(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
<シリコーンゴム組成物>
本発明に係るシリコーンゴム組成物は、一分子中に複数個の重合性不飽和結合を有するポリシロキサン100質量部に対して、15質量部以上40質量部以下の酸化銅(I)(Cu
2O)、及び架橋剤を含有することを特徴とする。シリコーンゴム組成物が、酸化銅(I)を所定量含有することで、引き裂き強度の低下を抑制しつつ、優れた破断伸び特性を有する成形品を製造できる。また、レアアースをはじめとする入手が困難な原料、高価な原料等、特殊な原料を用いずに、成形品を製造できる。
【0014】
前記ポリシロキサンは、シリコーンゴムの主骨格を構成するものであり、架橋反応によって硬化するために、一分子中に複数個の重合性不飽和結合を有する。前記ポリシロキサンは、前記重合性不飽和結合を有する基が、当該ポリシロキサン中のケイ素原子に結合していることが好ましい。前記ケイ素原子に結合している、前記重合性不飽和結合を有する基以外の基は、有機基及び水素原子のいずれでもよい。このようなポリシロキサンとしては、公知のものが適宜使用できる。
前記ポリシロキサン中の前記重合性不飽和結合の数は二以上であればよく、二でもよいし、三以上でもよい。
【0015】
前記ポリシロキサンは、前記重合性不飽和結合として、炭素原子間の不飽和結合を有するものが好ましく、二重結合を有するものが好ましく、アルケニル基を有するものが好ましい。
前記アルケニル基としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、1−プロペニル基等が例示できる。前記ポリシロキサン中の複数個のアルケニル基は、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみが異なっていてもよい。
前記アルケニル基は、前記ポリシロキサンの主骨格を構成するケイ素原子に結合していることが好ましい。
【0016】
前記ポリシロキサンを構成する前記アルケニル基以外の有機基としては、置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基が例示できる。
前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、炭素数が1〜10であることが好ましい。
【0017】
前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基等の、炭素数が1〜10のものが、好ましいアルキル基として挙げられる。
【0018】
前記環状のアルキル基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、好ましいものとしては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基の、炭素数が3〜10のものが例示できる。
【0019】
前記アリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、好ましいものとしては、フェニル基、o−トリル基(2−メチルフェニル基)、m−トリル基(3−メチルフェニル基)、p−トリル基(4−メチルフェニル基)、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の、炭素数が6〜15のものが例示できる。
【0020】
前記アルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。ここで、「アルキル基(アリール基)が置換基を有する」とは、アルキル基(アリール基)を構成する一つ以上の水素原子が、水素原子以外の基で置換されているか、あるいはアルキル基(アリール基)を構成する一つ以上の炭素原子が、炭素原子以外の基で置換されていることを指す。そして、水素原子及び炭素原子が共に置換基で置換されていてもよい。
置換基を有する前記アルキル基及びアリール基は、置換基も含めて炭素数が前記範囲内であることが好ましい。
【0021】
前記アルキル基及びアリール基の水素原子を置換する置換基としては、アルキル基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アリールオキシ基、アリールアルキルオキシ基、アルキルアリールオキシ基、水酸基(−OH)、シアノ基(−CN)及びハロゲン原子が例示できる。
【0022】
水素原子を置換するアルキル基としては、前記有機基におけるアルキル基と同様のものが例示できる。
水素原子を置換するアルキルオキシカルボニル基としては、前記有機基におけるアルキル基がオキシカルボニル基に結合した一価の基が例示できる。
水素原子を置換するアルキルカルボニルオキシ基としては、前記有機基におけるアルキル基がカルボニルオキシ基に結合した一価の基が例示できる。
水素原子を置換するアルコキシ基としては、前記有機基におけるアルキル基が酸素原子に結合した一価の基が例示できる。
