【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 第45回鉄道サイバネ・シンポジウム論文集(2008年11月20日)日本鉄道サイバネティクス協議会発行論文番号219「自動改札機の新人間検知の開発 ICカード普及により生じる人間検知機能の課題とその対応」に発表
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも前記入口のエリアで設定された大人検知パターンと前記中央のエリアで設定された大人検知パターンとに基づいて、1つの前記改札通路の方向に対して少なくとも2つの人間検知開始点を設定したことを特徴とする請求項1記載の自動改札装置。
少なくとも前記入口のエリアで設定された大人検知パターンと前記中央のエリアで設定された大人検知パターンとに基づいて、1つの前記改札通路の方向に対して少なくとも2つの無札検知点を設定したことを特徴とする請求項1記載の自動改札装置。
少なくとも前記入口のエリアで設定された大人検知パターンと前記中央のエリアで設定された大人検知パターンとに基づいて、1つの前記改札通路の方向に対して少なくとも2つの人間検知開始点を設定したことを特徴とする請求項4記載の自動改札装置の人間検知方法。
少なくとも前記入口のエリアで設定された大人検知パターンと前記中央のエリアで設定された大人検知パターンとに基づいて、1つの前記改札通路の方向に対して少なくとも2つの無札検知点を設定したことを特徴とする請求項4記載の自動改札装置の人間検知方法。
【背景技術】
【0002】
従来の自動改札装置(または自動改札機)の正面図を
図6に示す。
図6は自動改札装置101の機械本体部をその改札通路側から見た図を示している。従来の既存の自動改札装置101では、改札通路を通過する旅客を検知する人間検知機能のためのセンサ構成(人間検知センサ)は、12個の透過型センサと、3個の反射型センサとから構成されている。透過型センサおよび反射型センサは例えば光電センサで構成される。ここで、自動改札装置101における「人間検知機能」とは、光電センサ等を利用して改札通路内を通行する旅客を認識し、ドアや案内表示、ポールランプ等の通路制御を行う機能のことである。
【0003】
12個の透過型センサの各々は投光器と受光器とによって構成される。
図6において、12個の透過型センサの各々の投光器201〜212が示されている。
図6に示した自動改札装置101に対して、
図7に示すように、改札通路102を形成するため他の自動改札装置103が平行に配置されている。自動改札装置101の正面部に対応する他の自動改札装置103の対向面において、投光器201〜212の各々に対応して同じ高さ位置および同じ改札通路方向の位置にて受光器(図示せず)が配置されている。各投光器から対応する受光器に対しては光線Lが照射されている。
【0004】
既存の自動改札装置101における12個の透過型センサの投光器201〜212の各々の高さ位置(改札通路床面からの高さ)については、例えば、上側中央の投光器201,202は874mm、入口側の投光器203,204は700mm、下側中央およびその両側中間の投光器205,206,207,208,209,210は642mm、出口側の投光器211,212は700mmである。12個の透過型センサによる検知エリアは、改札通路方向における配置位置とその配置高さに基づいて決定される。
【0005】
3個の反射型センサは、符号301,302,303で示されている。3個の反射型センサ301〜303は、それぞれ、入口側、中央、出口側に配置されている。反射型センサ301〜303は投光器のみで構成されている。3個の反射型センサ301〜303の検知エリア301a,302a,303aの高さは1240mmである。なお
図7において、反射型センサ301〜303の光線照射状態を矢印301b,302b,303bを示している。これらの光線照射状態において、改札通路を大人が通行するとき、当該光線を反射する高さ位置がおよそ1240mm程度となる。
【0006】
既存の自動改札装置101による人間検知装置の構成では、上記の12個の透過型センサ(投光器201〜212等)と3個の反射型センサ301〜303の組合せに基づいて、改札通路103に入った旅客の人間検知に関して、
図8に示されるような5つの検知エリア111,112,113,114,115が定義され、複数の検知エリアが形成される。3つの検知エリア111,113,115の各々において、検知箇所111A,113A,115Aは、反射型センサ301〜303によって検知され得る高さ位置を示し、前述の検知エリア301a〜303aに対応している。
【0007】
