特許第5750246号(P5750246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750246
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】合成梁、建築物、及び合成梁の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/30 20060101AFI20150625BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20150625BHJP
   E04B 5/02 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   E04B1/30 H
   E04B1/58 601E
   E04B5/02 T
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-191428(P2010-191428)
(22)【出願日】2010年8月27日
(65)【公開番号】特開2012-46991(P2012-46991A)
(43)【公開日】2012年3月8日
【審査請求日】2013年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 利明
(72)【発明者】
【氏名】羽田 碩幸
(72)【発明者】
【氏名】田村 彰男
(72)【発明者】
【氏名】廣重 隆明
(72)【発明者】
【氏名】武藤 肇
【審査官】 湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−086674(JP,A)
【文献】 特開2010−047910(JP,A)
【文献】 特開2006−002427(JP,A)
【文献】 特開平11−166294(JP,A)
【文献】 実開昭62−124118(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/30
E04B 1/58
E04B 5/02
E04B 5/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
H形鋼の梁と、
前記梁の上フランジに対して間隔をあけて下フランジと一体にウェブの両側に構築されたウェブコンクリートと、
端部に形成された溝部に前記梁に取り付けられた鉄筋が配筋され、前記ウェブコンクリートの上面に端部が架設されたプレキャスト製のスラブコンクリートと、
前記ウェブコンクリートと前記上フランジの間、及び前記スラブコンクリートの前記溝部に充填され、前記上フランジの上面と前記スラブコンクリートの仕上り面を同一面とする充填材と、
を有する合成梁。
【請求項2】
H形鋼の梁と、
前記梁の上フランジに対して間隔をあけて下フランジと一体にウェブの両側に構築されたウェブコンクリートと、
前記ウェブコンクリートの上面に端部が架設されたプレキャスト製のスラブコンクリートと、
前記ウェブコンクリートと前記上フランジの間に充填され前記上フランジの上面と前記スラブコンクリートの仕上り面を同一面とする充填材と、
を有し、
前記スラブコンクリートの端部には鉄筋が配筋される溝部が形成され、
前記梁の前記ウェブには前記鉄筋が挿通可能な貫通孔が形成され、
前記鉄筋が、前記貫通孔に挿通されると共に前記梁を挟んで対向する前記スラブコンクリートを連結している合成梁。
【請求項3】
前記ウェブコンクリートは、前記梁の軸方向から見て、前記梁の下フランジの端部から外側へ拡幅する拡幅部が形成されている請求項1又は請求項2に記載の合成梁。
【請求項4】
前記スラブコンクリートにプレストレスが導入されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の合成梁。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の合成梁と柱で構築された建築物。
【請求項6】
H形鋼の梁の上フランジに対して間隔をあけて下フランジと一体にウェブの両側にウェブコンクリートを構築する工程と、
前記ウェブコンクリートが構築された前記梁を柱へ架設する工程と、
溝部を有するプレキャスト化されたスラブコンクリートの端部を前記ウェブコンクリートに架設する工程と、
