【文献】
Y. ZHANG et al.,Synthesis and characteristics of Y-zeolite/MCM-48 biporous molecular sieve,Applied Catalysis A: General,2008, 345, 73-79.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
結晶性アルミノシリケートと界面活性剤とアルカリ源と水とを含む混合物であって、前記アルカリ源としてNaOHを含む透明性アルミノシリケート溶液を使用し、かつ該透明性アルミノシリケート溶液中のAl2O3を1モルとしたときに下記の組成を有する透明性アルミノシリケート溶液に由来するNaOHを含み、結晶性アルミノシリケート中のSiO2を1モルとしたときに各成分のモル比が下記の範囲にある混合物を、
80〜160℃で水熱処理することを特徴とする、結晶性アルミノシリケートとメソポーラス物質とがヘテロ接合してなるヘテロ接合多孔性結晶体の合成方法。
Al2O3/SiO2 =0.01〜0.2
界面活性剤/SiO2=0.05〜0.5
M2O/SiO2=0.05〜0.8
H2O/SiO2=30〜100
(但し、M2Oはアルカリ源を酸化物の形態で示し、Mはアルカリ金属、NH4から選ばれる少なくとも1種)
NaOH/Al2O3 =26〜40(Na2O/Al2O3 =13〜20)
SiO2/Al2O3 =12〜18
H2O/Al2O3 =150〜400
(ここで、結晶性アルミノシリケートのAl2O3のモル数(MZ)と透明性アルミノシリケート溶液のAl2O3のモル数(MS)とのモル比(MS)/(MZ)は0.2〜1.23にある)
前記結晶性アルミノシリケートが、フォージャサイト型ゼオライト、ZSM型ゼオライト、β型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト、天然ゼオライトから選ばれる少なくとも1種の結晶性アルミノシリケートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヘテロ接合多孔性結晶体の合成方法。
前記ヘテロ接合多孔性結晶体がフォージャサイト型ゼオライトとメソポーラス物質とからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のヘテロ接合多孔性結晶体の合成方法。
【背景技術】
【0002】
結晶性アルミノシリケート(ゼオライト)は各種触媒反応に触媒あるいは触媒の担体として用いられている。ゼオライトは均一な数Åの分子サイズの細孔を有し、この細孔の故に炭化水素の反応において、反応物選択性、生成物選択性等の形状選択性を発現することも知られている。しかしながら原料分子が細孔より大きいと細孔に拡散できないために反応が制限される場合がある。このため、(1)ゼオライトの細孔よりも大きな細孔を有する活性マトリックスにゼオライトを分散させて使用される場合がある。また、(2)ゼオライトの外部表面に活性を付与したり、(3)小粒子径のゼオライトを使用して粒子の外部表面積を増加させたり、さらには(4)ゼオライトにメソポアを付与することが行われている。
【0003】
しかしながら、(1)の方法ではマトリックスの細孔が不均一なために、必ずしも選択性が満足するものではない場合があり、(2)の方法では必ずしも有効な方法が提案されて無く、(3)の方法では耐熱性、耐水熱性が低下し、用途、用法が限定される問題があり、(4)の方法はゼオライト結晶を損傷することにもなるので充分に有効な方法とは言えない。
【0004】
一方、約2〜10nmのメソポアを有する多孔性物質が知られている。
メソポーラス材料は、細孔直径が2〜10nmの規則的細孔を有しており、いくつかの構造の異なる材料が報告されている。たとえば、構造規制剤(SDA)として、例えば、臭化トリメチルセチルアンモニウム(以下、CTMABrと略する)を用いるMCM−41、CTMABrおよび非イオン性界面活性剤であるBriJ30(エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーEO
mPO
nEO
m(m=33〜70,n=5〜26))を用いるMCM−48、臭化ジセチルジメチルアンモニウムを用いるSBA−15などがその代表的なものである。
【0005】
これらのメソポーラス材料は、ゼオライト(結晶性アルミノシリケート)のミクロ細孔(細孔直径約3〜8Å)より大きい細孔を有し、高比表面積であるという特徴を有することからこれらの特性を活かした材料として、ゼオライトでは対応できない嵩高い物質の合成が可能な触媒担体、酵素担体、錯体の固定化剤、各種の有機物無機物のホスト、吸着剤、等の新しい用途の開発が期待されてきた。
【0006】
しかし、メソポーラス材料は基本的構造が不定形ガラス構造であり、結晶性がないことから、機械的強度、水熱安定性等が低い等の問題点が明らかになってきた。
また、アルミニウムなどの酸性発現物質でメソポーラス材料の合成時にまたは合成後修飾する方法により導入した固体酸性は、固体酸触媒として各種の反応を円滑に進行させるには、酸性度が低すぎる等の問題点があった(非特許文献1:C. T. Kresge, M. E. Leonowicz, W. J. Roth, J. C. Vartuli, J. S. Beck, Nature、1992年、359巻、22号、710頁)。
【0007】
これらのメソポーラス材料の問題点を解決するために、メソポーラス材料の細孔壁にゼオライト構造を導入する試みが幾つか提案されている。それらの幾つかを列挙すれば次の通りである。
(1)ゼオライト構造とメソポーラス材料を誘起する2種類の構造誘導剤を導入し、低温でゼオライト前駆体を生成させ、次いでpH調整の後、さらに高温で水熱処理する方法(非特許文献2:A. Sakthivel, S. J. Huang, W. H. Chen, Z. H. Lan, K. H. Chen, H.P. Lin, C. Y. Mou, S. B. Liu, Adv. Funct. Mater.,2005年、15巻、253頁)
【0008】
(2)ゼオライトのアルカリ溶出により生成したゼオライト前駆体を用いてメソポーラス材料を調製する方法(非特許文献3:S. Inagaki, M. Ogura, T.Inami, Y. Sasaki, E. Kikuchi, M. Matsukata, Micropours and Mesoporoua Materials, 2004年、74巻、163頁)
(3)カチオン性界面活性剤を用いてコロイダルフォージャサイト型ゼオライト(FAU)をMCM−41に変換する方法
しかし、これらは、調製過程が複雑であり、また、構造規則性の問題がある等、実用的な合成とは言えないものが多い。また、従来の合成方法では結晶化時間に長時間を要し、この点でも実用性に欠ける点があった。
【0009】
