【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔刊行物等〕平成26年4月18日に、山佐株式会社のウェブサイト(http://www.yamasa.co.jp/ymc/)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔刊行物等〕平成26年5月12日に、山佐株式会社のウェブサイト(http://www.yamasa.co.jp/ymc/)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔刊行物等〕平成26年5月16日に、山佐株式会社のウェブサイト(http://www.yamasa.co.jp/)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔刊行物等〕平成26年5月21日に、TKPガーデンシティ品川のボールルームで開催された遊技機「パチスロ鉄拳3rd」の展示会にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔刊行物等〕平成26年5月21日に頒布された、遊技機「パチスロ鉄拳3rd」の販促用DVD(山佐株式会社発行)にて公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を、本発明をスロットマシンに適用した下記実施例に従って説明する。
なお、以下の実施例にあって、本発明に係る演出制御手段は、サブ制御基板21及び画像制御基板22によって主に実現される。また、本発明に係る縮小表示状態は、画面遮蔽装置17の小サイズ表示状態に相当し、拡大表示状態は、画面遮蔽装置17の中サイズ表示状態と全開状態に相当する。そして、本発明に係る縮小表示演出は、ステージ選択演出における縮小表示演出と、ステップアップ演出における第一表示演出に相当する。また、本発明に係る拡大表示演出は、ステージ選択演出における全体表示演出と、ステップアップ演出における第二表示演出に相当する。また、本発明に係る第一の演出は、ステップアップ演出における二段階演出及び三段階演出に相当し、本発明に係る第二の演出は、ステップアップ演出における一段階演出に相当する。
【0023】
本実施例は、本発明をスロットマシンに適用したものである。
図1に示すように、スロットマシン1の筐体2は、前方から前扉3によって覆われている。前扉3の中央部には、筐体2の内部に配設された三つのリール9を視認するためのリール視認窓4が設けられる。そして、前扉3の前面側には、リール視認窓4の下方に、遊技操作に用いるベットスイッチ5a,5b、スタートスイッチ6、ストップスイッチ7、精算スイッチ8などの操作スイッチと、演出に用いる演出ボタンユニット13が配設される。また、リール視認窓4の上方には、画像表示器10の矩形の表示画面14を視認するための表示画面視認窓15が配設される。表示画面視認窓15は、画像表示器10の表示画面14と同形同大の矩形の開口部であり、透明な樹脂パネル16で覆われている。
【0024】
画像表示器10は、液晶表示器からなるものである。後述するように、この画像表示器10の横長矩形の表示画面14に、様々な演出用画像が表示される。
図1,2に示すように、前扉3の表示画面視認窓15の背面側には、本発明に係る画面遮蔽装置17が配設され、画像表示器10は、画面遮蔽装置17のさらに背面側に配設される。画面遮蔽装置17は、矩形の表示画面14と同形同大の開口部39を有しており、後述する遮蔽部材を開口部39の周囲に退避させて開口部39を開放する全開状態と、遮蔽部材で開口部39を閉塞する全閉状態とに変換可能となっている。画像表示器10は、表示画面14を当該開口部39と前後に重ね合わせるように配設されており、画面遮蔽装置17の全開状態で、表示画面14の全体を表示画面視認窓15から視認可能となり、画面遮蔽装置17の全閉状態で、表示画面14の全体が視認困難となるよう構成される。
【0025】
以下に、画面遮蔽装置17について詳細に説明する。
上述のように、画面遮蔽装置17は、画像表示器10の表示画面14と同形同大の開口部39を備えた矩形枠状をなしており、
図3,4に示すように、該開口部39を遮蔽部材41a〜41dで開閉することにより、表示画面14の全体が、遮蔽部材41a〜41dで遮蔽されない非遮蔽領域71となる全開状態と、表示画面14の全体が遮蔽される全閉状態とに変換可能となっている。
【0026】
画面遮蔽装置17は、
図5に示すように、表示画面14の上下左右に夫々配設されて、表示画面14の周囲から表示画面14の正面側中心方向に進退する4組の遮蔽部材41a〜41dを備えている。これらの遮蔽部材41a〜41dは、表示画面14を2本の対角線D1,D2で上下左右に分割してなる4つの三角形領域70a〜70dを個別に遮蔽可能に構成されている。具体的には、表示画面14の左方から進出する遮蔽部材41aが、表示画面14の左側の三角形領域70aを遮蔽可能に構成される。同様に、右方から進出する遮蔽部材41bが右側の三角形領域70bを、上方から進出する遮蔽部材41cが上側の三角形領域70cを、下方から進出する遮蔽部材41dが下側の三角形領域70dを遮蔽可能に構成される。各遮蔽部材41a〜41dは、後述するように、三枚の遮蔽板50a〜50cからなる伸縮式となっている。
【0027】
画面遮蔽装置17は、
図6に示すように、画像表示器10の表示画面14の上下左右に夫々配設される4組の遮蔽ユニット40a〜40dと、各遮蔽ユニット40a〜40dを背面側から支持するベース板43とを備えている。前記遮蔽部材41a〜41dは、各遮蔽ユニット40a〜40dに1つずつ配設されており、各遮蔽ユニット40a〜40dに配設された駆動手段49によって駆動される。また、ベース板43の背面下部には、
図4に示すように、各遮蔽ユニット40a〜40dの駆動手段49を制御する遮蔽制御基板45が配設される。
【0028】
4組の遮蔽ユニット40a〜40dは、遮蔽部材41a〜41dを進退させる方向が相違するが、遮蔽部材41a〜41d及び駆動手段49の基本構成は共通している。このため、以下には、表示画面14の左方に配設される左遮蔽ユニット40aの構造を説明することで、各遮蔽ユニット40a〜40dの遮蔽部材41a〜41d及び駆動手段49の基本構成を説明する。
【0029】
左遮蔽ユニット40aは、
図7〜9に示すように、遮蔽部材41aと、表示画面14の左方に配設されて遮蔽部材41aを支持する支持部材47と、遮蔽部材41aを駆動する駆動手段49と、駆動手段49を覆うカバー部材48とを備えている。
【0030】
遮蔽部材41aは、表示画面14の左側の三角形領域70aを遮蔽可能に構成されたものである。この遮蔽部材41aは、三枚の遮蔽板50a〜50cからなる伸縮式である。三枚の遮蔽板50a〜50cは、等脚台形状をなす第一遮蔽板50aと、第一遮蔽板50aより小さい等脚台形状をなす第二遮蔽板50bと、二等辺三角形状をなす第三遮蔽板50cとからなる。ここで、夫々の遮蔽板50a〜50cは、三角形領域70aを遮蔽部材41aの進退方向に三等分して得られる三角部分と大小2つの等脚台形部分に相当する形状をなしており、三枚の遮蔽板50a〜50cが遮蔽部材41aの進出方向に連続することで、表示画面14の左側の三角形領域70aを遮蔽可能な二等辺三角形状を形成するよう構成される。
【0031】
各遮蔽板50a〜50cについて詳述すると、等脚台形状の第一遮蔽板50aは、支持部材47に形成された左右方向の案内レール51に沿って摺動可能に配設されて、表示画面14の正面側から退避する左方の退避位置と、表示画面14の正面側に進出する右方の進出位置との間を移動可能となっている。そして、第一遮蔽板50aが進出位置にある状態では、三角形領域70aの、表示画面14の辺縁寄りの等脚台形状部分が第一遮蔽板50aによって遮蔽されるよう構成される。
【0032】
等脚台形状の第二遮蔽板50bは、第一遮蔽板50aに対して左右に摺動可能に配設されて、第一遮蔽板50aの背面側に隠れる左方の退避位置と、正面視において第一遮蔽板50aと1つの等脚台形状を形成する右方の進出位置との間を移動可能となっている。
【0033】
二等辺三角形状の第三遮蔽板50cは、第二遮蔽板50bに対して左右に摺動可能に配設されて、第二遮蔽板50bの背面側に隠れる左方の退避位置と、正面視において第二遮蔽板50bと1つの二等辺三角形状を形成する進出位置との間を移動可能となっている。
【0034】
かかる構成にあっては、遮蔽部材41aは、三枚全ての遮蔽板50a〜50cが退避位置となる全退避状態では、
図6(a)、7(a)、8(a)に示すように、三枚の遮蔽板50a〜50cが重なり合って、表示画面14の正面側から退避することとなる。また、遮蔽部材41aは、三枚全ての遮蔽板50a〜50cが進出位置となる全進出状態では、
図6(b)、7(b)、8(b)に示すように、各遮蔽板50a〜50cが遮蔽する2つの台形部分と1つの三角形部分が左右に連続して、左側の三角形領域70aと略同形の三角形を形成することで、三角形領域70aの全体を遮蔽するよう構成される。
【0035】