検知エリア111は入口側の検知エリアで、反射型センサ301(検知エリア111A)と投光器203,204(検知エリア111B)に基づいている。検知エリア113は中央の検知エリアであり、反射型センサ302(検知エリア113A)と投光器201,202(検知エリア113B)と投光器207,208(検知エリア113C)に基づいている。検知エリア115は出口側の検知エリアであり、反射型センサ303(検知エリア115A)と投光器211,212(検知エリア115B)に基づいている。検知エリア111,113,115は大人の検知に用いられる。検知エリア113では3つの高さ(642mm、874mm、1240mm)の論理積で大人を検知し、検知エリア111,115では2つの高さ(700mm、1240mm)の論理積で大人を検知している。
【0008】
検知エリア112は投光器205,206(検知エリア112A)に基づいている。検知エリア114は投光器209,210(検知エリア114A)に基づいている。2つの検知エリア112,114は1つの高さ(642mm)のみで検知が行われる。この場合の検知では、大人または荷物(小児、無料小児を含む)を判別することは容易ではない。
【0009】
従来の自動改札装置(自動改札機)は例えば特許文献1〜3に開示されている。特許文献1に開示される自動改札機では、中央人間検知器を備え、当該中央人間検知器は、改札通路における旅客進入方向に沿って入口側検知部、中央検知部、出口側検知部の3つの分割領域に設けられている。特許文献2に開示される自動改札機は、2人の利用者が並列に通過できる幅広改札通路に適用される自動改札機であり、人間検知手段は、改札通路の通過方向に沿って所定の間隔を保って設けられた複数のセンサ群により構成されている。特許文献3に開示される自動改札機の物体通過検知装置は、改札通路の進行方向にて高位位置と低位位置に複数の通行検知センサを備え、高位位置では入口側と中央と出口側、低位位置では中央とその両側、のそれぞれで通行検知センサが配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の自動改札装置101,103による改札通路102を通過する旅客に関する人間検知の機能、すなわち旅客を検知している通路制御を行う機能によれば、旅客が直立して改札通路102を通過することを想定し、上記のごとく5つの検知エリア111〜115を設定することにより人間検知のためのパターン認識を行っていた。そのため、改札通路102を歩行中の旅客の脚が検知パターンに照合せず、検知ミスを行う可能性があった。
【0012】
また従来の人間検知の機能によれば、下記の理由により、旅客が改札通路102の中央に進入してきたタイミングで旅客の検知を開始する用意を行うようにしていた。従って、中央での旅客の検知に失敗すると、再検知を行うことができないという問題があった。
さらに従来の自動改札装置の人間検知の機能では、無札客を検知してドアを閉め始めるタイミングが自動改札装置の中央エリアの1箇所のみであったので、当該中央エリアで無札客の検知に失敗した場合にはドアを閉めることができず、無札客を阻止することができなかった。
【0013】
特に、近年、自動改札装置で使用される媒体が磁気券(磁気カード、磁気乗車切符)からICカード(IC無線タグ)へ移行するに当たって改札通路内での旅客の動きに変化が生じている。磁気券の場合には入口側の投入口への磁気券投入から出口側の取り出し口からの返却までの間、磁気券は自動改札装置側でハンドリングされるので、旅客の動きは「判定OK」、「判定NG」、「無札NG」の3つのパターンであった。他方、ICカードの場合には、入口側のリーダ・ライタのアンテナ部にICカードをタッチした後、自動改札装置の外に出るまで旅客が常にICカードをハンドリングするので、「判定OK」と「無札NG」はほぼ同じであるが、「判定NG」の動きでは改札通路の中央まで入らない動きが生じ、さらにICカード処理未了発生時の「再タッチ」の動きも生じるようになった。
【0014】
磁気券を利用した場合には「判定OK」、「判定NG」、「無札NG」の3つのパターンのいずれの場合にも、旅客は改札通路の中央まで移動する。このため、従来の自動改札装置の人間検知機能の基本処理は、改札通路の中央における旅客検知をトリガーとして組み立てられていた。
図6において、矢印401は旅客被検知の状態を示し、矢印402は旅客の中央通過の状態を示し、矢印403は旅客の出口通過の状態を示している。矢印402で示された中央通過において、旅客検知を行い、これをトリガーとして既存の人間検知処理が行われていた。
また「判定NG」で戻る場合には、旅客は出口付近まで到達しているので、反対向きの矢印501,502で示されるように、必ず旅客の中央通過の状態(矢印501)および旅客の戻り動作の状態(矢印502)が生じることになる。
【0015】
これに対してICカードを利用する場合には、「判定NG」とICカードの処理未了時の「再タッチ」では、旅客が改札通路の中央に到達しないケースが発生する。このままでは、人間検知の基本処理が動作しなくなるので、従来では、フォロー処理により早期復帰を行うようにしていた。またICカード処理未了の再タッチの動き等によって、入口エリア、中央エリア、出口エリアの3つの旅客検知箇所の隙間に旅客が滞留する場合があり、旅客の未検知や誤検知の問題が提起されている。
【0016】
