【文献】
外山眞也,板金展開図自動設計CADシステムの開発,宮崎県工業技術センター・宮崎県食品開発センター研究報告,2003年,No.47,pp.33-35,[検索日 2015.03.17], インターネット<URL: http://www.iri.pref.miyazaki.jp/pdf/H14/2002-07.pdf >
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記錐台の展開図面座標データを分割して出力するために前記扇形の中心角を複数に分割するための分割情報を前記展開図面座標計算部に対して出力する分割指定部を有し、前記展開図面座標計算部は、分割情報に従って前記扇形の中心角を複数に分割し、この分割された中心角に対応した扇形の輪郭に係る2次元座標データを前記展開図面座標データとして生成することを特徴とする請求項1記載の錐台展開図面作成システム。
前記錐台を展開した前記扇形の輪郭上の上面円弧に存在する2つの前記上面始点及び底面円弧に存在する2つの前記底面始点のうち、いずれか一方をそれぞれ上面終点及び底面終点とし、前記上面始点と前記上面終点、及び前記底面始点と前記底面終点を結ぶ第1の補助線をそれぞれ求め、それぞれの前記第1の補助線を複数に等分した第1の補助線上の点から前記上面円弧及び前記底面円弧に対して前記第1の補助線に対して垂直に延長され前記上面円弧及び前記底面円弧との交点を結ぶ第2の補助線をそれぞれ求め、前記第1の補助線及び第2の補助線に係る2次元座標データを補助線座標データとして得る補助線座標計算部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の錐台展開図面作成システム。
前記展開図面座標計算部は、前記展開図面座標データをx軸とy軸から構成される直交座標上に配置した場合に、前記展開図面座標データのうち、x軸における最大値と最小値の差分として得られる最大幅と、y軸における最大値と最小値の差分として得られる最大高とを演算して、最大幅データ及び最大高データとして出力可能に生成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の錐台展開図面作成システム。
コンピュータによって上面と底面とこれらの面間の側面から形成される錐台の形状と寸法を用いて展開図を作成するために実行される錐台展開図面作成プログラムであって、
錐台の形状を指定する形状指定工程と、
この形状指定工程で指定された形状の錐台の前記上面の半径又は直径、前記底面の半径又は直径、及び錐台の高さに係る寸法を指定する寸法指定工程と、
前記形状指定工程で指定された錐台の前記形状及び前記寸法指定工程で指定された前記寸法を用いて前記形状の錐台の前記側面を延長して形成される円錐の頂点から前記上面及び前記底面に向けて複数の描画分割線を仮想し、前記複数の描画分割線と前記上面及び前記底面との交点の座標を演算して、前記錐台の形状の輪郭に係る3次元座標データを得る3次元座標計算工程と、
前記3次元座標計算工程で得られた前記交点のうちいずれかの前記描画分割線と前記上面及び前記底面との交点をそれぞれ上面始点及び底面始点とし、前記円錐の頂点から前記上面始点及び前記底面始点までの距離をそれぞれ上面円弧半径及び底面円弧半径とする扇形を仮想し、前記錐台の側面上の前記描画分割線間の前記上面及び前記底面における中心角を前記扇形の中心角に変換して、前記扇形の輪郭に係る2次元座標データを前記錐台の展開図面座標データとして得る展開図面座標計算工程と、
前記展開図面座標計算工程で得られた前記展開図面座標データを出力する出力工程と、を実行させることを特徴とする錐台展開図面作成プログラム。
前記錐台の展開図面座標データを分割して出力するために前記扇形の中心角を複数に分割するための分割情報を前記展開図面座標計算工程に対して出力する分割指定工程を有し、前記展開図面座標計算工程は、分割情報に従って前記扇形の中心角を複数に分割し、この分割された中心角に対応した扇形の輪郭に係る2次元座標データを前記展開図面座標データとして生成することを特徴とする請求項5記載の錐台展開図面作成プログラム。
前記錐台を展開した前記扇形の輪郭上の上面円弧に存在する2つの前記上面始点及び底面円弧に存在する2つの前記底面始点のうち、いずれか一方をそれぞれ上面終点及び底面終点とし、前記上面始点と前記上面終点、及び前記底面始点と前記底面終点を結ぶ第1の補助線をそれぞれ求め、それぞれの前記第1の補助線を複数に等分した第1の補助線上の点から前記上面円弧及び前記底面円弧に対して前記第1の補助線に対して垂直に延長され前記上面円弧及び前記底面円弧との交点を結ぶ第2の補助線をそれぞれ求め、前記第1の補助線及び第2の補助線に係る2次元座標データを補助線座標データとして得る補助線計算工程を有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の錐台展開図面作成プログラム。
前記展開図面座標計算工程は、前記展開図面座標データをx軸とy軸から構成される直交座標上に配置した場合に、前記展開図面座標データのうち、x軸における最大値と最小値の差分として得られる最大幅と、y軸における最大値と最小値の差分として得られる最大高とを演算して、最大幅データ及び最大高データとして出力可能に生成することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の錐台展開図面作成プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、着用者の体型に沿った衣服は製作可能であるものの人間以外の形状に沿って裁断、縫製される布地のための展開図には不向きで、様々な立体形状物に対する展開図の作成は不可能であるという課題があった。
また、特許文献2に開示される技術でも同様に、板金加工用の板材を展開可能であるものの、特許文献2に開示されている内容からも明らかなとおり、単純な板形状を基本としており、立体形状物に対する展開図の作成は不可能であるという課題があった。
さらに、特許文献3に開示される技術では、予め2次元の折れ線を与えておき、その2次元の折れ線を3次元空間の軸を中心に回転させてできる軌跡として表される回転スイープの立体形状の展開図に限定されるため、任意の寸法を備えた立体形状の展開図を作成することができないという課題があった。
【0007】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、錐台という形状には限定されるものの、任意の寸法を有する錐台の展開図を容易かつ効率的に精度高く作成可能な錐台展開図面作成システムとそのプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である錐台展開図面作成システムは、上面と底面とこれらの面間の側面から形成される錐台の形状と寸法を用いて展開図を作成する錐台展開図面作成システムであって、錐台の形状を指定する形状指定部と、この形状指定部で指定された形状の錐台の前記上面の半径又は直径、前記底面の半径又は直径、及び錐台の高さに係る寸法を指定する寸法指定部と、前記形状指定部で指定された錐台の
前記形状及び前記寸法指定部で指定された
前記寸法を用いて前記形状の錐台の前記側面を延長して形成される円錐の頂点から前記上面及び前記底面に向けて複数の描画分割線を仮想し、前記複数の描画分割線と前記上面及び前記底面との交点の座標を演算して、前記錐台の形状の輪郭に係る3次元座標データを得る3次元座標計算部と、前記3次元座標計算部で得られた前記交点のうちいずれかの前記描画分割線と前記上面及び底面との交点をそれぞれ上面始点及び底面始点とし、前記円錐の頂点から前記上面始点及び前記底面始点までの距離をそれぞれ上面円弧半径及び底面円弧半径とする扇形を仮想し、前記錐台の側面上の前記描画分割線間の前記上面及び前記底面における中心角を前記扇形の中心角に変換して、前記扇形の輪郭に係る2次元座標データを前記錐台の展開図面座標データとして得る展開図面座標計算部と、前記展開図面座標計算部で得られた前記展開図面座標データを出力する出力部と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
上記構成の錐台展開図面作成システムでは、展開図面を作成する対象物である錐台に対して、まず、3次元座標計算部が錐台の側面を延長して得られる円錐の頂点から錐台の側面上に複数の描画分割線を仮想して、その描画分割線と錐台の上面及び底面との交点の座標を演算することで、錐台の輪郭に係る3次元座標データを得るように作用する。
