【実施例】
【0040】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
<触媒の調製>
(実施例1)
MFI構造でケイ素/アルミニウムのモル比率(Si/Al比)が35のプロトン型結晶性アルミノシリケート30gに、2.5質量%(結晶性アルミノシリケート総質量を100質量%とした値)のセリウムが含有されるように硝酸セリウム(III)水溶液を浸漬し、80℃に加熱して攪拌することで、セリウムイオンとアルミニウムのプロトンとをイオン交換させた後、120℃で乾燥させた。その後、空気流通下、780℃で3時間焼成して、セリウム含有結晶性アルミノシリケートからなる触媒を得た。
得られた触媒に39.2MPa(400kgf)の圧力をかけて打錠成型し、粗粉砕して20〜28メッシュ(平均粒子径0.65〜0.85mm)のサイズに揃えて、粒状体の触媒1(以下、「粒状化触媒1」という。)を得た。粒状化触媒1のSi/Al比は35、セリウム含有量(触媒全量基準)は2.5質量%であった。
【0042】
(実施例2)
MFI構造でケイ素/アルミニウムのモル比率(Si/Al比)が35のプロトン型結晶性アルミノシリケート30gに、5質量%(結晶性アルミノシリケート総質量を100質量%とした値)のセリウムが含有されるようにした以外は実施例1と同様にして、セリウム含有結晶性アルミノシリケートからなる粒状体の触媒2(以下、「粒状化触媒2」という。)を得た。粒状化触媒2のSi/Al比は35、セリウム含有量(触媒全量基準)は5質量%であった。
【0043】
(実施例3)
MFI構造でケイ素/アルミニウムのモル比率(Si/Al比)が35のプロトン型結晶性アルミノシリケート30gに、2.4質量%(結晶性アルミノシリケート総質量を100質量%とした値)のランタンが含有されるように、硝酸ランタン(III)水溶液を浸漬し、80℃に加熱して攪拌することで、ランタンイオンとアルミニウムのプロトンとをイオン交換させた後、120℃で乾燥させた。その後、空気流通下、780℃で3時間焼成して、ランタン含有結晶性アルミノシリケートからなる触媒を得た。その後、実施例1と同様に打錠成型し、粒状体の触媒3(以下、「粒状化触媒3」という。)を得た。粒状化触媒3のSi/Al比は35、ランタン含有量(触媒全量基準)は2.4質量%であった。
【0044】
(実施例4)
MFI構造でケイ素/アルミニウムのモル比率(Si/Al比)が35のプロトン型結晶性アルミノシリケート30gに、4.8質量%(結晶性アルミノシリケート総質量を100質量%とした値)のランタンが含有されるようにした以外は実施例3と同様にして、ランタン含有結晶性アルミノシリケートからなる粒状体の触媒4(以下、「粒状化触媒4」という。)を得た。粒状化触媒4のSi/Al比は35、ランタン含有量(触媒全量基準)は4.8質量%であった。
【0045】
(実施例5)
MFI構造でケイ素/アルミニウムのモル比率(Si/Al比)が35のプロトン型結晶性アルミノシリケート30gに、1質量%(結晶性アルミノシリケート総質量を100質量%とした値)のセリウムが含有されるようにし、120℃で乾燥させた。その後、空気流通下、780℃で3時間焼成して、セリウム含有結晶性アルミノシリケートを得た。
得られたセリウム含有結晶性アルミノシリケート31gに、0.7質量%のリン(触媒全重量を100質量%とした値)が含有されるようにリン酸水素二アンモニウム水溶液30gを含浸させ、120℃で乾燥させた。その後、空気流通下、780℃で3時間焼成して、結晶性アルミノシリケートとセリウムとリンとを含有する触媒を得た。
得られた触媒に39.2MPa(400kgf)の圧力をかけて打錠成型し、粗粉砕して20〜28メッシュ(平均粒子径0.65〜0.85mm)のサイズに揃えて、粒状体の触媒5(以下、「粒状化触媒5」という。)を得た。粒状化触媒5のSi/Al比は35、セリウム含有量(触媒全量基準)は1質量%、リン含有量は(触媒全量基準)は0.7質量%であった。
【0046】
