(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の永久磁石は、前記永久磁石列が延びる方向に延びる中空部を有する筒形状を有しており、前記磁性ヨークは、前記中空部に連通する貫通孔を有していることを特徴とする請求項3に記載の電気機械。
n相分(nは2以上の整数)の前記巻線部が前記永久磁石列に沿って配置され、前記n個の巻線部に(360/n)°の位相差を持った励磁電流が流されて前記可動子が前記往復直線運動をする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気機械。
前記バックヨークの前記永久磁石列が延びる方向の両端には、前記可動子を往復直線運動可能に且つ周方向に回転不可能に支持する軸受がそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項13のいずれか1項に記載の電気機械。
前記複数の磁極片の前記巻線部と対向する面の前記永久磁石列が延びる方向の長さは、前記複数の磁極片の前記永久磁石と対向する面の前記永久磁石列が延びる方向の長さより短いことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の電気機械。
前記複数の磁極片の前記巻線部と対向する面の前記永久磁石列が延びる方向の長さと、前記複数の磁極片の前記永久磁石と対向する面の前記永久磁石列が延びる方向の長さは等しいことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の電気機械。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、巻線部の数を増やすと、製造が煩雑になり、製造コストが高くなる。また、巻線部を大きくするとリニアモータの単位体積あたりの推力が低下する。
【0005】
本発明の目的は、巻線部の数を増やしたり、単位体積あたりの推力を低下させずに、リニアモータの推力を高めることができる電気機械を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、可動子の推力を大きく低下させることなく、永久磁石及び磁性ヨークの量を下げることができる電気機械を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、電気機械をチップマウンタに使用する場合に、チップをエア吸引するためのエア配管を内部に形成できる電気機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、固定子に対して可動子が往復直線運動可能に構成されている電気機械を改良の対象とする。本発明では、固定子及び可動子の一方は、同極性の磁極が対向するように並べられた複数の永久磁石からなる永久磁石列を備えている。固定子及び可動子の他方は、巻線導体がコイル状に巻回されて構成され且つ永久磁石列と同心的に配置された巻線部を備えている。また、巻線部に対して動かない関係を持って、永久磁石列と巻線部との間に配置され且つ永久磁石列に沿って間隔あけて並ぶように配置された複数の磁極片を有する磁極片列を備えている。そして、複数の永久磁石のピッチ及び複数の磁極片のピッチは、同方向に着磁され且つ永久磁石列中に1つおきに位置する2つの永久磁石と、該2つの永久磁石に挟まれ且つ該2つの永久磁石の磁化方向とは異なる異方向に着磁された永久磁石に対向する1つの磁極片とを通って磁束が流れるように定められている。
【0009】
本発明のように構成された永久磁石列と複数の磁極片を有する磁極片列とを備えていると、リニアモータ、リニア振動アクチュエータ、リニア振動発電機のいずれの電気機械においても、同方向に着磁され且つ永久磁石列中に1つおきに位置する2つの永久磁石と、該2つの永久磁石に挟まれ且つ該2つの永久磁石の磁化方向とは異なる異方向に着磁された永久磁石に対向する1つの磁極片とを通って磁束が流れたときに、磁極片列中の複数の磁極片にそれぞれ形成される磁極と該磁極片に隣接する永久磁石により形成された磁極との間に引き合う力が発生し、可動子の推力を高めることができる。また、巻線に励起される誘起電力を高めることができる。そのため、従来のように、単位体積あたりの推力を低下させることなく、電気機械の可動子の推力を高めることができる。
【0010】
複数の磁極片は、永久磁石列を周方向に囲む環状形状を有していてもよい。このようにすれば、永久磁石列が同極性の磁極が対向するように並べられた複数の永久磁石からなる場合に、磁束の流れを効率よく高めることができる。
【0011】
永久磁石列は、複数の永久磁石のそれぞれの両側に磁性ヨークが配置された構造を有することができる。このようにすれば、磁束の流れを効率よく高めることができ、また、永久磁石の同極を向かい合わす際に発生する反発力を小さくすることができ、製造作業を容易にできる。
【0012】
複数の永久磁石は、永久磁石列が延びる方向に延びる中空部を有する筒形状を有しており、磁性ヨークは、中空部に連通する貫通孔を有しているように構成できる。このようにすれば、可動子の推力を大きく低下させることなく、永久磁石及び磁性ヨークの量を下げることができる。また、永久磁石の中空部と磁性ヨークの貫通孔とにより、永久磁石列の内部に通路を形成できる。そのため、本発明の電気機械をチップマウンタに使用する場合には、この通路をチップをエア吸引するためのエア配管として利用できる。
【0013】
永久磁石列は、複数の永久磁石が直接接合された構造にしてもよい。このようにすれば、永久磁石の量を増やすことができ、電気機械の可動子の推力をさらに高めることができる。
【0014】
