(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジン(1)と、このエンジンにより駆動される可変容量型のメインポンプ(2)と、このメインポンプから吐出された圧油により駆動される走行用の第1及び第2油圧モータ(5,8)を含む複数のアクチュエータ(5〜12)と、前記メインポンプから前記複数のアクチュエータに供給される圧油の流量を制御する第1及び第2走行用流量制御弁(14,16)を含む複数の流量制御弁(13〜20)と、前記第1及び第2走行用油圧モータの回転によってそれぞれ駆動される左右の履帯(310,311)とを備えた履帯式走行装置(315)を備えた作業機の油圧駆動装置において、
前記第1及び第2走行用流量制御弁(14,16)の少なくともどちらか一方の走行用流量制御弁(14)から出力される最大流量を予め設定した流量に制限する流量補正装置(39)と、
前記走行用流量制御弁(14)を操作するための制御パイロット圧を生成するリモコン弁を備えた走行用操作装置(34b)とを備え、
前記流量補正装置(79)は、前記走行用操作装置のリモコン弁と前記走行用流量制御弁(14)の間に配置され、前記リモコン弁の制御パイロット圧を減圧する圧力制御弁(42)を備えた圧力制御弁ユニット(142)であることを特徴とする履帯式走行装置を備えた作業機の油圧駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<油圧ショベル>
図3に油圧ショベルの外観を示す。
【0024】
図3において、作業機としてよく知られている油圧ショベルは、上部旋回体300と、下部走行体301と、スイング式のフロント作業機302を備え、フロント作業機302は、ブーム306、アーム307、バケット308から構成されている。上部旋回体300は下部走行体301を旋回モータ5の回転によって旋回可能である。上部旋回体300の前部にはスィングポスト303が取り付けられ、このスィングポスト303にフロント作業機302が上下動可能に取り付けられている。スイングポスト303はスイングシリンダ
(図示しない)の伸縮により上部旋回体300に対して水平方向に回動可能であり、フロント作業機302のブーム306、アーム307、バケット308はブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12の伸縮により上下方向に回動可能である。下部走行体301は中央フレーム304を備え、この中央フレーム304にはブレードシリンダ7の伸縮により上下動作を行うブレード305が取り付けられている。下部走行体301は、走行モータ6,8の回転により左右の履帯310,311を駆動することによって走行を行う履帯式走行装置315を備えている。
<第1の実施形態>
図1A及び
図2Bに本発明の第1の実施形態に係わる作業機の油圧駆動装置を示す。
【0025】
本実施形態における油圧駆動装置は、エンジン1と、エンジン1によって駆動されるメインのメインポンプ2と、メインポンプ2と連動してエンジン1により駆動されるパイロットポンプ3と、メインポンプ2から吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータ5,6,7,8,9,10,11,12と、コントロールバルブ4とを備えている。
【0026】
本実施形態に係わる履帯式走行装置を備えた作業機は、例えば油圧ミニショベルであり、アクチュエータ5は油圧ショベルの旋回モータであり、アクチュエータ6,8は左右の走行モータであり、アクチュエータ7はブレードシリンダであり、アクチュエータ9はスイングシリンダであり、アクチュエータ10,11,12はそれぞれブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダである。
【0027】
コントロールバルブ4は、メインポンプ2の供給油路2aに接続され、メインポンプ2から各アクチュエータに供給される圧油の方向と流量をそれぞれ制御する複数のバルブセクション13,14,15,16,17,18,19,20と、複数のアクチュエータ5,6,7,8,9,10,11,12の負荷圧のうち最も高い負荷圧(以下、最高負荷圧という)PLmaxを選択して信号油路21に出力する複数のシャトル弁22a,22b,22c,22d,22e,22f,22gと、メインポンプ2の供給油路2aに設けられ、メインポンプ2の最高吐出圧(最高ポンプ圧)を制限するメインリリーフ弁23と、メインポンプ2の吐出圧(ポンプ圧)Pdと最高負荷圧PLmaxとの差圧PLSを絶対圧として出力する差圧減圧弁24と、ポンプ圧Pdと最高負荷圧PLmaxとの差圧PLSがバネ25aにより設定されたある一定値を超えたときにメインポンプ2の吐出流量の一部をタンク0に戻し、差圧PLSをバネ25aにより設定された一定値以下に保つアンロード弁25とを有している。アンロード弁25及びメインリリーフ弁23の出側はコントロールバルブ2内でタンク油路29に接続され、タンク0に接続されている。
【0028】
バルブセクション13は流量制御弁26aと圧力補償弁27aとから構成され、バルブセクション14は流量制御弁26bと圧力補償弁27bとから構成され、バルブセクション15は流量制御弁26cと圧力補償弁27cとから構成され、バルブセクション16は流量制御弁26dと圧力補償弁27dとから構成され、バルブセクション17は流量制御弁26eと圧力補償弁27eとから構成され、バルブセクション18は流量制御弁26fと圧力補償弁27fとから構成され、バルブセクション19は流量制御弁26gと圧力補償弁27gとから構成され、バルブセクション20は流量制御弁26hと圧力補償弁27hとから構成されている。
【0029】
流量制御弁26a〜26hは、メインポンプ2からそれぞれのアクチュエータ5〜12に供給される圧油の方向と流量をそれぞれ制御し、圧力補償弁27a〜27hは流量制御弁26a〜26hの前後差圧をそれぞれ制御する。
【0030】
