特許第5750131号(P5750131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5750131金属薄膜のCVD/ALDに有用なアンチモンおよびゲルマニウム錯体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750131
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】金属薄膜のCVD/ALDに有用なアンチモンおよびゲルマニウム錯体
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/18 20060101AFI20150625BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20150625BHJP
   H01L 45/00 20060101ALI20150625BHJP
   H01L 21/365 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   C23C16/18
   H01L27/10 448
   H01L45/00 A
   H01L21/365
【請求項の数】28
【外国語出願】
【全頁数】71
(21)【出願番号】特願2013-42917(P2013-42917)
(22)【出願日】2013年3月5日
(62)【分割の表示】特願2009-535369(P2009-535369)の分割
【原出願日】2007年3月12日
(65)【公開番号】特開2013-144851(P2013-144851A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2013年3月29日
(31)【優先権主張番号】60/864,073
(32)【優先日】2006年11月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/887,249
(32)【優先日】2007年1月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599006351
【氏名又は名称】アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】ハンクス,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チャンニュ
(72)【発明者】
【氏名】スー,チョンユィン
(72)【発明者】
【氏名】ローダー,ジェフリー,エフ.
(72)【発明者】
【氏名】バウム,トーマス,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ペトルスカ,メリッサ,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ステンダー,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】チェン,フィリップ,エス.エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】シュタウ,グレゴリー,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリックス,ブライアン,シー.
【審査官】 末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−182781(JP,A)
【文献】 特開2006−124262(JP,A)
【文献】 特開2002−211924(JP,A)
【文献】 特表2006−511716(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/012052(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
C07F 7/30
H01L 21/365
H01L 27/105−27/115
H01L 45/00−45/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相堆積条件下でゲルマニウムアミジネート前駆体の蒸気に基板を接触させることを含む、ゲルマニウムを基板上に堆積させる方法。
【請求項2】
前記基板上に、アンチモン及びテルルの少なくとも1つを堆積させることを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
相変化メモリデバイスの製造において行われる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
固体送出又は液体送出を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記接触させることは、アンモニアの存在下で行われる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ゲルマニウムアミジネート前駆体は、Ge(II)又はGe(IV)、及び、式[RNCXNR](式中、各々のRは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C13アリール、および−Si(R’)(式中、各R’は、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択され、Xは、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、−NR、および−C(Rの中から選択され、各R、RおよびRは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C13アリール、−Si(R)の中から独立して選択され、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される。)の少なくとも1つのアミジネート配位子を含み、非アミジネート配位子は、アルキル、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ヒドリド、−Si(R)およびハロゲン基から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ジアルキル又はジアミドテルル前駆体を含むオルガノテルル前駆体からテルルを堆積させることを更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項8】
ジ−t−ブチルテルルを含むオルガノテルル前駆体からテルルを堆積させることを更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項9】
トリアルキルアンチモン化合物又はトリアミドアンチモン化合物を含むオルガノアンチモン前駆体からアンチモンを堆積させることを更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項10】
トリス−ジアルキルアミドアンチモン化合物を含むオルガノアンチモン前駆体からアンチモンを堆積させることを更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項11】
トリス(ジメチルアミド)アンチモンを含むオルガノアンチモン前駆体からアンチモンを堆積させることを更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項12】
前記気相堆積条件は、300℃から450℃の温度を含む、請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記気相堆積条件は、0.5トルから15気圧の圧力を含む、請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記接触することにおいて、キャリアガスの使用を含む、請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記接触することにおいて、還元性共反応物質の使用を含む、請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記還元性共反応物質は、水素、水素プラズマ、アルカン、アルケン、アミジン、グアニジン、ボラン、それらの付加体及び誘導体、アルキン、アルキルアミン、シラン、シリルカルコゲニド、ゲルマン、アンモニア、アミン、イミン、並びに、ヒドラジンからなる群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記基板上のゲルマニウム−アンチモン−テルル材料の化学気相堆積を含む、請求項2記載の方法。
【請求項18】
前記基板上の平坦な非晶質ゲルマニウム−アンチモン−テルル材料の原子層堆積を含む、請求項2記載の方法。
【請求項19】
前記基板は、マイクロ電子デバイス基板を含む、請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記マイクロ電子デバイス基板上に、相変化メモリデバイスセルを形成することを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記基板上に、アンチモン及びテルルを堆積して、ゲルマニウム−アンチモン−テルル材料を形成することを更に含み、前記ゲルマニウム−アンチモン−テルル材料は、前記マイクロ電子デバイス基板上のビア中に堆積される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記ビアは、酸化ケイ素材料又は窒化ケイ素材料を含むlow−k誘電体材料中にある、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記気相堆積条件は、300℃未満の温度を含む、請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
ゲルマニウム−アンチモン−テルル材料を堆積することを更に含み、前記ゲルマニウム−アンチモン−テルル材料は炭素を含む、請求項2記載の方法。
【請求項25】
前記基板上のビア又はトレンチ中にゲルマニウムが堆積することを更に含む、請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
請求項1記載の方法を含む、相変化メモリデバイスを製造する方法。
【請求項27】
ゲルマニウムアミジネート前駆体が、アルカン溶媒、アリール溶媒、アミン、イミン、グアナジン、アミジン及びヒドラジンからなる群より選ばれる溶媒において、溶液又は懸濁液中にある、請求項1記載の方法。
【請求項28】
前記ゲルマニウムアミジネート前駆体は、ゲルマニウムビス(n−ブチル、N,N−ジイソプロピルアミジネート)
【化1】
である、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、金属薄膜のCVD/ALDに有用なアンチモンおよびゲルマニウム錯体、該錯体を含む組成物、ならびに該錯体および組成物を使用して金属膜を基板上に堆積させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] アンチモン化物は、赤外線探知機、高速デジタル回路、および量子井戸構造において、また最近では、ゲルマニウム(Ge)およびテルル(Te)とともに、ゲルマニウム−アンチモン−テルル(GeSbTe)膜を利用した相変化カルコゲニド不揮発性メモリ技術における重要な成分として利用されている。
【0003】
[0003] Ge−Sb−Te(GST)薄膜をベースとした相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)デバイスは、膜材料の抵抗の変化に関連した、結晶状態から非晶質状態への可逆転移を利用する。高速の商業生産および性能の理由から、膜材料自体は、望ましくは化学気相堆積(CVD)および原子層堆積(ALD)等の技術を使用して形成される。
【0004】
[0004] その有望性にもかかわらず、低温でのCVDおよび原子層堆積ALDにより、再生可能な高品質アンチモン化物、SbTeおよびGST膜を成長させるために行われている努力において、大きな課題に直面している。これらの課題には、以下が含まれる。
(1)現在利用可能なアンチモンCVD/ALD前駆体の数が非常に限られており、そのほとんどは、MeSb、EtSb、(iPr)Sb、およびPhSb等のアルキル系化合物、またはSbH等のヒドリド系化合物であり、これらの前駆体は、熱安定性が低い、揮発性が低い、合成が困難、送出温度が高いといった様々な欠点が問題となっている。
(2)そのような現在利用可能なアンチモン前駆体の、ゲルマニウムまたはテルル前駆体との適合性は、マイクロ電子デバイス品質GSTフィルムを、再現性をもって成長させる能力に関する限りは不確定であり、アンチモン化物膜の成長には、V/III比に対する感度および分解温度を含む、関連したプロセス上の困難がある。
(3)そのような前駆体から形成される堆積金属膜は、前駆体に由来する炭素またはヘテロ原子の汚染の影響を受けやすく、低い成長速度、形態の劣化、および膜内の組成変異を引き起こす可能性ある。
【0005】
[0005] GST膜の堆積に適したゲルマニウム前駆体の利用可能性および選択においても、またSiGe膜等のエピタキシャル成長歪みシリコン膜の形成のためのゲルマニウム前駆体の使用においても、同様の問題に直面している。
【0006】
[0006] ゲルマニウム膜を形成するためにゲルマン(GeH4)が従来使用されているが、500℃を超える堆積温度、ならびに厳しい安全管理および安全設備を必要とする。他の利用可能なGe前駆体は、Ge膜の堆積に350℃を超える温度を必要とし、さもなければ移送のための蒸気圧が不十分となるか、または膜成長速度が低下する。理想的には、ゲルマニウム前駆体は、CVD/ALDプロセスにおいて約300℃以下の低温で使用され、高い堆積速度で、また得られる膜中の炭素不純物レベルが低い状態でGST合金薄膜を形成することができる。
【0007】
[0007] 結果として、当技術分野では、CVDおよびALD技術による対応する金属および金属合金膜の堆積に使用するための、新たなアンチモンおよびゲルマニウム前駆体が引き続き求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008] 本発明は、対応する金属含有薄膜のCVD/ALDに有用なアンチモンおよびゲルマニウム前駆体、該前駆体を含む組成物、該前駆体を作製する方法、ならびに該前駆体を使用して製造される膜およびマイクロ電子デバイス製品、さらに対応する製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009] 一の態様において、本発明は、式(A)、(B)、(C)、(D)、および(E)(I)〜(E)(XVI):
