【実施例】
【0013】
図1〜
図7により本願発明の実施例について説明する。
なお各図に共通の部分は、同じ符号を使用している。
【0014】
図1、
図2により本願発明の実施例に係る渦電流探傷プローブを説明する。
図1は、渦電流探傷プローブの励磁素子と検出素子の配置例、及び励磁素子により発生(誘導)する渦電流を示す。
渦電流探傷プローブPは、励磁素子として2個の導電板EP1,EP2と検出素子として1個の検出コイルDCを備えている。
【0015】
まず
図1(a)について説明する。
導電板EP1,EP2は、被検査体の探傷面に対向する面(探傷面対向面と呼ぶ)を被検査体の探傷面に平行に配置し、探傷面対向面を流れる励磁電流ie1,ie2の方向(励磁電流の方向)が交差するように配置してあり、その交差部の中心PCを通り、渦電流探傷プローブPの走査方向SCと平行な線(走査方向中心線と呼ぶ)に対して±θとなるように配置してある。即ち導電板EP1,EP2は、励磁電流の方向が走査方向中心線において左右対称となるように配置してある。θは、0度より大きく90度より小さい範囲に設定するが、45度前後に設定すると、0〜90度の方向(全方向)に進展するキズを高感度で検出できる。
なお励磁素子として2個の励磁コイルを用いる場合には、両励磁コイルのコイル軸又はコイル面が走査方向SCに対して±θとなるように配置する。また検出素子は、巨大磁気抵抗効果を用いたGMR素子を用いることもできる。
【0016】
導電板EP1,EP2は、スイッチSW11,SW12を介して交互に励磁電源RVへ接続して、交互に励磁する。即ち励磁電源RVは、スイッチSW11,SW12が接点a1側へ切替わっているとき、導電板EP1に接続され、接点a2側へ切替わっているとき導電板EP2に接続される。スイッチSW11,SW12は、時分割で交互に切替えて探傷するが、時分割でなく、スイッチSW11,SW12を接点a1側へ切替えたまま、渦電流探傷プローブPを走査して第1回目の探傷を行い、次にスイッチSW11,SW12を接点a2側へ切替えて第1回目の探傷と同じ場所を再度走査して第2回目の探傷を行うこともできる。その場合、スイッチSW11,SW12の切替え制御は簡単になるが、同じ場所を2回走査することになるから、探傷時間が長くなる。
【0017】
次に
図1(b1)〜(b3)により、導電板EP1,EP2の励磁電流によって被検査体の探傷面に発生する渦電流ついて説明する。
図1(b1)において、導電板EP1に励磁電流ie1を流すと励磁電流ie1の両側(励磁電流の方向の両側)に位相が180度異なる(逆相の)渦電流iu11,iu12が発生する。また
図1(b2)において、導電板EP2に励磁電流ie2を流すと励磁電流ie2の両側に位相が180度異なる渦電流iu21,iu22が発生する。
【0018】
図1(b1)と
図1(b2)を重ねると、
図1(b3)のようになる。即ち
図1(a)の渦電流探傷プローブPが発生する渦電流は、
図1(b3)のようになる。
図1(b3)の場合、渦電流iu11,iu21は同相になり、渦電流iu22,iu12も同相になる。一方渦電流iu11,iu22は逆相になり、渦電流iu21,iu12も逆相になる。したがって走査方向SCと平行な方向へ進展するキズ(長手キズ)に起因して発生する渦電流探傷信号、例えば渦電流iu11,iu21によって発生する渦電流探傷信号は、加わり合って増大する。渦電流iu22,iu12についても同様である。一方走査方向SCに直交する方向へ進展するキズ(直交キズ)に起因して発生する渦電流探傷信号、例えば渦電流iu11,iu22によって発生する渦電流探傷信号は、打ち消し合って抑制される。渦電流iu21,iu12についても同様である。
【0019】
