(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
時分割複信方式に基づいて移動通信端末(6)と通信する基地局を擬似する擬似基地局(5)を備え、前記擬似基地局から前記移動通信端末に向かう方向の情報を含むダウンリンク区間と、前記移動通信端末から前記擬似基地局に向かう方向の情報を含むアップリンク区間と、を有するフレームにより通信して前記移動通信端末を試験する移動通信端末試験装置(1)であって、
前記移動通信端末は、前記擬似基地局に同期して通信するものであり、
前記フレーム内において前記アップリンク区間の配置された情報を示すフレーム構成情報を記憶するフレーム構成情報記憶手段(21)と、
前記擬似基地局で記憶されることなく当該擬似基地局から出力されたデータを受け、前記フレーム構成情報に基づいて前記データから前記フレームに含まれる前記アップリンク区間のデータを選別して出力する選別手段(16)と、
前記選別手段が出力した前記アップリンク区間のデータを記憶するデータ記憶手段(31)と、
前記データ記憶手段が記憶した前記アップリンク区間のデータを解析するデータ解析手段(17)と、
を備えたことを特徴とする移動通信端末試験装置。
前記選別手段(50)は、前記フレーム構成情報に加えて、前記フレーム内における前記アップリンク区間の時間的位置の情報に基づいて前記アップリンク区間のデータを選別して出力するものであることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末試験装置(2)。
時分割複信方式に基づいて移動通信端末(7)と通信する基地局を擬似する擬似基地局(5)を備え、前記擬似基地局から前記移動通信端末に向かう方向の情報を含むダウンリンク区間と、前記移動通信端末から前記擬似基地局に向かう方向の情報を含むアップリンク区間と、を有するフレームにより通信して前記移動通信端末を試験する移動通信端末試験装置(3)であって、
前記移動通信端末は、任意の送信タイミングで送信信号を前記擬似基地局に出力するものであり、
前記フレーム内において前記アップリンク区間の配置された情報を示すフレーム構成情報を記憶するフレーム構成情報記憶手段(21)と、
前記アップリンク区間に含まれる個別の識別情報及び前記フレーム構成情報に基づいて前記フレームに含まれる前記アップリンク区間のデータを選別して出力する選別手段(62)と、
前記選別手段が出力した前記アップリンク区間のデータを記憶するデータ記憶手段(31)と、
所定のフレーム構成が設定されるとき、前記フレーム構成情報のうち当該所定のフレーム構成に対応するフレーム構成情報に基づいて、前記アップリンク区間のデータが前記データ記憶手段に記憶される際の前記データ記憶手段内の区分を識別するための区分情報を生成する区分情報生成手段(23)と、
前記区分情報生成手段が生成した前記区分情報を参照して、前記データ記憶手段が記憶した前記アップリンク区間のデータを読み出して解析するデータ解析手段(17)と、
を備えたことを特徴とする移動通信端末試験装置。
時分割複信方式に基づいて移動通信端末(7)と通信する基地局を擬似する擬似基地局(5)を備え、前記擬似基地局から前記移動通信端末に向かう方向の情報を含むダウンリンク区間と、前記移動通信端末から前記擬似基地局に向かう方向の情報を含むアップリンク区間と、を有するフレームにより通信して前記移動通信端末を試験する移動通信端末試験装置(4)であって、
前記移動通信端末は、任意の送信タイミングで送信信号を前記擬似基地局に出力するものであり、
前記アップリンク区間に含まれる個別の識別情報に基づいて前記フレーム内において前記アップリンク区間の配置された情報を示すフレーム構成情報を取得するフレーム構成情報取得手段(81b)と、
前記フレーム構成情報に基づいて前記フレームに含まれる前記アップリンク区間のデータを選別して出力する選別手段(83)と、
前記選別手段が出力した前記アップリンク区間のデータを記憶するデータ記憶手段(31)と、
前記フレーム構成情報取得手段が取得した前記フレーム構成情報に基づいて、前記アップリンク区間のデータが前記データ記憶手段に記憶される際の前記データ記憶手段内の区分を識別するための区分情報を生成する区分情報生成手段(82)と、
前記区分情報生成手段が生成した前記区分情報を参照して、前記データ記憶手段が記憶した前記アップリンク区間のデータを読み出して解析するデータ解析手段(17)と、
を備えたことを特徴とする移動通信端末試験装置。
時分割複信方式に基づいて移動通信端末(6)と通信する基地局を擬似する擬似基地局(5)を備え、前記擬似基地局から前記移動通信端末に向かう方向の情報を含むダウンリンク区間と、前記移動通信端末から前記擬似基地局に向かう方向の情報を含むアップリンク区間と、を有するフレームにより通信して前記移動通信端末を試験する移動通信端末試験装置(1)を用いた移動通信端末試験方法であって、
前記移動通信端末は、前記擬似基地局と互いに同期して通信するものであり、
前記擬似基地局で記憶されることなく当該擬似基地局から出力されたデータを受け、前記フレーム内において前記アップリンク区間の配置された情報を示すフレーム構成情報に基づいて前記データから前記フレームに含まれる前記アップリンク区間のデータを選別する選別ステップ(S21、S23)と、
前記選別ステップにおいて選別した前記アップリンク区間のデータを記憶するデータ記憶ステップ(S22)と、
前記データ記憶ステップにおいて記憶した前記アップリンク区間のデータを解析するデータ解析ステップ(S16)と、
を含むことを特徴とする移動通信端末試験方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近時、移動通信端末からの受信信号の波形をできるだけ長時間に亘って記憶し一括して解析を行うことにより、試験の効率化を図ることが望まれている。
【0008】
しかしながら、従来のものでは、受信信号の波形の記憶容量には限界があるので、TD−SCDMA信号を受信し、その波形データを記憶し、スロットごとの電力を検出するという手順を何度も繰り返す構成となっていた。そのため、従来のものは、移動通信端末の試験の効率化が図れないという課題があった。