このような場合においても、複数の永久磁石は永久磁石列が延びる方向に延びる中空部を有する筒形状を有しているように構成できる。このようにすれば、可動子の推力を大きく低下させることなく、永久磁石の使用量を下げることができる。また、永久磁石の中空部により、永久磁石列の内部に通路を形成できる。そのため、電気機械をチップマウンタに使用する場合には、この通路をチップをエア吸引するためのエア配管として利用できる。
【0015】
永久磁石列は、非磁性材料からなる筒体の内部に複数の永久磁石が収納して構成することができる。このようにすれば、永久磁石を筒体の内部に収納するだけで、簡単に永久磁石を配置することができる。
【0016】
電気機械がリニア振動アクチュエータの場合は、巻線部が交番磁束を発生して、永久磁石と磁極片との間に可動子の往復直線運動を繰り返すための推力を発生する。
【0017】
電気機械がリニア振動発電機の場合は、外力によって可動子が往復直線運動をすると、永久磁石列の複数の永久磁石と磁極片列とを流れる磁束が発生し、巻線部に誘起電圧が発生する。
【0018】
電気機械がリニアモータの場合は、n相分(nは2以上の整数)の巻線部が永久磁石列に沿って配置され、n個の巻線部に(360/n)°の位相差を持った励磁電流が流されて可動子が往復直線運動をする。
【0019】
複数の永久磁石のピッチをτpとし、複数の巻線部の1つの巻線部の内部空間に含まれる複数の磁極片のピッチをτsとし、複数の巻線部の1つの巻線部の内部空間に含まれる磁極片の数をm個とし、複数の巻線部の隣接する2つの巻線部の一方の巻線部の内部空間に含まれるm個の磁極片の永久磁石列が延びる方向の一方の端部から他方の端部に向かってX個目に配置された磁極片と、2つの巻線部の他方の巻線部の内部空間に含まれるm個の磁極片の永久磁石列が延びる方向の一方の端部から他方の端部に向かってX個目に配置された磁極片と間の相間ピッチをτspとした場合は、τs=2τp(1+1/(n・m))且つτsp=2τp(m+1/n)もしくは、τs=2τp(1−1/(n・m))且つτsp=2τp(m−1/n)とすればよい。
【0020】
また、τs=2τp且つτsp=2τp(m±1/n)としてもよい。
【0021】
複数の巻線部の外側には、磁気回路の一部を構成するバックヨークを設けることができる。このようにすれば、複数の巻線部の外側に磁気回路を積極的に形成でき、可動子の推力を高めることができる。
【0022】
バックヨークの永久磁石列が延びる方向の両端には、可動子を往復直線運動可能に且つ周方向に回転不可能に支持する軸受がそれぞれ固定することができる。このようにすれば、可動子が周方向に回転するのを防ぐことができる。
【0023】
複数の磁極片と巻線部とは、絶縁樹脂によりモールドすることができる。このようにすれば、複数の磁極片を巻線部に簡単に且つ確実に固定することができる。
【0024】
複数の巻線部は、複数の磁極片に向かって開口する複数の凹部が形成されるように巻回し、複数の凹部には、複数の磁極片の一部がそれぞれ入り込ませることができる。このようにすれば、複数の凹部に複数の磁極片の一部がそれぞれ入り込んだ分だけ電気機械の体積を小さくできる。
【0025】
複数の磁極片の巻線部と対向する面の永久磁石列が延びる方向の長さは、複数の磁極片の永久磁石と対向する面の永久磁石列が延びる方向の長さより短くすることができる。このようにすれば、漏れ磁束を少なくでき、より効率的に推力または電力を発生させることができる。
【0026】
また、複数の磁極片の巻線部と対向する面の永久磁石列が延びる方向の長さと、複数の磁極片の永久磁石と対向する面の永久磁石列が延びる方向の長さは等しくすることができる。このようにすれば、磁極片の製造が容易になり、安価なリニアモータを提供できる。
【0027】
複数の磁極片は、永久磁石列が延びる方向に磁性鋼板を積層して形成することができる。このようにすれば、プレスにより形成した磁性鋼板を用いて磁極片を形成できる。
【0028】
また、複数の磁極片は、周方向に帯状の磁性鋼板を巻回して形成することができる。このようにすれば、プレスにより形成した帯状の磁性鋼板を用いて磁極片を形成できる。
【0029】
複数の永久磁石は、その外周面の一端から他端に湾曲した内部磁路が形成されるように着磁されているものを使用できる。このようなものを使用すれば、内部磁路が長くなり、永久磁石の磁力が低下するのを防ぐことができる。
【0030】
バックヨークを設けた電気機械を複数台並設した複合電気機械では、複数台の電気機械のそれぞれのバックヨークが1つの外装を構成するように一体化させることができる。このようにすれば、一体化された1つのバックヨークにより複数台の電気機械を束ねることができる。
【0031】
また、複数の電気機械にそれぞれ設けられたバックヨークは、隣合う2台の電気機械の間にバックヨークが存在しない形状を有しているように構成できる。このようにすれば、複数の電気機械が並んだ方向の長さ寸法を小さくできる。なお、バックヨークが存在しない部分ができるが、可動子の推力にはそれほど影響はない。
【0032】
バックヨークは、隣合う2台の電気機械のバックヨークの外面が面接触するように外面に平坦面部を備えているように構成できる。このようにしても、複数の電気機械が並んだ方向の長さ寸法を小さくできる。
【0033】
電気機械がリニア振動アクチュエータの場合は、巻線部が1つで交流電流が流されて可動子が往復振動するように構成できる。このようにすれば、1つの巻線部で簡単にリニア振動アクチュエータを形成できる。
【0034】
また、巻線部が可動子が延びる方向に2つ並んで配置され、2つの巻線部に逆位相の交流電流が流されて可動子が往復振動するようにリニア振動アクチュエータを構成できる。このようにすれば、2つの巻線部で可動子の推力の高いリニア振動アクチュエータを形成できる。
【0035】