そして、その後に、展開図面座標計算部が円錐の頂点から先の交点のうちのいずれかから定められる上面始点と底面始点とのそれぞれの距離を上面円弧半径と底面円弧半径として、その上面円弧半径と底面円弧半径によって描かれる扇形を仮想して、さらに、錐台の側面の描画分割線間の上面と底面における中心角をその扇形の中心角に変換して、扇形の輪郭に係る2次元座標データである展開図面座標データを得るように作用する。
すなわち、錐台の展開図面を得るために、本願発明では、第1に立体形状における3次元座標データを得て、その後に展開図面に係る2次元座標データである展開図面座標データを得るものである。
その際には、3次元座標計算部が、錐台の側面を延長して円錐として、その頂点から描画分割線という線を錐台の側面に仮想して、その描画分割線と上面及び底面との交点の座標を得つつ、その後に展開図面座標計算部が、錐台における中心角を展開図面となる扇形の中心角に変換しながら、扇形の展開図面を得るように作用している。
【0010】
なお、形状指定部は、外部から入力される
形状を受けて、これをもって指定してもよいし、予めこの形状指定部あるいはデータベースなどに格納されている
形状を読み出して、これをもって指定してもよい。
また、寸法指定部は、外部から入力される
寸法を受けて、これをもって指定することが望ましい。
さらに、描画分割線の数、すなわち描画分割点数としては、3次元座標計算部が決定するように作用するが、その決定方法としては、この3次元座標計算部の内部あるいは外部のデータベースに描画分割点数の候補をいくつか格納しておき、これを3次元座標計算部が出力して、システムの利用者に対して表示して、その中から選択された描画分割点数を3次元座標計算部に入力するようにして決定したり、あるいは予め、
寸法に含めて寸法指定部が
寸法を読み込んだ際に、寸法指定部によって、その描画分割点数に関する指定も行い、3次元座標計算部がその指定を受けて決定してもよい。描画分割点数の語に含まれる描画とは、展開図面の描画を意味しており、この分割点数が多い方が展開図面の精度を高くすることができる。
【0011】
なお、本願特許請求の範囲及び明細書では、「円弧」という語は、一定の半径で中心角をもって描画した場合のほか、半径が一定ではなく変化しながら中心角をもって描画した場合も含む概念である。従って、そのような円弧を含む「扇形」も円弧の半径が一定でないものの、これについても含む概念としている。また、「錐台」には、上面と底面が平行な一般的な円錐台のほかに、斜めに切断面が入っている斜め切断円錐台やその切断面が2面逆方向に傾斜して存在する斜め逆方向切断円錐台や切断面が2面同方向に傾斜して存在する斜め同方向切断円錐台も含み、さらに、上面が正方形で底面が円である場合や逆に上面が円で底面が正方形である角丸錐台及び上面と底面がいずれも正方形である角錐台も含む概念である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明である錐台展開図面作成システムは、請求項1に記載の錐台展開図面作成システムにおいて、前記錐台の展開図面座標データを分割して出力するために前記扇形の中心角を複数に分割するための分割情報を前記展開図面座標計算部に対して出力する分割指定部を有し、前記展開図面座標計算部は、分割情報に従って前記扇形の中心角を複数に分割し、この分割された中心角に対応した扇形の輪郭に係る2次元座標データを前記展開図面座標データとして生成することを特徴とするものである。
【0013】
上記構成の錐台展開図面作成システムでは、分割指定部が、展開図面として描かれる扇形の中心角を複数に分割するための分割情報を展開図面座標計算部に出力するように作用する。扇形の中心角が180度を超えるような場合には、展開図面を2分割や3分割とすることが望ましい場合がある。たとえば、この展開図面を布地や金属製、合成樹脂製あるいはセラミック製の板材に描画して裁断あるいは剪断するような場合に、一枚では採取できずに複数枚に分けて採取する方法を採用する場合等がある。このような場合に、分割指定部が展開図面を複数に分割するように作用するのである。
【0014】
そして、請求項3に記載の発明である錐台展開図面作成システムは、請求項1又は請求項2に記載の錐台展開図面作成システムにおいて、前記錐台を展開した前記扇形の輪郭上の上面円弧に存在する2つの前記上面始点及び底面円弧に存在する2つの前記底面始点のうち、いずれか一方をそれぞれ上面終点及び底面終点とし、前記上面始点と前記上面終点、及び前記底面始点と前記底面終点を結ぶ第1の補助線をそれぞれ求め、それぞれの前記第1の補助線を複数に等分した第1の補助線上の点から前記上面円弧及び前記底面円弧に対して前記第1の補助線に対して垂直に延長され前記上面円弧及び前記底面円弧との交点を結ぶ第2の補助線をそれぞれ求め、前記第1の補助線及び第2の補助線に係る2次元座標データを補助線座標データとして得る補助線座標計算部を有することを特徴とするものである。
【0015】
上記構成の錐台展開図面作成システムでは、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、補助線座標計算部が、錐台の展開図面である扇形を人間の手で布地や板材に描き写すための、補助線を描くためにその補助線の座標を計算するように作用する。
補助線座標計算部は、人間の手によって扇形を描き写す場合に最も難しいと考えられる円弧の部分に対して補助線を引くため、上面円弧と底面円弧の両方にそれぞれの弦を第1の補助線として、この第1の補助線からそれぞれ上面円弧と底面円弧に垂線を引き、その垂線を第2の補助線として、これらの補助線に係る2次元座標データを補助線座標データとして得るように作用している。
【0016】
さらに、請求項4に記載の発明である錐台展開図面作成システムは、請求項1乃至請求項3に記載の錐台展開図面作成システムにおいて、前記展開図面座標計算部は、前記展開図面座標データをx軸とy軸から構成される直交座標上に配置した場合に、前記展開図面座標データのうち、x軸における最大値と最小値の差分として得られる最大幅と、y軸における最大値と最小値の差分として得られる最大高とを演算して、最大幅データ及び最大高データとして出力可能に生成することを特徴とするものである。
【0017】
上記構成の錐台展開図面作成システムでは、請求項1乃至請求項3に記載の発明の作用に加えて、展開図面座標計算部が、錐台の展開図面である扇形を布地あるいは板材から採取するために必要な長方形を概念して、その長方形の寸法を、最大幅データと最大高データとして出力するように作用している。
【0018】
請求項5に記載の発明である錐台展開図面作成プログラムは、コンピュータによって上面と底面とこれらの面間の側面から形成される錐台の形状と寸法を用いて展開図を作成するために実行される錐台展開図面作成プログラムであって、
錐台の形状を指定する形状指定工程と、この形状指定工程で指定された形状の錐台の前記上面の半径又は直径、前記底面の半径又は直径、及び錐台の高さに係る寸法を指定する寸法指定工程と、前記形状指定工程で指定された錐台の
前記形状及び前記寸法指定工程で指定された
前記寸法を用いて前記形状の錐台の前記側面を延長して形成される円錐の頂点から前記上面及び前記底面に向けて複数の描画分割線を仮想し、前記複数の描画分割線と前記上面及び前記底面との交点の座標を演算して、前記錐台の形状の輪郭に係る3次元座標データを得る3次元座標計算工程と、前記3次元座標計算工程で得られた前記交点のうちいずれかの前記描画分割線と前記上面及び底面との交点をそれぞれ上面始点及び底面始点とし、前記円錐の頂点から前記上面始点及び前記底面始点までの距離をそれぞれ上面円弧半径及び底面円弧半径とする扇形を仮想し、前記錐台の側面上の前記描画分割線間の前記上面及び前記底面における中心角を前記扇形の中心角に変換して、前記扇形の輪郭に係る2次元座標データを前記錐台の展開図面座標データとして得る展開図面座標計算工程と、前記展開図面座標計算工程で得られた前記展開図面座標データを出力する出力工程と、を実行させることを特徴とするものである。
上記構成の錐台展開図面作成プログラムでは、請求項1に記載のシステム発明をプログラム発明として捉えたので、その作用については、請求項1に記載の発明の作用と同様である。
【0019】
請求項6記載の発明である錐台展開図面作成プログラムは、請求項5に記載の錐台展開図面作成プログラムにおいて、前記錐台の展開図面座標データを分割して出力するために前記扇形の中心角を複数に分割するための分割情報を前記展開図面座標計算工程に対して出力する分割指定工程を有し、前記展開図面座標計算工程は、分割情報に従って前記扇形の中心角を複数に分割し、この分割された中心角に対応した扇形の輪郭に係る2次元座標データを前記展開図面座標データとして生成することを特徴とするものである。