Sb(NR)(RN(CRNR) (A)
(式中、
、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル(例えばビニル、アリル等)、C〜Cアルキルシリル、C〜C10アリールから独立して選択され、
およびRのそれぞれは、互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル(例えばビニル、アリル等)、C〜Cアルキルシリル、およびC〜C10アリールから独立して選択され、
mは1から4(これらを含む)までの整数である);
Sb(R)(RN(CRNR) (B)
(式中、
、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル(例えばビニル、アリル等)、C〜Cアルキルシリル、およびC〜C10アリールから独立して選択され、
およびRのそれぞれは、互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル(例えばビニル、アリル等)、C〜Cアルキルシリル、およびC〜C10アリールから独立して選択され、
mは1から4(これらを含む)までの整数である);
Sb(R3−n(NR (C)
(式中、
、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル(例えばビニル、アリル等)、シリル、C〜Cアルキルシリル、C〜C10アリール、および−NR(式中、RおよびRのそれぞれは、HおよびC〜Cの中から選択される)から独立して選択され、
nは0から3(これらを含む)までの整数である);
(RSb(E(R))3−n (D)
(式中、
、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアリルシリル、C〜C10アリール、および式−NR(式中、RおよびRのそれぞれは、HおよびC〜Cアルキルから独立して選択される)のアルキルアミノから独立して選択され、
Eはケイ素(Si)またはゲルマニウム(Ge)であり、
nは0から3(これらを含む)までの整数である);
(E)下記式I〜XVIのゲルマニウム前駆体:
【0010】
【化1】
(式中、
およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される);
【0011】
【化2】
(式中、
RおよびR’は、互いに同じであっても異なっていてもよく、各RおよびR’は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される);
【0012】
【化3】
(式中、
R、R’、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される);
(R)4−nGe(NR
IV
(式中、
R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択され、
nは0から4(これらを含む)までの整数である);
【0013】
【化4】
(式中、
、R、R、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される);
【0014】
【化5】
(式中、
Rは、H、C〜Cアルキル、およびC〜C10アリールから選択され、
xは、0、1、または2である);
【0015】
【化6】
(式中、
、R、R、およびRは、他と同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
【0016】
【化7】
(式中、
、R、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、シリル、−Si(R’)、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、−(CHNR’R’’、および−(CHOR’’’(式中、x=1、2、または3であり、R’、R’’、およびR’’’は、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
【0017】
【化8】
(式中、
R’およびR’’は、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択され、
各Xは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、−NR、および−C(R(式中、R、R、およびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択される);
【0018】
【化9】
(式中、
、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
【0019】
【化10】
(式中、
、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
【0020】
【化11】
(式中、
、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
TeR
XIII
(式中、
およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
Te(NR
XIV
(式中、
、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
Te−TeR
XV
(式中、
およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);ならびに、
Ge
XVI
(式中、
、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される)、の錯体の中から選択される、金属錯体に関する。
【0021】
[0010] 他の態様において、本発明は、上記金属錯体の蒸気に関する。
【0022】
[0011] 他の態様において、本発明は、ゲルマニウム前駆体、アンチモン前駆体、およびテルル前駆体を含む前駆体混合物であって、ゲルマニウム前駆体およびアンチモン前駆体のうちの少なくとも1つは、上記式(A)、(B)、(C)、(D)、および(E)(I)〜(XVI)の金属錯体の中から選択される前駆体を含む、前駆体混合物に関する。
【0023】
[0012] さらなる態様において、本発明は、溶媒媒体中の本発明の金属錯体を含む前駆体組成物に関する。
【0024】
[0013] 本発明のさらなる態様は、本発明の金属錯体の蒸気を含む前駆体蒸気に基板を接触させるステップを含む、金属を基板上に堆積させる方法に関する。
【0025】
[0014] 本発明のさらなる態様は、本発明の前駆体を作製する方法に関する。
【0026】
[0015] 本発明のさらなる態様は、Sb(NMeEt)、Sb(CH=CMe、およびSb(CHCH=CHに関する。
【0027】
[0016] 他の態様において、本発明は、本発明の金属錯体を含有するパッケージを備える、パッケージ化前駆体供給システムに関する。
【0028】
[0017] 本発明のさらなる態様は、その構造および特性が以下により十全に議論される、ゲルマニウム錯体に関する。
【0029】
[0018] 他の態様において、本発明は、以下の中から選択されるゲルマニウム(II)錯体の蒸気を含む前駆体蒸気に基板を接触させるステップを含む、ゲルマニウムを基板上に堆積させる方法に関する。
【0030】
【化12】
【0031】
[0019] 本発明の他の態様は、ジアルキルアミノトリイソプロピルゲルマンの蒸気を含む前駆体蒸気に基板を接触させるステップを含む、ゲルマニウムを基板上に堆積させる方法に関する。
【0032】
[0020] また、本発明、本発明の他の態様において、ジアルキルアミノトリイソプロピルゲルマンの蒸気を含む前駆体蒸気を企図する。
【0033】
[0021] 本発明の一の態様は、アリル、ベンジル、t−ブチル、シクロペンタジエニル、ヒドリド、フェニル、アルキル、二座アミン、およびN,N−ジアルキルエチレンジアミンの中から選択される配位子を含むゲルマニウム錯体の蒸気を含む前駆体蒸気に基板を接触させるステップを含む、ゲルマニウムを基板上に堆積させる方法に関する。
【0034】
[0022] 本発明の他の態様は、本発明のゲルマニウム錯体の蒸気、アンチモン錯体の蒸気、およびテルル錯体の蒸気を含む前駆体蒸気に基板を接触させるステップを含む、GST膜を基板上に形成することに関する。
【0035】
[0023] 本発明の他の態様は、ジエチルアミノトリイソプロピルゲルマンおよびエチルメチルアミノトリイソプロピルゲルマン等のジアルキルアミノトリイソプロピルゲルマン錯体に関する。
【0036】
[0024] 本発明のさらなる態様は、ジエチルアミノトリイソプロピルゲルマンまたはエチルメチルアミノトリイソプロピルゲルマンの蒸気を含む前駆体蒸気に基板を接触させるステップを含む、ゲルマニウム含有膜を基板上に形成する方法に関する。
【0037】
[0025] 本発明のさらなる態様は、本明細書に記載の少なくとも1種類の前駆体の蒸気を含む前駆体蒸気からの、基板上への金属含有膜の化学気相堆積または原子層堆積を含む、マイクロ電子デバイスを作製する方法に関する。
【0038】
[0026] 本明細書において、対応する化学部分の説明中に炭素数の範囲が記載されている場合、それぞれの間の炭素数、およびその示された範囲内の他のいかなる示された炭素数値または間の炭素数値も本発明の範囲に包含されることが理解され(例えば、C〜Cアルキルは、メチル(C)、エチル(C)、プロピル(C)、ブチル(C)、ペンチル(C)、およびヘキシル(C)を含むものとして理解され)、化学部分は、いかなる立体構造(例えば、直鎖または分岐鎖)のものであってもよく、さらに、本発明の範囲内で、指定された炭素数範囲内の炭素数の部分範囲が、独立してより小さい炭素数範囲に含まれてもよく、またある炭素数(複数を含む)を具体的に除外する炭素数範囲が本発明に含まれ、また指定された範囲の炭素数の上下限のいずれかまたは両方を除外する部分範囲も本発明に含まれることが理解される。
【0039】
[0027] 本明細書で使用される場合、「膜」という用語は、1000マイクロメートル未満の厚さ(例えば、そのような値から単原子層の厚さの値まで)を有する、堆積した材料の層を指す。様々な実施形態において、本発明の実践における堆積材料層の膜厚は、例えば、100マイクロメートル未満、10マイクロメートル未満、もしくは1マイクロメートル未満であってもよく、または、様々な薄膜の型において、関与する特定の用途に依存して200ナノメートル未満、100ナノメートル未満、もしくは50ナノメートル未満であってもよい。
【0040】
[0028] 本明細書および添付の請求項において使用される場合、文脈上異なる定義が明示されていない限り、単数形「a」、「and」、および「the」は複数形の対象物も含むことに留意されたい。
【0041】
[0029] 本発明の他の態様、フィーチャ、および実施形態は、続く開示および添付の請求項からより完全に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】[0030]Sb(NMeEt)の核磁気共鳴スペクトルである。
図2】[0031]Sb(NMeの核磁気共鳴スペクトルである。
図3】[0032]百分率の熱重量分析(TG)が摂氏温度での温度の関数としてプロットされた、Sb(NMeEt)およびSb(NMeの同時熱分析(STA)のグラフである。
図4(a)】[0033]当該エチルメチルアミノトリイソプロピルゲルマン生成物のガスクロマトグラフィー(GC)スペクトルである。
図4(b)】当該GCスペクトルのピークデータの対応表である。
図4(c)】エチルメチルアミノトリイソプロピルゲルマン生成物の質量スペクトルである。
図4(d)】iPrGeNEtMeの核磁気共鳴スペクトルである。
図5】[0034]温度の関数としての示差走査熱量測定(DSC)データおよび熱重量分析(TG)データを示す、エチルメチルアミノトリイソプロピルゲルマン生成物のSTAスペクトルである。
図6】[0035]アンモニア共反応物質によるGe堆積の改善を示す、ケルビン温度の逆数の関数としての堆積速度(Å/分)のアレニウスプロットである。
図7】[0036]堆積操作中に導入されたアンモニアの体積百分率の関数としての、堆積速度(Å/分)のプロットである。
図8】[0037]GSTデバイス構造の概要を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[0038] 本発明は、対応する金属含有薄膜のCVD/ALDに有用なアンチモンおよびゲルマニウム前駆体、該前駆体を含む組成物、該前駆体を作製する方法、ならびに該前駆体を使用して製造される膜およびマイクロ電子デバイス製品、さらに対応する製造方法に関する。
【0044】
[0039] 本発明は、一の態様において、下記式(A)、(B)、および(C):
Sb(NR)(RN(CRNR) (A)
(式中、
、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル(例えばビニル、アリル等)、C〜Cアルキルシリル、C〜C10アリールから独立して選択され、
およびRのそれぞれは、互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル(例えばビニル、アリル等)、C〜Cアルキルシリル、およびC〜C10アリールから独立して選択され、
mは1から4(これらを含む)までの整数である);
Sb(R)(RN(CRNR) (B)
(式中、
、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル(例えばビニル、アリル等)、C〜Cアルキルシリル、およびC〜C10アリールから独立して選択され、
およびRのそれぞれは、互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル(例えばビニル、アリル等)、C〜Cアルキルシリル、およびC〜C10アリールから独立して選択され、
mは1から4(これらを含む)までの整数である);
Sb(R3−n(NR (C)
(式中、
、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル(例えばビニル、アリル等)、シリル、C〜Cアルキルシリル、C〜C10アリール、および−NR(式中、RおよびRのそれぞれは、HおよびC〜Cの中から選択される)から独立して選択され、
nは0から3(これらを含む)までの整数である)、の新たなクラスのアンチモン前駆体に関する。
【0045】
[0040] 本発明は、他の態様において、式(D):
(RSb(E(R))3−n (D)
(式中、
、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアリルシリル、C〜C10アリール、および式−NR(式中、RおよびRのそれぞれは、HおよびC〜Cアルキルから独立して選択される)のアルキルアミノから独立して選択され、