このため、本願出願人は、(特許文献1:特開2010−155759号公報)にて、ゼオライト構造単位(ZBU)を有するMCM−41型メソポーラス材料、ゼオライト構造単位(ZBU)を有するMCM−48型メソポーラス材料が短時間で簡便に合成できることを開示している。なお、これらメソポーラス材料はMCMの壁にゼオライト構造単位(ZBU)が形成されている。また、これらメソポーラス材料は、イソフィトールと2,3,4−トリメチルヒドロキノンから嵩高い分子であるγ−トコフェロール(ビタミンE)を選択的に合成できることを開示している。
【0010】
しかしながら、上記したメソポーラス材料はゼオライト構造単位(ZBU)がMCMの細孔壁の外部表面に存在するため、分子量の大きな炭化水素を接触分解、水素化分解等し、ついで、細孔径の小さい内部に存在する結晶粒子で分子量の小さくなった炭化水素を接触分解、水素化分解等するといった想定メカニズムに基づく選択性の向上効果を得ることができなかった。
【0011】
また、特許文献2:特表2007−508935号公報には、ミクロ細孔を有する結晶性ミクロ細孔性物質と、内部結合したメゾ細孔を有する非結晶性無機酸化物とからなる新規なゼオライト複合体が開示されており、例えばUSYと比較したクラッキング活性では活性の低下が小さく、重金属(バナジウム)許容度が向上することが開示されている。
【0012】
また、特許文献3:特開2007−534589号公報には、メソ構造化ゼオライト複合体およびその製造方法が開示されており、完全結晶性無機材料内に制御された断面積を有する複数のメソ細孔を形成した無機材料は、有機化合物の分解触媒結果(マイクロ活性試験(MAT)でガソリンの選択性が向上することが報告されている。
【0013】
この時の合成方法は、H−Y[MCM−41]では、H−Yと界面活性剤を含有するアンモニア水(pH調整剤)とを混合・撹拌し、150℃で水熱処理し、ついで焼成している。
また、別法としてH−Yと水酸化テトラメチルアンモニウム(TMA−OH)を混合し、これに界面活性剤を添加し、150℃で水熱処理している。
【0014】
しかしながら、この方法を追試したところ、活性が低下し、結晶性ミクロ細孔性物質とメソポーラス物質が混在しているものの結晶性ミクロ細孔性物質(H−Y)の粒子表面にメソポーラス物質が存在しているとは認められなかった。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
まず、ヘテロ接合多孔性結晶体の合成方法について説明する。
【0029】
ヘテロ接合多孔性結晶体の合成方法
本発明に係る合成方法は、結晶性アルミノシリケートとメソポーラス物質とがヘテロ接合してなる多孔性結晶体を合成する方法に関する。
かかる合成方法では、結晶性アルミノシリケートと界面活性剤とアルカリ源と水とを主原料とする混合物を使用する。
【0030】
[原料]
結晶性アルミノシリケート
本発明に用いる結晶性アルミノシリケートとしては吸着剤、触媒、触媒担体等として使用可能な従来公知の結晶性アルミノシリケート(ゼオライト)を使用することができる。
なかでも、フォージャサイト型ゼオライト、ZSM型ゼオライト、β型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト、天然ゼオライトから選ばれる少なくとも1種の結晶性アルミノシリケートは後述する結晶性アルミノシリケートに接合したメソポーラス物質が生成しやすく好適に用いることができる。
結晶性アルミノシリケートの平均粒子径は0.1〜5μm、さらには0.2〜3μmの範囲にあることが好ましい。
【0031】
結晶性アルミノシリケートの平均粒子径が小さいと、本発明のヘテロ接合多孔性結晶体が得られたとしても、熱的安定性が不充分なため、用途が制限され、例えば高温水熱雰囲気に曝される炭化水素の接触分解等には充分な活性が得られない場合がある。平均粒子径が大きすぎても、シリカ成分の溶解等が低くなるためか、結晶性アルミノシリケートに接合したメソポーラス物質が生成しなかったり、生成しても生成量が少ないためにミクロポアとメソポアの2種の細孔を有する効果、例えば活性の向上、選択性の向上等の効果が得られないか、得られたとしても僅かであったり、寧ろ活性が低下する場合がある。
【0032】
結晶性アルミノシリケートのSiO
2/Al
2O
3モル比は5〜100(Al
2O
3/SiO
2は0.01〜0.2)、さらには10〜80の範囲にあることが好ましい。
結晶性アルミノシリケートのSiO
2/Al
2O
3モル比が小さいと、メソポーラス物質が生成しない場合があり、生成しても生成量が少ないためにミクロポアとメソポアの2種の細孔を有する効果、例えば活性の向上、選択性の向上等の効果が得られないか、得られたとしても僅かであり、寧ろ活性が低下する場合がある。結晶性アルミノシリケートのSiO
2/Al
2O
3モル比が大きすぎても、ヘテロ接合多孔性結晶体が得られるものの、結晶性アルミノシリケートの結晶度の低下、活性点の減少を伴うので活性、選択性あるいは吸着性能が不充分となる場合がある。
【0033】
界面活性剤
本発明に用いる界面活性剤としては、メソポーラス物質が生成すれば特に制限はなく従来公知のカチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の界面活性剤界面活性剤およびこれらの混合物を使用することができる。
【0034】
例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエタノールアミン等の他、特にRMe
3NX(Rは炭化水素基を示し、炭素数は概ね10〜18程度)で表される第4級アンモニウム塩または水酸化物であることが好ましい。例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド([C
16H
33N(CH
3)
3]Br : HTABr)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハイドロキサイド([C
16H
33N(CH
3)
3]OH : HTAOH)等が例示される。
【0035】
Xは、OH基またはハロゲン(F、Cl、Br,I)を示す。
また、RMe
3NXには、カプリルトリメチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ミリスチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム等の天然に存在する脂肪酸から誘導される長鎖アルキル基を持つものが好ましいが、これら天然由来の置換基に限定されるものではない。
上記した界面活性剤を使用するとメソポーラス物質としてMCM−41が生成する傾向がある。
【0036】
また、上記以外のジメチルジセチルアンモニウム、ジメチルジステアリルアンモニウム、ジメチルジミリスチルアンモニウム等のハロゲン化水素酸塩、硫酸塩、カルボン塩および水酸化物等から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。この場合、メソポーラス物質としてMCM−48が生成する傾向がある。