上記構成の錐台展開図面作成プログラムでは、請求項2に記載のシステム発明をプログラム発明として捉えたので、その作用については、請求項2に記載の発明の作用と同様である。
【0020】
そして、請求項7に記載の発明である錐台展開図面作成プログラムは、請求項5又は請求項6に記載の錐台展開図面作成プログラムにおいて、前記錐台を展開した前記扇形の輪郭上の上面円弧に存在する2つの前記上面始点及び底面円弧に存在する2つの前記底面始点のうち、いずれか一方をそれぞれ上面終点及び底面終点とし、前記上面始点と前記上面終点、及び前記底面始点と前記底面終点を結ぶ第1の補助線をそれぞれ求め、それぞれの前記第1の補助線を複数に等分した第1の補助線上の点から前記上面円弧及び前記底面円弧に対して前記第1の補助線に対して垂直に延長され前記上面円弧及び前記底面円弧との交点を結ぶ第2の補助線をそれぞれ求め、前記第1の補助線及び第2の補助線に係る2次元座標データを補助線座標データとして得る補助線計算工程を有することを特徴とするものである。
上記構成の錐台展開図面作成プログラムでは、請求項3に記載のシステム発明をプログラム発明として捉えたので、その作用については、請求項3に記載の発明の作用と同様である。
【0021】
請求項8に記載の発明である錐台展開図面作成プログラムは、請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の錐台展開図面作成プログラムにおいて、前記展開図面座標計算工程は、前記展開図面座標データをx軸とy軸から構成される直交座標上に配置した場合に、前記展開図面座標データのうち、x軸における最大値と最小値の差分として得られる最大幅と、y軸における最大値と最小値の差分として得られる最大高とを演算して、最大幅データ及び最大高データとして出力可能に生成することを特徴とするものである。
上記構成の錐台展開図面作成プログラムでは、請求項4に記載のシステム発明をプログラム発明として捉えたので、その作用については、請求項4に記載の発明の作用と同様である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1に記載の錐台展開図面作成システムでは、3次元座標計算部が、まず錐台の側面を延長して円錐の頂点を演算し、その頂点を起点とした描画分割線を仮想して錐台との間で展開図面に必要は座標を演算することで錐台の輪郭に係る3次元座標データを得るという第1段階と、その後に展開図面座標計算部が円錐の頂点から上面始点と底面始点とのそれぞれの距離を上面円弧半径と底面円弧半径として、その上面円弧半径と底面円弧半径によって描かれる扇形を仮想し、錐台の中心角を扇形の中心角へ変換しながら扇形の輪郭に係る2次元座標データを得るという第2段階の2つの段階を経ることで、3次元の立体物を2次元の平面図へ容易に効率的かつ精度高く展開することが可能である。
【0023】
本発明の請求項2に記載の錐台展開図面作成システムでは、請求項1に記載の発明の効果に加えて、展開図面の扇形を複数の部分に分割できるため、錐台の展開図面を必要とする対象物(布地や板材等)が1枚でその展開図面の扇形を包含できないような場合に、対象物の大きさに応じて展開図面を分割することで、複数枚の対象物を併せて展開図面を合成させることが可能である。その際には、分割された展開図面のそれぞれが描かれている布地を縫製して併せたり、あるいは板材を溶接等で接合する必要があるものの、そのような縫製や接合が可能であれば、対象物となる材料を節約することが可能であり、対象物となる展開図面材料を効率的に生産することができる。
【0024】
本発明の請求項3記載の錐台展開図面作成システムでは、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、錐台の展開図面を必要とする対象物(布地や板材等)に対して、人間が直線である補助線を頼りに展開図面を描くことが可能である。すなわち、作業者が一般的な定規や巻尺等を用いて補助線を描いたり、あるいは補助線上の座標を頼りに、容易かつ精度よく対象物に扇形の展開図面を描くことが可能である。
【0025】
本発明の請求項4に記載の錐台展開図面作成システムでは、請求項1乃至請求項3に記載の発明の効果に加えて、錐台の展開図面を必要とする対象物(布地や板材等)に対して、展開図面の扇形を採取するために必要な長方形の寸法を簡単に得ることができるので、効率的な材料の調達を行うことが可能である。
大量の材料を扱い、自動で裁断等を行う装置に用いられる場合には、必ずしも長方形の材料としての寸法は必要でない場合も多いが、自動化がまだ進んでいないような小規模の工場等で作業者が材料を採寸して、1枚ずつ布地や板材を切出して、その布地や板材から扇形の展開図面を採取するような場合には、必要な長方形の寸法を得ることが重要となる。
【0026】
本発明の請求項5に記載の錐台展開図面作成プログラムでは、請求項1に記載の錐台展開図面作成システムをプログラム発明として捉えたものであるので、その効果は請求項1に記載された発明と同様である。
なお、本請求項から請求項8までを含めて、錐台展開図面作成プログラムでは、裁断可能な治具を備えた自動装置に組み込むことで、展開図面に沿った布地や板材といった材料を容易に効率的かつ高精度で生産することも可能となる。
【0027】
本発明の請求項6に記載の錐台展開図面作成プログラムでは、請求項2に記載の錐台展開図面作成システムをプログラム発明として捉えたものであるので、その効果は請求項2に記載された発明と同様である。
【0028】
本発明の請求項7に記載の錐台展開図面作成プログラムでは、請求項3に記載の錐台展開図面作成システムをプログラム発明として捉えたものであるので、その効果は請求項3に記載された発明と同様である。
【0029】
本発明の請求項8に記載の錐台展開図面作成プログラムでは、請求項4に記載の錐台展開図面作成システムをプログラム発明として捉えたものであるので、その効果は請求項4に記載された発明と同様である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の実施の形態に係る錐台展開図面作成システムについて
図1乃至
図19を参照しながら説明する。
まず、実施の形態に係る錐台展開図面作成システムについて
図1乃至
図3を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る錐台展開図面作成システムの構成を表す概念図である。
図2(a)は本発明の実施の形態に係る錐台展開図面作成システムに用いられる円錐台の形状の具体例を示す構成図であり、(b)は同じく斜め逆方向切断円錐台の形状を具体的に示す構成図であり、(c)は同じく斜め同方向切断円錐台の形状を具体的に示す構成図である。また、
図3は本発明の実施の形態に係る錐台展開図面作成システムによって実行される展開図面作成のフロー図である。
図1において、錐台展開図面作成システム1は、入力部2、演算部3、出力部4及びデータベース群として、形状・寸法データベース5、3次元座標データベース6、展開図面座標データベース7及び補助線座標データベース8から構成されている。
【0032】
入力部2は、錐台展開図面作成システム1の形状・寸法データベース5に格納される形状データ15や基本寸法データ16をはじめ、各データベースに格納されるデータが読み出し可能に入力されるものである。
入力部2の具体例としては、キーボード、マウス、ペンタブレット、光学式の読取装置あるいはコンピュータ等の解析装置や計測機器等から通信回線を介してデータを受信する受信装置など単独あるいは複数種類の装置からなり目的に応じた使い分けが可能な装置が考えられる。また、錐台展開図面作成システム1への入力に対するインタフェースのようなものであってもよい。
また、出力部4は、演算部3に含まれる形状指定部9、寸法指定部10、分割指定部11、3次元座標計算部12、展開図面座標計算部13及び補助線座標計算部14で実行されたそれぞれの処理内容の結果を出力したり、演算部3内で実行されるそれぞれの処理に必要なデータ入力を促すための入力画面(インタフェース画面)等の情報や入力部2を介して入力されたデータの内容について、あるいは各データベース5〜8からデータを読み出して外部へ出力するものである。
具体的にはCRT、液晶、プラズマあるいは有機ELなどによるディスプレイ装置、あるいはプリンタ装置などの出力装置、さらには外部装置への伝送を行うためのトランスミッタなどの発信装置などが考えられる。もちろん、外部装置への伝送のための出力に対するインタフェースのようなものであってもよい。