電気機械がリニア振動発電機の場合は、永久磁石列を外力で往復運動させられるように構成し、巻線部に交流電圧を誘起するように構成すればよい。
【0036】
また、永久磁石列を外力で往復運動させられるように構成し、巻線部を可動子が延びる方向に2つ並んで配置することができる。この場合、一方の巻線部に対して配置される複数の磁極片と他方の巻線部に対して配置される複数の磁極片を電気角で180°ずれるように配置し、永久磁石列を外力で往復運動させられるように構成し、2つの巻線部に交流電圧を誘起するように構成すればよい。このようにすれば、2つの巻線部により、大きな交流の電力を発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】リニアモータに適用した本発明の実施例1の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図である。
【
図3】
図1に示すリニアモータに用いた磁性ヨークの斜視図である。
【
図4】
図1に示すリニアモータに用いた磁極片を一部を断面で表した斜視図である。
【
図5】磁極片の一例を一部を断面で表した斜視図である。
【
図6】磁極片の他の一例を一部を断面で表した斜視図である。
【
図7】
図6に示す磁極片の形成に用いる帯状の磁性鋼板の平面図である。
【
図8】
図1に示すリニアモータに用いたバックヨークの部分斜視図である。
【
図10】
図1に示すリニアモータが往復直線運動を行う原理を説明するために用いる位相の波形図である。
【
図11】(A)〜(C)は、
図1に示すリニアモータが往復直線運動を行う原理を説明するために用いる可動子と固定子の位置関係を示す図である。
【
図12】リニアモータに適用した本発明の実施例2の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
【
図13】リニアモータに適用した本発明の実施例3の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
【
図14】リニアモータに適用した本発明の実施例4の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
【
図15】リニアモータに適用した本発明の実施例5の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
【
図17】リニアモータに適用した本発明の実施例6の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
【
図18】
図1に示すリニアモータに用いた磁極片の断面図である。
【
図19】リニアモータに適用した本発明の実施例7の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
【
図20】リニアモータに適用した本発明の実施例8の電気機械を部分断面の状態を示す斜視図の一部分である。
【
図21】リニアモータに適用した本発明の実施例9の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
【
図22】複合リニアモータに適用した本発明の実施例10の複合電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
【
図24】複合リニアモータに適用した本発明の実施例11の複合電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
【
図26】複合リニアモータに適用した本発明の実施例12の複合電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分を示す図である。
【
図28】リニア振動アクチュエータに適用した本発明の実施例13の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
【
図29】(A)〜(F)は、
図28に示すリニア振動アクチュエータが往復振動する原理を説明するために用いる可動子と固定子の位置関係を示す図である。
【
図30】リニア振動アクチュエータに適用した本発明の実施例14の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
【
図31】リニア振動発電機に適用した本発明の実施例15の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
【
図32】(A)〜(C)は、
図31に示すリニア振動発電機が往復直線運動を行う原理を説明するために用いる可動子と固定子の位置関係を示す図である。
【
図33】リニア振動発電機に適用した本発明の実施例16の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の電気機械を詳細に説明する。
【0039】
(実施例1)
図1は、リニアモータに適用した本発明の実施例1の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図である。なお、
図1では、理解を容易にするために、固定子9を断面の状態で表し、可動子7は平面の状態(切断しない状態)で表している。
図1に示すように、本例のリニアモータ1は、リニアモータ本体3と該リニアモータ本体3に取り付けられたバックヨーク5とを有している。リニアモータ本体3は、可動子7と固定子9とを有している。可動子7は、直動軸11と永久磁石列13とを有している。
図2の部分拡大図に示すように、直動軸11は、直動軸本体15と、一対の直動軸端部材17とを有しており、永久磁石列13が延びる方向(軸線方向)に往復直線運動を行う。なお、
図1及び