駆動手段49は、三枚の遮蔽板50a〜50cを退避位置と進出位置に移動させることにより、遮蔽部材41aを、全退避状態と全進出状態に変換する。ここで、駆動手段49は、三枚の遮蔽板50a〜50cを同時に移動させるのではなく、一枚ずつ退避位置から進出位置に、又は進出位置から退避位置に移動させる。そして、遮蔽板50a〜50cを二通りの順番で移動させ得るよう構成される。具体的には、本実施例では、第一遮蔽板50aが第一遮蔽部、第二遮蔽板50b及び第三遮蔽板50cが第二遮蔽部となっており、駆動手段49は、遮蔽部材41aを全退避状態から全進出状態に変換する場合は、
図10中の(a)→(d)→(e)→(f)のように第一遮蔽板50aを先に進出位置に移動させる場合と、
図10中の(a)→(b)→(c)→(f)のように第二遮蔽板50b及び第三遮蔽板50c(第二遮蔽部)を先に進出位置に移動させる場合の二通りの順序で変換可能となっている。反対に、遮蔽部材41aを全進出状態から全退避状態に変換する場合は、
図10中の(f)→(c)→(b)→(a)のように第一遮蔽板50aを先に退避位置に移動させる場合と、
図10中の(f)→(e)→(d)→(a)のように第二遮蔽板50b及び第三遮蔽板50cを先に退避位置に移動させる場合の二通りの順序で変換可能となっている。また、駆動手段49は、第二遮蔽板50b及び第三遮蔽板50cを進出位置に変換する場合は、第二遮蔽板50b→第三遮蔽板50cの順番に進出位置に移動させるよう構成される。反対に、第二遮蔽部を退避状態に変換する場合は、第三遮蔽板50c→第二遮蔽板50bの順番に退避位置に移動させるよう構成される。
【0036】
このように、駆動手段49は、第一遮蔽板50a(第一遮蔽部)を先に進出位置にする順番と、第二遮蔽板50b及び第三遮蔽板50c(第二遮蔽部)を先に進出位置にする順番と、の二通りの順番で、遮蔽板50a〜50cを全退避状態と全進出状態とに変換可能に構成される。このため、駆動手段49は、全退避状態と全進出状態との変換途中で遮蔽板50a〜50cの移動を停止することにより、第一遮蔽板50aのみが進出位置となる中台形進出状態(
図10(d)参照)と、第二遮蔽板50b及び第三遮蔽板50cの2つのみが進出位置となる三角形進出状態(
図10(c))の2つの遷移状態に遮蔽部材41aを変換できる。また、上述のように、駆動手段49は、第二遮蔽板50b及び第三遮蔽板50cを同時に移動させず、第二遮蔽板50bが進出位置となるとともに、第三遮蔽板50cが退避位置となる中間状態に変換可能に構成されている。このため、駆動手段49は、上記二通りの順番にあって、第二遮蔽板50b及び第三遮蔽板50c(第二遮蔽部)を中間状態に変換することで、第二遮蔽板50bのみが進出位置となる小台形進出状態(
図10(b)参照)と、第一遮蔽板50aと第二遮蔽板50bの2つが進出位置となる大台形進出状態(
図10(e)参照)の2つの遷移状態に遮蔽部材41aを変換できる。
【0037】
駆動手段49について詳述すると、
図11,12に示すように、駆動手段49は、駆動源となるステッピングモータ54と、平面溝カム55と、ステッピングモータ54の駆動力を平面溝カム55に伝達する歯車56と、平面溝カム55の回転に合わせて傾動する二本のカムアーム57a,57bと、各カムアーム57a,57bの動きを遮蔽板50a,50cに伝達する連繋アーム58a,58bと、第二遮蔽板50bを進出位置に付勢するテンションアーム61とを備えている。
【0038】
平面溝カム55は、両面にカム用溝59a,59bが形成された歯車状部材であり、ステッピングモータ54の回転軸に固定された歯車56と噛合して、ステッピングモータ54によって駆動される。ステッピングモータ54は、遮蔽制御基板45からの信号に応じた角度で回転するものである。平面溝カム55の周囲には平面溝カム55の回転角度を検知するための3つの角度センサ60が配設されており、かかる角度センサ60の検知信号に基づいて遮蔽制御基板45が平面溝カム55の回転角度を制御し得るよう構成される。
【0039】
二本のカムアーム57a,57bのうち、第一のカムアーム57aは、一端を平面溝カム55の表面のカム用溝59aと係合させ、他端を、第一の連繋アーム58aを介して第一遮蔽板50aと連繋させており、平面溝カム55の回転に伴って、第一遮蔽板50aを左右方向に移動させるよう構成されている。
【0040】
二本のカムアーム57a,57bのうち、第二のカムアーム57bは、一端を平面溝カム55の裏面のカム用溝59bと係合させ、他端を、第二の連繋アーム58bを介して第三遮蔽板50cと連繋させており、平面溝カム55の回転に伴って、第三遮蔽板50cを左右方向に移動させるよう構成されている。
【0041】
かかる駆動手段49は、
図13(a)に示すように、平面溝カム55が所定の基準角度のときに、二本のカムアーム57a,57bが、三枚全ての遮蔽板50a〜50cを退避位置に移動させて、遮蔽部材41aを全退避状態にするよう構成される。また、駆動手段49は、平面溝カム55をかかる基準角度から90°回転させたときに、
図13(b)に示すように、二本のカムアーム57a,57bが、三枚全ての遮蔽板50a〜50cを進出位置に移動させて、遮蔽部材41aを全進出状態にするよう構成される。
【0042】
ここで、駆動手段49は、平面溝カム55の表裏のカム用溝59a,59bを非対称形状とすることによって、平面溝カム55を基準位置から回転させたときに、その回転方向によって遮蔽板50a〜50cの移動する順番が異なるよう構成されている。すなわち、
図13(a)に示す状態で、平面溝カム55を反時計回りに90°回転させると、遮蔽板50a〜50cは、
図10中の、(a)→(b)→(c)→(f)の順番で進出位置に移動し、平面溝カム55を時計回りに90°回転させると、遮蔽板50a〜50cは、
図10中の、(a)→(d)→(e)→(f)の順番で進出位置に移動する。
【0043】
詳述すると、平面溝カム55を基準位置(全退避状態)から反時計回りに30°回転させると、
図10(b)に示すように、第二カムアーム57bのみが傾動して、連繋アーム58bを介して第三遮蔽板50cを可動範囲の三分の一だけ右方移動させる。この時、進出方向に付勢される第二遮蔽板50bが第三遮蔽板50cとともに右方移動して進出位置となることにより、遮蔽部材41aは、第二遮蔽板50bのみが進出位置となる小台形進出状態になる。
【0044】
図10(b)に示す小台形進出状態から、平面溝カム55を反時計回りにさらに30°回転させると、
図10(c)に示すように、第二カムアーム57bのみが傾動して、連繋アーム58bを介して第三遮蔽板50cを可動範囲の三分の一だけ、さらに右方移動させる。この時、第二遮蔽板50bは既に進出位置に達しているため、第三遮蔽板50cのみが右方移動して進出位置となり、これにより、遮蔽部材41aは、第二遮蔽板50b及び第三遮蔽板50cが進出位置となる三角形進出状態になる。
【0045】
図10(c)に示す三角形進出状態から、平面溝カム55を反時計回りにさらに30°回転させると、
図10(f)に示すように、二本のカムアーム57a,57bが傾動して、二本の連繋アーム58a,58bを介して第一遮蔽板50aと第三遮蔽板50cを協調的に右方移動させる。この時、進出方向に付勢される第二遮蔽板50bは、他の遮蔽板50a,50cとともに右方に移動するため、かかる段階では、三枚の遮蔽板50a〜50cが一体となって右方移動し、最後まで退避位置にあった第一遮蔽板50aが進出位置に移動することにより、遮蔽部材41aは全進出状態となる。
【0046】
一方、平面溝カム55を基準位置から時計回りに30°回転させると、
図10(d)に示すように、二本のカムアーム57a,57bが傾動して、二本の連繋アーム58a,58bを介して第一遮蔽板50aと第三遮蔽板50cを協調的に右方移動させる。また、第二遮蔽板50bも、付勢力によって他の遮蔽板50a,50cとともに右方に移動する。このように、かかる段階では、退避位置にある三枚の遮蔽板50a〜50cが一体となって右方移動するため、第一遮蔽板50aのみが退避位置から進出位置に移動することとなり、遮蔽部材41aは、第一遮蔽板50aのみが進出位置となる中台形進出状態になる。
【0047】
図10(d)に示す中台形進出状態から、平面溝カム55を反時計回りにさらに30°回転させると、
図10(e)に示すように、第二カムアーム57bのみが傾動して、連繋アーム58bを介して第三遮蔽板50cを可動範囲の三分の一だけ、さらに右方移動させる。この時、進出方向に付勢される第二遮蔽板50bが第三遮蔽板50cとともに右方移動して進出位置となることにより、遮蔽部材41aは、第一遮蔽板50aと第二遮蔽板50bが進出位置となる大台形進出状態になる。
【0048】
図10(e)に示す大台形進出状態から、平面溝カム55を反時計回りにさらに30°回転させると、
図10(f)に示すように、第二カムアーム57bのみが傾動して、連繋アーム58bを介して第三遮蔽板50cを可動範囲の限界まで右方移動させる。この時は、第二遮蔽板50bは既に進出位置に達しているため、かかる段階では、第三遮蔽板50cのみが右方移動して、最後まで退避位置にあった第三遮蔽板50cが進出位置に移動することにより、遮蔽部材41aが全閉状態となる。
【0049】