【0037】
アルカリ源
本発明で用いるアルカリ源としては、アルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウムおよびこれらの混合物を用いることが好ましい。
本発明ではNaOHを用いることが好ましく、さらにNaOHと水酸化アンモニウムとを併用することが好ましい。
【0038】
これらNaOH、NH
4OHを用いると、結晶性アルミノシリケートのシリカ成分が一部溶解し、メソポーラス物質の形成に寄与すると考えられる。
このとき、結晶性アルミノシリケート粒子の外部表面の溶解が起こり、この溶解したシリカがメソポーラス物質のシリカ源となり、結晶性アルミノシリケート粒子の外部表面にメソポーラス物質を形成すると考えられる。
【0039】
また、本発明では、後述する透明性アルミノシリケート溶液に由来するNaOHを含むことが好ましい。透明性アルミノシリケート溶液を用いるとNaOHを含む他、アルミナ源、シリカ源をアルミノシリケートとして含むので、アルミナを含むメソポーラス物質が生成するためか熱的安定性および活性の向上したヘテロ接合多孔性結晶体が得られる。
【0040】
(透明性アルミノシリケート)
本発明ではアルカリ源として、下記の組成を有する透明性アルミノシリケート溶液に由来するNaOHを含むことが好ましい。なお、透明性アルミノシリケート溶液の使用量は、前記結晶性アルミノシリケートと界面活性剤とアルカリ源と水との混合物の組成が前記した範囲となるように使用する。
NaOH/Al
2O
3 =26〜40 (Na
2O/Al
2O
3 =13〜20)
SiO
2/Al
2O
3 =12〜18
H
2O /Al
2O
3 =150〜400
透明性アルミノシリケート溶液のNaOH/Al
2O
3モル比は、さらには28〜36の範囲にあることが好ましい。
【0041】
透明性アルミノシリケート溶液のNaOH/Al
2O
3モル比が低いと、透明性アルミノシリケート溶液の透明性が低く、大きなゲル状粒子が残存することがあり、このような透明性アルミノシリケート溶液を用いると、透明性アルミノシリケート溶液の混合量によっても異なるが、結晶性アルミノシリケートのシリカの溶解が不充分となるためか、得られるヘテロ接合多孔性結晶体中のメソポーラス物質の割合が不充分となる場合がある。透明性アルミノシリケート溶液のNaOH/Al
2O
3モル比が大きすぎても、透明性アルミノシリケート溶液の混合量によっても異なるが、結晶性アルミノシリケートのシリカの溶解が進みすぎて、得られるヘテロ接合多孔性結晶体中の結晶性アルミノシリケートの割合が不充分となる場合がある。
【0042】
また、透明性アルミノシリケート溶液のSiO
2/Al
2O
3モル比は、さらには13〜17の範囲にあることが好ましい。
透明性アルミノシリケート溶液のSiO
2/Al
2O
3モル比が前記範囲にない場合は、すなわち、アルミナ源が多すぎるかシリカ源が多すぎると、メソポーラス物質の生成が抑制されたり、メソポーラス物質が生成しても耐熱性、活性が不充分となる場合がある。
【0043】
透明性アルミノシリケート溶液のH
2O /Al
2O
3モル比は、さらには180〜350の範囲にあることが好ましい。
透明性アルミノシリケート溶液のH
2O/Al
2O
3 モル比が低いと、透明性アルミノシリケート溶液の透明性が低く、大きなゲル状粒子が残存することがあり、このような透明性アルミノシリケート溶液を用いると、透明性アルミノシリケート溶液の混合量によっても異なるが、結晶性アルミノシリケートのシリカの溶解が不充分となるためか、得られるヘテロ接合多孔性結晶体中のメソポーラス物質の割合が不充分となる場合がある。また、H
2O/Al
2O
3 モル比が高すぎても、混合割合によっては、H
2Oが過剰となり、得られるヘテロ接合多孔性結晶体中の結晶性アルミノシリケートの量が減少し、活性、選択性あるいは吸着性能が不充分となる場合がある。
【0044】
このような透明性アルミノシリケート溶液の調製方法は特に制限ないが、アルカリ源とアルミナ源と、シリカ源とを混合して溶解することで調製される。
透明性アルミノシリケート溶液を調製するには、前記酸化物モル比の範囲内にあり、透明性を有する溶液が得られれば特に制限はないが、アルカリ源としては、水酸化ナトリウムが常用され、アルミナ源としてはアルミン酸ソーダ、アルミナゾル、アルミナゲル、アルミナ微粉末等、シリカ源としてはケイ酸ソーダ、シリカゾル、シリカゲル、シリカ微粉末等が好適に用いられる。アルミナゾル、アルミナゲル、アルミナ微粉末を用いる場合は予め水酸化アルカリ水溶液に溶解して用いることが好ましい。また、シリカゾル、シリカゲル、シリカ微粉末を用いる場合も予め水酸化アルカリ水溶液に溶解して用いることが好ましい。
【0045】
混合順序は特に制限はなく、通常、水酸化アルカリ水溶液にアルミン酸ナトリウム水溶液を加え攪拌溶解・冷却を行い、水酸化アルカリ・アルミン酸ナトリウム混合水溶液とする。ついで、この水溶液を珪酸アルカリ水溶液に混合する。
このとき、アルミン酸ナトリウムを水酸化アルカリで溶解して水酸化アルカリ・アルミン酸ナトリウム混合水溶液を調製して用いることが好ましい。
【0046】
このような透明アルミノシリケート溶液をアルカリ源として使用する場合も、NaOHなどと後述するような比率となるように添加される。また、適宜SiO
2や水の量も後述するような比率となるよう適宜調整される。
【0047】
上記した透明性アルミノシリケート溶液を使用すると、得られるヘテロ接合多孔性結晶体において、結晶性アルミノシリケート粒子表面に選択的にメソポーラス物質が生成する傾向がある。また、透明性アルミノシリケート溶液がアルミナ源を含んでいるためかメソポーラス物質の熱的安定性および触媒として用いた場合に活性が向上する傾向がある。
【0048】
混合
上記した結晶性アルミノシリケートと界面活性剤とアルカリ源と水とを、結晶性アルミノシリケート中のSiO
2を1モルとしたときにモル比が下記の範囲となるように混合する。
Al
2O
3/SiO
2 =0.010〜0.20
界面活性剤/SiO
2=0.05〜0.5
M
2O /SiO
2=0.05〜0.8
H
2O /SiO
2=30〜100
(但し、M
2Oはアルカリ源を酸化物の形態で示し、Mはアルカリ金属、NH
4から選ばれる少なくとも1種)
【0049】
Al
2O
3/SiO
2モル比は上記範囲にあり、さらには0.012〜0.15の範囲にあることが好ましい。なお、透明性アルミノシリケート溶液を使用しない場合は結晶性アルミノシリケートのモル比と同じであり、また、透明性アルミノシリケート溶液を使用した場合、これに含まれるAl
2O
3も含む。
【0050】
前記SiO
2/Al
2O