図2では、直動軸本体15を透明に描いている。直動軸本体15は、非磁性材料のステンレスからなる筒体のパイプにより形成されており、内部には永久磁石列13が収容されている。永久磁石列13は、複数の円柱形の永久磁石19と複数の永久磁石19のそれぞれの両側に配置された磁性ヨーク21とから構成されている。磁性ヨーク21は、鉄などの磁性材料からなる円板形状を有している。本例では、
図3に示すように、珪素鋼からなる複数の磁性鋼板21aを軸線方向に積層して磁性ヨーク21を形成した。磁性ヨーク21の材料としては、炭素鋼、フェライト系ステンレス、圧粉磁心等も用いることができる。複数の永久磁石19は、隣り合う2つの永久磁石19が軸線方向に同極性の磁極が対向するように並べられている。
【0040】
一対の直動軸端部材17は、細長い棒のような形状を有している。この一対の直動軸端部材17は、直動軸本体15の軸線方向の両端に接続されて、後述する一対のボールスプライン軸受29にそれぞれスラスト方向にスライド可能に支持されている。
【0041】
図1に示すように、固定子9は、n相(nは2以上の整数:本例では3相)の巻線部23A〜23Cと磁極片列25と一対のエンドブラケット27と一対のボールスプライン軸受29とを有している。巻線部23A〜23Cは、巻線導体がコイル状に巻回されて構成され且つ永久磁石列13と同心的に配置されている。巻線部23A〜23Cには、電気角で120°(360/n)°の位相差を持った励磁電流が流されている。この結果、巻線部23A〜23Cには、U相、V相、W相の順で電流が流れることとなる。
【0042】
磁極片列25は、永久磁石列13に沿って間隔あけて並ぶように配置された複数の磁極片31により構成されている。磁極片31は、
図4に示すように、珪素鋼の磁性材料からなり環状形状を有して永久磁石列13を周方向に囲んでいる。そして、磁極片31は、巻線部23A〜23Cに対して動かない関係を持って、永久磁石列13と巻線部23A〜23Cとの間に配置されている。本例では、複数の巻線部23A〜23Cの1つの巻線部の内部空間に3個の磁極片31が含まれている。このような磁極片は、
図5に示す磁極片31′のように、複数の磁性鋼板31′aを軸線方向に積層して形成してもよいし、
図6に示す磁極片31″のように、帯状の磁性鋼板31″a(
図7)を巻回して形成してもよい。そして、
図4に示すように、磁極片31の巻線部23A〜23Cと対向する面の軸線方向の長さL1は、複数の磁極片31の永久磁石19と対向する面の軸線方向の長さL2より短くなっている。本例では、
図2に示すように、複数の磁極片31及び巻線部23A〜23Cは共に絶縁樹脂33によりモールドされている。
図1に示す複数の永久磁石19のピッチτp及び複数の磁極片31のピッチτsは、同方向に着磁され且つ永久磁石列13中に1つおきに位置する2つの永久磁石19と、該2つの永久磁石19に挟まれ且つ該2つの永久磁石19の磁化方向とは異なる磁化方向(異方向)に着磁された永久磁石19に対向する1つの磁極片31とを通って磁束が流れるように定められている。本例では、複数の永久磁石19のピッチτp、3個の巻線部23A〜23Cの1つの巻線部の内部空間に含まれる複数の磁極片31のピッチτs及び複数の磁極片31の相間ピッチτspは、τs=2τp(1+1/(n・m))且つτsp=2τp(m+1/n)または、τs=2τp(1−1/(n・m))且つτsp=2τp(m−1/n)となる式に従っている。なお、mは、複数の巻線部23A〜23Cの1つの巻線部の内部空間に含まれる磁極片31の数(本例では3)であり、nは、巻線部23A〜23Cの相数(本例では3)である。また、複数の磁極片31の相間ピッチτspは、3個の巻線部23A〜23Cの隣接する2つの巻線部の一方の巻線部の内部空間に含まれる3個の磁極片31の軸線方向(永久磁石列13が延びる方向)の一方の端部から他方の端部に向かってX個目に配置された磁極片31と、2つの巻線部の他方の巻線部の内部空間に含まれる3個の磁極片の軸線方向の一方の端部から他方の端部に向かってX個目に配置された磁極片31との間の距離である。本例のリニアモータでは、m=3、n=3、τsp=2τp(m−1/n)となる。そこで、これらを代入すると、本例のリニアモータでは、τs=2τp(1−1/9)且つτsp=2τp(3−1/3)、即ち、τs=16/9τp且つτsp=16/3τpとなる。
【0043】
一対のエンドブラケット27は、アルミ等の金属材料または加工性を有するプラスチックなどから形成されており、筒形状を有している。一対のボールスプライン軸受29は、一対のエンドブラケット27にそれぞれ固定された状態で、可動子7の直動軸11の両端をスラスト方向(軸線方向)に往復直線運動可能に且つ周方向に回転不可能に支持している。
【0044】
リニアモータ本体3に取り付けられるバックヨーク5は、複数の巻線部23A〜23Cの外側に設けられており、磁気回路の一部を構成している。
図8に示すように、バックヨーク5は、珪素鋼板の磁性材料からなる継ぎ目なし管により形成されている。このようなバックヨークは、
図9に示すバックヨーク5′ように、磁性鋼板5′aを巻回して形成してもよい。そして、バックヨーク5の両端には、一対のエンドブラケット27が嵌合されている。
【0045】
次に本例のリニアモータ1の可動子7が固定子9に対して往復直線運動を行う原理を説明する。
図10は、巻線部23A〜23C(U相、V相、W相)の位相の波形であり、
図11(A)〜(C)は、
図10に示す(A)〜(C)の3ヶ所における可動子7と固定子9の位置関係を示す図である。なお、
図11(A)〜(C)では、理解を容易にするため、断面のハッチングの表示は省略している。
図11(A)に示すように、巻線部23A〜23Cが励磁されると、複数の永久磁石19及び複数の磁極片31を通って磁束(矢印A1)が流れる。これにより、磁束と永久磁石19との引き合いにより、