前記溝部に鉄筋を配筋して前記鉄筋を前記梁に取り付けた後、前記ウェブコンクリートと前記梁の前記上フランジとの間、及び前記溝部に充填材を充填して前記上フランジの上面と前記スラブコンクリートの仕上り面を同一面とする工程と、
を有する合成梁の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成梁、建築物、及び合成梁の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の合成梁は、鉄骨をコンクリートで被覆した梁の上部に現場打ち鉄筋コンクリート床が形成される建物に用いられており、梁に内蔵された鉄骨材のウェブの略上半分の肉厚を略下半分の肉厚より薄く形成し、梁の上部に形成される現場打ち鉄筋コンクリート部分に梁上端筋を配設して、上部を鉄骨鉄筋コンクリート梁としている。
【0003】
特許文献2の合成梁は、柱との結合部端部がH形鋼を配設した鉄骨コンクリート造で、中央部が鉄筋コンクリート造のプレキャストコンクリートで形成されたプレキャスト合成梁となっている。
【0004】
特許文献3の合成梁の施工方法は、鉄骨梁の上フランジと下フランジとの間のウェブ両側部に型枠を配置し、鉄骨梁に支持されるデッキプレート端部に型枠内に連通する貫通孔を設け、床コンクリートの打設時に、コンクリートがデッキプレート端部に設けられた貫通孔を経由して、型枠内に打設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−261945号
【特許文献2】特開2001−123534号
【特許文献3】特開平10−102657号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、小梁を無くすことができる合成梁、建築物、及び合成梁の施工方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る合成梁は、H形鋼の梁と、前記梁の上フランジに対して間隔をあけて下フランジと一体にウェブの両側に構築されたウェブコンクリートと、端部に形成された溝部に前記梁に取り付けられた鉄筋が配筋され、前記ウェブコンクリートの上面に端部が架設されたプレキャスト製のスラブコンクリートと、前記ウェブコンクリートと前記上フランジの間、及び前記スラブコンクリートの前記溝部に充填され前記上フランジの上面と前記スラブコンクリートの仕上り面を同一面とする充填材と、を有する。
【0008】
上記構成によれば、H形鋼の梁のウェブの両面にウェブコンクリートが構築された後、プレキャスト製のスラブコンクリートの端部がウェブコンクリートの上面に架設される。そして、ウェブコンクリートと梁の上フランジの間に充填材が充填され合成梁が構築される。構築された合成梁は、スラブコンクリートがプレキャスト製のため、例えば、スラブコンクリートの厚さを予め荷重に耐え得る厚さとしておくことで、小梁が無くても荷重に耐えることができる。これにより、建築物の構築においてこの合成梁を用いれば、小梁を無くすことができる。
【0009】
本発明の請求項2に係る合成梁は、H形鋼の梁と、前記梁の上フランジに対して間隔をあけて下フランジと一体にウェブの両側に構築されたウェブコンクリートと、前記ウェブコンクリートの上面に端部が架設されたプレキャスト製のスラブコンクリートと、前記ウェブコンクリートと前記上フランジの間に充填され前記上フランジの上面と前記スラブコンクリートの仕上り面を同一面とする充填材と、を有し、前記スラブコンクリートの端部には鉄筋が配筋される溝部が形成され、前記梁の前記ウェブには前記鉄筋が挿通可能な貫通孔が形成され、前記鉄筋が、前記貫通孔に挿通されると共に前記梁を挟んで対向する前記スラブコンクリートを連結している。この構成によれば、鉄筋を介して複数のスラブコンクリートが連結されるので、各スラブコンクリートに応力が伝達される。これにより、スラブコンクリートの耐荷重量を上げることができる。
【0010】
本発明の請求項3に係る合成梁は、前記ウェブコンクリートは、前記梁の軸方向から見て、前記梁の下フランジの端部から外側へ拡幅する拡幅部が形成されている。この構成によれば、ウェブコンクリートの上面は下面に比べて拡幅されているので、スラブコンクリートの端部を架設する幅を十分に確保することができると共に、充填材の充填口を広くすることができる。
【0011】
本発明の請求項4に係る合成梁は、前記スラブコンクリートにプレストレスが導入されている。この構成によれば、スラブコンクリートにプレストレスが導入されているので、大梁の設置間隔が広がってスラブコンクリートが大スパンとなっても、荷重に耐えることができる。