このように、駆動手段49は、平面溝カム55を全退避状態から反時計回りに回転させると、小台形進出状態と三角形進出状態の2つの遷移状態を経由して全進出状態となり、平面溝カム55を全退避状態から時計回りに回転させると、中台形進出状態と大台形進出状態の2つの遷移状態を経由して全進出状態となるよう構成される。なお、かかる全退避状態から全進出状態への変換は可逆的であり、平面溝カム55を全進出状態から時計回りに90°回転させると、三角形進出状態と小台形進出状態を経由して全退避状態となり、反時計回りに90°回転させると、大台形進出状態と中台形進出状態を経由して全退避状態となる。
【0050】
このように、遮蔽部材41aは、駆動手段49によって、全開状態と全閉状態に加えて、一部の遮蔽板50a〜50cが進出位置に位置する4つの遷移状態に変換可能に構成される。なお、駆動手段49は、ステッピングモータ54を30°よりも小さいステップ角度で回転させることにより、上記4つの遷移状態以外にも、遮蔽板50a〜50cが進出位置と退避位置の間に位置する状態に遮蔽部材41aを変換可能となっている。
【0051】
以上に、左遮蔽ユニット40aについて詳述したが、その他の遮蔽ユニット40b〜40dは、左遮蔽ユニット40aと基本的に同一構成である。すなわち、画面遮蔽装置17の全ての遮蔽ユニット40a〜40dは、遮蔽部材41a〜41dが三枚の遮蔽板50a〜50cからなり、夫々の駆動手段49によって全進出状態と全退避状態と4種類の遷移状態とに、遮蔽部材41a〜41dを変換可能となっている。なお、表示画面14の右方に配設される右遮蔽ユニット40bは、左遮蔽ユニット40aと同一形状の遮蔽部材41bを具備している。一方、表示画面14の上下に配設される上遮蔽ユニット40cと下遮蔽ユニット40dは、遮蔽する三角形領域70c,70dの形状に合わせて、遮蔽板50a〜50cが左遮蔽ユニット40aに比べて幅広な遮蔽部材41c,41dを具備している。
【0052】
画面遮蔽装置17の遮蔽制御基板45は、各遮蔽ユニット40a〜40dのステッピングモータ54及び角度センサ60と接続されており、後述するように、サブ制御基板21からの入力信号を受信すると、ステッピングモータ54を駆動して、平面溝カム55を所要角度に回転させることで、各遮蔽ユニット40a〜40dの遮蔽部材41a〜41dを、全進出状態、全退避状態及び4つの遷移状態に選択的に変換し得るよう構成されている。なお、ステッピングモータ54による遮蔽部材41a〜41dの状態変換は、1秒以内に終了されるよう構成されている。
【0053】
具体的には、遮蔽制御基板45は、4組の遮蔽部材41a〜41dを同じ状態に制御することで、画面遮蔽装置17を、以下の(1)〜(6)の状態に変換可能となっている。
(1)全開状態
図14(a)に示すように、全ての遮蔽部材41a〜41dが全退避状態となった状態である。かかる全開状態では表示画面14は遮蔽部材41a〜41dによって遮蔽されず、表示画面14の全体が非遮蔽領域71となる。
(2)全閉状態
図14(f)に示すように、全ての遮蔽部材41a〜41dが全進出状態となった状態である。かかる全閉状態では、表示画面14の4つの三角形領域70a〜70dが、各遮蔽部材41a〜41dによって遮蔽されて、表示画面14は完全に遮蔽される。
(3)中サイズ表示状態
図14(b)に示すように、全ての遮蔽部材41a〜41dが中台形進出状態となった状態である。かかる中サイズ表示状態では、4組の遮蔽部材41a〜41dの第一遮蔽板50aが、表示画面14の外周部を矩形枠状に遮蔽することにより、非遮蔽領域71が、表示画面14の中心を基準に表示画面14の縦横寸法を2/3倍に縮小した矩形状となる。
(4)小サイズ表示状態
図14(c)に示すように、全ての遮蔽部材41a〜41dが大台形進出状態となった状態である。かかる小サイズ表示状態では、4組の遮蔽部材41a〜41dの第一遮蔽板50aと第二遮蔽板50bが、表示画面14の外周部を矩形枠状に遮蔽することにより、非遮蔽領域71が、表示画面14の中心を基準に表示画面14の縦横寸法を1/3倍に縮小した矩形状となる。
(5)放射形表示状態
図14(d)に示すように、全ての遮蔽部材41a〜41dが小台形進出状態となった状態である。かかる放射形表示状態では、非遮蔽領域71が、表示画面14の四隅に向けて放射状に広がる形状となる。
(6)X字状表示状態
図14(e)に示すように、全ての遮蔽部材41a〜41dが三角形進出状態となった状態である。かかるX字状表示状態では、表示画面14の上下左右の辺縁の中央部から、表示画面14の中心方向に突出する三角形状に表示画面14が遮蔽されることにより、非遮蔽領域71が、表示画面14の中心を交点として表示画面14の四隅に向けて広がるX字状となる。
【0054】
また、遮蔽制御基板45は、4つの遮蔽部材41a〜41dの2つを全退避状態に、残り2つを全進出状態に変換することで、画面遮蔽装置17を対角線表示状態に変換可能となっている。対角線表示状態では、表示画面14をいずれか一本の対角線D1,D2で分割してなる2つの対角線分割領域72a〜72dのうち一方が遮蔽されて、他方が非遮蔽領域71となる。対角線表示状態は、表示画面14を分割する対角線D1,D2と、非遮蔽領域71となる対角線分割領域72a〜72dとにより、以下の(7)〜(10)の4種類が存在する。
(7)第一対角線表示状態
図15(a)に示すように、左遮蔽ユニット40aと上遮蔽ユニット40cの遮蔽部材41a,41cが全退避状態となり、右遮蔽ユニット40bと下遮蔽ユニット40dの遮蔽部材41b,41dが全進出状態となった状態である。かかる第一対角線表示状態では、対角線D1で分割された表示画面14の左上部の対角線分割領域72aが非遮蔽領域71となり、表示画面14の右下部の対角線分割領域72bが遮蔽される。
(8)第二対角線表示状態
図15(b)に示すように、左遮蔽ユニット40aと上遮蔽ユニット40cの遮蔽部材41a,41cが全進出状態となり、右遮蔽ユニット40bと下遮蔽ユニット40dの遮蔽部材41b,41dが全退避状態となった状態である。かかる第二対角線表示状態では、対角線D1で分割された表示画面14の左上部の対角線分割領域72aが遮蔽され、表示画面14の右下部の対角線分割領域72bが非遮蔽領域71となる。
(9)第三対角線表示状態
図15(c)に示すように、左遮蔽ユニット40aと下遮蔽ユニット40dの遮蔽部材41a,41dが全退避状態となり、右遮蔽ユニット40bと上遮蔽ユニット40cの遮蔽部材41b,41cが全進出状態となった状態である。かかる第三対角線表示状態では、対角線D2で分割された表示画面14の左下部の対角線分割領域72cが非遮蔽領域71となり、表示画面14の右上部の対角線分割領域72dが遮蔽される。
(10)第四対角線表示状態
図15(d)に示すように、左遮蔽ユニット40aと下遮蔽ユニット40dの遮蔽部材41a,41dが全進出状態となり、右遮蔽ユニット40bと上遮蔽ユニット40cの遮蔽部材41b,41cが全退避状態となった状態である。かかる第四対角線表示状態では、対角線D2で分割された表示画面14の左下部の対角線分割領域72cが遮蔽され、表示画面14の右上部の対角線分割領域72dが非遮蔽領域71となる。
【0055】
また、遮蔽制御基板45は、4つの遮蔽部材41a〜41dのうち、対向する2つを大台形進出状態に、残り2つを全退避状態に変換することにより、画面遮蔽装置17を奥行表示状態に変換可能となっている。奥行表示状態では、非遮蔽領域71が、遮蔽部材41a〜41dが進出しない2つの辺縁から表示画面14の中央に向けて縮幅する形状となる。奥行表示状態は、大台形進出状態に変換される遮蔽部材41a〜41dにより、以下の(11),(12)の2種類が存在する。
(11)第一奥行表示状態
図16(a)に示すように、左右の遮蔽部材41a,41bが全退避状態となり、上下の遮蔽部材41c,41dが大台形進出状態となった状態である。かかる第一奥行表示状態では、上下の遮蔽部材41c,41dが、表示画面14の上下の辺縁を夫々底辺とする等脚台形状に表示画面14を遮蔽する。そして、これにより、表示画面14の非遮蔽領域71は、表示画面14の左右の辺縁を夫々底辺とし、表示画面14の中央に向けて縮幅する等脚台形状をなす左右一対の台形状非遮蔽領域74a,74bと、表示画面14の中央にあって、台形状非遮蔽領域74a,74bの間に形成される矩形状非遮蔽領域73とによって構成される。ここで、矩形状非遮蔽領域73は、表示画面14を中心を基準に縦横寸法を1/3倍に縮小してなる相似形状をなしており、台形状非遮蔽領域74a,74bは、夫々の脚が表示画面14の対角線に沿った等脚台形状をなしている。
(12)第二奥行表示状態
図16(b)に示すように、左右の遮蔽部材41a,41bが大台形進出状態となり、上下の遮蔽部材41c,41dが全退避状態となった状態である。かかる第二奥行表示状態では、左右の遮蔽部材41a,41bが、表示画面14の左右の辺縁を夫々底辺とする等脚台形状に表示画面14を遮蔽する。そして、これにより、表示画面14の非遮蔽領域71は、表示画面14の上下の辺縁を夫々底辺とし、表示画面14の中央に向けて縮幅する等脚台形状をなす上下一対の台形状非遮蔽領域74c,74dと、表示画面14の中央にあって、台形状非遮蔽領域74c,74dの間に形成される矩形状非遮蔽領域73とによって構成される。かかる第二奥行表示状態の矩形状非遮蔽領域73は、第一奥行表示状態と同じであり、台形状非遮蔽領域74c,74dは、夫々の脚が表示画面14の対角線に沿った等脚台形状をなしている。