以上のように2個の導電板EP1,EP2によって発生する渦電流の内、走査方向SCと平行な方向に並んで発生する渦電流(例えば渦電流iu11,iu21)により発生する渦電流探傷信号は増大し、走査方向SCと直交する方向に並んで発生する渦電流(例えば渦電流iu11,iu22)により発生する渦電流探傷信号は抑制される。したがって長手キズに起因する渦電流探傷信号の検出感度は、高くなり、直交キズに起因する渦電流探傷信号の検出感度は、低くなる。
図1(b3)において、励磁電流ie1,ie2の方向が逆になると、渦電流iu11〜iu22の方向も逆になるから、長手キズに起因する渦電流探傷信号の検出感度と、直交キズに起因する渦電流探傷信号の検出感度の関係は、
図1(b3)の場合と同じである。しかし励磁電流ie1,ie2のいずれか一方が逆になると、走査方向SCと平行な方向に並んで発生する渦電流により発生する渦電流探傷信号は抑制され、走査方向SCと直交する方向に並んで発生する渦電流により発生する渦電流探傷信号は増大する。
【0020】
図2は、渦電流探傷プローブの構造例を示す。
図2(a1),(a2),(a3)は、励磁素子が導電板からなる渦電流探傷プローブを、
図2(b1),(b2)は、励磁素子が励磁コイルからなる渦電流探傷プローブを示す。
図2(a1),(a2),(a3)について、
図2(a1)は、渦電流探傷プローブの平面図、
図2(a2)は、
図2(a1)のA部分の矢印方向の断面図、
図2(a3)は、導電板の斜視図である。
導電板EP1、導電板EP2は、四角形の導電板からなり、両導電板の探傷面対向面は、互いに平行で、かつ探傷面と平行に配置してある。また検出コイルDCは、コイル面が導電板EP1,EP2の探傷面対向面と平行に、両探傷面対向面の略中央に配置してある。そして導電板EP1,EP2には、導電板EP1の探傷面対向面を流れる励磁電流ie1と導電板EP2の探傷面対向面を流れる励磁電流ie2が交差する方向へ流れるように、即ち両導電板の励磁電流方向が交差するように励磁電源RVを接続してある。なお導電板EP1,EP2の間は、絶縁材等により絶縁してある。
【0021】
導電板EP1,EP2は、長さL、幅W、厚さtの四角形の板状体である。また導電板EP1,EP2は、長さLで所定の厚さ(幅W方向の厚さ)の導体片(例えば銅の導体片)を複数個幅W方向へ積層し貼り合せて、板状体に形成してある。導電板EP1,EP2は、導体片を貼り合せない一枚板であってもよい。
図2(a1),(a2)の渦電流探傷プローブは、導電板EP1,EP2の探傷面対向面を被検査体Tの探傷面と平行に配置するから、薄く形成することができ、構造が簡単になる。
【0022】
図2(b1),(b2)について、
図2(b1)は、渦電流探傷プローブの平面図、
図2(b2)は、
図2(b1)のB部分の矢印方向の断面図である。
四角形の励磁コイルEC1,EC2は、コイル軸が直交する(コイル面も直交する)ように配置し、四角形の検出コイルDCは、コイル軸が励磁コイルEC1,EC2のコイル軸と直交し、励磁コイルEC1,EC2の交差部と略対向する位置に配置してある。渦電流探傷プローブPは、励磁コイルEC1,EC2のコイル軸が探傷面に平行になり、検出コイルDCのコイル軸が被検査体Tの探傷面に垂直になるように設置して探傷する。
なお励磁コイルEC1,EC2、検出コイルDCは、四角形に限らず、楕円形、円形等であってもよい。
【0023】
図3(a)は、
図1の渦電流探傷プローブを用いた渦電流探傷装置のブロック図、
図3(b)は、渦電流探傷プローブの走査方向を示す図である。
導電板EP1,EP2には、スイッチSW1を介して励磁電源EVが接続され、所定周波数の励磁電流が時分割で交互に供給される。導電板EP1,EP2のいずれかが励磁されているとき、検出コイルDCの検出電圧は、同期検波器DE1に供給される。また同期検波器DE1には、参照信号源RVから励磁電流と同じ周波数の参照信号RS1が供給される。