【0012】
本発明の請求項5に係る建築物は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の合成梁と柱で構築されている。この構成によれば、建築物の構築において合成梁を用いることで小梁を無くすことができるので、建築物の美観を高めると共に設備配置の自由度を上げることができる。
【0013】
本発明の請求項6に係る合成梁の施工方法は、H形鋼の梁の上フランジに対して間隔をあけて下フランジと一体にウェブの両側にウェブコンクリートを構築する工程と、前記ウェブコンクリートが構築された前記梁を柱へ架設する工程と、溝部を有するプレキャスト化されたスラブコンクリートの端部を前記ウェブコンクリートに架設する工程と、前記溝部に鉄筋を配筋して前記鉄筋を前記梁に取り付けた後、前記ウェブコンクリートと前記梁の前記上フランジとの間、及び前記溝部に充填材を充填して前記上フランジの上面と前記スラブコンクリートの仕上り面を同一面とする工程と、を有する。
【0014】
上記構成によれば、構築された合成梁は、スラブコンクリートがプレキャスト製のため、例えば、スラブコンクリートの厚さを予め荷重に耐え得る厚さとしておくことで、小梁が無くても荷重に耐えることができる。これにより、建築物の構築においてこの合成梁を用いれば、小梁を無くすことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記構成としたので、小梁を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る建物の平面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る合成梁の縦断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る合成梁の施工工程図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る合成梁の変形例の縦断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る合成梁の縦断面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る合成梁の施工工程図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る合成梁の縦断面図である。
図8】本発明の第4実施形態に係る合成梁の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の合成梁、建築物、及び合成梁の施工方法の第1実施形態を図面に基づき説明する。
【0018】
図1には、地盤(図示省略)上に構築された建築物の一例としての建物10の一階層が平面図で示されている。建物10は、矢印X方向(図示の右方向)及び矢印Y方向(図示の上方向)に間隔をあけて立設された複数の柱12と、矢印X方向で2本の柱12に架設された梁18と、複数の柱12に架設された合成梁20とを含んで構成されている。
【0019】
図2(A)には、矢印X方向と直交する鉛直方向を矢印Z方向として、合成梁20の断面図(X−Z面)が示されている。合成梁20は、H形鋼の梁22と、梁22に構築されたウェブコンクリート34と、ウェブコンクリート34の上面に端部が架設されたスラブコンクリート16と、ウェブコンクリート34と上フランジ24の間に充填される充填材30と、を含んで構成されている。なお、図2(A)では、梁22を中心として各部材が左右対称に配置されている。
【0020】
梁22は、上フランジ24と、下フランジ26と、ウェブ28とを有するH形鋼であり、長手方向の両端部が柱12に連結されている。ウェブコンクリート34は、上フランジ24に対して間隔をあけて下フランジ26と一体にウェブ28の両側に構築されている。また、ウェブコンクリート34は、梁22の軸方向から見て、矢印Z方向における下フランジ26の端部から外側へ幅Wで拡幅する拡幅部34Aが形成されている。
【0021】