3モル比が小さいと、メソポーラス物質が生成しない場合があり、生成しても生成量が少ないためにミクロポアとメソポアの2種の細孔を有する効果、例えば活性の向上、選択性の向上等の効果が得られないか、得られたとしても僅かであり、寧ろ活性が低下する場合がある。
【0051】
前記SiO
2/Al
2O
3モル比が大きくても、ヘテロ接合多孔性結晶体が得られるものの、結晶性アルミノシリケートの結晶度の低下、活性点の減少を伴うので活性、選択性あるいは吸着性能が不充分となる場合がある。
【0052】
界面活性剤の使用量は、界面活性剤/SiO
2モル比が上記範囲にあり、さらには0.1〜0.45の範囲となるように使用することが好ましい。
界面活性剤/SiO
2モル比が小さいと、界面活性剤の種類によっても異なるが、メソポーラス物質が生成しない場合がある。生成した場合でも生成量が少なく、触媒として用いた場合に、活性、選択性の向上効果が充分得られない場合がある。界面活性剤/SiO
2モル比が多すぎても、さらにメソポーラス物質の生成量が増加することもなく、経済性が低下する。
【0053】
アルカリの使用量はM
2O/SiO
2が上記範囲にあり、さらには0.1〜0.5の範囲となるように使用することが好ましい。アルカリの使用量が少ないと、結晶性アルミノシリケートのシリカの溶解が不充分となるためかメソポーラス物質が生成しない場合がある。アルカリの使用量が多すぎても、生成するヘテロ接合多孔性結晶体中の結晶性アルミノシリケートの量が減少し、活性、選択性あるいは吸着性能が不充分となる場合がある。
【0054】
水の使用量は、前記主原料の混合物、あるいは必要に応じて透明性アルミノシリケート溶液を混合した後の水のモル比がH
2O/SiO
2モル比として上記範囲にあり、さらには35〜80の範囲にあることが好ましい。
【0055】
H
2O/SiO
2モル比が小さいと、得られるヘテロ接合多孔性結晶体中のメソポーラス物質の割合が不充分となる場合があり、H
2O/SiO
2モル比が多すぎても、ヘテロ接合多孔性結晶体中の結晶性アルミノシリケートの量が減少し、活性、選択性あるいは吸着性能が不充分となる場合がある。
【0056】
また、透明性アルミノシリケート溶液を使用する場合、その使用量は結晶性アルミノシリケートのAl
2O
3のモル数(M
Z)と透明性アルミノシリケート溶液のAl
2O
3のモル数(M
S)とのモル比(M
S)/(M
Z)が0.2〜1、さらには0.3〜0.8の範囲となるように混合することが好ましい。
【0057】
モル比(M
S)/(M
Z)が前記範囲にあると、得られるヘテロ接合多孔性結晶体において、結晶性アルミノシリケート粒子表面により選択的にメソポーラス物質が生成する傾向がある。また、透明性アルミノシリケート溶液がアルミナ源を含んでいるためかメソポーラス物質の熱的安定性および触媒として用いた場合に活性が向上する傾向がある。
【0058】
モル比(M
S)/(M
Z)が小さいと、前記透明性アルミノシリケート溶液からのアルミナ源が少なくなるためかメソポーラス物質の熱的安定性の向上、および触媒として用いた場合の活性の向上効果が充分得られない場合がある。モル比(M
S)/(M
Z)が大きくても、メソポーラス物質の生成量が不充分となる傾向がある。
【0059】
混合液は、混合後、直ちに水熱処理してもよいが、水熱処理前に、0〜50℃、さらには10〜40℃で100〜1000時間熟成することが好ましい。
このような熟成を行うことによって、混合物は透明性を有し、再現性よくヘテロ接合多孔性結晶体を得ることができる。
【0060】
水熱処理
上記したヘテロ接合多孔性結晶体合成用の混合物は水熱処理する。水熱処理は、自圧下、80〜160℃、さらには90〜150℃で行うことが好ましい。
【0061】
水熱処理することによって、結晶性アルミノシリケートのシリカ成分、特に結晶性アルミノシリケート粒子の外部表面のシリカ成分が溶解するとともに、その場でメソポーラス物質が生成し、本発明のヘテロ接合多孔性結晶体が合成されると考えられる。
【0062】
水熱処理温度が低い、メソポーラス物質の生成量が不充分となる場合があり、活性、選択性が不充分となる場合がある。水熱処理温度が高いと、メソポーラス物質の生成量が不充分となる場合があり、また、使用した結晶性アルミノシリケートが他の結晶に転移する場合があり、活性、選択性が不充分となる場合がある。
【0063】
また、水熱処理時間は、水熱処理温度によっても異なるが、概ね24〜240時間である。
なお、水熱処理時間は、合計時間が上記範囲にあればよく、何回かに分けて繰り返し水熱処理することもできる。また、その際に、必要に応じてpHを調整することもできる。
【0064】
この時のpH範囲は、概ね9.5〜11.5、さらには10.0〜11.0の範囲にあることが好ましい。pH調整には、NaOH、KOH、アンモニアなどの塩基性化合物、塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の有機酸を用いることができる。pHが前記範囲にあるか、前記範囲にpH調整を行うと、前記した結晶性アルミノシリケートのシリカ成分の溶解が適度に起こるために、あるいはメソポーラス物質の生成に欠かせないシリカ成分と、界面活性剤とのミセル形成が適度に起こるためか、本発明のヘテロ接合多孔性結晶体を再現性良く合成することができる。
【0065】
水熱処理した後、冷却し、固形分をろ過分離し、洗浄し、イオン交換し、乾燥し、必要に応じて加熱処理してヘテロ接合多孔性結晶体を合成することができる。
さらに必要に応じて、界面活性剤を焼成によって分解除去してもよい。
【0066】
このようにして得られるヘテロ接合多孔性結晶体中のメソポーラス物質は、MCM−41またはMCM−48であることが好ましい。
ヘテロ接合多孔性結晶体中のメソポーラス物質の確認は、X線回折により、MCM−41の場合は2θ=1.5〜3.0°付近に主ピークが観察され、MCM−48の場合は2θ=2.0°付近に主ピークが観察される。
【0067】
また、MCM−41、MCM−48は、窒素吸着・脱着等温線において、窒素の相対圧(P/P
0)が0.3〜0.4において窒素の著しい吸着および脱着特性を示す
また、ヘテロ接合多孔性結晶体中の結晶性アルミノシリケートは原料に使用したと同様のX線回折および窒素等温吸着・脱着特性を示す。
【0068】
以上の合成方法では、フォージャサイト型ゼオライト表面にメソポーラス物質がヘテロ接合した多孔性結晶体が得られる。
メソポーラス物質の量は、後述する細孔径範囲、細孔容積および比表面積に応じて適宜選択されるが、主に使用する結晶性アルミノシリケート粒子のシリカ含有量、界面活性剤の使用量および前記水熱処理時のpHおよび温度によって調整される。
【0069】
本発明では、メソポーラス物質は、結晶体内部には存在せずに、結晶性アルミノシリケート粒子の外部表面に接合している。この理由は明らかでないものの、上記合成方法によるものであると考えている。
つぎに、こうして得られたヘテロ接合多孔性結晶体について説明する。
【0070】
ヘテロ接合多孔性結晶体
