(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750440
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】脳のファイババンドル顕微鏡法のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 19/00 20060101AFI20150702BHJP
A61D 1/00 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
A61B19/00 506
A61B19/00 503
A61D1/00 Z
【請求項の数】23
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-522278(P2012-522278)
(86)(22)【出願日】2010年7月19日
(65)【公表番号】特表2013-500109(P2013-500109A)
(43)【公表日】2013年1月7日
(86)【国際出願番号】IB2010002310
(87)【国際公開番号】WO2011013011
(87)【国際公開日】20110203
【審査請求日】2013年4月24日
(31)【優先権主張番号】61/229,677
(32)【優先日】2009年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504243970
【氏名又は名称】マウナ ケア テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ボウラロト、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】クレサント、アルノー
【審査官】
井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−280742(JP,A)
【文献】
特表2010−528763(JP,A)
【文献】
特表2002−502276(JP,A)
【文献】
特開2001−327474(JP,A)
【文献】
特開2001−161625(JP,A)
【文献】
特開平11−137568(JP,A)
【文献】
特表平10−503105(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0306375(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 19/00
A61D 1/00
A61D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由行動動物の脳の特定部位にファイババンドルプローブのファイババンドルを位置決めする頭蓋内インプラントであって、
前記動物の頭蓋に掘削された開口の上で前記頭蓋に接触して固着されるベースサポートと、
前記掘削された開口を通じて前記動物の脳に前記ファイババンドルを案内するよう前記ベースサポートに貫設された中空導管と、を備え、前記ファイババンドルは、光を伝送するよう構成され、前記頭蓋内インプラントを通じて動物の脳に挿入される遠位端を備えており、
前記ファイババンドルプローブのフェルールが前記ファイババンドルの遠位部に配設されており、前記頭蓋内インプラントは、前記フェルールと協働するよう前記ベースサポートに配設された第1係止部材であって、前記動物の脳の特定部位に前記ファイババンドルを係止するよう構成されている第1係止部材を備える頭蓋内インプラント。
【請求項2】
前記第1係止部材は、前記中空導管から離れて前記ベースサポートに配設されている、請求項1に記載の頭蓋内インプラント。
【請求項3】
前記第1係止部材は、前記ベースサポートに実質的に垂直であるピンを備える、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記ピンの一部分は、前記ベースサポートに一体である、請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記ピンは、
前記ベースサポートの第2ねじ部に協働する第1ねじ部を備え、前記ベースサポートに配設された第1部分であって、前記ベースサポートに実質的に垂直な方向に前記ピンの位置を調整するよう構成されている第1部分と、
同心に配設された係止シリンダを備える第2部分と、をさらに備え、前記係止シリンダは、前記ピンの長手軸に関する並進を固定されかつ前記軸まわりに回転自在である、請求項3に記載のインプラント。
【請求項6】
前記ピンは、
前記ベースサポートに配設された第1部分であって、前記ピンの長手軸に関する並進を固定されかつ前記軸まわりに回転自在である第1部分と、
