(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、空気中に含まれる塵埃のフィルタへの付着量は、各運転モードで異なっている。すなわち、衣類を乾燥させる乾燥運転モードでは、浴室内に布製品が置かれた状態で浴室の空気が循環及び換気される。そのため、他の運転モードに比べて、乾燥運転モードでは、フィルタへの塵埃の付着量が多くなる。
【0006】
また、換気運転モードでは、換気ファンのみが駆動されるのに対し、乾燥運転モードでは浴室内に温風を供給しながら湿気を除去するため、循環ファン及び換気ファンの両方が駆動される。さらに、暖房運転モード、乾燥運転モードではいずれも循環ファンが駆動されるが、暖房運転モードでは浴室内の空気を循環するだけであるのに対し、上記のように乾燥運転モードでは、浴室の空気を循環及び換気する必要がある。またさらに、各運転モードの中でも循環ファンあるいは換気ファンの送風量を変化させる場合もある。従って、各運転モードで単位時間当たりにフィルタを通過する空気の量が相違しており、かかる点からもフィルタへの塵埃の付着量が異なっている。
【0007】
従って、フィルタの清掃の必要性を報知するにあたって、各運転モードでフィルタが目詰まりするまでの総運転時間は異なっているのが実情である。それゆえ、上記特許文献1のように、単に総運転時間のみからフィルタ清掃の必要性を判断した場合、フィルタの目詰まりが生じていないにも関わらず、フィルタ清掃の必要性が報知されたり、逆に、フィルタ清掃が必要であるにも関わらず、それが報知されないという問題がある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、乾燥運転モード、暖房運転モード、換気運転モード等の異なる複数の運転モードを有する浴室暖房乾燥機において、空気の取り込み口に装着されているフィルタの清掃の必要性をより正確に報知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、乾燥運転モード、暖房運転モード、換気運転モード等の異なる複数の運転モードを有する浴室暖房乾燥機であって、
浴室の空気の取り入れ口に装着されるフィルタと、
前記フィルタを介して浴室内の空気を循環する循環ファンと、
前記フィルタを介して浴室内の空気を屋外に排気する換気ファンと、
前記フィルタの目詰りによるフィルタ清掃の必要性を判定する制御ユニットと、
前記フィルタ清掃の必要性を報知する報知器と、を備え、
前記制御ユニットは、
前記各運転モードの運転時間に、前記各運転モード固有のフィルタ目詰り係数を乗じた運転モード別運転時間を積算して実質総運転時間を求め、
前記複数の運転モードのうち、少なくとも前記循環ファンを駆動する運転モードの実行中に、前記実質総運転時間が、所定のフィルタ清掃要求時間を超えており、且つ前記浴室内の相対湿度が、所定の判定可能湿度未満である場合に、
前記フィルタに目詰りがない初期状態において、前記各運転モードで設定される個別回転数で前記循環ファンを駆動したときの運転初期電流値CSjと、前記個別回転数と同回転数で前記循環ファンを駆動したときの運転時電流値Cjとの電流値差(CSj−Cj)が、所定の目詰り閾値αjより高くなると、前記報知器から前記フィルタ清掃の必要性を報知する浴室暖房乾燥機である。
【0010】
上記浴室暖房乾燥機によれば、各運転モードの運転時間に、各運転モード固有のフィルタ目詰まり係数を乗じた運転モード別運転時間を算出し、これを積算して、実質総運転時間を求めるから、各運転モードにおけるフィルタへの塵埃の付着量の相違を考慮して、フィルタ清掃の必要性を報知することができる。
【0012】
また、運転モードに応じて各運転時間を重みつけして求められる実質総運転時間がフィルタ清掃要求時間を超えている場合であっても、浴室暖房乾燥機が設置される浴室の環境や乾燥させる衣類の量などの要因によっても、フィルタへの塵埃の付着量が異なってくる。
【0013】
一方、少なくとも循環ファンを駆動する各運転モードにおいて、一定の個別回転数で循環ファンが駆動されるように設定されている場合、フィルタの目詰まりが顕著になると、通気抵抗が高くなり、浴室内から吸い込まれる空気の量が低下するから、循環ファンを駆動するためのファンモータの負荷が小さくなり、運転時電流値C