圧力補償弁27a〜27hは目標差圧設定用の開弁側受圧部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hを有し、この受圧部28a〜28hには差圧減圧弁24の出力圧が導かれ、油圧ポンプ圧Pdと最高負荷圧PLmaxとの差圧PLSの絶対圧(以下絶対圧PLSという)により目標補償差圧が設定される。このように流量制御弁26a〜26hの前後差圧を同じ差圧PLSという値に制御することにより、圧力補償弁27a〜27hは流量制御弁26a〜26hの前後差圧が油圧ポンプ圧Pdと最高負荷圧PLmaxとの差圧PLSに等しくなるように制御する。これにより複数のアクチュエータを同時に駆動する複合操作時は、アクチュエータ5〜12の負荷圧の大小に係わらず、流量制御弁26a〜26hの開口面積比に応じてメインポンプ2の吐出流量を分配し、複合操作性を確保することができる。また、メインポンプ2の吐出流量が要求流量に満たないサチュレーション状態になった場合は、差圧PLSはその供給不足の程度に応じて低下し、これに応じて圧力補償弁27a〜27hが制御する流量制御弁26a〜26hの前後差圧が同じ割合で低下して流量制御弁26a〜26hの通過流量が同じ割合で減少するため、この場合も流量制御弁26a〜26hの開口面積比に応じてメインポンプ2吐出流量を分配し、複合操作性を確保することができる。
【0031】
また、油圧駆動装置は、パイロットポンプ3の供給油路3aに接続され、パイロットポンプ3の吐出流量に応じて絶対圧を出力するエンジン回転数検出弁装置30と、エンジン回転数検出弁装置30の下流側に接続され、パイロット油路31の圧力を一定に保つパイロットリリーフ弁32を有するパイロット油圧源33と、パイロット油路31に接続され、パイロット油圧源
33の油圧を元圧として流量制御弁26a〜26hを操作するための制御パイロット圧a,b,c,d,d,f,g,h,i,j,k,l,m,n,o,p,を生成するためのリモコン弁を備えた操作レバー装置(操作装置)34a,34b,34c,34d,34e,34f,34g,34hとを備えている。
【0032】
エンジン回転数検出弁装置30は、パイロットポンプ3の供給油路3aをパイロット油路31に接続する油路30eと、この油路30eに設けられた絞り要素(固定絞り)30fと、油路30e及び絞り要素30fに並列に接続された流量検出弁30aと、差圧減圧弁30bとを有している。流量検出弁30aの入力側はパイロットポンプ3の供給油路3aに接続され、流量検出弁30aの出力側はパイロット油路31に接続されている。流量検出弁30aは通過流量が増大するにしたがって開口面積を大きくする可変絞り部30cを有し、パイロットポンプ3の吐出油は絞り要素30f及び流量検出弁30aの可変絞り部30cの両方を通過してパイロット油路31側へと流れる。このとき、絞り要素30fと流量検出弁30aの可変絞り部30cには通過流量が増加するにしたがって大きくなる前後差圧が発生し、差圧減圧弁30bはその前後差圧を絶対圧Paとして出力する。パイロットポンプ3の吐出流量はエンジン1の回転数によって変化するため、絞り要素30f及び可変絞り部30cの前後差圧を検出することにより、パイロットポンプ3の吐出流量を検出することができ、エンジン1の回転数を検出することができる。また、可変絞り部30cは、通過流量が増大するにしたがって(前後差圧が高くなるにしたがって)開口面積を大きくすることにより、通過流量が増大するにしたがって前後差圧の上昇度合いが緩やかになるように構成されている。
【0033】
メインポンプ2は可変容量型の油圧ポンプであり、その傾転角(容量)を制御するためのポンプ制御装置35を備えている。ポンプ制御装置35は馬力制御傾転アクチュエータ35aと、LS制御弁35b及びLS制御傾転アクチュエータ35cとを有している。
【0034】
馬力制御傾転アクチュエータ35aはメインポンプ2の吐出圧が高くなるとメインポンプ2の傾転角を減らして、メインポンプ2の入力トルクが予め設定した最大トルクを越えないように制限するものであり、これによりメインポンプ2の消費馬力を制限し、過負荷によるエンジン1の停止(エンジンストール)を防止する。
【0035】
LS制御弁35bは対向する受圧部35d,35eを有し、受圧部35dには油路40を介してエンジン回転数検出弁装置30の差圧減圧弁30bで生成された絶対圧Pa(第1規定値)がロードセンシング制御の目標差圧(目標LS差圧)として導かれ、受圧部35eに差圧減圧弁24で生成された絶対圧PLSが導かれ、絶対圧PLSが絶対圧Paよりも高くなると(PLS>Pa)、パイロット油圧源33の圧力をLS制御傾転アクチュエータ35cに導いてメインポンプ2の傾転角を減らし、絶対圧PLSが絶対圧Paよりも低くなると(PLS<Pa)、LS制御傾転アクチュエータ35cをタンクTに連通してメインポンプ2の傾転角を増やし、これによりメインポンプ2の吐出圧Pdが最高負荷圧PLmaxよりも絶対圧Pa(目標差圧)だけ高くなるようにメインポンプ2の傾転量(押しのけ容積)を制御する。
LS制御弁35b及びLS制御傾転アクチュエータ35cは、メインポンプ2の吐出圧Pdが複数のアクチユエータ5,6,7,8,9,10,11,12の最高負荷圧PLmaxよりもロードセンシング制御の目標差圧分だけ高くなるようメインポンプ2の傾転を制御するロードセンシング方式のポンプ制御手段を構成する。
【0036】
ここで、絶対圧Paはエンジン回転数に応じて変化する値であるため、絶対圧Paをロードセンシング制御の目標差圧として用い、圧力補償弁27a〜27hの目標補償差圧をメインポンプ2の吐出圧Pdと最高負荷圧PLmaxとの差圧の絶対圧PLSにより設定することにより、エンジン回転数に応じたアクチュエータスピードの制御が可能となる。また、上記のようにエンジン回転数検出弁装置30の流量検出弁30aの可変絞り部30cは、通過流量が増大するにしたボって前後差圧の上昇度合いが緩やかになるように構成されており、これによりエンジン回転数に応じたサチュレーション現象の改善が図れ、エンジン回転数を低く設定した場合に良好な微操作性が得られる。
【0037】
アンロード弁25のバネ25aの設定圧は、エンジン1が定格最高回転数にあるときのエンジン回転数検出弁装置30の差圧減圧弁30bで生成された絶対圧Pa(ロードセンシング制御の目標差圧)よりも高くなるように設定されている。
【0038】
図1A及び