さらに媒体としてICカードが普及された非接触式の自動改札装置では、次の理由に基づき、人間検知機能の重要性がより高まっている。
ICカードでは、リーダ・ライタのアンテナ部でのタッチが不完全で入出場処理が完全に行われなかった場合には「処理未了」となる。このとき、自動改札装置はドア開閉動作を行って旅客の通行を阻止し、再タッチを誘導する。
自動改札装置の人間検知機能が、通行する旅客を正しく検知できないと、旅客と媒体の判定OK結果(自動改札装置を通行できる権利:正券クレジット)がずれて正券クレジットが余る場合が生じる。正券クレジット余りが発生すると、通行できる人数以上の旅客の通行許可してしまう。そのため、無札の旅客やICカード処理未了が発生した旅客等の、本来通行を阻止するべきケースに対して通行を許可してしまう場合がある。ICカード処理未了が発生した旅客の通行を許可してしまうと、その旅客は、次回の自動改札装置の利用時に乗車券の入出場状態が正しくないと判定されるので、係員対応となる。正券クレジット余りの発生頻度が高ければ、係員の負担が増大することになる。
ICカードが普及した自動改札装置において、ICカード利用旅客のスムーズな通行、不正乗車の通行阻止、係員の負担低減等の必要性に応えるため、より精度の高い新しい人間検知機能が求められる。
【0017】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、媒体としてICカードを利用した非接触式の自動改札装置で、旅客の歩行を想定した検知パターンを作ることによってより精度の高い人間検知機能を実現し、さらに、これにより改札通路の入口、中央、出口の3つの旅客検知エリアの隙間に旅客が滞留するのを防止してICカード利用旅客のスムーズな通行を可能にし、無札客等の不正乗車の通行を確実に阻止し、正券クレジット余りの発生頻度を低くすることにより係員の負担を低減することができる自動改札装置、およびその人間検知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る自動改札装置およびその人間検知方法は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0019】
第1の自動改札装置(請求項1に対応)は、改札通路の入口と中央と出口の光電センサにより矩形状人間検知エリアを構成し、改札通路の第1中間エリアと第2中間エリアの光電センサによる人間検知エリアは、
入口と中央と出口の各々の矩形状人間検知エリアに対して、
中位に配置される光電センサと低位に配置される光電センサとの組合せに基づき股割れ検知パターンを有するように構成される。
【0020】
上記の自動改札装置は、好ましくは媒体がICカードである非接触式の自動改札装置である。当該自動改札装置の人間検知システムの検知機能において、特に、改札通路の第1中間エリアと第2中間エリアの光電センサによる人間検知エリアが、
入口と中央と出口の各々の矩形状人間検知エリアに対して、
中位に配置される光電センサと低位に配置される光電センサとの組合せに基づき股割れ検知パターンを有するように構成されたため、第1
および第2の中間エリアに旅客(大人)が存在することを判断することができる。
【0022】
第
2の自動改札装置(請求項
2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、少なくとも入口エリアで設定された大人検知パターンと中央エリアで設定された大人検知パターンとに基づいて、1つの改札通路の方向に対して少なくとも2つの人間検知開始点を設定したことを特徴とする。
【0023】
第
3の自動改札装置(請求項
3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、少なくとも入口エリアで設定された大人検知パターンと中央エリアで設定された大人検知パターンとに基づいて、1つの改札通路の方向に対して少なくとも2つの無札検知点を設定したことを特徴とする。
【0024】
第1の自動改札機の人間検知方法(請求項
4に対応)は、改札通路の入口と中央と出口の光電センサにより矩形状人間検知エリアを設定し、改札通路の第1中間エリアと第2中間エリアの光電センサによる人間検知エリアは、
入口と中央と出口の各々の矩形状人間検知エリアに対して、
中位に配置される光電センサと低位に配置される光電センサとの組合せに基づき股割れ検知パターンを有するように設定されることを特徴とする。この構成では、改札通路の第1中間エリアと第2中間エリアの光電センサによる人間検知エリアが、
入口と中央と出口の各々の矩形状人間検知エリアに対して、
中位に配置される光電センサと低位に配置される光電センサとの組合せに基づき股割れ検知パターンを有するように設定されたため、第1
および第2の中間エリアに旅客(大人)が存在することを判断することができる。
【0026】
第
2の自動改札装置の人間検知方法(請求項