jが低下する。従って、フィルタの目詰まりがない初期状態における運転初期電流値C
Sjと、運転時電流値C
jとの電流値差(C
Sj−C
j)が、所定の目詰り閾値α
jより高ければ、循環ファンが駆動されているその運転モードにおいて、フィルタ清掃の必要性を判断できる。
【0014】
さらに、循環ファンを駆動する暖房運転モードは、入浴前に浴室内を暖めるため、浴槽にお湯張りをしながら実行されたり、後の入浴者のために浴槽にお湯が張られた状態で実行されることが多い。また、乾燥運転モードで、多量の衣類を乾燥させたり、高温の温風を使用して、短時間で衣類を乾燥させる場合、運転開始初期において、衣類から多量の水分が蒸発する。従って、これらの運転環境では、空気中に含まれる水分が多くなるから、各運転モードが実行されると、フィルタに水が付着しやすい。その結果、通気抵抗が高くなり、循環ファンの運転時電流値が低下して、フィルタの目詰まりを正確に判定できない虞がある。しかしながら、上記循環ファンの運転初期及び運転時電流値の比較は、実質総運転時間がフィルタ清掃要求時間を超えていても、浴室内の相対湿度がフィルタに水分が付着し難い所定の判定可能湿度未満である場合に行われるから、水の付着による運転時電流値への影響が低減され、より正確にフィルタ清掃の必要性を判断できる。
【0015】
また、本発明は、乾燥運転モード、暖房運転モード、換気運転モード等の異なる複数の運転モードを有する浴室暖房乾燥機であって、
浴室の空気の取り入れ口に装着されるフィルタと、
前記フィルタを介して浴室内の空気を循環する循環ファンと、
前記フィルタを介して浴室内の空気を屋外に排気する換気ファンと、
前記フィルタの目詰りによるフィルタ清掃の必要性を判定する制御ユニットと、
前記フィルタ清掃の必要性を報知する報知器と、を備え、
前記制御ユニットは、
前記各運転モードの運転時間に、前記各運転モード固有のフィルタ目詰り係数を乗じた運転モード別運転時間を積算して実質総運転時間を求め、
前記換気ファンのみを駆動する換気運転モードの実行中に、前記実質総運転時間が、
所定のフィルタ清掃要求時間を超えており、且つ前記浴室内の相対湿度が、所定の判定可能湿度未満である場合、
前記フィルタに目詰りがない初期状態において、前記換気運転モードで設定される換気用回転数で前記換気ファンを駆動したときの換気運転初期電流値C
Skと、前記換気用回転数と同回転数で前記換気ファンを駆動したときの換気運転時電流値C
kとの電流値差(C
Sk−C
k)が、所定の換気用目詰り閾値α
kより高くなると、前記報知器から前記フィルタ清掃の必要性を報知する
浴室暖房乾燥機である。
【0016】
換気運転モードでは、乾燥運転モードや暖房運転モード等と異なり、循環ファンが駆動されず、換気ファンのみが駆動される。そのため、上記循環ファンの場合と同様に、フィルタの目詰まりが顕著になると、通気抵抗が高くなり、浴室内から吸い込まれる空気の量が低下するから、換気ファンを駆動するためのファンモータの負荷が小さくなり、換気運転時電流値C
kが低下する。従って、上記浴室暖房乾燥機によれば、フィルタの目詰まりがない初期状態における換気運転初期電流値C
Skと、換気運転時電流値C
kとの電流値差(C
Sk−C
k)が、所定の換気用目詰り閾値α
kより高ければ、換気ファンが駆動されている換気運転モードにおいて、フィルタ清掃の必要性を判断できる。
【0017】
さらに、換気運転モードは、入浴後に早期に浴室内の湿気を排気するために実行される場合が多い。このような入浴後に実行される換気運転モードの運転開始初期では、空気中に含まれる水分が多くなるから、フィルタに水が付着しやすい。その結果、通気抵抗が高くなり、換気ファンの換気運転時電流値が低下して、フィルタの目詰まりを正確に判定できない虞がある。しかしながら、上記換気ファンの運転初期及び運転時電流値の比較は、実質総運転時間がフィルタ清掃要求時間を超えていても、浴室内の相対湿度がフィルタに水分が付着し難い所定の判定可能湿度未満である場合に行われるから、水の付着による換気運転時電流値への影響が低減され、より正確にフィルタ清掃の必要性を判断できる。
【0018】
また、本発明は、乾燥運転モード、暖房運転モード、換気運転モード等の異なる複数の運転モードを有する浴室暖房乾燥機であって、