Eはケイ素(Si)またはゲルマニウム(Ge)であり、
nは0から3(これらを含む)までの整数である)のゲルマニルおよびシリルアンチモン前駆体に関する。
【0046】
[0041] 上記前駆体は、Sb、Sb/Ge、Sb/Te、およびGST膜のCVDおよびALDに有効に使用することができる。
【0047】
[0042] そのような前駆体は、水素、水素プラズマ、アミン、イミン、ヒドラジン、シラン、シリルカルコゲニド((MeSi)Te等)、ゲルマン(GeH等)、アンモニア、アルカン、アルケン、およびアルキン等の還元性共反応物質を用いた低温堆積用途にも使用可能である。
【0048】
[0043] 特定の前駆体が液体状態である場合、原液形態で液体送出に使用することができる。
【0049】
[0044] あるいは、そのような前駆体が液体または固体状態である場合は、適した溶媒中で、前駆体の溶液または懸濁液として使用することができる。特定の用途において、そのような目的に適した溶媒には、アルカン(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびペンタン等)、アリール溶媒(ベンゼン、トルエン等)、アミン(トリエチルアミン、tert−ブチルアミン等)、イミン、ヒドラジン、およびエーテルが含まれる。
【0050】
[0045] 特別なアンチモン前駆体、または、他のゲルマニウムおよびテルル前駆体と組み合わせた特定のアンチモン前駆体に適した具体的な溶媒組成の選択は、本明細書における開示に基づき、当技術分野の技術の範囲内で容易に決定することができ、液体送出気化および含まれる特定の前駆体成分の移送に適切な単成分または多成分の溶媒媒体を選択することができる。
【0051】
[0046] 様々な実施形態において、アンチモン前駆体が固体状態である場合、例えばATMI社(ATMI,Inc.、米国コネチカット州ダンベリー)から市販されているProE−Vap(登録商標)固体送出および気化器システム等の固体送出システムを、アンチモン前駆体の送出に利用することができる。
【0052】
[0047] 本発明のアンチモン前駆体は、上に記載された幅広い式の中で適切な置換基を選択することにより「微調整」し、熱安定性、揮発性、および多成分系前駆体における他の併用試薬または成分との適合性の、所望の特性を提供することができる。
【0053】
[0048] 本発明のアンチモン前駆体は、以下に記載の経路を含む合成経路により容易に合成される。
【0054】
[0049] 一般式(A):
【0055】
【化13】
のアンチモン前駆体は、例えば下記反応スキーム(A):
SbX+Li(NR)+Li(RN(CRNR)→
【0056】
【化14】
に従い合成することができ、また一般式(B):
【0057】
【化15】
のアンチモン前駆体は、下記反応スキーム(B):
SbX+RMgX+Li(RN(CRNR)→
【0058】
【化16】
に従い、あるいは下記反応スキーム(C):
SbX+mR(CR)RNSiMe
【0059】
【化17】
+RMgX→
【0060】
【化18】
により合成することができる。
【0061】
[0050] 一般式(C)のアンチモン前駆体は、対応する様式での合成により形成することができる。
【0062】
[0051] 下記の構造:
【0063】
【化19】
を有する一般式(D)のアンチモン前駆体は、例えば、下記反応スキーム(D)(nがゼロである場合)または(E)(nが2である場合):
【0064】
【化20】
(式中、Xはハロ(フッ素、臭素、塩素、ヨウ素)である)に従い合成することができる。
【0065】
[0052] 上記合成例において、代替の合成試薬としてRMgXおよびRLiを使用することができる。
【0066】
[0053] 本発明の前駆体を例示する具体例として、前駆体Sb(NMeEt)、Sb(CH=CMe、Sb(CHCH=CHおよびSb(NMeが合成され特性決定された。前駆体Sb(NMeおよびSb(NMeEt)は感光性を示すことから、光により誘引される分解を避けるために、露光から保護する容器内、または他の耐光性パッケージ内での保存を必要とすることが特定された。Sb(CH=CMeおよびSb(CHCH=CHにも同様の配慮が当てはまる。
【0067】
[0054] 図1は、Sb(NMeEt)の核磁気共鳴スペクトルを示し、図2は、Sb(NMeの核磁気共鳴スペクトルを示す。
【0068】
[0055] 図3は、百分率の熱重量分析(TG)が摂氏温度での温度の関数としてプロットされた、上記2つの前駆体Sb(NMeEt)およびSb(NMeの同時熱分析(STA)のグラフである。
[0056] 本発明は、他の態様において、基板上へのゲルマニウム膜のCVDおよびALD堆積に有用な、下記式I〜XVI:
【0069】
【化21】
(式中、
およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される);
【0070】
【化22】
(式中、
RおよびR’は、互いに同じであっても異なっていてもよく、各RおよびR’は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される);
【0071】
【化23】
(式中、
R、R’、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される);
(R)4−nGe(NR
IV
(式中、
R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択され、
nは0から4(これらを含む)までの整数である);
【0072】
【化24】
(式中、
、R、R、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される);
【0073】
【化25】
(式中、
Rは、H、C〜Cアルキル、およびC〜C10アリールから選択され、
xは、0、1、または2である);
【0074】
【化26】
(式中、
、R、R、およびRは、他と同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
【0075】
【化27】
(式中、
、R、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、シリル、−Si(R’)、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、−(CHNR’R’’、および−(CHOR’’’(式中、x=1、2、または3であり、R’、R’’、およびR’’’は、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれC〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
【0076】
【化28】
(式中、
R’およびR’’は、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択され、
各Xは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、−NR、および−C(R(式中、R、R、およびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択される);
【0077】
【化29】
(式中、
、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
【0078】
【化30】
(式中、
、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
【0079】
【化31】
(式中、
、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
TeR
XIII
(式中、
およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
Te(NR
XIV
(式中、
、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);
Te−TeR
XV
(式中、
およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される);ならびに、
Ge
XVI
(式中、
、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択される)のゲルマニウム前駆体に関する。
【0080】
[0057] 上述のゲルマニウム前駆体の合成は、以下に様々に示される種類の合成調合を利用して、即時に様々に行うことができる。それぞれの場合において、RMgCl、RMgBr、RMgI、RLi、およびRNaを代替の試薬として使用することができる。さらに、GeBrをGeClの代わりに使用することができ、LiNRをNaNRまたはKNRで置き換えることができ、Na(C)をK(C)の代替として使用することができる。さらに、以下に示すように、多段階合成アプローチを用いて、Ge(II)錯体への酸化付加により混合アルキル種を生成し、Ge(IV)前駆体を生成することができる。
【0081】
【化32】
(式中、
R、R’、およびR’’は、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択され、Mは、Li、Na、MgCl、MgBr、またはMgIである。)
GST膜用ゲルマニウム(IV)前駆体
【0082】
【化33】
および対応してテトラアリルゲルマニウム錯体
【0083】
【化34】
は、対応するアリルグリニャール試薬R*MgCl(式中、R*はアリルである)を使用して、当該テトラクロロゲルマニウム開始材料から形成することができる。
【0084】
【化35】
【0085】
【化36】
【0086】
[0058] ゲルマニウム含有膜のCVDまたはALDに有効に使用することができる例示的なGe(II)化合物には、以下が含まれる。
【0087】
【化37】
【0088】
[0059] 本発明の様々な実施形態において、ジアルキルアミノイソプロピルゲルマン前駆体が、GST薄膜のCVD/ALD形成に使用される。そのような前駆体は、以下に示すような反応スキーム:
【0089】
【化38】
により合成することができ、以下のようなゲルマニウム錯体:
【0090】
【化39】
を形成する。
【0091】
[0060] 上述のゲルマニウム前駆体は、ゲルマニウム含有膜を基板上に堆積させるためのCVDおよびALD用途に有用である。そのような用途に有用であり、加熱バブラによる移送が容易なテトラキスアミドゲルマンおよびトリイソプロピルアミンには、例えば、Ge(NMe、Ge(NEtMe)、Ge(NEt、iPrGeCl、iPrGeNMe、iPrGeNEtMe、およびiPrGeNEtが含まれる。本発明のゲルマニウム前駆体の揮発性は、STA熱重量技術(例えば大気圧のアルゴン下で材料移送を測定することにより)およびGC分析により容易に計測することができる。
【0092】
[0061] アルキル置換基を含有する本発明のゲルマニウム前駆体の特定の実施形態において、多くの場合、メチル基よりもイソプロピル置換基が好ましいが、これは、ベータ水素脱離を起こし、それにより著しい炭素残渣を生成することなくゲルマニウム前駆体の低温分解処理を促進する、イソプロピル置換基の能力に起因する。
【0093】
[0062] 本発明の窒素含有ゲルマニウム前駆体は、最終膜におけるある程度の窒素の組込みを仲介する多くの用途において内在的な利益を有する。この点において、SiおよびNドープGST材料はより低いリセット電流を有し、それによってより低温の相変化を生じさせることができる。
【0094】
[0063] 追加の利点として、本発明の様々なゲルマン前駆体は、ヒドロゲルモリシス(hydrogermolysis)カップリング反応を起こし、反応
GeNR’+RGeH→RGe−GeR
を介しGe−Ge結合を形成して、モノゲルマン前駆体に比べ高効率のGe含有膜堆積を達成することができるジゲルマンCVD前駆体を生成する。
【0095】
[0064] 本発明のゲルマニウム前駆体は、その一部分として広範な配位子種を含有することができる。そのような配位子は、例えば、制限されることなく、アリル、ベンジル、t−ブチル、シクロペンタジエニル、ヒドリド、フェニル、およびアルキルを含むことができる。二座アミン(N,N−ジアルキルエチレンジアミン等)も使用可能である。
【0096】
[0065] 例えば、本発明のアンチモン前駆体に関して上述されたように、ゲルマニウム前駆体は、適した溶媒媒体を使用して、液体送出技術により溶液もしくは懸濁液として送出することができ、または、Ge含有膜の気相堆積のために固体送出技術により送出されてもよい。
【0097】
[0066] CVD/ALD前駆体としての使用において、Ge前駆体は、例えば、SbおよびTe錯体(iPrSb、Sb(NR、iPrTe、およびTe(NR等)といった他の前駆体とは別個に、またはそれらと組み合わせて堆積されてGST膜を形成し得る。
【0098】
[0067] 本発明の1つの例示的なゲルマニウム前駆体は、Ge(トリイソプロピル)(メチルエチルアミド)であり、以降GePNEMと称されることもある。この前駆体は、例えば、300℃から450℃の範囲の堆積温度、および減圧から加圧までの範囲の圧力(例えば約0.5トルから15気圧以上の範囲)といった適した堆積プロセス条件下で、ゲルマニウムを基板上に堆積させるために使用することができる。GePNEM前駆体からの基板上へのゲルマニウムの堆積(200立方センチメートル毎分の水素ガスのキャリアガスフロー中で基板に送出)における、様々な温度および圧力条件下での膜堆積速度(オングストローム/分)の一覧を、以下の表Iに記載する。
【0099】
[0068] 表I
様々な温度および圧力条件下で堆積されたゲルマニウムの膜堆積速度
【0100】
【表1】
200SCCM HでのGePNEM堆積
【0101】
[0069] GePNEM前駆体からの堆積により達成されるゲルマニウムの膜厚の他の測定において、16分間行った堆積により、(i)温度=400℃、圧力=800ミリトル、反応ガスH、膜厚=57Å、(ii)温度=400℃、圧力=800ミリトル、反応ガスNH、膜厚=94Å、および(iii)温度=400℃、圧力=8000ミリトル、反応ガスH、膜厚=36Åという結果が得られた。これらの結果は、気相堆積技術によるゲルマニウム薄膜またはゲルマニウム含有薄膜の基板上への形成に対するGePNEMの適合性を証明している。
【0102】
[0070] 様々な特定の実施形態において、本発明は、ゲルマニウム前駆体、アンチモン前駆体、およびテルル前駆体を含む前駆体混合物であって、ゲルマニウム前駆体およびアンチモン前駆体のうちの少なくとも1つは、上述の式(A)、(B)、(C)、(D)、および(E)(I)〜(XVI)の金属錯体の中から選択される前駆体を含む、前駆体混合物を企図する。