【0033】
演算部3は、形状指定部9、寸法指定部10、分割指定部11、3次元座標計算部12、展開図面座標計算部13及び補助線座標計算部14から構成されている。
【0034】
形状・寸法データベース5は、展開図面を作成する対象となる錐台に関する形状データ15及び形状データ15に対応してその錐台の基本寸法データ16を格納するものである。
具体的な形状データ15の内容としては、例えば、
図2(a)に示される円錐台31、同(b)に示される斜め逆方向切断円錐台32、同(c)に示される斜め同方向切断円錐台33をはじめ、錐台の上面又は底面のいずれかが円形、他方が正方形の角丸錐台、いずれも正方形の角錐台も含まれる。
また、基本寸法データ16の具体的な内容の例としては、それぞれの形状データ15に対応して、表1乃至表5が対応する。
【0036】
円錐台の基本寸法は、表1に記載される5つの寸法となる。このうち、上面及び底面の直径D1,D2、円錐台の高さHについては
図2(a)を参照しながら説明する。
図2(a)は円錐台31の概念図であるが、上面31aの方が底面31bよりも大きく、側面31cがすり鉢状に形成されるものである。同図に示されるとおり、上面31aの直径がD1、底面31bの直径がD2、そして円錐台31の高さがHである。
また、斜め切断円錐台の基本寸法は逆方向も同方向も表2に記載される7つの寸法となる。この基本寸法については
図2(b),(c)を参照しながら説明する。これらの図に示される斜め逆方向切断円錐台32と斜め同方向切断円錐台33もいずれも上面32a,33aが底面32b,33bよりも大きいものとなっており、いずれの側面32c,33cもすり鉢状に形成されている。
図2(b)及び(c)の斜め逆方向切断円錐台32、斜め同方向切断円錐台33では、切断前の円錐台の上面32a,33aと底面32b,33bの直径をそれぞれD1,D2としている。また、斜め逆方向切断円錐台32では、切断前の上面を基準とした切断後の上面の切断角thx1と切断前の底面を基準とした切断後の底面の切断角thx2が、図を平面視して逆方向(thx1が時計回り、thx2が反時計回り)に形成されているため、これを斜め逆方向切断円錐台32と呼び、同様に同方向(切断角がいずれも時計回り)に形成されている斜め同方向切断円錐台33と区別している。いずれも切断前の底面から上面までの高さをHとし、切断前の円錐台の上面から切断後の上面32a上で最も高い位置を高さH1とし、同様に底面32bに対してはH2としている。
なお、
図2(a)乃至(c)ではいずれも上面が底面よりも大きな図形を選択しているが逆であってもよい。
描画分割点数とは本願発明において、展開図面を描くために、錐台の側面を延長して形成される円錐の頂点から錐台の上面及び底面に向けて仮想として引かれる描画線の数を定めるための円錐台側面の分割点数をいう。錐台には上面と底面があるので、それぞれ描画分割点数は独立に定めることが可能である。もちろん、上面と底面の描画分割点数を同一としてもよい。
なお、このようにして仮想して引かれる描画線を本願発明では描画分割線という。また、今回の発明では上面あるいは底面が正方形である角丸錐台やいずれも正方形の角錐台についても円錐台に近似させて展開図を求めるので、いずれの場合であっても錐台の側面を延長して形成される錐体(円錐体)の頂点から錐台(円錐台)の底面に向けて仮想として描画線を引くことは可能であり、円錐台側面の分割する点を求めることも可能である。すなわち、描画分割線を求めることが可能となるのである。
【0038】
角丸錐台の基本寸法は表3,4に記載される5つの寸法であり、角錐台の基本寸法は表5に示されるとおりである。
【0042】
3次元座標データベース6は、展開図面を作成する対象となる錐台に関する形状データ15に対応して錐台の3次元座標データ17を格納するものである。3次元座標データ17は、3次元座標計算部12が形状データ15に基づく基本寸法データ16を用いて計算することで得られる錐台の輪郭に関するデータであり、3次元座標計算部12によって読み出し可能に3次元座標データベース6に格納される。
また、3次元座標データ17の具体的な内容の例としては、それぞれの形状データ15に対応して、表6乃至表10が対応する。
円錐台の表6において、上面及び底面の半径r1,r2は、表1の直径D1,D2に1/2を掛けた数値であり、基本寸法データ16として半径を採用する場合には計算しなくともよい。また、円錐の高さhtは、円錐台の側面を延長して形成される円錐の頂点から底面までの高さである。
なお、円錐台の中心角thcは、円錐台の上面及び底面に垂直に仮想される中心軸回りの描画分割線間の角度として概念されるが、詳細には図を参照しながら後述する。また、描画分割線上の点の座標について計算によって求められ、すなわち円錐台上の点の座標が求められる。
【0044】
表7に示される斜め切断円錐台の上面からの切断角と底面からの切断角は既に
図2(b)を参照しながら説明したとおりである。
図2(c)にはthx1とthx2は記載されていないものの同様に示すことも可能である。
【0046】
角丸錐台(底面が正方形)の表8のr2が底面近似半径となっているのは、底面が正方形であり、これを近似して底面を円形としてその半径を3次元座標計算部12が計算しているためである。また、このようにして近似として定めた底面を用いて近似円錐台と近似円錐を仮想し、その近似円錐台の高さと近似円錐の高さを3次元座標計算部12が計算するが、その計算された近似円錐台の高さと近似円錐の高さがそれぞれHeとhtとなる。同様に表9の角丸錐台(上面が正方形)では、3次元座標計算部12が、上面の近似半径が計算され、近似円錐台と近似円錐の高さも計算され、表10の角錐台(上面と底面が正方形)では、上面と底面の近似半径が計算され、近似円錐台と近似円錐の高さも計算される。これらの計算については後述する。
【0050】
展開図面座標データベース7は、展開図面座標データ18、分割データ19、最大幅データ20及び最大高データ21を格納するものである。展開図面座標データ18は、展開図面座標計算部13が3次元座標データ17を用いて計算することで得られるデータであり、展開図面座標計算部13によって読み出し可能に展開図面座標データベース7に格納される。また、分割データ19は、展開図の分割数に関するデータであり、入力部2を介して分割指定部11によって指定され読み出し可能に格納されるデータである。
最大幅データ20と最大高データ21は、それぞれ展開図面を包含する長方形の幅と高さを採寸するための扇形の展開図面の最大幅と最大高に関するデータである。これらのデータも展開図面座標計算部13によって求められ読み出し可能に格納されるものである。
また、展開図面座標データ18の具体的な内容の例としては、それぞれの形状データ15に対応するが、いずれも表11のような共通のデータ構造を有する。
その理由は、3次元座標計算部12において、錐台をすべて
図2(a)に示されるような円錐台として形状に応じて近似することで、近似円錐を仮想し、さらに近似円錐台の側面に描画分割線を仮想しつつ近似円錐台の中心角を仮想して計算して3次元座標データ17を求めておき、展開図面座標計算部13では、3次元座標データ17を用いて、側面の描画分割線から展開図面である扇形の上面円弧及び底面円弧の半径を計算し、円錐台の中心角から展開図面である扇形の展開のための中心角を計算することで展開図面に必要な扇形の輪郭に関する展開図面座標データ18を求めているためである。
従って、展開図面座標データ18ではすべての形状データ15に対応して、表11に記載されている共通のデータ項目が求められているのである。
【0052】
補助線座標データベース8は、展開図面中に仮想されたり、描かれる補助線に関する補助線座標データ22を格納するものである。
この補助線座標データ22は、展開図面座標データ18を用いて補助線座標計算部14によって計算され、読み出し可能に補助線座標データベース8に格納されるデータである。
【0053】
以下、
図3乃至
図8も参照しながら、本実施の形態に係る錐台展開図面作成システム1によって実行される処理内容について演算部3に含まれる個々の構成要素の作用や効果も含めて説明する。
なお、これらの図に含まれるデータ処理フロー図は、本願発明の錐台展開図面作成プログラムに対する実施の形態としてはその実行工程を表すものでもあり、これらの図を参照しながら錐台展開図面作成システム1におけるデータ処理の流れを説明することは、錐台展開図面作成プログラムの実施の形態について説明することと同義である。
