特許第5750287号(P5750287)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750287
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】太陽電池パネル架台および太陽電池装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/30 20140101AFI20150625BHJP
【FI】
   H02S20/30 A
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-77243(P2011-77243)
(22)【出願日】2011年3月31日
(65)【公開番号】特開2012-212762(P2012-212762A)
(43)【公開日】2012年11月1日
【審査請求日】2013年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幹夫
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−283324(JP,A)
【文献】 実用新案登録第2517812(JP,Y2)
【文献】 登録実用新案第3141450(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/30
H01L 31/042
E05C 17/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルを設置場所に所定の傾斜角度に保持する太陽電池パネル架台であって、
前記設置場所に互いに所定間隔をあけて配列された複数の脚部と、
該複数の脚部にそれぞれ設置されて前記太陽電池パネルを回動可能に支持する支持部と、
回動する前記太陽電池パネルを所定の傾斜角度に係止して保持する角度保持部とを備え、
該角度保持部は、前記脚部に設置された係止部と、互いに所定間隔をあけて配された複数の介装部材を介して前記太陽電池パネルに固定され前記係止部に所定の位置に係止される被係止部とを有し、
隣り合う前記介装部材間には、互いを連結して補強する補強部材が設けられていて、
該補強部材は、隣り合う前記介装部材間に設けられたブレースを備え、該ブレースは、一方の端部が前記係止部近傍に固定され、他方の端部が前記太陽電池パネル近傍に固定されていることを特徴とする太陽電池パネル架台。
【請求項2】
前記係止部には、前記被係止部を嵌合させて係止可能な凹部が、前記太陽電池パネルとともに回動する前記被係止部の軌道に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池パネル架台。
【請求項3】
請求項1または2に記載の太陽電池パネル架台に太陽電池パネルが固定されていることを特徴とする太陽電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネルを敷地や屋根等の設置場所に所定の姿勢を維持して固定するための太陽電池パネル架台、及びこれに太陽電池パネルを装着した太陽電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境保護の観点から、クリーンエネルギーとして太陽電池発電による電力利用が注目されている。例えば、一般住宅の屋根に太陽電池パネルを設置し、家庭内で使用する電力を補助するという態様がよく知られている。
また、近年においては、太陽電池による大規模発電が模索され、広大な敷地に多数の太陽電池パネルを設置して多量の電力を供給する試みも行われている。
【0003】
このような太陽電池パネルは、その面が太陽光の照射の向きに対して垂直となるように設置されることが望ましく、このように設置されることで効率的に発電することができる。
この太陽の高度は、場所や季節により異なるため、設置された場所や季節にあわせて太陽電池パネルの傾斜角度を変更可能な太陽電池パネル架台が知られている(例えば特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−170790号公報
【特許文献2】特開2005−64147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、太陽電池パネルが大型であったり多数設置されていたりする場合、太陽電池パネルの傾斜角度を変更する作業が大掛かりとなるため、太陽電池パネルの傾斜角度を容易に変更できる太陽電池パネル架台が望まれている。