【0103】
[0071] 他の態様において、本発明は、追加のクラスのアンチモン前駆体を企図する。そのようなアンチモン前駆体は、適したゲルマニウムおよびテルル前駆体の使用と併せて、GST膜の形成における使用に適している。
【0104】
[0072] そのような追加のクラスのアンチモン前駆体は、以下に定義される式(F)、(G)、(H)、(I)、(J)、(K)、(L)、および(M):
(F)下記式のアミニデート(aminidate)、グアニデート(guanidate)、およびイソウレエート(isoureate):
Sb[RNC(X)NR3−n
(式中、
各RおよびRは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択され、
各Xは、C〜Cアルコキシ、−NR、および−C(R(式中、R、R、およびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択され、
各Rは、C〜Cアルコキシ、−NR、および−C(R10(式中、R、R、およびR10のそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、−Si(R、および−Ge(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択され、
nは0から3までの整数である);
(G)下記式のテトラ−アルキルグアニデート:
Sb[(R)NC(NR)N)]3−n
(式中、
およびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択され、
およびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択され、
各Rは、C〜Cアルコキシ、−NR、および−C(R(式中、R、R、およびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、−Si(R、および−Ge(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択され、
nは0から3までの整数である);
(H)下記式のカルバメートおよびチオカルバメート:
Sb[(EC(X)E]3−n
(式中、
各Xは、C〜Cアルコキシ、−NR、および−C(R(式中、R、R、およびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択され、
各Rは、C〜Cアルコキシ、−NR、および−C(R(式中、R、R、およびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、−Si(R、および−Ge(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択され、
EはOまたはSであり、
nは0から3までの整数である);
(I)下記式のベータ−ジケトネート、ジケトイミネート、およびジケチミネート:
[OC(R)C(X)C(R)O]3−nSb(R
[OC(R)C(X)C(R)N(R)]3−nSb(R
[RNC(R)C(X)C(R)N(R)]3−nSb(R
[(R)OC(=O)C(X)C(R)S]3−nSb(R
(式中、R、R、R、およびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択され、
各Xは、C〜Cアルコキシ、−NR、および−C(R(式中、R、R、およびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択され、
各Rは、グアニジネート、アミニデート、イソウレエート、アリル、C〜Cアルコキシ、−NR10、および−C(R11(式中、R、R10、およびR11のそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、−Si(R、および−Ge(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択され、
nは0から3までの整数である);
(J)下記式のアリル:
(i):RSb[RNC(X)C(R)]3−n
(ii):RSb[(RO)NC(X)C(R))]3−n
(iii):RSb[(R)NC(X)C(R))]3−n
(iv):RSb[(ONC(X)C(R))]
(式中、各R、R、R、およびRは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択され、
各Xは、C〜Cアルコキシ、−NR、および−C(R(式中、R、R、およびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択され、
各Rは、グアニジネート、アミニデート、イソウレエート、ベータ−ジケトネート、ジケトイミネート、ジケチミネート、C〜Cアルコキシ、−NR、および−C(R(式中、R、R、およびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、−Si(R、および−Ge(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択され、
nは0から3までの整数である);
(L)シクロペンタジエニル(Cp)アンチモン化合物(Cp部分は式:
【0105】
【化40】
を有し、式中、R、R、R、R、およびRのそれぞれは、他と同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素、C〜C12アルキル、C〜C12アルキルアミノ、C〜C10アリール、C〜C12アルコキシ、C〜Cアルキルシリル、C〜C12アルケニル、RNNR(式中、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、C〜Cアルキルから独立して選択される)、および、アンチモン中心原子に対するさらなる配位を提供する、下記式を有するアミノアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、イミドアルキル、およびアセチルアルキル:
【0106】
【化41】
(式中、メチレン(−CH−)部分は、代替として他の二価ヒドロカルビル部分であってもよく、R〜Rのそれぞれは、互いに同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素、C〜Cアルキル、およびC〜C10アリールの中から独立して選択され、RおよびRのそれぞれは、他と同じであるかまたは異なり、それぞれC〜Cアルキルの中から独立して選択され、nおよびmは、それぞれ0から4の値を有するものとして独立して選択されるが、ただしmおよびnが同時に0となることはできず、xは1から5から選択される);
【0107】
【化42】
(式中、R〜Rのそれぞれは、互いに同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素、C〜Cアルキル、およびC〜C10アリールの中から独立して選択され、Rは、C〜CアルキルおよびC〜C10アリールの中から選択され、nおよびmは、0から4の値を有するものとして独立して選択されるが、ただしmおよびnが同時に0となることはできない);
【0108】
【化43】
(式中、R、R、R、R、Rのそれぞれは、互いに同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素、C〜Cアルキル、およびC〜C10アリールの中から独立して選択され、R’、R’のそれぞれは、互いに同じであるかまたは異なり、それぞれ、C〜CアルキルおよびC〜C10アリールから独立して選択され、nおよびmは、0から4から独立して選択されるが、ただしmおよびnが同時に0となることはできない);
【0109】
【化44】
(式中、R〜Rのそれぞれは、互いに同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素、C〜Cアルキル、およびC〜C10アリールの中から独立して選択され、Rは、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、およびC〜Cアルコキシの中から選択され、nおよびmは、0から4から独立して選択されるが、ただしmおよびnが同時に0となることはできない)、
の中から選択される官能基を含む、ペンダント配位子の中から独立して選択され、アンチモンCp化合物の非Cp配位子は、グアニジネート、アミニデート、イソウレエート、アリル、ベータ−ジケトネート、ジケトイミネート、およびジケチミネートからなる群から選択される配位子を任意選択で含むことができる);ならびに、
(M)ペンダント配位子を有する下記式のアルキル、アルコキシド、およびシリル:
(i):RSb[(R)N(CHC(R)]3−n
(ii):RSb[(R)N(CHSi(R)]3−n
(iii):RSb[(R)N(CHO]3−n
(式中、RおよびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択され、
各Rは、グアニジネート、アミニデート、イソウレエート、ベータ−ジケトネート、ジケトイミネート、ジケチミネート、C〜Cアルコキシ、−NR、および−C(R(式中、R、R、およびRのそれぞれは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アリール、−Si(R、および−Ge(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択され、
nは0から3までの整数であり、
mは0から4までの整数である)、の前駆体を含む。
【0110】
[0073] 上記クラス(F)〜(M)内の一般型のアンチモン前駆体には以下の構造を有する前駆体が含まれ、これらの構造において、様々な「R」基は、上述の式における置換基の番号と必ずしも正確に一致して番号が付されているわけではないが、一般的に置換位置を反映するものであり、これは関連した分子の様々な位置における置換基の上記定義を参照して理解される。
【0111】
【化45】
(以下の例示的錯体:
【0112】
【化46】
下記式のアンチモンアミド
【0113】
【化47】
下記式のアンチモン(III)アルキル/アミノ前駆体:
【0114】
【化48】
および下記式のゲルマニウムアニオン:
【0115】
【化49】
を有するスチベンを含む。)
【0116】
[0074] クラス(F)〜(M)のアンチモン前駆体は、例えば水素、H/プラズマ、アミン、イミン、ヒドラジン、シラン、シリルカルコゲニド((MeSi)Te等)、ゲルマン(GeH等)、アンモニア、アルカン、アルケン、およびアルキンといった反応物質等、還元性共反応物質を用いた低温でのアンチモンの堆積に有効に使用される。
【0117】
[0075] アンチモン前駆体は、そのような堆積のために液体送出技術により送出することができ、その場合、液体の前駆体を原液形態で使用してもよく、固体または液体の前駆体を、アルカン溶媒(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびペンタン等)、アリール溶媒(ベンゼンまたはトルエン等)、アミン(トリエチルアミン、tert−ブチルアミン等)、イミン、およびヒドラジン等の適した溶媒と組み合わせて、溶液または懸濁液として送出してもよい。特定のアンチモン前駆体に対する特定の溶媒組成の実用性は、経験的に容易に決定することができ、液体送出気化および使用される特定のアンチモン前駆体の移送に適切な単成分または多成分の溶媒媒体を選択することができる。
【0118】
[0076] 本発明の他の態様において、固体送出技術が用いられてもよく、この場合固体前駆体は揮発され、アンチモン膜またはアンチモン含有膜を基板上に形成するための堆積チャンバに送出される前駆体蒸気を形成する。固体前駆体は、そのような使用のために、例えばATMI社(ATMI,Inc.、米国コネチカット州ダンベリー)から市販されているProE−Vap固体送出および気化器ユニット等、適した特性の保存および分配パッケージとしてパッケージされてもよい。
【0119】
[0077] また、本発明は、アンチモン含有膜、ゲルマニウム含有膜、およびテルル含有膜の堆積のために、それぞれ本発明のアンチモン、ゲルマニウム、およびテルル前駆体を個別に使用することも企図する。したがって、本発明のアンチモン前駆体は、アンチモン含有膜を堆積するために使用され得る。他の実施形態において、本発明のゲルマニウム前駆体は、ゲルマニウム含有膜を形成するために使用され得る。他の実施形態において、本発明のテルル前駆体は、テルル含有膜を形成するために使用され得る。さらに他の実施形態において、本発明のアンチモン前駆体、および本発明のゲルマニウム前駆体は、アンチモン/ゲルマニウム膜を形成するために利用され得る。さらに他の実施形態において、本発明のアンチモン前駆体は、アンチモン/テルル膜を形成するために、テルル前駆体と組み合わせて利用することができる。本発明の他の実施形態は、ゲルマニウム/テルル膜を形成するための、テルル前駆体と組み合わせた本発明のゲルマニウム前駆体の使用を含む。
【0120】
[0078] 本発明のアンチモンおよび/またはゲルマニウム前駆体は、相変化メモリデバイスの製造において、GeSbTe膜を適したマイクロ電子デバイス基板上に堆積させるために使用することができる。
【0121】
[0079] そのようなGST膜は、適したゲルマニウム、アンチモン、およびテルル前駆体(ゲルマニウムおよびアンチモン前駆体のうちの少なくとも1つは本発明の金属錯体を含む)を使用した連続CVDまたはALD技術を用いて製造することができる。前駆体は、所望の特性のGST膜を生成するために適切な比率で供給され得る。例えば、前駆体(Ge、Sb、Te)が、得られる膜の組成を制御する様式でパルス供給されながらALDを行うことができる(例えば、前駆体種のTe−Ge−Te−Sb−Te−Ge−Te−Sb−Teの順での順次導入を含むパルスサイクルで、所望の膜厚が達成されるまで繰り返し実行される)。
【0122】
[0080] 本発明の前駆体を使用して、アンチモンおよび/またはゲルマニウムを含有する膜を形成するために有利に使用され得る堆積技術の他の変形例として、堆積操作中に他の共反応物質種を加え、得られる膜の組成を変更することができる。例としては、酸素および/窒素の組込みを目的とした膜組成の変更のための共反応物質(例えば、極少量のNO、OおよびNO等)の使用が挙げられる。
【0123】
[0081] 他の実施形態において、本発明の前駆体を使用してアンチモンおよび/またはゲルマニウムを含有する膜を堆積させるために、原子層堆積(ALD)技術および急速蒸着(RVD)技術を使用することができる。例えば、ALDを使用した急速表面触媒気相堆積を用いてもよく、この場合、第1の前駆体蒸気を基板と接触させて前駆体の飽和表面層を形成した後、第2の前駆体蒸気への曝露、続いて第3の前駆体蒸気への曝露を行い、それぞれの前駆体蒸気接触ステップの間に不活性ガスパージを行い、第1、第2、および第3の前駆体のうちの少なくとも1つは、本発明のアンチモンおよび/またはゲルマニウム前駆体を含み、前駆体の接触およびその間のパージステップは、堆積膜材料の所定の厚さが達成されるまで繰り返し行われる。