図3において、錐台展開図面作成システム1を用いて展開図面を作成する際には、まずステップS1として被展開形状の入力が行われる。これは、錐台展開図面作成システム1の外部から入力データ24として、入力部2を介して形状指定部9に対して行われる。この入力データ24の内容としては、円錐台、斜め切断円錐台、角丸錐台、角錐台のいずれかである。斜め切断円錐台には、逆方向と同方向の斜め切断があり、角丸錐台は上面が円形で底面が正方形とその逆の場合がある。入力を受けた形状指定部9は、被展開形状に関する形状データ15を読み出し可能に形状・寸法データベース5に格納する。
形状指定部9は、入力部2を介して被展開形状に関する入力データ24の入力によって形状を指定してもよいし、予め形状指定部9あるいは形状・寸法データベース5に上記の形状に関するデータを入力しておき、これを出力部4を介して出力データ25として作業者に表示して、作業者による選択を、入力部2を介して促すようにしてもよい。そして作業者によって選択されたデータを形状データ15として形状・寸法データベース5に格納してもよい。
【0054】
被展開形状の入力が完了すると、ステップS2として示されるとおり、被展開形状の基本寸法が入力される。この入力は、入力データ24として、入力部2を介して寸法指定部10に対して行われる。この入力データ24の例としては、すでに説明したとおり、表1乃至表5に示される内容である。入力を受けた寸法指定部10は、被展開形状に関する形状データ15に対応して基本寸法データ16として形状・寸法データベース5に格納する。
【0055】
次に、ステップS3では、3次元座標計算部12が形状・寸法データベース5から基本寸法データ16を読み出して、3次元座標計算を実行し、得られた3次元座標データ17を3次元座標データベース6に格納する。3次元座標データ17は被展開形状によって異なるので、3次元座標データ17は形状データ15と関連付けられて格納される。
【0056】
この3次元座標計算部12によって実行されるステップS3の3次元座標計算について
図4及び
図5を参照しながら説明する。
図4は本発明の実施の形態に係る錐台展開図面作成システムによって実行される3次元座標計算S3のフロー図であり、
図5(a)及び(b)は実施の形態に係る錐台展開図面作成システムによって円錐台に対して実行される3次元座標計算のフローを説明するための概念図である。
図5(a),(b)は理解が容易なように円錐台を用いて記載されている。
まず、
図5(a)に示されるとおり、円錐台34をx,yの2次元座標の原点に底面の中央を合わせて配置すると、底面34bがx軸上に存在し、その上方に上面34aが存在し、側面34cの延長上に円錐の頂点34tが存在している。
さらに、
図5(b)において、その頂点34tから円錐台34の側面34cに向けて描画分割線34dを仮想する。描画分割線34dとは、頂点34tから側面34cに仮想して引かれる等間隔の直線、もう少し詳細に説明すれば、上面円弧34g上の描画分割点と底面円弧34h上の描画分割点間に仮想して引かれる等間隔の直線であり、その間隔は表1に記載される描画分割点数n1,n2によって2π(360度)を除した角度となる。
図5(b)ではn1=n2としているが、それぞれ異なる描画分割点数としてもよい。
複数の描画分割線34dのうち、任意の1つと上面34aとの交点を上面始点34eとし、同様に底面34bとの交点を底面始点34fとして、円錐台に仮想される中心軸、すなわちy軸の周方向の中心角をthcとする。
描画分割線34dは、頂点34tから上面円弧34gまで側面34cの周方向にn1本存在し、同様に頂点34tから底面円弧34hまで側面34cの周方向にn2本存在する。
【0057】
次に、
図4を参照しながら、3次元座標計算に関するステップS3をステップS31からステップS38へ分解して説明する。ステップS31は、上面半径r1及び底面半径r2の計算の工程である。
表1の円錐台の基本寸法データより、r1=D1/2であり、r2=D2/2であることが理解できるので、r1,r2はすぐに計算可能である。
次に、ステップS32は、錐台の高さの計算であるが、表1より円錐台の高さはHであるので、上面の端部の座標はそのまま(r1,H)と(−r1,H)となることが理解できる。
さらに、円錐の高さを計算するステップS33では、頂点34tのy座標が式(1)で表現できるので、容易に計算可能である。
ht=H×r2/(r2−r1) (但し、r2>r1) (1)
ここまでの工程で、
図5(a)に示される円錐台及び円錐の2次元座標は表1の数値を用いて求められる。なお、r2<r1の場合には、htは式(1)においてr2とr1を入れ替えればよい。
次に、ステップS34では、いずれかの描画分割線34dと上面円弧34gの交点として上面始点34eを選択し、この座標を計算する。また、同様に描画分割線34dと底面円弧34hの交点として底面始点34fを選択し、この座標を計算する。
ステップS35では、上面始点34eと上面34aの描画分割点との間の中心角thcを計算する。描画分割点は上面始点34eから順次描画分割点数に応じて上面円弧34g上でずらしていき、それぞれの描画分割点について計算を行う。その後、ステップS36ではその中心角thcに応じて上面円弧34g上の描画分割点の座標を計算する。ステップS37では同様に底面始点34fと底面34bの描画分割点との間の中心角thcを計算し、ステップS38ではその中心角thcに応じて底面円弧34h上の描画分割点の座標を計算する。
これらの上面円弧34gと底面円弧34h上の描画分割点の座標の集合が表6に示される円錐台上の点の座標として3次元座標データ17を構成しているのである。
なお、ステップS35とステップS36に対するステップS37とステップS38の順序は逆でもよい。また、
図3ではステップS3の後に出力に関する記載がないが、3次元座標計算部12は、計算された3次元座標データ17を出力部4を介して出力してもよいことは言うまでもない。
【0058】
次に、ステップS4では、展開図面座標計算部13が3次元座標データベース6から3次元座標データ17を読み出して、展開図面座標計算を実行し、得られた展開図面座標データ18を展開図面座標データベース7に格納する。
この展開図面座標計算部13によって実行されるステップS4の展開図面座標計算について
図6及び
図7を参照しながら説明する。ステップS4はステップS41乃至ステップS46に分解される。
図6は本発明の実施の形態に係る錐台展開図面作成システムによって実行される展開図面座標計算のフロー図であり、
図7は本発明の実施の形態に係る錐台展開図面作成システムによって円錐台に対して実行される展開図面座標計算のフローを説明するための概念図である。
図6において、ステップS41,S42は
図5に示される上面円弧34g上の描画分割点(上面始点34e)と頂点34tとの距離ha及び底面円弧34h上の描画分割点(底面始点34f)と頂点34tとの距離hbを求める工程である。
この工程によって、
図7に示されるx軸上の上面始点34e1のx座標であるsx1及び底面始点34f1のx座標であるsx2を求めることができる。なお、
図7では、円錐台34の上面34a上の上面始点34eが展開されることで2点に分かれることから、x軸上の点を基準として上面始点34e1とし、他方を上面終点34e2としている。底面始点34fも同様である。
このようにして求められた距離haと円錐台34の上面34aの半径との比、あるいは距離hbと底面34bの半径との比を用いることで、円錐台の中心角thcを、
図7に示される展開図面34iの中心角thdに換算することができる。この工程がステップS43である。このステップS43で得られた中心角thdと距離ha(展開図面の扇形では半径)から
図7に示される上面円弧34g上の描画分割点の座標(dx1,dy1)を計算する。さらに、底面円弧34hに対してもステップS45として円錐台の中心角thcを展開図面34iの中心角thdに換算して、ステップS46でその中心角thdと半径hb(展開図面34iの扇形では半径)から
図7に示される底面円弧34h上の座標分割点の座標(dx2、dy2)を求める。
図6では、まず半径haと半径hbを求めて、その後に上面円弧34gと底面円弧34hでそれぞれの描画分割点の座標を求めたが、半径haを求めて上面円弧34gの座標分割点の座標を求め、その後に半径hbを求めて底面円弧34hの座標分割点の座標を求めるようにしてもよい。また、描画分割点数n1,n2が同一であれば、中心角thcから中心角thdへの換算の工程は1度にしてもよいことは言うまでもない。さらに、
図6におけるステップS41とステップS42の順序、ステップS43とステップS44に対するステップS45とステップS46の順序も逆でもよい。
これらの上面円弧34gと底面円弧34h上の描画分割点の
