特許第5750232号(P5750232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750232
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   E03C1/042 B
   E03C1/042 F
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-85802(P2010-85802)
(22)【出願日】2010年4月2日
(65)【公開番号】特開2011-214363(P2011-214363A)
(43)【公開日】2011年10月27日
【審査請求日】2012年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】313014077
【氏名又は名称】トクラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101188
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 義雄
(72)【発明者】
【氏名】山下 敏樹
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−060716(JP,A)
【文献】 特開平06−116996(JP,A)
【文献】 米国特許第7232111(US,B2)
【文献】 特開2006−104701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00−1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水ヘッドを調理用具に係脱可能に掛着する掛着手段を吐水ヘッドの吐水口の側方位置に着脱自在又は一体に設け、前記調理器具に入れた水面と前記吐水口の距離を検出できるセンサを前記吐水ヘッドに設けた水栓において、
前記掛着手段は前記吐水ヘッドのネック部が挿通可能な穴を備えた取付板と、当該取付板との間に挟持力が付与されるように設けられた回転板とにより構成され、前記取付板と回転板とで調理器具を込むことで前記掛着手段が調理器具に係合可能に設けられていることを特徴とする水栓。
【請求項2】
前記吐水ヘッドは、前記水栓本体から引き出し可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水栓に係り、吐水ヘッドの吐水口に鍋等の調理用具の開口部が対向する状態で、吐水ヘッドを当該調理用具に掛着することのできる掛着手段を備えた水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、キッチンの水栓は引き出しホースを介して吐水ヘッドが備えられたタイプが一般的である(例えば、特許文献1参照)。このタイプの水栓は、調理の際やシンク内部の清掃の際に、吐水ヘッドを任意の位置に引き出して使用できるため、吐水ヘッドが引き出しできないタイプの水栓に比べて使い勝手がよいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−146871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように使い勝手が改善された水栓であっても、その機能を有効に利用しているユーザーは実際のところ多くない。これを更に詳述すると、引き出し可能な吐水ヘッドを備えた水栓において、一定の調理課題を用いた被験者実験(被験者数10名)を行ったところ、鍋に水を入れる動作に際し、9人がシンク底部に鍋を置いて水を入れ、その後に鍋を持ち上げる動作が確認された。この一方、鍋をキッチンカウンターの上に置き、吐水ヘッドを引き出して水を入れる動作を行った者は僅か1名にしか過ぎないという実験結果となった。このように、引き出し可能な吐水ヘッドを備えた水栓としても、吐水ヘッドを引き出す機能を利用した人は、極めて少ないということができる。
これは、水栓が吐水ヘッドを引き出して使用する際には、吐水ヘッドを手に持って使用することが前提で設計されていることに起因するものと考えられ、これが、多くの利用者にとって、吐水ヘッドを引き出して鍋に水を入れる作業をイメージし難いと推定することができる。
【0005】
[発明の目的]
本発明は、このような実状に鑑みて案出されたものであり、その目的は、鍋等の調理用具に吐水ヘッドを掛着した状態で鍋内に水を入れることのできる水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る水栓は、特許請求の範囲記載の構成を採用したものである。具体的には、吐水ヘッドを調理用具に係脱可能に掛着する掛着手段を吐水ヘッドの吐水口の側方位置に着脱自在又は一体に設け、前記調理器具に入れた水面と前記吐水口の距離を検出できるセンサを前記吐水ヘッドに設けた水栓において、
前記掛着手段は前記吐水ヘッドのネック部が挿通可能な穴を備えた取付板と、当該取付板との間に挟持力が付与されるように設けられた回転板とにより構成され、前記取付板と回転板とで調理器具を込むことで前記掛着手段が調理器具に係合可能に設けられる、という構成を採っている。
ここで、前記吐水ヘッドは、前記水栓本体から引き出し可能に設けられる構成とすることができる
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、鍋等の開口部を有する調理用具に掛着手段を掛着させるだけで調理用具内に水を入れることが可能となる。
従って、調理用具を手に持って水を入れる際の作業者の負担軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る水栓の概略正面図。
図2】吐水ヘッドに掛着手段が取り付けられた状態を示す概略斜視図。