(実施例6)
MFI構造でケイ素/アルミニウムのモル比率(Si/Al比)が15のプロトン型結晶性アルミノシリケート30gに、5.8質量%(結晶性アルミノシリケート総質量を100質量%とした値)のセリウムが含有されるようにした以外は実施例1と同様にして、セリウム含有結晶性アルミノシリケートからなる粒状体の触媒6(以下、「粒状化触媒6」という。)を得た。粒状化触媒6のSi/Al比は15、セリウム含有量(触媒全量基準)は5.8質量%であった。
【0047】
(実施例7)
MFI構造でケイ素/アルミニウムのモル比率(Si/Al比)が15のプロトン型結晶性アルミノシリケート30gに、5.6質量%(結晶性アルミノシリケート総質量を100質量%とした値)のランタンが含有されるようにした以外は実施例3と同様にして、ランタン含有結晶性アルミノシリケートからなる粒状体の触媒7(以下、「粒状化触媒7」という。)を得た。粒状化触媒7のSi/Al比は15、ランタン含有量(触媒全量基準)は5.6質量%であった。
【0048】
(実施例8)
MFI構造でケイ素/アルミニウムのモル比率(Si/Al比)が200のプロトン型結晶性アルミノシリケート30gに、0.43質量%(結晶性アルミノシリケート総質量を100質量%とした値)のセリウムが含有されるようにした以外は実施例1と同様にして、セリウム含有結晶性アルミノシリケートからなる粒状体の触媒8(以下、「粒状化触媒8」という。)を得た。粒状化触媒8のSi/Al比は200、セリウム含有量(触媒全量基準)は0.43質量%であった。
【0049】
(実施例9)
MFI構造でケイ素/アルミニウムのモル比率(Si/Al比)が35のプロトン型結晶性アルミノシリケート30gに、2.5質量%(結晶性アルミノシリケート総質量を100質量%とした値)のセリウムが含有されるようにし、120℃で乾燥させた。その後、空気流通下、780℃で3時間焼成して、セリウム含有結晶性アルミノシリケートを得た。
得られたセリウム含有結晶性アルミノシリケート32.5gに、0.2質量%のガリウム(触媒全重量を100質量%とした値)が含有されるように硝酸ガリウム水溶液31gを含浸させ、120℃で乾燥させた。その後、空気流通下、780℃で3時間焼成して、結晶性アルミノシリケートとセリウムとガリウムとを含有する触媒を得た。
得られた触媒に39.2MPa(400kgf)の圧力をかけて打錠成型し、粗粉砕して20〜28メッシュ(平均粒子径0.65〜0.85mm)のサイズに揃えて、粒状体の触媒9(以下、「粒状化触媒9」という。)を得た。粒状化触媒9のSi/Al比は35、ガリウム含有量(触媒全量基準)は0.2質量%、セリウム含有量(触媒全量基準)は2.5質量%であった。
【0050】
(実施例10)
希硫酸に硅酸ナトリウム(Jケイ酸ソーダ3号、SiO
2:28〜30質量%、Na:9〜10質量%、残部水、日本化学工業(株)製)104gと純水の混合溶液を滴下し、バインダーとしてシリカゾル水溶液(SiO
2濃度10.2%)を調製した。一方、実施例1で調製した結晶性アルミノシリケートとセリウムとを含有する触媒20.0gに蒸留水を加え、ゼオライトスラリーを調製した。上記のゼオライトスラリーとシリカゾル水溶液292gを混合し、さらに硝酸セリウム(III)水溶液を4質量%のセリウム(触媒全重量を100質量%とした値)が含有されるように、硝酸セリウム(III)水溶液200gを添加し、調製したスラリーを250℃で噴霧乾燥し、球形触媒を得た。その後、600℃で3時間焼成し、平均粒子径が85μm、かさ密度が0.76g/ccであるシリカバインダーを含有する粉末状の触媒1(以下、「粉末状触媒1」という。)を得た。
また、粉末状触媒1のセリウム含有量(触媒全量基準)は5質量%であった。
【0051】
(実施例11)
希硫酸に硅酸ナトリウム(Jケイ酸ソーダ3号、SiO
2:28〜30質量%、Na:9〜10質量%、残部水、日本化学工業(株)製)105gと純水の混合溶液を滴下し、バインダーとしてシリカゾル水溶液(SiO