浴室の空気の取り入れ口に装着されるフィルタと、
前記フィルタを介して浴室内の空気を循環する循環ファンと、
前記フィルタを介して浴室内の空気を屋外に排気する換気ファンと、
前記フィルタの目詰りによるフィルタ清掃の必要性を判定する制御ユニットと、
前記フィルタ清掃の必要性を報知する報知器と、を備え、
前記制御ユニットは、
前記各運転モードの運転時間に、前記各運転モード固有のフィルタ目詰り係数を乗じた運転モード別運転時間を積算して実質総運転時間を求め、
前記実質総運転時間が、
所定のフィルタ清掃要求時間以下で、且つ前記乾燥運転モードが、所定の判定可能時間以上、継続して実行されている場合、
前記フィルタに目詰りがない初期状態において、前記乾燥運転モードで設定される乾燥用回転数で前記循環ファンを駆動したときの乾燥運転初期電流値C
Sdと、前記乾燥用回転数と同回転数で前記循環ファンを駆動したときの乾燥運転時電流値C
dとの電流値差(C
Sd−C
d)が、所定の乾燥用目詰り閾値α
dより高くなると、前記報知器から前記フィルタ清掃の必要性を報知する
浴室暖房乾燥機である。
【0019】
乾燥運転モードは、使用者が衣類の乾燥を目的とする場合に実行されるから、換気運転モードなどの他の運転モードに比べて、フィルタに目詰まりが生じやすい。従って、実質総運転時間が、フィルタ清掃要求時間を超えていない場合でも、乾燥運転モードが実行されるごとに、フィルタの目詰まりを判定することが望ましい。
【0020】
一方、乾燥運転モードが実行される場合、循環ファン及び換気ファンが駆動されて、浴室内に温風が供給されながら、浴室内の空気が屋外に排気される。従って、乾燥運転モードが所定の判定可能時間以上、継続して実行されていれば、浴室内の湿度が十分に低下しているから、浴室内の湿度を判定することなく、直ちに循環ファンの乾燥運転初期電流値C
Sdと、乾燥運転時電流値C
dとの電流値差(C
Sd−C
d)を比較することにより、フィルタの目詰まりを判定できる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、乾燥運転モード、暖房運転モード、換気運転モード等の異なる複数の運転モードが実行される浴室暖房乾燥機において、空気の取り込み口に装着されているフィルタの清掃の必要性をより正確に報知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本実施の形態の浴室暖房乾燥機を具体的に説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係る浴室暖房乾燥機の一例を示す概略断面図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る浴室暖房乾燥機1は、浴室Aの天井に設置される暖房乾燥機本体2と、屋外に配置される熱源機3とを備える、天井埋め込み式のものである。
【0026】
暖房乾燥機本体2は、本体ケース20を有し、この本体ケース20を図示していないが浴室Aの天井に設置させており、本体ケース20内には、浴室Aの空気を循環する循環ファン41と、この循環ファン41により形成される空気流路を流れる空気を温水あるいは水を利用して加熱あるいは冷却する熱交換器42と、浴室Aの空気を外部に排気する換気ファン43とを備える。
【0027】
本体ケース20は、循環ファン41及び熱交換器42が配置される第1室21と、換気ファン43が配置される第2室22とに区画されており、第2室22は連通路23を介して第1室21と連通されている。連通路23内にはステッピングモータ24に接続されたダンパ25が設けられている。このダンパ25は、ステッピングモータ24の駆動により連通路23を開閉する。
【0028】
本体ケース20の第1室21における循環ファン41の下方には、
図1に示すように、浴室Aに連通する取り込み口26と吹き出し口27とが開口している。第1室21内の取り込み口26の上方には、浴室Aの空気が第1室21内に取り込まれる際に、空気中の塵埃を除去するためのメッシュ状のフィルタFが着脱可能に配設されている。また、第1室21内には、循環ファン41の底部と側部を囲むようにL型の熱交換器42が配置されており、この下方の熱交換器42に隣接して、浴室Aの湿度を検出する湿度センサ51と浴室Aの温度を検出する室温センサ52とが設けられている。これら湿度センサ51及び室温センサ52でそれぞれ検出された室温及び湿度の検出信号は、後述する制御ユニットCに出力される。