図7上の(x,y)座標上での集合が表11に示される扇形上の点の座標として展開図面座標データ18を構成しているのである。
【0059】
次に、
図3に戻りステップS5では、展開図面座標計算部13が展開図面座標データ18を展開図面座標データベース7から読み出して、展開図面34iを描画して、これを出力部4に対して出力する。
このステップS5の工程について、
図7に加えて
図8も参照しながら、詳細に説明する。
図8ではステップS5がステップS51乃至ステップS54に分解されている。ステップS51では、まず上面始点34e1と底面始点34f1を結ぶ直線で描画する。同様にステップS52では上面終点34e2と底面終点34f2を結ぶ直線で描画する。次に、ステップS53として上面始点34e1から上面終点34e2まで上面円弧34g上の複数の描画分割点の座標間を順次結ぶ直線として円弧を近似するように描画する。従って、描画分割点数n1が大きい方が精度のよい扇形を描くことが可能である。さらに、ステップS54として底面始点34f1から底面終点34f2まで同様に底面円弧34h上の描画分割点の座標を直線で結んで円弧を近似する直線で描画する。中心角を0からthdeまで実行することで、
図7に示される展開図面34iである扇形が描画されることになる。
【0060】
次に、円錐台以外の場合の実施の形態について
図9乃至
図13を参照しながら同様に展開図面が得られることについて説明する。
図9は本発明の実施の形態に係る錐台展開図面作成システムによって斜め逆方向切断円錐台に対して実行される3次元座標計算のフローを説明するための概念図であり、
図10は本発明の実施の形態に係る錐台展開図面作成システムによって斜め逆方向切断円錐台に対して実行される展開図面座標計算のフローを説明するための概念図である。
図9は円錐台における
図5(b)に対応し、
図10は円錐台における
図7に対応する。従って、円錐台34について用いられた符号が斜め逆方向切断円錐台35に対応する場合には、その符号に含まれる補助的な添え字(小文字アルファベット文字)については同じ文字を用いて表現し、その説明を省略する場合がある。
図9において、斜め逆方向切断円錐台35についても円錐台34と同様に、3次元座標計算部12は表2で表現される基本寸法データ16を用いて、表7に示される3次元座標データ17を計算する。
具体的には、円錐台における
図3で示される工程に沿って、上面や底面の半径や円錐の高さ、斜め逆方向切断円錐台35の中心角thc、描画分割点数に応じて35c上に描画分割線35dを仮想し、上面始点35e及び底面始点35fを定めて、中心角thcから上面円弧35g上の描画分割点の座標及び底面円弧35h上の描画分割点の座標を計算する。但し、斜め逆方向切断円錐台35では、上面始点35e及び底面始点35fとしては、最も近接する上面円弧35g上の点と底面円弧35h上の点を選択する方が、
図10に示されるような展開図面35iを得ることが可能であるため望ましいと考えられる。
そして、ここで円錐台の計算と異なるのは、斜め逆方向切断円錐台35や後で説明する斜め同方向切断円錐台36では、円錐台が切断されて面を構成しているため、描画分割点の座標を計算するためには、まず、描画分割点毎に、3次元座標(x,y,z)を楕円スケール変換しなければならない。ここで、楕円スケール変換は、半径rの円をx方向に短径b,z方向に−rを中心として長径aの楕円に変換することで行う。変換後の座標を(tx,ty,tz)とすれば、スケール変換式は、式(2)−(4)で表現される。
この楕円スケール変換に関する技術は一般的な数学の手法として知られているので詳細には説明を省略するが、本実施の形態の
図9に示される斜め逆方向切断円錐台35の上面に関しては、円錐の高さht、円錐の頂角、上面半径r1、切断角thx1を用いて切断楕円の長径a1を求め、円錐の斜め切断楕円の長径短径比の関係式を適用して短径b1を求めることができる。底面については、上面半径r1に代えて底面半径r2、切断角thx1に代えて切断角thx2を用いることによって長径a2、短径b2をそれぞれ求めることが可能である。
下の式(2)−(4)では、上面及び底面共に概念するために添え字1,2は省略している。
tx=b/r×x (2)
ty= y (3)
tz=a/r×z+(a−r) (4)
さらに、この変換後の座標を(x,y,z)とした場合に、
図2(b)を用いて説明した切断角thx1とthx2による回転変換を行う必要がある点も異なる。この回転変換に関する技術は一般的な数学の手法として知られているので詳細には説明を省略するが、式を示すと(5)−(7)のように表現される。
tx=x (5)
ty=y×cos(thx)−z×sin(thx)−r×sin(thx) (6)
tz=y×sin(thx)+z×cos(thx)−r×(1−cos(thx))(7)
これらの式を用いることで、当初は、斜め逆方向切断円錐台35ではなく、
図2(b)に示されるような円錐台としてその上面円弧及び底面円弧上の描画分割点の座標を求めておき、その後に切断角に応じて楕円スケール変換及び回転変換を行うことで、実際の上面円弧35gや底面円弧35h上の描画分割点の座標を求めているのである。
この点が斜め逆方向切断円錐台35や斜め同方向切断円錐台36では通常の円錐台34とは異なっているのである。このような楕円スケール変換及び回転変換は基本寸法データ16が形状データ15に関連して形状・寸法データベース5に格納されているので、3次元座標計算部12は楕円スケール変換及び回転変換の必要性を読み取り、これを実行することが可能なのである。
【0061】
次に、斜め逆方向切断円錐台35に対する展開図面座標計算部13による展開図面座標データ18の取得と展開図面である扇形の描画について
図10を参照しながら説明する。
図10から容易に理解できるとおり、円錐台34の展開図面とは異なり、中間部分で膨れるような形状の円弧となって扇形を形成している。
このような形状の扇形に関する(x,y)座標の描画分割点の座標を求めるために、展開図面座標計算部13は、
図6で示されるステップS41,S42におけるhaを求める際に、
図9中の符号hvで表現される距離として求める。このhvは、以下の式(8)として表現される。式(8)中のtx,ty,tzは式(5)−(7)で表現されるものである。
hv=(tx
2+(ht−ty)
2+tz
2)
1/2 (8)
同様にhbについても概念可能である。
この式(8)で表現されるhvを用いて、さらに、
図9における切断面の中心角thcとするために式(9)として、さらに、これを式(10)を用いて展開図面の扇形の中心角thdに換算する。
thc=tan
−1(tz/tx) (9)
thd=th×thc/2π (10)
このようにすることで、
図10に示される上面円弧35gと底面円弧35h上の描画分割点の
図10上の(x,y)座標上で座標(dx,dy)を式(11)、(12)として得ることができる。
dx=hv×cos(thd) (11)
dy=hv×sin(thd) (12)
この座標(dx,dy)の集合が斜め逆方向切断円錐台35における表11の扇形上の点の座標として展開図面座標データ18を構成しているのである。
【0062】
同様に、斜め同方向切断円錐台36について3次元座標計算部12によって計算されて得られた上面円弧36g上の上面始点36eや底面円弧36h上の底面始点36fを
図11(a)に示し、同様に展開図面座標計算部13によって計算されて得られた展開図面36iを
図11(b)に示す。
【0063】
次に、表4にその基本寸法データ16が示される角丸錐台(上面が正方形)について、3次元座標計算部12及び展開図面座標計算部13を用いて展開図面37iを描く方法について
図12を参照しながら説明する。
図12において、上面が正方形であることから、これを3次元座標計算部12では円形に近似する。表9の3次元座標データ17において上面近似半径r1を計算するのである。
その近似式は、式(13)に示されるとおりである。一辺S1の正方形の周囲長に等しい円を考えて、その半径r1を上面近似半径としているのである。同様に底面が正方形の場合も同様に底面近似半径を求めることができる。
r1=2×S1/π (13)
さらに、表9に示される角丸錐台で上面の正方形の近似半径r1が底面の円の半径r2よりも大きい場合には角丸錐台の高さHを補正計算して近似円錐台の高さHeを求める必要がある。
具体的には、表9のHeが近似円錐台の高さであり、式(14)で表現できる。
He=(H
2+(S1/2
1/2−r2)
2−(r1−r2)
2)
1/2 (14)
さらに、近似円錐の高さhtは式(15)で表現できる。