【0124】
[0082] より一般的に、本発明は、対応するSbおよびGe含有膜を形成するために利用され得る広範なアンチモンおよびゲルマニウム錯体を企図する。したがって、本発明の前駆体錯体および組成物は、特定の使用において変化する可能性があり、特定の金属源試薬、または、そのような特定の試薬および他の前駆体種を含むか、それらからなるか、または実質的にそれらからなることができる。さらに、ある用途において、複数の本発明の前駆体種を互いに組み合わせて、および/または他の前駆体種とともに使用することが望ましい場合がある。
【0125】
[0083] また、本発明は、特定の実施形態において、前駆体錯体の特定の構造定義および/または仕様を企図し、また特定の実施形態において、特定の部分、配位子、および元素種の除外を企図する。実例として、本発明のホモレプティックなトリス(ジアルキルアミド)アンチモン錯体およびテトラキス(ジアルキルアミド)ゲルマニウム錯体において、アルキル置換基はメチルを除外し得る。他の例として、テトラキスジアルキルアミドゲルマンは、本発明のある実施形態において除外され得る。さらなる例として、本発明のゲルマニルおよびシリルアンチモン錯体において、例えばトリメチルゲルマニルおよびトリメチルシリル種が除外され得る。したがって、本発明は、その特定の用途における本発明の好ましい実施である前駆体錯体および該錯体のクラスの特定を目的として、本発明の様々な具体的実施形態において、限定された錯体および錯体の組成上のフィーチャを許容することが理解される。
【0126】
[0084] ここで、本発明の例示的なゲルマニウム前駆体の作製の詳細を示すために、エチルメチルアミノトリイソプロピルゲルマンの合成について説明する。
【0127】
[0085] 実施例1 エチルメチルアミノトリイソプロピルゲルマンの合成
エーテル(100mL)中のエチルメチルアミン(3.98mL、46.35mmol)の氷冷溶液に、nBuLi(ヘキサン中2M、26.34mL、42.14mmol)の溶液を徐々に添加した。得られた白色混合物を2時間撹拌した。トリイソプロピルクロロゲルマン(9.16mL、42.14mmol)を滴下して添加し、反応混合物を室温まで徐々に温めた。混合物を一晩撹拌し、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をペンタン(100mL)で洗浄した。混合物を窒素下で、中ガラスフリットで濾過し、溶媒を真空下で蒸発させると、10.7g、98%の無色の液体を得た。生成物を分留(40℃、75mtorr)により精製した。H NMR(C):δ2.87(q、2H、J=6.9Hz、NCHCH)、2.62(s、3H、NCH)、1.36(m、CH(CH)、1.18(d、18H、J=7.2Hz、CH(CH)、1.11(t、3H、J=6.9Hz、NCHCH)。13C NMR(C):δ48.42、38.22(NCHCH、NCH)、20.19(CH(CH)、16.20、15.79(NCHCH、CH(CH)。
【0128】
[0086] 図4(a)は、当該エチルメチルアミノトリイソプロピルゲルマン生成物のガスクロマトグラフィー(GC)スペクトルであり、図4(b)は、当該GCスペクトルのピークデータの対応表である。図4(c)は、エチルメチルアミノトリイソプロピルゲルマン生成物の質量スペクトルである。図4(d)は、エチルメチルアミノトリイソプロピルゲルマン生成物の核磁気共鳴スペクトルを示す。
【0129】
[0087] 図5は、温度の関数としての示差走査熱量測定(DSC)データおよび熱重量分析(TG)データを示す、エチルメチルアミノトリイソプロピルゲルマン生成物のSTAスペクトルである。
【0130】
[0088] 本発明の他の態様は、堆積用途において使用される多くのテルル前駆体が非常に酸素感受性および感光性であり、不快臭を有するという問題を克服する、ベータ−ジケチミネート配位子を有するテルル錯体に関する。ベータ−ジケチミネート配位子によるベース安定化により、取扱いおよび保存期間の特性が向上し、臭気が低減され、堆積用途のための十分な揮発性を有する、極めて安定な特性のテルル前駆体が得られる。
【0131】
[0089] 本発明のテルルジケチミネート錯体は、Te膜またはTe含有膜を形成するためにCVD/ALDに使用することができる。これらの化合物は、様々な組成のTe−Ge膜、Te−Sb膜、またはGe−Sb−Te膜を生成するために、Ge化合物および/またはSb化合物と組み合わせて使用することができる。ジケチミネート配位子を合成するための一般手順は文献に記載されているが、配位窒素原子上の非常に大きなアリール置換基が必要であるため、そのような手順は不利である。
【0132】
[0090] 一方、出願人らは、イソ−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、またはアミン置換アルキル基(例えばエチレン−ジメチルアミン)等のより小さなアルキル配位子を有利に使用して、CVD/ALD用途の優れたテルルジケチミネート前駆体を生成することができることを発見した。窒素ドナー原子上のより小さな置換基は、低温で良好な膜を形成するために十分な揮発性を提供する。
【0133】
[0091] 所望のTe錯体を合成するために、配位子Lは、リチウム塩として、または遊離イミン形態で使用され得る。配位子のリチウム塩は、TeX(式中、X=Cl、Br、Iである)と反応して、塩の脱離によりLTeXを生成することができ、これは次いでリチウムまたはグリニャール試薬と反応して、LTeR(式中、R=アルキル、アリール、アミド、シリルである)を生成することができる。
【0134】
[0092] あるいは、遊離イミン形態の配位子LがTeMe等のテルル有機化合物と反応して、メタン脱離により所望のTe種LTeMeを生成することができる。ジケチミネート配位子は、反応性金属中心テルルの非常に効果的なベース安定化を提供する。したがって、本発明は、より良好な安定性および保存期間を提供しながら、低温でのCVD/ALDにより優れたTe膜を形成するために十分な揮発性を維持する、新たなクラスのTe錯体を提供する。
【0135】
[0093] 本発明のテルル錯体は、式(I)および(II):
【0136】
【化50】
(式中、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、シリル、およびC〜C12アルキルアミン(モノアルキルアミンおよびジアルキルアミンの両方を含む)から独立して選択される);ならびに
【0137】
【化51】
(式中、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、シリル、およびC〜C12アルキルアミン(モノアルキルアミンおよびジアルキルアミンの両方を含む)から独立して選択される)を有する。
【0138】
[0094] ベータ−ジケチミネート配位子は、例えば、以下の手順により合成され得る。
【0139】
【化52】
【0140】
[0095] 次いで、テルル錯体は、以下の反応:
【0141】
【化53】
により、
【0142】
[0096] あるいは以下の合成反応:
【0143】
【化54】
により、
【0144】
[0097] あるいは以下の合成反応:
【0145】
【化55】
により合成され得る。
【0146】
[0098] 本発明のテルル錯体は、例えば原液もしくは有機溶媒中の前駆体材料の液体噴射による、または直接蒸発による、テルル含有薄膜の堆積のためのCVD/ALD前駆体として有効に使用される。
【0147】
[0099] 本発明は、他の態様において、ゲルマニウム錯体、およびゲルマニウム含有膜(GST膜等)の形成のためのCVD/ALDにおけるその使用に関し、該ゲルマニウム錯体は、
【0148】
【化56】
(第2の式中、R基は、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、C〜Cシクロアルキル、ヘテロ原子基、および他のオルガノ基の中から独立して選択される)の中から選択される。
【0149】
[00100] 本発明の他の態様は、ゲルマニウム含有薄膜のCVD/ALDのためのジゲルマンおよび歪み環ゲルマニウム前駆体に関する。相変化メモリデバイス用のGST(ゲルマニウム−アンチモン−テルル)膜の形成に使用されているゲルマン等の、従来用いられているゲルマニウム前駆体は、非常に高温度の堆積条件を必要とする。ひいては、これにより純粋なGeSbTe相材料の形成が困難となる。本発明は、300℃未満の温度でのゲルマニウム含有膜の堆積に有用な、周囲条件下で高い蒸気圧を有する前駆体の提供におけるこの欠点を克服する。
【0150】
[00101] ゲルマニウム間の結合は本来弱く(約188kJ/mole)、塩素またはNMe等の電子求引性置換基によってより不安定となる。そのような結合は、紫外光分解もしくは熱分解により、または、過酸化物、オゾン、酸素、もしくはプラズマを使用した化学酸化により容易に解離してRGeラジカルを形成し得る。市販されているジゲルマンは、分解に高温を必要とするヒドリド、メチル、フェニル、またはエチル基を含み、得られる膜は炭素残渣により汚染されることが多い。
【0151】
[00102] 出願人らは、低温での純ゲルマニウム金属膜の堆積を可能とする錯体を達成するために、配位子としてイソプロピル、イソブチル、ベンジル、アリル、アルキルアミノ、ニトリル、またはイソニトリルを使用したゲルマニウム錯体を提供することにより、そのような欠点を克服した。さらに、本発明は、熱開環してジラジカル中間体(これは容易にゲルミレンフラグメントに解離する)を生成し得る歪み環ゲルマニウム錯体(ゲルマシクロブタン等)を企図する。歪んだGe−C結合の結合解離エネルギー(63kcal/mol)は、Ge−CH(83kcal/mol)より著しく低く、それにより、上述の従来のゲルマニウム前駆体で達成可能な温度よりも低温でのゲルマニウム膜堆積が達成される。
【0152】
[00103] 本発明のゲルマニウム錯体は、下記式(I)〜(III):
(I)下記式のアルキルジゲルマン
【0153】
【化57】
(式中、各Rは、他と同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、イソプロピル、イソブチル、ベンジル、アリル、アルキルアミノ、ニトリル、およびイソニトリルの中から独立して選択される);
(II)下記式のアルキル(ジアルキルアミノ)ゲルマン
(RN)R3−xGe−GeR’3−y(NR
(式中、各Rは、他と同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、イソプロピル、イソブチル、ベンジル、アリル、アルキルアミノ、ニトリル、およびイソニトリルの中から独立して選択される);ならびに、
(III)下記式の歪み環ゲルマン錯体:
【0154】
【化58】
(式中、R、R、R、およびRのそれぞれは、他と同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、C〜Cシクロアルキル、またはヘテロ原子基の中から独立して選択される)の錯体を含む。
【0155】
[00104] 錯体(I)は、例えば、以下の合成プロセス:
【0156】
【化59】
に従い、あるいは以下の合成:
【0157】
【化60】
により、あるいは以下のような合成:
【0158】
【化61】
あるいは以下のような合成手順:
【0159】
【化62】
により合成され得る。
【0160】
[00105] 式(II)のゲルマニウム錯体は、以下に例示される手順により形成され得る。
【0161】
【化63】
【0162】
[00106] 式(III)のゲルマニウム錯体を形成するために使用可能な例示的合成プロセスには、以下が含まれる。
【0163】
【化64】
【0164】
[00107] 歪み環アルキルゲルマンは、以下に例示的に示される反応等の反応が関与する、基板上へのゲルマニウム含有薄膜の形成のためのCVD/ALD前駆体として有効に使用される。
金属薄膜用CVD/ALD前駆体としての歪み環アルキルゲルマン
【0165】
【化65】
【0166】
[00108] 本発明の他の態様は、GST膜の形成において有用となるような、ゲルマニウムおよびテルルの単一源前駆体に関する。テルル化ゲルマニウム前駆体のそのような単一源は、GST膜形成のためのアンチモン前駆体と組み合わせて、また任意選択で、所与の用途に適切な化学量の膜を提供するために望ましくなり得るような共反応物質とともに使用されてもよい。
【0167】
[00109] 本発明のテルル化ゲルマニウム錯体は、一の態様において、ジアルキルゲルマンテルロンを含む。適したジアルキルゲルマンテルロンは、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒媒体中における、元素テルル粉末とのゲルマニウム(II)ジアルキルの酸化的付加反応により合成され得る。したがって、ある場合には、生成物であるゲルマニウム−テルル錯体の感光性に依存して、光が存在しない状態で反応を行うことが望ましい場合がある。例示的な合成手順を以下に記載する。
【0168】
【化66】
【0169】
[00110] 本発明の単一源Ge−Te前駆体は、より低温での堆積プロセスの促進、または特定の用途におけるGST膜成長速度の増加のために有利に使用することができる。
【0170】
[00111] 本発明のテルル化ゲルマニウムは、他の実施形態において、以下の合成手順により形成され得る。
【0171】
【化67】
【0172】
[00112] 他のテルル化ゲルマニウム錯体が、以下の合成プロセス:
【0173】
【化68】
(式中、Eはテルルであり、MはLi、Na、またはKであり、Xは塩素、臭素、またはヨウ素であり、RおよびR’基は、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、C〜Cシクロアルキル、ヘテロ原子基、および他のオルガノ基の中から独立して選択される)により形成され得る。
【0174】
[00113] 本発明の1つのGe−Te錯体は、
【0175】
【化69】
(式中、R置換基のそれぞれは、互いに同じであっても異なっていてもよく、H、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、C〜Cシクロアルキル、ヘテロ原子基、および他のオルガノ基の中から独立して選択される)である。
【0176】
[00114] 本発明の他の態様は、CVDまたはALDプロセスによる、ゲルマニウム−アンチモン−テルル(GeSbTe)薄膜の低温(300℃未満)堆積に有用な、アミド配位子に基づく極めて非対称なゲルマニウム錯体に関する。これらの錯体は、式(I)および(II):