【0029】
循環ファン41はラインフローファンからなり、その回転駆動によって、浴室A内の空気が取り込み口26からフィルタFを介して本体ケース20内に吸い込まれ、吹き出し口27から浴室Aに吹き出される。
【0030】
熱交換器42は、両端部で蛇行状に屈曲された吸熱管42aと、吸熱管42aが挿通される多数のフィン42bとからなり、
図1に示すように、2枚のフィン42bの平面がL字状に配置されるようにL型に構成されている。
【0031】
さらに、熱交換器42の吸熱管42aには、屋外等に設置した熱源機3と連通する循環路である循環配管31が接続されている。熱源機3によって加熱された温水が循環配管31を介して熱交換器42に循環供給される。
【0032】
循環配管31における熱交換器42への流入部の近くには、循環配管31を流れる温水の温度を検出する水温センサ53と熱動弁34とが設けられている。水温センサ53で検出された水温の検出信号は、制御ユニットCに出力され、熱動弁34は、制御ユニットCからの信号によりその開度が調整される。
【0033】
本体ケース20の第2室22には、
図1に示すように、排気口28が形成されており、この排気口28には、シロッコファンからなる換気ファン43が接続されている。従って、連通路23のダンパ25をステッピングモータ24の駆動で回転させて連通路23が開放した状態で、換気ファン43を回転駆動させることにより、取り込み口26からフィルタFを介して浴室A内の空気が吸い込まれ、排気口28から屋外へ排気される。
【0034】
なお、換気ファン43が停止しているときは、ダンパ25により連通路23が閉塞され、これにより、本体ケース20内で温められた空気の一部が排気口28から屋外へ排気されるのが防止される。
【0035】
本実施の形態の浴室暖房乾燥機1は、運転モードとして、乾燥運転モード、暖房運転モード、換気運転モードの他、浴室A内に涼風を供給して、浴室A内の空気を換気する涼風運転モードを有しているとともに、各運転モードで送風量が変更可能に構成されている。そして、浴室Aの壁面や台所等に設けられたリモコン9(報知器)は、各運転モードを設定するための乾燥運転スイッチ91、涼風運転スイッチ92、暖房運転スイッチ93、換気運転スイッチ94や、温度や運転時間等の運転条件を設定するための設定スイッチ95,96、及びフィルタ清掃の必要性を報知するためのフィルタランプ97を備えており、使用者が各スイッチを操作すると、制御ユニットCに運転指令が出され、設定された運転条件で各運転モードが実行される。
【0036】
制御ユニットCは、図示しないが、熱源機3の運転を制御する熱源機制御部と、湿度センサ51により浴室A内の湿度を判定する湿度判定部と、室温センサ52により浴室A内の室温を判定する室温判定部と、水温センサ53により熱源機3から熱交換器42に供給される水温を判定する水温判定部と、循環ファン41の回転駆動を制御する循環ファン制御部と、換気ファン43の回転駆動を制御する換気ファン制御部と、リモコン9で設定された乾燥時間や暖房時間等の運転時間を計測するタイマ部と、各運転モードでの運転時間と各運転モード固有のフィルタ目詰まり係数とを乗じて、運転モード別運転時間を算出する運転時間算出部と、運転モード別運転時間を積算して実質総運転時間を算出する積算部と、各運転モードを実行する運転プログラムやフィルタ清掃の必要性を判定する判定プログラムが記憶されたプログラム記憶部と、フィルタ目詰まり係数、及びフィルタFに目詰まりがない初期状態において、所定の個別回転数で各運転モードを実行したときに、循環ファン41あるいは換気ファン43を駆動するのに必要な運転初期電流値のデータテーブルや、積算した実質総運転時間を記憶するメモリと、実質総運転時間や各運転モードが実行されているときの循環ファン41あるいは換気ファン43の運転時電流値に基づきフィルタ清掃の必要性を判定する清掃判定部とを備えており、浴室Aの内外に設けられたリモコン9に対して図示しない電気配線を通じて繋がっている。
【0037】