【0024】
スイッチSW1が接点a1側へ切り替っているとき、即ち導電板EP1が励磁されているとき、スイッチSW4は接点d1側へ切り替る。そのとき同期検波器DE1の検波出力は、ローパスフィルタLPF1、ハイパスフィルタHPF1へ供給され、渦電流探傷信号X1が取り出される。スイッチSW1が接点a2側へ切り替り、スイッチSW4が接点d2側へ切り替ると、同期検波器DE1の検波出力は、ローパスフィルタLPF2、ハイパスフィルタHPF2へ供給され、渦電流探傷信号X2が取り出される。渦電流探傷信号X1,X2は、夫々メモリME11,ME21に保存する。加算器AD1は、渦電流探傷信号X1,X2の和信号ZXを出力する。和信号ZXは、キズの評価に用いる。なお渦電流探傷信号X1,X2は、夫々和を取らずにキズの評価に用いることができる。
【0025】
次に
図3(b)のように渦電流探傷プローブPをSC方向へ走査するとき、その走査方向SCと平行な方向に進展する長手キズF1、走査方向SCと直交する方向に進展する直交キズF2と渦電流探傷信号X1,X2の関係について説明する。
前述した
図1の導電板EP1,EP2により発生する渦電流の説明から分かるように、渦電流探傷プローブPが長手キズF1を通過するとき、導電板EP1の励磁中に得られた渦電流探傷信号X1と、導電板EP2の励磁中に得られた渦電流探傷信号X2は、位相が同じになる(ただし渦電流探傷プローブPの交差部の中心PCが長手キズF1を通過するときは、逆相となる)。一方渦電流探傷プローブPが直交キズF2を通過するとき、導電板EP1の励磁中に得られた渦電流探傷信号X1と、導電板EP2の励磁中に得られた渦電流探傷信号X2は、位相が逆になる。したがって加算器AD1により、渦電流探傷信号X1と渦電流探傷信号X2の和を取ると、長手キズF1に起因する渦電流探傷信号X1と渦電流探傷信号X2は加わり合って増大するから加算信号ZYは増大するが、直交キズF2に起因する渦電流探傷信号X1と渦電流探傷信号X2は打ち消し合って抑制されるから加算信号ZYは小さくなる。
なお前記θが45度の場合、渦電流探傷プローブPの走査方向に平行する方向と直交する方向の間の方向に進展するキズは、その走査方向と0度〜±45度の方向のキズに起因する渦電流探傷信号X1,X2は、同相になり、±45度〜±90度の方向のキズに起因する渦電流探傷信号X1,X2は、逆相になる。
【0026】
図3の渦電流探傷装置において、長手キズに起因する2つの渦電流探傷信号及び直交キズに起因する2つの渦電流探傷信号の位相関係は、前述したように、励磁電源EVと導電板EP1、EP2の接続の仕方により変わるが、その位相関係を確認する必要のあるときは、例えば、被検査体に人工的にキズを形成し、そのキズの長手方向と直交する方向へ渦電流探傷プローブPを走査し、そのとき得られた渦電流探傷信号X1,X2の位相から確認できる。その場合渦電流探傷プローブPは、そのキズの長手方向と平行する方向へ走査してもよい。
なお
図3の渦電流探傷装置は、1個の渦電流探傷プローブPを用いているが、複数個の渦電流探傷プローブPを千鳥状に配置すれば、広い範囲のキズを漏れなく探傷できる。
【0027】
次に
図4の渦電流探傷装置について説明する。
図4は、
図1の渦電流探傷プローブを用いた渦電流探傷装置のブロック図で、位相が励磁電流と同じ参照信号と位相が励磁電流と90度異なる参照信号を用いている。基本的構成は、
図3の渦電流探傷装置と同じである。