5に対応)は、上記の方法において、好ましくは、少なくとも入口エリアで設定された大人検知パターンと中央エリアで設定された大人検知パターンとに基づいて、1つの改札通路の方向に対して少なくとも2つの人間検知開始点を設定したことを特徴とする。
【0027】
第
3の自動改札装置の人間検知方法(請求項
6に対応)は、上記の方法において、好ましくは、少なくとも入口エリアで設定された大人検知パターンと中央エリアで設定された大人検知パターンとに基づいて、1つの改札通路の方向に対して少なくとも2つの無札検知点を設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る自動改札装置によれば、入口エリア、中央エリア、出口エリア、第1中間エリア、第2中間エリアのすべての中間高さに配置された透過型の光電センサを備え、改札通路の第1中間エリアと第2中間エリアの光電センサによる人間検知エリアが、
入口と中央と出口の各矩形状人間検知エリアに対して、
中位に配置される光電センサと低位に配置される光電センサとの組合せに基づき股割れ検知パターンを有するように構成されたため、第1
および第2の中間エリアに旅客(大人)が存在することを判断することができる。また入口エリアで2つの大人検知パターン、中央エリアで3つの大人検知パターン、および出口エリアで2つの大人検知パターンを設定するように構成したため、改札通路の一通行方向に対して複数の旅客検知監視点、および複数の無札検知点を設定することができ、ICカードを利用して通過する旅客の動きに対して適切に改札処理を行うことができる。
【0029】
本発明に係る自動改札装置の人間検知方法によれば、入口エリア、中央エリア、出口エリア、第1中間エリア、第2中間エリアのすべての中間高さに配置された透過型の光電センサの検知情報と、従来からの複数の光電センサの検知情報とによって、改札通路の第1中間エリアと第2中間エリアの光電センサによる人間検知エリアが、
入口と中央と出口の各矩形状人間検知エリアに対して、
中位に配置される光電センサと低位に配置される光電センサとの組合せに基づき股割れ検知パターンを有するように設定されたため、第1
および第2の中間エリアに旅客(大人)が存在することを判断することができる。また入口エリアで2つの大人検知パターン、中央エリアで3つの大人検知パターン、および出口エリアで2つの大人検知パターンを設定したため、改札通路の一通行方向に対して複数の旅客検知監視点、および複数の無札検知点を設定することができ、ICカードを利用して通過する旅客の動きに対して適切に改札処理を行うことができる。
【0030】
さらに本発明によれば、媒体としてICカードを利用した非接触式の自動改札装置で、旅客の歩行を想定した検知パターンを作ることによってより精度の高い人間検知機能を実現することができ、さらにこれにより改札通路の入口、中央、出口の3つの旅客検知エリアの隙間に旅客が滞留するのを防止してICカード利用旅客のスムーズな通行を可能にし、無札客等の不正乗車の通行を確実に阻止し、正券クレジット余りの発生頻度を低くすることにより係員の負担を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施形態に係る自動改札装置の要部の正面図を示す。
図1に示した図は、自動改札装置11の本体部をその改札通路側から見た図である。自動改札装置11の
図1中手前側が改札通路となっている。矢印12は、改札通路における旅客の通過方向の一例を示している。自動改札装置11における通過方向12に関して、
図1に示されるように、入口エリア21、中央エリア22、出口エリア23、第1中間エリア24、第2中間エリア25が設定される。第1中間エリア24は入口エリア21と中央エリア22の間の中間エリアである。第2中間エリア25は中央エリア22と出口エリア23の間の中間エリアである。これらのエリアは単に改札通路における空間を区分けするための区画である。自動改札装置11は、特に好ましくは、媒体としてICカードが主である非接触式の自動改札装置である。
【0034】
上記の自動改札装置11に、改札通路を通過する旅客(人間)を検知するための機能を有する本発明に係る人間検知装置が装備される。当該人間検知装置における人間検知機能に用いられるセンサ装置は、26個の透過型センサと、3個の反射型センサとから構成されている。透過型センサおよび反射型センサは例えば光電センサである。ここで、自動改札装置11における「人間検知機能」とは、光電センサ等を利用して改札通路内を通行する旅客を認識し、ドアや案内表示、ポールランプ等の通路制御を行う機能のことである。
【0035】
26個の透過型センサの各々は投光器と受光器とによって構成される。26個の透過型センサのうち12個の透過型センサは、
図6で説明した従来の自動改札装置101に設けられていた透過型センサと同じものであり、同じ位置に配置されている。当該12個の透過型センサの投光器については、
図6において示された同じ符号201〜212が付されている。他の14個の透過型センサは新たに追加された透過型センサである。新たに追加された14個の透過型センサについて、