また、太陽電池パネルの傾斜角度を変更する作業を行うときに、太陽電池パネルにねじれなどの外力が作用すると太陽電池パネルが損傷する虞があるため、所定の剛性および強度を有し、太陽電池パネルに外力が作用しないように支持することができる太陽電池パネル架台が望まれている。
【0006】
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたもので、太陽電池パネルの傾斜角度を容易に変更できるとともに、所定の剛性および強度を有し、太陽電池パネルに外力が作用しないように支持することができる太陽電池パネル架台および太陽電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る太陽電池パネル架台は、太陽電池パネルを設置場所に所定の傾斜角度に保持する太陽電池パネル架台であって、前記設置場所に互いに所定間隔をあけて配列された複数の脚部と、該複数の脚部にそれぞれ設置されて前記太陽電池パネルを回動可能に支持する支持部と、回動する前記太陽電池パネルを所定の傾斜角度に係止して保持する角度保持部とを備え、該角度保持部は、前記脚部に設置された係止部と、互いに所定間隔をあけて配された複数の介装部材を介して前記太陽電池パネルに固定され前記係止部に所定の位置に係止される被係止部とを有し、隣り合う前記介装部材間には、互いを連結して補強する補強部材が設けられていて、該補強部材は、隣り合う前記介装部材間に設けられたブレースを備え、該ブレースは、一方の端部が前記係止部近傍に固定され、他方の端部が前記太陽電池パネル近傍に固定されていることを特徴とする。
また、本発明に係る太陽電池装置では、上記太陽電池パネル架台に太陽電池パネルが固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、太陽電池パネルを回動可能に支持する支持部と、回動する太陽電池パネルを所定の傾斜角度に係止して保持する角度保持部とを備えていることにより、太陽電池パネルの傾斜角度を容易に変更することができる。
【0009】
た、隣り合う介装部材間には、互いを連結して補強する補強部材が設けられていることにより、太陽電池パネル架台の剛性および強度が確保される。
これにより、隣り合う介装部材が相対変位することを防止できるため、隣り合う介装部材の相対変位によって太陽電池パネルに外力が作用することを防止することができる。
さらに、太陽電池パネルを安定した状態で回動させることができるため、太陽電池パネルの傾斜角度を変更する作業を容易に行うことができる。
【0011】
た、補強部材は、隣り合う介装部材間に設けられたブレースを備え、ブレースは、一方の端部が係止部近傍に固定され、他方の端部が太陽電池パネル近傍に固定されていることにより、ブレースが隣り合う介装部材どうしを確実に接合できて、隣り合う介装部材の相対変位を防止することができるとともに、介装部材の配列方向に作用する外力に抵抗することができる。
【0012】
また、本発明に係る太陽電池パネル架台では、前記係止部には、前記被係止部を嵌合させて係止可能な凹部が、前記太陽電池パネルとともに回動する前記被係止部の軌道に沿って複数形成されていることが好ましい。
このように構成されることにより、複数の凹部のいずれかに被係止部を嵌合させることで、太陽電池パネルを所定の傾斜角度に保持することができ、被係止部を嵌合させる凹部を変更することで太陽電池パネルの傾斜角度を容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、本発明では、太陽電池パネルを回動可能に支持する支持部と、回動する太陽電池パネルを所定の傾斜角度に係止して保持する角度保持部とを備えていることにより、太陽電池パネルの傾斜角度を容易に変更することができる。
また、隣り合う脚部間または隣り合う介装部材間には、互いを連結して補強する補強部材が設けられていることにより、隣り合う脚部または隣り合う介装部材が相対変位することを防止できるため、隣り合う脚部または隣り合う介装部材の相対変位によって太陽電池パネルに外力が作用することを防止することができるとともに、太陽電池パネルを安定した状態で回動させることができて、太陽電池パネルの傾斜角度を変更する作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は、本発明の第1実施形態による太陽電池装置の一例を示す側面図、(b)は(a)のa方向矢視図である。
図2】(a)は支持部を説明する正面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の分解斜視図である。
図3】第1実施形態の角度保持部を説明する図である。