図2Bに示す油圧駆動装置は、走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作したときに、左走行モータ6の回転数が右走行モータ8の回転数よりも低かった場合のものであり、左走行用の圧力補償弁27bの目標差圧設定用の開弁側受圧部28bが位置する側に、流量制御弁26bから出力される最大流量を予め設定した流量に制限する流量補正装置39が設けられている。本実施形態においては、流量補正装置39は走行用の圧力補償弁27bの目標補償差圧を目標補償差圧調整バネ36bの付勢力によって補正する目標補償差圧調整装置であり、この目標補償差圧調整装置を用いて左走行用の圧力補償弁27bの目標補償差圧を調整し
、流量制御弁26bの最大流量を補正する。
【0039】
流量補正装置39(目標補償差圧調整装置)の詳細を
図2A及び
図2Bを用いて説明する。
図2Aは、流量補正装置39を備えない通常の左右走行用の圧力補償弁27b,27dの断面図であり、
図2Bは、流量補正装置39を備えた左右走行用の圧力補償弁27b,27dの断面図である。
図2A及び
図2B中、右走行モータ8、右走行用の流量制御弁26d、右走行用の圧力補償弁27dの符号はかっこ書きで示している。
【0040】
図2Aにおいて、左右走行用の圧力補償弁27b,27dは、コントロールバルブ4の走行バルブセクション14,16のハウジング38の圧力補償弁部分に軸方向(図示左右方向)に摺動自在に挿入された弁体61bと、弁体61bに設けられ、それぞれ、流量制御弁26bの上流側の圧力及び下流側の圧力(左走行モータ6の負荷圧)が導かれるフィードバック用の閉弁側受圧部62b及び開弁側受圧部63bと、弁体61aに設けられ、差圧減圧弁24(
図1A及び
図2B参照)の出力圧が導かれる上記の目標差圧設定用の開弁側受圧部28bとを備え、フィードバック用の開弁側受圧部63bが位置する受圧室64bはプラグ65bによって閉じられている。また、受圧室64b内に開弁方向に付勢する上記の目標補償差圧調整バネ36bが配置されている。
【0041】
右走行用の圧力補償弁27dも同様であり、弁体61dと、フィードバック用の閉弁側受圧部62d及び開弁側受圧部63dと、目標差圧設定用の開弁側受圧部28dと、受圧室64dと、プラグ65dと、目標補償差圧調整バネ36dとを備えている。
【0042】
目標補償差圧調整バネ36b,36dは、走行複合操作時に走行モータ6,8に優先的に圧油を供給し、走行を安定させるためのものである。本実施形態では、流量補正装置39において圧力補償弁27bの目標補償差圧を補正するのに、この目標補償差圧調整バネ36b,36dを利用している。なお、圧力補償弁のタイプによっては、目標補償差圧調整バネ36b,36dを備えていないものもあり、その場合は、新たに専用の目標補償差圧調整バネを組み込めばよい。
【0043】
図2Bにおいて、流量補正装置39(目標補償差圧調整装置)は、その目標補償差圧調整バネ36bの付勢力を調整する調整機構付プラグ37によって構成されている。調整機構付プラグ37は、流量制御弁26bの最大流量を調整するための調整装置であり、プラグ本体37aと、プラグ本体37aに組み込まれた調整ピン37bと、ロックナット37cとから構成されている。プラグ本体37aのねじサイズはプラグ65bと同じである。調整ピン37bは、プラグ本体37aとねじ係合する雄ねじ部37eと、受圧室64d内に突出し、目標補償差圧調整バネ36bに係合するバネ受け37fと、受圧室64dの反対側に突出した断面六角形の工具操作部37gを備え、工具操作部37gにボックスレンチ等の工具を装着して回転することで、調整ピン37bの軸方向の位置を変化させ、目標補償差圧調整バネ36bの付勢力を調整して、圧力補償弁27bの目標補償差圧を調整する。また、目標補償差圧の調整後は、ロックナット37cを締め付けることにより、調整ピン37bの位置を固定し、目標補償差圧の調整を完了させる。
【0045】
本実施の形態においては、工場からの出荷時の製品チェック前は、左走行用の圧力補償弁27bとしては、
図2Aに示す流量補正装置39を備えない通常の圧力補償弁27bが装着されている。このような油圧駆動装置において、走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作すると、パイロット油圧源33の圧油から流量制御弁26b,26dを操作するための制御パイロット圧d,hが生成され、流量制御弁26b,26dに導かれる。メインポンプ2から吐出された圧油は圧力補償弁27b,27d、流量制御弁26b,26dを介して左右走行モータ6,8へ導かれる。
【0046】
本来はこの時の左右走行用圧力補償弁27b,27dの開弁側受圧部28b,28dへ導かれる左右の走行モータ6,8のアクチュエータ負荷圧は等しいが、まれに機体の重量バランスや走行モータの製造誤差により等しくならず左右の走行モータ6,8に速度差(回転数差)が生じ走行蛇行が発生することがある。
【0047】
工場からの出荷時に上記のように操作して走行試験を行い、蛇行した場合には、以下のように補正を行う。
【0048】
回転数の低い方の走行用圧力補償弁27b(または27d)の開弁側受庄部28b(または28d)側に設けられていたプラグ65bを取り外し、
図2Bに示すように、調整機構付プラグ37を取付け、調整機構付プラグ37の調整ピン37bを上述したように操作して図示右方向に調整し、目標補償差圧調整バネ36bの付勢力を強めることで、圧力補償弁27b(または27d)の開口を開き方向に補正し、左走行モータ6(または8)への流量を右走行モータ8(または6)と等しくなるように調整する。これにより走行蛇行の直進補正を行うことができる。
【0049】
以上のように本実施形態によれば、走行モータ等の大物装置を交換しなくても容易に走行蛇行の直進補正を行うことができる。また、メイン回路に特別な変更を加えることなく、容易に走行蛇行の直進補正を行うことができる
<第2の実施形態>
図4A及び
図4Bに本発明の第2の実施形態に係わる作業機の油圧駆動装置を示す。
【0050】