係止シリンダの第2ねじ部に協働する第1ねじ部を備える第2部分と、をさらに備え、前記係止シリンダは前記第2部分に同心に周設され、前記第2部分は、前記ベースサポートに実質的に垂直な方向に前記係止シリンダの位置を調整するよう構成されている、請求項3に記載のインプラント。
【請求項7】
請求項1に記載の頭蓋内インプラントと協働して脳のファイババンドル顕微鏡法に有用であるファイババンドルプローブであって、
前記頭蓋内インプラントを通じて動物の脳に挿入される遠位端を有する光伝送用のファイババンドルと、
前記光伝送用のファイババンドルの遠位部に配設された前記フェルールと、を備え、前記フェルールは、前記頭蓋内インプラントの前記第1係止部材と協働するとともに、前記フェルールは、前記光伝送用のファイババンドルの遠位端が前記頭蓋内インプラントを通じて前記動物の脳に挿入されるとき前記動物の脳の特定部位に前記ファイババンドルを係止するように、前記頭蓋内インプラントの前記第1係止部材と協働する第2係止部材を備えるファイババンドルプローブ。
【請求項8】
前記フェルールは、前記ファイババンドルを前記頭蓋内インプラントへと操作するために、前記ファイババンドルの前記遠位部に沿って延在する握り部を備え、
前記第2係止部材は、前記握り部の側方に延在しており、前記第2係止部材は、前記ファイババンドルの前記遠位端が前記インプラントの中空導管を通じて前記動物の脳に挿入されるとき、前記第1係止部材に合わさるようにアーチを形成する2つの半部を備える、請求項7に記載のファイババンドルプローブ。
【請求項9】
前記ファイババンドルの前記遠位端が前記インプラントの中空導管を通じて前記動物の脳に挿入されるとき、画像化するよう決定された脳の部位で、前記第2係止部材の半部間に前記第1係止部材を固定するように、前記第2係止部材の一の半部にネジが設けられている、請求項8に記載のファイババンドルプローブ。
【請求項10】
前記インプラントの中空導管に挿入される前記ファイババンドルの一部分は、案内シースで被覆されており、前記案内シースは、前記中空導管の直径に適合する特定の直径を有し、前記ファイババンドルに固着されている、請求項8に記載のファイババンドルプローブ。
【請求項11】
前記案内シースは、前記フェルールが周設された前記遠位部へと延在しており、前記フェルールが前記案内シースに固着されている、請求項10に記載のファイババンドルプローブ。
【請求項12】
前記動物の脳に挿入される前記ファイババンドルの前記遠位端は、傾斜面に加工されている、請求項8に記載のファイババンドルプローブ。
【請求項13】
前記動物の脳に挿入される前記ファイババンドルの前記遠位端は、剛性ジャケットで覆われている、請求項7から12のいずれかに記載のファイババンドルプローブ。
【請求項14】
前記剛性ジャケットは、前記ファイババンドルの前記遠位端の末部に配設された微小対物を覆うよう前記遠位端の末部を越えて延在する、請求項13に記載のファイババンドルプローブ。
【請求項15】
非ヒト動物の脳の特定部位を画像化する方法であって、
麻酔された非ヒト動物の頭部を定位固定フレームに保持することと、
前記動物の頭蓋に開口を掘削することと、
頭蓋内インプラントのベースサポートに貫設された中空導管が前記開口に現れるようにして前記インプラントの前記ベースサポートを前記動物の頭蓋に接触させて固着することと、
前記インプラントの中空導管を通じて前記動物の脳にファイババンドルを挿入することと、
画像化する前記動物の脳の特定部位に前記ファイババンドルが位置決めされるように、前記インプラントの前記ベースサポートに配設された第1係止部材を、前記ファイババンドルに取り付けられたフェルールの第2係止部材に係止することと、を備える方法。
【請求項16】
前記インプラントの中空導管は、前記ベースサポートの下方に延在する下部を備え、前記ベースサポートは、前記動物の頭蓋に掘削された前記開口に前記中空導管の前記下部が挿入されるように前記動物の頭蓋に固着される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記中空導管の前記下部を前記動物の脳に入り込ませることをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ベースサポートを前記動物の頭蓋に微小ネジ及び歯科用セメントを用いて固着することをさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記フェルールは握り部分を備えており、前記ベースサポートを固着するステップ及び前記インプラントの中空導管を通じて前記ファイババンドルを挿入するステップは、前記定位固定フレームに接続された定位固定器具を用いて実行され、前記定位固定器具は前記ファイババンドル及び前記インプラントを共通の直線方向に保持するよう適合されている、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記動物はさらに覚醒され前記定位固定フレームから非拘束とされる、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の頭蓋内インプラントと、前記頭蓋内インプラントを通じて動物の脳に挿入される遠位端を有する光伝送用のファイババンドルを備えるファイババンドルプローブと、を操作する定位固定器具であって、