【0009】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、移動通信端末の試験の効率化を図ることができる移動通信端末試験装置及び移動通信端末試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る移動通信端末試験装置は、時分割複信方式に基づいて移動通信端末(6)と通信する基地局を擬似する擬似基地局(5)を備え、前記擬似基地局から前記移動通信端末に向かう方向の情報を含むダウンリンク区間と、前記移動通信端末から前記擬似基地局に向かう方向の情報を含むアップリンク区間と、を有するフレームにより通信して前記移動通信端末を試験する移動通信端末試験装置(1)であって、前記移動通信端末は、前記擬似基地局に同期して通信するものであり、前記フレーム内において前記アップリンク区間の配置された情報を示すフレーム構成情報を記憶するフレーム構成情報記憶手段(21)と、
前記擬似基地局で記憶されることなく当該擬似基地局から出力されたデータを受け、前記フレーム構成情報に基づいて
前記データから前記フレームに含まれる前記アップリンク区間のデータを選別して出力する選別手段(16)と、前記選別手段が出力した前記アップリンク区間のデータを記憶するデータ記憶手段(31)と、前記データ記憶手段が記憶した前記アップリンク区間のデータを解析するデータ解析手段(17)と、を備えた構成を有している。
【0011】
この構成により、本発明の請求項1に係る移動通信端末試験装置は、擬似基地局と移動通信端末との間の通信が同期した同期モードにおいて、データ記憶手段が、フレームに含まれるデータのうち、アップリンク区間のデータのみを記憶するので、ダウンリンク区間及びアップリンク区間のデータを記憶する従来のものよりも記憶するデータ量を大幅に削減することができる。
【0012】
したがって、本発明の請求項1に係る移動通信端末試験装置は、同期モードにおいて、移動通信端末からの受信信号の波形を従来よりも長時間に亘って記憶し一括して解析を行うことが可能となるので、移動通信端末の試験の効率化を図ることができる。
【0013】
本発明の請求項2に係る移動通信端末試験装置は、前記選別手段(50)は、前記フレーム構成情報に加えて、前記フレーム内における前記アップリンク区間の時間的位置の情報に基づいて前記アップリンク区間のデータを選別して出力するものである構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明の請求項2に係る移動通信端末試験装置は、フレームに含まれるアップリンク区間のデータを効率よく確実に選別することができる。
【0015】
本発明の請求項3に係る移動通信端末試験装置は、時分割複信方式に基づいて移動通信端末(7)と通信する基地局を擬似する擬似基地局(5)を備え、前記擬似基地局から前記移動通信端末に向かう方向の情報を含むダウンリンク区間と、前記移動通信端末から前記擬似基地局に向かう方向の情報を含むアップリンク区間と、を有するフレームにより通信して前記移動通信端末を試験する移動通信端末試験装置(3)であって、前記移動通信端末は、任意の送信タイミングで送信信号を前記擬似基地局に出力するものであり、前記フレーム内において前記アップリンク区間の配置された情報を示すフレーム構成情報を記憶するフレーム構成情報記憶手段(21)と、前記アップリンク区間に含まれる個別の識別情報及び前記フレーム構成情報に基づいて前記フレームに含まれる前記アップリンク区間のデータを選別して出力する選別手段(62)と、前記選別手段が出力した前記アップリンク区間のデータを記憶するデータ記憶手段(31)と、
所定のフレーム構成が設定されるとき、前記フレーム構成情報のうち当該所定のフレーム構成に対応するフレーム構成情報に基づいて、前記アップリンク区間のデータが前記データ記憶手段に記憶される際の前記データ記憶手段内の区分を識別するための区分情報を生成する区分情報生成手段(23)と、前記区分情報生成手段が生成した前記区分情報を参照して、前記データ記憶手段が記憶した前記アップリンク区間のデータを
読み出して解析するデータ解析手段(17)と、を備えた構成を有している。
【0016】
この構成により、本発明の請求項3に係る移動通信端末試験装置は、擬似基地局と移動通信端末との間の通信が同期しない非同期モードにおいて、データ記憶手段が、フレームに含まれるデータのうち、アップリンク区間のデータのみを記憶するので、ダウンリンク区間及びアップリンク区間のデータを記憶する従来のものよりも記憶するデータ量を大幅に削減することができる。
【0017】
したがって、本発明の請求項3に係る移動通信端末試験装置は、非同期モードにおいて、移動通信端末からの受信信号の波形を従来よりも長時間に亘って記憶し一括して解析を行うことが可能となるので、移動通信端末の試験の効率化を図ることができる。
【0018】
本発明の請求項4に係る移動通信端末試験装置は、時分割複信方式に基づいて移動通信端末(7)と通信する基地局を擬似する擬似基地局(5)を備え、前記擬似基地局から前記移動通信端末に向かう方向の情報を含むダウンリンク区間と、前記移動通信端末から前記擬似基地局に向かう方向の情報を含むアップリンク区間と、を有するフレームにより通信して前記移動通信端末を試験する移動通信端末試験装置(4)であって、前記移動通信端末は、任意の送信タイミングで送信信号を前記擬似基地局に出力するものであり、前記アップリンク区間に含まれる個別の識別情報に基づいて前記フレーム内において前記アップリンク区間の配置された情報を示すフレーム構成情報を取得するフレーム構成情報取得手段(81b)と、前記フレーム構成情報に基づいて前記フレームに含まれる前記アップリンク区間のデータを選別して出力する選別手段(83)と、前記選別手段が出力した前記アップリンク区間のデータを記憶するデータ記憶手段(31)と、
前記フレーム構成情報取得手段が取得した前記フレーム構成情報に基づいて、前記アップリンク区間のデータが前記データ記憶手段に記憶される際の前記データ記憶手段内の区分を識別するための区分情報を生成する区分情報生成手段(82)と、前記区分情報生成手段が生成した前記区分情報を参照して、前記データ記憶手段が記憶した前記アップリンク区間のデータを
読み出して解析するデータ解析手段(17)と、を備えた構成を有している。
【0019】