水素原子を置換するアルキルカルボニル基としては、前記有機基におけるアルキル基がカルボニル基に結合した一価の基が例示できる。
【0023】
水素原子を置換するアルケニル基としては、前記有機基におけるアルキル基で、炭素原子間の一つの単結合(C−C)が、二重結合(C=C)に置換されたもので、且つ重合性不飽和結合を有する前記アルケニル基に該当しないものが例示できる。水素原子を置換する前記アルケニル基における炭素原子間の二重結合の位置は、特に限定されない。
水素原子を置換するアルケニルオキシ基としては、置換基としての前記アルケニル基が酸素原子に結合した一価の基が例示できる。
【0024】
水素原子を置換するアリール基としては、前記有機基におけるアリール基と同様のものが例示できる。
水素原子を置換するアルキルアリール基としては、前記有機基におけるアリール基の芳香族環を構成する炭素原子に結合している一つの水素原子が、前記有機基におけるアルキル基で置換された基が例示できる。
水素原子を置換するアリールアルキル基としては、前記有機基におけるアルキル基の一つの水素原子が前記有機基におけるアリール基で置換された基が例示できる。
水素原子を置換するアリールオキシ基としては、前記有機基におけるアリール基が酸素原子に結合した一価の基が例示できる。
水素原子を置換するアリールアルキルオキシ基としては、前記有機基におけるアルキル基から一つの水素原子を除いたアルキレン基に、前記有機基におけるアリール基と酸素原子が結合した一価の基が例示できる。
水素原子を置換するアルキルアリールオキシ基としては、前記有機基におけるアリール基から、芳香族環を構成する炭素原子に結合している一つの水素原子を除いたアリーレン基に、前記有機基におけるアルキル基と酸素原子が結合した一価の基が例示できる。
【0025】
水素原子を置換するハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
【0026】
水素原子を置換する置換基の数は特に限定されず、一つでもよいし、複数でもよく、すべての水素原子が置換基で置換されていてもよい。
また、置換基で置換される水素原子の位置は特に限定されない。
【0027】
前記アルキル基及びアリール基の炭素原子は、下記の置換基で置換されていても良い。当該置換基としては、カルボニル基(−C(=O)−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−NH−C(=O)−)、ヘテロ原子が例示できる。
炭素原子を置換するヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ホウ素原子が例示できる。
炭素原子を置換する置換基の数は特に限定されず、一つでもよいし、複数でもよい。
また、置換基で置換される炭素原子の位置は特に限定されない。
【0028】
本発明におけるポリシロキサンは、市販品を使用してもよいし、公知の方法にしたがって合成したものを使用してもよい。
前記ポリシロキサンは、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0029】
酸化銅(I)は、シリコーンゴム組成物に破断伸び特性を付与するものであり、公知の方法で製造したもの、及び市販品のいずれを使用してもよい。
酸化銅(I)が破断伸び特性を付与できる理由は定かではないが、加熱により発生したラジカルを消去することで、ラジカルによる劣化を抑制しているのではないかと推測される。
【0030】
本発明に係るシリコーンゴム組成物において、前記ポリシロキサンの含有量100質量部に対する、酸化銅(I)の含有量は、15質量部以上40質量部以下であり、15質量部より大きく40質量部以下であることが好ましく、20質量部以上40質量部以下であることがより好ましい。
上記範囲の下限値以上であることで、成形品は、優れた破断伸び特性と共に、充分な引き裂き強度を有するようになる。特に、酸化銅(I)の含有量が20質量部以上であることと、成形品の引き裂き強度が顕著に向上する。
また、上記範囲の上限値以下であることで、成形品は、充分な破断強度を有する。
また、酸化銅(I)の含有量が15質量部未満であると引き裂き強度が劣り、40質量部を超えると前記破断強度が劣る。
【0031】
前記架橋剤は、前記ポリシロキサンを硬化させるものであり、公知のものが使用できる。
前記架橋剤としては、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル等の有機過酸化物、白金等の金属触媒が例示できる。成形品中に分解物がより残り難いという点からは、前記架橋剤は、金属触媒であることが好ましく、白金触媒であることがより好ましい。有機過酸化物を用いる場合は、例えば、後述する成形品製造時に、160℃以上の温度で加熱することにより、有機過酸化物の分解物をガスとして容易に除去できる。
【0032】
前記ジアルキルパーオキサイドとしては、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が例示できる。