定位固定フレームに接続されるよう構成されているロッドと、
当該溝に配置された物体を留めるネジを備える溝と、を備え、
前記溝は、前記ファイババンドルプローブ及び前記頭蓋内インプラントを共通の直線方向に逐次保持するよう適合されている表面を備える、定位固定器具。
【請求項22】
前記溝は、前記ファイババンドルプローブのフェルールを留めることにより前記プローブを保持するよう適合されている表面を備える、請求項21に記載の定位固定器具。
【請求項23】
前記溝は、前記頭蓋内インプラントの第1係止部材を留めることにより前記インプラントを保持するよう適合されている表面を備える、請求項21に記載の定位固定器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動物の脳イメージングに関する。特に、本開示は、覚醒状態で行動する動物の脳イメージングに関する。
【背景技術】
【0002】
小動物の脳イメージングは種々の方法で実施されうるが、研究者にとって、中枢神経系の選択された部位を、その神経構造の機能を画像化するのに十分な空間分解能及び時間分解能で観察可能とする方法は、少数でしかない。
【0003】
実際に、磁気共鳴イメージング及びスキャナイメージングの方法は概して低分解能の画像をもたらすため、活性化された脳部位に関する機能情報を利用可能であるにすぎない。脳の電気的な感度を分析するために脳に直接挿入される電極を使用する方法は、電極の位置決めに厳密な正確さが要求され、かつ結果として得られる電気信号の解釈が複雑であることが妨げとなっている。
【0004】
顕微鏡法が脳イメージングに有用であることが証明されつつある。死んだ動物の脳切片の顕微鏡観察はよく知られているが、生きている動物のインビボでの顕微鏡観察は最近のテーマである。歴史的に見て、インビボの顕微鏡法で脳の深部領域を分析することができなかったのは、満足な分解能のある技術がないか、あるいは過度の侵襲的手術を要したからである。本出願人は、無傷のマウス脳の光ファイバ式機能イメージングのための提案を述べている(ヴィンセントほか(Vincent et al.)、「ファイバ式蛍光顕微鏡法による神経構造及び機能のライブイメージング」(Live imaging of neural structure and function by fibred fluorescence microscopy)、イーエムビーオーレポーツ(EMBO reports)、2006年9月)。本出願人は、リアルタイム画像を与えるために小径光ファイバプローブを使用するファイバ式蛍光顕微鏡法が、生きている動物の種々の神経構造の画像化を可能とする空間分解能を有することを示した。この方法は、生きている麻酔された動物の組織のインサイチュ機能イメージングを要する多くの生理学的研究に有用である。
【0005】
最近では、自由行動動物の画像を取得して慢性的な調査に利用可能にする必要性が高まってきている。自由行動動物のイメージングには、画像取得に高い安定性を要する。スタンフォード大学の研究者が開発しているのは、適合されたヘルメットを用いてマウス頭蓋に搭載し自由行動調査を可能とするバンドル顕微鏡技術である(ベンジャミン・フラスバーグほか(Benjamin Flusberg et al.)、「自由行動マウスにおける高速度小型蛍光顕微鏡法」(High speed, miniaturized fluorescence microscopy in freely moving mice)、ネイチュアメソッヅ(Nature Methods)、2008年10月)。しかし、この技術はマウス脳に大きな切り取りを要するため、脳深部への挿入はできない。加えて、ヘルメットが相当の重量であるために真の自由行動はできないし、本画像の分解能レベルは本技術の精度を制限している。本出願人が最近開示したのは(マスコスほか(Maskos et al.)、「自由行動マウスにおけるファイバ式蛍光機能イメージング」(Functional fibered fluorescence imaging in freely moving mouse)、神経科学学会第38回年次大会にて開示されたポスター番号598.8 、2008年)、行動する動物の神経回路網の光ファイバ式顕微鏡イメージングのために、歯科用セメントで頭部にしっかりと固定された低侵襲のプローブを使用することである。しかし、慢性的な調査のために長期間画像をとるためには、イメージングシステムを再校正する必要があり、そのためにはプローブを動物の脳から抜き取って、それを再び設置する必要がある。現方法におけるプローブの抜き取りには、バンドル先端を壊してしまい、調査を続けるために同じ動物を再使用する余地がなくなり、壊れたプローブを磨く不適合補修費用を伴う、というリスクがある。