本実施の形態は、第1の実施形態が、出荷前のチェック時に不具合があった場合に流量補正装置39(目標補償差圧調整装置)を設けて調整を行ったのに対して、出荷前の製品としての作業機の油圧駆動装置において、左右の走行用圧力補償弁27b,27dの両方の開弁側受圧部28b,28d側のバルブハウジングに流量補正装置39A,39B(目標補償差圧調整装置)を予め取付けておき、必要なときに直ちに調整できるようにしたものである。流量補正装置39A,39B(目標補償差圧調整装置)は、それぞれ、目標補償差圧調整バネ36b,36dの付勢力を調整する調整機構付プラグ37A,37Bによって構成されている。調整機構付プラグ37A,37Bは第1の実施形態の流量補正装置39(目標補償差圧調整装置)における調整機構付プラグ37と同様に構成されている。。
【0051】
上記以外の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0053】
最初は、調整機構付プラグ37A,37Bの調整ピン37b,37b(
図2B参照)を初期位置に固定して目標補償差圧調整バネ36bの付勢力を規定値に設定しておく。この状態で、走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作すると、パイロット油圧源33の圧油から流量制御弁26b,26dを操作するための制御パイロット圧d,hが生成され、流量制御弁26b,26dに導かれる。メインポンプ2から吐出された圧油は圧力補償弁27b,27d、流量制御弁26b,26dを介して左右走行モータ6,8へ導かれる。
【0054】
本来はこの時の左右走行用圧力補償弁27b,27dの開弁側受圧部28b,28dへ導かれる左右の走行モータ6,8のアクチュエータ負荷圧は等しいが、まれに機体の重量バランスや走行モータの製造誤差により等しくならず左右の走行モータ6,8に速度差(回転数差)が生じ走行蛇行が発生することがある。
【0055】
工場からの出荷時に上記のように操作して走行試験を行い、蛇行した場合には、以下のように補正を行う。
【0056】
回転数が低い方の走行用圧力補償弁27b(または27d)に取付けた調整機構付プラグ37A(または37B)の調整ピン37bを上述したように操作して図示右方向に調整し、目標補償差圧調整バネ36b(または36d)の付勢力を強めることで、圧力補償弁27b(または27d)の開口を開き方向に補正し、左走行モータ6(または8)への流量を右走行モータ8(または6)と等しくなるように調整する。これにより走行蛇行の直進補正を行うことができる。
【0057】
本実施形態では、目標補償差圧調整バネ36b,36dの付勢力を調整する調整機構付プラグ37A,37Bによって構成された流量補正装置39A,39Bを左右走行用の圧力補償弁27b,27dに予め取付け
ておくことで、蛇行した方の圧力補償弁において、通常のプラグ65b(または65d)を調整機構付プラグに付替える作業を行う必要がないため、素早く走行蛇行の直進補正を行うことができる。また、左右走行用の圧力補償弁27b,27dの両方に流量補正装置39A,39Bが取り付けられているため、走行蛇行の直進補正の幅を広くすることができる。
【0058】
このように本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。また、本実施の形態によれば、調整を行う時点で流量補正装置を取り付ける作業を行う必要がないため、素早く走行蛇行の直進補正を行うことができる。また、左右走行用の圧力補償弁27b,27dの両方に流量補正装置39A,39Bが取り付けられているため、走行蛇行の直進補正の幅を広くすることができる。
<第3の実施形態>
図5A及び
図5Bに本発明の第3の実施形態に係わる作業機の油圧駆動装置を示す。
【0059】
本実施の形態は、第1の実施形態が流量補正装置39(目標補償差圧調整装置)を目補償差圧調整バネ36bまたは36dの付勢力を調整する調整機構付プラグ37で構成したのに対して、流量補正装置69(目標補償差圧調整装置)を、左走行用の圧力補償弁27b(または
右走行用の圧力補償弁27d)の目標補償差圧をパイロット油圧源33の圧力を減圧して補正する減圧弁40を備えた減圧弁ユニット140で構成したものである。減圧弁40は、左走行用の流量制御弁26b(または右走行用の流量制御弁26d)の最大流量を調整するための調整装置(調整機構73)を備えている。
【0060】
すなわち、
図5A及び
図5Bに示す油圧駆動装置は、走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作したときに、左走行モータ6の回転数が右走行モータ8の回転数よりも低かった場合のものであり、左走行用の圧力補償弁27bの目標差圧設定用の開弁側受圧部28bが位置する側に、左走行用の圧力補償弁27bの目標補償差圧をパイロット油圧源33の圧力を減圧して補正する減圧弁40を備えた減圧弁ユニット140が接続されている。減圧弁ユニット140は、減圧弁40が配置される配管71を有し、配管71の上流側はパイロット油圧源33からの圧油を差圧減圧弁24へ導く油路
74に接続され、下流側は圧力補償弁27bの目標差圧設定用の開弁側受圧部28bが位置する側に追加で設けられた補正受圧部66bに接続されている。減圧弁40は、流量制御弁26bの最大流量を調整するための調整装置として、減圧弁出力圧力を設定するバネ72の付勢力を調整する調整機構73を有している。
【0061】
調整機構73は、
図2Bに示した調整機構付プラグ37と同様、減圧弁40に組み込まれた図示しない調整ピンとロックナットとから構成されている。減圧弁40は、パイロット油圧源33からの圧油に基づいて、バネ72の設定に応じた圧力の圧油を生成し、この圧油を走行用圧力補償弁27bの補正受圧部66bに導き、走行時の目標補償差圧を調整する。
【0062】
上記以外の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0064】
走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作すると、パイロット油圧源33の圧油から流量制御弁26b,26dを操作するための制御パイロット圧d,hが生成され、流量制御弁26b,26dに導かれる。メインポンプ2から吐出された圧油は圧力補償弁27b,27d、流量制御弁26b,26dを介して左右走行モータ6,8へ導かれる。
【0065】