図11(B)に示すように、(1/3)・2τpだけ可動子7が図面向かって左側に移動する。そして、
図11(B)の状態で生じた磁束(矢印A2)と永久磁石19との引き合いにより、
図11(C)に示すように、(1/3)・2τpだけ可動子7が図面向かって左側にさらに移動する。そして、
図11(C)の状態で生じた磁束(矢印A3)と永久磁石19との引き合いにより、(1/3)・2τpだけ可動子7が図面向かって左側にさらに移動する。このような一連の動作により、可動子7は固定子9に対して往復直線運動を行う。
【0046】
本例のリニアモータ1によれば、同方向に着磁され且つ永久磁石列13中に1つおきに位置する2つの永久磁石19と、該2つの永久磁石19に挟まれ且つ該2つの永久磁石19の磁化方向とは異なる異方向に着磁された永久磁石19に対向する1つの磁極片31とを通って磁束が流れるため、磁極片31に対する永久磁石19の吸引が促進され、可動子7の推力を高めることができる。
【0047】
(実施例2)
図12は、リニアモータに適用した本発明の実施例2の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。なお、
図12では、理解を容易にするため、複数の磁極片及び巻線部をモールドする絶縁樹脂の図示は省略されている。本例のリニアモータ101は、複数の永久磁石119のピッチτpと、複数の磁極片131のピッチτsと、複数の磁極片131の相間ピッチτspとの関係式を除いて、実施例1のリニアモータ1と同じ構成を有している。そのため、実施例1のリニアモータ1と同じ構成の部材には、実施例1のリニアモータ1に付した符号に100を加えた符号を付して、その説明を省略する。本例のリニアモータ101でも、複数の永久磁石119のピッチτp及び3個の巻線部123A〜23Cの1つの巻線部の内部空間に含まれる複数の磁極片131のピッチτsは、同方向に着磁され且つ永久磁石列113中に1つおきに位置する2つの永久磁石119と、該2つの永久磁石119に挟まれ且つ該2つの永久磁石119の磁化方向とは異なる異方向に着磁された永久磁石119に対向する1つの磁極片131とを通って磁束が流れるように定められている。本例のリニアモータ101では、複数の永久磁石119のピッチτp、複数の巻線部123A〜123Cの1つの巻線部の内部空間に含まれる複数の磁極片131のピッチτs及び複数の磁極片131の相間ピッチτspは、τs=2τp且つτsp=2τp(m±1/n)となる式に従っている。本例のリニアモータ101では、m=3、n=3、(m±1/n)は(m+1/n)となる。そこで、これらを代入すると、本例のリニアモータでは、τs=2τp且つτsp=2τp(3+1/3)、即ちτs=2τp且つτsp=20/3τpとなる。
【0048】
(実施例3)
図13は、リニアモータに適用した本発明の実施例3の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。本例のリニアモータ201は、巻線部223A〜223Fの相数を除いて、実施例1のリニアモータ1と同じ構成を有している。そのため、実施例1のリニアモータ1と同じ構成の部材には、実施例1のリニアモータ1に付した符号に200を加えた符号を付して、その説明を省略する。本例のリニアモータ201の巻線部223A〜223Fには、電気角で60°(360/n)°の位相差を持った6相の励磁電流が流されている。この結果、巻線部223A〜223Cには、U相、−W相、V相、−U相、W相、−V相の順で電流が流れることとなる。
【0049】
(実施例4)
図14は、リニアモータに適用した本発明の実施例4の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。本例のリニアモータ301は、巻線部323A〜323Dの相数を除いて、実施例1のリニアモータ1と同じ構成を有している。そのため、実施例1のリニアモータ1と同じ構成の部材には、実施例1のリニアモータ1に付した符号に300を加えた符号を付して、その説明を省略する。本例のリニアモータ301の巻線部323A〜323Dには、電気角で90°(360/n)°の位相差を持った4相の励磁電流が流されている。この結果、巻線部323A〜323Dには、A相、B相、−A相、−Bの順で電流が流れることとなる。
【0050】
(実施例5)
図15は、リニアモータに適用した本発明の実施例5の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分であり、
図16の
図15の部分拡大図である。本例のリニアモータ401は、巻線部423A〜423C、磁極片列425及び一対のエンドブラケット427の構造を除いて、実施例1のリニアモータ1と同じ構成を有している。そのため、実施例1のリニアモータ1と同じ構成の部材には、実施例1のリニアモータ1に付した符号に400を加えた符号を付して、その説明を省略する。本例のリニアモータ401の巻線部423A〜423Cは、複数の磁極片431に向かって開口する複数の凹部423dが形成されるように巻回されている。そして、複数の凹部423dには、複数の磁極片431の一部がそれぞれ入り込んでいる。なお、
図15では、絶縁樹脂433は省略されている。また、本例のリニアモータ401の一対のエンドブラケット427は、摩擦軸受の機能を有しており、可動子407を直接支持している。
【0051】
本例のリニアモータ401によれば、複数の凹部423dに複数の磁極片431の一部がそれぞれ入り込んだ分だけリニアモータの体積を小さくできる。
【0052】
(実施例6)
図17は、リニアモータに適用した本発明の実施例6の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分であり、