【0006】
本出願人は、動物の脳にファイババンドルプローブを位置決めするための頭蓋内インプラントをここに提案する。また、出願人は、本インプラントに適合されたファイババンドルプローブ、本インプラント及びプローブを操作するための定位固定器具、及び、脳のファイババンドル顕微鏡法のための方法を提案する。
【発明の概要】
【0007】
少なくとも1つの態様においては、本明細書に開示される実施の形態は、動物の脳の特定部位にファイババンドルを位置決めする頭蓋内インプラントに関する。本インプラントは、前記動物の頭蓋に掘削された開口の上で前記頭蓋に固着されるベースサポートと、前記掘削された開口を通じて前記動物の脳に前記ファイババンドルを案内するよう前記ベースサポートに貫設された中空導管と、を含んでもよい。本インプラントは、前記ファイババンドルのフェルールと協働するよう前記ベースサポートに配設された第1係止部材であって、前記動物の脳の特定部位に前記ファイババンドルを係止するよう構成されている第1係止部材を含んでもよい。
【0008】
本開示の他の態様及び利点は後続の説明及び付属の請求項から明白である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本開示の一実施形態に係るキャップをもつインプラントの上面図を示す。
【
図1B】本開示の一実施形態に係るキャップをもつインプラントの長手方向断面図を示す。
【0010】
【
図2】本開示の一実施形態に係るインプラントの斜視断面図である。
【0011】
【
図3A】本開示の一実施形態に係るファイババンドルの遠位部に配設されるべきフェルールを前方から見た斜視図である。
【
図3B】本開示の一実施形態に係るファイババンドルの遠位部に配設されるべきフェルールを後方から見た斜視図である。
【0012】
【
図4A】本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブを側方から見た図である。
【
図4B】本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブを側方から見た図である。
【0013】
【
図5】本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブの部分断面図を模式的に示す。
【0014】
【
図6A】本開示の一実施形態に係るインプラントに協働する本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブの側面図である。
【
図6B】本開示の一実施形態に係るインプラントに協働する本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブの部分断面図である。
【
図6C】本開示の一実施形態に係るインプラントに協働する本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブの上面図である。
【0015】
【
図7A】
図6Bにおいて符号を付して強調した領域の拡大図である。
【
図7B】
図6Bにおいて符号を付して強調した領域の拡大図である。
【0016】
【
図8】本開示の一実施形態に係るインプラントに協働する本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブの部分断面斜視図である。
【0017】
【
図9】本開示の一実施形態に係るインプラントに協働する本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブの部分断面斜視図である。
【0018】
【
図10】本開示の一実施形態に係るインプラントを操作する本開示の一実施形態に係る定位固定器具の斜視図である。
【0019】
【
図11】本開示の一実施形態に係るインプラントにおいて本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブを位置決めする本開示の一実施形態に係る定位固定器具の斜視図である。
【0020】
【
図12】マウスの頭蓋に据え付けられた本開示の一実施形態に係るインプラントにおける本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブを示す図である。
【0021】
【
図13】本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブの部分断面図を模式的に示す。
【0022】
【
図14】本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブの部分断面図を模式的に示す。
【0023】
【