導電板EP1,EP2には、励磁電源EVから所定周波数の励磁電流がスイッチSW1を介して交互に供給される。検出コイルDCの検出電圧は、スイッチSW1が接点a1側へ切り替り、スイッチSW2が接点b1側へ切り替っているとき、同期検波器DE11,DE12に供給され、スイッチSW1が接点a2側へ切り替り、スイッチSW2が接点b2側へ切り替っているとき、同期検波器DE21,DE22に供給される。また同期検波器DE11〜DE22には、参照信号源RVから励磁電源EVの周波数(励磁電流の周波数)と同じ周波数の第1参照信号RS1、第2参照信号RS2が供給される。参照信号RS1は、励磁電流と同じ位相であるが、参照信号RS2は、移相回路PSにより90度移相してある。即ち同期検波器DE11〜DE22には、周波数及び位相が励磁電流と同じ第1参照信号RS1(位相0度)と、周波数が励磁電流と同じで位相が90度異なる(位相90度の)第2参照信号RS2が供給される。スイッチSW1,SW2は、時分割で切替えることができる。
【0028】
同期検波器DE11〜DE22は、検出コイルDCの検出電圧を参照信号RS1又は参照信号RS2により同期検波する。その検波出力は、ローパスフィルタLPF11〜LPF22、ハイパスフィルタHPF11〜HPF22に供給され、渦電流探傷信号X1,X2,Y1,Y2が取り出される。渦電流探傷信号X1,X2,Y1,Y2は、夫々メモリME11〜ME22に保存する。
【0029】
渦電流探傷信号X1,Y1は、導電板EP1に励磁電流が流れているとき、即ち導電板EP1の励磁中に検出された検出電圧(第1検出電圧)を、夫々参照信号RS1又は参照信号RS2により同期検波して得られた渦電流探傷信号であり、渦電流探傷信号X2,Y2は、導電板EP2に励磁電流が供給されているとき、即ち導電板EP2の励磁中に検出された検出電圧(第2検出電圧)を、夫々参照信号RS1又は参照信号RS2により同期検波して得られた渦電流探傷信号である。また渦電流探傷信号X1,X2は、導電板EP1又は導電板EP2の励磁中に検出された検出電圧(第1検出電圧又は第2検出電圧)を、参照信号RS1により同期検波して得られた渦電流探傷信号であり、渦電流探傷信号Y1,Y2は、導電板EP1又は導電板EP2の励磁中に検出された検出電圧(第1検出電圧又は第2検出電圧)を、参照信号RS2により同期検波して得られた渦電流探傷信号である。
加算器AD1は、メモリME12,ME22の渦電流探傷信号Y1,Y2の和を取って和信号ZYを、また加算器AD2は、メモリME11,ME21の渦電流探傷信号X1,X2の和を取って和信号ZXを出力する。
【0030】
和信号ZXは、長手キズの場合、渦電流探傷信号X1,X2が加わり合って増大し、直交キズの場合、渦電流探傷信号X1,X2が打消し合って抑制される。和信号ZYも同様に、長手キズの場合、渦電流探傷信号Y1,Y2が加わり合って増大し、直交キズの場合、渦電流探傷信号Y1,Y2が打消し合って抑制される。
キズの評価は、加算器AD1の和信号ZYと加算器AD2の和信号ZXを演算器(図示せず)で演算して行う。またキズの評価は、渦電流探傷信号X1,X2,Y1,Y2を演算器で演算して行うこともできる。
以上は、加算器AD1により渦電流探傷信号Y1,Y2の和を取り、加算器AD2により渦電流探傷信号X1,X2の和を取る例であるが、差を取ることもできる。その場合、長手キズに起因する差信号ZY、差信号ZXは抑制され、直交キズに起因する差信号ZY、差信号ZXは増大する。
【0031】
なお