図1において14個の投光器31〜44が示されている。
【0036】
投光器201,202は中央エリア22で中間高さ位置(例えば874mm)に配置されている。投光器203,204は入口エリア21で低位位置(例えば700mm)に配置されている。投光器205,206は第1中間エリア24で低位位置(例えば642mm)に配置され、投光器207,208は中央エリア22で低位位置(例えば642mm)に配置され、投光器209,210は第2中間エリア25で低位位置(例えば642mm)に配置されている。さらに投光器211,212は出口エリア23で低位位置(例えば700mm)に配置されている。
【0037】
他方、追加された14個の透過型センサの投光器31〜44について、ほぼ中間高さ位置にほぼ一列状に配置されている。2つの投光器31,32は入口エリア21に配置され、5つの投光器33〜37は第1中間エリア24に配置され、さらに5つの投光器38〜42は第2中間エリア25に配置され、残りの2つの投光器43,44は出口エリア23に配置されている。
【0038】
追加された14個の透過型センサの投光器31〜44の中間高さ位置は、好ましくは、通路床面から899〜1011mmの範囲に含まれる高さであり、さらに好ましくは通路床面から940mmである。この高さはおよそ大人の腰の高さである。また投光器31〜44の取付け間隔については、好ましくは80mmである。
【0039】
図1に示した自動改札装置11に対して、改札通路を形成するため他の自動改札装置が平行に配置されている。自動改札装置11の正面をなす壁面に対応する他の自動改札装置の対向壁面において、投光器31〜44,201〜212の各々に対応して同じ高さ位置および同じ改札通路方向(矢印12)の位置に受光器が配置されている。各投光器から対応する受光器に対しては光線が照射されている。改札通路に進入した旅客が当該光線を遮ると、旅客の存在が検知されることになる。
【0040】
また3個の反射型センサは、従来装置の反射型センサと同じであり、同じ符号301,302,303で示されている。3個の反射型センサ301〜303は、それぞれ、入口エリア21、中央エリア22、出口エリア23に配置されている。3個の反射型センサ301〜303の検知エリア301a,302a,303aの高さは、一点鎖線13で示された1240mmの高さである。
【0041】
なお
図1において、14は自動改札装置11の筐体(本体部)、15は入口側と出口側に設けられた開閉自在なドア、16は係員情報表示器(警告用のランプ等)である。
【0042】
図1に示した自動改札装置11の改札通路側の壁面において、太い
破線に示されるように、26個の透過型センサと3個の反射型センサとに基づいて、11区画の検知エリア51〜61が定義される。これらの検知エリア51〜61の各々は、下記の通り、26個の透過型センサの各投光器31〜44,201〜212と3個の反射型センサ301〜303とに基づいて、それらの所定の組合せに関する論理積により定義される空間的な区画である。すなわち、検知エリア51〜61の各々によれば、各検知エリア内に含まれる複数の投光器の組合せで、当該複数の投光器のすべてが検知動作を行ったときに、当該検知エリアで旅客が検知されることになる。
【0043】
2つの検知エリア51,52は入口エリア21で定義される。検知エリア51は、投光器31,32,203,204と、反射型センサ301の検知エリア301aとに基づいて定義される。検知エリア52は、投光器31,32,33,204と、反射型センサ301の検知エリア301aとに基づいて定義される。
【0044】
2つの検知エリア53,54は第1中間エリア24で定義される。検知エリア53は、中間高さ位置の投光器33,34,35と低位位置の投光器205とに基づいて定義される。検知エリア54は、中間高さ位置の投光器35,36,37と低位位置の投光器206とに基づいて定義される。
【0045】
3つの検知エリア55,56,57は中央エリア22で定義される。検知エリア55は、中間高さ位置の投光器37,201,202と低位位置の投光器207と反射型センサ302の検知エリア302aとに基づいて定義される。検知エリア56は、中間高さ位置の投光器201,202と低位位置の投光器207,208と反射型センサ302の検知エリア302aとに基づいて定義される。検知エリア57は、中間高さ位置の投光器38,201,202と低位位置の投光器208と反射型センサ302の検知エリア302aとに基づいて定義される。
【0046】
2つの検知エリア58,59は第2中間エリア25で定義される。検知エリア58は、中間高さ位置の投光器38,39,40と低位位置の投光器209とに基づいて定義される。検知エリア59は、中間高さ位置の投光器40,41,42と低位位置の投光器210とに基づいて定義される。
【0047】
2つの検知エリア60,61は出口エリア23で定義される。検知エリア60は、投光器42,43,44,211と、反射型センサ303の検知エリア303aとに基づいて定義される。検知エリア61は、投光器43,44,211,212と、反射型センサ303の検知エリア303aとに基づいて定義される。