前記ジアシルパーオキサイドとしては、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(2−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド等が例示できる。
前記パーオキシケタールとしては、n−ブチル 4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バリレート、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン等が例示できる。
前記パーオキシエステルとしては、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−3−メチルベンゾエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等が例示できる。
【0033】
前記架橋剤は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。ただし通常は、一種の架橋剤を使用すれば十分である。
【0034】
本発明に係るシリコーンゴム組成物において、前記ポリシロキサンの含有量100質量部に対する、前記架橋剤の含有量は、0.5〜3質量部であることが好ましく、1〜2質量部であることがより好ましい。下限値以上であることで、前記ポリシロキサンの架橋反応がより十分に進行し、上限値以下であることで、特性がより良好な成形品が得られる。
【0035】
本発明に係るシリコーンゴム組成物は、前記ポリシロキサン、酸化銅(I)及び前記架橋剤以外に、本発明の効果を妨げない範囲内において、さらにその他の成分を含有していてもよい。その他の成分を含有させることで、目的とする特性を成形品に付与できる。
【0036】
その他の成分としては、公知のものが適宜使用でき、充填材、添加剤、補強剤、顔料、老化防止剤等が例示でき、好ましいものとしてはシリカ、カーボンブラック、酸化チタン(TiO
2)等が例示できる。
その他の成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0037】
本発明に係るシリコーンゴム組成物は、前記ポリシロキサン、酸化銅(I)、前記架橋剤、及び必要に応じてその他の成分を配合することで製造できる。
各成分の配合時には、各成分同士を各種手段により充分に混合することが好ましい。この際、各成分を順次添加しながら混合してもよいし、全成分をまとめて添加してから混合してもよい。
前記各成分の混合方法は特に限定されず、例えば、撹拌翼、ボールミル、ロールミル、超音波分散機、混錬機等を使用して、常温又は加熱条件下で所定時間混合する公知の方法を適用すればよい。
また、本発明に係るシリコーンゴム組成物の製造後に直ちにこれを混錬し、加熱成形して成形品を製造したい場合には、本発明に係るシリコーンゴム組成物の製造を兼ねて混錬を行ってもよい。
【0038】
<成形品>
本発明に係る成形品は、前記シリコーンゴム組成物を架橋及び成形してなることを特徴とする。かかる成形品は、前記シリコーンゴム組成物を用いる点以外は、従来のシリコーンゴムの成形品と同様の方法で製造できる。
【0039】
架橋及び成形は別々に行ってもよいし、同時に、すなわち架橋と成形を並行しておこなってもよい。
架橋反応は公知の方法で行えばよく、例えば、150〜180℃で5〜20分間反応させることで、加熱架橋させる方法が例示できる。
【0040】
前記成形品は、前記シリコーンゴム組成物を用いたことにより、耐熱性(瞬間耐熱性)及び耐寒性というシリコーンゴム特有の特性に加え、破断強度を損なうことなく、引き裂き強度が維持されるか若しくは向上し、さらに、優れた破断伸び特性を有する。ここで、破断強度とは、後述するJIS K6251に準拠する方法によって測定された引張破断強度である。
【0041】
前記成形品は、破断強度及び破断伸びの値により、機械特性を評価できる。機械特性が劣る成形品は、実用に適さない。ここで、成形品の破断強度及び破断伸びは、例えば、JIS K6251号に準拠して測定できるが、測定方法はこれに限定されない。破断強度及び破断伸びの測定は、成形品から試料が取得できる場合には、この試料を用いて行えばよい。一方、試料が取得できない場合や、取得した試料での測定が困難である場合には、この成形品の製造に用いたものと同じシリコーンゴム組成物を用いて、例えば、厚さが1〜2mm程度のシート状成形品を製造し、このシート状成形品から試料を取得して、測定すればよい。
【0042】
前記成形品としては、前記破断強度が9.0MPa以上、且つ前記破断伸びが350%以上の破断伸び特性を有するものが好ましい。
【0043】
前記成形品は、各種生活用品若しくは工業用品又はこれらに使用される部材の被覆あるいは保護を目的として、これらへの装着用として好適である。前記成形品は、引き裂き強度が維持されるか若しくは向上し、さらに、優れた破断伸び特性を有する。このため、本発明に係る成形品が装着された製品又は部材には、高い保護作用が付与されると共に、装着された製品又は部材を快適に又は容易に取り回す(取り扱う)ことができる。