【0056】
なお、以上の(1)〜(12)の状態は、画面遮蔽装置17の変換可能な状態の一部に過ぎず、画面遮蔽装置17は、4組の遮蔽部材41a〜41dを上記6通りの状態に変換することで、1296(6の4乗)通りの状態に変換でき、表示画面14を1000通り以上のパターンで遮蔽可能となっている。
【0057】
このように、画面遮蔽装置17は、4組の遮蔽部材41a〜41dを、第一遮蔽板50aのみが進出位置となる中台形進出状態と、第二遮蔽板50b及び第三遮蔽板50cの2つが進出位置となる三角形進出状態に変換可能となっているため、各遮蔽部材41a〜41dをこれらの状態に変換することで、非遮蔽領域71を、表示画面14の相似形状に縮小したり、X字形状にしたりするなど、表示画面14を多様な形態で遮蔽可能となっている。
【0058】
また、画面遮蔽装置17の各遮蔽部材41a〜41dは、三枚全ての遮蔽板50a〜50cを連続させることによって、三角形領域70a〜70dの全体を漸く遮蔽可能となる程度の小さなものであり、さらには、表示画面14の正面側から退避する全退避状態では、遮蔽板50a〜50cを重ねることで表示画面14の周囲にコンパクトに収容可能である。このため、本実施例の画面遮蔽装置17は、表示画面14の上下左右に遮蔽部材41a〜41dを具備していても、嵩張ったものとはならない。スロットマシンのサイズは、遊技場の設置スペースに合わせて実質的に規格化されているため、大がかりな演出装置を筐体内部に配設することができないが、かかる画面遮蔽装置17であれば、既存のスロットマシンの筐体内に適切に収容することができる。したがって、かかる画面遮蔽装置17を既存のスロットマシンに配設すれば、表示画面14を多様な形態で遮蔽可能となり、遊技者を飽きさせることのない、興趣に富んだ演出が可能となる。
【0059】
また、本実施例にあって、各遮蔽部材41a〜41dの第二遮蔽部(第二遮蔽板50b及び第三遮蔽板50c)は、駆動手段49によって、第二遮蔽板50bのみが進出位置となる中間状態に変換可能に構成されている。このため、各遮蔽部材41a〜41dの第二遮蔽部を中間状態に変換して画面遮蔽装置17を上記小サイズ表示状態等に変換することで、表示画面14をより多様な形状で遮蔽できるという利点がある。
【0060】
また、本実施例では、個々の遮蔽部材41a〜41dに対して駆動手段49が配設されており、4組の遮蔽部材41a〜41dの状態を、遮蔽部材41a〜41dごとに変換可能となっている。このため、一部の遮蔽部材41a〜41dを他の遮蔽部材41a〜41dとは異なる状態に制御することにより、画面遮蔽装置17を上記対角線表示状態や奥行表示状態等の状態に変換できるという利点がある。後述するように、本実施例では、画面遮蔽装置17の対角線表示状態や奥行表示状態で、非遮蔽領域71の形状に合わせた画像を表示画面14に表示することにより、興趣に富んだ演出が実現される。
【0061】
次に、スロットマシン1の作動を制御する制御回路を、
図17を参照して説明する。
【0062】
メイン制御基板20は、CPU、RAM、ROM等を備え、主に遊技の進行に関する制御を行うものである。メイン制御基板20の入力ポートには、電源ボックス18、投入センサ24、ベットスイッチ5a,5b、スタートスイッチ6、ストップスイッチ7、精算スイッチ8、設定変更スイッチ25が接続される。また、メイン制御基板20の出力ポートには、リール9、ホッパーユニット19、外部端子板26、サブ制御基板21が接続される。また、本実施例にあっては、メイン制御基板20のROMには、後述するメイン側演出の演出パターンに関する固定データなどが記憶される。
【0063】
電源ボックス18は、スロットマシン1の各機器に電力を供給するためのものであり、電源のON/OFFを切り替えるための電源スイッチ28と、各役への当選確率を変更(いわゆる設定変更)するための設定キースイッチ29とを備えている。
【0064】
投入センサ24は、スロットマシン1に投入されたメダルを検出するものである。投入センサ24は、前扉3の裏側に備えられたメダルセレクタ(図示省略)のメダル通路に配設され、メダル通路を通過するメダルを1枚ずつ検知し、メダルを検知する毎に投入信号を出力する。
【0065】
ベットスイッチ5a,5bは、クレジットされているメダルを投入するためのものである。ベットスイッチ5a,5bとしては、シングルベットスイッチ5a、とマックスベットスイッチ5bとが備えられている。シングルベットスイッチ5aは、クレジットされているメダルを1枚ずつ投入する。マックスベットスイッチ5bは、1ゲーム当たりの最大投入枚数のメダルを投入する。
【0066】
スタートスイッチ6は、リール9の回転を開始させるものである。本実施例では、レバー式スイッチが用いられており、レバーを傾動させることで、三つのリール9が回転を開始する。
【0067】
三つのストップスイッチ7は、リール9の回転を停止させるものである。各ストップスイッチ7は、個々のリール9に対応付けられており、ストップスイッチ7を押圧操作すると、対応したリール9が所定遅延時間内に停止するよう構成されている。
【0068】
精算スイッチ8は、クレジットされているメダル、及び投入されたものの未だ遊技に用いられていないメダルを返却するためのものである。
【0069】
設定変更スイッチ25は、電源ボックス18の設定キースイッチ29とともに設定変更を行うためのものであり、前扉3の背面側に設けられている。
【0070】
三つのリール9は、円筒形状をなしており、その外周面には「赤7」「BAR」「チェリー」「ベル」「スイカ」「リプレイ」などの図柄が合計21個配されている。各リール9はステッピングモータ30を備えており、各ステッピングモータ30によって三つのリール9を回転させ、任意の角度で停止させることで、リール視認窓4に外周面の図柄を選択的に表示させ得るよう構成されている。リール視認窓4には、入賞ラインが予め設定されており、後述するように、リール9が停止したときに、入賞ラインの上に表示された図柄の組合せによって入賞したか否かが決定される。
【0071】
ホッパーユニット19はメダルを払い出すためのものであり、メダルを貯留するタンクと、タンクのメダルを払出口に向けて送り出す送出機構とを備えている。送出機構は、駆動源となるモータ31と、送出されるメダルを検出するための払出センサ32とを備えている。
【0072】
外部端子板26は、遊技情報(投入・払出情報、遊技履歴情報、エラー情報など)を外部出力し、遊技場設備によってスロットマシン1の大当り履歴などの情報を閲覧可能とするものである。
【0073】
サブ制御基板21は、CPU、RAM、ROM等を備えている。サブ制御基板21は、主に演出の制御を行うものであり、サブ制御基板21のROMには、多岐に亘る演出パターンに関する固定データが記憶される。後述する画面遮蔽演出に係る演出パターンに関する固定データも、このサブ制御基板21のROMに記憶される。サブ制御基板21の入力ポートには、メイン制御基板20と演出ボタンユニット13が接続される。サブ制御基板21は、メイン制御基板20から入力される信号と、演出ボタンユニット13からの信号に基づいて演出パターンを選択し、選択した演出パターンを実行させるために、演出用ランプ12やスピーカ11にコマンドを送信し、さらには、画像表示器10に所要の画像を表示させるために画像制御基板22にコマンドを送信する。
【0074】
また、サブ制御基板21の出力ポートには、画面遮蔽装置17が接続されており、サブ制御基板21は、画像表示器10の表示画面14を遮蔽する画面遮蔽演出を実行すると決定した場合は、当該画面遮蔽演出を実現するために、所要のタイミングで画面遮蔽装置17にコマンドを送信して、画面遮蔽装置17を作動させる。具体的には、サブ制御基板21からのコマンドは、画面遮蔽装置17の遮蔽制御基板45に入力され、画面遮蔽装置17の遮蔽制御基板45が当該コマンドにしたがって、各遮蔽ユニット40a〜40dのステッピングモータ54を作動させ、各遮蔽部材41a〜41dの状態を維持又は変換することで、画面遮蔽装置17を所要の状態に変換する。また、画面遮蔽演出を実行する際には、サブ制御基板21は、画像制御基板22にもコマンドを送信し、画面遮蔽装置17が表示画面14を遮蔽する形状に合わせた画像を、表示画面14に表示させる。
【0075】
画像制御基板22は、CPU、RAM、ROM等を備え、画像表示器10の表示制御を行うものである。画像制御基板22のROMには、画像表示器10に表示する演出用画像を生成するためのデータが多量に記憶される。すなわち、画面遮蔽演出中に表示画面14に表示される画像を生成するためのデータは、画像制御基板22のROMに記憶される。画像制御基板22は、サブ制御基板21からコマンドを受信すると、CPUにおいて演算処理し、演出用画像のデータをRAMに書きこんで画像表示器10に出力し、サブ制御基板21が選択した演出パターン通りの演出用画像を画像表示器10の表示画面14に表示させる。