2濃度10.2%)を調製した。一方、実施例3で調製した結晶性アルミノシリケートとランタンとを含有する触媒19.8gに蒸留水を加え、ゼオライトスラリーを調製した。上記のゼオライトスラリーとシリカゾル水溶液298gを混合し、さらに硝酸ランタン(III)水溶液を4質量%のランタン(触媒全重量を100質量%とした値)が含有されるように、硝酸ランタン(III)水溶液198gを添加し、調製したスラリーを250℃で噴霧乾燥し、球形触媒を得た。その後、600℃で3時間焼成し、平均粒子径が84μm、かさ密度が0.75g/ccであるシリカバインダーを含有する粉末状の触媒2(以下、「粉末状触媒2」という。)を得た。
また、粉末状触媒2のランタン含有量(触媒全量基準)は5質量%であった。
【0052】
(実施例12)
希硫酸に硅酸ナトリウム(Jケイ酸ソーダ3号、SiO
2:28〜30質量%、Na:9〜10質量%、残部水、日本化学工業(株)製)105gと純水の混合溶液を滴下し、バインダーとしてシリカゾル水溶液(SiO
2濃度10.2%)を調製した。一方、実施例1で調製した結晶性アルミノシリケートとセリウムとを含有する触媒20.2gに蒸留水を加え、ゼオライトスラリーを調製した。上記のゼオライトスラリーとシリカゾル水溶液296gを混合し、さらに硝酸セリウム(III)水溶液を24質量%のセリウム(触媒全重量を100質量%とした値)が含有されるように、硝酸セリウム(III)水溶液200gを添加し、調製したスラリーを250℃で噴霧乾燥し、球形触媒を得た。その後、600℃で3時間焼成し、平均粒子径が85μm、かさ密度が0.76g/ccであるシリカバインダーを含有する粉末状の触媒3(以下、「粉末状触媒3」という。)を得た。
また、粉末状触媒3のセリウム含有量(触媒全量基準)は25質量%であった。
【0053】
(実施例13)
希硫酸に硅酸ナトリウム(Jケイ酸ソーダ3号、SiO
2:28〜30質量%、Na:9〜10質量%、残部水、日本化学工業(株)製)108gと純水の混合溶液を滴下し、バインダーとしてシリカゾル水溶液(SiO
2濃度10.2%)を調製した。一方、実施例3で調製した結晶性アルミノシリケートとランタンとを含有する触媒20.7gに蒸留水を加え、ゼオライトスラリーを調製した。上記のゼオライトスラリーとシリカゾル水溶液294gを混合し、さらに硝酸ランタン(III)水溶液を24質量%のランタン(触媒全重量を100質量%とした値)が含有されるように、硝酸ランタン(III)水溶液200gを添加し、調製したスラリーを250℃で噴霧乾燥し、球形触媒を得た。その後、600℃で3時間焼成し、平均粒子径が84μm、かさ密度が0.75g/ccであるシリカバインダーを含有する粉末状の触媒4(以下、「粉末状触媒4」という。)を得た。
また、粉末状触媒4のランタン含有量(触媒全量基準)は25質量%であった。
【0054】
(実施例14)
希硫酸に硅酸ナトリウム(Jケイ酸ソーダ3号、SiO
2:28〜30質量%、Na:9〜10質量%、残部水、日本化学工業(株)製)106gと純水の混合溶液を滴下し、バインダーとしてシリカゾル水溶液(SiO
2濃度10.2%)を調製した。一方、実施例5で調製した結晶性アルミノシリケート、セリウムとリンとを含有する触媒20.2gに蒸留水を加え、ゼオライトスラリーを調製した。上記のゼオライトスラリーとシリカゾル水溶液300gを混合し、さらに硝酸セリウム(III)水溶液を19.6質量%のセリウム(触媒全重量を100質量%とした値)が含有されるように、硝酸セリウム(III)水溶液200gを添加するとともに、0.42質量%のリン(触媒全重量を100質量%とした値)が含有されるように、リン酸二水素アンモニウム水溶液30gを添加し、調製したスラリーを250℃で噴霧乾燥し、球形触媒を得た。その後、600℃で3時間焼成し、平均粒子径が85μm、かさ密度が0.75g/ccであるシリカバインダーを含有する粉末状の触媒5(以下、「粉末状触媒5」という。)を得た。