図4】(a)は、図1に示す太陽電池装置の太陽電池パネルの傾斜角度を変更した様子を示す側面図、(b)は(a)のb方向矢視図である。
図5】(a)は、本発明の第2実施形態による太陽電池装置の一例を示す側面図、(b)は(a)のc方向矢視図である。
図6】第2実施形態の角度保持部を説明する図である。
図7】(a)は、図5に示す太陽電池装置の太陽電池パネルの傾斜角度を変更した様子を示す側面図、(b)は(a)のd方向矢視図である。
図8】(a)は、本発明の第3実施形態による太陽電池装置の一例を示す側面図、(b)は(a)のe方向矢視図である。
図9】第3実施形態のブレースを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による太陽電池装置について、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1(a)、(b)に示すように、本実施形態による太陽電池装置1Aは、太陽電池パネル2と、この太陽電池パネル2を敷地や屋根等の設置場所10に所定の傾斜角度に保持する太陽電池パネル架台3Aとを備えている。
【0016】
太陽電池パネル2は、ガラス板と、このガラス板の表面に配列された多数の太陽電池素子とを備え、全体として板状に形成され、太陽光が照射される照射面2aに太陽光が照射されると発電するように構成されている。なお、太陽電池パネル2の種類は特に限定されることはなく、公知の太陽電池パネルを用いることができる。
【0017】
このような太陽電池パネル2は、通常、太陽光が照射される照射面2aが南上方を向くように設置されている。そして、太陽電池パネル2は、その照射面2aが太陽光の照射の向きに対して垂直に近いほど効率的に発電することができる。
このため、本実施形態による太陽電池装置1Aでは、太陽電池パネル架台3Aが、太陽電池パネル2を、南上方を向く所望の傾斜角度となるように回動可能に支持しているとともに、所望の傾斜角度に係止できるように構成されている。
ここで、太陽電池パネル2が回動する方向を、回動方向Aと称し、図1(a)の矢印Aの方向として以下説明する。
【0018】
また、太陽電池パネル2は、図では省略しているが、回動方向Aに直交する方向(図1(b)の矢印Bの方向、以下、東西方向Bとする)に複数配列されていて、それぞれ東西方向Bに所定の間隔をあけて配列された2つの太陽電池パネル架台3Aによって設置場所10に支持されている。
なお、各太陽電池パネル2は、3つ以上の太陽電池パネル架台3Aによって設置場所10に支持されていてもよい。
【0019】
太陽電池パネル架台3Aは、設置場所10に支持された脚部11と、脚部11の上端部11aに取り付けられて太陽電池パネル2を回動可能に支持する支持部12と、回動する太陽電池パネル2を所定の傾斜角度に係止して保持する角度保持部13とを備えている。
【0020】
脚部11は、設置場所10に、太陽電池パネル架台3Aの配列方向(東西方向B)に直交する方向(図1(a)の矢印Cの方向、以下、南北方向Cとする)に間隔をあけて設置された2つの鉄筋コンクリートの基礎15,15と、下端部16bが基礎15,15に固定されて基礎15,15からそれぞれ斜め上方向に延びる斜材16,16とを備えている。この2つの斜材16,16は、上端部16aどうしが連結または近接している。この2つの斜材16,16の上端部16aは、脚部11の上端部11aに相当している。
ここで、2本の斜材16,16のうち、南側(図1(a)の右側)に配されたものを第1斜材16Aとし、北側に配されたものを第2斜材16Bとして以下説明する。
【0021】
また、図1(b)に示すように、東西方向Bに隣り合う第2斜材16B,16B間には、各上端部16aおよび他方の下端部16bに固定され、それぞれ斜め方向に延在する一対のブレース(補強部材)19,19が設けられている。この一対のブレース19,19は、第2斜材16B,16Bを連結して補強し、第2斜材16B,16Bが相対変位することを防止するとともに、東西方向に作用する外力に効率的に抵抗することができる。
【0022】
支持部12は、図1および図2に示すように、2つの脚部11,11の上端部11aに設置され東西方向Bに延在する円筒状の軸受17と、東西方向Bに延在する棒状に形成されていて軸受17に挿通され回動方向Aに回動可能に保持されているとともに太陽電池パネル2(図1参照)に固定された軸部18とを備えている。
本実施形態では、2つの太陽電池パネル架台3A,3Aにそれぞれ個別に設置された軸受17,17の両方に、1つの軸部18が挿通されている(図1(b)参照)。
【0023】