上フランジ24の下面及び下フランジ26の上面には、矢印Z方向を長さ方向とするスタッド36が接合されている。スタッド36には、合成梁20の補強のための溶接金網32が結束線(図示省略)で取付けられている。また、スラブコンクリート16から上フランジ24の下面のスタッド36に向けて、複数の配力筋としての鉄筋38が設けられている。鉄筋38は、一方の端部が上フランジ24の下側でU字状に曲げられて屈曲部38Aが形成されている。なお、図2(A)では、ウェブ28に接合される他のスタッド、及び鉄筋38と交差する方向に設けられる主筋の図示を省略している。
【0022】
図2(B)に示すように、スラブコンクリート16は、プレキャスト材であり、鉄筋38(図2(A)参照)が配筋される溝部42が形成されている。溝部42は、矢印X方向を長手方向としてスラブコンクリート16の端面16A及び上面16Bに開口された形状となっており、端面16Aとは反対側に傾斜面42Aが形成されている。また、スラブコンクリート16は、軽量化を目的とした複数の貫通孔44が矢印X方向に沿って形成されている。なお、スラブコンクリート16は、PC鋼線を用いてプレストレスが導入されているが、PC鋼線の図示は省略している。
【0023】
図2(A)に示すように、充填材30は、一例として、高流動モルタルで構成されており、スラブコンクリート16と上フランジ24の間を通ってウェブコンクリート34と上フランジ24の間に充填され、上フランジ24の上面とスラブコンクリート16の仕上り面を同一面としている。
【0024】
次に、合成梁20及び建物10の施工方法について説明する。
【0025】
図3(A)に示すように、梁22において上フランジ24の下面及び下フランジ26の上面にスタッド36を接合する。そして、ウェブ28に対してスタッド36よりも外側に溶接金網32を配置し、スタッド36に緊結して取付ける。さらに、溶接金網32よりも外側に型枠(図示省略)を配置して、この型枠内にコンクリートを打設する。これにより、ウェブ28の両側にウェブコンクリート34が構築される。このようにしてウェブコンクリート34が構築された梁22は、柱12(図1参照)に架設される。
【0026】
なお、ウェブコンクリート34を構築するための型枠の高さは、完成時のウェブコンクリート34の上面から上フランジ24の上面までの距離Δhがスラブコンクリート16(図2(A)参照)の設定厚さに等しくなるように予め設定されている。また、この型枠は、矢印Z方向の上方ほどウェブコンクリート34の矢印X方向の幅が広がるように傾斜配置される。
【0027】
一方、成型台上にPC鋼線を配筋して緊張し、コンクリートを打設すると共に貫通孔や溝部42の成型を行い養生することで、溝部42及び貫通孔44(図2(B)参照)を有するプレキャスト化されたスラブコンクリート16が形成される。なお、主筋については図示及び配筋工程の説明を省略する。
【0028】
続いて、図3(B)に示すように、ウェブコンクリート34の拡幅部34A上にスラブコンクリート16の各端部を載置することで、スラブコンクリート16を架設する。そして、予め端部に屈曲部38Aが形成された鉄筋38を溝部42に挿通し、上フランジ24の下側に屈曲部38Aを配置する。この状態で、スタッド36と鉄筋38を結束線(図示省略)で結束する。なお、上フランジ24の全体幅の1/2の幅をΔd2として、鉄筋38の端部は、上フランジ24の端面から幅Δd2の2/3以上となる範囲で上フランジ24の下側にのみこまれるように配置される。
【0029】
続いて、図3(C)に示すように、ウェブコンクリート34と梁22の上フランジ24との間に充填材30を充填して、上フランジ24の上面からスラブコンクリート16の仕上り面までが同一面となるように充填材30の上面を均す。これらの施工工程により、合成梁20及び建物10が構築される。なお、溝部42にも充填材30が充填される。
【0030】
次に、本発明の第1実施形態の作用について説明する。
【0031】
図3(C)に示すように、構築された合成梁20は、スラブコンクリート16がプレキャスト製のため、例えば、スラブコンクリート16の厚さを予め荷重に耐え得る厚さとしておくことで、小梁が無くてもスラブコンクリート16に作用する荷重に耐えることができる。これにより、建物10の構築において小梁を無くすことができる。さらに、本実施形態の合成梁20では、スラブコンクリート16にPC鋼線(図示省略)によりプレストレスが導入されているので、梁22の設置間隔が広がってスラブコンクリート16が大スパンとなっても、スラブコンクリート16に作用する荷重に耐えることができる。
【0032】