【0177】
【化70】
(式中、R、R、R、R、R、R、およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、シリル、アルキルシリル(トリメチルシリル等)、水素、およびハロゲンからなる群から独立して選択されるか、または、−NRの代わりに、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C13アリール、もしくはハライドからなる群から、ゲルマニウム中心原子に配位した置換基が代替として選択される)の錯体の中から選択される。
【0178】
[00115] 式(I)および(II)の前駆体は、液体送出技術によりCVDまたはALDチャンバに送出することができ、その場合、前駆体は適した溶媒媒体中に溶解されるか懸濁される。本発明の広範な実践において使用可能な溶媒媒体の例は、アルカン(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびペンタン等)、芳香族化合物(ベンゼンもしくはトルエン等)、またはアミン(トリエチルアミンもしくはtert−ブチルアミン等)の中から選択される溶媒である。また、前駆体は原液として送出することもでき、あるいは、揮発および分配に適したパッケージを利用して、固体送出技術により送出することもできる。1つの好ましい固体送出パッケージは、ATMI社(ATMI,Inc.、米国コネチカット州ダンベリー)から市販されているProE−Vap(商標)固体送出および気化器ユニットである。
【0179】
[00116] 式(I)および(II)のゲルマニウム錯体は、例示的実施形態において、以下の合成スキームに従い合成され得る。
【0180】
【化71】
【0181】
[00117] 本発明は、他の態様において、テルル中心原子が窒素原子に配位してTe−N配位子錯体を構成したテルル錯体に関する。
【0182】
[00118] そのようなTe−N配位子錯体の例は、下記式:
【0183】
【化72】
(式中、R、R、R、R、R、R、およびZは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、シリル、アルキルシリル(トリメチルシリル等)、水素およびハロゲンからなる群から独立して選択され、xは1から3の値を有する整数である)のテルル錯体である。
【0184】
[00119] 他の態様において、本発明は、加熱されると相変化を起こし、その電気抵抗性(メモリセル内の相変化材料が結晶状態にあるか非晶質状態にあるかによって変化する)に基づき「0」または「1」として読み出されるカルコゲニド材料に基づく相変化メモリデバイス製造に有用なゲルマニウム前駆体に関する。カルコゲニド材料は、GeSbTe、GeSbInTe、およびその他多くの合金等、数々の金属および半金属の膨大な数の二元、三元、および四元合金を含む。
【0185】
[00120] 相変化メモリデバイスは、組成が十分制御された、比較的高純度の合金を必要とする。現行のプロセスは、物理気相堆積を利用してこれらの材料の薄膜を堆積する。大面積ウエハへのその内在的な拡張性、および組成制御のためには、CVDおよびALD法が望ましい。現行の技術における大きな欠点は、現行のアルキル(MeSb、MeTe等)またはハライド源では、典型的には300℃を大きく上回り、500℃もの高温となり得る高い堆積温度が必要である点であり、これはデバイス統合のための許容熱量を超過し、カルコゲニド材料の蒸発をもたらす可能性がある。
【0186】
[00121] 本発明は、他の態様において、カルコゲニド合金の低温堆積を可能とする様々な材料およびプロセスに関する。
【0187】
[00122] 1つの化学的アプローチにおいて、ブチルおよびプロピル(特にt−ブチルおよびイソ−プロピル)置換アルキルヒドリドが、前駆体錯体、例えば式iPrMHy−x(式中、x>1であり、y=金属(M)中心の酸化状態であり、y−x=0であってもよい)の錯体として使用される。
【0188】
[00123] 他の化学的アプローチにおいて、ブチルおよびプロピル(特にt−ブチルおよびイソ−プロピル)置換アルキルハライドが、前駆体錯体、例えば式iPrMXy−x(式中、X=F、Cl、Brであり、x>1であり、y=金属(M)中心の酸化状態であり、y−x=0であってもよい)の錯体として使用される。
【0189】
[00124] そのような前駆体は、ベータ水素脱離を介してより低温での堆積を向上させることができる。
【0190】
[00125] 他の実施形態において、ゲルマニウムの組込み温度を低下させるためにジゲルマンが使用される。この点で有用な化合物には、Ge、GeMeまたはGeEt、GeiPrおよびGetBu、さらにGe(SiMeおよびGePh(式中、Me=メチル、Et=エチル、iPr=イソプロピル、tBu=t−ブチル、およびPh=フェニルである)が含まれる。
【0191】
[00126] より一般的に、式Ge(式中、R’のそれぞれは、他と同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、H、C〜Cアルキル、C〜Cフルオロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12フルオロアリール、C〜Cシクロ−アルキル、C〜Cシクロ−フルオロアルキルの中から独立して選択される)の化合物を使用することができる。さらに、そのような目的で、GePhを含むGe化合物(式中、R基のそれぞれは上に定義された通りとなり得る)を有効に使用することができる。環内にGeを有する5員環錯体を含むさらなる錯体が利用されてもよい。また、特定の用途において、式Ge(CpR(式中、Cpはシクロペンタジエニルであり、R’のそれぞれは、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ上記のように独立して選択される)のシクロペンタジエニル化合物等のGe(II)錯体も有用である可能性がある。相変化メモリ用途に有効に使用される他のゲルマニウム化合物は、Ge(CH(SiMe))である。
【0192】
[00127] 他の態様において、GST膜のアンチモン成分は、安価で感光性の特徴を有し、光/紫外線活性化堆積プロセスにおける実用性を有するトリフェニルアンチモン等の前駆体から供給され得る。
【0193】
[00128] カルコゲニド合金の低温堆積を可能とする前駆体送出の送出アプローチには、特定の用途において有用となり得るそれぞれの技術として、相変化メモリ膜用前駆体それぞれの個別バブラの使用、いくつかの前駆体の異なる揮発特性に対応するためのアプローチとしての、所望の組成での正確な体積フローの送出を可能とする前駆体混合物の液体噴射、および、原液または前駆体/溶媒組成物の混合物の使用が含まれる。
【0194】
[00129] カルコゲニド合金の低温堆積のための膜堆積アプローチには、水素などの還元性ガスを任意選択で用いた熱モードでの連続CVDの使用、投与ステップを水素プラズマ等の共反応物質から分離するためのパルスまたは原子層堆積の使用、前駆体に合わせて「調整」された紫外線または他の光源等の活性化技術の使用(光は前駆体投与とともに連続的であるか、または気相反応を避けるために別個に投与される)、および、安全性の向上と堆積用原料ガスの所有コスト削減のための、ATMI社(ATMI,Inc.、米国コネチカット州ダンベリー)から市販されているSAGE(登録商標)分配パッケージ等の減圧送出システムから有利に分配される、ゲルマン(GeH)等の代替の還元性共反応物質の使用が含まれる。
【0195】
[00130] 本発明のさらなる態様は、低温での窒化ゲルマニウムの形成に効果的であることが判明しているアミニデート系前駆体を使用した、窒化ゲルマニウムの低温堆積プロセスに関する。図6は、ゲルマニウムメチルアミジネート(GeMAMDN)のアンモニア共反応物質によるGe堆積の改善を示す、1/Tの関数としての堆積対数速度(Å/分)のアレニウスプロットである。
【0196】
[00131] 水素共反応物質により、前駆体は、280℃で約2Å/分の堆積速度で非晶質Ge膜を生成する。共反応物質をアンモニアに切り替えると、堆積速度は劇的に増加した。240℃付近で100倍の堆積速度が観察され、200℃で75Å/分の堆積速度が達成された。さらに、アンモニア共反応物質により堆積薄膜は透明となり、これは窒化ゲルマニウムの形成を示している。図7は、アンモニア共反応物質の、堆積速度に対する支配的な効果を示す。
【0197】
[00132] 本発明は、さらなる態様において、低温でのゲルマニウム金属膜の堆積のための、N、S、O複素環ゲルマニウムCVD/ALD前駆体に関する。そのような前駆体の例は、[{MeC(iPrN)Ge]、[{MeN(iPrN)Ge]、[{nBuC(iPrN)Ge]、および[{MeC(NCy)Ge]である。特定の実施形態において、前駆体[{MeC(iPrN)Ge]は、ゲルマニウム金属膜のためのCVD前駆体として、トルエン溶液として提供することができる。
【0198】
[00133] GST膜の形成においては、約400〜500Å/分の高いGST合金堆積速度(Ge換算で約100Å/分)、および低レベルの膜内炭素およびヘテロ原子不純物が必要とされる。揮発性の高い前駆体が必要である。液体前駆体が好ましいが、低融点および揮発性固体もまた、加熱バブラシステム(約50℃)を用いて使用可能である。許容されるヘテロ原子不純物(Si、O、N)は、10%未満である。
【0199】
[00134] その点に関して、本発明は、アミジネート、グアニジネート、イソウレエート、ジケトネート、ジケトイミネート、ジケチミネート、カルバメート、チオカルバメート、シリル、アミノトロポンイミネートの配位子を有するGe(II)およびGe(IV)前駆体の使用を企図する。また、上記配位子の組合せの混合配位子前駆体、またはアルキル、ジアルキルアミノ、ヒドリド、もしくはハロゲン基と組み合わせた前駆体もまた含まれる。
【0200】
[00135] ゲルマニウム前駆体は、金属ゲルマニウム膜を熱的に堆積させるために単独で、あるいは、GeTe層を堆積させるために、共反応物質とともに、またはiPrTeもしくは他の適したテルル前駆体とともに使用され得る。同様に、三元GST合金を形成するために、適したアンチモン前駆体が用いられてもよい。そのような前駆体と有効に併用される共反応物質ガス/液体には、水素、アンモニア、プラズマ、アルキルアミン、シラン、およびゲルマンが含まれる。
【0201】
[00136] 本発明のゲルマニウム前駆体は、
(1)下記式のGe(IV)アミジネート、グアニジネート、およびイソウレエート:
【0202】
【化73】
(式中、各R基は、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C13アリール、および−Si(R’)(式中、各R’は、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択され、各Zは、C〜Cアルコキシ、−NR、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C13アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択され、
各Y基は、C〜Cアルコキシ、−NR、およびC〜Cアルキル、Si(R、およびハライド(Cl、Br、I)の中から独立して選択され、xは0から4までの整数である);
(2)下記式のGeベータ−ジケトネート、ジケトイミネート、ジケチミネート:
【0203】
【化74】
(式中、各R基は、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C13アリール、および−Si(R’)の中から独立して選択され、各Y基は、C〜Cアルキル、C〜C13アリール、C〜Cアルコキシ、NR、Si(R、およびハライド(Cl、Br、I)の中から独立して選択され、xは0から4までの整数であり、Z原子は、同じであるかまたは異なり、O、S、およびNRから選択され、Rは、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C13アリール、Si(R’)から選択され、R’は、C〜Cアルキル、C〜C13アリールである);
(3)下記式のGeカルバメート、チオカルバメート:
【0204】
【化75】
(式中、各Zは、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜Cアルコキシ、NR、C〜C13アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルまたはアリールから独立して選択される)の中から独立して選択され、各Y基は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、NR、C〜C10シクロアルキル、C〜C13アリール、Si(R、およびハライド(Cl、Br、I)の中から独立して選択され、xは0から4までの整数であり、EはOまたはSである);
(4)下記式のシリルゲルマン:
【0205】
【化76】
(式中、TMSはSi(R’’)であり、各R基は、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C12アリールの中から独立して選択され、xは0から4までの整数である);
(5)下記式の混合シクロペンタジエニルゲルマン:
4−xGeCp RGeCp
(RR’N)4−xGeCp RR’NGeCp
CpGe(アミジネート) CpGe(グアニジネート)
CpGe(ベータ−ジケチミネート)
CpGe(ベータ−ジケトネート)
CpGe(イソウレエート)
(式中、各R基は、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C13アリール、および−Si(R’)(式中、各R’は、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択され、各Y基は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、NR、C〜C10シクロアルキル、C〜C13アリール、Si(R、およびハライド(Cl、Br、I)の中から独立して選択され、xは0から4の値を有する整数であり、Cp配位子はまた、
【0206】
【化77】
を含んでもよい);
(6)下記式のGe(II)アミノ−アルコキシド:
【0207】
【化78】
(式中、各R基は、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C13アリール、および−Si(R’)(式中、各R’は、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択され、nは2から6の値を有する整数である);
(7)下記式の他のN−複素環式ゲルミレン:
【0208】
【化79】