図2に示すように、軸部18は、軸受17,17の内径よりも小さい断面形状に形成され、外周部18aに、外形が軸受17の内径と略同じ円形で、軸受17,17に挿通されたときに軸受17の内周面17aと当接する板材18bが固定されている。この板材18bは、軸受17の内周面17aに沿って回動方向Aに回動可能に構成されている。
そして、軸部18は、太陽電池パネル2(図1参照)と固定されているため、回動方向Aへ回転すると、太陽電池パネル2も回動方向Aへ回動するように構成されている。
【0024】
図1に戻り、角度保持部13は、脚部11に設置された係止部21と、互いに所定間隔をあけて配された複数の介装部材22を介して太陽電池パネル2に固定され係止部21に所定の位置に係止される被係止部23とを備えている。
【0025】
介装部材22は、2つの棒状の部材24,25を備えていて、棒状の部材24,25の一方の端部24a,25aがそれぞれ太陽電池パネル2の照射面2aと反対側の面2bに南北方向Cに所定の間隔をあけて固定され、他方の端部24b,25bどうしが連結されて略L字型または略V字型を形成している。
【0026】
また、介装部材22は、支持部12の東西方向B両側にそれぞれ配されていて、各介装部材22の棒状の部材24,25の他方の端部24b,25bが被係止部23と固定されている。
被係止部23は、太陽電池パネル2の東西方向Bに延在する棒状の部材で、両端部がそれぞれ介装部材22に固定されている。
【0027】
図1および図3に示すように、係止部21は、第1斜材16Aの東西方向B両側に配されて面方向を鉛直方向とする一対の長尺の板状の部材で、一方の端部21aが第1斜材16Aにピン接合されて、他方の端部21bが第2斜材16Bに着脱可能に構成されている。なお、係止部21の一対の板状の部材は、一体化されていてもよいし、個別に移動可能に構成されていてもよい。
そして、係止部21の他方の端部21bは、第2斜材16Bの2箇所に着脱可能に構成されていて、この2箇所のうち1つには、被係止部23を係止する時に固定され、他方には太陽電池パネル2の傾斜角度を変更する時に仮留めされている。
係止部21と第2斜材16Bとは、係止部21および第2斜材16Bに形成された孔部にピン(不図示)を挿通させることで固定または仮留めしている。
【0028】
係止部21には、他方の端部21b近傍に固定用孔部26aが形成され、固定用孔部26aよりも一方の端部21a側に仮留用孔部26bが形成されている。
また、第2斜材16Bには、係止部21の一方の端部21aがピン接合された高さと略同じ高さに固定用孔部27a形成され、固定用孔部27aよりも上方に仮留用孔部27bが形成されている。
【0029】
そして、係止部21の固定用孔部26aと第2斜材16Bの固定用孔部27aの位置をあわせ、両方の孔部26a,27aにピンを挿通させることで、係止部21が第2斜材16Bに固定される。このとき、係止部21は、略水平方向に延在している。
また、係止部21の他方の端部21bを上方に移動させ、係止部21の仮留用孔部26bと第2斜材16Bの仮留用孔部27bの位置をあわせ、両方の孔部26b,27bにピン(不図示)を挿通させることで、係止部21が第2斜材16Bに仮留めされる。このとき、係止部21は、他方の端部21bが一方の端部21aよりも上方に位置するように傾斜している。
【0030】
係止部21は、他方の端部21bが第2斜材16Bに固定されたときに下側となる端部21cが略円弧状に形成され、この端部21cには、被係止部23が嵌合可能な凹部28複数形成されている。この端部21cの円弧は、支持部12の軸部18を中心とする円弧となっていて、太陽電池パネル2が回動したときに、被係止部23が回動する軌跡と重なっている。
本実施形態では、係止部21の端部21cには、6個の凹部28が形成されている。これらの凹部28を、第1斜材16A側から第2斜材16B側に向かって第1凹部28a〜第6凹部28fとして以下説明する。
【0031】
そして、係止部21は、6つの凹部28のうちいずれかひとつの凹部28に被係止部23が嵌合した状態で、他方の端部21bが第2斜材16Bに固定されると、被係止部23の回動を制止してするとともに被係止部23の位置を固定することができる。これにより、被係止部23が固定された太陽電池パネル2の位置を固定することができる。
このとき、被係止部23が嵌合する凹部28の位置を調整することによって、太陽電池パネル2の傾斜角度を調整することができる。
なお、係止部21の6つの凹部28a〜28fは、等間隔に配されていてもよいし、太陽電池パネル2の傾斜角度にあわせてそれぞれ所望の位置に配されていてもよい。
【0032】
次に、太陽電池パネル2の傾斜角度の変更方法について説明する。