図18は本例のリニアモータ501に用いる磁極片531の断面図である。本例のリニアモータ501は、複数の磁極片531の構造を除いて、実施例1のリニアモータ1と同じ構成を有している。そのため、実施例1のリニアモータ1と同じ構成の部材には、実施例1のリニアモータ1に付した符号に500を加えた符号を付して、その説明を省略する。本例のリニアモータ501の複数の磁極片531の断面は矩形状を有している。即ち、
図18に示すように、複数の磁極片531の巻線部523A〜523Cと対向する面の軸線方向の長さL11は、複数の磁極片531の永久磁石519と対向する面の軸線方向の長さL12が等しくなっている。磁極片531は、一体成型品でもよいし、複数の磁性鋼板を軸線方向に積層して形成してもよいし、帯状の磁性鋼板を巻回して形成してもよい。
【0053】
本例のリニアモータ501によれば、磁極片531の形状が単純であり、製造コストを安価にできる。
【0054】
(実施例7)
図19は、リニアモータに適用した本発明の実施例7の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。本例のリニアモータ601は、永久磁石列613の構造を除いて、実施例1のリニアモータ1と同じ構成を有している。そのため、実施例1のリニアモータ1と同じ構成の部材には、実施例1のリニアモータ1に付した符号に600を加えた符号を付して、その説明を省略する。本例のリニアモータ601の永久磁石列613は、複数の永久磁石619が直接接合された構造を有している。即ち、本例のリニアモータ601の永久磁石列613は、磁性ヨークを有していない。
【0055】
本例のリニアモータ601によれば、永久磁石619の量を増やすことができ、可動子607の推力をさらに高めることができる。
【0056】
(実施例8)
図20は、リニアモータに適用した本発明の実施例8の電気機械を部分断面の状態を示す斜視図の一部分である。本例のリニアモータ701は、永久磁石列713の構造を除いて、実施例1のリニアモータ1と同じ構成を有している。そのため、実施例1のリニアモータ1と同じ構成の部材には、実施例1のリニアモータ1に付した符号に700を加えた符号を付して、その説明を省略する。本例のリニアモータ701の永久磁石列713の複数の永久磁石719は、該永久磁石719の外周面の一端から他端に湾曲した内部磁路(矢印A11)が形成されるように着磁されている。また、本例のリニアモータ701の永久磁石列713は、複数の永久磁石719が直接接合された構造を有している。即ち、本例のリニアモータ701の永久磁石列713も磁性ヨークを有していない。
【0057】
本例のリニアモータ701によれば、内部磁路が長くなり、永久磁石719の磁力が低下するのを防ぐことができる。
【0058】
(実施例9)
図21は、リニアモータに適用した本発明の実施例9の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。本例のリニアモータ801は、永久磁石列813の構造を除いて、実施例1のリニアモータ1と同じ構成を有している。そのため、実施例1のリニアモータ1と同じ構成の部材には、実施例1のリニアモータ1に付した符号に800を加えた符号を付して、その説明を省略する。本例のリニアモータ801の永久磁石列813に含まれる複数の永久磁石819は、軸線方向に延びる中空部819aを有する筒形状を有している。また、磁性ヨーク821は、永久磁石819の中空部819aに連通する貫通孔821aを有している。そのため、永久磁石列813には、軸線方向に延びる通路813aが形成される。
【0059】
本例のリニアモータ801によれば、可動子807の推力を大きく低下させることなく、永久磁石819及び磁性ヨーク821の量を下げることができる。また、永久磁石819の中空部819aと磁性ヨーク821の貫通孔821aとにより、永久磁石列813の内部に通路813aを形成できる。そのため、リニアモータ801をチップマウンタに使用する場合には、この通路813aをチップをエア吸引するためのエア配管として利用できる。
【0060】
(実施例10)
図22は、複合リニアモータに適用した本発明の実施例10の複合電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分であり、
図23は、
図22のXXIII-XXIII線断面図である。本例の複合リニアモータは、3つのリニアモータ901が3台並設されて構成されている。1つのリニアモータ901は、バックヨーク905を除いて実施例1のリニアモータ1と同じ構成を有している。そのため、実施例1のリニアモータ1と同じ構成の部材には、実施例1のリニアモータに付した符号に900を加えた符号を付して、その説明を省略する。本例の複合リニアモータでは、3台のリニアモータ901のそれぞれのバックヨークが1つの外装(バックヨーク905)を構成するように一体化されている。バックヨーク905は、3台のリニアモータ901のリニアモータ本体903をそれぞれ囲む筒形状部分905cと、隣接する2つの筒形状部分905cを結合する結合部分905dとからなる。そして、結合部分905dの厚み寸法L21は、筒形状部分905cの厚み寸法L22の2倍の寸法より小さくなっている。
【0061】
本例の複合リニアモータによれば、一体化された1つのバックヨーク905により3台のリニアモータ901を束ねることができる。
【0062】
(実施例11)
図24は、複合リニアモータに適用した本発明の実施例11の複合電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分であり、
図25は、