本来はこの時の左右走行用圧力補償弁27b,27dの開弁側受圧部28b,28dへ導かれる左右の走行モータ6,8のアクチュエータ負荷圧は等しいが、まれに機体の重量バランスや走行モータの製造誤差により等しくならず左右の走行モータ6,8に速度差(回転数差)が生じ走行蛇行が発生することがある。
【0066】
工場からの出荷時に上記のように操作して走行試験を行い、蛇行した場合には、回転数が低い方の走行用圧力補償弁27b(または27d)の開弁側受圧部28b(または28d)が位置する側に減圧弁ユニット140を接続し、補正受圧部66b(または66d)にパイロット油路39からの圧油を減圧弁40により減圧して導く構成とする。そして、減圧弁40の調整機構73の調整ピンを操作して、バネ72の付勢力を強めることで、出力圧力を高くして圧力補償弁27b(または27d)の開口を開き方向に補正し、左走行モータ6(または8)への流量を右走行モータ8(または6)と等しくなるように調整する。これにより走行蛇行の直進補正を行うことができる。
【0067】
このように本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
<第4の実施形態>
図6A及び
図6Bに本発明の第4の実施形態に係わる作業機の油圧駆動装置を示す。
【0068】
本実施の形態は、第3の実施形態が、出荷前のチェック時に不具合があった場合に流量補正装置69(目標補償差圧調整装置)である減圧弁ユニット140を接続して調整を行ったのに対して、出荷前の製品としての作業機の油圧駆動装置において、左右の走行用圧力補償弁27b,27dの両方の開弁側受圧部28b,28d側のバルブハウジングに、流量補正装置69A,69B(目標補償差圧調整装置)である減圧弁ユニット140A,140Bを予め接続しておき、必要なときに直ちに調整できるようにしたものである。減圧弁ユニット140A,140Bの構成は第3の実施形態の減圧弁ユニット140と同じであり、それぞれ、減圧弁40b,40dと減圧弁40b,40dが配置される配管71b,71dを有し、配管71b,71dの上流側はパイロット油圧源33からの圧油を差圧減圧弁24へ導く油路39に接続され、下流側は圧力補償弁27b,27dの目標差圧設定用の開弁側受圧部28b,28dが位置する側に追加で設けられた補正受圧部66b,66dに接続されている。減圧弁40b,40dは、それぞれ、流量制御弁26b,26dの最大流量を調整するための調整装置として、減圧弁出力圧力を設定するバネ72b,72dの付勢力を調整する調整機構73b,73dを有している。
【0069】
上記以外の構成は、第3の実施形態と同じである。
【0071】
最初は、減圧弁40b,40dのバネ72b,72dの設定はゼロにして減圧弁40b,40dの出力圧をタンク圧としておく。この状態で、走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作すると、パイロット油圧源33の圧油から流量制御弁26b,26dを操作するための制御パイロット圧d,hが生成され、流量制御弁26b,26dに導かれる。メインポンプ2から吐出された圧油は圧力補償弁27b,27d、流量制御弁26b,26dを介して左右走行モータ6,8へ導かれる。
【0072】
本来はこの時の左右走行用圧力補償弁27b,27dの開弁側受圧部28b,28dへ導かれる左右の走行モータ6,8のアクチュエータ負荷圧は等しいが、まれに機体の重量バランスや走行モータの製造誤差により等しくならず左右の走行モータ6,8に速度差(回転数差)が生じ走行蛇行が発生することがある。
【0073】
工場からの出荷時に上記のように操作して走行試験を行い、蛇行した場合には、回転数が低い方の走行用圧力補償弁27b(または27d)の開弁側受圧部28b(または28d)が位置する側に接続した減圧弁ユニット140A(または140B)の減圧弁40b(または40d)の調整機構73b(または73d)の調整ピンを操作して、バネ72b(または72d)の付勢力を強めることで、出力圧力を高くして圧力補償弁27b(または27d)の開口を開き方向に補正し、左走行モータ6(または8)への流量を右走行モータ8(または6)と等しくなるように調整する。これにより走行蛇行の直進補正を行うことができる。
【0074】
本実施形態では、減圧弁ユニット140A,140Bを左右走行用の圧力補償弁27b,27dの両方に予め取付けることで、蛇行した場合に減圧弁ユニットを追加設置する作業を行う必要がないため、素早く走行蛇行の直進補正を行うことができる。また、左右走行用の圧力補償弁27b,27dの両方に減圧弁ユニット140A,140B(流量補正装置いは目標補償差圧調整装置)が取り付けられているため、走行蛇行の直進補正の幅を広くすることができる。
【0075】
このように本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。また、本実施の形態によれば、調整を行う時点で流量補正装置を取り付ける作業を行う必要がないため、素早く走行蛇行の直進補正を行うことができる。また、左右走行用の圧力補償弁27b,27dの両方に減圧弁ユニット140A,140B(流量補正装置いは目標補償差圧調整装置)が取り付けられているため、走行蛇行の直進補正の幅を広くすることができる。
<第5の実施形態>
図7A及び
図7Bに本発明の第5の実施形態に係わる作業機の油圧駆動装置を示す。
【0076】
本実施の形態は、第1〜第4の実施形態が流量補正装置39,69を目標補償差圧調整装置で構成したのに対して、流量補正装置79を、走行用の操作レバー装置34b(または34d)のリモコン弁と流量制御弁26b(または26d)の間に配置され、当該リモコン弁の制御パイロット圧を減圧する圧力制御弁42を備えた圧力制御弁ユニット142で構成したものである。圧力制御弁42は、左走行用の流量制御弁26b(または右走行用の流量制御弁26d)の最大流量を調整するための調整装置(調整機構83)を備えている。
【0077】
すなわち、
図7A及び