【0076】
本実施例のスロットマシン1では、上述のように、遊技中に、画面遮蔽装置17が表示画面14を遮蔽する画面遮蔽演出が実行される。また、画面遮蔽演出では、画面遮蔽装置17の動作に合わせて表示画面14に所要の画像が表示されて、画面遮蔽装置17の動作と画像表示器10の表示内容とを組み合わせた演出が実行される。上述のように、本実施例では、画面遮蔽装置17によって表示画面14の非遮蔽領域71を様々な形状に変化可能であるため、以下に説明するように、本実施例では、非遮蔽領域71の形状を活かした様々な画面遮蔽演出が実現される。具体的には、本実施例では、以下のバトル導入演出、ステージ選択演出、ステップアップ演出などにおいて画面遮蔽演出が実行される。以下に、夫々の演出の詳細を説明する。
【0077】
以下に、バトル導入演出について説明する。
バトル導入演出は、いわゆるバトル演出の開始時に実行される演出である。バトル演出は、味方キャラクタと敵キャラクタとが対戦する演出画像が表示され、勝利するキャラクタによって、遊技者に有利な遊技状態となるか否かを遊技者に報知する演出である。本実施例では、バトル演出で味方キャラクタと対戦する敵キャラクタが複数種類用意されており、バトル演出で勝利する期待度が、対戦する敵キャラクタによって示唆される。すなわち、どの敵キャラクタと対戦するかは、バトル演出において遊技者が大いに注目するところである。そして、このバトル演出の開始時に、対戦相手の敵キャラクタを明らかにする演出が、バトル導入演出である。
【0078】
バトル導入演出では、表示画面14を一本の対角線D1,D2で分割してなる2つの対角線分割領域72a〜72dに、対戦する味方キャラクタと敵キャラクタの画像H1,H2を表示することで、バトル演出で対戦する敵キャラクタを明らかにする。ここで、バトル導入演出では、画面遮蔽装置17を対角線表示状態に変換することで、敵キャラクタの画像H2が表示される対角線分割領域72a〜72dを遮蔽しておき、画面遮蔽装置17が対角線表示状態から全開状態に変換するのに伴って、対戦する敵キャラクタを明らかにする画面遮蔽演出(対角線演出)が実行される。
【0079】
バトル導入演出を、一演出例に基づいて具体的に説明する。まずバトル導入演出の開始前は、
図18(a)に示すように、画面遮蔽装置17は全開状態にあり、表示画面14に通常演出用の画像Rが表示される。そして、バトル導入演出の開始時には、
図18(b)に示すように、表示画面14が対角線D1で左上と右下の対角線分割領域72a,72bに分割され、左上の対角線分割領域72aに味方キャラクタの画像H1が表示される。この時点では、右下の対角線分割領域72bには背景のみが表示される。そして、
図18(b)に示す画像が数秒表示された後、対角線演出が開始される。すなわち、
図18(c)に示すように、画面遮蔽装置17が第一対角線表示状態に変換して、右下の対角線分割領域72bが遮蔽される。第一対角線表示状態になった段階で、右下の対角線分割領域72bには、
図18(d)に示すように敵キャラクタの画像H2が表示されるが、対角線分割領域72bが遮蔽されているため、かかる段階では、遊技者は、どの敵キャラクタの画像H2が表示されているか判別できない。そして、第一対角線表示状態に変換されてから数秒が経過すると、
図18(d)に示すように、画面遮蔽装置17が全開状態に変換して、右下の対角線分割領域72bに表示された敵キャラクタの画像H2を視認可能となり、対戦相手の敵キャラクタが明らかにされる。そして、
図18(d)に示す状態がしばらく表示されると、バトル導入演出は終了し、対角線分割領域72a,72bに表示された味方キャラクタと敵キャラクタが対戦するバトル演出が開始される。
【0080】
また、上記対角線演出では、画面遮蔽装置17が、第一対角線表示状態から全開状態に変換する前に、遮蔽された対角線分割領域72bの一部を視認可能とする部分開示演出が複数回実行される。開示演出には、表示画面14の中央部を視認可能とする第一の部分開示演出と、表示画面14の対角線部分を視認可能とする第二の部分開示演出とがある。
【0081】
第一の部分開示演出では、
図19に示すように、対角線表示状態(
図19(a))から全開状態(
図19(c))に変換する前に、対角線分割領域72bを遮蔽する遮蔽部材41b,41dの第三遮蔽板50cが、ごく短時間(例えば、0.2秒)だけ退避位置に移動して(
図19(b))、進出位置に復帰する。したがって、かかる第一の部分開示演出では、遮蔽された対角線分割領域72bの、表示画面14の中央部がごく短時間だけ非遮蔽状態となって、遮蔽部材41b,41dで遮蔽された敵キャラクタの画像H2を部分的に視認可能となる。
【0082】
また、第二の部分開示演出では、
図20に示すように、対角線表示状態(
図20(a))から全開状態(
図20(c))に変換する前に、対角線分割領域72bを遮蔽する遮蔽部材41b,41dの第一遮蔽板50aが、ごく短時間(例えば、0.2秒)だけ退避位置の方向に移動して(
図20(b))、進出位置に復帰する。したがって、かかる第二の部分開示演出では、遮蔽された対角線分割領域72bの、表示画面14の対角線D1,D2周辺部がごく短時間だけ非遮蔽状態となって、遮蔽部材41b,41dで遮蔽された敵キャラクタの画像H2を部分的に視認可能となる。
【0083】
このように、部分開示演出では、遮蔽された敵キャラクタの画像H2の全体が明らかになる前に、当該画像H2の一部が視認可能となるため、かかる部分開示演出によれば、遊技者に敵キャラクタを推測する手掛かりを与え、遊技者の想像をかき立てることで、バトル導入演出を盛り上げることができる。
【0084】
なお、
図18は、バトル導入演出の一例に過ぎず、バトル導入演出では、右下の対角線分割領域72bに味方キャラクタの画像H1を表示し、左上の対角線分割領域72aに敵キャラクタの画像H2を表示する演出も行われる。かかる演出では、画面遮蔽装置17が第二対角線表示状態に変換されることにより、左上の対角線分割領域72aを遮蔽する対角線演出が行われる。また、
図21(a),21(b)に示すように、表示画面14を他方の対角線D2で、右上と左下の対角線分割領域72c,72dに分割するバトル導入演出も行われる。この場合は、画面遮蔽装置17が第三対角線表示状態や第四対角線表示状態に変換されることにより、いずれかの対角線分割領域72c,72dに表示される敵キャラクタの画像H2を遮蔽する対角線演出が実行されることとなる。
【0085】
ここで、本実施例では、味方キャラクタと敵キャラクタの一方が斜め上に配置され、他方が斜め下に配置されることとなるため、斜め上に配置されるキャラクタの方が優位な印象を与えることができる。そして、本実施例にあっては、バトル導入演出において、味方キャラクタの勝利する期待度が比較的高い場合には、斜め上の対角線分割領域72a,72cに味方キャラクタの画像H1を表示し、味方キャラクタの勝利する期待度が比較的低い場合には、斜め下の対角線分割領域72b,72dに味方キャラクタの画像H1を表示することで、バトル演出において味方キャラクタが勝利する期待度を、遊技者に直感的に理解させ得るようにしている。
【0086】
このように、バトル導入演出にあっては、対戦する味方キャラクタと敵キャラクタの画像H1,H2、表示画面14の中で最長の線分である対角線D1,D2を挟んで斜めに対向するように表示するため、味方キャラクタと敵キャラクタを単に横並びに表示するのに比べて、両キャラクタの対立関係を強調しつつ、各キャラクタの画像H1,H2を開放感のある態様で表示でき、また、両キャラクタの画像H1,H2に躍動感を付与することもできる。そして、本実施例にあっては、対角線演出によって、敵キャラクタの画像H2が表示された対角線分割領域72a〜72dを、画面遮蔽装置17で一時的に遮蔽してから、遊技者に視認可能とすることで、敵キャラクタを明らかにするバトル導入演出を効果的に盛り上げることができる。
【0087】
また、本実施例の画面遮蔽装置17は、4つの遮蔽部材41a〜41dのうち2つを選択的に全進出状態とし、残り2つを全退避状態とすることにより、任意の対角線分割領域72a〜72dを遮蔽可能に構成されているため、対戦する敵キャラクタの画像H2が、どの対角線分割領域72a〜72dに表示される場合でも、当該敵キャラクタの画像H2を対角線演出によって明らかにできるという利点がある。
【0088】
特に、本実施例にあっては、画面遮蔽装置17は、表示画面14を2本の対角線D1,D2で4つの三角形領域70a〜70dに分割して、4組の遮蔽部材41a〜41dで三角形領域70a〜70dを個別に遮蔽するよう構成されたものであり、個々の遮蔽部材41a〜41dは、表示画面14を四分割した三角形領域70a〜70dを遮蔽する程度の小さなものであるから、遮蔽部材41a〜41dを4組備えていても画面遮蔽装置17が嵩張らず、既存のサイズのスロットマシンの筐体内に画面遮蔽装置17を無理なく収容して、4種類の対角線表示状態で表示画面14を遮蔽できるという利点がある。
【0089】
以下に、ステージ選択演出について説明する。