【0044】
前記成形品の形状は、特に限定されず、シート状、筒状等、目的に応じて任意に選択できる。例えば、筒状の成形品は、各種ケーブルが備える被覆層として好適であり、好ましい前記ケーブルとしては電線が例示できる。例えば、本発明に係るシリコーンゴム組成物の酸化銅(I)の含有量を調節することで、成形品の破断伸び特性を向上させることができると共に、引き裂き強度を維持させる若しくは向上させることができるので、本発明に係る成形品は、電線の被覆層として特に好適である。
【0045】
成形品の厚さは、目的に応じて任意に設定できる。例えば、シート状の成形品の厚さは、3.0mm以下であることが好ましい。また、筒状の成形品を、シート状の成形品が中空状に丸まったものと捉えることが可能な場合、このシートの厚さは3.0mm以下であることが好ましい。
【0046】
成形方法は、射出成形法、押出成形法、金型成形方等、公知の方法でよく、目的に応じて適宜選択すればよい。
【実施例】
【0047】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
【0048】
[実施例1〜4、比較例1〜5]
<シリコーンゴム組成物及び成形品の製造>
表1に示す組成となるように、ポリシロキサン、酸化銅(I)、及び架橋剤を添加し、室温(23℃)で二本ロールミルによりこれらを混合して、シリコーンゴム組成物を得た。
次いで、このシリコーンゴム組成物を使用して、プレス機での160℃、10分間の加熱プレスにより、成形品として厚さ1mmのシートを製造した。
【0049】
【表1】
【0050】
なお、表1中の各成分は、それぞれ以下のものである。
・ポリシロキサン:TSE2425U(モメンティブ社製)
・酸化銅(I):昭和化学社製
・架橋剤:TC−12(モメンティブ社製、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド)
【0051】
<成形品の評価>
得られた成形品について、JIS K6251号に準拠して、ダンベル状に打ち抜いた試験片を作製し、その破断強度(MPa)及び破断伸び(%)を測定した。破断強度及び破断伸びはJIS K6251号に準拠して測定した。
また、JIS K6252に準拠し、クレセント型試料を作製し、これに切り込みを入れ引裂き試験を行った。引裂き試験は室温で500±50mm/minの引裂き条件で行った。引裂き強度は以下の式より算出した。
TR = F/ t
TR: 引裂き強度(N/ mm)
F: 引裂き力の最大値(N)
t: 試験片の厚さ(mm)
また、JIS K7215号に準拠して、タイプAデュロメータを用いて硬度測定を行った。
【0052】
これらの測定値から、比較例1の試験片を基準(100%)として、他の試験片について、各試験項目の変化率を下記評価基準に従って評価した。この評価結果を表2及び
図1のグラフに示す。
【0053】
・破断強度変化率は、大きい値ほど(正の方向に大きいほど)好ましい。90%超えを○、90%を△、90%未満を×と判定した。
・破断伸び変化率は、大きい値ほど(正の方向に大きいほど)好ましい。150%超えを◎、100〜150%を○、100%を△、100%未満を×と判定した。
・引き裂き強度変化率は、大きい値ほど(正の方向に大きいほど)好ましい。150%超えを◎、100〜150%を○、100%を△、100%未満を×と判定した。
・硬度変化率は、小さい値ほど(負の方向に大きいほど)好ましい。85%以下を◎、85超え〜90%以下を○、90%超え〜95%以下を△と判定した。
【0054】
【表2】
【0055】
上記結果から明らかなように、実施例1〜4の成形品では、ポリシロキサン100質量部に対して、15質量部以上40質量部以下の酸化銅(I)を含有するシリコーンゴム組成物を用いたことで、優れた破断伸び特性が得られた。この際、引き裂き強度は、低下することなく、むしろ向上していた。さらに、硬度が低くなることも顕著な効果として認められた。硬度は、破断伸び特性と共に、シリコーンゴムの柔軟性を示す項目であり、硬度が低いほど、柔らかく、取り回しや使用感に優れた成形品であるといえる。また、破断強度も実用に耐える値を示した。
【0056】
これに対して、比較例1〜5の成形品は、引き裂き強度及び破断強度の少なくとも一方が劣っていた。具体的には、酸化銅(I)を含有しないシリコーンゴム組成物を用いた比較例1、ポリシロキサン100質量部に対して、10質量部以下の酸化銅(I)を含有するシリコーンゴム組成物を用いた比較例1〜4の成形品は、引き裂き強度に劣っていた。そして、ポリシロキサン100質量部に対して、40質量部より大きい50質量部の酸化銅(I)を含有するシリコーンゴム組成物を用いた比較例5の成形品は、破断強度に劣っていた。
このように、酸化銅(I)の含有量を適切な範囲に調整することで、シリコーンゴム組成物から得られた成形品の破断伸び特性及び引き裂き強度が大きく向上することが確認された。