図15】本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブの部分断面図を模式的に示す。
【0024】
【
図16A】本開示の一実施形態に係る研磨システムの上方から見た斜視図である。
【
図16B】本開示の一実施形態に係る研磨システムの下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の具体的な実施の形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。図面において同様の要素は同様の符号で示されていることがある。
【0026】
本開示の実施の形態は、動物の脳のある決められた部位にファイババンドルを位置決めする頭蓋内インプラント、脳のファイババンドル顕微鏡法のためのファイババンドルプローブ、定位固定フレーム内でインプラント及びファイババンドルプローブを操作する定位固定器具、及び、脳のファイババンドル顕微鏡法のための方法に関する。
【0027】
例えば、上記の動物は、いくつかの脳領域で緑色蛍光タンパク質が特異的に発現するよう操作されたトランスジェニックマウスであってもよい。ファイババンドルの近位端は共焦点蛍光顕微鏡イメージングのためのシステムに接続されていてもよい。ファイババンドルの遠位端は動物の脳に挿入されていてもよい。
【0028】
本開示に係る方法においては、動物の頭蓋に開口を掘削し、その開口上にて動物の頭蓋にインプラントを正確に据え付けるために、マウスは麻酔され、その頭部が定位固定フレームに保持されてもよい。
【0029】
図1A及び
図1Bは、本開示の一実施形態に係るインプラントの図を示す。インプラント1は、動物の頭蓋に固定されるべきベースサポート11と、ベースサポート11に貫設されている中空導管12と、中空導管12から離れてベースサポート11に配設されている第1係止部材100と、を備える。
図1はさらに、軸プラグ14を備えるキャップを示す。軸プラグ14は本体を有し、中空導管12に挿入され得る。また、軸プラグ14は、中空導管12に軸プラグ14を保持するためのヘルメット15により包囲されている頭部を有する。本キャップは、例えばインプラント1が使用されていないときに、中空導管12にゴミが入るのを避けるようインプラント1に適合されていてもよい。
【0030】
図1A及び
図1Bに関して説明される実施形態においては、第1係止部材100は、円筒ピン13を含んでもよい。円筒ピン13は、ベースサポート11に略垂直であり、ベースサポート11に一体となる部分を備える。
図9に示されるように、インプラント1の中空導管12にファイババンドル24が挿入されるときに、ピン13が第2係止部材26へと係止され得る。第2係止部材26は、ファイババンドル24に取り付けられたフェルールに配設されている。
【0031】
図2に関して説明される実施形態においては、第1係止部材100は、ベースサポート11に垂直であるネジ16を備えてもよい。ネジ16は、ベースサポートに配設されている第1部分161と、係止シリンダ17が同心に周設されている第2部分164と、を有する。係止シリンダ17は、本ネジの長手軸に関し並進が固定され、かつ当該軸まわりに回転自在であってもよい。第1部分161は、第1ネジ部162を備えてもよい。第1ネジ部162は、ベースサポート11に垂直な方向に本ネジの位置を調整するようベースサポート11の第2ネジ部112と協働する。本ネジが螺入されるとき、係止シリンダ17は、ネジ16の長手軸に関して移動してもよい。
図8に示されるように、ネジ16及びシリンダ17を備える第1係止部材は、インプラント1の中空導管12にファイババンドル24が挿入されるときに、ファイババンドル24に配設されているフェルールの第2係止部材26に、第2係止部材26に取り付けられている係止ネジ27を使用して係止される。
【0032】
この実施形態によれば、ファイババンドルがインプラントの中空導管12に挿入され、ファイババンドルに配設されたフェルールの第2係止部材が第1係止部材の係止シリンダ17に留められて、ある決定された位置にバンドルが固定されているときに、係止シリンダ17の位置を調整することによって、ファイババンドルの位置を調整することが可能であり得る。第1係止部材はさらに、係止シリンダ17の一端にてネジ16に同心に周設されているトロイド状スプリング18を備えてもよい。スプリング18は、ネジ16をネジ部112にてかつ係止シリンダ17を首部163で押し付けることにより遊びを補償することが可能である。
【0033】
他の(
図2に示していない)実施形態においては、第1係止部材は、ベースサポートに配設された第1部分を有するピンを備えてもよい。第1部分は、ピンの長手軸に関する並進を固定されかつ軸まわりに回転自在である。ピンは第2部分を有し、第2部分に係止シリンダが同心に周設されている。第2部分は、係止シリンダの第2ねじ部に協働する第1ねじ部を備える。前述のようにトロイド状スプリングが遊びの補償のために付加されてもよい。この実施形態もまた、ベースサポートに関する係止シリンダの位置調整を可能とし得る。