なお、各運転モードにおける循環ファン41及び換気ファン43の各運転初期電流値は、工場出荷時に予めメモリに登録しておいてもよいし、浴室暖房乾燥機1を浴室Aに設置する際に、所定の個別回転数で循環ファン41及び換気ファン43を駆動する試運転を行い、試運転時の各運転初期電流値を計測してメモリに登録してもよい。また、各運転モード固有のフィルタ目詰まり係数は、予備試験で各運転モードを実行したときに、フィルタFの目詰まりにより循環ファン41あるいは換気ファン43の運転時電流値が運転初期電流値より所定の電流値以上、低下する時間を予め比較評価することにより設定することができる。参考のため、表1に本実施の形態の浴室暖房乾燥機1で用いられるフィルタ目詰まり係数、及び循環ファン41及び換気ファン43の設定送風量を示す。
【0039】
上記表1に示すように、本実施の形態におけるフィルタ目詰まり係数K
iは、乾燥運転モード>涼風運転モード≧換気運転モード>暖房運転モードの順に、重みつけされて設定される。すなわち、既述したように、乾燥運転モードで最もフィルタ目詰まり係数K
iが高く設定されているのは、浴室A内に衣類が配置された状態で、循環ファン41及び換気ファン43の両方が駆動されるためである。また、涼風運転モードでは、乾燥運転モードと同様に、循環ファン41及び換気ファン43の両方が駆動されるため、フィルタ目詰まり係数K
iが高く設定される。さらに、換気運転モードでは、換気ファン43のみが駆動されるが、涼風運転モードよりも大きな送風量が設定されている場合、浴室A外から空気が浴室A内に供給されるため、涼風運転モードと同程度のフィルタ目詰まり係数K
iが設定され、送風量の低下に伴って、低いフィルタ目詰まり係数K
iが設定される。そして、暖房運転モードでは、循環ファン41のみが駆動され、浴室A外から空気が供給され難いため、最も低いフィルタ目詰まり係数K
iが設定される。なお、フィルタFの面積、循環ファン41や換気ファン43の送風量や浴室Aの大きさ等によって、異なるフィルタ目詰まり係数K
iが使用される。
【0040】
次に、本実施の形態の浴室暖房乾燥機1で各運転モードが実行された場合の各機器の運転動作について具体的に説明する。
【0041】
[乾燥運転モード]
リモコン9の乾燥運転スイッチ91によって乾燥運転開始の指示がなされると、外部の熱源機3へ熱源作動信号が送信されるとともに、熱交換器42の上流側に設けられた熱動弁34が開弁され、熱源機3から熱交換器42へ温水の循環供給が開始される。
【0042】
そして、ダンパ25を回転させて連通路23が開放状態に保持されるとともに、循環ファン41及び換気ファン43が、所定の設定送風量が得られるように各乾燥用回転数で駆動される。すると、浴室A内の空気が取り込み口26を通ってフィルタFを介して本体ケース20内へ導かれ、一部は連通路23を通って、屋外へ排気され、他の一部は熱交換器42の配設部を通過した後、再び浴室A内へ送り出される。
【0043】
このようにして、タイマ部の計測時間が所定の設定時間に達するまでの間、浴室A内の空気を屋外へ排気するとともに、熱交換器42で加熱しつつ、温風として浴室A内へ送出する。
【0044】
タイマ部の計測時間が設定時間に達すれば、外部の熱源機3へ停止信号を送信するとともに熱動弁34を閉じる。また、熱交換器42への温水の循環供給を停止するとともに、循環ファン41及び換気ファン43の回転を停止させ、乾燥運転を終了する。
【0045】
[涼風運転モード]
リモコン9の涼風運転スイッチ92によって涼風運転開始の指示がなされると、熱源機3を作動せずに、熱交換器42の上流側に設けられた熱動弁34が開弁され、熱交換器42へ水の循環供給が開始される。
【0046】
そして、ダンパ25を回転させて連通路23が開放状態に保持されるとともに、循環ファン41及び換気ファン43が、所定の設定送風量が得られるよう各涼風用回転数で駆動される。すると、浴室A内の空気が取り込み口26を通って本体ケース20内へ導かれ、一部は連通路23を通って、屋外へ排気され、他の一部は熱交換器42の配設部を通過する。このとき、熱交換器42には水が循環するから、通過する空気が冷却され、低温の空気が再び浴室A内へ送り出される。
【0047】
このようにして、タイマ部の計測時間が所定の設定時間に達するまでの間、浴室A内の空気を屋外へ排気するとともに、熱交換器42で冷却しつつ、涼風として浴室A内へ送出する。
