレフタル酸エステルとしては、例えば、テトラチオテレフタル酸ジベンジルなどを挙げることができる。チオベンゾイルチオアルキルベンゼンとしては、例えば、1,4−ビス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、ヘキサキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス[(1−メチル−1−チオベンゾイルチオ)エチル]ベンゼンなどを挙げることができる。
上記の可逆的付加開裂型連鎖移動剤(RAFT剤)は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本製造方法において、可逆的付加開裂型連鎖移動剤(RAFT剤)の存在量は、重合開始剤1モルに対して0.01〜2モルであることが好ましく、0.1〜1.5モルであることがより好ましい。可逆的付加開裂型連鎖移動剤の存在量が重合開始剤1モルに対して0.01モル未満であると、可逆的付加開裂型連鎖移動剤が結合していない生長ラジカルが生成して停止反応が起こり、重合体の分子量分布が広くなるおそれがある。
【0047】
(ラジカル重合開始剤)
本発明方法に用いる重合開始剤に特に制限はなく、例えば、ペルオキソ二硫酸塩、アゾ系開始剤、レドックス開始剤などを挙げることができる。
ペルオキソ二硫酸塩としては、例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸バリウムなどを挙げることができる。
アゾ系開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]などを挙げることができる。
レドックス開始剤としては、例えば、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸カリウムなどの過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄などの還元剤の組み合わせを挙げることができる。
これらの中で、アゾ系開始剤を好適に用いることができる。
【0048】
(重合溶媒および重合温度等)
本発明のラジカル重合に使用する溶媒は、通常のラジカル重合に使用する溶媒であれば特に制限されない。例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トリオキサンなどのエーテル系化合物、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコール誘導体類などの有機溶媒中において反応を行うことができる。また、これらの溶媒は、1種単独で、又は2種以上の混合溶媒として用いることができる。
本発明の製造方法は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、50〜200℃の温度で行われる。
【0049】
(分子量分布(Mw/Mn))
本発明の製造方法で製造された共重合体は、標準ポリスチレンを用いて換算したGPCの分子量分布(Mw/Mn)が、1.01〜2.00、好ましくは1.01〜1.50、さらに好ましくは1.01〜1.40である。本発明の製造方法で得られる共重合体は、分子量分布が狭分散であるため、アルカリ溶解させた際にとけ残りが少なく、また、アルカリ溶解速度がきわめて速いという特徴を示す。したがって、このような特徴が要求される各種用途に好適に用いることができる。
【実施例】
【0050】
以下実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【0051】
[実施例1]
窒素雰囲気下において、N−フェニルマレイミド(以下、「NPMI」と略すことがある)9.519g(54.97ミリモル)、p−(tert−ブトキシ)スチレン(以下、「PTBSt」と略すことがある)9.75g(55.32ミリモル)、ジチオ安息香酸1−シアノ−1−メチル−3−カルボキシプロピル0.441g(1.58ミリモル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.133g(0.810ミリモル)、テトラヒドロフラン47.45gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。この混合溶液を攪拌下、70℃に加温して重合反応を開始させた。
重合反応を開始して4時間経過後、反応系の温度を室温まで冷却して重合反応を停止させた。反応溶液を大量のメタノール中に投入し、固体として取り出した。得られた共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量(Mn)=8,960、分子量分布(Mw/Mn)=1.24であった。以上により得られた高分子を、「NPMI/PTBSt」と表記することがある。