この構成により、本発明の請求項4に係る移動通信端末試験装置は、擬似基地局と移動通信端末との間の通信が同期しない非同期モードにおいて、データ記憶手段が、フレームに含まれるデータのうち、アップリンク区間のデータのみを記憶するので、ダウンリンク区間及びアップリンク区間のデータを記憶する従来のものよりも記憶するデータ量を大幅に削減することができる。
【0020】
したがって、本発明の請求項4に係る移動通信端末試験装置は、非同期モードにおいて、移動通信端末からの受信信号の波形を従来よりも長時間に亘って記憶し一括して解析を行うことが可能となるので、移動通信端末の試験の効率化を図ることができる。
【0021】
本発明の請求項5に係る移動通信端末試験装置は、
所定のフレーム構成が設定されるとき、前記フレーム構成情報のうち当該所定のフレーム構成に対応するフレーム構成情報に基づいて、前記アップリンク区間のデータが前記データ記憶手段に記憶される際の前記データ記憶手段内の区分を識別するための区分情報
を生成する区分情報生成手段(2
3)をさらに備え、前記データ解析手段は、前記区分情報を参照し、前記データ記憶手段から前記アップリンク区間のデータを読み出して解析するものである構成を有している。
【0022】
この構成により、本発明の請求項5に係る移動通信端末試験装置は、データ解析手段が、データ記憶手段に連なって記憶されたアップリンク区間のデータを効率よく確実に読み出して解析することができる。
【0023】
本発明の請求項6に係る移動通信端末試験方法は、時分割複信方式に基づいて移動通信端末(6)と通信する基地局を擬似する擬似基地局(5)を備え、前記擬似基地局から前記移動通信端末に向かう方向の情報を含むダウンリンク区間と、前記移動通信端末から前記擬似基地局に向かう方向の情報を含むアップリンク区間と、を有するフレームにより通信して前記移動通信端末を試験する移動通信端末試験装置(1)を用いた移動通信端末試験方法であって、前記移動通信端末は、前記擬似基地局と互いに同期して通信するものであり、
前記擬似基地局で記憶されることなく当該擬似基地局から出力されたデータを受け、前記フレーム内において前記アップリンク区間の配置された情報を示すフレーム構成情報に基づいて
前記データから前記フレームに含まれる前記アップリンク区間のデータを選別する選別ステップ(S21、S23)と、前記選別ステップにおいて選別した前記アップリンク区間のデータを記憶するデータ記憶ステップ(S22)と、前記データ記憶ステップにおいて記憶した前記アップリンク区間のデータを解析するデータ解析ステップ(S16)と、を含む構成を有している。
【0024】
この構成により、本発明の請求項6に係る移動通信端末試験方法は、擬似基地局と移動通信端末との間の通信が同期した同期モードにおいて、データ記憶手段が、フレームに含まれるデータのうち、アップリンク区間のデータのみを記憶するので、ダウンリンク区間及びアップリンク区間のデータを記憶する従来のものよりも記憶するデータ量を大幅に削減することができる。
【0025】
したがって、本発明の請求項6に係る移動通信端末試験方法は、同期モードにおいて、移動通信端末からの受信信号の波形を従来よりも長時間に亘って記憶し一括して解析を行うことが可能となるので、移動通信端末の試験の効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、移動通信端末の試験の効率化を図ることができるという効果を有する移動通信端末試験装置及び移動通信端末試験方法を提供することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態について説明する前に、時分割複信方式のTD−LTE規格及びTD−SCDMA規格におけるフレーム構成について説明する。なお、以下の説明において、ダウンリンクを「DL」、アップリンクを「UL」と略記する。
【0029】
図1(a)は、TD−LTE規格におけるフレーム構成を示している。図示のように、TD−LTE規格における1個のフレーム(10ms)は、2個のハーフフレームで構成される。1個のハーフフレーム(5ms)は、5個のサブフレームで構成される。1個のサブフレーム(1ms)は、2個のスロットで構成される。図示の例は、サブフレーム#1及び#6の位置に、DLとULとを切り替える切替ポイント(SP)であるサブフレーム(スペシャルサブフレーム)が含まれている。この場合、スイッチポイント周期は5msである。スペシャルサブフレームは、伝送ギャップガード周期(GP)で分離されたDLパイロット時間スロット(DwPTS)及びULパイロット時間スロット(UpPTS)を含む。
【0030】
図1(b)は、TD−LTE規格において設定可能な7つのフレーム構成を示している。この7つのフレーム構成は、コンフィギュレーション0〜6で示される。コンフィギュレーション0〜6に対応して、スイッチポイント周期と、サブフレームの構成とが定められている。サブフレーム番号欄に示すように、サブフレームは、DLサブフレーム(D)、ULサブフレーム(U)、スペシャルサブフレーム(S)から構成されている。
【0031】
図2(a)は、TD−SCDMA規格におけるフレーム構成を示している。図示のように、TD−SCDMA規格における1個のフレーム(10ms)は、2個のサブフレームで構成される。1個のサブフレーム(5ms)は、7個のスロット#0〜#6と、2個の切替ポイント(SP)と、を含む。
【0032】
TD−SCDMA規格では、図中右側の切替ポイントの時間的位置を変更することにより、DLスロット(D)及びULスロット(U)の個数を増減することができるようになっている。例えば、
図2(a)に示した位置から
図2(b)に示した位置に切替ポイントの位置を変更することにより、DLスロット(D)の個数を増加させ、ULスロット(U)の個数を減少させることができる。
【0033】
前述のように、TD−LTE規格やTD−SCDMA規格のような時分割複信方式においては、DL区間(サブフレーム又はスロット)(D)及びUL区間(サブフレーム又はスロット)(U)のフレーム中での構成(以下「サブフレーム構成」という。)が変更可能である。そのため、実際の基地局は、サブフレーム構成を通信状況に応じて動的に変化させることができる。したがって、基地局が通信を開始する前に予めサブフレーム構成を知ることはできない。
【0034】
しかしながら、擬似基地局として機能する移動通信端末試験装置では、自装置がサブフレーム構成を決めるので、サブフレーム構成を把握した上で被試験端末を試験することができる。