本実施例のスロットマシン1の演出には、キャラクタや場面などによって演出内容が特徴付けられた複数のステージがあり、ステージ選択演出は、これらのステージを切り替える際の演出として実行される。このステージ選択演出では、画像縮小演出と奥行演出と画像拡大演出の3つの画面遮蔽演出が順番に実行される。画像縮小演出は、現在のステージを示すステージ画像S1を、非遮蔽領域71の縮小に合わせて縮小表示する演出である。また、奥行演出は、複数のステージ画像S1〜S5を奥行感のある態様で表示する演出である。また、画像拡大演出は、次のステージを示すステージ画像S2を、非遮蔽領域71の拡大に合わせて拡大表示する演出である。
【0090】
ステージ選択演出を、
図22〜24に示す演出例に基づいて説明する。
上述のように、ステージ選択演出では、まず、画像縮小演出が実行される。画像縮小演出では、画面遮蔽装置17が全開状態に制御されて、非遮蔽領域71(表示画面14全体)に、現在のステージを示すステージ画像S1が表示される全体表示演出(
図22(a)参照)と、画面遮蔽装置17が小サイズ表示状態に変換され、縮小した非遮蔽領域71のサイズに合わせて、同じステージ画像S1が縮小表示される縮小表示演出(
図22(b)参照)とが順番に実行される。
【0091】
ステージ画像は、各ステージの内容を示す文字と背景等の表示物を含むものであり、
図22(a),22(b)に示す例では、画像縮小演出によって、ステージ画像S1に含まれる「Stage1」の文字の表示サイズが非遮蔽領域71の縮小に合わせて縮小される。具体的には、小サイズ表示状態の非遮蔽領域71は、表示画面14の縦横寸法を1/3倍に縮小した相似形状であり、縮小表示演出では、ステージ画像S1に含まれる「Stage1」の文字が、全体表示演出時に比べて、縦横寸法が1/3倍に縮小して表示される。
【0092】
このように、画像縮小演出では、非遮蔽領域71の縮小に合わせて、非遮蔽領域71に表示されるステージ画像S1が縮小表示される。ここで、かかる画像縮小演出では、非遮蔽領域71が、縮小の前後で相似形状をなすように変換されるため、ステージ画像S1を、縦横比を維持したまま、縮小した非遮蔽領域71の形状に一致させることでき、ステージ画像S1を違和感なく縮小表示できる。
【0093】
特に、かかる画像縮小演出では、表示画面14の全体にステージ画像S1を表示する全体表示演出に続けて、縮小表示演出を実行するため、遊技者に、表示画面14が縮小したような印象を与えることができ、また、表示画面14の大きさを最大限に活かしたメリハリのある演出を実行できるという利点がある。
【0094】
また、かかる画像縮小演出では、非遮蔽領域71が、表示画面14の中心を基準に縮小表示されるため、非遮蔽領域71とともに縮小するステージ画像S1を、遊技者から遠ざかるように視認させることができる。
【0095】
ステージ選択演出では、画像縮小演出の後に奥行演出が実行される。かかる演出例では、
図23に示すように、画面遮蔽装置17が第一奥行表示状態に変換されるとともに、第一奥行表示状態の非遮蔽領域71に奥行感のある画像が表示される。上述のように、画面遮蔽装置17が第一奥行表示状態に変換すると、
図16(a)に示すように、中央の矩形状非遮蔽領域73と、両側の台形状非遮蔽領域74a,74bとからなり、表示画面14の左右の辺縁から中央に向かって縮幅する非遮蔽領域71が形成される。
【0096】
まず、かかる奥行演出にあっては、
図23に示すように、矩形状非遮蔽領域73に現在のステージを示すステージ画像S1が表示され、左右の台形状非遮蔽領域74a,74bに、その他のステージを示すステージ画像S2,S3が表示される。ここで、各ステージ画像S1〜S3は、左右の台形状非遮蔽領域74a,74bが奥行方向に傾いた平面であるように、また、中央の矩形状非遮蔽領域73が、奥まった位置にある正面を向いた平面であるように文字や背景などの表示物の大きさが変形される。なお、矩形状非遮蔽領域73は、小サイズ表示状態の非遮蔽領域71と同一であり、矩形状非遮蔽領域73には、画像縮小演出で縮小されたステージ画像S1が引き続き表示される。
【0097】
具体的には、奥行演出では、非遮蔽領域71に表示される各ステージ画像S1〜S3の表示物の大きさが、一点透視図法に則って、表示画面14の中心に収束するように変形される。例えば、
図23では、中央の矩形状非遮蔽領域73に表示されるステージ画像S1は、矩形状非遮蔽領域73のサイズに合わせて表示物が縮小表示される。すなわち、矩形状非遮蔽領域73は、表示画面14を、中心を基準に縦横寸法を1/3倍に縮小した形状をなす領域であるため、矩形状非遮蔽領域73に表示されるステージ画像S1の表示物は、表示画面14の全体に表示される場合(
図22(a)参照)に比べて、縦横寸法が1/3に縮小表示される。
【0098】
また、
図23では、台形状非遮蔽領域74a,74bに表示されるステージ画像S2,S3は、台形状非遮蔽領域74a,74bが奥行方向に傾いているように視認させるために、文字や背景等の表示物の横幅が縦幅に比べて狭く表示される。また、各表示物は、表示位置の台形状非遮蔽領域74a,74bの縦幅に比例するように縦横寸法が拡縮される。具体的には、台形状非遮蔽領域74a,74bの縦幅は、表示画面14の辺縁側で表示画面14の縦幅となっており、表示画面14の中央側で表示画面14の縦幅の1/3の長さに縮幅している。このため、台形状非遮蔽領域74a,74bの、表示画面14の辺縁付近に表示される表示物は、ステージ画像S2,S3が表示画面14の全体に表示される場合に近い縦幅で表示され、そこから、表示画面14の中央寄りに表示されるものほど縦横寸法が縮小表示されていき、表示画面14の中央付近に表示される表示物は、辺縁付近に表示される表示物に比べて縦横寸法が1/3程度に縮小されて表示される。
【0099】
このように、奥行演出では、非遮蔽領域71が中央に向けて縮幅する形状となり、ステージ画像S1〜S3の表示物は、表示位置の非遮蔽領域71の幅に比例するように拡縮表示される。このため、ステージ画像S1〜S3は、中央寄りに表示される表示物ほど遠くに、辺縁寄りに表示される表示物ほど近くにあるような奥行感のある画像として視認される。ここで、奥行演出では、表示画面14を遮蔽部材41c,41dで遮蔽することで、中央に向けて縮幅する非遮蔽領域71を形成するため、非遮蔽領域71に表示されるステージ画像S1〜S3の奥行感を強調できる。すなわち、現実に厚みを有し、表示画面とは質感の異なる遮蔽部材41c,41dによって、非遮蔽領域71の輪郭線を形成することで、非遮蔽領域71の、中央に向けて縮幅する形状を際立たせ、これにより、非遮蔽領域71の中央部分に奥行があるように錯覚させやすくなるのである。また、遮蔽部材41c,41dを表示画面14の正面側に進出させて、表示画面14遮蔽部材41c,41dを背面側に位置させることによっても、非遮蔽領域71の画像の奥行感を強調できる。このように、奥行演出によれば、表示画面14に奥行感のあるステージ画像S1〜S3を表示するのに合わせて、画面遮蔽装置17を奥行表示状態に変換することで、表示画面14に表示されるステージ画像S1〜S3の奥行感を向上させることができる。このため、本実施例のスロットマシン1によれば、3Dディスプレイなどの高価な機器を使用せずに、奥行感に富んだ画像を実現できる。
【0100】
特に、かかる奥行演出では、台形状非遮蔽領域74a,74bは、夫々の脚が、表示画面14の中心に向かう対角線D1,D2に沿った等脚台形状をなしており、また、非遮蔽領域71に表示されるステージ画像S1〜S3の各表示物は、表示画面14の中心に収束するように一点透視図法に則って拡縮表示されるため、非遮蔽領域71の形状と、非遮蔽領域71に表示されるステージ画像S1〜S3の相乗効果によって、表示画面14の中心に収束する奥行感を強調できるという利点がある。
【0101】
また、奥行演出では、
図23に示すように、現在のステージ画像S1とその他のステージ画像S2,S3とを奥行感のある表示態様で静的に表示した後、ステージ画像S1〜S3を横方向にスクロールさせて、矩形状非遮蔽領域73と台形状非遮蔽領域74a,74bに表示されるステージ画像S1〜S3を切り替えるスクロール演出が実行される。スクロール演出では、例えば、
図24(a)〜24(d)に示すように、左側の台形状非遮蔽領域74aに表示されたステージ画像S2が矩形状非遮蔽領域73に、矩形状非遮蔽領域73に表示されたステージ画像S1が右側の台形状非遮蔽領域74bにスクロールする。また、これに合わせて、右側の台形状非遮蔽領域74bに表示されたステージ画像S3が、表示画面14の右外側に外れるようにスクロールし、表示画面14の左外側から左側の台形状非遮蔽領域74aに新たなステージ画像S4がスクロールする。
【0102】
そして、かかるスクロール演出では、
図24(a)〜24(d)に示すように、ステージ画像S1〜S4に含まれる文字や背景等の表示物は、スクロール中に、非遮蔽領域71内の表示位置の変化に合わせて動的に拡縮表示される。すなわち、台形状非遮蔽領域74a,74bをスクロールする表示物は、表示位置の縦幅に比例するように、表示画面14の中心方向にスクロールするにつれて縮小され、表示画面14の中心から離れる方向にスクロールするにつれて拡大される。一方、矩形状非遮蔽領域73をスクロールする表示物は、スクロールしていない場合と同様のサイズで表示される。