図24のXXV-XXV線断面図である。本例の複合リニアモータは、3つのリニアモータ1001が3台並設されて構成されている。1つのリニアモータ1001は、バックヨーク1005を除いて実施例1のリニアモータ1と同じ構成を有している。そのため、実施例1のリニアモータ1と同じ構成の部材には、実施例1のリニアモータ1に付した符号に1000を加えた符号を付して、その説明を省略する。本例の複合リニアモータでは、3台のリニアモータ1001のそれぞれのバックヨーク1005は、隣合う2台のリニアモータ1001の間にバックヨークが存在しない形状を有している。具体的には、バックヨーク1005は、リニアモータ本体1003を間に挟むように配置された2つのバックヨーク分割体1006から構成されている。そして、2つのバックヨーク分割体1006の間には、2つの隙間Gがあり、この隙間Gが隣合う2台のリニアモータ1001の間に位置している。2つのバックヨーク分割体1006とリニアモータ本体1003とが組合わされたリニアモータ1001の断面の輪郭形状は矩形になっている。そして、隣合う2台のリニアモータ1001は、両者の間に間隙ができるようにわずかに離れて配置されている。
【0063】
本例の複合リニアモータによれば、3台のリニアモータ1001が並んだ方向の長さ寸法を小さくできる。
【0064】
(実施例12)
図26は、複合リニアモータに適用した本発明の実施例12の複合電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分を示す図であり、
図27は、
図26のXXVII-XXVII線断面図である。本例の複合リニアモータは、3つのリニアモータ1101が3台並設されて構成されている。1つのリニアモータ1101は、固定子1109及びバックヨーク1105の形状が実施例1のリニアモータと異なり、その他は実施例1のリニアモータ1と同じ構成を有している。そのため、実施例1のリニアモータ1と同じ構成の部材には、実施例1のリニアモータに付した符号に1100を加えた符号を付して、その説明を省略する。リニアモータ1101の固定子1109には、3つのリニアモータ1101が3台並ぶ方向に平坦面部1109aが形成されている。バックヨーク1105にもリニアモータ1101が3台並ぶ方向に平坦面部1105aが形成されている。これにより、隣合う2台のリニアモータ1101は、バックヨーク1105の外面が面接触する。
【0065】
本例の複合リニアモータでも、3台のリニアモータ1101が並んだ方向の長さ寸法を小さくできる。
【0066】
(実施例13)
図28は、リニア振動アクチュエータに適用した本発明の実施例13の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。
図28に示すように、本例のリニア振動アクチュエータ1201は、リニアモータ本体1203と該リニアモータ本体1203に取り付けられたバックヨーク1205とを有している。リニアモータ本体1203は、可動子1207と固定子1209とを有している。本例のリニア振動アクチュエータ1201は、巻線部1223に単相の励磁電流が流されており、1つの巻線部1223の内部空間に6個の磁極片1231が含まれている。その他は、
図1に示す実施例1のリニアモータ1と基本的に同じ構成を有している。そのため、実施例1のリニアモータ1と同じ構成の部材には、実施例1のリニアモータ1に付した符号に1200を加えた符号を付して、その説明を省略する。本例のリニア振動アクチュエータ1201は、交流電源D1から交流電流が流れると、固定子1209に対して可動子1207が往復振動する。複数の永久磁石1219のピッチτp、複数の磁極片1231のピッチτsは、τs=2τp±x,(0≦x≦2τp/(n・m))となる式に従えばよい。なお、mは、1つの巻線部1223の内部空間に含まれる磁極片1231の数(本例では6)であり、nは、巻線部1223の相数(本例では1)である。本例のリニア振動アクチュエータ1201では、m=6、n=1となる。そこで、これらを代入すると、本例のリニア振動アクチュエータ1201では、τs=2τp±x,(0≦x≦2τp/6)となる。
【0067】
次に本例のリニア振動アクチュエータ1201の可動子1207が固定子1209に対して往復振動する原理を説明する。
図29(A)〜(F)は、可動1207と固定子1209の位置関係を示す図である。なお、
図29(A)〜(F)では、理解を容易にするため、断面のハッチングの表示は省略している。
図29(A)〜(C)に示すように、巻線部1223が励磁されると、複数の永久磁石1219及び複数の磁極片1231を通って磁束(矢印A21)が流れる。これにより、磁束と永久磁石1219との引き合いにより、可動子1207が図面向かって右側に移動する。そして、巻線部1223に流れる電流方向が反転すると、
図29(D)〜(F)に示すように、複数の永久磁石1219及び複数の磁極片1231を通って前述の矢印A21と反対方向に磁束(矢印A22)が流れる。これにより、磁束と永久磁石1219との引き合いにより、可動子1207が図面向かって左側に移動する。このような一連の動作により、可動子1207は固定子1209に対して往復振動を行う。
【0068】
(実施例14)
図30は、リニア振動アクチュエータに適用した本発明の実施例14の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。本例のリニア振動アクチュエータ1301は、固定子1309の構造を除いて