本発明に係るヘテロ接合多孔性結晶体は、結晶性アルミノシリケートとメソポーラス物質とがヘテロ接合してなる多孔性結晶体であって、細孔容積(1)が0.2〜0.50ml/gの範囲にあり、細孔容積(2)が0.10〜0.45ml/gの範囲にあり、比表面積が800〜1200m
2/gの範囲にあることを特徴としている。
(但し、細孔容積(1)とは、細孔径範囲が0〜2.44nm(2.44nm以下)の細孔容積であり、細孔容積(2)とは細孔径範囲が2.44〜7.42nmの細孔容積である。)
細孔容積(1)が結晶性アルミノシリケートに由来する細孔に相当し、細孔容積(2)がメソポーラス物質に由来する細孔に由来する。
【0071】
細孔容積(1)が少ないと、結晶性アルミノシリケートの含有量が少ないか、結晶性アルミノシリケートの結晶性が低下したこと等が考えられるが、触媒、触媒担体として用いた場合に活性が不充分となる場合がある。細孔容積(1)が多すぎても、結晶性アルミノシリケートの含有量が多くメソポーラス物質の含有量が少ないことを意味し、例えば分子量の大きな炭化水素等の分解が不充分となり、効率的、選択的な分解性能が得られない場合がある。細孔容積(1)のさらに好ましい範囲は0.30〜0.45ml/gである。
【0072】
細孔容積(1)は、主に結晶性アルミノシリケートの含有量に依存し、したがって、前記した方法によりメソポーラス物質の生成量(含有量)を調整(抑制)することによって、調整することができる。
【0073】
細孔容積(2)が少ないと、メソポーラス物質の含有量が少なく、例えば分子量の大きな炭化水素等の分解が不充分となり、効率的、選択的な分解性能が得られない場合がある。細孔容積(2)が多すぎても、メソポーラス物質の含有量が多く、結晶性アルミノシリケートの含有量が少なくなり、分子量の大きな炭化水素等の分解が不充分となり、効率的、選択的な分解性能が得られない場合がある。細孔容積(2)のさらに好ましい範囲は0.30〜0.40ml/gである。
【0074】
細孔容積(2)は、主にメソポーラス物質の含有量に依存し、したがって、前記した方法によりメソポーラス物質の生成量(含有量)を調整(促進)することによって調整することができる。
【0075】
ヘテロ接合多孔性結晶体の比表面積は、800〜1200m
2/g、さらには850〜1000m
2/gの範囲にあることが好ましい。比表面積が低いと、触媒、触媒担体として用いた場合に活性が不充分となる場合がある。比表面積が前記範囲を越えるものは得ることが困難である。
【0076】
このような、比表面積は、ユアサ・アイオニクス社製:マルチソーブ16を用い、ヘテロ接合多孔性結晶体約0.1gを300℃で2時間真空排気処理した後、BET法により測定した。なお、この時の相対圧P/P
0は0.9とした。
【0077】
細孔容積(1)、(2)の測定は、窒素自動吸着装置(ベルソープ社製:Auto Sorb-mini)を用い、ヘテロ接合多孔性結晶体約0.1gを300℃で2時間真空排気処理した後、液体窒素温度(−196℃)で窒素吸着を行って吸着等温線を求め、相対圧(P/P
0)=0.2以下のヘテロ接合多孔性結晶体1g当たりの窒素吸着量(容積)を細孔容積(1)とし、相対圧(P/P
0)=0.2〜0.7の範囲でのヘテロ接合多孔性結晶体1g当たりの窒素吸着量(容積)を細孔容積(2)とした。なお、相対圧(P/P
0)=0.2の時、細孔径は2.44nmであり、相対圧(P/P
0)=0.7の時、細孔径は7.42nmである。
【0078】
本発明に係るヘテロ接合多孔性結晶体は、結晶性アルミノシリケートの粒子表面にメソポーラス物質が接合している。
メソポーラス物質が結晶性アルミノシリケートの粒子表面に接合していると、単なる混合物と比べて、例えば分子量の大きな分子をメソポーラス物質が分解し、ついで分解された分子を結晶性アルミノシリケートが分解するという逐次反応が促進されるためか活性、選択性に優れている。また、メソポーラス物質の熱的安定性、耐メタル性が向上する傾向があり、重質炭化水素油の接触分解、水素化分解等に好適に用いることができる。
【0079】
前記ヘテロ接合多孔性結晶体中の結晶性アルミノシリケートの平均粒子径は原料として用いた結晶性アルミノシリケートの粒子径と大きく変わらず、概ね0.1〜5μm、さらには0.2〜3μmの範囲にあることが好ましい。
【0080】
結晶性アルミノシリケートがこの範囲の平均粒子径であれば、熱的安定性が高く、例えば高温水熱雰囲気に曝される炭化水素の接触分解等でも充分な活性を発現する。また、この範囲の平均粒子径であれば、十分にメソポーラス物質がヘテロ接合しているので、ミクロポアとメソポアの2種の細孔を有する効果、例えば活性の向上、選択性の向上等の効果が高まる。
【0081】
上記した、結晶性アルミノシリケートの粒子表面にメソポーラス物質が接合していることの確認は、ヘテロ接合多孔性結晶体の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し粒子のコントラストにより、新たに生成するメソポーラス物質が黒色で観察され、結晶性アルミノシリケート粒子の表面に存在することによって確認することができる。
【0082】
また、ヘテロ接合多孔性結晶体中の結晶性アルミノシリケートの平均粒子径は、上記で撮影したTEM写真における50個の結晶性アルミノシリケート粒子の粒子径を測定し、その平均値として測定することができる。
【0083】
ヘテロ接合多孔性結晶体中の結晶性アルミノシリケートは、原料として用いた従来公知の結晶性アルミノシリケート(ゼオライト)に由来する。結晶性アルミノシリケートとしては、前記したとおりである。特に、ヘテロ接合多孔性結晶体中の結晶性アルミノシリケートがフォージャサイト型ゼオライトであれば、重質油の接触分解、水素化分解等に好適に用いることができる。この場合、重質な高沸点炭化水素の選択的分解、水素化分解が可能となり軽質油を選択的に生成することができる。
【0084】
また、ヘテロ接合多孔性結晶体中のメソポーラス物質は、MCM−41またはMCM−48であることが好ましい。なお、ヘテロ接合多孔性結晶体中のメソポーラス物質の種類は、X線回折により、MCM−41の場合は2θ=1.5〜2.5°付近に主ピークが観察され、MCM−48の場合は2θ=2.0°付近に主ピークが観察されることによって確認される。
【0085】
また、MCM−41、MCM−48のいずれも、窒素等温吸着・脱着において、窒素の相対圧(P/P
0)が0.2〜0.7において窒素の著しい吸着および脱着特性を示し、前記細孔容積(2)が前記範囲にあることによって特徴づけられる。
【0086】
また、ヘテロ接合多孔性結晶体中の結晶性アルミノシリケートは原料に使用したものと同様のX線回折および前記細孔容積(1)が前記範囲にあることによって特徴づけられる。
なお、ヘテロ接合多孔性結晶体中メソポーラス物質の量は、後述する比較例2で合成したMCM−41(R2)について、X線回折装置で2θ=1.5〜2.5°のピーク高さ(H
0)を求め、ヘテロ接合多孔性結晶体の2θ=1.5〜2.5°のピーク高さ(H)と対比し、下記式により相対量として評価した。