次いで、NPMI/PTBSt15.820g、テトラヒドロフラン51.3g、エタノール12.2gをフラスコに取り、均一に混合した。この混合溶液に、濃塩酸6.20g(59.5ミリモル)を加え、3時間還流を実施した。室温に冷却後、酢酸エチルで希釈後蒸留水で洗浄し、濃縮後の溶液を大量のメタノールに投入して固体として取り出した。以上により得られた高分子を、「NPMI/PHS」と表記することがある。この共重合体の13C−NMR分析の結果、ポリマー組成比は、NPMI:PHS=51:49(モル%比)であった。また、GPCで測定したところ、数平均分子量(Mn)=7,750、分子量分布(Mw/Mn)=1.25であった。
【0052】
[実施例2]
窒素雰囲気下において、NPMI9.52g(54.95ミリモル)、PTBSt9.68g(54.95ミリモル)、ジチオ安息香酸1−シアノ−1−メチル−3−カルボキシプロピル0.22g(0.8ミリモル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.066g(0.4ミリモル)、テトラヒドロフラン44.8gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。この混合溶液を攪拌下、70℃に加温して重合反応を開始させた。
重合反応を開始して3.5時間経過後、反応系の温度を室温まで冷却して重合反応を停止させた。反応溶液を大量のメタノール中に投入し、固体として取り出した。得られた共重合体のGPC分析を行ったところ、Mn=12,600、Mw/Mn=1.32であった。以上により得られた高分子を、「NPMI/PTBSt」と表記することがある。
次いで、NPMI/PTBSt17.4g、テトラヒドロフラン58.0g、エタノール11.6gをフラスコに取り、均一に混合した。この混合溶液に、濃塩酸6.79g(65.2ミリモル)を加え、3時間還流を実施した。室温に冷却後、酢酸エチルで希釈後蒸留水で洗浄し、濃縮後の溶液を大量のメタノールに投入して固体として取り出した。以上により得られた高分子を「NPMI/PHS」と表記することがある。この共重合体のH−NMR分析の結果、ポリマー組成比は、NPMI:PHS=49:51(モル%比)であった。また、GPCで測定したところ、数平均分子量(Mn)=10,800、分子量分布(Mw/Mn)=1.30であった。
【0053】
[実施例3]
窒素雰囲気下において、N−(4−ヒドロキシ)フェニルマレイミド(以下、「HPMI」と略すことがある)9.94g(52.55ミリモル)、PTBSt9.26g(52.54ミリモル)、ジチオ安息香酸1−シアノ−1−メチル−3−カルボキシプロピル0.439g(1.57ミリモル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.132g(0.80ミリモル)、テトラヒドロフラン44.46gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。この混合溶液を攪拌下、70℃に加温して重合反応を開始させた。
重合反応を開始して5時間経過後、反応系の温度を室温まで冷却して重合反応を停止させた。反応溶液を大量のメタノール中に投入し、固体として取り出した。得られた共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量(Mn)=9,060、分子量分布(Mw/Mn)=1.30であった。以上により得られた高分子を、「HPMI/PTBSt」と表記することがある。
次いで、HPMI/PTBSt12.74g、テトラヒドロフラン43.1g、エタノール8.87gをフラスコに取り、均一に混合した。この混合溶液に、濃塩酸5.01g(48.1ミリモル)を加え、3時間還流を実施した。室温に冷却後、酢酸エチルで希釈後蒸留水で洗浄し、濃縮後の溶液を大量の蒸留水に投入して固体として取り出した。以上により得られた高分子を、「HPMI/PHS」と表記することがある。この共重合体の13C−NMR分析の結果、ポリマー組成比は、HPMI:PHS=51:49(モル%比)であった。また、GPCで測定したところ、数平均分子量(Mn)=8,830、分子量分布(Mw/Mn)=1.20であった。
【0054】
[実施例4]
窒素雰囲気下において、HPMI9.94g(52.54ミリモル)、PTBSt9.26g(52.54ミリモル)、ジチオ安息香酸1−シアノ−1−メチル−3−カルボキシプロピル0.22g(0.8ミリモル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.066g(0.4ミリモル)、テトラヒドロフラン44.73gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。この混合溶液を攪拌下、70℃に加温して重合反応を開始させた。