ht=He×r1/(r1−r2) (但し、r1>r2) (15)
なお、r2>r1の場合には、htは式(15)においてr1とr2を入れ替えればよい。
このようにして円錐台の高さHeを近似し、その高さHeから近似円錐の高さhtや円錐台の中心角thcを求める。このようにして3次元座標計算部12は表4で表現される基本寸法データ16を用いて、表9に示される3次元座標データ17を計算する。
具体的には、円錐台における
図3で示される工程に沿って、近似円錐台の上面の近似半径r1や近似円錐台の高さHe、近似円錐の高さht、近似円錐台の中心角thc、描画分割点数に応じて近似円錐台の側面37c上に描画分割線を仮想し、上面始点及び底面始点を定めて、中心角thcから上面円弧37g上の描画分割点の座標及び底面円弧37h上の描画分割点の座標を計算する。
これらの上面円弧37gと底面円弧37h上の描画分割点の座標の集合が表9に示される近似円錐台上の点の座標として3次元座標データ17を構成しているのである。
なお、表8に示される角丸錐台で底面の正方形の近似半径r2が上面の円の半径r1よりも大きい場合には、表9における角丸錐台に関する式(13)及び式(14)に対応して、式(16)及び式(17)を用いる。
r2=2×S2/π (16)
He=(H
2+(S2/2
1/2−r1)
2−(r2−r1)
2)
1/2 (17)
また、表10に示される角錐台では、円錐台の近似高さHeは上面近似半径r1が底面近似半径r2よりも大きい場合には式(14)で表わされ、底面近似半径r2が上面近似半径r1よりも大きい場合には式(17)で表わされる。
式(15)はいずれの角丸錐台及び角錐台で共通である。
【0064】
次に、表9に示される角丸錐台(上面が正方形)に関するデータを具体例として用いながら展開図面座標計算部13の処理について説明を続ける。
展開図面座標計算部13は、この3次元座標データ17を用いて、上面を構成する正方形の4つの頂点の1点を上面始点としてx軸上の配置し、近似円錐台の近似中心角thcを扇形の中心角へ換算して、4等分される中心角にある描画分割線と上面円弧37gの交点の座標((kx1,ky1)、(kx2,ky2)等)を上面円弧の半径haを用いて計算し、これを上面の正方形の角の座標とする。描画分割線と上面円弧37gの交点の座標の計算については
図12に示されるとおりである。
底面円弧37h上の点の座標(dx,dy)については既に円錐台の例を用いて説明した方法で求めることができる。
このようにして求められた扇形上の点の座標の集合が、表12に示されているものであり、展開図面座標データ18を構成しているのである。なお、表11と表12ではデータ種類が異なるように見えるが、扇形上の点の座標の種類として直線部分を(kx,ky)として表現しているのみであり、基本的には表11に記載されているものと同様である。
なお、角丸錐台及び角錐台におけるhaとhbはそれぞれ表8乃至表10に示されるデータを用いて以下のとおり計算式(18)及び(19)で計算される。
ha=(r1
2+(ht−He)
2)
1/2 (18)
hb=(r2
2+ht
2)
1/2 (19)
【0066】
次に、
図13は同様に角丸錐台(底面が正方形)及び角錐台について展開図面を描いた場合を示すものである。
図13(a)は本発明の実施の形態に係る錐台展開図面作成システムによって角丸錐台(底面が正方形)に対して実行された展開図面座標計算によって得られた展開図面の概念図であり、(b)は同じく角錐台(上面及び底面が正方形)に対して実行された展開図面座標計算によって得られた展開図面の概念図である。
図13(a)における展開図面38iでは、上面円弧38gは一般的な円弧であるものの、底面円弧38hは底面が正方形であることから
図12における上面円弧37gと同様に直線を含む形状となっている。この
図13(a)における展開図面38iは、
図12に示された展開図面37iの求め方について説明する際に、既に説明したとおりであるが、上面と底面を入れ換えるようにして3次元座標計算部12や展開図面座標計算部13を用いて計算をすればよい。すなわち、前述のとおり、3次元座標データ17では、表8に示される底面近似半径をS2から求め、同様に近似円錐台の高さHe及び近似円錐の高さhtを求め、近似円錐台の中心角をthcとして、近似円錐台上の点の座標を求める。さらに、展開図面座標データ18としては、表12と同様なデータ構造となる。この場合、直線部分の(kx,ky)は底面側の座標を示すこととなる。
【0067】
また、
図13(b)における展開図面39iでは、上面円弧39g及び底面円弧39hの両方で
図12における上面円弧37gと同様に直線を含む形状となっている。この
図13(b)における展開図面39iは、
図12に示された展開図面37iの求め方において、表10に示される3次元座標データ17のとおり、上面と底面の両方において近似半径r1,r2を求めることになる。この他は同様に近似円錐台の高さ、近似円錐の高さhtを求め、近似円錐台の中心角をthcとして、近似円錐台上の点の座標を求める。さらに、展開図面座標データ18としては、
図13に示されるとおり上面も底面も正方形であることから、前述のとおり上面円弧39gと底面円弧39hがいずれも直線を含む形状となるので、表13に示されるように直線部分の(kx,ky)が(kxa,kya)と(kxb,kyb)の両方含まれている。
但し、角丸錐台も角錐台も上面円弧の半径haと底面円弧の半径hbは、いずれも式(18)及び(19)に基づいて計算される近似であり、その近似半径を半径とする円形の上面あるいは底面あるいはその両方を用いて得られる円錐の頂点から上面あるいは底面までの距離を計算して求められる数値となる。
以上説明したとおり、本実施の形態に係る錐台展開図面作成システム1においては、3次元座標計算部12と展開図面座標計算部13がそれぞれ3次元座標、それを展開した2次元座標を計算することで、3次元の立体物を2次元の平面図へ容易、効率的かつ精度高く展開することが可能である。その際に、錐台という立体形状に限定してはいるものの、錐台の側面を延長して円錐の頂点を演算し、その頂点を起点とした描画分割線を仮想して錐台との間で展開図面に必要は座標を演算することで錐台の輪郭に係る3次元座標データを得るという第1段階と、その後に展開図面座標計算部が円錐の頂点から上面始点と底面始点とのそれぞれの距離を上面円弧半径と底面円弧半径として、その上面円弧半径と底面円弧半径によって描かれる扇形を仮想し、錐台の中心角を扇形の中心角へ変換しながら扇形の輪郭に係る2次元座標データを得るという第2段階の2つの段階を経ることで、いきなり展開図面を描画することよりも容易かつ効率的となり、しかも無理なく精度を高めることも可能である。
【0069】
次に、
図3に戻りステップS6では、補助線座標計算部14が展開図面座標データ18を展開図面座標データベース7から読み出して、補助線座標を計算する。
このステップS6の工程について、円錐台34の展開図面34iの場合において、
図14に加えて
図15も参照しながら詳細に説明する。
図14は本発明の実施の形態に係る錐台展開図面作成システムによって実行される補助線座標計算のフロー図であり、
図15は本発明の実施の形態に係る錐台展開図面作成システムによって出力された画面の例を示す概念図である。なお、
図14に示されるフロー図も、本願発明の錐台展開図面作成プログラムに対してはその実行工程を表すものでもあり、この図を参照しながら錐台展開図面作成システム1における補助線座標計算のフローを説明することは、錐台展開図面作成プログラムの実施の形態について説明することと同義である。
図14において、ステップS6はステップS61とステップS62に分解されている。ステップS61では、補助線座標計算部14が、上面円弧34gに対して、上面始点34e1の座標と上面終点34e2の座標のx軸方向の弦を、座標数としてここでは8等分した点43aのx座標を求め、さらに、このx座標に対する上面円弧34g上のy座標を計算する。これによって点45aのy座標が計算される。これを弦上の点43a以外の6点に対して行うことで、上面円弧34gに対する弦上の点43a以外の6点のx座標及び上面円弧34g上の点45a以外の6点のy座標を得ることができる。
次にステップS62では、補助線座標計算部14が底面円弧34hに対して、底面始点34f1の座標と底面終点34f2の座標のx軸方向の弦を、座標数としてここでも8等分した点43bのx座標を求め、さらに、このx座標に対する底面円弧34h上のy座標を計算する。これによって点45bのy座標が計算される。これを弦上の点43b以外の6点に対して行うことで、底面円弧34hに対する弦上の点43b以外の6点のx座標及び底面円弧34h上の点45b以外の6点のy座標を得ることができる。