(式中、各R基は、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C13アリール、および−Si(R’)(式中、各R’は、C〜Cアルキルから独立して選択される)の中から独立して選択され、各Y基は、C〜Cアルコキシ、NR、H、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C13アリール、Si(R、またはハライド(Cl、Br、I)の中から独立して選択される);
(8)下記式の酸化物、ジチオレート、チオカルボネート:
【0209】
【化80】
(式中、各R、R’は、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜Cアルコキシ、NR、C〜C13アリール、および−Si(R(式中、各Rは、C〜Cアルキルまたはアリール、およびハライド(Cl、Br、I)から独立して選択される)の中から独立して選択され、EはOまたはSである)を含む。
【0210】
[00137] 上述のALD/CVD前駆体(1)〜(8)は、アルカン(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびペンタン等)、芳香族化合物(ベンゼンもしくはトルエン等)、またはアミン(トリエチルアミン、tert−ブチルアミン等)といった適した溶媒を使用して、液体送出の剤形で調製することができる。前駆体はまた、適した固体送出および気化器ユニット(ATMI社(ATMI,Inc.、米国コネチカット州ダンベリー)から市販されているProE−Vap(商標)固体送出および気化器ユニット等)を使用して、原液または固体として送出することもできる。
【0211】
[00138] 以下に、本発明の具体的な各種ゲルマニウム前駆体の識別を示す。
【0212】
【化81】
【0213】
【化82】
【0214】
[00139] 本発明は、さらなる態様において、薄膜のCVDおよびALD堆積に有用な様々な金属シリルアミドを企図する。
【0215】
[00140] 本発明のこの態様は、ジシリル−アザシクロアルキル配位子を有する金属前駆体R5nM{N[(R)Si(CH)mSi(R)]}ox−n、シリルアミド配位子中に非対称元素を特に有する金属シリルアミドR5nM{R4N[Si(R1R2R3)]}ox−nのクラスの合成および特性決定、対応するグアニジネート錯体(これもCVD/ALD前駆体として使用可能である)を生成するこれらのシリルアミドによるカルボジイミド挿入反応を包含する。
【0216】
[00141] 同じ実験式を有する上述のモノマーの「オリゴマー」には、[R5nM{N[(R1R2)Si(CH2)mSi(R3R4)]}ox−n]xまたは[R5nM{R4N[Si(R1R2R3)]}ox−n]x(式中、xは、2、3等の値を有する整数である)が含まれる。
【0217】
[00142] また、本発明は、Rの少なくとも1つがアミド、アルコキシル、シロキシル、およびチエニル等の官能基を有する、開いた構造のシラザン配位子を有する前駆体R5nM{(R4R5R6)SiN[Si(R1R2R3)]}ox−n、ならびにその対応するグアニジネートも企図する。
【0218】
[00143] 同じ実験式を有する上述のモノマーの「オリゴマー」には、[R5nM{(R4R5R6)SiN[Si(R1R2R3)]}ox−n]x(式中、xは、2、3等の値を有する整数である)が含まれる。
【0219】
[00144] 上記式において、R1、R2、R3、R4、R6、およびR7のそれぞれは、H、C1〜C6アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C6〜C10アリール、−Si(R8)3、および−Ge(R8)3(式中、各R8は、C1〜C6アルキルおよび−Si(R9)3(式中、各R9は、C1〜C6アルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択され、適する場合は、上述のR1、R2、R3、R4、R6およびR7に結合したペンダント配位子は、金属中心に対するさらなる配位を提供する、例えば、アミノアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、イミドアルキル、およびアセチルアルキル等の官能基を含み、これらのクラスにおける適した基は、下記式:
【0220】
【化83】
(式中、R1〜R4のそれぞれは、互いに同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素およびC1〜C6アルキルの中から独立して選択され、R5およびR6のそれぞれは、他と同じであるかまたは異なり、それぞれ、C1〜C6アルキルの中から独立して選択され、nおよびmはそれぞれ0から4から独立して選択されるが、ただしmおよびnが同時に0となることはできず、xは1から5から選択される);
【0221】
【化84】
(式中、R1〜R4のそれぞれは、互いに同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素、C1〜C6アルキル、およびC6〜C10アリールの中から独立して選択され、R5は、C1〜C6アルキルおよびC6〜C10アリールの中から選択され、nおよびmは0から4から独立して選択されるが、mおよびnが同時に0となることはできない)の基を含む。
【0222】
[00145] 金属前駆体において、各R5は、H、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C1〜C6アルコキシ、−NR1R2、ならびに−C(R3)3、−Si(R8)3および−Ge(R8)3(式中、各R3は、C1〜C6アルキルから独立して選択され、R8およびR8のそれぞれは、H、C1〜C6アルキル、C5〜C10シクロアルキル、C6〜C10アリール、および−Si(R9)3(式中、各R4はC1〜C6アルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択することができる。
【0223】
[00146] そのような金属前駆体において、Mは、上述の金属(Ta、V、Ti、Nb、Pb、Ni、W、Ca、Ba、In、Y、La、Zr、Hf、Ir、Ru、Pt、Cr、Mo、Ge;Al、Si、Ga、Sc、V、Cr、Fe、Sb、ランタニド、Mn、Co、Ni、Zn、Cd、Te、Hg、Au、Cu、Ag、Sr、およびRu)のいずれであってもよいがそれだけに限定されず、OXは金属Mの許容される酸化状態であり、nは0からoxの値を有する整数であり、Xはハロゲンである。
【0224】
[00147] 上述の前駆体材料は、水素、H2/プラズマ、アミン、イミン、ヒドラジン、シラン、シリルカルコゲニド((Me3Si)2Te等)、ゲルマン(GeH4等)、アンモニア、アルカン、アルケン、アミジン、グアニジン、ボラン、およびそれらの誘導体/付加体、ならびにアルキン等の還元性共反応物質とともに、低温堆積前駆体として使用することができる。前駆体は液体送出の剤形で使用することができ、液体の前駆体は原液形態で使用されてもよく、液体または固体の前駆体は、要望に応じてアルカン溶媒(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびペンタン等)、アリール溶媒(ベンゼンまたはトルエン等)、アミン(トリエチルアミン、tert−ブチルアミン等)、イミン、グアニジン、アミジン、ならびにヒドラジンを含む適した溶媒中で使用される。
【0225】
[00148] 特別の前駆体に対する特定の溶媒組成の実用性は、経験的に容易に決定することができ、液体送出気化のための適切な単一成分または多成分溶媒媒体を選択することができる。本明細書において前述した種類の固体送出システムが使用されてもよい。
【0226】
[00149] 上述の前駆体を、以下に様々に示す。
【0227】
【化85】
【0228】
[00150] 本発明は、さらなる態様において、例えば(R5)nM{N=C[(NR1R2)(NR3R4)]}ox−nの配位形態および準不安定配位形態のテトラアルキルグアニジン配位子を有する金属前駆体のクラスを含む、CVDおよびALD前駆体として有用なテトラアルキルグアニジネートおよびケチミネート錯体に関する。特殊な状況下では、理論的には両方の配位形態が共存し得る。
【0229】
[00151] そのような錯体のすべては、対応するアルカリ金属塩および金属ハライドもしくはアルキルもしくはハライド/アルキル/アミド混合物から、または、NEt3等のHX吸収剤の存在下でのテトラアルキルグアニジンと金属ハライドとの間の直接反応から合成することができる。同じ実験式を有するそのようなモノマーの「オリゴマー」には、[(R5)nM{N=C[(NR1R2)(NR3R4)]}ox−n]x(式中、xは、2、3等の値を有する整数である)が含まれる。
【0230】
[00152] 4種類の例示的なGe(IV)前駆体が合成され特性決定されている。それらのすべては、有望な熱挙動を示しており、TMG2Ge(NMe2)2は室温で粘稠性の液体である。
【0231】
[00153] また、本発明は、対応するグアニジネート錯体R5nM{R6NC{N=C[(NR1R2)(NR3R4)]}NR7}ox−nも企図する。同じ実験式を有するそのようなモノマーの「オリゴマー」には、[R5nM{R6NC{N=C[(NR1R2)(NR3R4)]}NR7}ox−n]x(式中、xは、2、3等の値を有する整数である)が含まれる。
【0232】
[00154] さらに、本発明は、対応するグアニジネート錯体(これもCVD/ALD前駆体として使用可能である)を生成する、金属アミドによるテトラアルキルグアニジン挿入反応、ならびに式(R5)nM{N=C[(R1R2)]}ox−nのケチミネートおよび式R5nM{R6NC[N=C(R1R2)]NR7}ox−nの対応するグアニジネート錯体を包含する。同じ実験式を有するそのようなモノマーの「オリゴマー」には、[R5nM{R6NC[N=C(R1R2)]NR7}ox−n]x(式中、xは、2、3等の値を有する整数である)が含まれる。
【0233】
[00155] 上述の金属錯体において、R1、R2、R3、R4、R6、およびR7のそれぞれは、H、C1〜C6アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C6〜C10アリール、−Si(R8)3、および−Ge(R8)3(式中、各R8は、C1〜C6アルキルおよび−Si(R9)3(式中、各R9は、C1〜C6アルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択され、適する場合は、上述のR1、R2、R3、R4、R6およびR7に結合したペンダント配位子は、金属中心に対するさらなる配位を提供する、例えば、アミノアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、イミドアルキル、およびアセチルアルキル等の官能基を含み、これらのクラスにおける適した基は、下記式:
【0234】
【化86】
(式中、R1〜R4のそれぞれは、互いに同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素およびC1〜C6アルキルの中から独立して選択され、R5およびR6のそれぞれは、他と同じであるかまたは異なり、それぞれ、C1〜C6アルキルの中から独立して選択され、nおよびmはそれぞれ0から4から独立して選択されるが、ただしmおよびnが同時に0となることはできず、xは1から5から選択される);
【0235】
【化87】
(式中、R1〜R4のそれぞれは、互いに同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素、C1〜C6アルキル、およびC6〜C10アリールの中から独立して選択され、R5は、C1〜C6アルキルおよびC6〜C10アリールの中から選択され、nおよびmは0から4から独立して選択されるが、mおよびnが同時に0となることはできない)の基を含む。
【0236】
[00156] 金属前駆体において、各R5は、H、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C1〜C6アルコキシ、−NR1R2、ならびに−C(R3)3、−Si(R8)3および−Ge(R8)3(式中、各R3は、C1〜C6アルキルから独立して選択され、R8およびR8のそれぞれは、H、C1〜C6アルキル、C5〜C10シクロアルキル、C6〜C10アリール、および−Si(R9)3(式中、各R4はC1〜C6アルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択することができる。
【0237】
[00157] そのような金属前駆体において、Mは、上述の金属(Ta、V、Ti、Nb、Pb、Ni、W、Ca、Ba、In、Y、La、Zr、Hf、Ir、Ru、Pt、Cr、Mo、Ge;Al、Si、Ga、Sc、V、Cr、Fe、Sb、ランタニド、Mn、Co、Ni、Zn、Cd、Te、Hg、Au、Cu、Ag、Sr、およびRu)のいずれであってもよいがそれだけに限定されず、OXは金属Mの許容される酸化状態であり、nは0からoxの値を有する整数であり、Xはハロゲンである。
【0238】
[00158] 上述の前駆体材料は、水素、H2/プラズマ、アミン、イミン、ヒドラジン、シラン、シリルカルコゲニド((Me3Si)2Te等)、ゲルマン(GeH4等)、アンモニア、アルカン、アルケン、アミジン、グアニジン、ボラン、およびそれらの誘導体/付加体、ならびにアルキン等の還元性共反応物質とともに、低温堆積前駆体として使用することができる。前駆体は液体送出の剤形で使用することができ、液体の前駆体は原液形態で使用されてもよく、液体または固体の前駆体は、要望に応じてアルカン溶媒(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびペンタン等)、アリール溶媒(ベンゼンまたはトルエン等)、アミン(トリエチルアミン、tert−ブチルアミン等)、イミン、グアニジン、アミジン、ならびにヒドラジンを含む適した溶媒中で使用される。
【0239】
[00159] 特別の前駆体に対する特定の溶媒組成の実用性は、経験的に容易に決定することができ、液体送出気化のための適切な単一成分または多成分溶媒媒体を選択することができる。本明細書において前述した種類の固体送出システムが使用されてもよい。
【0240】
[00160] 上述の前駆体を、以下に様々に示す。
【0241】
【化88】
【0242】
[00161] 特性決定されている前述の4種類の例示された前駆体に関し、熱分析および元素分析結果を以下の表に記載する。
【0243】
【表2】
【0244】
[00162] 上述の前駆体を、以下に様々に示す。
【0245】
[00163] 本発明は、さらなる態様において、CVDおよびALDに有用なジアニオンキレートグアニジン配位子に関し、式(R4)nM{(R1)N=C[(NR2)(NR3)]}(ox−n)/2のジアニオンキレートグアニジン配位子を有する金属前駆体のクラスを含む。