【0048】
以上の検知エリア51〜61は、自動改札装置11によって作られる改札通路を通過する旅客を認識し検知するための「認識用検知パターン」として定義される。
これらの検知エリア51〜61によれば、入口エリア21で、従来の1つの大人検知パターン51に対して他の1つの大人検知パターン52が追加される。出口エリア23でも同様に、従来の1つの大人検知パターン61に対して他の1つの大人検知パターン60が追加される。中央エリア22では、従来の1つの大人検知パターン56に対して、2つの大人検知パターン55,57が追加される。これにより、改札通路を通過する旅客の姿勢による大人検知漏れを解消することができる。
さらに第1中間エリア24と第2中間エリア25では、それぞれ、2つの検知パターン(53,54)、(58,59)が定義される。これらの検知パターンによれば、大人の検知を行わず、透過型センサの遮光状態と、隣接した大人検知のための検知エリアの状態とに基づいて、当該第1および第2の中間エリア24,25に旅客(大人)が存在するか否かを判断するようにしている。
【0049】
さらに、第1中間エリア24と第2中間エリア25に配置された透過型センサについては、併せて、隣接する入口エリア21と中央エリア22と出口エリア23における透過型センサと組み合わせて、
図2において太い
破線で示すように、4つの検知パターン(または検知エリア)65,66,67,68を定義している。
検知パターン65は、中間高さ位置の投光器33,34,35と、低位位置の投光器204,206とで定義される。検知パターン66は、中間高さ位置の投光器35,36,37と、低位位置の投光器205,207とで定義される。検知パターン67は、中間高さ位置の投光器38,39,40と、低位位置の投光器208,210とで定義される。検知パターン68は、中間高さ位置の投光器40,41,42と、低位位置の投光器209,211とで定義される。
上記の4つの検知パターン65,66,67,68の各々で、当該検知パターンに含まれる複数の投光器の検知動作の論理積に基づいて旅客の股割れ等が検知される。
これらの検知パターン65〜68は、股割れを想定した検知パターンである。これらの4つの検知パターン65〜68を定義することにより、旅客の股割れ時や荷物運搬時の人間検知の精度を向上することを可能にしている。
【0050】
本実施形態に係る自動改札装置11およびその人間検知方法について、当該人間検知のためのアルゴリズムは、新たに設定された上記の検知エリア(または検知パターン)51〜61,65〜68に基づいて構築される。
上記の投光器31〜44,201〜212等による26個の透過型センサ、および反射型センサ301〜303の各々の検知動作の所定の組合せに基づいて、上記のごとき検知エリア51〜61,65〜68の各々で旅客が検知されたとき、当該旅客検知情報に基づいて人間検知の機能が実現される。
【0051】
次に、
図3〜
図5を参照して、自動改札装置11に装備された人間検知装置の構成と当該装置に基づく人間検知方法を説明する。
図3は自動改札装置11における電気的制御部の構成を示すブロック図を示す。
図4は人間検知と1人の旅客を処理するときのフローチャートを示し、
図5は人間検知の際の股割れパターン処理のフローチャートを示す。
【0052】
図3で、70は制御装置で、当該制御装置70は主制御部71を含んでいる。主制御部71はマイクロプロセッサで構成されている。主制御部71は、RAM72とROM73のメモリを備えている。RAM72はフラッシュメモリ等で構成されている。上記の自動改札装置11は、媒体として磁気券(磁気カード、磁気切符等)とICカードに対応する機械であるので、ICカード処理部74と磁気券処理部75を装備している。ICカード処理部74はアンテナ部とリーダ・ライタを含んでいる。ICカード処理部74は非接触ICカードの処理を行う。磁気券処理部75は、磁気券からの情報の読み出しと磁気券への情報書込みを行う磁気券用リーダ・ライタを含む。磁気券処理部75は磁気券の処理を行う。なお自動改札装置11において、入口側の磁気券投入口から投入された磁気券は出口側の取り出し口から取り出されるので、その間で磁気券を搬送する磁気券搬送機構が備えられている。さらに自動改札装置11では、旅客案内表示器76が装備される。旅客案内表示器76はカラーLCD等で作られ、自動改札装置11の改札通路を通行しようとする旅客がICカード等の媒体を自動改札装置11に提示したとき、自動改札装置11の主制御部71との間で情報の送受を行う。旅客案内表示器76では、主制御部71からデータを受信し、旅客に対してICカード等の残額情報やエラー情報等の案内を表示する。
【0053】
上記のICカード処理部74と磁気券処理部75と旅客案内表示器76は、主制御部71との間で、I/Oユニット79を介して情報の送受を行うように接続されている。
【0054】