また、合成梁20では、ウェブコンクリート34の上面が下面に比べて拡幅され、拡幅部34Aが形成されているので、スラブコンクリート16の端部を架設する幅を十分に確保することができる。さらに、合成梁20では、拡幅部34Aがあることにより、拡幅部34Aが無い構成に比べて充填材30を充填するための充填口25の開口幅Δd1(図3(B)参照)を広くすることが可能となるので、充填材30の充填性を向上させることができる。また、建物10としては、合成梁20を用いることで小梁を無くすことができるので、建物10の美観を高めると共に設備配置の自由度を上げることができる。
【0033】
なお、第1実施形態の合成梁20の変形例として、図2(A)に示す屈曲部38Aを有する鉄筋38に換えて、図4に示す直筋46を用いてもよい。なお、鉄筋38を用いた構成と同様に、直筋46の端部は、上フランジ24の端面から幅Δd2の2/3以上となる範囲で上フランジ24の下側にのみこまれるように配置される。
【0034】
次に、本発明の合成梁、建築物、及び合成梁の施工方法の第2実施形態を図面に基づき説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0035】
図5には、第2実施形態の合成梁50の断面図(X−Z面)が示されている。合成梁50は、H形鋼の梁52と、梁52に構築されたウェブコンクリート34と、ウェブコンクリート34の上面に端部が架設されたスラブコンクリート16と、複数のスラブコンクリート16を連結する鉄筋62と、ウェブコンクリート34と上フランジ54の間に充填される充填材30とを含んで構成されている。なお、図5では、梁52を中心として各部材が左右対称に配置されている。また、鉄筋62は、一例として、直筋が用いられている。
【0036】
梁52は、上フランジ54、下フランジ56、及びウェブ58を有するH形鋼であり、長手方向の両端部が柱12(図1参照)に連結されている。上フランジ54には、矢印Z方向に貫通された複数の空気孔52Aが形成されており、ウェブ58には、矢印X方向に貫通され鉄筋62が挿通可能な大きさの貫通孔52Bが形成されている。また、梁52を挟んで対向配置されたスラブコンクリート16が、溝部42内に端部が配置された鉄筋62によって連結されている。
【0037】
ウェブコンクリート34は、上フランジ54に対して間隔をあけて下フランジ56と一体にウェブ58の両側に構築されている。また、上フランジ54の下面及び下フランジ56の上面には、矢印Z方向を長さ方向とするスタッド36が接合されており、スタッド36には、溶接金網32が結束線(図示省略)で取付けられている。
【0038】
次に、合成梁50の施工方法について説明する。
【0039】
図6(A)に示すように、梁52において上フランジ54の下面及び下フランジ56の上面にスタッド36を接合する。そして、ウェブ58に対してスタッド36よりも外側に溶接金網32を配置し、スタッド36に緊結して取付ける。さらに、溶接金網32よりも外側に型枠(図示省略)を配置して、この型枠内にコンクリートを打設する。これにより、ウェブ58の両側にウェブコンクリート34が構築される。このようにしてウェブコンクリート34が構築された梁52は、柱12(図1参照)に架設される。
【0040】
なお、ウェブコンクリート34を構築するための型枠の高さは、完成時のウェブコンクリート34の上面から上フランジ54の上面までの距離Δhがスラブコンクリート16(図5参照)の設定厚さに等しくなるように予め設定されている。また、この型枠は、矢印Z方向の上方ほどウェブコンクリート34の矢印X方向の幅が広がるように傾斜配置される。
【0041】
続いて、図6(B)に示すように、ウェブコンクリート34の拡幅部34A上にスラブコンクリート16の各端部を載置することで、スラブコンクリート16を架設する。そして、鉄筋62の一端を一方側(図示の左側)のスラブコンクリート16の溝部42に挿通させると共に貫通孔52Bに挿通させ、他方側(図示の右側)のスラブコンクリート16の溝部42まで挿通させる。この状態で、スタッド36と鉄筋62を結束線(図示省略)で結束する。
【0042】
続いて、図6(C)に示すように、ウェブコンクリート34と梁52の上フランジ54との間に充填材30を充填して、上フランジ54の上面からスラブコンクリート16の仕上り面までが同一面となるように充填材30の上面を均す。これらの施工工程により、合成梁50と、合成梁50を有する建物10が構築される。なお、充填材30を充填するときに、上フランジ54の空気孔52Aから空気が抜けるため、梁52と充填材30との間に空気溜まりができにくくなる。また、充填材30は溝部42にも充填される。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態の作用について説明する。