ここでは、太陽電池パネル2を、図1に示すような、水平面に対して10°傾斜した状態から、図4に示すような水平面に対して55°傾斜した状態へ変更させる。
そして、図1に示す傾斜角度変更前の太陽電池パネル2は、被係止部23が第1凹部28aに嵌合され、図4に示す傾斜角度変更後の太陽電池パネル2は、被係止部23が第6凹部28fに嵌合している。
【0033】
まず、係止部21の固定用孔部26aおよび第2斜材16Bの固定用孔部27aに挿通されたピンを外し、係止部21と第2斜材16Bとの固定を解除する。
続いて、係止部21を一方の端部21aを中心として上方へ回転させて、係止部21の仮留用孔部26bおよび第2斜材16Bの仮留用孔部27bの位置を合わせ、これらの仮留用孔部26b,27bにピンを挿通させて、係止部21を第2斜材16Bに仮留めする。
これにより、係止部21の凹部28aから被係止部23が離れて被係止部23の係止が解除されるため、被係止部23とともに介装部材22および太陽電池パネル2が、支持部12の軸部18を中心に回動可能となる。
【0034】
続いて、太陽電池パネル2を水平面に対して55°となるように回動させ、その姿勢を保持する。
このとき、被係止部23を把持して太陽電池パネル2の傾斜角度を変えることが好ましい。そして、支持部12から太陽電池パネル2の照射面2aまでの距離よりも支持部12から被係止部23までの距離を長く設定することで、太陽電池パネル2を容易に回動させることができる。
【0035】
続いて、係止部21の仮留用孔部26bおよび第2斜材16Bの仮留用孔部27bからピンを外し、係止部21を下方に回転させる。そして、係止部21の第6凹部28fに被係止部23を嵌合させるとともに、係止部21の固定用孔部26aの位置と第2斜材16Bの固定用孔部27aの位置とをあわせ、これらの固定用孔部26a,27aにピンを挿通させて、係止部21を第2斜材16Bに固定する。
これにより、被係止部23が固定され、太陽電池パネル2が水平面に対して55°傾斜した状態で固定される。
なお、被係止部23が嵌合される凹部28を選択することで、太陽電池パネル2を所望の傾斜角度に設置することができる。
【0036】
次に、上述した太陽電池パネル架台3Aおよび太陽電池装置1Aの作用効果について図面を用いて説明する。
本実施形態による太陽電池パネル架台3Aおよび太陽電池装置1Aでは、脚部11に設置された係止部21に形成された6つの凹部28a〜28fのうち所望の凹部28を選択して、太陽電池パネル2に固定された被係止部23を嵌合させることで太陽電池パネル2を所望の傾斜角度に設置することができるため、太陽電池パネル2の傾斜角度を容易に変更することができる。
【0037】
また、太陽電池パネル2の傾斜角度を変更する角度保持部13が簡便な機構であるため、製造コストを抑えることができる。
更に、隣り合う第2斜材16B,16B間に、ブレース19,19が取り付けられていることにより、太陽電池パネル架台3Aの強度および剛性を確保することができる。
これにより、第2斜材16B,16Bの相対変位が防止され、隣り合う支持部12,12の相対変位が防止される。そして、太陽電池パネル2を回動させるときに、隣り合う支持部12,12が相対変位することによって太陽電池パネル2に外力が作用することがないため、太陽電池パネル2を容易に回動させることができるとともに、太陽電池パネル2がねじれることを防止することができる。
【0038】
次に、他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
(第2実施形態)
図5に示すように、第2実施形態による太陽電池装置1Bは、太陽電池パネル架台3Bの脚部31が、図1に示す第1実施形態による2つの基礎15,15および2つの斜材16A,16Bを備える脚部11に代わって、設置場所10に立設する支柱となっている。
そして、角度保持部32の係止部33は、第1実施形態と同様に被係止部23が嵌合可能な6つの凹部28が形成されている。そして、係止部33は、一方の端部33aが脚部31にピン接合され、他方の端部33bが脚部31に接合された係止部支持材34に着脱可能に構成されている。
【0039】
係止部支持材34は、棒状に形成され、一方の端部34aが係止部33よりも上方で脚部31にピン接合され、他方の端部34bが係止部33の他方の端部33bと着脱可能に構成されている。
ここで、図6に示すように、係止部33には、他方の端部33bに1つの孔部35が形成されている。また、係止部支持材34には、他方の端部34bに延在方向に間隔をあけて2つの孔部36a,36bが形成されている。係止部支持材34の2つの孔部36a,36bのうち、他方の端部34b側の孔部36aを固定用孔部36aとし、一方の端部34a側の孔部36bを仮留用孔部36bとして以下説明する。