相対量=H/H
0×100(%)
【0087】
[実施例]
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例4は参考例である。
【0088】
[実施例1]
ヘテロ接合多孔性結晶体(1)の合成
透明性アルミノシリケート溶液(S1)の調製
Al
2O
3濃度22wt%、Na
2O濃度17wt%のアルミン酸ナトリウム水溶液172gを、濃度42wt%の水酸化ナトリウム水溶液710gに撹拌しながら加えて溶解し、30℃まで冷却した。この溶液を、撹拌しながらSiO
2濃度24wt%、Na
2O濃度7.7wt%の珪酸ナトリウム水溶液1388gに撹拌しながら添加した。
このときの組成はモル比で
NaOH/Al
2O
3 =32
SiO
2/Al
2O
3 =15
H
2O /Al
2O
3 =230
であった。
ついで、この溶液を35℃で15時間静置して透明性アルミノシリケート溶液を調製した。この溶液を5℃まで冷却し、透明性アルミノシリケート溶液(S1)を調製した。
【0089】
ヘテロ接合多孔性結晶体(1)の合成
容器に水880g、結晶性アルミノシリケートとしてUSYゼオライト(日揮触媒化成製:フォージャサイト型ゼオライト、Al
2O
3/SiO
2モル比=0.031、平均粒子径0.9μm)78g、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDTMAB)([C
16H
33N(CH
3)
3]Br)73gとを混合し、攪拌溶解した。この溶液に濃度15重量%のNH
4OH水溶液14gと透明性アルミノシリケート溶液(S1)116gとを添加し、室温で3時間攪拌熟成してヘテロ接合多孔性結晶体合成用混合物(1)を調製した。
このときの組成は
Al
2O
3/SiO
2 =0.042
界面活性剤/SiO
2=0.167
M
2O/SiO
2=0.275
H
2O/SiO
2=41.7
であった。
【0090】
なお、混合モル比(M
S)/(M
Z)=0.61であった。
ついで、ヘテロ接合多孔性結晶体合成用混合物(1)を結晶化槽に移し、97℃で24時間水熱処理した。その後、溶液のpHを酢酸にて10.2に調整し97℃で24時間水熱処理した。この操作を更に2回繰り返した。合計96時間水熱処理後、固形分を濾過分離し、純水で洗浄し、硫酸アンモニウム水溶液にてイオン交換し、濾過、洗浄、ついで130℃で乾燥し、塊砕し、ついで窒素ガス中で600℃、3時間焼成し、さらに空気に換えて4時間焼成して界面活性剤を除去してヘテロ接合多孔性結晶体(1)を合成した。
【0091】
得られたヘテロ接合多孔性結晶体(1)について、X線回折装置で結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量を評価し、BET法による比表面積、および窒素吸着法による細孔分布測定を行い、細孔容積(1)、細孔容積(2)を測定し、結果を表1に示した。
X線回折スペクトルを
図1に示すが、MCM−41(2θ=2゜)と結晶性アルミノシリケートとしてフォージャサイト型ゼオライト(2θ=16゜、19゜、21゜、24゜、27.5゜、32゜)のスペクトルが認められた。
【0092】
また、ヘテロ接合多孔性結晶体(1)の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を
図2に示した。
図2から、USYゼオライト(結晶性アルミノシリケート)の外周にMCM−41が接合して生成していることが認められた。
さらに、
図3に細孔分布測定装置で測定した吸着脱着等温線を示した。
また、性能評価を下記の方法で実施し、結果を表1に示した。
【0093】
性能評価
ヘテロ接合多孔性結晶体(1)の粉末を加圧成型し、これを粉砕し、分級し、粒子径が0.35〜0.71mmの性能評価用触媒(1)を調製した。
【0094】
性能評価用触媒(1)0.2g、反応原料としてジフェニルメタン(DPM)10mlを振盪式圧力容器に充填し、ついで、容器を封じた後、窒素ガスで空気をパージした後、水素ガスを6.9MPaとなるまで充填し、振盪しながら350℃に昇温した。350℃で1時間反応させた後、常温に冷却し、触媒を分離して生成油を得た。
【0095】
生成油は、キャピラリーガスクロマトグラフ(島津製作所製:GC−9A)で、未反応ジフェニルメタン(DPM)、ベンゼン、トルエンを分析し、これらの生成量から水素化分解活性を求め、水素化分解率(%)として結果を表 に示した。
なお、採用した反応は下記のスキームである。
【0097】
[実施例2]
ヘテロ接合多孔性結晶体(2)の合成
実施例1において、透明性アルミノシリケート溶液(1)58gを添加した以外は、実施例1同様に操作してヘテロ接合多孔性結晶体(2)を調製した。
なお、混合モル比(M
S)/(M
Z)=0.31であった。
このときの組成は酸化物モル比で
Al
2O
3/SiO
2 =0.032
界面活性剤/SiO
2=0.189
M
2O/SiO
2=0.170
H
2O/SiO
2=45.1
であった。
【0098】
以下、実施例1と同様に操作してヘテロ接合多孔性結晶体(2)を合成した。
得られたヘテロ接合多孔性結晶体(2)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0099】
[実施例3]
ヘテロ接合多孔性結晶体(3)の合成
実施例1において、透明性アルミノシリケート溶液(1)231gを添加した以外は同様に操作してヘテロ接合多孔性結晶体(3)を合成した。
なお、混合モル比(M
S)/(M
Z)=1.23であった。
このときの組成は酸化物モル比で
Al
2O
3/SiO
2 =0.046
界面活性剤/SiO
2=0.135
M
2O/SiO
2=0.426
H
2O/SiO
2=36.8
であった。
【0100】
以下、実施例1と同様に操作してヘテロ接合多孔性結晶体(3)を調製した。得られたヘテロ接合多孔性結晶体(3)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0101】
[実施例4]
ヘテロ接合多孔性結晶体(4)の合成
ヘテロ接合多孔性結晶体合成用混合物の調製は、容器に水843g、結晶性アルミノシリケートとしてUSYゼオライト(日揮触媒化成製:フォージャサイト型ゼオライト、Al
2O
3/SiO
2モル比=0.031、平均粒子径0.9μm)101g、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDTMAB)([C
16H
33N(CH
3)
3]Br)73gとを混合し、攪拌溶解した。この溶液に濃度15重量%のNH
4OH水溶液14gと濃度48重量%の水酸化ナトリウム水溶液50gを添加し、室温で3時間攪拌熟成してヘテロ接合多孔性結晶体合成用混合物(4)を調製した。
このときの組成は酸化物モル比で
Al
2O
3/SiO
2 =0.033