【0035】
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。
【0036】
まず、本実施形態における構成について説明する。なお、以下の説明では、被試験端末がTD−LTE規格に対応しているものとし、移動通信端末試験装置が被試験端末に対してTD−LTE規格に対する試験を行うものとする。
【0037】
図3に示すように、本実施形態における移動通信端末試験装置1は、同軸ケーブルを介して被試験端末である移動通信端末6と通信を行って移動通信端末6から受信した信号波形を記憶し、記憶した信号波形を解析するものである。この移動通信端末試験装置1は、自装置から移動通信端末に向かう方向の情報を含むDLサブフレームと、移動通信端末から自装置に向かう方向の情報を含むULサブフレームと、を有するフレームにより通信して移動通信端末6を試験するようになっている。
【0038】
具体的には、移動通信端末試験装置1は、設定部11、送信波形データ発生部12、選別部16、解析部17、表示制御部18、表示部19、擬似基地局5、制御装置20、記憶装置30を備えている。
【0039】
擬似基地局5は、送信部13、結合器14、受信部15を備えている。制御装置20は、UL/DL構成情報記憶部21、システムタイミング制御部22、区分情報生成部23、タイミングトリガ生成部24を備えている。記憶装置30は、受信波形データ記憶部31、区分情報記憶部32を備えている。
【0040】
設定部11は、例えば、キーボード、ダイヤル又はマウスのような入力デバイス、これらを制御する制御回路やソフトウェア等で構成され、移動通信端末試験装置1の各部の動作に必要な設定を試験者に行わせるようになっている。
【0041】
具体的には、設定部11は、送信波形データ発生部12が発生する送信波形データの決定、解析部17の解析項目及び解析条件、UL/DL構成情報を試験者に設定させるものである。ここで、UL/DL構成情報は、TD−LTE規格のフレームにおいてULサブフレーム及びDLサブフレームの配置された情報を示すものである。ただし、UL/DL構成情報は、少なくともULサブフレームの配置された情報を含む情報であればよい。このUL/DL構成情報は、本発明に係るフレーム構成情報を構成する。以下、フレーム内において、ULサブフレームの配置された区間をUL区間、DLサブフレームの配置された区間をDL区間という。
【0042】
具体的には、
図1(b)を参照すると、例えばコンフィギュレーション1が試験者により選択された場合のUL/DL構成情報は、サブフレーム#2、#3、#7、#8がUL区間であるという情報と、サブフレーム#0、#4、#5、#9がDL区間であるという情報と、を含む。
【0043】
また、設定部11は、動作モードの設定や、送信部13の周波数及びレベルと受信部15の周波数等の設定を試験者に行わせるものである。ここで、動作モードには、移動通信端末6が擬似基地局5との無線同期を確立した後に送信信号を移動通信端末試験装置1に出力する同期モードと、移動通信端末6が任意の送信タイミングで送信信号を擬似基地局5に出力する非同期モードとがある。本実施形態では、移動通信端末6が同期モードで動作するものとする。
【0044】
UL/DL構成情報記憶部21は、
図1(b)に示したコンフィギュレーション0〜6ごとに各UL/DL構成情報を記憶するようになっている。このUL/DL構成情報記憶部21は、は本発明に係るフレーム構成情報記憶手段を構成する。
【0045】
システムタイミング制御部22は、送信部13及び受信部15にタイミング制御信号を出力し、送受信のタイミング制御を行うようになっている。
【0046】
区分情報生成部23は、UL/DL構成情報記憶部21が記憶したUL/DL構成情報に基づいて、ULサブフレームのデータが受信波形データ記憶部31に記憶される際の受信波形データ記憶部31内の区分を識別するための情報(以下「区分情報」という。)を、解析部17の解析処理の前に予め生成して記憶装置30の区分情報記憶部32に記憶するようになっている。この区分情報生成部23は、本発明に係る区分情報生成手段を構成する。
【0047】
タイミングトリガ生成部24は、UL/DL構成情報記憶部21が記憶したUL/DL構成情報に基づいて、UL区間の開始タイミングを示すUL区間開始トリガ及びUL区間の終了タイミングを示すUL区間終了トリガを生成して選別部16に出力するようになっている。
【0048】
ここで、区分情報生成部23及びタイミングトリガ生成部24の機能について、
図4に基づき説明する。
【0049】
図4(a)は、試験者がコンフィギュレーション1(
図1(b)参照)を選択した場合のUL/DL構成を示している。先頭フレームではサブフレーム#2、#3、#7、#8にデータU1〜U4が、次フレームのサブフレーム#2及び#3にデータU5及びU6が含まれている。各サブフレームの期間(時間長)は規格で定められており、また、受信部15のADC(アナログデジタルコンバータ)のサンプリングレートは既知である。このため、各サブフレームの波形データのサンプル数が予め分かるので、データU1〜U4、U5及びU6のデータサイズは既知である。データU1〜U4、U5及びU6を受信波形データ記憶部31が順次取り込むと、これらのデータは
図4(b)に示すように受信波形データ記憶部31に記憶される。
【0050】
すなわち、データU1及びU2はメモリアドレス0〜(a−1)、データU3及びU4はメモリアドレスa〜(b−1)、データU5及びU6はメモリアドレスb〜(c−1)の範囲に区分されて記憶される。互いに隣り合っているデータU1及びU2、データU3及びU4、データU5及びU6の各区分を、それぞれ、区分番号N=1、2、3で表すと、各区分の先頭位置及び末尾位置は、
図4(c)に示すようなメモリアドレスで示される。この
図4(c)に示した内容が区分情報である。なお、末尾位置のアドレスを、次の区分の先頭位置の直前のアドレスと決めることにより、区分情報から末尾位置の情報を省略することが可能である。
【0051】
区分情報生成部23は、設定部11によってコンフィギュレーション0〜6のいずれか1つが設定されると、UL/DL構成情報記憶部21に記憶されたUL/DL構成のうち、試験者が設定したコンフィギュレーションに対応したUL/DL構成に基づいて区分情報を生成し、区分情報記憶部32に記憶するようになっている。