【0034】
マウス頭部を定位固定フレームに保持することを要せずに、ネジ16のねじ込みによってファイババンドルプローブの位置を調整し得る。よって、ファイババンドルが係止された後でも容易に行い得る。ファイババンドルが動物の脳に挿入されているとき、脳は収縮しがちである。また、画像化する脳の決められた部位に滞在させるために、脳の再膨張によるファイババンドルの位置決めの調整も起こりうる。
【0035】
第1及び第2係止部材を備える係止機構の1つの利点は、画像化する脳の決められた部位にファイババンドルを、その長手軸周りに回転させずに、かつファイババンドルが挿入される中空導管に沿って動かさずに、固定し得ることである。これは、画像取得の安定性向上につながり、自由行動動物からの画像の取得を可能とし得る。ファイババンドルが挿入される中空導管12から離れて第1係止部材が配設されているため、ファイババンドルの締め付けは、必要締め付けトルクを小さくすることによって緩和させ得る。これは、装置損傷につながりうるファイババンドルの過度の束縛を避けることを可能にし得る。
【0036】
動物の頭蓋に開口が掘削されると、その掘削された開口に中空導管12が現れるようにしてインプラントのベースサポート11が動物の頭蓋に固着されてもよい。ベースサポートの固着は、例えば微小ネジ及び歯科用セメントを使用して行われてもよい。
【0037】
図10に示されるように、インプラント1は、定位固定器具3により操作されてもよい。定位固定器具3は、定位固定フレームに接続されるロッド31と、ネジ33を備える溝32と、を備える。ネジ33は溝32に配置された物体を留める。定位固定器具3は、インプラントを定位固定フレーム内で操作することを可能とするインターフェースである。定位固定フレームにおいて動物の頭部により定義される水平軸に対し水平に、インプラント1が動物の頭蓋に設置されてもよい。マウスの頭蓋は湾曲しているから、頭蓋に接触するベースサポート11の表面に、傾斜を補償するよう接着剤が塗布されてもよい。
【0038】
図1を再び参照すると、中空導管12は、ベースサポート11に垂直な筒を備えてもよい。中空導管12は、ベースサポート11の下方に延在する下部121を備えてもよい。下部121は、動物の頭蓋に掘削された開口に進入してもよい。一実施形態においては、下部121は、動物の脳に侵入するよう適合されている長さを有する。マウス頭蓋が湾曲しベースサポートが水平に据え付けられているから、脳に侵入するのに必要な長さは、ベースサポート11がマウス頭蓋の別の場所に設置されるとき、同じではなくなるかもしれない。一実施形態においては、下部121の長さは、ベースサポート11がマウス頭蓋のいかなる位置に水平に固着されるときにも脳に侵入するよう適合されている。他の一実施形態においては、下部121の長さは、ベースサポートがマウス頭蓋の少なくとも1つの位置に水平に固着されるときに脳に侵入するよう適合されている。他の一実施形態においては、下部121の長さは、ベースサポートがマウス頭蓋のいかなる位置に水平に固着されるときにも動物の脳に侵入しないよう適合されている。
【0039】
ベースサポート11は、平行六面体形状を有してもよい。有利には、ベースサポート11は、
図6Aに示されるように、台形底面直角柱形状を有してもよい。この実施形態においては、台形底面直角柱の広いほうの側面が動物の頭蓋に据えられる。この側面の下側及び台形角柱のベベル加工された縁部に接着剤が広げられ、ベースサポート11がマウス頭蓋に正確に固着される。
図1Bに示されるように、ベースサポート11の台形角柱の中空導管に近接するほうの底面111は、有利には、ベースサポート11を操作する操作者が側方から中空導管12の下部121を容易に見られるように、先端部が切り取られていてもよい。それにより、操作者は、マウスの頭蓋骨に狙いを容易に定めることにより、定位固定器具3に搭載されたインプラントの下部121に定位固定フレームを正確に校正し得る。
【0040】
中空導管12が掘削された開口に現れるようにしてインプラント1が動物の頭蓋に位置決めされると、インプラント1の中空導管12を通じてファイババンドル24が動物の脳に挿入され得る。
図12は、ファイババンドルプローブ2を受け入れたインプラント1が頭部に据え付けられているマウス4を示す。
【0041】
図11に示されるように、ファイババンドルは、定位固定器具3で操作されてもよい。定位固定器具3は、インプラント1及びファイババンドルを定位固定フレーム内で操作することを可能とするインターフェースである。定位固定器具3は、ファイババンドル及びインプラントを共通の直線方向に逐次保持するよう適合されていてもよい。
【0042】
本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブ2は、