【0044】
図5に示すように、構築された合成梁50は、鉄筋62を介して複数のスラブコンクリート16が連結されているので、スラブコンクリート16作用する曲げ応力は、他の各スラブコンクリート16に伝達される。これにより、スラブコンクリート16の耐荷重量を上げて小梁を無くすことができる。
【0045】
次に、本発明の合成梁、建築物、及び合成梁の施工方法の第3実施形態を図面に基づき説明する。なお、前述した第1、第2実施形態と基本的に同一の部材には、前記第1、第2実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0046】
図7には、第3実施形態の合成梁70の断面図(X−Z面)が示されている。合成梁70は、梁52と、梁52に構築されたウェブコンクリート34と、ウェブコンクリート34の上面に端部が架設されたハーフプレキャスト製のスラブコンクリート72と、スラブコンクリート72の上側に現場打ちされるトップコンクリート74と、トップコンクリート74内に設けられた鉄筋76とを含んで構成されている。なお、図7では、梁52を中心として各部材が左右対称に配置されている。また、トップコンクリート74は、充填材の一例である。
【0047】
梁52は、長手方向の両端部が柱12(図1参照)に連結されており、ウェブ58に形成された貫通孔52Bに鉄筋76が挿通されている。また、トップコンクリート74は、スラブコンクリート72の上側に打設されると共に、ウェブコンクリート34と上フランジ54の間に充填され、仕上り面が上フランジ54の上面と同一面となるように均されている。なお、コンクリート面を均すとは、上フランジ54上面の予め設定された高さまでコンクリートを打設することではなく、上フランジ54の上面高さに合わせながらコンクリートを打設することである。例えば、上フランジ54が、端部よりも中央部が下がった撓み状態となっているときは、トップコンクリート74の上面を上フランジ54の上面に合わせて、端部よりも中央部が下がるように均すことを意味している。
【0048】
スラブコンクリート72は、ハーフプレキャスト材であり、完成時のウェブコンクリート34の上面から上フランジ54の上面までの距離Δhに対して、設定高さがΔh/2となっている(トップコンクリート74の高さはΔh/2となる)。なお、スラブコンクリート72は、軽量化を目的とした複数の貫通孔(図示省略)が形成されると共に、PC鋼線(図示省略)を用いてプレストレスが導入されている。
【0049】
次に、合成梁70の施工方法について説明する。
【0050】
梁52において、上フランジ54の下面及び下フランジ56の上面にスタッド36を接合する。そして、ウェブ58に対してスタッド36よりも外側に溶接金網32を配置し、スタッド36に緊結して取付ける。さらに、溶接金網32よりも外側に型枠(図示省略)を配置して、この型枠内にコンクリートを打設する。これにより、ウェブ58の両側にウェブコンクリート34が構築される。このようにしてウェブコンクリート34が構築された梁52は、柱12(図1参照)に架設される。
【0051】
続いて、ウェブコンクリート34の拡幅部34A上にスラブコンクリート72の各端部を載置することで、スラブコンクリート72を架設する。そして、鉄筋76を貫通孔52Bに挿通し、梁52を挟む両側のスラブコンクリート72上に配置すると共に、スタッド36と鉄筋76を結束線(図示省略)で結束する。
【0052】
続いて、スラブコンクリート72上にコンクリートを打設してトップコンクリート74を構築すると共に、ウェブコンクリート34と梁52の上フランジ54との間にコンクリートを充填して、上フランジ54の上面からトップコンクリート74の仕上り面までを同一面とする。これらの施工工程により、合成梁70と、合成梁70を有する建物10が構築される。
【0053】
次に、本発明の第3実施形態の作用について説明する。
【0054】