【0048】
タイマ部の計測時間が設定時間に達すれば、熱動弁34を閉じ、熱交換器42への水の循環供給を停止するとともに、循環ファン41及び換気ファン43の回転を停止させ、涼風運転を終了する。
【0049】
[暖房運転モード]
リモコン9の暖房運転スイッチ93によって暖房運転開始の指示がなされると、ダンパ25を回転させて連通路23が閉塞状態に保持される。また、外部の熱源機3へ熱源作動信号が送信されるとともに、熱交換器42の上流側に設けられた熱動弁34が開弁され、熱源機3から熱交換器42へ温水の循環供給が開始される。
【0050】
そして、熱交換器42への入水温が予め設定された基準入水温(例えば、40℃)に達するのを待って、循環ファン41が、所定の設定送風量が得られるよう暖房用回転数で駆動される。すると、浴室A内の空気が取り込み口26を通ってフィルタFを介して本体ケース20内に導かれ、熱交換器42の配設部を通過した後、再び浴室A内へ送り出される。
【0051】
このようにして、タイマ部の計測時間が所定の設定時間に達するか、あるいは、室温センサ52の検出温度が設定温度より高くなるまでの間、浴室A内の空気を熱交換器42で加熱しつつ、温風として送出する。
【0052】
そして、室温センサ52で検出される検出温度が設定温度となるように、熱動弁34の開度により熱交換器42への温水の供給が制御される。タイマ部の計測時間が所定の設定時間に達すれば、外部の熱源機3へ停止信号を送信するとともに熱動弁34を閉じる。また、熱交換器42への温水の循環供給を停止するとともに、循環ファン41の回転を停止させ、暖房運転を終了する。
【0053】
[換気運転モード]
リモコン9の換気運転スイッチ94によって換気運転開始の指示がなされると、ダンパ25を回転させて連通路23が開放状態に保持されるとともに、換気ファン43が、所定の設定送風量が得られるよう換気用回転数で駆動される。すると、循環ファン41は駆動されていないから、浴室A内の空気が取り込み口26を通ってフィルタFを介して本体ケース20内へ導かれ、さらに連通路23を通って、屋外へ排気される。
【0054】
そして、タイマ部の計測時間が所定の設定時間に達すれば、換気ファン43の回転を停止させ、換気運転を終了する。
【0055】
次に、上記浴室暖房乾燥機1で、フィルタ清掃の必要性が生じたことを判定する制御動作について、
図2を参照しながら具体的に説明する。なお、本実施の形態の浴室暖房乾燥機1では、フィルタ清掃判定プログラムは、各運転モードの実行及び終了と並行して起動及び終了するように設定されてある。
【0056】
各運転モードが実行されると、循環ファン41及び換気ファン43を駆動するための各運転時電流値及び湿度センサ51から出力される相対湿度の計測が開始される(ステップST1)。
【0057】
次いで、メモリに登録されているデータテーブルから、実行されている運転モードのフィルタ目詰まり係数K
iが決定され(ステップST2)、所定の間隔(例えば、1分ごと)で運転時間T
iにフィルタ目詰まり係数K
iを乗じて、所定時間ごとの運転モード別運転時間(T
i×K
i)を算出する(ステップST3)。そして、メモリに登録されている過去の各運転モード別運転時間を積算した実質総運転時間(Σ(T
i×K
i))と、現在の運転モード別運転時間(T
i×K
i)とを積算し、メモリの実質総運転時間(Σ(T
i×K
i))を更新していく(ステップST4)。
【0058】
制御ユニットCは、各運転モードが実行されている間、メモリに記憶された現在の実質総運転時間が、所定のフィルタ清掃要求時間(例えば、1,000時間)を超えているかどうかを判定する(ステップST5)。これにより、各運転モードにおけるフィルタFへの塵埃の付着量の相違を考慮した運転時間に基づいて、フィルタ清掃の必要性を判断できる。
【0059】
次いで、実質総運転時間が、フィルタ清掃要求時間を超えている場合(ステップST5で、Yes)、さらに湿度センサ51で検出される浴室A内の相対湿度が、所定の判定可能湿度(例えば、80%RH)未満であるかどうかを判定する(ステップST6)。そして、湿度センサ51で検出される浴室A内の相対湿度が、判定可能湿度未満であれば(ステップST6で、Yes)、制御ユニットCは、さらに実行されている運転モードが換気運転モードであるかどうかを判定する(ステップST7)。