【0103】
このように、かかるスクロール演出では、ステージ画像S1〜S4が右方向にスクロールして非遮蔽領域71中の表示位置が変化するのにしたがって、ステージ画像S1〜S4の表示物の表示サイズが、表示位置の非遮蔽領域71の縦幅に合わせて動的に変化することとなるため、非遮蔽領域71にステージ画像S1〜S3を静的に表示する場合に比べて、画像の奥行感を一層強調することができる。
【0104】
また、スクロール演出では、
図24(a)〜24(d)に示すように、ステージ画像S1〜S4が右方にスクロールを開始する際に、ステージ画像S1〜S4の動きに合わせて、左側の遮蔽部材41aの第一遮蔽板50aが一時的に退避位置から進出位置へ移動する。かかる構成によれば、右方に進出する第一遮蔽板50aによって、ステージ画像S1〜S3が押されてスクロールを開始するかのように遊技者に視認させることが可能となる。
【0105】
なお、スクロール演出を、
図24(a)〜24(d)を例にして説明したが、奥行演出中に実行されるスクロール演出は1回に限らず、複数回繰り返される場合があり、また、
図25(a)〜25(c)に示すように、ステージ画像S1〜S3,S5を左方向にスクロールさせる場合もある。ステージ画像S1〜3を左方向にスクロールさせる場合は、スクロールの開始時に、ステージ画像S1〜S3の動きに合わせて、右側の遮蔽部材41bの第一遮蔽板50aが一時的に退避位置から進出位置へ移動する。また、スクロール演出の途中で、ステージ画像S1〜S3の移動方向が反転する場合もある。
【0106】
また、
図23〜25に示す、奥行演出の例では、画面遮蔽装置17を第一奥行表示状態に変換しているが、ステージ選択演出では、
図26に示すように、画面遮蔽装置17を第二奥行表示状態に変換する奥行演出も実行される。第二奥行表示状態の奥行演出では、非遮蔽領域71は、中央の矩形状非遮蔽領域73と、上下の台形状非遮蔽領域74c,74dとからなり、表示画面14の上下の辺縁から中央に向かって縮幅する形状となる。そして、
図26に示すように、矩形状非遮蔽領域73に現在のステージを示すステージ画像S1が表示され、上下の台形状非遮蔽領域74c,74dに、その他のステージを示すステージ画像S2,S3が表示される。また、かかる奥行演出中のスクロール演出では、ステージ画像S1〜S3が上下方向にスクロールすることとなる。かかる奥行演出は、第一奥行表示状態の奥行演出を90°回転させた形態であるため、詳細な説明は省略する。
【0107】
なお、各ステージ選択演出では、第一奥行表示状態の奥行演出と、第二奥行表示状態の奥行演出の一方のみが実行される場合もあるが、一方の奥行演出の実行中に、他方の奥行演出に切り替わる場合もある。各ステージ選択演出で、第一奥行表示状態と第二奥行表示状態のいずれ(又は両方)の奥行演出を実行するかは、抽選で決定してもよいし、遊技者のスイッチ操作に基づいて決定してもよい。また、抽選で奥行表示状態を決定する場合には、第一奥行表示状態と第二奥行表示状態のいずれの奥行演出が実行されるかによって、遊技者に有利な遊技状態となる期待度が変わるようにしてもよい。
【0108】
ステージ選択演出では、上述のように奥行演出で、ステージ画像S1〜S5が左右にスクロールされて、矩形状非遮蔽領域73に表示されるステージ画像S1〜S5が変更されたあと、画像拡大演出が実行される。画像拡大演出は、全体表示演出と縮小表示演出を画像縮小演出の逆の順番で実行するものである。すなわち、画像拡大演出では、
図27(a),27(b)に示すように、画面遮蔽装置17が奥行表示状態から小サイズ表示状態に変換されて、矩形状非遮蔽領域73に表示されるステージ画像S2のみを、非遮蔽領域71に縮小表示する縮小表示演出が実行される。すなわち、この時点で、非遮蔽領域71(矩形状非遮蔽領域73)に表示されるステージ画像S2の示すステージが、次に実行されるステージとなる。続いて、画像拡大演出では、
図27(b),27(c)に示すように、画面遮蔽装置17が小サイズ表示状態から全開状態に変換されて、縮小表示していたステージ画像S2を表示画面14の全体に表示する全体表示演出が実行される。具体的には、小サイズ表示状態から全開状態への変換によって、非遮蔽領域71の縦横寸法が3倍に拡大されるのに合わせて、非遮蔽領域71に表示されるステージ画像S2に含まれる文字や背景などの表示物が、縮小表示演出時に比べて、縦横寸法が3倍に拡大表示される。
【0109】
このように、画像拡大演出では、画像縮小演出とは反対に、非遮蔽領域71の拡大に合わせて、非遮蔽領域71に表示されるステージ画像S2が拡大表示される。そして、かかる画像拡大演出では、非遮蔽領域71が、拡大の前後で相似形状をなすように変換されるため、ステージ画像S2を、縦横比を維持したまま、拡大した非遮蔽領域71の形状に一致させることができ、ステージ画像S2を違和感なく拡大できる。
【0110】
また、画像拡大演出では、縮小表示演出に続けて、表示画面14の全体にステージ画像S2を表示する全体表示演出を実行するため、遊技者に、表示画面14が拡大したような印象を与えることができ、また、表示画面14の大きさを最大限に活かしたメリハリのある演出を実行できるという利点がある。また、画像拡大演出では、非遮蔽領域71が、表示画面14の中心を基準に拡大表示されるため、非遮蔽領域71とともに拡大するステージ画像S2を、遊技者に近づくかのように視認させることができる。
【0111】
なお、上記ステージ選択演出は、遊技状態に応じて実行されるものであってもよいし、遊技者が所定のスイッチを所定態様で操作することを契機に実行されるものであってもよい。また、ステージ選択演出は、次のステージを遊技者に選択させる演出にすることが可能である。例えば、
図23に示す奥行演出の状態で、遊技者が各種スイッチを操作すると、非遮蔽領域71に表示されたステージ画像S1〜S3が、1つずつスクロールするよう構成して、遊技者が任意のステージ画像S1〜S3を矩形状非遮蔽領域73に表示させ得るようにすることが提案される。また、ステージ選択演出中に、遊技者に、複数の選択肢のいずれかを選択させる演出を行い、遊技者の選択が正解であった場合にのみ、スクロール演出が実行されるよう構成してもよい。また、このように遊技者の選択の結果としてスクロール演出が実行された場合は、遊技者に有利な遊技状態となる期待度が高くなるようにしてもよい。
【0112】
以下に、ステップアップ演出について説明する。
ステップアップ演出では、一段階演出と、二段階演出と、三段階演出の3つの画面遮蔽演出が選択的に実行される。
【0113】
一段階演出は、画面遮蔽装置17が全閉状態から小サイズ表示状態に変換される演出である。具体的には、一段階演出では、画面遮蔽装置17が全閉状態から小サイズ表示状態に変換されるとともに、縦横寸法が表示画面14の1/3倍の非遮蔽領域71に合わせて、特定キャラクタを含む矩形のステップアップ画像Tが、非遮蔽領域71に一致するように表示される第一表示演出が実行される。一段階演出は、この第一表示演出が数秒間実行された段階で終了する。一段階演出終了後は、画面遮蔽装置17が全閉状態に変換されてから全開状態になり、画面遮蔽装置17を作動させない通常の演出が実行される。すなわち、一段階演出では、表示画面14は、
図28中の(a)→(b)の順番に変化して、
図28(b)の段階で終了することとなる。
【0114】
二段階演出は、一段階演出を発展させる演出であり、画面遮蔽装置17が全閉状態から小サイズ表示状態を経て中サイズ表示状態に変換される。具体的には、一段階演出が、第一表示演出の実行後に終了するのに対して、二段階演出では、第一表示演出が数秒間実行されると、画面遮蔽装置17が小サイズ表示状態から中サイズ表示状態に変換されるとともに、ステップアップ画像Tが非遮蔽領域71に一致するように、第一表示演出時よりも大きく表示される第二表示演出が実行される。ここで、中サイズ表示状態と小サイズ表示状態の非遮蔽領域71は相似形状であり、中サイズ表示状態では非遮蔽領域71の縦横寸法が小サイズ表示状態の約2倍となるため、第二表示演出では、ステップアップ画像Tに含まれるキャラクタが、第一表示演出時の約2倍の縦横寸法で非遮蔽領域71に拡大表示される。二段階演出は、第二表示演出が数秒間実行された段階で終了する。第二表示演出終了後は、画面遮蔽装置17が、全閉状態に変換されてから全開状態になり、画面遮蔽装置17を作動させない通常の演出が実行される。すなわち、二段階演出では、表示画面14は、
図28中の(a)→(b)→(c)の順番に変化して、
図28(c)の段階で終了することとなる。
【0115】