図7Bに示す油圧駆動装置は、走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作したときに、左走行モータ6の回転数が右走行モータ8の回転数よりも高かった場合のものであり、左走行用の操作レバー装置34bのリモコン弁が生成する制御パイロット圧c.dのうち前進用の制御パイロット圧dを流量制御弁26bへ導く管路に、前進用の制御パイロット圧dを減圧する圧力制御弁42を備えた圧力制御弁ユニット142が接続されている。圧力制御弁ユニット142は、圧力制御弁42が配置される配管81を有し、配管81の上流側は前進用の制御パイロット圧dを出力する左走行用の操作レバー装置34bのリモコン弁に接続され、下流側はタンクラインに接続されている。圧力制御弁42は可変リリーフ弁であり、流量制御弁26bの最大流量を調整するための調整装置として、リリーフ圧力を設定するバネ82の付勢力を調整する調整機構83を有している。
【0078】
調整機構83は、
図2Bに示した調整機構付プラグ37と同様、圧力制御弁42に組み込まれた図示しない調整ピンとロックナットとから構成されている。圧力制御弁42は、左走行用の操作レバー装置34bのリモコン弁が生成する前進用の制御パイロット圧dの最大圧力をバネ82の設定に応じた圧力に制限し、流量制御弁26bのストロークを規制し流量を制御する。
【0079】
上記以外の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0081】
走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作すると、パイロット油圧源33の圧油から流量制御弁26b,26dを操作するための制御パイロット圧d,hが生成され、流量制御弁26b,26dに導かれる。メインポンプ2から吐出された圧油は圧力補償弁27b,27d、流量制御弁26b,26dを介して左右走行モータ6,8へ導かれる。
【0082】
本来はこの時の左右走行用圧力補償弁27b,27dの開弁側受圧部28b,28dへ導かれる左右の走行モータ6,8のアクチュエータ負荷圧は等しいが、まれに機体の重量バランスや走行モータの製造誤差により等しくならず左右の走行モータ6,8に速度差(回転数差)が生じ走行蛇行が発生することがある。
【0083】
工場からの出荷時に上記のように操作して走行試験を行い、蛇行した場合には、回転数が高い方の流量制御弁操作用の制御パイロット圧d(またはh)を流量制御弁26b(または26d)に導く管路とタンクラインとの間に圧力制御弁ユニット142を接続する。そして、圧力制御弁42の調整機構83の調整ピンを操作して、バネ82の付勢力を弱めることで制御パイロット圧d(またはh)を減圧し、流量制御弁26b(または26d)のストロークを規制し、流量制御弁26b(または26d)の出力流量を調整することで走行蛇行の直進補正を行うことができる。
【0084】
このように本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
<第6の実施形態>
図8A及び
図8Bに本発明の第6の実施形態に係わる作業機の油圧駆動装置を示す。
【0085】
本実施の形態は、第5の実施形態が流量補正装置79を、走行用の操作レバー装置34b(または34d)のリモコン弁と流量制御弁26b(または26d)の間に配置され、当該リモコン弁の制御パイロット圧を減圧する圧力制御弁42を備えた圧力制御弁ユニット142で構成したのに対して、流量補正装置89を、走行用の操作レバー装置34b(または34d)のリモコン弁と流量制御弁26b(または26d)の間に配置され、当該リモコン弁の制御パイロット圧を減圧する減圧弁43を備えた減圧弁ユニット143で構成したものである。減圧弁43は、左走行用の流量制御弁26b(または右走行用の流量制御弁26d)の最大流量を調整するための調整装置(調整機構93)を備えている。
【0086】
すなわち、
図8A及び
図8Bに示す油圧駆動装置は、走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作したときに、左走行モータ6の回転数が右走行モータ8の回転数よりも高かった場合のものであり、左走行用の操作レバー装置34bのリモコン弁が生成する制御パイロット圧c.dのうち前進用の制御パイロット圧dを流量制御弁26bへ導く管路に、前進用の制御パイロット圧dを減圧する減圧弁43を備えた減圧弁ユニット143が接続されている。減圧弁ユニット143は、減圧弁43が配置される配管91を有し、配管91の上流側は前進用の制御パイロット圧dを出力する左走行用の操作レバー装置34bのリモコン弁に接続され、下流側は前進用の制御パイロット圧dを流量制御弁26bへ導く管路に接続されている。減圧弁43は、左走行用の流量制御弁26bの最大流量を調整するための調整装置として、減圧弁出力圧力を設定するバネ92の付勢力を調整する調整機構93を有している。
【0087】
調整機構93は、
図2Bに示した調整機構付プラグ37と同様、減圧弁43に組み込まれた図示しない調整ピンとロックナットとから構成されている。減圧弁43は、左走行用の操作レバー装置34bのリモコン弁が生成する前進用の制御パイロット圧dの最大圧力をバネ92の設定に応じた圧力に減圧し、流量制御弁26bのストロークを規制し流量を制御する。
【0088】
上記以外の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0090】
走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作すると、パイロット油圧源33の圧油から流量制御弁26b,26dを操作するための制御パイロット圧d,hが生成され、流量制御弁26b,26dに導かれる。メインポンプ2から吐出された圧油は圧力補償弁27b,27d、流量制御弁26b,26dを介して左右走行モータ6,8へ導かれる。
【0091】
本来はこの時の左右走行用圧力補償弁27b,27dの開弁側受圧部28b,28dへ導かれる左右の走行モータ6,8のアクチュエータ負荷圧は等しいが、まれに機体の重量バランスや走行モータの製造誤差により等しくならず左右の走行モータ6,8に速度差(回転数差)が生じ走行蛇行が発生することがある。
【0092】
工場からの出荷時に上記のように操作して走行試験を行い、蛇行した場合には、回転数が高い方の流量制御弁操作用の制御パイロット圧d(またはh)を流量制御弁26b(または26d)に導く管路に減圧弁ユニット143を接続する。そして、減圧弁43の調整機構93の調整ピンを操作して、バネ92の付勢力を弱めることで制御パイロット圧d(またはh)を減圧し、流量制御弁26b(または26d)のストロークを規制し、流量制御弁26b(または26d)の出力流量を調整することで走行蛇行の直進補正を行うことができる。