【0060】
このとき、実行されている運転モードが、換気運転モードでない場合(ステップST7で、No)、乾燥運転モード、涼風運転モード、あるいは暖房運転モードの少なくとも循環ファン41を駆動する運転モードが実行されているから、制御ユニットCは、循環ファン41の運転初期電流値C
Sjと、実行中の循環ファン41の運転時電流値C
jとの電流値差(C
Sj−C
j)が、所定の目詰り閾値α
j(例えば、乾燥運転の場合、10mA)を超えているかどうかを判定する(ステップST11)。すなわち、循環ファン41を駆動する各運転モードにおいて、一定の個別回転数で循環ファン41が駆動されるように設定されている場合、フィルタFの目詰まりが顕著になると、通気抵抗が高くなり、浴室A内から吸い込まれる空気の量が低下するから、循環ファン41を駆動するためのファンモータの負荷が小さくなり、運転時電流値C
jが低下する。従って、フィルタFの目詰まりがない初期状態における運転初期電流値C
Sjと、運転時電流値C
jとの電流値差(C
Sj−C
j)が、所定の目詰り閾値α
jより高ければ、循環ファン41が駆動されているその運転モードにおいて、フィルタ清掃の必要性を判断できる。
【0061】
電流値差(C
Sj−C
j)が、目詰り閾値α
jより高ければ(ステップST11で、Yes)、制御ユニットCは、リモコン9のフィルタランプ97を点灯させて、使用者にフィルタ清掃の必要性を報知する(ステップST12)。これにより、循環ファン41が駆動されている各運転モードにおいて、フィルタ清掃の必要性をより正確に判断できる。しかも、循環ファン41を駆動する暖房運転モードや乾燥運転モードでは、運転環境によっては、浴室Aの空気中に含まれる水分が多くなる場合があるから、各運転モードが実行されると、フィルタFに水が付着し、その結果、通気抵抗が高くなり、循環ファン41の運転時電流値が低下して、フィルタFの目詰まりを正確に判定できない虞がある。しかしながら、上記循環ファン41の運転初期及び運転時電流値の比較は、実質総運転時間がフィルタ清掃要求時間を超えていても、浴室A内の相対湿度がフィルタFに水分が付着し難い所定の判定可能湿度未満である場合に行われるから、水の付着による運転時電流値への影響が低減され、より一層、正確にフィルタ清掃の必要性を判断できる。
【0062】
一方、実行されている運転モードが、換気運転モードであれば(ステップST7で、Yes)、換気ファン43の換気運転初期電流値C
Skと、実行中の換気ファン43の換気運転時電流値C
kとの電流値差(C
Sk−C
k)が、所定の換気用目詰り閾値α
k(例えば、5mA)を超えているかどうかを判定する(ステップST8)。すなわち、循環ファン41の場合と同様に、フィルタFの目詰まりが顕著になると、通気抵抗が高くなり、浴室A内から吸い込まれる空気の量が低下するから、換気ファン43を駆動するためのファンモータの負荷が小さくなり、換気運転時電流値C
kが低下する。従って、換気運転初期電流値C
Skと、換気運転時電流値C
kとの電流値差(C
Sk−C
k)が、所定の換気用目詰り閾値α
k以上であれば、換気ファン43が駆動されている換気運転モードにおいて、フィルタ清掃の必要性を判断できる。
【0063】
電流値差(C
Sk−C
k)が、換気用目詰り閾値α
kより高ければ(ステップST8で、Yes)、制御ユニットCは、リモコン9のフィルタランプ97を点灯させて、使用者にフィルタ清掃の必要性を報知する(ステップST12)。これにより、換気ファン43が駆動されている換気運転モードにおいて、フィルタ清掃の必要性をより正確に判断できる。しかも、換気運転モードでは、運転環境によっては、浴室Aの空気中に含まれる水分が多くなる場合があるから、換気運転モードが実行されると、フィルタFに水が付着し、その結果、通気抵抗が高くなり、換気ファン43の運転時電流値が低下して、フィルタFの目詰まりを正確に判定できない虞がある。しかしながら、上記換気ファン43の運転初期及び運転時電流値の比較は、実質総運転時間がフィルタ清掃要求時間を超えていても、浴室A内の相対湿度がフィルタFに水分が付着し難い所定の判定可能湿度未満である場合に行われるから、水の付着による換気運転時電流値への影響が低減され、より一層、正確にフィルタ清掃の必要性を判断できる。