【0052】
タイミングトリガ生成部24は、UL/DL構成情報記憶部21に記憶されたUL/DL構成に基づき、UL区間開始トリガ及びUL区間終了トリガを次のように生成する。
【0053】
すなわち、タイミングトリガ生成部24は、コンフィギュレーション1が選択されている場合は、例えば先頭フレームにおいて、データU1及びU3の開始タイミングにUL区間開始トリガ(図示では開始トリガ)を選別部16に出力する。また、同様に、タイミングトリガ生成部24は、データU2及びU4の終了タイミングにUL区間終了トリガ(図示では終了トリガ)を生成して選別部16に出力する。
【0054】
なお、
図1(a)において説明したスペシャルサブフレームにおいても通信データが伝送されるが、発明に対する理解を容易にするため、スペシャルサブフレームにおける通信データについての説明は省略する。ただし、ULサブフレーム及びDLサブフレームに対する本実施形態での処理をスペシャルサブフレームに応用することは可能である。
【0055】
図3に戻り、送信波形データ発生部12は、移動通信端末6に送信する送信信号のベースバンド信号の波形データ(デジタル値のIQデータ:実数成分及び虚数成分)を発生し、送信部13に出力するようになっている。この送信波形データ発生部12は、予め生成して記憶した複数の波形データから所定の波形データを選択して出力する構成でもよいし、波形データをリアルタイムに生成して出力する構成であってもよい。
【0056】
送信部13は、例えば、DAC(デジタルアナログコンバータ)、直交変調器、レベル制御器、周波数変換器等を備え、送信波形データ発生部12が発生した波形データを所定の無線周波数(RF)信号に変換して結合器14に出力するようになっている。
【0057】
結合器14は、同軸ケーブルを介して移動通信端末6に接続されている。結合器14は、送信部13からのRF信号を移動通信端末6に送信するとともに、移動通信端末6から受信したRF信号を受信部15に出力するようになっている。
【0058】
受信部15は、例えば、周波数変換器、復調器、ADC(アナログデジタルコンバータ)等を備え、移動通信端末6からのRF信号を受信して受信波形データ(デジタル値のIQデータ)として選別部16に出力するようになっている。
【0059】
選別部16は、受信部15からの受信波形データを受けて、タイミングトリガ生成部24が生成したトリガに基づき、受信波形データからUL区間のみの受信波形データを選別して記憶装置30に出力するようになっている。この選別部16は、本発明に係る選別手段を構成する。例えば、選別部16の機能は、受信波形データ記憶部31に対する書込許可信号に相当する。すなわち、受信部15から順次受ける受信波形サンプルデータについて、UL区間に含まれるものは、受信波形データ記憶部31に順次書き込み、UL区間以外の受信波形サンプルデータは、受信波形データ記憶部31に書き込まずに破棄する。
【0060】
記憶装置30の受信波形データ記憶部31は、選別部16からの受信波形データを記憶するようになっている。この受信波形データ記憶部31には、UL区間のみの受信波形データが連なって記憶されることとなる。記憶装置30の区分情報記憶部32は、区分情報生成部23が生成した区分情報を記憶するようになっている。この受信波形データ記憶部31は、本発明に係るデータ記憶手段を構成する。
【0061】
解析部17は、制御装置20から解析項目及び解析条件等の情報を入力し、記憶装置30の区分情報記憶部32に記憶された区分情報を参照し、受信波形データの区分を識別して、受信波形データ記憶部31から受信波形データを読み出し、読み出した受信波形データを解析するようになっている。この構成により、解析部17は、受信波形データ記憶部31に連なって記憶されたUL区間の受信波形データを効率よく確実に読み出して解析することができる。解析結果のデータは、表示制御部18に出力される。解析部17は、本発明に係るデータ解析手段を構成する。
【0062】
表示制御部18は、解析結果のデータを表示部19の画面に表示させる表示制御を行うようになっている。
【0063】
表示部19は、表示制御部18の表示制御に従って、解析結果のデータを画面に表示するようになっている。
【0064】
次に、本実施形態における移動通信端末試験装置1の動作について
図5及び
図6に示すフローチャートを中心に説明する。
【0065】
設定部11は、各種試験条件を試験者に入力させ、移動通信端末試験装置1の各部の動作に必要な設定を行う(ステップS11)。具体的には、設定部11は、TD−LTE規格のフレームにおけるコンフィギュレーション、送信波形データ発生部12の送信波形データ、解析部17の解析項目及び解析条件、動作モード、送信部13の周波数及びレベル、受信部15の周波数等を設定する。ここで、動作モードは同期モードに設定されるものとする。したがって、制御装置20は、移動通信端末6が送信信号を送信するタイミングを把握しており、例えば各フレームの先頭位置を検出可能である。
【0066】
区分情報生成部23は、UL/DL構成情報記憶部21に記憶されたUL/DL構成の情報に基づいて区分情報を生成して区分情報記憶部32に記憶する(ステップS12)。具体的には、
図4を用いて説明したように、コンフィギュレーションに対応したUL/DL構成の情報からUL区間のサブフレームを確認し、UL区間の期間(時間長)と受信得15のADCのサンプリングレートとから受信波形データのサンプル数を求めて、そして、UL区間のデータを受信波形データ記憶部31に記憶した場合の、メモリアドレスの各先頭位置、各末尾位置を求めることにより区分情報を生成する。この区分情報は、区分情報記憶部32に記憶される。
【0067】
送信波形データ発生部12は、送信部13及び結合器14を介し、発生した波形データを試験信号として移動通信端末6に送信する(ステップS13)。この試験信号を受信した移動通信端末6は、試験信号に応答した応答信号を移動通信端末試験装置1に返す。
【0068】
受信部15は、移動通信端末6から、試験信号に応答した応答信号を受信する(ステップS14)。
【0069】
選別部16は、受信部15が受信した応答信号の波形データに対し、波形データ選別記憶処理を行う(ステップS20)。
【0070】
解析部17は、区分情報記憶部32から区分情報を読み出し、読み出した区分情報を用いて受信波形データを順次読み出す(ステップS15)。具体的には、解析部17は、