【0093】
このように本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
<第7の実施形態>
図9に本発明の第7の実施形態に係わる作業機の油圧駆動装置を示す。
【0094】
図9において、本実施の形態に係わる油圧駆動装置は、エンジン44と、エンジン44によって駆動される
3つのメインポンプ45,46,47と、メインポンプ45,46,47と連動してエンジン44により駆動されるパイロットポンプ48と、メインポンプ45,46,47から吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータ5,6,7,8,9,10,11,12と、コントロールバルブ49とを備えている。
【0095】
本実施形態に係わる履帯式走行装置を備えた作業機は、例えば油圧ミニショベルであり、アクチュエータ5は油圧ショベルの旋回モータであり、アクチュエータ6,8は左右の走行モータであり、アクチュエータ7はブレードシリンダであり、アクチュエータ9はスイングシリンダであり、アクチュエータ10,11,12はそれぞれブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダである。
【0096】
コントロールバルブ49は、メインポンプ45,46,47の圧油供給油路45a,46a,47aに接続され、メインポンプ45,46,47から各アクチュエータに供給される圧油の方向と流量をそれぞれ制御する複数の流量制御弁を有している。
【0097】
流量制御弁50a〜50hは、メインポンプ45,46,47からそれぞれのアクチュエータ5〜12に供給される圧油の方向と流量をそれぞれ制御する。
【0098】
流量制御弁50b,50dが切り換え操作されると、2つの油圧ポンプ45,46の吐出口から吐出された圧油は流量制御弁50b,50dのメータイン流路(流入側流路)50b1又は50b2;50d1又は50d2を介してそれぞれの走行モータ6,8に導かれ、走行モータ6,8からの戻り油は流量制御弁50b,50dのメータアウト流路(流出側流路)50b3
又は50b4
;50d3
又は50d4を介してタンク0に戻される。
【0099】
油圧ポンプ45,46は可変容量型であり、傾転位置を制御することで容量(押しのけ容積)を変え、吐出流量を増減する。油圧ポンプ45,46の制御手段として、通常、馬力制御アクチュエータ51が設けられ、油圧ポンプ45,46の吐出圧が上昇するとそれに応じて流量を減じるよう傾転位置が制御される。
【0100】
流量制御弁50b,50dはオープンセンタータイプ(センターバイパスタイプ)であり、センターバイパスライン52,53につながるセンタバイパス流路50b5,50d5を有している。流量制御弁50b,50dが中立位置(非操作位置)にあるとき、センターバイパス流路50b5,50d5は全開し、メータイン流路50b1,50b2;50d1,50d2は全閉し、油圧ポンプ45,46からの吐出油は油圧ポンプ45,46の吐出口に接続された圧油供給油路45a,46a、センターバイパスライン52,53、センターバイパス流路50b5,50d5からタンクライン54,55を介してタンクに戻される。流量制御弁50b,50dが中立位置から作動位置に切り換え操作されると、その操作量に応じてセンターバイパス流路50b5,50d5は開口面積を減らし、流量制御弁50b,50dの最大切換位置(フルストローク位置)の直前で全閉する。一方、流量制御弁50b,50dのメータイン流路50b1,50b2;50d1,50d2は流量制御弁50b,50dの操作量に応じて開口面積を増やし、流量制御弁50b,50dの最大切換位置(フルストローク位置)の直前で全開する。これにより流量制御弁50b,50dの操作量に応じた流量が走行モータ6,8に供給され、走行モータ6,8の回転速度が制御される。圧油供給油路45a,46aには油圧ポンプ45,46の最高吐出圧力を規制する安全手段としてのメインリリーフ弁(図示せず)が設けられている。
【0101】
流量制御弁50b,50dは油圧パイロット部50b6,50b7及び50d6,50d7を備えた油圧切換弁であり、走行用の操作レバー装置34b,34dのリモコン弁が生成する制御パイロット圧力により操作され、走行用操作レバー装置34b,34dのリモコン弁にはパイロットポンプ48の吐出圧力が一次圧として導かれている。油圧ポンプ45,46とパイロットポンプ48はエンジン44により駆動される。パイロットポンプ48の吐出圧力はパイロットリリーフ弁56によりある一定の圧力に保たれる。
【0102】
走行用操作レバー装置34b,34dの操作レバーが中立位置にある場合、流量制御弁50b,50dの油圧パイロット部50b6,50b7及び50d6,50d7は走行用操作レバー装置34b,34dのリモコン弁を介してタンク0へと連絡している。走行用操作レバー装置34b,34dの操作レバーが操作されると、走行用操作レバー装置34b,34dのリモコン弁の対応するものが加圧され、その圧力(出力圧)が制御パイロット圧力として流量制御弁50b,50dの対応する油圧パイロット部50b6,50b7及び50d6,50d7へとそれぞれ導かれる。これにより流量制御弁50b,50dが切換わり、走行モータ6,8に圧油が供給され、走行モータ6,8が回転する。
【0103】
本実施の形態は、第5の実施の形態と同じ流量補正装置79(圧力制御弁ユニット142)を備えている。
【0104】
すなわち、
図9に示す油圧駆動装置は、走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作したときに、左走行モータ6の回転数が右走行モータ8の回転数よりも高かった場合のものであり、左走行用の操作レバー装置34bのリモコン弁が生成する制御パイロット圧c.dのうち前進用の制御パイロット圧dを流量制御弁26bへ導く管路に、前進用の制御パイロット圧dを減圧する圧力制御弁42を備えた圧力制御弁ユニット142が接続されている。圧力制御弁ユニット142は、圧力制御弁42が配置される配管81を有し、配管81の上流側は前進用の制御パイロット圧dを出力する左走行用の操作レバー装置34bのリモコン弁に接続され、下流側はタンクラインに接続されている。圧力制御弁42は可変リリーフ弁であり、流量制御弁50bの最大流量を調整するための調整装置として、リリーフ圧力を設定するバネ82の付勢力を調整する調整機構83を有している。