自動改札装置11では、出力装置として上記のドア15、通路案内表示器77、上記の係員情報表示器(ランプ等)16を備え、入力装置として前述した透過型センサと反射型センサから成る人間検知センサ78を備えている。人間検知センサ78は、前述の26個の透過型センサおよび3個の反射型センサを集合的に示したものである。これらの出力装置および入力装置はインターフェースとしてのI/Oユニット79を介して主制御部71と接続されている。
【0055】
また主制御部71は、伝送制御部80を備え、当該伝送制御部80を介して外部に設置された上位機器の管理用ポストコンピュータ等との間で通信を行い、情報のやり取りを行うように構成されている。
【0056】
主制御部71は、上記構成を有する自動改札装置11の全体の制御(改札処理、人間検知処理、正券クレジット処理等)を行う。具体的に、旅客案会表示器76、ドア15、通路案内表示器77、係員情報表示器16、人間検知センサ78の各動作を制御する。さらに主制御部71は、ICカード処理部74、磁気券処理部75との間で情報の送受を行う機能を有している。またROM73は主制御部71で実行されるプログラム、および当該プログラムで用いられる設定パラメータ等を格納している。RAM72は、主制御部71が動作する際に使用するワークエリアとして使用され、さらに管理情報などのデータを格納している。
【0057】
また主制御部71はその機能として正券クレジットを管理する機能を有している。当該正券クレジット管理機能は、主制御部71のブロック中に、正券クレジット管理部81として図示されている。
【0058】
上記のドア15は主制御部71の指示に従って開閉動作を行う。通路案内表示器77は、主制御部71からのデータを受信し、通過する旅客に対して「通行可」、「通行不可」等の案内を表示する。また係員情報表示器16は、主制御部71からのデータを受信し、係員向けの異常発生等の情報を表示する。
【0059】
上記のROM73に、本実施形態に係る人間検知装置による人間検知機能を実現するプログラムが内蔵されている。主制御部71は、人間検知機能を実現するプログラムをROM73から読み出して実行し、人間検知方法を実施する。
【0060】
図4と
図5を参照して、改札処理と正券クレジット処理に伴って行われる本実施形態に係る人間検知の処理方法(人間検知アルゴリズム)を説明する。
図4は改札通路を1人の旅客が通過する場合における人間検知の処理工程を示し、
図5は股割れパターンの検知の処理工程を示している。
【0061】
図4に従って旅客検知と改札処理を説明する。
図4において最初の判定ステップS11では入口エリア21での旅客検知が行われたか否かが判定される。入口エリア21での旅客検知は検知エリア51,52の検知情報に基づく。判定ステップS11で、YESのときには第1中間エリア24に旅客が進入したか否かが判定され(判定ステップS12)、NOのときには中央エリア22で旅客検知が行われたか否かが判定される(判定ステップS13)。第1中間エリア24での旅客進入の検知は検知エリア53,54での検知情報に基づく。中央エリア22での旅客検知は検知エリア55,56,57での検知情報に基づく。判定ステップS12において、YESであるときには正券クレジットが有るか否かについて判定され(判定ステップS14)、NOであるときには判定ステップS13に移行する。判定ステップS13で、YESであるときには判定ステップS14に移行し、NOであるときには正券クレジットが有るか否かを判定する他の判定ステップS15に移行する。
【0062】
正券クレジットの有無の判定は、前述したICカード処理部74と磁気券処理部75での媒体の処理内容、および前述した正券クレジット管理部81の管理機能に基づいて実行される。
【0063】
第1の正券クレジットの有無の判定ステップS14において、YESであるときには「ドア開」の動作を実行するための処理ステップS16に移行し、NOであるときには改札処理中であるか否かを判定する判定ステップS17に移行する。
【0064】
第2の正券クレジットの有無の判定ステップS15では、YESであるときには「ドア開」の動作を実行し(ステップS18)、NOであるときには「ドア閉」の動作を実行する(ステップS19)。その後、再び最初の判定ステップS11に戻る。この処理ルートでは、入口エリア21と中央エリア22等で旅客は検知されなかったが、正券クレジットは存在する場合には適正な旅客が通過しているとして「ドア開」の動作状態にし、正券クレジットが存在しない場合には、不正通行として「ドア閉」の状態のままに動作が維持される。
【0065】
第1の正券クレジットの有無の判定ステップS14においてNOのときの次の判定ステップS17では、改札処理中であるか否かが判定される。判定ステップS17でYESのときには「ドア開」の動作処理が行われる(ステップS20)。判定ステップS17でYESであるときには、次の判定ステップS21で再び正券クレジットが有るか否かについての判定がなされる。再度の正券クレジットの判定ステップS21でYESであるときには前述した「ドア開」の処理ステップS16に移行し、NOであるときには「ドア閉」の動作処理が実行される(ステップS22)。