図3】鍋等の調理用具に掛着手段を掛着させた状態を示す概略正面図。
図4】異なる掛着手段を用いた場合の図3と同様の概略正面図。
図5】更に異なる掛着手段を用いた場合の図3と同様の概略正面図。
図6】(A)は掛着手段を形成する場合の具体的形状の一例を示す正面図、(B)はその底面図。
図7】(A)は掛着手段の他の具体的形状の一例を示す正面図、(B)はその底面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1において、システムキッチン10は、上部にシンク11が配置されたキャビネット12と、このキャビネット12の上部に配置されたカウンター13と、シンク11の上部外周側に取り付けられた水栓15と、当該水栓15に着脱可能に設けられた掛着手段16とを備えて構成されている。
【0011】
前記水栓15は、水栓本体20と、当該水栓本体20に連設された吐水ヘッド21と、開栓レバー22とを含み、吐水ヘッド21はホース23を介して水栓本体20から引き出し可能に設けられている。ここで、吐水ヘッド21の吐水口21Aの隣接位置にはセンサ25が設けられており、当該センサ25により、吐水口21Aと調理用具としての鍋26(図3参照)に入れられる水面との距離が検出できるようになっている。センサ25は、特に限定されるものではないが、例えば、光、音、電波等を放出し、水面での反射光等を受光する機能を備えたものを採用することができる。センサ出力は図示しない制御部に入力され、当該制御部は、予め設定された水位で給水を停止する信号を図示しない電磁弁に出力するようになっている。なお、吐水ヘッド21の先端側外周部にはプッシュボタン21Bが設けられ、当該プッシュボタン21Bの押圧操作によっても水栓15の開閉が行えるようになっている。
【0012】
前記掛着手段16は、図2に示されるように、取付板30と、当該取付板30に軸と軸受けとからなる軸受部33を介して連結された回転板34とにより構成されている。取付板30は、上板30Aと、当該上板30Aの下部に位置する下板30Bとからなり、これら上板30Aと下板30Bとの間に、吐水ヘッド21のネック部21Cが挿通可能な穴30Cが形成されている。上板30Aと下板30Bとは、片側の側端間に位置するヒンジ部36により相互に連結されて板面に沿う面内で相対回転可能に設けられ、これにより、上板30Aと下板3との間を開いて穴30C内に前記ネック部21Cを位置させることで当該ネック部21Cが取付板30に挿通された状態となる。ここで、上板30Aと下板30Bは、ヒンジ部36が設けられた位置とは反対側において、上板30Aと下板30Bとを突き合わせてネック部21C回りに取付板30Bを固定状態に保つ連結ボルト38が配置され、この連結ボルト38は上板30Aの上端から挿入して下板30Bにねじ込み可能となっている。
【0013】
前記回転板34は、下板30Bの面内に収まる大きさを備えており、それらの相対面間に前記軸受部33が位置するようになっている。軸受部33の軸回りには、ねじりコイルばね40が巻装され、当該ねじりコイルばね40の端部が下板30Bと回転板34の相対面にそれぞれ係止され、このねじりコイルばね40の付勢力により、常時は、下板30Bと回転板34の下部間に挟持力が付与される。
【0014】
前記掛着手段16を使用する場合には、前記ねじりコイルばね40の付勢力に抗して回転板34の上部を下板30B側に向けて操作力を付与することで下部間を離間させることができ、その後に、図3に示されるように、鍋26の上端部分を挟み込むように位置させて回転板34の操作力を解除すればよい。
これにより、吐水ヘッド21は鍋26に掛着手段16で掛着される。
鍋26に一定の水が入れられてセンサ25と水面との距離が予め設定された距離に至ったことが検出されると、センサ25からの信号を入力とする制御部からの制御信号で電磁弁を閉塞動作し、吐水が停止する。
【0015】
従って、このような実施形態によれば、引き出した吐水ヘッド21を鍋26に掛着手段16で掛着させれば、吐水ヘッド21を持つことなく、鍋26内に所定水位の水を入れることができる。なお、カウンター13上に鍋26を置いた場合であっても、引き出した吐水ヘッド21を鍋26に掛着させれば、吐水ヘッド21を持つことなく、鍋26内に所定水位の水を入れることができるので、そのまま鍋26をほぼ水平移動すれば、図示しない過熱調理器へ移すことができる。すなわち、使用者から水を入れた鍋26をシンク11から持ち上げる際の重量負担を開放することができる。
また、掛着手段16は、吐水ヘッド21に着脱自在に設けられているため、既存の吐水ヘッドに適用することもできる。
【0016】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0017】
例えば、前記実施形態では、掛着手段16が吐水ヘッド21に着脱可能な構成を示したが、図4に示されるように、吐水ヘッド21のネック部21Cを囲むフランジ状部40を一体に設けることによって掛着手段16を構成してもよい。この構成では、吐水ヘッド21の下部外周部分とフランジ状部40との間のクリアランスCに鍋26の上端部分を差し込むことで、吐水ヘッド21を鍋26に掛着することができる。
【0018】
また、図5に示されるように、ネック部21Aに凹部50を設け、当該凹部50に鍋26の上端部分を差し込み、吐水ヘッド21を鍋26に掛着することも可能である。
【0019】
なお、凹部50は、図6(A)、(B)に示されるように、鍋26の外周曲率に近づくように緩やかにカーブする溝状に形成する他、図7(A)、(B)に示すように、ネック部21に部分的な凸部60を一体に設けることで、正面視で凹部50を形成するように設けることもできる。
【符号の説明】
【0021】
15…水栓、16…掛着手段、21…吐水ヘッド、21A…吐水口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7