重合反応を開始して6時間経過後、反応系の温度を室温まで冷却して重合反応を停止させた。反応溶液を大量のヘキサン中に投入し、固体として取り出した。得られた共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量(Mn)=12,400、分子量分布(Mw/Mn)=1.36であった。以上により得られた高分子を、HPMI/PTBStと表記することがある。
次いで、HPMI/PTBSt17.9g、テトラヒドロフラン59.7g、エタノール11.9gをフラスコに取り、均一に混合した。この混合溶液に、濃塩酸6.98g(67.0ミリモル)を加え、3時間還流を実施した。室温に冷却後、酢酸エチルで希釈後蒸留水で洗浄し、濃縮後の溶液を大量のメタノールに投入して固体として取り出した。以上により得られた高分子を「HPMI/PHS」と表記することがある。この共重合体のH−NMR分析の結果、ポリマー組成比は、HPMI:PHS=57:43(モル%比)であった。また、GPCで測定したところ、数平均分子量(Mn)=9,960、分子量分布(Mw/Mn)=1.34であった。
【0055】
[実施例5]
窒素雰囲気下において、HPMI6.79g(35.89ミリモル)、tert−ブチルアクリレート4.60g(35.89ミリモル)、ジチオ安息香酸1−シアノ−1−メチル−3−カルボキシプロピル0.20g(0.73ミリモル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.059g(0.36ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド23.68gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。この混合溶液を攪拌下、85℃に加温して重合反応を開始させた。
重合反応を開始して23時間経過後、反応系の温度を室温まで冷却して重合反応を停止させた。反応溶液を大量の蒸留水中に投入し、固体として取り出した。以上により得られた高分子を「HPMI/tBA」と表記することがある。この共重合体の13C−NMR分析の結果、ポリマー組成比は、HPMI:tBA=53:47(モル%比)であった。また、得られた共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量(Mn)=6,940、分子量分布(Mw/Mn)=1.28であった。
【0056】
[実施例6]
窒素雰囲気下において、HPMI6.01g(31.77ミリモル)、tert−ブチルメタクリレート4.51g(31.72ミリモル)、ジチオ安息香酸1−シアノ−1−メチル−3−カルボキシプロピル0.21g(0.76ミリモル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.062g(0.38ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド24.50gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。この混合溶液を攪拌下、85℃に加温して重合反応を開始させた。
重合反応を開始して7時間経過後、反応系の温度を室温まで冷却して重合反応を停止させた。反応溶液を大量の蒸留水中に投入し、固体として取り出した。以上により得られた高分子を「HPMI/tBMA」と表記することがある。この共重合体の13C−NMR分析の結果、ポリマー組成比は、HPMI:tBMA=45:55(モル%比)であった。また、得られた共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量(Mn)=9,350、分子量分布(Mw/Mn)=1.37であった。
【0057】
(アルカリ溶解速度測定試験)
実施例1〜6で得られた重合体の15重量%乳酸エチル溶液をそれぞれ調製した。各調製液について、2センチ角シリコンウエハに膜厚1〜2ミクロンとなるようにスピンコートし、乾燥させた。100mLの2.38重量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液に樹脂膜を浸漬し、完全に溶解する(シリコンウエハが現れる)までの秒数を計測した。このとき、液温は23℃に保った。樹脂膜の膜厚(nm)/秒数(s)で算出される値をアルカリ溶解速度とした。
【0058】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の製造方法で得られるマレイミド系共重合体は、従来のマレイミド系共重合体よりも狭い分子量分布(Mw/Mn)を有する。それらのマレイミド系共重合体は、従来のマレイミド系共重合体よりも速いアルカリ溶解速度を有する。本発明の共重合体は、アルカリ溶解速度が速いため、レジスト用途で使用した場合に、現像速度が著しく向上する。さらに、本発明の共重合体は分子量分布(Mw/Mn)が狭いため、レジスト用途で使用した場合に、現像残渣が発生しにくくなり、解像性が向上する。