図4(c)に示した区分情報を用いて、例えば、メモリアドレスの先頭位置0から末尾位置(a−1)までの受信波形データを読み出すことによりデータU1及びU2を得ることができる。
【0071】
解析部17は、読み出した受信波形データについて、設定部11が設定した解析項目及び解析条件に基づいて解析する(ステップS16)。例えば、解析部17は、読み出した受信波形データについて、送信電力値、EVM、隣接チャネル漏洩電力比、エラーレート等を解析する。
【0072】
表示制御部18は、解析部17が解析した解析結果のデータを表示部19の画面に表示させる表示制御を行って表示部19に出力する。表示部19は、表示制御部18の表示制御に従って、解析結果のデータを画面に表示する(ステップS17)。
【0073】
次に、ステップS20の波形データ選別記憶処理について
図6に示すフローチャートに基づき説明する。この波形データ選別記憶処理は、選別部16によって実行される処理である。なお、選別部16は、受信部15から受信波形データを連続して受けている。
【0074】
選別部16は、タイミングトリガ生成部24からUL区間開始トリガを受信したか否かを判断する(ステップS21)。
【0075】
ステップS21において、選別部16は、UL区間開始トリガを受信したと判断した場合は、受信部15からの受信波形データを受信波形データ記憶部31に記憶する(ステップS22)。一方、ステップS21において、選別部16は、UL区間開始トリガを受信したと判断しなかった場合は、後述するステップS24の処理を行う。
【0076】
選別部16は、タイミングトリガ生成部24からUL区間終了トリガを受信したか否かを判断する(ステップS23)。
【0077】
ステップS23において、選別部16は、UL区間終了トリガを受信したと判断した場合は、受信波形データを記憶しない(ステップS24)。一方、選別部16は、UL区間終了トリガを受信したと判断しなかった場合は、ステップS22に戻る。
【0078】
選別部16は、選別処理の終了か否かを判断する(ステップS25)。例えば、選別部16は、制御装置20から選別処理の終了を示す信号を受信した場合は、選別処理の終了と判断する。
【0079】
ステップS25において、選別部16は、選別処理の終了と判断した場合はメインルーチンに戻り、選別処理の終了と判断しなかった場合はステップS21に戻る。
【0080】
以上のように、本実施形態における移動通信端末試験装置1は、同期モードにおいて、選別部16は、タイミングトリガ生成部24が生成したトリガに基づき、受信波形データからUL区間のみの受信波形データを選別して受信波形データ記憶部31に出力し、受信波形データ記憶部31は、フレームに含まれるデータのうち、アップリンクサブフレームのデータのみを記憶するので、ダウンリンクサブフレーム及びアップリンクサブフレームのデータを記憶する従来のものよりも記憶するデータ量を大幅に削減することができる。
【0081】
したがって、本実施形態における移動通信端末試験装置1は、同期モードにおいて、移動通信端末7からの受信信号の波形を従来よりも長時間に亘って記憶し一括して解析を行うことが可能となるので、移動通信端末7の試験の効率化を図ることができる。
【0082】
なお、前述の実施形態において、移動通信端末試験装置1が移動通信端末6に対してTD−LTE規格に対する試験を行う例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、時分割複信方式に基づいた規格(例えばTD−SCDMA規格)において適用可能であり、同様な効果が得られる。
【0083】
(第2実施形態)
図7に示すように、本実施形態における移動通信端末試験装置2は、第1実施形態における移動通信端末試験装置1(
図3参照)の一部を変更したものである。したがって、第1実施形態と同様な構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0084】
移動通信端末試験装置2は、制御装置40及び選別部50を備え、同期モードで動作する移動通信端末6を試験する装置である。制御装置40は、第1実施形態における制御装置20からタイミングトリガ生成部24を取り除いたものである。この制御装置40は、UL/DL構成情報記憶部21に記憶されたUL/DL構成情報を選別部50に出力するようになっている。
【0085】
選別部50は、受信部15からの受信波形データを受けて、UL/DL構成情報記憶部21に記憶されたUL/DL構成に基づき、受信波形データからUL区間のみの受信波形データを選別して記憶装置30に出力するようになっている。この選別部50は、本発明に係る選別手段を構成する。
【0086】
本実施形態におけるUL/DL構成情報は、TD−LTE規格のフレームにおけるUL区間及びDL区間の構成を示す情報と、UL区間の時間的位置の情報と、を含む。各区間の時間的位置の情報は、
図8に示すように、例えば、フレームの先頭位置から1個目のUL区間は時間t1〜t2、2個目のUL区間は時間t2〜t3というように示される。なお、各区間の時間的位置の情報が、UL区間及びDL区間の各時間的位置の情報を含むものであってもよい。
【0087】
制御装置40は、同期モードで動作するので移動通信端末6が送信信号を送信するタイミングを把握しており、各フレームの先頭位置を検出可能であるので、各UL区間の時間的位置を取得できる。
【0088】
この構成により、選別部50は、受信波形データからUL区間のみの受信波形データを選別して記憶装置30に出力することができる。
【0089】
したがって、本実施形態における移動通信端末試験装置2は、比較的簡単な構成で、受信波形データからUL区間のみの受信波形データを選別することができる。
【0090】
以上のように、本実施形態における移動通信端末試験装置2は、同期モードにおいて、選別部50は、TD−LTE規格のフレームにおけるUL区間及びDL区間の構成を示す情報と、各区間の時間的位置の情報と、に基づき、受信波形データからUL区間のみの受信波形データを選別して受信波形データ記憶部31に出力し、受信波形データ記憶部31は、フレームに含まれるデータのうち、アップリンクサブフレームのデータのみを記憶するので、ダウンリンクサブフレーム及びアップリンクサブフレームのデータを記憶する従来のものよりも記憶するデータ量を大幅に削減することができる。