三段階演出は、二段階演出をさらに発展させる演出であり、画面遮蔽装置17が全閉状態から小サイズ表示状態と中サイズ表示状態を経て全閉状態に変換される。具体的には、二段階演出が、第二表示演出の実行後に終了するのに対して、三段階演出では、第一表示演出が数秒間実行されると、画面遮蔽装置17が中サイズ表示状態から全開状態に変換されるとともに、ステップアップ画像Tが表示画面14全体と一致するように、第二表示演出時よりも大きく表示される第三表示演出が実行される。ここで、中サイズ表示状態と全開状態の非遮蔽領域71は相似形状であり、全開状態の非遮蔽領域71(表示画面全体)の縦横寸法は、中サイズ表示状態の約1.5倍であるため、第三表示演出では、ステップアップ画像Tに含まれるキャラクタが、第二表示演出時の約1.5倍の縦横寸法で表示画面14の全体に表示される。三段階演出は、第三表示演出が数秒間実行された段階で終了する。三段階演出終了後は、画面遮蔽装置17が、全閉状態に変換されてから全開状態になり、画面遮蔽装置17を作動させない通常の演出が実行される。すなわち、三段階演出では、表示画面14は、
図28中の(a)→(b)→(c)→(d)の順番に変化して、
図28(d)の段階で終了することとなる。
【0116】
このように、ステップアップ演出の二段階演出や三段階演出では、上記ステージ選択演出の画像拡大演出と同様に、非遮蔽領域71の拡大に合わせて、非遮蔽領域71に表示されるステップアップ画像Tが拡大表示される。そして、かかる二段階演出や三段階演出でも、非遮蔽領域71が、拡大の前後で相似形状をなすように変換されるため、ステップアップ画像Tを、縦横比を維持したまま、拡大した非遮蔽領域71の形状に一致させることができ、ステップアップ画像Tを違和感なく拡大できるという利点がある。特に、二段階演出や三段階演出では、非遮蔽領域71が、表示画面14の中心を基準に拡大表示されるため、ステップアップ画像Tに含まれるキャラクタが、接近してくるかのように遊技者に視認させることができる。
【0117】
特に、二段階演出や三段階演出は、ステップアップ画像Tが全閉状態から段階的に拡大していくため、ステップアップ画像Tの拡大に合わせて、遊技者の気持ちを段階的に盛り上げることができる。特に、ステップアップ演出では、全閉状態から第一表示演出が実行されても、遊技者は、当該演出が、第一表示演出で終了するのか、第二表示演出や第三表示演出まで発展するのか判別できないため、演出の成り行きを注意深く見守ることとなる。このため、ステップアップ演出では、二段階演出や三段階演出でステップアップ画像Tが拡大するまで、遊技者の注意を表示画面14に引きつけることができ、ステップアップ画像Tが拡大する演出を、遊技者に強く印象づけることができる。
【0118】
なお、上記ステップアップ演出にあっては、二段階演出や三段階演出の変形として、第二表示演出を経ずに、第一表示演出から第三表示演出に直接発展する演出を実行することも可能である。すなわち、かかる演出では、表示画面14は、
図28中の(a)→(b)→(d)の順番に変化して、
図28(d)の段階で終了することとなる。また、二段階演出の変形として、第一表示演出から第二表示演出に発展した後に、第一表示演出を実行することも可能である。すなわち、かかる演出では、表示画面14は、
図28中の(a)→(b)→(c)→(b)の順番に変化して、
図28(b)の段階で終了することとなる。
【0119】
また、上記ステップアップ演出にあっては、二段階演出や三段階演出の変形として、第一表示演出を経ずに、全閉状態から第二表示演出に直接発展する演出を実行することも可能である。かかる演出では、第二表示演出が実行された後に、第一表示演出と第三表示演出のいずれかを実行することで、ステップアップ画像Tが拡大する演出と、縮小する演出とを選択的に実行することが可能となる。
【0120】
以上に説明したように、本実施例にあっては、画面遮蔽装置17を、画像表示器10の表示画像に合わせて作動させることにより、画像縮小演出、奥行演出、画像拡大演出、一段階演出、二段階演出、三段階演出などの画面遮蔽演出が実行される。上述のように、本実施例の画面遮蔽装置17は表示画面14を、極めて多様なパターンで遮蔽できるため、本実施例では、これらの画面遮蔽演出以外にも、多くの画面遮蔽演出が実行される。以下に、本実施例のスロットマシン1で実行される、その他の画面遮蔽演出について簡単に説明する。
(イ)通路演出
左右と上部の遮蔽部材41a〜41cを大台形進出状態に変換し、下部の遮蔽部材41dを全退避状態に変換するとともに、非遮蔽領域71に、表示画面14の中心に向けて収束する床面の画像を表示することにより、左右と上の遮蔽部材41a〜41cが、奥行のある通路や部屋の、壁面と天井を構成しているかのように視認させる演出である。
(ロ)一部遮蔽演出
表示画面14に、各種の遊技状態を示唆する画像を表示するとともに、当該画像を遮蔽部材41a〜41dによって部分的に遮蔽して、どの画像が表示されているかを遊技者が特定できない状態にした後で、遮蔽部材41a〜41dを退避させて、当該画像を視認可能とする演出である。本実施例では、画面遮蔽装置17によって表示画面14を多様な形状に遮蔽できるため、かかる一部遮蔽演出では、表示画面14の画像を多様な形態で遮蔽することができる。
(ハ)アイテム押出演出
アイテム等の画像を、表示画面14の外側から中央に飛び込んでくるように表示するとともに、当該アイテムが飛び込む方向に合わせて遮蔽部材41a〜41dを進出させることにより、当該アイテムが遮蔽部材41a〜41dによって押し出されたかのように視認させる演出である。本実施例では、上下左右に遮蔽部材41a〜41dが配設されているため、アイテムを表示画面14の上下左右から飛び込ませることができる。
(ニ)当選示唆演出
非遮蔽領域71の形状により、ボーナス等の当選期待度を示唆する演出である。例えば、非遮蔽領域71がV字状になった場合は、ボーナス当選の期待度が高いことを示唆し、非遮蔽領域71がX字状になった場合は、ボーナス当選が略確実であることを示唆するといった具合である。本実施例では、画面遮蔽装置17によって非遮蔽領域71を多様な形状にできるため、従来構成に比べて多様な示唆が可能となる。
(ホ)ルーレット演出
非遮蔽領域71を回転させる演出である。例えば、4つの三角形領域70a〜70dのうち3つを完全に遮蔽して、残りの1つを非遮蔽領域71とする。そして、非遮蔽領域71となる三角形領域70a〜70dを、1秒ごとに、上→右→下→左の順番に時計回りに切り替える。本実施例では、4つの遮蔽部材41a〜41dが、表示画面14を4つの三角形領域70a〜70dに分割して遮蔽するため、このように非遮蔽領域71を回転させる演出が可能となる。
(ヘ)達成度表示演出
遊技中に与えられた課題の達成度を、表示画面14の非遮蔽領域71の面積によって表す演出である。例えば、課題の達成度を4段階に分けて、1段階達成する度に、三角形領域70a〜70dを1つ遮蔽するといった演出が行われる。
(ト)映像シャッタ演出
映像シャッタ演出では、表表示画面14に、遮蔽部材の画像(映像シャッタ)を表示して、当該映像シャッタが、表示画面14に表示されるその他の画像を遮蔽するように視認させる。そして、かかる映像シャッタによる演出を、遮蔽部材41a〜41dによる表示画面14の遮蔽を組み合わせることにより、表示画面14が、あたかも遮蔽部材41a〜41dと映像シャッタによって二重に遮蔽されているかのように視認させる。
(チ)振動演出
振動演出は、遮蔽部材41a〜41dの遮蔽板50a〜50cを振動させる演出である。本実施例では、ステッピングモータ54のステップ角度を細かく制御することで、遮蔽板50a〜50cをわずかに動かすことが可能であるため、ステッピングモータ54を、細かいステップ角度で往復回転させることにより、遮蔽板50a〜50cを所望の振幅で簡単に振動させることができる。
【0121】
以上に本発明の実施例を説明したが、本発明の遊技機は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、上記実施例では、縮小表示状態(小サイズ表示状態)と拡大表示状態(全開状態と中サイズ表示状態)の非遮蔽領域71が矩形状をなしているが、本発明に係る縮小表示状態と拡大表示状態の非遮蔽領域は、矩形状以外の形状を採用することができる。例えば、上記実施例の画面遮蔽装置17は、三角形領域70a〜70dの3つを完全に遮蔽した状態で、残り1つの三角形領域70a〜70dを遮蔽する遮蔽部材41a〜41dの形状を変化させれば、相似形状なす大小3つの三角形状に非遮蔽領域71を変換することが可能である。このため、上記実施例においては、かかる三角形状の非遮蔽領域71を縮小表示状態や拡大表示状態とした演出を実行するようにしてもよい。さらには、上記実施例において、かかる三角形状の非遮蔽領域71を拡大・縮小する演出と、矩形状の非遮蔽領域71を拡大・縮小する演出とを連続的に実行するようにしてもよい。
【解決手段】表示画面14の周囲から表示画面14の正面側に遮蔽部材を進退させることにより、表示画面14の非遮蔽領域71が所定形状となる縮小表示状態と、該非遮蔽領域71が縮小表示状態の非遮蔽領域71より大きな略相似形状になる拡大表示状態とに変換可能な画面遮蔽装置を配設する。そして、画面遮蔽装置を縮小表示状態に変換するとともに、表示画面14に、非遮蔽領域71の形状に合わせて所定内容の画像S1を表示させる縮小表示演出と、画面遮蔽装置の拡大表示状態に変換するとともに、表示画面14に、前記所定内容の画像S1を、非遮蔽領域71の形状に合わせて、縦横比を維持したまま縮小表示状態よりも大きく表示させる拡大表示演出とを実行する。