図1に示す実施例1のリニアモータ1と基本的に同じ構成を有している。そのため、実施例1のリニアモータ1と同じ構成の部材には、実施例1のリニアモータに付した符号に1300を加えた符号を付して、その説明を省略する。本例のリニア振動アクチュエータ1301の固定子1309は、2個の巻線部1323A,1323Bを有している。巻線部1323A,1323Bには、電気角で180°(360/n)°の位相差を持った励磁電流が流されている。即ち、互いに逆位相の交流電流が流されている。この結果、巻線部1323A,1323Bには、A相、−A相の順で電流が流れることとなる。また、巻線部1323A,1323Bの1つの巻線部の内部空間には、3個の磁極片1331が含まれている。本例のリニア振動アクチュエータ1301は、交流電源D2から交流電流が流れると、巻線部1323A,1323Bが交番磁束を発生して、永久磁石1319と磁極片1331との間に可動子1307の往復直線運動を繰り返すための推力を発生する。これにより、固定子1309に対して可動子1307が往復直線運動を繰り返して、振動を発生させる。複数の永久磁石1319のピッチτp、2個の巻線部1323A,1323Bの1つの巻線部の内部空間に含まれる複数の磁極片1331のピッチτsとの関係は、τs=2τp±x,(0≦x≦2τp/(n・m))となる式に従えばよい。なお、mは、巻線部1323A,1323Bの1つの巻線部の内部空間に含まれる磁極片1331の数(本例では3)であり、nは、磁極片1331の一定ピッチエリアの巻線部の相数(本例では1)である。本例のリニア振動アクチュエータ1301では、m=3、n=1であり、τs=2τp±x(0≦x≦2τp/3)である。2個の巻線部1323A,1323Bの一方の巻線部1323Aに対して配置される3個の磁極片1331は、他方の巻線部1323Bに対して配置される3個の磁極片1331と電気角で180°ずれるように配置されている。複数の磁極片1331の相間ピッチτspと複数の永久磁石1319のピッチτpとの関係は、τsp=(2・Na−1)・τpとなる。なお,Naは、自然数である。
【0069】
(実施例15)
図31は、リニア振動発電機に適用した本発明の実施例15の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。本例のリニア振動発電機1401は、
図28に示す実施例13のリニア振動アクチュエータ1201と基本的に同じ構成を有している。そのため、実施例13のリニアモータ振動アクチュエータ1201と同じ構成の部材には、実施例13のリニアモータ振動アクチュエータ1201に付した符号に100を加えた符号(実施例1のリニアモータに付した符号に1400を加えた符号)を付して、その説明を省略する。本例のリニア振動発電機1401は、外力によって可動子1407が往復直線運動をすると、永久磁石列1413の複数の永久磁石1419から出る磁束が磁路を形成して、電気機器E1に電力を供給する。
【0070】
次に本例のリニア振動発電機1401が磁束を発生する原理を説明する。
図32(A)は、初期位置における可動子1407と固定子1409との位置関係を示す図であり、
図32(B)は、可動子1407を一方向に移動させた状態の可動子1407と固定子1409との位置関係を示す図であり、
図32(C)は、可動子1407を前述の一方向とは逆の他方向に移動させた状態の可動子1407と固定子1409との位置関係を示す図である。なお、
図32(A)〜(B)においては、巻線部1423の内部空間に含まれる磁極片1431の数を3個として説明する。また、
図32(A)〜(B)では、理解を容易にするため、断面のハッチングの表示は省略している。
図32(A)に示す初期位置では、複数の永久磁石1419から出る磁束は、近接する磁極片1431を通って循環している(矢印A31)。
図32(B)に示すように、
図32(A)に示す初期位置から可動子1407を外力で一方向に移動させると、複数の永久磁石1419から出る磁束が永久磁石1419と磁極片1431との間を通って他方向(可動子1407が移動する一方向とは逆方向)に流れ(矢印A32)、巻線部1423の周囲に磁束を形成する(矢印A33)。これにより、巻線部1423に交流電圧が誘起される。次に、
図32(C)に示すように、
図32(B)に示す位置から可動子1407を外力で他方向に移動させると、複数の永久磁石1419から出る磁束が永久磁石1419と磁極片1431との間を通って一方向(可動子1407が移動する他方向とは逆方向)に流れ(矢印A34)、巻線部1423の周囲に
図32(B)に示す方向と逆方向の磁束を形成する(矢印A35)。これにより、巻線部1423に交流電圧が誘起されて
図32(B)に示す方向と逆方向の電流が流れる。
【0071】
(実施例16)
図33は、リニア振動発電機に適用した本発明の実施例16の電気機械を部分断面の状態で示す斜視図の一部分である。本例のリニア振動発電機1501は、
図30に示す実施例14のリニア振動アクチュエータ1301と基本的に同じ構成を有している。そのため、実施例14のリニアモータ振動アクチュエータ1301と同じ構成の部材には、実施例14のリニアモータ振動アクチュエータ1301に付した符号に100を加えた符号(実施例1のリニアモータに付した符号に1500を加えた符号)を付して、その説明を省略する。本例のリニア振動発電機1501は、外力によって可動子1507が往復直線運動をすると、永久磁石列1513の複数の永久磁石1519から出る磁束が巻線部を通って、巻線部に誘起電圧が誘起され、電気機器E2に電力を供給する。
【0072】
なお、上記の実施例15及び実施例16では、単相及び2相のリニア振動発電機の例を示したが、3相以上のリニア振動発電機にも本発明を適用できるのは勿論である。
【0073】
また、上記の実施例1〜実施例16の電気機械では、バックヨークを設けたが、バックヨークは設けなくても構わない。
【0074】
また、上記の実施例1〜実施例9及び実施例13〜実施例16の電気機械は、軸線方向に直交する方向に切断した断面の輪郭が円形であるが、これらの断面は、楕円形、矩形等の種々の形状を採用できる。