界面活性剤/SiO
2=0.167
M
2O/SiO
2=0.275
H
2O/SiO
2=41.7
であった。
【0102】
以下、実施例1と同様に操作してヘテロ接合多孔性結晶体(4)を合成した。
得られたヘテロ接合多孔性結晶体(4)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0103】
[実施例5]
ヘテロ接合多孔性結晶体(5)の合成
実施例1において、USYゼオライト(日揮触媒化成製:フォージャサイト型ゼオライト、Al
2O
3/SiO
2モル比=0.05、平均粒子径0.9μm)78gを用いた以外は同様に操作してヘテロ接合多孔性結晶体(5)を合成した。
なお、混合モル比(M
S)/(M
Z)=0.39であった。
このときの組成は酸化物モル比で
Al
2O
3/SiO
2 =0.055
界面活性剤/SiO
2=0.167
M
2O/SiO
2=0.275
H
2O/SiO
2=41.7
であった。
【0104】
以下、実施例1と同様に操作してヘテロ接合多孔性結晶体(5)を調製した。得られたヘテロ接合多孔性結晶体(5)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0105】
[実施例6]
ヘテロ接合多孔性結晶体(6)の合成
実施例1において、USYゼオライト(日揮触媒化成製:フォージャサイト型ゼオライト、Al
2O
3/SiO
2モル比=0.02、平均粒子径0.9μm)78gを用いた以外は同様に操作してヘテロ接合多孔性結晶体(6)を合成した。なお、混合モル比(M
S)/(M
Z)=1.02であった。
このときの組成は酸化物モル比で
Al
2O
3/SiO
2 =0.032
界面活性剤/SiO
2=0.167
M
2O/SiO
2=0.275
H
2O/SiO
2=41.7
であった。
【0106】
以下、実施例1と同様に操作してヘテロ接合多孔性結晶体(6)を調製した。
得られたヘテロ接合多孔性結晶体(6)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0107】
[実施例7]
ヘテロ接合多孔性結晶体(7)の合成
実施例1において、界面活性剤として濃度25重量%の水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム[C
16H
33N(CH
3)
3]OHメタノール溶液242gを用いた以外は、同様に操作してヘテロ接合多孔性結晶体(7)を調製した。
なお、混合モル比(M
S)/(M
Z)=1.02であった。
このときの組成は酸化物モル比で
Al
2O
3/SiO
2 =0.042
界面活性剤/SiO
2=0.167
M
2O/SiO
2=0.275
H
2O/SiO
2=41.7
であった。
【0108】
以下、実施例1と同様に操作してヘテロ接合多孔性結晶体(7)を合成した。得られたヘテロ接合多孔性結晶体(7)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0109】
[実施例8]
ヘテロ接合多孔性結晶体(8)の合成
実施例1において、120℃で24時間水熱処理した以外は、実施例1と同様に操作してヘテロ接合多孔性結晶体(8)を合成した。
得られたヘテロ接合多孔性結晶体(8)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0110】
[比較例1]
USY(R1)の調製
NaY型ゼオライト(日揮触媒化成製:Na-Y)10kgを60℃の温水100リットルに懸濁した。ゼオライトに対して2モル倍の硫安2.85kgを加え、70℃で1時間攪拌してイオン交換した。その後、濾過・洗浄し、再度、硫安2.85kgを60℃の温水30リットルに溶解した溶液でイオン交換した後、濾過し、60℃の純水100リットルで洗浄した。その後、130℃で20時間乾燥し、粉砕を行い、65%イオン交換されたNH
4Y型ゼオライト(NH
465Y)を得た。
【0111】
ついで、このY型ゼオライト(NH
465Y)を回転スチーミング装置で670℃-1時間飽和水蒸気雰囲気中にて焼成し、H-Y型ゼオライト(HY-5)得た。このHY-5を60℃の温水100リットルに懸濁した。次いで、ゼオライトに対して3モル倍の硫安8.53kg加え、90℃で1時間攪拌してイオン交換した後、濾過し、60℃の純水100リットルで洗浄した。その後、130℃で20時間乾燥し、粉砕を行い、85%イオン交換されたY型ゼオライト(NH
485Y)を得た。このNH4
85Yを回転スチーミング装置で650℃-1時間、飽和水蒸気雰囲気中で焼成し超安定Y型ゼオライト(USY-5)を約7kg得た。
【0112】
USY-5を5kg秤取り、60℃の純水50リットルに懸濁し、懸濁液に25wt%硫酸12.2kgを徐々に添加した後、70℃で1時間攪拌して骨格外アルミニウムを溶解した。その後、濾過・洗浄し、130℃で20時間乾燥を行い、超安定Y型ゼオライト(USY-30)を約3.5kg調製した。
得られたUSY-30(R1)について、吸着脱着等温線を
図4に示した。また、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0113】
[比較例2]
MCM−41(R2)の合成
容器に水700g、シリカ源として(日揮触媒化成製シリカゾル:Cataloid SI-30)240g、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDTMAB)([C
16H33N(CH
3)
3]Br)73gとを混合し、攪拌溶解した。この溶液に濃度48重量%のNaOH水溶液50gと濃度15重量%のNH
4OH水溶液14gとを添加し、室温で3時間攪拌熟成して多孔性結晶体合成用混合物(R2)を調製した。このときの組成は酸化物モル比で
Al
2O
3/SiO
2 =0
界面活性剤/SiO
2=0.167
M
2O/SiO
2=0.275
H
2O/SiO
2=41.7
であった。
【0114】
ついで、多孔性結晶体合成用混合物(R2)を結晶化槽に移し、実施例1と同様に操作して多孔性結晶体(R2)を合成した。得られたMCM−41(R2)について、X線回折スペクトルを
図5に、吸着脱着等温線を
図6に示した。また、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0115】
[比較例3]
多孔性結晶体(R3)の合成
多孔性結晶体合成用混合物(R3)の調製は、容器に水976g、結晶性アルミノシリケートとしてUSYゼオライト(日揮触媒化成製:フォージャサイト型ゼオライト、Al
2O
3/SiO
2モル比=0.031、平均粒子径0.9μm)101g、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDTMAB)([C
16H
33N(CH
3)
3]Br)73gとを混合し、攪拌溶解した。この溶液に濃度15重量%のNH