また、粉末状触媒5のセリウム含有量(触媒全量基準)は20質量%、リン含有量(触媒全量基準)は0.7質量%であった。
【0055】
(比較例1)
MFI構造でケイ素/アルミニウムのモル比率(Si/Al比)が35のプロトン型結晶性アルミノシリケート30gに、12質量%(結晶性アルミノシリケート総質量を100質量%とした値)のセリウムが含有されるようにした以外は実施例1と同様にして、セリウム担持結晶性アルミノシリケートからなる粒状体の触媒10(以下、「粒状化触媒10」という。)を得た。粒状化触媒10のSi/Al比は35、セリウム含有量(触媒全量基準)は12質量%であった。また、結晶性アルミノシリケートに対するセリウム含有量(元素換算)も12質量%であった。
【0056】
(比較例2)
MFI構造でケイ素/アルミニウムのモル比率(Si/Al比)が35のプロトン型結晶性アルミノシリケートを、粒状体の触媒11(以下、「粒状化触媒11」という。)とした。
【0057】
(比較例3)
希硫酸に硅酸ナトリウム(Jケイ酸ソーダ3号、SiO
2:28〜30質量%、Na:9〜10質量%、残部水、日本化学工業(株)製)110gと純水の混合溶液を滴下し、バインダーとしてシリカゾル水溶液(SiO
2濃度10.2%)を調製した。一方、実施例1で調製した結晶性アルミノシリケートとセリウムとを含有する触媒20.7gに蒸留水を加え、ゼオライトスラリーを調製した。上記のゼオライトスラリーとシリカゾル水溶液302gを混合し、さらに硝酸セリウム(III)水溶液を39質量%のセリウム(触媒全重量を100質量%とした値)が含有されるように、硝酸セリウム(III)水溶液300gを添加し、調製したスラリーを250℃で噴霧乾燥し、球形触媒を得た。その後、600℃で3時間焼成し、平均粒子径が88μm、かさ密度が0.77g/ccであるシリカバインダーを含有する粉末状の触媒6(以下、「粉末状触媒6」という。)を得た。
また、粉末状触媒6のセリウム含有量(触媒全量基準)は40質量%であった。
【0058】
<評価>
[反応初期の単環芳香族炭化水素収率の測定:評価1]
得られた粒状化触媒1〜11を用いて反応初期の触媒活性を、以下のように評価した。
粒状化触媒(10ml)を反応器に充填した流通式反応装置を用い、反応温度:550℃、反応圧力:0MPaGの条件で、表1の性状を有する原料油を粒状化触媒と接触、反応させた。その際、原料油と粒状化触媒との接触時間が7秒となるように希釈剤として窒素を導入した。
この条件にて30分反応させて、炭素数6〜8の単環芳香族炭化水素を製造し、反応装置に直結されたFIDガスクロマトグラフにより生成物の組成分析を行った。液体生成物はFIDガスクロマトグラフにより生成物の組成分析を行って、反応初期の単環芳香族炭化水素の収率を測定した。測定結果を表2に示す。
【0059】
[擬似定常状態の単環芳香族炭化水素収率の測定:評価2]
得られた粒状化触媒1〜11を、各々、処理温度650℃、処理時間6時間、水蒸気100質量%の環境下で水熱処理することにより、擬似的に水熱劣化させて、擬似定常状態の擬似劣化粒状化触媒1〜11を得た。この水熱劣化させた触媒を用いることにより、擬似的な定常状態での単環芳香族炭化水素の収率を評価することができる。
上記擬似劣化粒状化触媒を粒状化触媒の代わりに各々用いた以外は評価1と同様に、原料油を反応させ、得られた生成物の組成分析を行って、単環芳香族炭化水素収率を測定した。測定結果を表4に示す。
【0060】
[反応初期の単環芳香族炭化水素収率の測定:評価3]
得られた粉末状触媒1〜6を用いて反応初期の触媒活性を、以下のように評価した。
粉末状触媒(400g)を反応器に充填した流通式反応装置を用い、反応温度:550℃、反応圧力:0.1MPaGの条件で、表1の性状を有する原料油を粉末状触媒と接触、反応させた。その際、直径60mmである反応管に粉末状触媒を充填した。原料油と粉末状触媒との接触時間が10秒となるように希釈剤として窒素を導入した。