【0066】
「ドア開」の動作処理(ステップS16)の後、出口エリア23における旅客の通過状態が判定される(判定ステップS23)。判定ステップS23でNOではあれば、当該判定ステップS23が繰り返され、YESであるときには、旅客が改札通路を適正に通過したものとして正券クレジットを消去する(ステップS24)。その後、ドア15は閉動作され(ステップS25)、改札処理を終了する。
【0067】
またステップS22で「ドア閉」の処理を行った後には、旅客案内表示器76等によりエラー警鳴の動作が行われる(ステップS27)。その後には入口戻りが行われた否かが判定される(判定ステップS28)。判定ステップS28でNOであるときにはこれを繰り返し、YESであるときには再度ICカードのタッチ処理が行われたことを確認して旅客案内表示器76等によるエラー警鳴の動作を停止する(ステップS29)。その後、改札処理を終了する。
【0068】
上述した1人の旅客についての改札処理における人間検知の方法では、判定ステップS11で示すように自動改札装置11の入口エリア21での人間検知センサ78から旅客検知を開始する。さらに入口エリア21での人間検知センサ78で旅客検知を開始できなかったとき(判定ステップS11でNOの場合)には、ステップS13に示すように中央エリア22での人間検知センサ78に基づき旅客検知を開始する。この点は、従来の人間検知のアルゴリズムと同じであり、当該中央エリア22での旅客検知処理はリカバリー処理として実装されている。かかる人間検知のアルゴリズムによれば、従来の既存の人間検知のアルゴリズムにおいて、旅客検知タイミングを自動改札装置11の入口箇所について追加したとみなすこともできる。自動改札装置11における改札通路を通過しようとする旅客の検知開始タイミングは基本的に改札機入口とし、さらに改札機中央の検知開始タイミングを残すことにより、改札機入口で旅客検知を失敗したとしても改札機中央でリカバリーすることができ、自動改札装置11における旅客の検知精度を上げることができる。
【0069】
さらに、自動改札装置11における無札改札の検知の箇所を、判定ステップS14,S15,S21に示されるように、同一の通行方向において少なくとも2箇所とした。特に、
図1に示した検知エリア51〜61によれば、第1および第2の中間エリア24,25でも旅客の検知を行うことができ、改札通路内のすべてで旅客の検知を行うことができ、特に第1中間エリア24での旅客検知に基づき無札検知位置をより手前に設定することができ、無札強行突破の阻止を向上することができる。これにより、無札検知の地点を複数箇所設定することにより、無札の旅客の検知を失敗する確率を低減することができる。このため無札客の通過阻止能力を高めることができる。
【0070】
さらに、ICカード処理未了が発生した場合には、旅客に対してより早いタイミングでドア15の閉動作を行うため、ICカード未了状態のままで強行突破してしまう旅客を減らすことができる。
【0071】
次に、
図5に従って改札通路を通過する旅客の股割れパターンの検知を説明する。
図5において、最初の処理ステップS31では「通常パターン判定」の処理が行われる。「通常パターン判定」は、
図4を参照して説明した改札処理における旅客に係る通常の人間検知のための判定であり、前述した検知パターン51〜61に基づくパターン判定である。「通常パターン判定」に係る処理ステップS31に加えて、以下の股割れパターンの処理が追加的に実行される。
【0072】
基本的に最初の段階で旅客が検知されたか否かが判定される(判定ステップS32)。判定ステップS32で、YESのときには通常の旅客検知処理のステップS33に移行し、NOのときには股割れ判定対象エリア(第1中間エリア24、第2中間エリア25)であるか否かが判定される(ステップS34)。判定ステップS34でYESであるときには股割れパターン判定の処理ステップS35に移行し、NOであるときには旅客非検知処理ステップS37に移行する。股割れパターン判定のステップS35では、前述した検知パターン61〜64に関して検知情報を得て判定を行う。その後、再度、旅客検知が有ったか否かが判定され(判定ステップS36)、YESであるときには上記の旅客検知処理のステップS33に移行し、NOであるときには上記の旅客非検知処理のステップS37に移行する。
【0073】
図5に示した人間検知のアルゴリズムによれば、自動改札装置11における人間検知機能での旅客検知パターンに対して人の歩行を想定した股割れ検知パターンを追加することができ、股割れ時や荷物運搬時の人間検知精度を高めることができる。
【0074】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)等については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。