【0091】
したがって、本実施形態における移動通信端末試験装置2は、同期モードにおいて、移動通信端末7からの受信信号の波形を従来よりも長時間に亘って記憶し一括して解析を行うことが可能となるので、移動通信端末7の試験の効率化を図ることができる。
【0092】
(第3実施形態)
図9に示すように、本実施形態における移動通信端末試験装置3は、第2実施形態における移動通信端末試験装置2(
図7参照)の一部を変更したものである。したがって、第2実施形態と同様な構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0093】
本実施形態における移動通信端末試験装置3は、被試験端末であって非同期モードで動作する移動通信端末7を試験するものである。
【0094】
移動通信端末試験装置3は、選別装置60を備えている。選別装置60は、同期処理部61、選別部62を備えている。
【0095】
同期処理部61は、同期バッファ61a、タイミングトリガ生成部61bを備え、移動通信端末試験装置3と移動通信端末7との間の非同期の通信状態からUL区間を検出するようになっている。
【0096】
同期バッファ61aは、受信部15から受信波形データを受信して記憶するようになっている。
【0097】
タイミングトリガ生成部61bは、制御装置40から受信波形データの取り込み開始を示す取込開始信号を受信すると、同期バッファ61aが記憶した受信波形データを読み込み、例えばレベルトリガの処理によりUL区間にあるスロットを検出し、検出したスロットを解析してそのスロットに含まれる個別の同期信号によりそのスロットを識別するようになっている。ここで、個別の同期信号は、本発明に係る個別の識別情報を構成する。
【0098】
また、タイミングトリガ生成部61bは、識別したスロットと、UL/DL構成情報記憶部21に記憶されたUL/DL構成と、同期バッファ61aが取り込んだ受信波形データと、に基づき、UL区間開始トリガ及びUL区間終了トリガを生成して選別部62に出力するようになっている。
【0099】
選別部62は、同期バッファ61aから受信波形データを読み出し、タイミングトリガ生成部61bが生成したトリガに基づき、受信波形データからUL区間のみの受信波形データを選別して記憶装置30に出力するようになっている。この選別部62は、本発明に係る選別手段を構成する。
【0100】
ここで、選別装置60の機能について
図10に基づいて説明する。なお、フレームの構成としてコンフィギュレーション1(
図1(b)参照)が選択されているものとする。
【0101】
図10(a)は、同期バッファ61aが受信部15から受信して記憶した受信波形データを示している。図示した矢印の時間的位置で、制御装置40から取込開始信号が選別装置60に送信されたものとする。移動通信端末試験装置3は、非同期モードで動作するので、受信波形データにおけるUL区間の時間的位置は不明である。なお、取込開始信号以降に出現する最初のサブフレームをサブフレーム65で表す。
【0102】
タイミングトリガ生成部61bは、取込開始信号を受信した時間的位置から例えばレベルトリガ処理により、UL区間にあるスロットを検出する。
図10(b)に示すように、サブフレーム65が、その前半にスロット65a、後半にスロット65bを有しているとすると、タイミングトリガ生成部61bは、最初にスロット65aを検出することになる。TD−LTE規格において、各スロットにはそれぞれに固有の同期信号を含めるよう定められている。したがって、タイミングトリガ生成部61bは、スロット65aがサブフレーム#2の前半に含まれるスロットであることを識別でき、さらに、制御装置40からのUL/DL構成情報からサブフレーム#2がULサブフレームであると判断できる。
【0103】
さらに、制御装置40からのUL/DL構成情報及びサブフレーム#2の検出結果から、タイミングトリガ生成部61bは、
図10(c)に示すように、サブフレーム#3、#7、#8の時間的な位置も取得でき、UL区間開始トリガ及びUL区間終了トリガを選別部62に出力することができる。
【0104】
次に、本実施形態における移動通信端末試験装置3の動作について
図11及び
図12に示すフローチャートを中心に説明する。なお、移動通信端末試験装置1の動作(
図5参照)と同様なステップには同一の符号を付してその説明を省略する。
【0105】
ステップS14において受信部15が移動通信端末6から試験信号に応答した応答信号を受信した後、同期バッファ61aは、受信部15から受信波形データを受信して記憶する(ステップS31)。
【0106】
タイミングトリガ生成部61bは、トリガ生成処理を行う(ステップS40)。すなわち、
図12に示すように、タイミングトリガ生成部61bは、同期バッファ61aが記憶した受信波形データを読み込み、例えばレベルトリガの処理によりUL区間にあるスロットを検出する(ステップS41)。
【0107】
タイミングトリガ生成部61bは、検出したスロットに含まれる固有の同期信号に基づき、そのスロットを解析してスロットを識別する(ステップS42)。
【0108】
タイミングトリガ生成部61bは、識別したスロットの情報及びUL/DL構成情報に基づき、UL区間開始トリガ及びUL区間終了トリガを生成し、UL区間の開始又は終了のタイミングで選別部62に出力し(ステップS43)、メインルーチンに戻る。
【0109】
以上のように、本実施形態における移動通信端末試験装置3は、非同期モードにおいて、選別部62は、タイミングトリガ生成部61bが生成したトリガに基づき、受信波形データからUL区間のみの受信波形データを選別して受信波形データ記憶部31に出力し、受信波形データ記憶部31は、フレームに含まれるデータのうち、アップリンクサブフレームのデータのみを記憶するので、ダウンリンクサブフレーム及びアップリンクサブフレームのデータを記憶する従来のものよりも記憶するデータ量を大幅に削減することができる。
【0110】
したがって、本実施形態における移動通信端末試験装置3は、非同期モードにおいて、移動通信端末7からの受信信号の波形を従来よりも長時間に亘って記憶し一括して解析を行うことが可能となるので、移動通信端末7の試験の効率化を図ることができる。
【0111】
(第4実施形態)