このようにして計算された上面円弧及び底面円弧に対するそれぞれの弦上で座標数で分割された点のx座標及びこれらの点に対応して上面円弧上及び底面円弧上に存在する点のy座標を補助線座標データ22として、補助線座標計算部14は補助線座標データベース8に読み出し可能に格納する。
【0070】
次に、
図3に再び戻ってステップS7では、補助線座標計算部14が補助線座標データ22を補助線座標データベース8から読み出して、第1の補助線42a,42b及び第2の補助線44a,44bを描画して、これを出力部4に対して出力する。
このステップS7の工程について、
図14を参照しながら説明する。
図14において、ステップS7はステップS71とステップS72に分解されている。ステップS71では上面円弧34gと底面円弧34hに対してそれぞれ上面始点34e1と上面終点34e2の座標、底面始点34f1と底面終点34f2の座標をそれぞれ結ぶ弦直線を第1の補助線42a,42bとして描画する。
また、ステップS72では、その第1の補助線42a,42b上の先ほどの分割された点を起点として上面円弧34g及び底面円弧34hに対してy軸方向に垂線を第2の補助線44a,44bとして描画する。
このようにして出力部4に対して出力された状態が
図15に示される出力画面40である。
これらの補助線及びその座標点が存在することで、自動化ができておらず、展開図面座標データ18をそのまま出力部4を介して他の装置へ出力できない場合には、布地や金属板等の材料に対して定規や巻尺等を用いて手書き等でも寸法を取ることが可能であり、そのあとに補助線を描いたり、あるいは補助線上の座標を頼りに、容易かつ精度よく対象物に扇形の展開図面を描くことが可能である。従って、自動システムを備えることができない小規模の事業主等でも容易に材料に対して展開図を描画することができる。
【0071】
図15では、このような補助線の他にも、この展開図面34iをx軸とy軸から構成される直交座標上に配置した場合に、この展開図面34iを構成する展開図面座標データ18を用いて、x軸における最大値と最小値の差分として得られる最大幅が展開図面座標計算部13によって計算され、表示枠41の側に最大幅表示46として表示されている。また、同様にy軸における最大値と最小値の差分として得られる最大高も展開図面座標計算部13によって計算され、表示枠41の側に最大高表示47として表示されている。さらに、上面円弧34gと底面円弧34hの距離も展開図面座標計算部13によって計算され、扇幅表示48として表示されている。また、この扇幅表示48の周囲には、扇幅表示48をx,y成分に分解した扇幅補助表示49a,49bが示されている。
なお、出力画面40の左上部には表示枠41を縮小した補助表示枠50が設けられており、最大幅表示46、最大高表示47及び扇幅表示48が一目で理解できるようにまとめて表示されている。
これらの表示は、全体図中にも可能であるし、これらの情報のみを抽出して左上に表示することで余分な情報を排除して材料の採取をより効率的に検討することが可能である。
【0072】
図16は、
図15と同様に出力画面51の例を示す図であるが、これは第2の補助線の数が上面円弧と底面円弧において異なる例である。座標数による分割数は上面円弧に対する弦、底面円弧に対する弦のいずれも独立に定めることが可能である。補助線座標計算部14が追加機能として備えている例であるが、もちろん、同一としてもよい。
【0073】
図17は、
図15や
図16と同様に出力画面52の例を示す図であるが、この展開図面は扇形の中心角が180度を超えるような場合の例であり、このような場合には、展開図面が大きくなり過ぎて不便であることも多い。そこで、展開図面座標計算部13は、
図18の出力画面53に示すように
図17を等分割した展開図面54iとして、補助表示枠55には
図17に示される全体の展開図面とその中に2等分割されたことが理解できるような分割線も描画され、また、
図15で示したような最大幅表示、最大高表示及び扇幅表示が設けられている。さらに、表示枠54にも同様に2等分割された展開図面54iに対して最大幅、最大高及び扇幅を表示して、分割された展開図面54iを採取するに必要な材料の寸法が容易にわかるようにしている。2等分割であるため、この展開図面54iの2倍の材料を容易して裁断して、それを縫製したりあるいは接合することで
図17に示される展開図面の扇形を形成させることができる。
このように
図17を分割して
図18を示す場合が、
図3のステップS4aである。ステップS4aは、ステップS4及びステップS5の工程を終えた後に、分割指定部11によって実行される工程である。例えば
図17のような展開図面が得られた場合に、扇形の中心角が180度よりも大きいため、これを分割して描画させたいと考えた場合には、分割指定部11に対して入力部2を介して分割数を入力すると、その分割数に応じて、分割指定部11が展開図面座標計算部13に対して展開図面の計算を実行するように制御する。そして、
図18に示されるような図面を演算するのである。もちろん、展開図面座標計算部13による計算は、既に座標として求められている展開図面座標データ18を用いて、座標変換するような演算であってもよい。
また、このステップS4aについては、
図3ではステップS3とステップS4に挟まれて存在しているが、分割指定部11で指定した分割数で展開図面が得られるのであれば、その工程をいずれの工程の前後に配置するかは問わない。
さらに、
図3では最後にステップS8として座標・描画の出力の工程が記載されているが、既に、ステップS5やステップS7で出力されている場合にはステップS8は必ずしも必要ではないが、工程として3次元座標計算部12や展開図面座標計算部13、あるいは補助線座標計算部14も含めて演算を先に行い、その後に全体として出力部4を介してそれぞれが出力表示するような場合には、ステップS5やステップS7を削除してステップS8を設けるようにするとよい。出力の工程は計算の工程のいずれの後でもよいし、まとめて最後でもよいということである。
【0074】
図19は
図17に示された展開図面を3等分に分割した出力画面56を示すものである。表示枠57には
図18と同様に3分割された1つの展開図面57iが表示されており、その展開図面57iに対する最大幅、最大高及び扇幅が表示されている。さらに、補助表示枠58には、全体の展開図面とその中に3等分割されたことが理解できるような分割線も描画されており、全体の展開図面における最大幅表示、最大高表示及び扇幅表示もなされている。
このように分割された展開図面を表示することで、錐台の展開図面を必要とする対象物(布地や板材等)が大きな1枚でその展開図面の扇形を包含できないような場合に、対象物の大きさに応じて展開図面を分割することができ、従って、複数枚の対象物を併せて展開図面を合成させることが可能である。その際には、分割された展開図面のそれぞれが描かれている布地を縫製して併せたり、あるいは板材を溶接等で接合する必要があるものの、縫製や接合が可能であれば、小さな材料から対象物となる材料を取得することができるので無駄なく材料を使用することができ、材料を節約することが可能であり、対象物となる展開図面を効率的に生産することができる。
また、本願明細書においては
図1を参照しながら、錐台展開図面作成システム1として実施の形態を説明したが、
図3をはじめとする演算部3の処理フロー図については錐台展開図面作成プログラムのコンピュータでの処理フロー図として概念することが可能である。
錐台展開図面作成プログラムは、自動化されたシステムに組み込むことで、例えば裁断装置や切断装置などを備えていれば、その動作の制御に用いることができ、材料から展開図面形状に裁断された布地や切断された金属板材などを生産することも可能となる。
すなわち、本実施の形態に係る錐台展開図面作成システム1やそのプログラムは、自動化装置を所有する大規模な工場から数人で作業するような小規模の工場でも適用可能な展開図面作成のシステムやプログラムということができるのである。
【解決手段】錐台の形状を指定する形状指定部9と、錐台の上面の半径又は直径、底面の半径又は直径、及び錐台の高さに係る寸法を指定する寸法指定部10と、錐台の側面を延長して形成される円錐の頂点から複数の描画分割線を仮想し、錐台の形状の輪郭に係る3次元座標データ17を得る3次元座標計算部12と、円錐の頂点から上面始点及び底面始点までの距離をそれぞれ上面円弧半径及び底面円弧半径とする扇形を仮想し、扇形の輪郭に係る展開図面座標データ18を得る展開図面座標計算部13と、これを出力する出力部4とを有する。