図4において、スイッチSW1を接点a1側へ切り替えた状態で第1回目の探傷を行って渦電流探傷信号X1,Y1を取得し、次に接点a2側へ切り替えた状態で第2回目の探傷を行って渦電流探傷信号X2,Y2を取得することもできる。その場合、スイッチSW2は省略して検出コイルDCを同期検波器DE11,DE12に直接接続し、ハイパスフィルタHPF11,HPF12の夫々の出力にスイッチSW1と同様のスイッチを接続して、ハイパスフィルタHPF11,HPF12の出力から渦電流探傷信号X1,Y1を取り出してメモリ等(例えばメモリME11,ME12)に保存し、その後ハイパスフィルタHPF11,HPF12の出力から渦電流探傷信号X2,Y2を取り出してメモリ等(例えばメモリME21,ME22)に保存するように構成することもできる。その場合には、同じ箇所を複数回走査する必要があるが同期検波器DE21〜ハイパスフィルタHPF21、同期検波器DE22〜ハイパスフィルタHPF22を省略できる。
【0032】
図5は、
図4の渦電流探傷装置の変形例で、
図4の4個の同期検波器を1個にし、1個の同期検波器DE12を時分割で使用する例である。
スイッチSW1を接点a1側へ、スイッチSW51,SW52を接点e1,f1側へ切替える。その間にスイッチSW3、SW4を接点c1、d1へ切替えて渦電流探傷信号X1を取り出し、メモリME11に保存する。次にスイッチSW3,SW4を接点c2,d2側へ切替えて渦電流探傷信号Y1を取り出し、メモリME12に保存する。
次にスイッチSW1を接点a2側へ、スイッチSW51,SW52を接点e2,f2側へ切替える。その間に、スイッチSW3,SW4を接点c1,d1側へ切替えて渦電流探傷信号X2を取り出し、メモリME22に保存する。次にスイッチSW3,SW4を接点c2,d2側へ切替えて渦電流探傷信号Y2を取り出し、メモリME21に保存する。
図2の渦電流探傷装置は、同期検波器が1個でよいから、構成が簡単になる。
【0033】
ここで
図6、
図7により、
図4の渦電流探傷装置の探傷試験の結果について説明する。
探傷試験は、渦電流探傷プローブPをSC方向へ走査して渦電流探傷信号Y1,Y2を取得した。
図6、
図7は、取得した渦電流探傷信号Y1,Y2の波形を示す。
試験に用いた渦電流探傷プローブPの導電板EP1、EP2のサイズは、
図2(a3)において、厚さt=1mm、長さL=幅w=12mm、導体片の厚さ=0.2mmである。また被試験体は、長さ20mmのSS400の鋼板に深さ0.5mmの放電加工キズを形成したものを用いた。励磁電流と参照信号の周波数は、36kHzで、参照信号は、位相が励磁電流と90度異なる参照信号を用いた。また渦電流探傷プローブPは、リフトオフ1mmで走査した。
【0034】
図6、
図7において、縦軸は、渦電流探傷信号Y1,Y2(Yと表示)の振幅の最大値(V)を、横軸は、渦電流探傷プローブPの走査時間(s)を表している。
図6は、長手キズに起因する渦電流探傷信号Y1,Y2の波形で、
図6(a)は、導電板EP1の励磁中に得られた渦電流探傷信号Y1、
図6(b)は、導電板EP2の励磁中に得られた渦電流探傷信号Y2、
図6(c)は、渦電流探傷信号Y1,Y2の和信号の波形である。
図6(a),(b)の波形は、位相が同じであるから、渦電流探傷信号Y1,Y2の和信号は、両渦電流探傷信号が加わり合って
図6(c)のように増大した波形になる。
【0035】
図7は、直交キズに起因する渦電流探傷信号Y1,Y2の波形で、
図7(a)は、導電板EP1の励磁中に得られた渦電流探傷信号Y1、
図7(b)は、導電板EP2の励磁中に得られた渦電流探傷信号Y2、
図7(c)は、渦電流探傷信号Y1,Y2の和信号の波形である。
図7(a),(b)の波形は、位相が逆になるから、渦電流探傷信号Y1,Y2の和信号は、両渦電流探傷信号が打消し合って
図7(c)のように抑制された波形になる。
以上
図6、
図7から明らかなように、
図4の渦電流探傷装置は、長手キズに起因する渦電流探傷信号を増大し、直交キズに起因する渦電流探傷信号を抑制するから、従来十分には検出できなかった長手キズを確実に検出することができる。