この条件にて10分反応させて、炭素数6〜8の単環芳香族炭化水素を製造し、反応装置に直結されたFIDガスクロマトグラフにより生成物の組成分析を行って、反応初期の単環芳香族炭化水素収率を測定した。測定結果を表3に示す。
【0061】
[擬似定常状態の単環芳香族炭化水素収率の測定:評価4]
粉末状触媒1〜6を、処理温度650℃、処理時間6時間、水蒸気100質量%の環境下で水熱処理することにより、擬似的に水熱劣化させた擬似劣化粉末状触媒1〜6を得た。
粉末状触媒1〜6の代わりに擬似劣化粉末状触媒1〜6を用いた以外は評価3と同様に、原料油と反応させ、得られた生成物の組成分析を行って水熱劣化後の単環芳香族炭化水素収率を測定した。測定結果を表5に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】
<結果>
セリウムまたはランタンの含有量が元素換算で結晶性アルミノシリケートに対して0.43〜5.8質量%である、セリウムまたはランタンを含有する粒状化触媒1〜9を用いた実施例1〜9の単環芳香族炭化水素の収率(質量%)は、それぞれ、37、31、36、32、39、36、37、29、39であり、セリウムの含有量が元素換算で結晶性アルミノシリケートに対して12質量%である粒状化触媒10を用いた比較例1、および、セリウムまたはランタンを含有しない結晶性アルミノシリケートである粒状化触媒11を用いた比較例2の単環芳香族炭化水素の収率(質量%)は、それぞれ、9、23であった。したがって実施例1〜9は比較例1、2よりも単環芳香族炭化水素の収率が優れることが分かった。
【0068】
セリウムまたはランタンの含有量が元素換算で触媒全重量に対して5〜25質量%である粉末状触媒1〜4を用いた実施例10〜13の単環芳香族炭化水素の収率は36、35、33、32質量%であり、セリウムおよびリンを含有する粉末状触媒5を用いた実施例14の単環芳香族炭化水素の収率は34質量%であった。一方、セリウムの含有量が元素換算で触媒全重量に対して40質量%である粉末状触媒6を用いた比較例3の単環芳香族炭化水素の収率は25質量%であった。したがって実施例10〜14は比較例3よりも単環芳香族炭化水素の収率が優れることが分かった。
【0069】
さらに、セリウムまたはランタンの含有量が元素換算で結晶性アルミノシリケートに対して0.43〜5.8質量%である擬似劣化粒状化触媒1〜9を用いた実施例1〜9の単環芳香族炭化水素の収率(質量%)は、それぞれ、30、26、30、26、31、32、37、25、31となり、擬似定常状態における触媒活性が良好で、目的とする単環芳香族炭化水素を収率良く得られた。
一方、セリウムの含有量が元素換算で結晶性アルミノシリケートに対して12質量%と多量のセリウムを含有した擬似劣化粒状化触媒10を用いた比較例1の単環芳香族炭化水素の収率は5質量%と擬似定常状態においても単環芳香族炭化水素の収率が低く、セリウムまたはランタンを含有しない結晶性アルミノシリケートである擬似劣化粒状化触媒11を用いた比較例2の単環芳香族炭化水素の収率は8質量%であり、擬似定常状態における単環芳香族炭化水素の収率が著しく低下し、触媒劣化が著しく実用的でないことが分かった。
【0070】
また、セリウムまたはランタンの含有量が元素換算で触媒重量に対して5〜25質量%である擬似劣化粉末状触媒1〜4を用いた実施例10〜13の単環芳香族炭化水素の収率は24、24、25、26質量%となり、さらに、セリウムおよびリンを含有する擬似劣化粉末状触媒5を用いた実施例14の単環芳香族炭化水素の収率は26質量%となり、擬似定常状態における触媒活性が良好で、目的とする単環芳香族炭化水素を収率良く得られた。
一方、セリウムの含有量が元素換算で触媒重量に対して40質量%と多量のセリウムを含有する擬似劣化粉末状触媒6を用いた比較例3の単環芳香族炭化水素の収率は7質量%と単環芳香族炭化水素の収率が著しく低下し、触媒劣化が著しく実用的でないことが分かった。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。