図4A及び
図4Bに表されている。ファイババンドルプローブ2は、光を伝送するためのファイババンドル24と、ファイババンドル24の遠位部に周設されているフェルールと、を備えてもよい。ファイババンドル24の一部分がシース21で被覆されていてもよい。フェルールは、インプラント1の中空導管12へとファイババンドルを操作するための握り部25と、ファイババンドル24の遠位端がインプラント1の中空導管12を通じて動物の脳に挿入されるときに、動物の脳の決められた部位にファイババンドルを係止するよう頭蓋内インプラントの第1係止部材13と協働する第2係止部材26と、備えてもよい。動物の脳に挿入されるべきファイババンドルの遠位端は剥離されており、フェルールによって覆われていなくてもよい。
図3A及び
図3Bに示されるように、握り部25は、その中にファイババンドル24が取り付けられる中空管29を備えてもよい。握り部25は、ファイババンドル24の遠位部に沿って長手方向に延在していてもよい。また、第2係止部材26は、握り部25に垂直に握り部25の側方に延在していてもよい。
【0043】
定位固定器具3は、ファイババンドルプローブの握り部25を溝32に留めることによりファイババンドル24を保持するよう適合されていてもよい。定位固定器具3は、インプラントの第1係止部材を留めることによりインプラント1を保持するよう適合されていてもよい。溝32の表面は、ファイババンドルプローブ2及びインプラント1を共通の直線方向に逐次保持するよう適合されていてもよい。溝32の表面は、U字形状の溝またはV字形状の溝(
図10ないし11には図示せず)のいずれかであってもよい。
【0044】
図3A及び
図3Bに示されるように、フェルールの第2係止部材26は、ファイババンドル24の遠位端がインプラント1の中空導管12を通じて動物の脳に挿入され得るとき、第1係止部材13に合わさるようにアーチを形成する2つの半部28を備えてもよい。第2係止部材の一方の半部は、穴281に配設されている係止ネジ27を備えてもよい。係止ネジ27は、ファイババンドル24の遠位端がインプラント1の中空導管12を通じて動物の脳に挿入されるとき、画像化するよう決められた脳の部位で、第2係止部材の半部28間に第1係止部材13を固定することを可能とする。
図6Cは、インプラントに挿入されたファイババンドルプローブの上面図であり、本開示に従う第2係止部材26の半部28に第1係止部材がどのようにして合わさり得るかを示す。
【0045】
図5は、本開示の一実施形態に係るファイババンドルプローブの部分断面図を模式的に示す。ファイババンドルは当初は、ファイババンドル24を包むコーティング22及びシース21を備えてもよい。ファイババンドルプローブ2を得るためには、シース21は第1遠位部分において除去されていてもよい。第1遠位部分は、シース除去区211から、動物の脳に挿入されるファイババンドル遠位端まで延在する。シース除去区211から延びる第1遠位部分は、フェルールが周設される上記遠位部に位置する。コーティング22もまた、動物の脳に挿入されるファイババンドル遠位端まで延在する第2遠位部分において除去されていてもよい。第2遠位部分は第1遠位部分よりも短い。さらに、案内シース23がファイババンドル24に配設されている。案内シース23は中空導管12の直径に適合した特定の直径を有する。案内シース23は、シース除去区211から延在し、インプラントの中空導管12に挿入されるファイババンドル24の案内部を覆ってもよい。ただし、案内シース23は、動物の脳に挿入されるべきファイババンドル遠位端は覆わないようにする。案内シース23は、ファイババンドル24に接着剤を使用して固着されていてもよい。フェルールは、案内シース23に接着剤を使用して固着されていてもよい。
【0046】
図7Bは、
図6Bで符号Cを付して強調した領域の拡大図であり、インプラント1に挿入されたファイババンドルプローブ2の側方の一区域を示す。
図7Bは、案内シース23に被覆されインプラントの中空導管12に挿入されたファイババンドル24の案内部の側方視断面の一部分を示す。
図7Bに示されるように、ファイババンドル遠位端はむき出しにされており、案内シースは、動物の脳に挿入されるファイババンドル遠位端までは延在していなくてもよい。
【0047】
図7Aは、
図6Bで符号Bを付して強調した領域の拡大図である。
図7Aは、ファイババンドルプローブ2の側方視断面の一部分を示す。
図7Aに示されるように、ファイババンドルが中に取り付けられる中空管29は、シース21に適合する内径をもつ上方部291と、案内シース23に適合する直径をもつ中間部292と、中空導管の直径に勝る直径をもつ下方部293と、を備えてもよい。こうしてファイババンドルを中空導管12に挿入することが可能となる。上方部291は、シース21で包まれたファイババンドル24の一部分を覆っており、シース除去区211まで延在してもよい。中間部292は、案内シース23に覆われたファイババンドル24の一部分を覆っていてもよい。有利には、フェルールは、中間部292の位置で接着剤を使用してファイババンドルに固着されている。下方部293は、インプラントの中空導管12に挿入されるべき案内シース23によって覆われているファイババンドルの一部分を覆っていてもよい。これにより、中空導管12に挿入されるべきファイババンドルの案内部を保護しうる。