【0040】
そして、係止部33の孔部35と係止部支持材34の固定用孔部36aとをあわせて、両方の孔部35,36aにピン(不図示)を挿通させることで、係止部33が係止部支持材34に固定される。
また、係止部33の孔部35と係止部支持材34の仮留用孔部36bとをあわせて、両方の孔部35,36bにピン(不図示)を挿通させることで、係止部33が係止部支持材34に仮留めされる。
【0041】
第2実施形態において太陽電池パネル2の傾斜角度を変更するには、まず、係止部33の孔部35と係止部支持材34の固定用孔部36aに挿通されたピンを外し、係止部33および係止部支持材34を回転させて、係止部33の孔部35と係止部支持材34の仮留用孔部35bとの位置を合わせてピンを挿通させる。これにより、係止部33が仮留めされる。
【0042】
続いて、太陽電池パネル2を所定の傾斜角度となるように回転させて、その姿勢を保持する。
そして、係止部33と係止部支持材34との仮留を解除し、係止部33と係止部支持材34とを固定する。これにより、図7に示すように、太陽電池パネル2を所定の傾斜角度に支持することができる。
【0043】
第2実施形態による太陽電池装置1Bおよび太陽電池パネル架台3Bは、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0044】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態による太陽電池装置および太陽電池パネル架台について説明する。
図8に示すように、第3実施形態による太陽電池装置1Cは、太陽電池パネル架台3Cが、第2実施形態と同様の脚部31および係止部33を備えている。
また、第3実施形態による太陽電池装置1Cでは、角度保持部41の介装部材42が、脚部31の片側のみに設置されているとともに、1つの被係止部43が複数の太陽電池パネル架台3Cに架設されるように設置されている。
第3実施形態による太陽電池装置1Cは、第1実施形態および第2実施形態による太陽電池装置1A,1Bと比べて小規模なものを想定している。
【0045】
そして、図9に示すように、隣り合う介装部材42間には、ブレース(補強部材)44が設置されている。このブレース44は、介装部材42の太陽電池パネル2近傍2箇所と、その隣に配された介装部材42の被係止部43近傍とを連結する2つから構成されている。
これにより、介装部材42、被係止部43および一対のブレース44,44が略三角錐を形成し、互いに相対変位することを防止することができるため、太陽電池パネル2を回動させるときに介装部材42が相対変形して太陽電池パネル2に外力が作用することを防止することができる。
【0046】
第3実施形態による太陽電池装置1Cおよび太陽電池パネル架台3Cは、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0047】
以上、本発明による太陽電池装置1A〜1Cおよび太陽電池パネル架台3A〜3Cの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、太陽電池装置1A〜1Cを太陽電池パネル2が南上方を向くように東西方向に配列しているが、太陽電池装置1A〜1Cが設置される方向は、任意に設定されてよい。
また、上述した第1実施形態では、隣り合う第2斜材16B間に一対のブレース19,19を設置しているが、隣り合う第1斜材16A間に一対のブレース19,19を設置してもよいし、一対ではなく1つのブレース19を設置してもよい。
また、上述した第1実施形態および第3実施形態では、太陽電池装置1A,1Cにブレース19,44が設けられているが、太陽電池装置1A,1Cの強度が確保できる場合は、ブレース19,44が設けられていない形態としてもよい。
また、上述した第2実施形態において、隣り合う脚部31間にブレースを設ける形態としてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1A〜1C 太陽電池装置
2 太陽電池パネル
3A〜3C 太陽電池パネル架台
10 設置場所
11,31 脚部
12 支持部
13,32,41 角度保持部
19,44 ブレース(補強部材)
21,33 係止部
22,42 介装部材
23,43 被係止部
28,28a〜28f 凹部
34 係止部支持材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9