図13に示すように、本実施形態における移動通信端末試験装置4は、第3実施形態における移動通信端末試験装置3(
図9参照)の一部を変更したものである。したがって、第3実施形態と同様な構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0112】
本実施形態における移動通信端末試験装置4は、被試験端末であって非同期モードで動作する移動通信端末7を試験するものである。
【0113】
移動通信端末試験装置4は、制御装置70、選別装置80を備えている。制御装置70は、システムタイミング制御部22を備えている。この制御装置70は、第3実施形態における制御装置40(
図9参照)からUL/DL構成情報記憶部21及び区分情報生成部23を除いたものである。選別装置80は、同期処理部81、区分情報生成部82、選別部83を備えている。
【0114】
同期処理部81は、同期バッファ81a、UL/DL構成情報取得部81b、タイミングトリガ生成部81cを備え、移動通信端末試験装置4と移動通信端末7との間の非同期の通信状態からUL区間を検出するようになっている。
【0115】
同期バッファ81aは、受信部15から受信波形データを受信して記憶するようになっている。
【0116】
UL/DL構成情報取得部81bは、制御装置70から受信波形データの取り込み開始を示す取込開始信号を受信すると、同期バッファ81aが記憶した受信波形データを読み込み、例えばレベルトリガの処理によりUL区間にあるスロットを検出し、検出したスロットを解析してそのスロットに含まれる個別の同期信号によりそのスロットを識別してUL/DL構成情報を取得するようになっている。このUL/DL構成情報取得部81bは、本発明に係るフレーム構成情報取得手段を構成する。
【0117】
タイミングトリガ生成部81cは、UL/DL構成情報取得部81bが取得したUL/DL構成と、同期バッファ81aが取り込んだ受信波形データと、に基づき、UL区間開始トリガ及びUL区間終了トリガを生成して選別部83に出力するようになっている。
【0118】
区分情報生成部82は、UL/DL構成情報取得部81bが取得したUL/DL構成情報に基づいて、解析部17の解析処理の前に予め区分情報を生成するようになっている。また、区分情報生成部82は、生成した区分情報を記憶装置30の区分情報記憶部32に記憶するようになっている。この区分情報生成部82は、本発明に係る区分情報生成手段を構成する。
【0119】
選別部83は、同期バッファ81aから受信波形データを読み出し、タイミングトリガ生成部81cが生成したUL区間開始トリガ及びUL区間終了トリガに基づき、受信波形データからUL区間のみの受信波形データを選別して記憶装置30に出力するようになっている。この選別部83は、本発明に係る選別手段を構成する。
【0120】
ここで、選別装置80の機能について
図14に基づいて説明する。
図14(a)は、同期バッファ81aが受信部15から受信して記憶した受信波形データを示している。図示した矢印の時間的位置で、制御装置70から取込開始信号が選別装置80に送信されたものとする。
【0121】
UL/DL構成情報取得部81bは、取込開始信号を受信した時間的位置から1フレーム長以上にわたって例えばレベルトリガ処理により、UL区間にあるスロットを検出し、各スロットに含まれる固有の同期信号に基づいて各スロットを識別する。その結果、UL/DL構成情報取得部81bは、例えば、
図10(b)に示すように、1フレーム分のUL/DL構成情報が取得できる。
【0122】
したがって、タイミングトリガ生成部81cは、UL/DL構成情報取得部81bが取得したUL/DL構成情報に基づき、
図10(c)に示すように、UL区間開始トリガ及びUL区間終了トリガを選別部83に出力することができる。
【0123】
次に、本実施形態における移動通信端末試験装置4の動作について
図15に示すフローチャートを中心に説明する。
図15に示したフローチャートは、第3実施形態における移動通信端末試験装置3のトリガ生成処理(
図12参照)に代わるものである。すなわち、移動通信端末試験装置4の動作は、第3実施形態における移動通信端末試験装置3の動作に対し、
図11に示したフローチャートのステップS40の処理内容が異なっている。
【0124】
図15に示すように、UL/DL構成情報取得部81bは、同期バッファ81aが記憶した受信波形データを読み込み、レベルトリガの処理によりUL区間にあるスロットを検出する(ステップS51)。
【0125】
UL/DL構成情報取得部81bは、検出したスロットに含まれる固有の同期信号に基づき、そのスロットを解析してスロットを識別する(ステップS52)。
【0126】
UL/DL構成情報取得部81bは、少なくとも1フレーム分の各スロットの識別情報から1フレーム分のUL/DL構成情報を取得する(ステップS53)。
【0127】
区分情報生成部82は、UL/DL構成情報取得部81bが取得したUL/DL構成情報に基づいて区分情報を生成し、記憶装置30の区分情報記憶部32に記憶する(ステップS54)。
【0128】
タイミングトリガ生成部81cは、UL/DL構成情報取得部81bが取得したUL/DL構成と、同期バッファ81aが取り込んだ受信波形データと、に基づき、UL区間開始トリガ及びUL区間終了トリガを生成し、UL区間の開始又は終了のタイミングで選別部83に出力して(ステップS55)、メインルーチンに戻る。
【0129】
以上のように、本実施形態における移動通信端末試験装置4は、非同期モードにおいて、選別部83は、同期バッファ81aから受信波形データを読み出し、タイミングトリガ生成部81cが生成したUL区間開始トリガ及びUL区間終了トリガに基づき、受信波形データからUL区間のみの受信波形データを選別して受信波形データ記憶部31に出力し、受信波形データ記憶部31は、フレームに含まれるデータのうち、アップリンクサブフレームのデータのみを記憶するので、ダウンリンクサブフレーム及びアップリンクサブフレームのデータを記憶する従来のものよりも記憶するデータ量を大幅に削減することができる。
【0130】
したがって、本実施形態における移動通信端末試験装置4は、非同期モードにおいて、移動通信端末7からの受信信号の波形を従来よりも長時間に亘って記憶し一括して解析を行うことが可能となるので、移動通信端末7の試験の効率化を図ることができる。