4OH水溶液14を添加し、室温で3時間攪拌熟成して多孔性結晶体合成用混合物(R3)を調製した。
このときの組成は酸化物モル比で
Al
2O
3/SiO
2 =0.033
界面活性剤/SiO
2=0.167
M
2O((NH
4)
2O)/SiO
2=0.025
H
2O/SiO
2=41.7
であった。
【0116】
ついで、多孔性結晶体合成用混合物(R3)を結晶化槽に移し、実施例1と同様に操作して多孔性結晶体(R3)を合成した。得られた多孔性結晶体(R3)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0117】
[比較例4]
多孔性結晶体(R4)の合成
多孔性結晶体合成用混合物(R4)の調製は、容器に水975g、結晶性アルミノシリケートとしてUSYゼオライト(日揮触媒化成製:フォージャサイト型ゼオライト、Al
2O
3/SiO
2モル比=0.031、平均粒子径0.9μm)101g、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDTMAB)([C
16H
33N(CH
3)
3]Br)73gとを混合し、攪拌溶解した。この溶液に濃度15重量%のNH
4OH水溶液14gと、実施例1と同様に操作して調製した透明性アルミノシリケート溶液1gを添加し、室温で3時間攪拌熟成して多孔性結晶体合成用混合物(R4)を調製した。
なお、混合モル比(M
S)/(M
Z)=0.003であった。
このときの組成は酸化物モル比で
Al
2O
3/SiO
2 =0.020
界面活性剤/SiO
2=0.167
M
2O((NH
4)
2O)/SiO
2=0.027
H
2O/SiO
2=41.7
であった。
【0118】
ついで、多孔性結晶体合成用混合物(R4)を結晶化槽に移し、実施例1と同様にして多孔性結晶体(R4)を合成した。得られた多孔性結晶体(R4)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0119】
[比較例5]
多孔性結晶体(R5)の合成
多孔性結晶体合成用混合物(R5)の調製は、容器に水720g、結晶性アルミノシリケートとしてUSYゼオライト(日揮触媒化成製:フォージャサイト型ゼオライト、Al
2O
3/SiO
2モル比=0.031、平均粒子径0.9μm)39g、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDTMAB)([C
16H
33N(CH
3)
3]Br)73gとを混合し、攪拌溶解した。この溶液に濃度15重量%のNH
4OH水溶液14gと、実施例1と同様に操作して調製した透明性アルミノシリケート溶液308gを添加し、室温で3時間攪拌熟成して多孔性結晶体合成用混合物(R5)を調製した。
なお、混合モル比(M
S)/(M
Z)=3.28であった。
このときの組成は酸化物モル比で
Al
2O
3/SiO
2 =0.055
界面活性剤/SiO
2=0.167
M
2O((NH
4)
2O)/SiO
2=0.692
H
2O/SiO
2=41.7
であった。
【0120】
ついで、多孔性結晶体合成用混合物(R5)を結晶化槽に移し、実施例1と同様に操作して多孔性結晶体(R5)を合成した。得られた多孔性結晶体(R5)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0121】
[比較例6]
多孔性結晶体(R6)の合成
実施例1において、多孔性結晶体合成用混合物(1)を60℃で96時間水熱処理した以外は同様に操作して多孔性結晶体(R6)を合成した。得られた多孔性結晶体(R6)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0122】
[比較例7]
多孔性結晶体(R7)の合成
実施例1において、多孔性結晶体合成用混合物(1)を190℃で96時間水熱処理した以外は同様に操作して多孔性結晶体(R7)を合成した。得られた多孔性結晶体(R7)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0123】
[比較例8]
多孔性結晶体(R8)の合成
容器に水277重量部、結晶性アルミノシリケートとして焼成したBetaゼオライト(東ソー製:Beta型ゼオライト、Al
2O
3/SiO
2モル比=0.025、平均粒子径1.0μm)26重量部を加え、30分間攪拌した。この溶液にテトラエチルオルソシリケート((C
2H
5O)
4Si))345重量部を添加し、30分間攪拌したのち、トリエタノールアミン((C
2H
5O)
3N))58重量部を添加し、更に30分間攪拌した。その後、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド((C
2H
5)
4NOH))の濃度35重量%水溶液68重量部を添加し、約2時間攪拌した。このスラリーを室温にて17時間静置熟成した。
このときの組成は酸化物モル比で
Al
2O
3/SiO
2 =0.004
界面活性剤/SiO
2=0.078
M
2O/SiO
2=0.51
H
2O/SiO
2=8.57
であった。
【0124】
次に、熟成スラリーを空気中、100℃で28時間乾燥した。乾燥したスラリーをオートクレーブで170℃、18時間水熱処理した。水熱品を乾燥したのち、窒素ガス中600℃、3時間焼成し、空気に換え、さらに4時間焼成して界面活性剤を除去して多孔性結晶体(R8)を調製した。
【0125】
得られた多孔性結晶体(R8)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0126】
[比較例9]
多孔性結晶体(R9)の合成
容器に0.37MのNH4OH溶液900mlと界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDTMAB)([C
16H
33N(CH
3)
3]Br)10g及び結晶性アルミノシリケートとして焼成したUSYゼオライト(Zeolyst社製:CBV-720ゼオライト、Al
2O
3/SiO
2モル比=0.031、平均粒子径1.0μm)14gを加え、60分間攪拌混合した。
このときの組成は酸化物モル比で
Al
2O
3/SiO
2 =0.034
界面活性剤/SiO
2=0.127
M
2O((NH
4)
2O)/SiO
2=22.3
H
2O/SiO
2=145.6
であった。
【0127】
この混合物を150℃で10時間水熱処理した。その後、水熱処理品を濾過・洗浄・乾燥した。その乾燥品を窒素ガス中で550℃、2時間焼成し、空気に換え、えさらに4時間焼成して界面活性剤を除去して多孔性結晶体(R9)を調製した。
【0128】
得られた多孔性結晶体(R9)について、結晶性アルミノシリケートの有無、MCMのタイプおよび相対量、比表面積、細孔容積(1)、細孔容積(2)および性能評価を行い、結果を表1に示した。