図7に示すように、構築された合成梁70は、スラブコンクリート72に導入されているプレストレスによって、スラブコンクリート72に作用する荷重に耐える。さらに、鉄筋76を介して複数のトップコンクリート74が連結されているので、トップコンクリート74に作用する曲げ応力は、他の各トップコンクリート74に伝達される。これにより、スラブコンクリート72及びトップコンクリート74の耐荷重量を上げて小梁を無くすことができる。また、スラブコンクリート72がハーフプレキャスト製であるため、フルプレキャスト製に比べて重量が軽く、現場への搬入が容易となって、施工し易くなる。
【0055】
次に、本発明の合成梁、建築物、及び合成梁の施工方法の第4実施形態を図面に基づき説明する。なお、前述した第1〜第3実施形態と基本的に同一の部材には、前記第1〜第3実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0056】
図8には、第4実施形態の合成梁80の断面図(X−Z面)が示されている。合成梁80は、梁52と、梁52に構築されたウェブコンクリート34と、ウェブコンクリート34の上面に端部が架設されたスラブコンクリート82と、貫通孔52Bに挿通され複数のスラブコンクリート82を連結する鉄筋88と、ウェブコンクリート34と上フランジ54の間に充填される充填材30とを含んで構成されている。なお、図8では、梁52を中心として各部材が左右対称に配置されている。
【0057】
スラブコンクリート82は、プレキャスト材であり、鉄筋88が配筋される溝部82Aが形成されている。溝部82Aは、矢印X方向を長手方向としてスラブコンクリート82の端面及び上面に開口された形状となっており、端面とは反対側に傾斜面が形成されている。また、スラブコンクリート82の下部には、矢印X方向に沿ってシース管84が設けられており、シース管84内には、PC鋼線86が挿通されている。PC鋼線86は、予めジャッキ(図示省略)により緊張された状態で定着具87により両端部が定着されており、これにより、スラブコンクリート82内にプレストレスが導入されている。
【0058】
次に、合成梁80の施工方法について説明する。
【0059】
ウェブコンクリート34が構築された梁52は、柱12(図1参照)に架設される。続いて、ウェブコンクリート34の拡幅部34A上にスラブコンクリート82の各端部を載置することで、スラブコンクリート82を架設する。そして、鉄筋88の一端を一方側(図示の左側)のスラブコンクリート82の溝部82Aに挿通させると共に貫通孔52Bに挿通させ、他方側(図示の右側)のスラブコンクリート82の溝部82Aまで挿通させる。この状態で、スタッド36と鉄筋88を結束線(図示省略)で結束する。
【0060】
続いて、ウェブコンクリート34と梁52の上フランジ54との間に充填材30を充填して、上フランジ54の上面からスラブコンクリート82の仕上り面までが同一面となるように充填材30の上面を均す。これらの施工工程により、合成梁80と、合成梁80を有する建物10が構築される。
【0061】
次に、本発明の第4実施形態の作用について説明する。
【0062】
図8に示すように、構築された合成梁80は、スラブコンクリート82に導入されているプレストレスによって、スラブコンクリート82に作用する荷重に耐える。さらに、鉄筋88を介して複数のスラブコンクリート82が連結されているので、スラブコンクリート82に作用する曲げ応力は、他の各スラブコンクリート82に伝達される。これにより、スラブコンクリート82の耐荷重量を上げて小梁を無くすことができる。
【0063】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0064】
ウェブコンクリート34は、逆台形状で拡幅部34Aを有するものに限らず、例えば、下フランジ26の幅を上フランジ24に対して広げて、ウェブコンクリート34を断面矩形状としたものであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 建物(建築物)
12 柱
16 スラブコンクリート
20 合成梁
22 梁
24 上フランジ
26 下フランジ
28 ウェブ
30 充填材
34 ウェブコンクリート
34A 拡幅部
42 溝部
50 合成梁
52 梁
52B 貫通孔
54 上フランジ
56 下フランジ
58 ウェブ
62 鉄筋
70 合成梁
72 スラブコンクリート
74 トップコンクリート(充填材)
80 合成梁
82 スラブコンクリート
88 鉄筋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8