【0246】
[00164] そのような前駆体のすべては、対応するアルカリ金属塩および金属ハライドもしくはアルキルもしくはハライド/アルキル混合物から、または、NEt3等のHX吸収剤の存在下でのグアニジンと金属ハライドとの間の直接反応から合成することができる。グアニジネート配位子の合成は、対応するカルボジイミドおよび1級アミンから行うことができる。
【0247】
[00165] 同じ実験式を有する上記モノマーの「オリゴマー」には、[(R4)nM{(R1)N=C[(NR2)(NR3)]}(ox−n)/2]x(式中、xは、2、3等の値を有する整数である)が含まれ、式中、各R1、R2、R3、R4は、H、C1〜C6アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C6〜C10アリール、−Si(R5)3、および−Ge(R5)3(式中、各R8は、C1〜C6アルキルおよび−Si(R6)3(式中、各R9は、C1〜C6アルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択され、適する場合は、上述のR1、R2、R3、R4に結合したペンダント配位子は、金属中心に対するさらなる配位を提供する、例えば、アミノアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、イミドアルキル、およびアセチルアルキル等の官能基を含み、これらのクラスにおける適した基は、下記式:
【0248】
【化89】
(式中、R1〜R4のそれぞれは、互いに同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素およびC1〜C6アルキルの中から独立して選択され、R5およびR6のそれぞれは、他と同じであるかまたは異なり、それぞれ、C1〜C6アルキルの中から独立して選択され、nおよびmはそれぞれ0から4から独立して選択されるが、ただしmおよびnが同時に0となることはできず、xは1から5から選択される);
【0249】
【化90】
(式中、R1〜R4のそれぞれは、互いに同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素、C1〜C6アルキル、およびC6〜C10アリールの中から独立して選択され、R5は、C1〜C6アルキルおよびC6〜C10アリールの中から選択され、nおよびmは0から4から独立して選択されるが、mおよびnが同時に0となることはできない)の基を含む。
【0250】
[00166] 金属前駆体において、各R5は、H、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C1〜C6アルコキシ、−NR1R2、ならびに−C(R3)3、−Si(R8)3および−Ge(R8)3(式中、各R3は、C1〜C6アルキルから独立して選択され、R8およびR8のそれぞれは、H、C1〜C6アルキル、C5〜C10シクロアルキル、C6〜C10アリール、および−Si(R9)3(式中、各R4はC1〜C6アルキルから独立して選択される)から独立して選択される)の中から独立して選択することができる。
【0251】
[00167] そのような金属前駆体において、Mは、上述の金属(Ta、V、Ti、Nb、Pb、Ni、W、Ca、Ba、In、Y、La、Zr、Hf、Ir、Ru、Pt、Cr、Mo、Ge;Al、Si、Ga、Sc、V、Cr、Fe、Sb、ランタニド、Mn、Co、Ni、Zn、Cd、Te、Hg、Au、Cu、Ag、Sr、およびRu)のいずれであってもよいがそれだけに限定されず、OXは金属Mの許容される酸化状態であり、nは0からoxの値を有する整数であり、Xはハロゲンである。
【0252】
[00168] 上述の前駆体材料は、水素、H2/プラズマ、アミン、イミン、ヒドラジン、シラン、シリルカルコゲニド((Me3Si)2Te等)、ゲルマン(GeH4等)、アンモニア、アルカン、アルケン、アミジン、グアニジン、ボラン、およびそれらの誘導体/付加体、ならびにアルキン等の還元性共反応物質とともに、低温堆積前駆体として使用することができる。前駆体は液体送出の剤形で使用することができ、液体の前駆体は原液形態で使用されてもよく、液体または固体の前駆体は、要望に応じてアルカン溶媒(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびペンタン等)、アリール溶媒(ベンゼンまたはトルエン等)、アミン(トリエチルアミン、tert−ブチルアミン等)、イミン、グアニジン、アミジン、ならびにヒドラジンを含む適した溶媒中で使用される。
【0253】
[00169] 特別の前駆体に対する特定の溶媒組成の実用性は、経験的に容易に決定することができ、液体送出気化のための適切な単一成分または多成分溶媒媒体を選択することができる。本明細書において前述した種類の固体送出システムが使用されてもよい。
【0254】
[00170] 上述の前駆体を、以下に様々に示す。
【0255】
【化91】
【0256】
[00171] 例示的配位子PriN=C(PriNH)2は、以下のように合成され特性決定された。
【0257】
[00172] 実施例
【0258】
[00173] 12.6gのPriNCNPri(0.1mol)および100mlのトルエンを投入した250mLフラスコに、5.9gのPriNH2(0.1mol)を0℃で徐々に添加した。次いで、得られた混合物を100℃で一晩還流した。処理後、11.5gの固体PriN=C(PriNH)2を得た。(62%収率)C10H23N3に対する解析計算:C:64.81%;H:12.51%;N:22.68%。実測:C:64.73%;H:12.39%;N:22.48%。
【0259】
[00174] 選択された結合長:[Å]
C(1)−N(3) 1.287(3)
C(1)−N(2) 1.358(3)
C(1)−N(1) 1.378(3)
【0260】
[00175] 本発明は、さらなる態様において、極めて選択的なゲルマニウム堆積プロセスに関する。本明細書においては、主にゲルマニウムを参照して説明されているが、このプロセスは、ルテニウム堆積等、膜堆積プロセスが核形成プロセスに依存する他の膜堆積用途にも適用可能である。
【0261】
[00176] 相変化メモリ(PCM)は現在、その縮小の可能性により、いくつかの世代にわたり不揮発性メモリの主要な候補と考えられている。統合されたGSTベースPCMデバイスは、「プラグ」型電極を有する大型の平坦層の形態で作製されている。デバイス形状が縮小されるにつれて、3D形状で堆積することが確実に必要となるため、これらの膜の作製のために、有機金属化学気相堆積(MOCVD)プロセスが開発されている。今後の世代においては、この操作を縮小して、相変化カルコゲニド部分全体を、酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはlow−k誘電体等の絶縁材料のビア内のプラグとすることが必要となる。
【0262】
[00177] この例は、GSTプラグ、上部電極、下部電極、層間誘電体、およびデバイスの関連した層を示す、GSTデバイス構造の概略図である図8に見ることができる。この材料のエッチングもCMPも十分確立されていないためそのようなプラグの作製は容易ではないが、これは抵抗の変化という形態で情報を格納するバルク相の変化を許容するためにかなり厚い層が必要となるからである。ビアにおいてのみ「ボトムアップ」方式で材料を成長させ、構造の残りの部分はコーティングしないことが望ましい。これを実現するためには、所望の表面上では迅速に成長させ、他の箇所では徐々に成長、あるいは全く成長させないよう、堆積プロセスは極めて選択的でなければならない。
【0263】
[00178] 隣接セル間の熱接触およびクロストークを低減するように、PCM材料とビアの側壁との接触を低下させることが望ましい場合もある。このように、異なる表面上で異なる付着係数および核形成の可能性を有することが望ましい可能性がある。
【0264】
[00179] また、300℃以下の温度でこれらの膜を作製するための低温MOCVDプロセスを開発する必要もあるが、これは、この温度を超えると化学量制御が困難となる程十分な揮発性を有する成分もあるためである。
【0265】
[00180] PCM用のGe前駆体に関する出願人らの研究中、それが成長している基板の表面状態に基づく非常に強い選択性を有するアミド系前駆体が発見された。この前駆体Ge(NMe2)4は、わずか10〜15℃という極めて狭い温度範囲にわたって1000倍に近い堆積速度変化を生じる。これは事実上独自の挙動であり、これを生じる他の化合物は見出せていない。
【0266】
[00181] そのような強力な効果を生じさせるのは、堆積表面の変化および自己触媒反応の類によると考えられる。これらの膜は、1年以上前に市販のものを購入し、これらの実験のために断片に切断したTiN上に堆積された。TiおよびTiNは大気への曝露により速やかに酸化物を形成するため、反応器に挿入されたときの核形成表面はTi酸化物または酸化物および窒化物の混合の形態であることにほぼ疑いはなかった。Tiは、TiO2やTi2O3等の様々な亜酸化物間で容易に変化するが、そのため基板の加熱中に反応器を通って流れるフォーミングガスや、堆積が生じる水素等の還元条件下において、特定の遷移温度で表面が極めて突然に改質される可能性がある。室温からの加熱は、すべての実験において4分に固定した。これは上述の挙動を説明し得るものであり、堆積速度は10〜15℃の枠で数Å/分から1000Å/分まで増加し、この枠の場所は、反応ガスおよび存在するガスの分圧に依存して、数十度シフトし得る。
【0267】
[00182] この理論を試験するために、SiO2基板上と、8Tの水素中でまず400℃に加熱してから10分間かけて堆積温度まで冷却したTiN断片上とに堆積を行った。結果には、空気に曝露後サセプタ上に設置されたTiN上への堆積における280℃で約3Å/分の堆積速度が含まれた。SiO2基板上では、堆積速度はほぼ0.3Å/分であり、一桁低かった。一方、反応器中還元雰囲気下で400℃に予熱後冷却された基板上では、堆積速度は280℃でほぼ600Å/分であり、速度は低温で著しく高かった。予熱基板は、TiNまたは類似の電極がクラスタツールの一部に堆積され、その後基板が空気への曝露なしにCVD堆積モジュールに搬送される、標準的な製造プロセスに最も近いシミュレーションであった。予熱TiNおよびSiO2上での堆積速度の間の200:1の比率は、このような任意の組合せの表面上で非常に高い選択性を得るのに十分である。この比率は、清浄な「その場(in situ)」堆積されたTiNおよびSiO2においてさらに増加するものと思われる。
【0268】
[00183] この前駆体独自の挙動の最も直接的な潜在的利益は、カルコゲニド相変化メモリ材料のプラグを作製するためのビアのボトムアップ式充填であった。Ge第1層は、完全な一連の前駆体が「継ぎ目」またはプラグ内の空隙を防ぐのに役立つために幾分有利な成長箇所として使用可能である。
【0269】
[00184] 望ましい場合は、PCM材料のプラグと側壁との接触を低下させることもでき、これにより隣接PCMセル間の熱的分離が高められクロストークが低減される。緩慢な堆積および不十分な核形成は、表面付近に孔隙が存在する接着性の低い層へとつながり得る。
【0270】
[00185] より間接的な利益は、他の核形成感受性材料のための半導体適合性核形成表面の形成である。例えば、純粋な還元雰囲気においてはRu金属が成長しにくく、ほとんどのCVD前駆体に対して、付近にいくらかの酸素を必要とする傾向があることは周知である。さらに、SiO2表面上に均一に堆積させることは非常に困難である。GeはSi程強固に酸素に結合しないため、若干の酸化プロセスを使用することができるように、このGe前駆体を使用してトレンチまたはビアの底部のSi上に核形成層を形成することができ、あるいは、清浄な金属上により容易に堆積する還元プロセスを使用することができる。このアプローチは、利用可能なある程度の表面化学的感受性を有している限り、Ru以外の材料の堆積にも拡張可能である。
【0271】
[00186] より洗練されたアプローチでは、表面、金属、窒化物および/またはGeは、この前駆体からの堆積を目的としてオン/オフを切り替えるために、反応ガスによりその表面化学を変化させることができる(例えば酸化物から金属へ)。ひいては、これによって、Ge堆積と比較し、層材料および共反応物質に依存して複数の材料が曝露されオン/オフが切り替えられた異なる表面を有し得るチップ表面が許容される。したがって、Geは、例えば、ハードマスク、犠牲層等、さらなる化学的改質に対する保護層として使用することができる。この原理は、表面および堆積温度へのこの強力な感受性を有する適切な前駆体が発見されれば、Ge以外の元素に拡張可能である。
【0272】
[00187] この挙動を示すことができる他の化学物質および化学種には、N−配位ゲルマニウムアミド、アミジネート、グアニジネート、およびN−複素環ゲルミレンが含まれる。説明されたプロセスは、ハロゲン、B−ジケチミネート、ニトリル、イソニトリル、アミノトロポンイミネート、カルボニル、ホスフィド、イミド、アミン、ピリジン、アミジネート、グアニジネート、ニトロシル、シリル、スチベン(R3Sb)、硫化物、およびシクロペンタジエニルの中から選択される少なくとも1種類の弱配位子が結合した、Ge、Sb、Te、Be、Mg、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hg、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Sn、Pb、As、P、Bi、Al、Ga、In、Tl、およびSiから選択される金属を含む、金属−有機CVDまたはALD前駆体にも適用される。
【0273】
[00188] 広範な態様において、本発明は、式MA(式中、Mは、Ge、Sb、およびTeの中から選択される金属であり、Aは、本明細書に記載のすべての配位子からなる群から選択される配位子であり、y+xは金属Mに対する酸化状態と等しい)の金属前駆体を企図する。
【0274】
[00189] 本明細書において、本発明の特定の態様、フィーチャおよび例示的実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の実用性はそのように限定されず、本明細書の開示に基づき、本発明の技術分野の当業者に示唆されるように、数々の他の変形、修正、および代替の実施形態に拡張しそれらを包含することが理解される。それに応じて、以下に請求される発明は、その精神および範囲内でのそのようなすべての変形、修正、および代替の実施形態を含むものとして、広義に理解され解釈されることを意図する。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図4(d)】
図5
図6
図7
図8