【0064】
また、実質総運転時間が、フィルタ清掃要求時間以下であれば(ステップST5で、No)、フィルタFの目詰まりは少ないと考えられるが、本実施の形態では、乾燥運転モードが実行されている場合(ステップST9で、Yes)、実質総運転時間が、フィルタ清掃要求時間以下であっても、循環ファン41の電流値によるフィルタ清掃の必要性が判断される。例えば、乾燥運転モードの場合、乾燥する衣類の種類によっては、短時間でフィルタFへの塵埃の付着量が増加する虞があるから、実質総運転時間がフィルタ清掃要求時間以下であっても、フィルタ清掃の必要性を判断することが好ましい。
【0065】
この場合、まず、乾燥運転モードが所定の判定可能時間(例えば、30分)以上、継続して実行されているかどうかを判定する(ステップST10)。すなわち、乾燥運転モードは、衣類の乾燥を目的とするから、一般に、浴槽などにお湯が張られていない低湿度の状態で実行されるが、乾燥運転によって衣類から多量の水が蒸発した場合、フィルタFに水が付着する可能性があり、既述したようにこのような水の付着によって通気抵抗が高くなって、循環ファン41の乾燥運転時電流値を低下させる可能性がある。しかしながら、所定時間以上、乾燥運転モードが実行されていれば、フィルタFへの水の付着量も低減していると考えられるから、浴室A内の相対湿度を確認することなく、直ちに、フィルタFの目詰まりを判定できる。
【0066】
そして、乾燥運転モードが所定の判定可能時間以上、継続されていれば(ステップST10で、Yes)、循環ファン41の乾燥運転初期電流値C
Sdと、実行中の循環ファン41の乾燥運転時電流値C
dとの電流値差(C
Sd−C
d)が、所定の乾燥用目詰り閾値α
dを超えているかどうかを判定する(ステップST11)。なお、このときの乾燥運転初期電流値C
Sd及び乾燥用目詰り閾値α
dはそれぞれ、既述した乾燥運転時の運転初期電流値C
Sj及び目詰り閾値α
jと同一の値が使用される。
【0067】
電流値差(C
Sd−C
d)が、目詰り閾値α
dより高ければ(ステップST11で、Yes)、制御ユニットCは、リモコン9のフィルタランプ97を点灯させて、使用者にフィルタ清掃の必要性を報知する(ステップST12)。これにより、乾燥運転モードにおいて、フィルタ清掃の必要性をより一層、正確に判断できる。
【0068】
上記フィルタ清掃の必要性の判断は、各運転モードが終了するまで行われる(ステップST13)。従って、その運転モードが実行されている間、実質総運転時間が更新され、次の運転モードが実行された際に過去の運転モード別運転時間を積算した実質総運転時間として利用される。なお、使用者がフィルタランプ97の点灯を認識し、フィルタ清掃を行った場合、リモコン9の図示しないリセットスイッチを操作することにより、メモリ内の過去の実質総運転時間がリセットされ、フィルタ清掃後の実質総運転時間が新たに記憶される。
【0069】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態の浴室暖房乾燥機は、運転モードとして、さらに循環ファンのみを駆動するミスト運転モードを有していてもよい。すなわち、ミスト運転モードが実行されると、浴室内にミストが噴霧されるが、ミストを発生させるために水道水が使用されるため、水道水中のミネラルなどがミストとフィルタとが接触した時に凝縮して目詰まりとなる場合がある。従って、ミスト運転が実行される浴室暖房乾燥機においても、本発明が好ましく使用される。ミスト運転モードにおけるフィルタ目詰まり係数K
iは、運転環境にもよるが、好ましくは、換気運転モードと暖房運転モードのそれらの間で設定される。なお、ミスト運転が実行される場合、フィルタへの水の付着量が多くなるため、実質総運転時間のみからフィルタ清掃の必要性を判断することが好ましい。
【0070】
(2)上記実施の形態では、実質総運転時間を求めるにあたって、各運転モードの所定時間ごとの運転時間にフィルタ目詰まり係数を乗じた運転モード別運転時間を積算しているが、各運転モードで運転が実行された後、実行された合計の運転時間にフィルタ目詰まり係数を乗じた運転モード別運転時間を積算して、実質総運転時間を求めてもよい。