【0048】
画像化するよう決定された脳の部位にファイババンドルが位置決めされると、その決定された部位にファイババンドルプローブを固定するために第1及び第2部材が係止され、動物は覚醒され定位固定フレームから非拘束とされてもよい。
【0049】
図6A、
図6B、
図6C、
図8、
図9に示されるように、インプラントの第1係止部材は、ファイババンドルプローブの第2係止部材と協働する。前述のように、ピン13であるか、またはネジ16に取り付けられている係止シリンダ17である第1係止部材は、第2係止部材26の半部28により形成されるアーチに収められ、第2係止部材26の一方の半部に取り付けられた係止ネジ27によって固定されてもよい。これにより、画像取得の安定性を高めることができ、装置損傷リスクを限定しつつファイババンドルをマウスの脳から抜き出すことが許容される。よって、長期間実行される慢性実験が可能となる。
【0050】
ファイババンドルプローブは、ファイババンドル24の遠位端に配設されている剛性ジャケット241をさらに備えてもよい。剛性ジャケット241は、金属材料、例えばステンレス鋼で形成されていてもよい。剛性ジャケット241は、略円筒形状を有し、ファイババンドル24を収めるよう適合されている内腔を備えてもよい。剛性ジャケット241の外径は、案内シース23の外径より小さくてもよい。剛性ジャケット241の外径は、およそ400ないし500μmであってもよい。案内シース23の遠位部において、案内シース23の内径は、剛性ジャケット241を案内シース23の内腔に収めることができるように構成されていてもよい。剛性ジャケットにより、側方及び前方の衝撃に対しファイババンドル先端を強化されるので、エンドユーザによる取り扱い及び再研磨の処理を楽にすることができる。
【0051】
図13に示される一実施形態においては、剛性ジャケット241は、ファイババンドル24の遠位端の末部まで延在していてもよい。
図14に示される一実施形態においては、剛性ジャケット241及びファイババンドル24の遠位端が斜めに切り取られていてもよい。
図15に示される一実施形態においては、剛性ジャケット241は、ファイババンドル遠位端の末部を越えて延在し、ファイババンドル遠位端の末部に配設されている微小対物242を覆っていてもよい。微小対物242は、円柱形状を有し、ファイババンドルの直径に実質的に等しい直径を有してもよい。微小対物242は、屈折率分布型レンズであってもよく、ファイババンドル24に同軸に、例えば接着手段を使用して接続されていてもよい。代案として、微小対物242は、従来型レンズ、フィルタ、または回折素子などのその他の素子を含んでもよい。剛性ジャケット241は、ファイババンドル24と微小対物242との接続を強化し得る。
【0052】
図16A及び
図16Bは、研磨ツール5へと挿入されたファイババンドルプローブ2を示す。研磨ツール5は、研磨サポート51と、研磨サポート51に貫設されている研磨中空導管(
図16A及び
図16Bに図示せず)と、ファイババンドル遠位端が研磨中空導管へと挿入されるときファイババンドルプローブ2のフェルールと協働するよう研磨サポートに配設されている研磨係止部材52と、研磨ベースサポート51にファイババンドルプローブ2を係止する補助係止機構53と、を備える。研磨ベースサポート51は、ファイババンドルプローブ2が研磨サポート51に係止されるときファイババンドル遠位端が研磨面54から外に突出するよう構成されていてもよい。ファイババンドルの研磨は、剛表面の上に突出したファイババンドルの先端を磨くことにより行われてもよい。研磨サポート51の挿入面55は、研磨面54と角度を形成しており、ファイババンドル遠位端をベベルに研磨可能であってもよい。研磨導管及び研磨係止部材は、上記頭蓋内インプラントの構成を再現するよう構成されていてもよい。従って、研磨ツール5は、ファイババンドルが頭蓋内インプラントに挿入されるときの位置と同一の位置にファイババンドルを保持しうる。これにより、ファイババンドルがある決められた方向に元々ベベルである一実施形態においては、研磨ツールでのファイババンドルの再研磨により当該方向を保つことができる。
【0053】
本開示は限られた数の実施の形態について説明しているが、当業者は本開示の恩恵を受けて、本明細書に開示された本開示の範囲から逸脱することなく他の実施の形態を考案することができるということは明らかである。従って、本開示の範囲は添付の請求項によってのみ限定されるべきである。