【0105】
調整機構83は、
図2Bに示した調整機構付プラグ37と同様、圧力制御弁42に組み込まれた図示しない調整ピンとロックナットとから構成されている。圧力制御弁42は、左走行用の操作レバー装置34bのリモコン弁が生成する前進用の制御パイロット圧dの最大圧力をバネ82の設定に応じた圧力に制限し、流量制御弁50bのストロークを規制し流量を制御する。
【0107】
走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作すると、パイロットポンプ48の圧油から流量制御弁50b,
50dを操作するための制御パイロット圧d,hが生成され、流量制御弁50b,
50dに導かれる。メインポンプ45,46から吐出された圧油は流量制御弁50b,
50dを介して左右走行モータ6,8へ導かれる。
【0108】
本来はこの時の左右走行モータ6,8へ導かれる流量は等しいが、まれにメインポンプ45,46や走行モータの製造誤差により等しくならず左右の走行モータ6,8に速度差(回転数差)が生じ走行蛇行が発生することがある。
【0109】
工場からの出荷時に上記のように操作して走行試験を行い、蛇行した場合には、回転数が高い方の流量制御弁操作用の制御パイロット圧d(またはh)を流量制御弁50b(または50d)に導く管路とタンクラインとの間に圧力制御弁ユニット142を接続する。そして、圧力制御弁42の調整機構83の調整ピンを操作して、バネ82の付勢力を弱めることで制御パイロット圧d(またはh)を減圧し、流量制御弁50b(または50d)のストロークを規制し、流量制御弁50b(または50d)の出力流量を調整することで走行蛇行の直進補正を行うことができる。
【0110】
このように本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
<第8の実施形態>
図10に本発明の第8の実施形態に係わる作業機の油圧駆動装置を示す。
【0111】
本実施の形態は第6の実施の形態と同じ流量補正装置89(減圧弁ユニット143)を備えている。
【0112】
すなわち、
図10に示す油圧駆動装置は、走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作したときに、左走行モータ6の回転数が右走行モータ8の回転数よりも高かった場合のものであり、左走行用の操作レバー装置34bのリモコン弁が生成する制御パイロット圧c
,dのうち前進用の制御パイロット圧dを流量制御弁
50bへ導く管路に、前進用の制御パイロット圧dを減圧する減圧弁43を備えた減圧弁ユニット143が接続されている。減圧弁ユニット143は、減圧弁43が配置される配管91を有し、配管91の上流側は前進用の制御パイロット圧dを出力する左走行用の操作レバー装置34bのリモコン弁に接続され、下流側は前進用の制御パイロット圧dを流量制御弁
50bへ導く管路に接続されている。減圧弁43は、左走行用の流量制御弁50bの最大流量を調整するための調整装置として、減圧弁出力圧力を設定するバネ92の付勢力を調整する調整機構93を有している。
【0113】
調整機構93は、
図2Bに示した調整機構付プラグ37と同様、減圧弁43に組み込まれた図示しない調整ピンとロックナットとから構成されている。減圧弁43は、左走行用の操作レバー装置34bのリモコン弁が生成する前進用の制御パイロット圧dの最大圧力をバネ92の設定に応じた圧力に減圧し、流量制御弁50bのストロークを規制し流量を制御する。
【0114】
上記以外の構成は、第7の実施形態と同じである。
【0116】
走行直進動作を意図して走行用の操作レバー装置34b,34dの操作レバーを図示右方向にフルストロークで操作すると、パイロットポンプ48の圧油から流量制御弁50b,
50dを操作するための制御パイロット圧d,hが生成され、流量制御弁50b,
50dに導かれる。メインポンプ45,46から吐出された圧油は流量制御弁50b,
50dを介して左右走行モータ6,8へ導かれる。
【0117】
本来はこの時の左右走行モータ6,8へ導かれる流量は等しいが、まれにメインポンプ45,46や走行モータの製造誤差により等しくならず左右の走行モータ6,8に速度差(回転数差)が生じ走行蛇行が発生することがある。
【0118】
工場からの出荷時に上記のように操作して走行試験を行い、蛇行した場合には、回転数が高い方の流量制御弁操作用の制御パイロット圧d(またはh)を流量制御弁50b(または50d)に導く管路に減圧弁ユニット143を接続する。そして、減圧弁43の調整機構93の調整ピンを操作して、バネ92の付勢力を弱めることで制御パイロット圧d(またはh)を減圧し、流量制御弁50b(または50d)のストロークを規制し、流量制御弁50b(または50d)の出力流量を調整することで走行蛇行の直進補正を行うことができる。
【0119】
このように本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
<その他>
以上において、本発明を油圧ショベルに適用した場合の幾つかの実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではない。例えば、第5〜第8の実施形態では、流量補正装置を作業機の製品出荷前のチェック時に、走行蛇行の不具合があることが分かった時点で流量補正装置を取り付けて調整を行う場合について説明したが、第2及び第4の実施の形態と同様、作業機の油圧駆動装置に予め流量補正装置を取り付けておき、その後、走行蛇行の不具合があることが分かった時点で調整を行うようにしてもよい。
【0120】
また、上記実施の形態では、作業機が油圧ショベルである場合について説明したが、履帯式走行装置を備えた作業機であれば、油圧ショベル以外作業機(例えば油圧クレーン、ブルドーザ等)に本発明を適用し、同様の効果を得ることができる。